第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、鉄スクラップを鉄鋼製品にリサイクルし、省資源・省エネルギーを通じて地球環境の保全に努めるとともに、社会の発展に貢献する電炉グループです。顧客ニーズを追求し、合理的でオープンな経営により、ゆるぎない競争力を持ち、信頼される企業グループを目指します。私達は、この目標の実現に向け、自らの成長と変革を通じ、挑戦を続けます。

 

 (2) 会社の対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、電炉法による鉄リサイクルを通じて、循環型社会、及び脱炭素社会へ貢献するとともに、トップサプライヤーとして需要家のニーズに合った製品を供給するため、製造実力、コスト・品質競争力の更なる強化を図り、社会に貢献していくことを主眼とした「大阪製鐵グループ中期経営計画」を、2021年4月28日に策定・公表しております。公表内容は以下の通りです。

 

 

(環境認識)

国内一般形鋼、棒鋼需要は、足下新型コロナウイルス感染症の影響により低水準となっておりますが、今後一定程度は回復するものの、以前の水準には戻らず国内需要は構造的に縮小するものと認識しております。一方、海外市場は東南アジアを中心に一定の経済成長を持続すると考えております。

主原料であるスクラップは、中国の輸入再開等により、スクラップ需給は構造的に変化していくものと見ています。

電力における再生可能エネルギー比率アップによる供給構造の変化や、少子高齢化の更なる進展等、当社経営を取り巻く環境は絶え間なく変化していくものと考えています。
 

 

(主要課題と取り組み)

 ①盤石な国内事業基盤の構築

 イ.大阪事業所の収益、事業基盤の更なる強化

   当社の中核事業所である大阪事業所(堺工場、恩加島工場)における「Sプロ(大阪事業所圧延ライン

   強化対策)」の最大活用を通じた事業基盤の一層の強化
 
ロ.グループ全体構造の見直し、グループ経営の深化
 ・日本スチール㈱の吸収合併による両社のシナジーの追求、製鋼~圧延の一貫管理強化等を通じた当社
  グループ平鋼事業の一層の競争力強化
 ・東西拠点である大阪製鐵と東京鋼鐵の更なる一体的運営の追求など、各機能を担うグループ会社全体の
  最適な体制の構築
 
ハ.お客様満足度の向上に向けて
 ・基本品位強化、技術サービス機能の一層の強化
 ・需要構造変化に応じた商品メニューの充実化等
 
二.設備投資の選択と集中
 ・固定費マネジメントの強化、次代に向けた設備投資案件選別の強化
 ・設備技術機能の充実を通じたメンテナンスエンジニア視点での保全強化
 
ホ.業務効率化の一層の推進
  グループ全体の作業標準化及び新しいシステム基盤の構築、IoT導入推進による効率性の追求
 
②今後も成長が期待できる東南アジア需要の確実な捕捉を通じた成長戦略
 ・KOS(PT.KRAKATAU OSAKA STEEL:インドネシア)の黒字定着化、収益拡大によるグループ収益への貢献
 ・JVパートナーのPT.KRAKATAU STEELとの連携、協業強化
 ・輸出を含めた向け先拡大、形鋼の用途拡大、大阪製鐵輸出営業とのシナジー拡大の推進
 ・グループ国内3拠点からのビレットの安定(数量・品質)供給を通じた安定生産、デリバリー力の一層の
  向上
 
③事業環境変化への対応
イ.省エネ施策の推進/電力構造変化への対応
 ・製鋼~圧延の直行率の更なる向上等、徹底的な省エネ対策の推進
 ・再生可能エネルギーの拡大等に伴い電力構造が変化している中、その変化に対応した稼働形態の追求、
  生産シフト見直しの検討
 
ロ.当社グループガバナンスの一層の強化
 ・グループ全体の連携強化に向けた組織体制の構築、安全環境防災・品質コンプライアンス等の企業
  としての原点となる活動の徹底等
 
ハ.働き方改革の推進
 ・2021年4月よりスタートした65歳定年制の定着フォロー
 ・ダイバーシティ雇用の推進、及び在宅勤務、AI導入等を通じた少子高齢化への対応等、多様な働き方
  の実現
 


