【連結財務諸表注記】
1.報告企業
住友ファーマ株式会社(以下「当社」)は日本に所在する企業です。当社の連結財務諸表は2024年3月31日を期末日とし、当社及び子会社(以下「当社グループ」)並びに関連会社に対する持分により構成されます。当社グループは、医薬品事業を行っており、事業の内容は、事業セグメント(注記4)に記載しています。当社の登記している本社及び主要な事業所の住所は、ウェブサイト(https://www.sumitomo-pharma.co.jp)で開示しています。
2.作成の基礎
(1) 連結財務諸表がIFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
なお、当社グループの連結財務諸表は、2024年6月25日開催の取締役会において承認されています。
(2) 測定の基礎
連結財務諸表は、重要性がある会計方針(注記3)に記載している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
(3) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満の端数を四捨五入して表示しています。
(4) 重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り、判断及び仮定の設定を行っています。しかし、これらの見積り及び仮定に関する不確実性により、翌連結会計年度において資産又は負債の帳簿価額に重要な修正が求められる結果となる可能性があります。
主な会計上の見積り、判断及び仮定のうち、連結財務諸表に報告された金額に重要な影響を及ぼす可能性がある情報は、以下のとおりです。
・ のれん及び無形資産の減損(注記14,15)
・ 引当金(注記25)
・ 繰延税金資産の回収可能性(注記10)
(5) 会計方針の変更
当社グループは、当連結会計年度より「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を適用しています。当該基準書の適用による本連結財務諸表への重要な影響はありません。
(6) 表示方法の変更
(連結キャッシュ・フロー計算書)
前連結会計年度において区分掲記していた「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「有形固定資産売却損益(△は益)」は、金額的重要性が低下したため、当連結会計年度においては「その他」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行なっています。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「有形固定資産売却損益(△は益)」に表示していた△338百万円は、「その他」として組み替えています。
(7) 未適用の公表済み新基準及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている基準書及び新解釈指針の新設または改訂のうち、当連結会計年度において当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりです。新しいIFRS適用による当社グループへの影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
(8) 新基準の早期適用
早期適用した基準書等はありません。
3.重要性がある会計方針
当社グループが適用する重要性がある会計方針は、連結財務諸表に記載されているすべての期間において継続的に適用しています。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。
支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。
当社グループは、子会社に対する支配を獲得した日から当該子会社を連結し、支配を喪失した日に連結の範囲から除外しています。また、決算日が異なる子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループ間の債権債務残高及び取引高並びに当社グループ内取引により生じた未実現損益は相殺消去しています。
支配の喪失を伴わない子会社に対する持分の変動があった場合には、資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失は純損益として認識しています。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない企業をいいます。重要な影響力とは、投資先の財務及び営業の方針に対する支配はないが、それらの方針の決定に関与する力をいいます。
当社グループは、関連会社への投資について、持分法を用いて会計処理しています。
なお、決算日が異なる持分法適用会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。
③ 企業結合
企業結合は、取得法を用いて会計処理しています。
被取得企業における識別可能な資産及び負債は取得日の公正価値で測定しています。
なお、移転された対価には、条件付対価契約から発生したすべての資産又は負債の公正価値が含まれます。
のれんは、移転した対価の公正価値と被取得企業の非支配持分の金額の合計が、取得時における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回った場合に、その超過額として測定しています。下回る場合には、直ちに純損益として認識しています。また、取得関連費用は発生時に純損益で認識しています。
なお、共通支配下における企業結合取引、すなわち、すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的ではない企業結合取引については、帳簿価額に基づき会計処理しています。
④ 共同支配
共同支配とは、取決めに対する契約上合意された支配の共有をいい、関連性のある活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。共同支配の取決めへの投資は、当該取決めの当事者の権利及び義務に応じて、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)かジョイント・ベンチャー(共同支配企業)に分類されます。ジョイント・オペレーションとは、取決めに対する共同支配を有する当事者が当該取決めに関する資産に対する権利及び負債に対する義務を有している場合の共同支配の取決めをいい、ジョイント・ベンチャーとは、取決めに対して共同支配を有する当事者が当該取決めの純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めをいいます。
ジョイント・オペレーションに対する持分を有する場合は、当該ジョイント・オペレーションの資産、負債、収益及び費用の持分をそれぞれの類似する科目に合算しています。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しています。
決算日における外貨建貨幣性項目は決算日の直物為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は当該公正価値の測定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に換算しています。
当該換算及び決済により生じる換算差額は、純損益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産及びヘッジが有効な範囲におけるキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)は期末日の直物為替レートで、収益及び費用は、為替レートに著しい変動がある場合を除き、期中の平均為替レートで日本円に換算しています。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識し、その累積額は、連結財政状態計算書において、その他の資本の構成要素に計上しています。
在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連した換算差額の累計額を処分損益の一部として認識しています。
(3) 収益
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約の識別
ステップ2:契約における履行義務の識別
ステップ3:取引価格の算定
ステップ4:履行義務への取引価格の配分
ステップ5:企業の履行義務の充足による収益の認識
当社グループは、医療用医薬品等の製商品の販売による収益(製商品の販売)並びに技術導出契約等の締結に伴う契約一時金、マイルストン収入及びロイヤルティ収入による収益(知的財産権収入)を主な収益としており、それぞれの収益認識基準は、以下のとおりです。
① 製商品の販売
製商品の販売は、製商品を引渡した時点において顧客が当該製商品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該製商品の引渡時点で収益を認識しています。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、返品、値引き及び割戻し等を控除した収益に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲内の金額で算定しています。
② 知的財産権収入
契約一時金は、技術導出契約等を締結し、開発権及び販売権等を第三者に付与した時点で収益を認識しています。
マイルストン収入は、契約上定められたマイルストンが達成された時点で収益を認識しています。
ロイヤルティ収入は、契約相手先の売上収益等を基礎に算定された技術導出契約等における対価であり、契約相手先の売上収益等の発生と履行義務の充足のいずれか遅い時点で収益を認識しています。
なお、当社グループは、履行義務の充足により売上収益を認識した後、通常、1カ月~4カ月で売上債権を回収しています。また、顧客との契約に重大な金融要素は含まれていません。
(4) 共同開発及び共同販売
当社グループは、当社グループの開発品及び製品について、提携企業との間で共同開発及び共同販売契約を締結しています。
この場合、当社グループは医薬品販売(物品の販売)による収益を売上収益として計上し、関連する当社グループの費用を売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費として計上し、総額で表示しています。また、利益の折半のために当社グループが提携企業に支払う費用は、その性質に応じて、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費に計上します。
なお、これらの契約のうち主要なものに関しては、共同開発及び共同販売(注記35)に詳細を記載しています。
(5) 法人所得税
法人所得税は、当期法人所得税と繰延法人所得税の合計として表示しており、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目に関係する税金を除き、純損益で認識しています。
当期法人所得税は、期末日時点において施行又は実質的に施行されている法定税率及び税法を適用して、税務当局に納付又は税務当局から還付されると予想される金額で算定しています。
繰延税金資産及び負債は、期末日における資産及び負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務基準額との間に生じた一時差異、未使用の繰越欠損金及び繰越税額控除について認識しています。ただし、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産又は負債を認識していません。
・ のれんの当初認識から生じる場合
・ 企業結合でない取引で、取引時に会計上の純損益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
・ 子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異については、予測し得る期間内に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が獲得される可能性が高くない場合
・ 子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異については、一時差異を解消する時期をコントロールでき、予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越欠損金及び繰越税額控除について、将来それらを使用できる課税所得が獲得される可能性が高い範囲内で認識しています。また、繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。
繰延税金資産及び負債は、期末日における法定税率又は実質的法定税率及び税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予測される税率を用いて算定しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
(6) 1株当たり情報
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を控除した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。
また、逆希薄化効果を有する潜在株式が存在する場合、当該潜在株式は希薄化後1株当たり当期利益の計算に含めていません。