(収益・投資計画)
2025年度ROS目標        10%程度
2021~25年度設備投資計画    230億円/5年
配当性向                       30%程度目安
 
 長期投資につきましては、十分な検証を踏まえ、国内外の事業成長のための投資を行ってまいります。また、グループ内最適化、最効率化の観点からグループ全体基盤の構築に向けたシステム投資を行います。

 

 

 

 

(3) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析

 ①当連結会計年度の経営成績 及び 大阪製鐵グループ中期経営計画の進捗状況

 大阪製鐵グループ中期経営計画の目標・計画とそれに対する進捗状況は以下のとおりです。

 

(2020年度実績)

2023年度実績

2025年度目標・計画

連結売上高

(766億円)

1,171億円

連結経常利益

(13億円)

63億円

ROS

(1.7%)

5.4%

10%程度

設備投資額

(109億円/年)

31億円/年

230億円/5年

配当性向

(30.4%)

30.5%

30%程度目安

 

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の分析

 当期の国内経済は、対面型サービスを中心とした個人消費や好調な企業収益を背景とした設備投資に支えられ回復基調にあるものの、物価上昇による消費者マインドの悪化や、一部業種での生産停止の影響で鉱工業生産が停滞するなど、一進一退の動きが継続いたしました。

 当社の主要需要先である建設業界におきましても、物価上昇や人手不足の影響から工事が縮減もしくは延期される動きがみられ、建設向け鉄鋼需要は低迷いたしました。コスト面におきましても、脱炭素化へ向けた需要の高まりから主原料である鉄スクラップ価格が高止まりし、物流費の上昇もあり、厳しいコスト環境が継続いたしました。

 当社が事業を営むインドネシアの経済は、堅調な個人消費を背景にGDP成長率は5%台を維持するなど、緩やかに回復いたしました。同国の鉄鋼需要につきましても、年後半にかけて在庫調整が進展し、設備投資の増加もあり、当社生産品種である形鋼・棒鋼需要は回復が進んでおります。

 このような環境の下、マージン管理を徹底し、お客様の理解を得ながら販売価格の改定を図り、適正な販売価格の確保を最優先課題として取り組むとともに、自助努力による徹底的なコスト改善・拡販施策を進めた結果、売上高、経常利益は前年度並みを確保いたしました。

 

③当連結会計年度における重点課題への主要な取り組み

イ.盤石な国内事業基盤の構築

 現場活動を中心とした地道な歩留・原単位の改善を継続するとともに、岸和田工場の圧延ライン延伸工事や東京鋼鐵㈱の排ガス分析装置設置などの設備投資による改善効果も享受し、増幅するエネルギー・市況品価格上昇影響の抑制を図りました。

 また、当期は堺工場への省エネ・省CO2型電気炉の導入や熊本工場への製品倉庫新設及び太陽光発電設備の設置拡大、恩加島工場のレール加工設備の移管を決定するなど、将来へ向けた事業基盤整備にも取り組んでまいりました。加えて、当社が生産する主要6品種でエコリーフ環境ラベルを取得し、一般形鋼製品でマレーシアのSIRIMエコラベルを国外の一貫ミルとしては初めて取得するなど、お客様満足度向上へ向けた取組みも進めており、コスト・品質競争力強化とサステナブル社会への貢献を両立する施策を推進してまいりました。

 並行して、安全・環境・防災への取組みも強化し、従業員の安全に資する投資を継続するなど、働きやすい職場環境づくりにも取り組みました。

 

 

ロ.今後も成長が期待できる東南アジア需要の確実な捕捉を通じた成長戦略

 成長戦略の一環であるインドネシア事業は、グループ一体となった安価ビレット調達施策や輸出を含む拡販施策を講じてまいりましたが、同国内での競争激化によるマージンの悪化などにより、引き続き厳しい収益・財政状況となりました。現在、PT. KRAKATAU OSAKA STEEL(以下、KOS社)の事業損益及び財政状態の回復に向けた実効的な計画を立て、その実施に努めております。

 