(7) 有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定方法として、原価モデルを採用しています。有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び原状回復費用並びに資産計上の要件を満たす借入費用が含まれています。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産の減価償却は、各資産の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて計上しています。これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始しています。
主な資産の種類別の耐用年数は、以下のとおりです。
・ 建物及び構築物 3~60年
・ 機械装置及び運搬具 2~17年
・ 工具、器具及び備品 2~20年
・ 使用権資産 見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い年数
なお、減価償却方法、残存価額及び見積耐用年数は、期末日ごとに見直しを行い必要に応じて改定しています。
(8) リース
当社グループは、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転しているか否かに基づき、契約がリースであるか、又はリースを含んでいるかを判定しています。
契約がリース又はリースを含んでいると判定した場合、リース開始日において、使用権資産及びリース負債を認識しています。
① 使用権資産
使用権資産は取得原価で当初測定しており、取得原価はリース開始日時点におけるリース負債の当初測定額に取得時直接コスト等を調整した金額で認識しています。
使用権資産の認識後の測定方法として、原価モデルを採用しています。当初認識後は、原資産のリース期間又は見積耐用年数のいずれか短い期間にわたり、定額法に基づいて減価償却を行っています。
また、連結財政状態計算書において、使用権資産は取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で、有形固定資産に含めて表示しています。
② リース負債
リース負債は、リース開始日現在で支払われていないリース料の割引現在価値で当初認識しています。通常、当社グループは、追加借入利子率を割引率として用いています。当初認識後は、リース負債に係る金利及び支払われたリース料を反映するよう、実効金利法に基づき帳簿価額を増減しています。また、連結財政状態計算書において、リース負債はその他の金融負債に含めて表示しています。
リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるよう金融費用とリース負債の返済部分とに配分しています。金融費用は、連結損益計算書において、使用権資産の減価償却費と区別して表示しています。
なお、短期リース及び少額資産のリースについて、当社グループは基本的に使用権資産及びリース負債として認識せず、リース料総額をリース期間にわたり、定額法に基づいて純損益に計上しています。
(9) のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「(1) 連結の基礎 ③ 企業結合」に記載しています。
のれんは、当初認識額から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
のれんは、償却を行わず、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、年次又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しています。なお、のれんの減損損失は純損益として認識され、その後の戻入は行っていません。
(10) 無形資産
無形資産は、のれん以外の物理的実体のない非貨幣性資産であり、個別に取得した、又は企業結合により取得した特許権、技術、販売権及び仕掛中の研究開発等により構成されています。
個別に取得した無形資産は、当初認識時の取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産は、取得日の公正価値で測定しています。
無形資産の認識後の測定方法として、原価モデルを採用しています。無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
内部発生の研究費用は発生時に費用として認識しています。内部発生の開発費用は、資産として認識するための基準がすべて満たされた場合に限り無形資産として認識していますが、臨床試験の費用等、製造販売承認の取得までに発生する内部発生の開発費は、期間の長さや開発に関連する不確実性の要素を伴い資産計上基準を満たさないと考えられるため、発生時に費用として認識しています。
内部利用を目的としたソフトウェアの取得及び開発費用は、将来の経済的便益の流入が期待される場合には無形資産に計上しています。
仕掛中の研究開発として計上された無形資産以外の無形資産は、各資産の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて計上しています。これらの資産の償却は、使用可能となった時点から開始しています。
主な無形資産の種類別の耐用年数は、以下のとおりです。
・ 製品に係る無形資産 3~20年
・ ソフトウェア 3~5年
なお、償却方法、残存価額及び見積耐用年数は、期末日ごとに見直しを行い、必要に応じて改定しています。
また、仕掛中の研究開発として計上された無形資産は、未だ使用可能な状態にないため、償却をせず、年次又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しています。
仕掛中の研究開発は、規制当局の販売承認が得られた時点で製品に係る無形資産に振り替えており、製品の製造販売承認日から見積耐用年数にわたって償却しています。
(11) 非金融資産の減損
当社グループでは、棚卸資産、退職給付に係る資産及び繰延税金資産を除く、非金融資産の減損の兆候の有無を評価しています。
減損の兆候が存在する場合又は年次で減損テストが要求されている場合は、各資産の回収可能価額の算定を行っています。のれん及び耐用年数を確定できない、又は未だ使用可能ではない無形資産については、年次又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値とのうち、いずれか高い方の金額で測定しています。見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した割引率を用いて、現在価値に割り引いています。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額より低い場合にのみ、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、純損益として認識しています。
資金生成単位については、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・イン・フローから概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成するものとして識別する資産グループの最小単位としています。
資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額します。
のれんに関連する減損損失は戻入れていません。
のれん以外の資産については、過去に認識した減損損失は、期末日ごとに、過年度に計上した減損損失の戻入の兆候の有無を評価しています。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れています。
減損損失は、過年度において減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費及び償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻入れています。
(12) 金融商品
① 金融資産
(ア) 当初認識及び測定
当社グループは、金融資産を取引日基準にて当初認識し、当初認識時に償却原価で測定する金融資産と公正価値で測定する金融資産に分類しています。金融資産は、次の条件がともに満たされる場合は、償却原価で測定する金融資産に分類し、それ以外は、公正価値で測定する金融資産に分類しています。
・ 企業のビジネスモデルの目的が契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することであること
・ 金融資産の契約条件が、特定された日に元本及び利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせること
(イ) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、以下のとおりです。
(a)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産は、実効金利法により測定しています。
(b)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識しています。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品は、当初認識後は公正価値で測定し、実効金利法により算定された利息収益、為替差損益及び減損損失は純損益として認識しています。
公正価値の変動から生じるその他の損益は、その他の包括利益として認識し、金融資産の認識の中止が行われるときにその他の包括利益に計上された累計額を純損益に組替調整しています。
(d)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しています。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合、もしくは公正価値が著しく減少した場合にその累計額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えていません。なお、配当については純損益として認識しています。
なお、売買目的ではない資本性金融資産への投資は、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行っています。
(ウ) 認識の中止
金融資産は、以下のいずれかの要件を満たす場合に認識を中止しています。
・ 当該金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合
・ 当該資産を譲渡し、当該資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転している場合
(エ) 減損
償却原価で測定する金融資産については、将来発生すると見込まれる予想信用損失に対して貸倒引当金を認識し、その金額を控除して表示しています。当社グループは当該金融資産について、当初認識以降、信用リスクが著しく増加しているか否かを評価しており、この評価には、期日経過情報のほか、当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しています。
当初認識以降、信用リスクが著しく増加していると評価された償却原価で測定する金融資産については、個々に全期間の予想信用損失を見積っています。そうでないものについては、報告日後12カ月の予想信用損失を見積っています。
また、償却原価で測定する金融資産のうち、営業債権等については、類似する債権ごとに全期間の予想信用損失を見積っています。
② 金融負債
(ア) 当初認識及び測定
当社グループは、金融負債については、契約の当事者となった時点で当初認識し、以下のとおり分類しています。
(a)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定することを指定した金融負債
(b)償却原価で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外のもの
金融負債は、当初認識時点において公正価値で測定していますが、償却原価で測定する金融負債については、直接取引費用を控除した金額で測定しています。
(イ) 事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、以下のとおりです。
(a)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識しています。
(b)償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、実効金利法により測定しています。
(ウ) 認識の中止
金融負債は、契約中に特定された債務が履行、免責、取消又は失効となった時にのみ、金融負債の認識の中止を行っています。
③ デリバティブ
当社グループは、外貨のリスク・エクスポージャーをヘッジする目的でデリバティブを保有しています。これらに用いられるデリバティブは為替予約です。なお、当社グループでは、投機を目的としたデリバティブは保有していません。デリバティブは公正価値で当初認識し、関連する取引費用は発生時の費用として認識しています。ヘッジ会計が適用されないデリバティブについては、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動額は純損益に認識しています。
④ ヘッジ会計
一部のデリバティブをキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定し、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動の有効部分はその他の包括利益で認識し、その他の包括利益累計額に累積しています。
当初のヘッジ指定時点において、当社グループは、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略及びヘッジ関係の有効性の評価方法を含む、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係を正式に文書化しています。当社グループは、ヘッジ手段がヘッジ対象期間において関連するヘッジ対象の公正価値やキャッシュ・フローの変動に対して相殺効果を有すると予想することが可能であるか否かについて、ヘッジ関係の開始時とともに、その後も継続的に評価を実施しています。