ハ.事業環境変化への対応

  主原料であるスクラップ価格やエネルギー価格が高止まりする中、再生産可能な販売価格の維持に努め、岸和田工場の圧延ライン延伸工事や東京鋼鐵㈱の排ガス分析装置設置などの設備投資による改善効果も享受し、増幅するエネルギー・市況品価格上昇影響の抑制を図るとともに、堺工場への省エネ・省CO2型電気炉の導入を決定するなど、将来のコスト競争力強化に向けた取り組みも推進しております。

 サステナブル社会の実現へ向けた社会的要求の高まりに対し、ESGの視点を持った経営をより強化しており、マテリアリティへの対応を中心に個別取組みを推進しております。

 

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

   2024年度の経営環境及び対処すべき課題については、以下のように考えております。

 

 今後の国内経済の見通しは、海外経済の減速を背景とした輸出の低迷が続くものの、雇用所得環境の改善による個人消費や高水準の企業収益を背景とした設備投資が堅調に推移することから、国内需要を中心に景気の回復基調は維持されることが期待されます。

 一方、当社の国内における経営環境は、建設向け需要が当面大幅な回復は望めない状況にあり、またコスト面でも、2024年物流問題による物流費の本格的な上昇に加え電力料金の値上げもあり、経営環境は一段と厳しさを増しております。

 インドネシア経済の見通しは、中国の景気減速により輸出の減少が見込まれますが、堅調な個人消費を背景に一定の成長は続くものと思われ、それに伴う鉄鋼需要も拡大していくものと期待されます。

 このような環境の下、国内では生産出荷およびコスト改善による収益力強化が、インドネシアにおいては拡大する需要の捕捉による収益・財政状態の回復が喫緊の課題となります。

 まずは、コスト上昇に対応した販売価格改定により再生産可能なマージンの確保を進めるとともに、安全・安定生産をベースとした納入対応力およびコスト競争力強化を図ります。現場に根差したコスト改善活動を継続するとともに、昨年決定した省エネ・省CO2型電気炉導入や製品倉庫建設、レール加工設備移管を着実に実行してまいります。

 インドネシアにおいては、グループ一体となった安価原料調達施策を推進するとともに、在庫政策の見直しによる即納対応力強化を図り、拡大する需要を確実に捕捉してまいります。

 また、気候変動対策や人的資本強化、働きやすい職場づくりの推進などサステナビリティ基本方針に則った活動を継続し、サステナブル社会へ貢献してまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社はサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバ

ナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。

①サステナビリティ委員会

サステナビリティ委員会は気候変動に関する事項を含むマテリアリティ(重要課題)の特定やサステナビリティ戦略について審議し、取締役会に報告します。

同委員会の委員長は代表取締役社長が務め、委員長が指名したものにおいて構成されます。サステナビリティに関するリスク及び機会を評価し、識別したリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針を示し、社内関係部門・グループ会社に対応を指示します。対応策の取組み状況や設定した目標の達成状況を審議し、定期的に取締役会に報告し、監督を受けています。

②監督体制

代表取締役社長等が出席する経営会議・取締役会は、定期的にサステナビリティ委員会より取組状況や目標の達成状況の報告を受けることによりリスク管理の監督を行っております。

 

 

(2)気候変動への対応について

当社グループは、気候変動が当社事業に与える影響を想定し、適応に向けた取組みとしてリスクに適切に備えるとともに、ビジネス機会の捕捉に向けた取組みを推進しております。

①気候変動によるリスク及び機会とその戦略 

項目

重要なリスク及び機会

戦略

リスク

政策・法

気候変動抑制のための規制・制度導入による事業コストの増加

省エネ設備導入などエネルギーコスト低減推進

市場ニーズ
省エネ要求の高まり

鉄から低炭素他素材などへの置換による鉄需要の減少

省エネ設備導入などによるカーボンニュートラルの早期実現

高炉から電炉への切替

高炉から電炉への移行による鉄スクラップ、資材の需要増加

多様な品位の鉄スクラップ使用可能化、調達ソースの拡大による調達量の確保

調達品

サプライチェーンにおける低炭素化コスト増加による調達コスト増大

製品価格への転嫁、調達ソースの拡大による収益力確保

再生エネルギー拡大による電力料金の上昇

製品価格への転嫁、省エネ設備導入などエネルギーコスト低減推進による収益力確保

自然災害

自然災害に伴う工場の操業不能化

BCP対策の推進(台風、洪水、地震等の対策継続)