その他の資本の構成要素は、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に、ヘッジ対象に関連する連結損益計算書の項目で純損益に振り替えています。ヘッジ対象である予定取引が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、以前にその他の資本の構成要素で認識したその他の包括利益累計額を振り替え、非金融資産又は非金融負債の当初認識時の取得原価の測定に含めています。また、デリバティブの公正価値の変動のうち、非有効部分は即時に純損益で認識しています。
当社グループがヘッジ指定を取消した場合、ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合並びにヘッジがヘッジの有効性の要件を満たさなくなった場合には、ヘッジ会計を中止しています。
(13) 棚卸資産
棚卸資産は主として、商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品から構成されています。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうち、いずれか低い金額で測定しています。取得原価は総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費及びその他関連する製造費用が含まれています。製品及び仕掛品については、予定操業度に基づく製造間接費の適切な配賦額を含めています。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額です。
(14) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3カ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(15) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として、確定給付制度及び確定拠出制度を採用しています。
(ア) 確定給付制度
確定給付制度の退職給付に係る債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて制度ごとに算定しています。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間をもとに割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日の優良社債の市場利回りを参照して決定しています。確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定しています。確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの返還または将来掛金の減額という利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としています。勤務費用及び確定給付負債又は資産の純額に係る利息純額は、純損益の退職給付費用として認識しています。確定給付負債又は資産の純額の再測定は、発生した期間においてその他の包括利益に計上しており、ただちに利益剰余金に振り替えています。
(イ) 確定拠出制度
確定拠出制度の退職後給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期間において、純損益の退職給付費用として認識しています。
② その他の長期従業員給付
退職後給付以外の長期従業員給付に対する債務は、従業員が当連結会計年度までに提供した役務の対価として獲得した将来給付額を現在価値に割り引くことによって算定しています。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、従業員から関連する役務が提供された時点において費用として計上しています。
なお、賞与については、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、負債として認識しています。
(16) 株式報酬
当社グループは、一部の子会社において持分決済型の株式報酬制度を導入しています。
持分決済型の株式報酬は、受領するサービスを付与日における資本性金融資産の公正価値で測定し、付与日から権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。
(17) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有し、その債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出の可能性が高く、その資源の流出の金額について信頼できる見積りができる場合に認識しています。
貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、当該引当金は負債の決済に必要と予想される支出額の現在価値で測定しています。なお、現在価値は、原則として貨幣の時間的価値とその債務に特有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて計算しています。
(18) 政府補助金
政府補助金は、当社グループが補助金を受領し、その補助金に付帯する諸条件を遵守することが合理的に確かである場合に、公正価値で測定し、認識しています。
資産に関する補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除し、償却資産の耐用年数にわたって、減価償却費の減額として純損益に認識しています。また、収益に関する補助金は、補助金で補償することを意図している関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に純損益に認識しています。
(19) 株主資本
① 普通株式
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用は、税効果控除後の金額を資本剰余金から控除しています。
② 自己株式
自己株式を取得した場合は、取得原価で認識し、資本から控除して表示しています。また、その取得に直接起因する取引費用は、資本剰余金から控除しています。自己株式を売却した場合には、帳簿価額と売却価額の差額を資本剰余金に計上しています。
4.事業セグメント
当社グループでは、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
(1) 報告セグメント
当社グループは、主として医療用医薬品の製造、仕入及び販売を行っており、日本、北米、アジアのマーケットごとに業績管理を行っているため、日本、北米、アジアの3つを報告セグメントとしています。
なお、当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成要素のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
(2) 報告セグメントの変更等に関する事項
従来、報告セグメントを日本、北米、中国、海外その他の4つとしていましたが、中期経営計画2027の策定に伴い、当社グループの経営状況をより適切に示すため、当連結会計年度より、日本、北米、アジアの3つの報告セグメントに変更しました。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成しています。
(3) セグメント収益及び業績
当社グループの報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失及びその他の項目は、以下のとおりです。
報告セグメントの会計方針は、重要性がある会計方針(注記3)における記載と同じです。
なお、当社グループでは、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
① 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 減損損失については、有形固定資産(注記13)、のれん(注記14)及び無形資産(注記15)に記載しています。
② 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 減損損失については、有形固定資産(注記13)、のれん(注記14)及び無形資産(注記15)に記載しています。
(4) 報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)
調整額に関する事項は、以下のとおりです。
(注) 1 当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。なお、連結損益計算書における研究開発費との差額は、コア営業利益の算定から除外される研究開発関連費用です。
2 事業構造改善費用は、北米グループ会社等の再編および合理化に関連する退職金等の費用です。
(5) 売上収益の内訳
外部顧客への売上収益等の内訳は、以下のとおりです。
(6) 製品及びサービスごとの情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益等の内訳は、以下のとおりです。
(注) その他は食品素材・食品添加物及び化学製品材料、動物用医薬品等の製品です。当連結会計年度における減少は、連結子会社であった住友ファーマフード&ケミカル株式会社および住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を譲渡したことによるものです。
(7) 地域別情報
当社グループの地域別収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
当社グループの所在地域別に分析した非流動資産(金融資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)の帳簿価額の内訳は、以下のとおりです。
(8) 主要な顧客に関する情報
売上収益が当社グループの全体の売上収益の10%以上の相手先は、以下のとおりです。
(注) 当連結会計年度においてAmerisourceBergen Corporationから社名変更しています。
5.売上収益
(1) 収益の分解と報告セグメントの関連
当社グループは、売上収益を財又はサービスの種類別に分解しています。分解した売上収益と報告セグメントとの関連は、以下のとおりです。
① 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) その他の源泉から認識した収益は、相手先が顧客とはみなされない場合の共同パートナーとの契約等から生じる売上収益です。詳細は、共同開発及び共同販売(注記35)に記載しています。
② 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) その他の源泉から認識した収益は、相手先が顧客とはみなされない場合の共同パートナーとの契約等から生じる売上収益です。詳細は、共同開発及び共同販売(注記35)に記載しています。
顧客との契約から生じた契約残高は、以下のとおりです。
顧客との契約から生じた債権及び契約資産は、営業債権及びその他の債権に含まれており、契約負債は、その他の非流動負債に含まれています。
契約負債は、履行義務が充足されていない一部の導出契約に係る契約一時金の対価です。当該対価は、導出契約における履行義務を充足した時点で収益として認識しています。
当連結会計年度において認識した収益のうち、期首現在の契約負債残高に含まれていたものはありません。前連結会計年度において認識した収益のうち、期首現在の契約負債残高に含まれていたものはありません。また、当連結会計年度及び前連結会計年度において過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から認識した重要な収益の額はありません。
当社グループにおいては、収益認識の予想期間が1年を超える取引がないため、残存履行義務に関する情報の記載を省略しています。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
当社グループにおいては、資産として認識しなければならない契約を獲得するための増分コスト及び履行にかかるコストはありません。
6.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1 減損損失については、のれん(注記14)及び無形資産(注記15)に記載しています。
2 条件付対価は、企業買収時に取り決められた特定のマイルストン達成に応じて発生する旧株主に対する将来の支出です。詳細は、金融商品(注記30)に記載しています。
7.その他の収益
その他の収益の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1 前連結会計年度における無形資産売却益は、優先審査バウチャーの売却により計上した収益です。
2 前連結会計年度における事業譲渡益は、北米における「ブロバナ」および「ゾペネックスHFA」、「ルネスタ」に係る事業を譲渡したことにより計上した収益です。
3 前連結会計年度における関係会社株式売却益は、当社が保有していた住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式を株式会社メディパルホールディングスにすべて譲渡したことにより計上した収益です。また、当連結会計年度における関係会社株式売却益は、当社が保有していた住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式を三井物産株式会社にすべて譲渡したことにより計上した収益です。
8.その他の費用
その他の費用の内訳は、以下のとおりです。