自然災害に伴う原材料調達の困難化

調達ソースの拡大、適正在庫の管理強化

気温上昇

気温上昇に伴う職場作業環境の悪化

省力化投資の推進及び職場環境対策投資の継続

機会

資源・エネルギー効率

省資源・省エネルギー化の社会的要求の高まりによる新技術開発の進展

省資源・省エネルギープロセスの導入検討による更なるコストダウンの進展

電炉素材評価

気候変動抑制のための規制強化による低炭素・循環型鋼材の需要拡大

コスト・品質競争力の更なる向上及び生産上方弾力性の確保による需要の捕捉

電炉製品の高炉製品に対する環境面での優位性による需要の移行

品質競争力の更なる向上、新品種の生産拡大等による需要の捕捉

国土強靭化の進展

国土強靭化の進展に伴う土木建築需要の拡大

コスト・品質競争力の更なる向上及び生産上方弾力性の確保による需要の捕捉

 

 

②指標及び目標

当社グループは、CO2排出量について、2030年度において2013年度比46%の削減をターゲットに、2050年度においてカーボンニュートラル実現をビジョンとして目標設定しております。

進捗として、2022年度は2013年度比29%の削減を実行しております。

 

 

(3)人的資本、多様性について

①人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針とその実施状況

ⅰ.人材育成基本方針

当社グループは、人的資本が企業価値を構成する最重要な価値と位置づけ、経営理念において、「全ての力を人材育成と技術力強化に向け、自己実現を通じ、社会に貢献します」と行動指針を定めております。

当社グループの人材育成の基本は、上司と部下が業務に関し日々の対話を重ねながら、具体的な業務スキルを伝えていくものです。あわせて人材育成に関する社内環境整備を図ることによる実効性ある人材育成施策を講じて、最終的に社会貢献を果たしていくとともに、従業員エンゲージメントの最大化も図ってまいります。

当社グループは、サステナビリティの基本方針(マテリアリティ)に、「地球環境への対応」「人権を尊重し、社員一人ひとりが多様性を活かした働きがいのある職場環境の実現」を掲げており、

・新しい技術や社会的課題に積極果敢にチャレンジできる人材

・多様性を尊重し、対話と協働による持続的な成長ができる人材

・当社グループの成長戦略であるインドネシアプロジェクトを中心にグローバルに活躍できる人材

の育成に重点的に取り組んでまいります。

 

1)技術職の人材育成

技術職の人材育成は、当社の技術力を根幹から支えており、円滑に技能伝承を行うことが必須であり、入社した従業員全員を一人前に育て上げる仕組みの構築が必要不可欠なため、習得すべき技能を明確にした上で上司と部下が会話し、具体的な育成計画を作成・実行しております。また、必要な資格取得の特別講習や、指導員としての役割意識の向上及び日常におけるコミュニケーション能力の向上等を図る「指導員研修」、ストレスマネジメント等を学ぶ「教わり方研修」などのOFF-JT研修を階層別に実施し、一人ひとりがスキルアップの向上が図れる人材育成に努めております。

 

2)スタッフ系人材育成

スタッフ系についてはOJTを基盤とした人材育成を進めております。具体的には、上司・部下との対話をより活発化させ、相互の意思疎通を深め、目標の設定・共有化を図ることを目的とした「個人育成対話シート」の取り組みにより、PDCAを効果的に回す仕組みを構築しております。とりわけ入社後一定期間を育成期間と定め、全社適材適所を目指した人員配置/ローテーションを行い、経営方針に基づくOJTによる人材育成を図るとともに、各世代にわたり階層別研修や目的別研修の充実化を図り、DX研修や部門別エキスパート研修、海外人材育成研修等のOFF‐JT研修による人材育成を進めております。

 

3)管理者人材育成

マネジメントを狙いとした管理職研修をはじめ、管理者としての成長、経営層への登用等も踏まえた階層別研修や管理職の役割、責任を正しく理解した上で、円滑に管理者としてのスタートを切るべく新任管理者研修等のOFF-JT研修を実施しています。当社グループの中枢を担う人材育成強化を目指して、更に充実を図ってまいります。

また、海外事業等においてジョブ型雇用を進めております。今後、多様化する雇用形態に対応した制度化、人材育成施策の充実をさらに推進してまいります。

 

ⅱ.社内環境整備方針

当社グループの経営計画、人材育成基本方針に基づき、現在~将来にわたる人材ポートフォリオを整備し、階層別、社員区分別の人員配置・人材育成に視点を当てたローテーション計画を作成した上で、人事施策、人材育成施策に反映しております。

人材ポートフォリオにおいては、成長戦略で海外事業に関連する人材、地球環境に対応しうる人材、DX対応人材、将来の経営を担う人材等、事業継続性を考慮した中で細分化した上で策定し、必要な人材育成施策の検討に繋げています。その結果を踏まえ、時代の変化に応じた要員管理、人員配置、ローテーション施策を実行してまいります。

 

 

②指標及び目標(提出会社)

 人的資本、多様性に関し、以下の指標についてマテリアリティのKPIとして管理しております。

指標

目標

2023年度実績

管理職に占める女性労働者の割合(注1)

2025年:21年度比2倍(約3%)

2030年:21年度比3~4倍(約4.5~6%)

1.2

男性労働者の育児休業取得率(注1)

80%以上

52.6

育児休業と育児目的休暇を合わせた取得率(注2)

80%以上

89.5

労働者の男女の賃金の差異(全労働者)(注3)

中長期目標100

84.3

 同(正規雇用労働者)

 〃

82.2

 同(パート・有期労働者)

 〃

141.0

有給休暇平均取得率

80%以上

80

人材活性化研修実施率

100

100

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

正規雇用労働者においては、それぞれの社員に求められる役割とそれに伴う配置のあり方に応じて、管理職、スタッフ、エリアスタッフ、技術職の区分を設定し、区分別の給与制度を設けております。各区分の給与制度および評価・運用は、男女の別なく全社員同一としております。

男女の賃金差異は、男女それぞれの社員数に占める各区分の構成比が異なることや、同一区分内でも男女での平均勤続年数が異なることによって発生しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

   

(1)鋼材需給の変動

 普通鋼電炉業界は、国内において需要量に対し供給能力過剰の構造にあり、過剰生産及び販売による販売価格の下落リスクがあります。また、東アジア諸国を中心とした需給バランスの変化等による海外市況の下落リスクがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、国内の鉄鋼需要については、新型コロナウイルス感染症収束後一定程度は回復するものの以前の水準には戻らず、構造的に縮小していくものと認識しております。
 当社は、鋼材の需要・供給動向を十分に見極めながら、需要に見合った生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(2)原料価格等の変動

  鋼材の生産に必要な鉄スクラップ、副原料である合金鉄や各種資材等は、国際マーケットで取引されており、東アジア諸国を中心とした鉄鋼生産の変動や、環境負荷低減へ向けたリサイクル資源である鉄スクラップの使用拡大等による価格の高騰及び乱高下リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。足元では、国内外経済の回復や脱炭素へ向けた鉄スクラップ使用拡大の動き、東欧情勢の悪化等により原料価格は高水準で推移しております。
 当社は、生産に見合った原料等の最適調達に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(3)電力供給等

 大量の電力を使用する当社グループは、地域紛争などによる原油や液化天然ガスなど資源価格の変動や再生可能エネルギーの拡大、脱炭素化に向けた電力需給環境の変化により、電力購入価格が大幅に上昇するリスクがあります。また、国内各発電所の稼働状況及び天候等の影響により電力需給が逼迫した場合、電力供給の制約を受ける可能性があります。足元では、東欧情勢悪化の影響などにより資源価格が高止まりし、電力価格が大幅に上昇しております。
 当社は省資源・省エネルギーを追求した鋼材の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(4)海外投資等

  当社はインドネシア共和国に連結子会社を所有しております。同社の業績は、市場環境の変化は元より、為替相場の変動や同国の政治・経済情勢及び法規制等が変化した場合、影響を受けます。また、同国において突発的な政情不安及び自然災害等が発生した場合、工場の操業休止等の事態に陥るリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。
 当社グループは、グループ一貫での連携強化に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(5)人材確保・育成