(注) 当連結会計年度における関係会社持分譲渡損は、当社グループが保有していたSpirovant Sciences LLCの持分をRuagen Bio, Inc.にすべて譲渡したことにより計上した損失です。
9.金融収益及び金融費用
金融収益の内訳は、以下のとおりです。
(2) 金融費用
金融費用の内訳は、以下のとおりです。
10.繰延税金及び法人所得税
(1) 繰延税金
① 連結財政状態計算書に計上されている繰延税金資産及び繰延税金負債
連結財政状態計算書に計上されている繰延税金資産及び繰延税金負債は、以下のとおりです。
② 繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳及び増減内容
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別内訳及び増減内容は、以下のとおりです。
(ア)前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) その他は、主に在外営業活動体の換算差額です。また、子会社の支配喪失に伴う変動、及び売却目的で保有する資産グループへの振替えによる変動を含んでいます。
(イ)当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) その他は、主に在外営業活動体の換算差額です。
「注記2.作成の基礎 (5) 会計方針の変更」に記載のとおり、改訂IAS第12号を遡及的に適用し、前連結会計年度を修正再表示しています。
③ 未認識の繰延税金資産
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異は、以下のとおりです。
④ 未認識の繰延税金資産と繰越期限
(ア)繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額と繰越期限
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額と繰越期限は、以下のとおりです。
(イ)繰延税金資産を認識していない繰越税額控除の金額と繰越期限
繰延税金資産を認識していない繰越税額控除の金額と繰越期限は、以下のとおりです。
⑤ 繰延税金資産の回収可能性
当連結会計年度末の繰延税金資産の金額は、24,867百万円です。この繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得と将来加算一時差異に依存しており、その範囲内で繰延税金資産を認識しています。
⑥ 未認識の繰延税金負債
前連結会計年度及び当連結会計年度において、繰延税金負債を認識していない子会社等の投資に係る将来加算一時差異はありません。
(2) 法人所得税
① 法人所得税
法人所得税の内訳は、以下のとおりです。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却、および公正価値の著しい下落により認識された法人所得税は、前連結会計年度において491百万円(損)、当連結会計年度において4,784百万円(損)です。
② 適用税率の調整
法定実効税率と実際負担税率との差異について、原因となった主要な項目の内訳は、以下のとおりです。
当社グループは、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した法定実効税率は、前連結会計年度、当連結会計年度ともに30.6%です。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
③ グローバル・ミニマム税制
日本では、2023年3月28日に第2の柱モデルルールに基づくグローバル・ミニマム課税制度を導入した改正法人税法が成立しています。本改正法人税法は、2024年4月1日以降開始する事業年度から適用されます。当社グループが事業を行う一部の国において、当該税制の適用による法人所得税が発生する可能性がありますが、影響は軽微です。
11.1株当たり情報
基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎及び基本的1株当たり当期利益は、以下のとおりです。
(注) 前連結会計年度における希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が逆希薄化効果を持つため記載していません。当該潜在株式は、一部の子会社が発行するストック・オプション等です。詳細は、株式報酬(注記28)に記載しています。また、当連結会計年度における希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
12.その他の包括利益
その他の包括利益の増減は、以下のとおりです。
13.有形固定資産
(1) 取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりです。
① 取得原価
② 減価償却累計額及び減損損失累計額
③ 帳簿価額
(注) 1 有形固定資産として資産化した借入費用はありません。
2 有形固定資産の取得に関するコミットメントについては、資本的支出コミットメント(注記31)に記載しています。
3 建設中の有形固定資産は、建設仮勘定として表示しています。
当社グループは、前連結会計年度425百万円、当連結会計年度931百万円の減損損失を認識しています。前連結会計年度に認識した減損損失は連結損益計算書の売上原価に425百万円、当連結会計年度に認識した減損損失は連結損益計算書の売上原価に49百万円、販売費及び一般管理費に882百万円計上しています。
当社グループでは回収可能価額を使用価値により測定していますが、前連結会計年度に認識した減損損失425百万円の主なものは、医薬品事業の北米セグメントにおいて、機械装置及び運搬具について、収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減損したものです。
当連結会計年度に認識した減損損失931百万円の主なものは、北米セグメントにおいて建物及び構築物を、日本セグメントにおいて機械装置及び運搬具を、それぞれ収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減損したものです。
14.のれん
(1) 取得原価、減損損失累計額の増減及び帳簿価額
のれんの取得原価、減損損失累計額の増減及び帳簿価額は、以下のとおりです。
① 取得原価
② 減損損失累計額
③ 帳簿価額
当社グループでは、前連結会計年度まで、医薬品事業の北米セグメントにおいて「北米(がん領域以外)」と「北米(がん領域)」の2つの独立した資金生成単位を識別しており、前連結会計年度末においては、医薬品事業の北米セグメントに帰属するのれんを以下のとおり配分しています。
当連結会計年度において、北米のグループ会社を再編し、1つの事業会社に統合したことにより、「北米(がん領域以外)」の製品群と「北米(がん領域)」の製品群の成果を一体としてモニタリングすることとなったため、前連結会計年度まで認識していた上記2つの独立した資金生成単位を「北米」に統合することにしました。そのため、当連結会計年度より、北米セグメントに帰属するのれんの減損テストは、以下のとおり、統合された資金生成単位である「北米」にて実施しています。