 当社グループの成長のためには、有能な人材の確保及び育成が重要な課題でありますが、少子高齢化に伴う労働需給の逼迫は、今後の当社グループの事業活動、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、採用チャネルの拡大やソースの多様化による採用力の強化、IT技術等の活用による労働生産性の向上、実効性ある人材育成施策の推進、従業員エンゲージメントの最大化を図るなど、人的資本の充実・強化に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

 

(6)設備投資等

  製鉄事業は資本集約的産業であり、継続的に多額の設備投資及び設備修繕支出を必要とします。老朽化した設備の更新等を行う際は、できる限りの機能向上や省エネルギー対策を織込みながら実行しております。しかしながら、これらが計画通りに立ち上がらず効果が十分に発揮できない場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
  当社は、当年度において、堺工場への省エネ・省CO2型電気炉の導入や熊本工場への製品倉庫新設及び太陽光発電設備の設置拡大、恩加島工場のレール加工設備の移管等を決定しましたが、計画通りの立ち上げに向け、プロジェクト体制を敷くなど、リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(7)気候変動

 当社グループは気候変動の影響を受けることにより業績に悪影響が生じる可能性があります。

 想定されるリスク及び対応については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組

 (2)気候変動への対応について に記載のとおりであります。

 

(8)各種自然災害や感染症の拡大等

 当社グループの各事業所において大規模な台風、地震等の自然災害及び感染症の拡大等に見舞われた場合、事業活動が制約を受けることにより、業績に悪影響が生じる可能性があります。

  各種自然災害については、耐震工事等のハード対策の実行に加え、対応マニュアルの整備を進めるとともに、全事業所において各種訓練の実施や工場パトロールを行っております。これらの訓練を通じ、継続して工場の緊急事態対応力の強化を図っております。
 また、感染症対策につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて確立した制度とその運用の定着を図っております。

 

(9)設備事故、労働災害等

  当社グループの製鉄事業の生産活動は、電気炉、取鍋精錬炉、連続鋳造機、加熱炉、圧延機、発電設備等の特定の重要設備に依存しています。これらの設備において、電気的または機械的事故、火災や爆発、労働災害等が生じた場合、操業の中断による生産・出荷の遅延、費用や補償の支払いなどの発生、また当社グループの信用・信頼を損なうことにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  当社グループは、人材の確保、安全環境防災教育をはじめとした人材育成や技能伝承に向けた取り組み及び日々の設備メンテナンスや老朽化設備の更新等、人と設備の両面から基盤整備・強化策を推進しております。
 

(10)品質問題等

 当社グループは、鉄鋼製品を顧客に提供しております。製品に欠陥が見つかり品質問題が生じた場合は、顧客等から代品の納入や補償を求められるほか、当社グループまたは当社グループの製品に関する信頼が損なわれて売上が減少すること等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
  当社は、「品質は会社の鏡 一人一人が責任者」のスローガンをもとに、「常にお客様の信頼と満足を得る品質を提供する」、「関連する法律、規制を遵守して、各プロセスで発生するあらゆる不適合を低減する」等の品質方針を定め、内部品質監査の充実など、様々な取り組みを実施しております。
 

(11)情報システムの障害

  当社グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、また、自社及び顧客・取引先の営業機密や個人情報等の機密情報が情報システムに保管されております。当社グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からウイルス感染等のサイバー攻撃等により、システム停止、機密情報の外部漏洩や毀損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、訴訟、社会的信用の低下等により、当社グループの業績等に悪影響が生じる可能性があります。
  当社においては、技術情報をはじめとする機密情報の漏洩対策については最重要の経営課題のひとつとして認識し、情報セキュリティ基盤の強化対策を実行しつつ、重要なシステム及びネットワーク等については、二重化してデータセンターへ移設し、堅牢な環境下で運用管理をしております。さらに加えて、社員の情報セキュリティ意識を向上すべく、情報セキュリティ教育や疑似不審メールによる訓練等の対策も実施しております。 


 

(12)事業活動にかかる環境規制

当社グループは、事業活動を行う日本及びインドネシアにおいて、大気・水・土壌の汚染、化学物質の利用、廃棄物の処理・リサイクル等に関する広範な環境関連規制の適用を受けており、今後、これらについて、より厳格な規制が導入されたり、法令の適用・解釈が厳しくなったりすることにより、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加する可能性があります。
 これらのリスクについて、当社グループは事業所毎に異なる環境リスクへのきめ細やかな対応や各地域の環境保全活動を通じた環境リスクマネジメントを推進し、グループ全体での環境負荷軽減に取り組んでおります。
 また、当社グループは今後化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、当社グループの事業活動が制約を受けたり、費用が増加したりする可能性があります。
 当社は省資源・省エネルギーを追求した鋼材の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ0.0%減少し1,171億2千7百万円、経常利益は同1.3%減少し63億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同7.5%増加し31億2千1百万円となりました。

 

②財政状態の状況

イ 資産

流動資産は、前連結会計年度に比べ13.5%減少し、1,150億7千4百万円となりました。これは、主として、棚卸資産が59億4千2百万円、売掛金が42億2千1百万円、未収入金が24億3百万円増加し、預け金が212億1千9百万円、関係会社短期貸付金が100億円減少したことによるものです。

固定資産は、前連結会計年度に比べ11.7%増加し、896億6千2百万円となりました。これは、主として、関係会社長期貸付金が100億円増加したことによるものです。

この結果、総資産は、前連結会計年度に比べ4.0%減少し、2,047億3千7百万円となりました。

ロ 負債

流動負債は、前連結会計年度に比べ18.7%減少し、453億4千万円となりました。これは、主として1年内返済予定の長期借入金が77億7千3百万円、短期借入金が52億3千6百万円減少したことによるものです。

固定負債は、前連結会計年度に比べ15.3%増加し、50億6百万円となりました。

この結果、負債合計は、前連結会計年度に比べ16.3%減少し、503億4千7百万円となりました。

ハ 純資産

純資産合計は、前連結会計年度に比べ0.8%増加し、1,543億8千9百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ203億6千6百万円減少し、431億1千1百万円となりました。

イ 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、使用した資金は10億6千7百万円(前連結会計年度50億8千6百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益57億4千1百万円、減価償却費44億4千3百万円、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額54億7千8百万円、売上債権の増加額38億6百万円、未収入金の増加額23億9千万円であります。

 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、使用した資金は29億2千3百万円(前連結会計年度37億5千8百万円の支出)となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出32億1千7百万円であります。

ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、使用した資金は166億3千3百万円(前連結会計年度7億4千9百万円の支出)となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出84億8千2百万円、短期借入金の純増減額71億7千6百万円であります。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産高

(当連結会計年度)

 

品目

生産数量(千トン)

前年同期比増減率(%)

鋼片

1,103

8.3

鋼材

1,079

10.0

 

 

 

②受注実績

(当連結会計年度)

 

品目

受注高
(百万円)

前年同期比増減率(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比増減率(%)

鋼材・鋼片

115,868

△4.3

15,252

△0.2

 

 

 

③販売実績

(当連結会計年度)

 

品目

販売高(百万円)

前年同期比増減率(%)

鋼材

110,599

4.1

鋼片他

6,528

△40.2

合計

117,127

△0.0

 

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

 

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

 

日鉄物産㈱

30,547

26.1

29,491

25.2

 

PT.KRAKATAU WAJATAMA OSAKA STEEL MARKETING

15,540

13.3

18,637

15.9

 

エムエム建材㈱

17,663

15.1

15,007

12.8

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ①重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、本報告書「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析」に記載しております。

 

なお、当社グループは普通鋼の生産及び製品等の販売並びにこれらの運送を営む単一のセグメントとなっております。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものであります。

株主還元につきましては、大阪製鐵グループ中期計画におきまして連結配当性向30%程度を目標としております。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

今後の資金需要の主なものは、設備の新設、改修等に係る投資額等でありますが、その財源は自己資金にてまかなう予定としております。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当期における当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、本報告書「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略」に記載しております。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

 

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社は新商品開発、製造プロセス改善、圧延生産性向上、ビレット及び製品品質向上をテーマに上げ、技術開発・操業改善に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度においては、研究開発費の計上はありません。