北米セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は、以下のとおりです。
のれんの減損損失は、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に認識され、その場合には、当該のれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。
回収可能価額は、承認された事業計画を基礎として測定された、当該のれんを含む資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しています。
処分コスト控除後の公正価値の測定には、資金生成単位に含まれる、既に上市されている製品については、それらの製品の販売価格、当該製品が関連する疾患領域の市場規模及び当該製品のシェア等に基づく収益および固定費等の予測、また、主要な開発品については、研究開発活動の成功確率等を勘案した当該開発品の収益および固定費等の予測等が含まれており、過去の経験及び外部からの情報を基にした将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて測定しています。
当社グループが認識しているのれんの減損テストにおける処分コスト控除後の公正価値について、前連結会計年度においては、「北米(がん領域以外)」に属するものについては、15年間の将来予測を基礎としたキャッシュ・フローに永久成長率2.2%を考慮した見積額を、「北米(がん領域)」に帰属するものについては、18年間の将来予測を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、それぞれ現在価値に割り引いた上で処分コスト見積額を控除して算定しました。当連結会計年度においては、当連結会計年度より統合された資金生成単位である「北米」について、15年間の将来予測を基礎としたキャッシュ・フローに永久成長率2.1%を考慮した見積額を現在価値に割り引いた上で処分コスト見積額を控除して算定しています。この評価技法は観察可能な市場データでないインプットを使用しているため、この処分コスト控除後の公正価値は公正価値ヒエラルキーのレべル3に分類されます。
のれんの減損テストには、加重平均資本コスト等を基礎とした割引率を用いており、減損テストに使用した税引前の割引率は、前連結会計年度においてはのれんを配分した資金生成単位ごとに14.8%~20.5%を設定し、当連結会計年度は14.5%を設定しています。
減損テストの結果、北米セグメントの資金生成単位につき、回収可能価額は307,627百万円であり、のれんを含む資金生成単位の帳簿価額を下回ったことから、当該のれんについて減損損失35,858百万円を連結損益計算書の販売費及び一般管理費に認識しています。
15.無形資産
(1) 取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額
無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりです。
① 取得原価
② 償却累計額及び減損損失累計額
③ 帳簿価額
(注) 1 無形資産の償却費は、連結損益計算書において、売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費に計上しています。
2 自己創設無形資産はありません。
3 無形資産として資産化した借入費用はありません。
4 製品に係る無形資産のうち、研究開発の段階にあり、未だ規制当局の販売承認が得られていないものは、使用可能な状態にないため、償却が開始されていない無形資産に分類しています。当該無形資産の帳簿価額は、前連結会計年度末11,743百万円及び当連結会計年度末3,249百万円です。
(2) 重要な無形資産
連結財政状態計算書に計上されている重要な無形資産は、以下のとおりです。
主に当社グループによるMyovant Sciences Ltd.(現:Sumitomo Pharma UK Holdings, Ltd.、以下「Myovant社」)、Urovant Sciences Ltd.(現:Sumitomo Pharma UK Holdings, Ltd.)の買収により取得した製品に係る無形資産です。研究開発の状況は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載しています。
なお、進行中の研究開発資産である仕掛研究開発は、未だ規制当局の販売承認が得られておらず、使用可能な状態にないため、償却が開始されていない無形資産に分類しています。また、研究開発プロセスに内在する不確実性のため、製品化に至らず減損損失が発生するリスクや、市場環境の変動等に伴う収益性の低下により減損損失が発生するリスクがあります。
(3) 減損損失
無形資産は、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資金生成単位でグルーピングを行っています。なお、製品に係る無形資産については、製品及び開発品ごとの個別資産を資金生成単位としています。
無形資産の減損損失は、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に認識され、当該無形資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しています。処分コスト控除後の公正価値は、過去の経験及び外部からの情報に基づいた将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しています。この評価技法は観察可能な市場データでないインプットを使用しているため、この処分コスト控除後の公正価値は公正価値ヒエラルキーのレべル3に分類されます。
無形資産の減損テストには、個別の資産ごとに設定した加重平均資本コスト等を基礎とした割引率を用いており、減損テストに使用した税引前の割引率は、前連結会計年度は7.0%~13.8%、当連結会計年度は13.0%~15.8%です。
減損テストの結果、前連結会計年度において認識した減損損失80,066百万円は、連結損益計算書の販売費及び一般管理費並びに研究開発費にそれぞれ58,926百万円、21,140百万円計上しています。
当該減損損失は、主として医薬品事業の北米セグメントにおける、パーキンソン病に伴うオフ症状治療剤「キンモビ」に係る特許権の減損損失55,369百万円、及びソフトウェアの減損損失63百万円、COPD治療剤「ロンハラ マグネア」に係る特許権の減損損失3,494百万円、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたTP-0903に係る仕掛研究開発の減損損失20,598百万円です。
「キンモビ」に係る特許権、及びソフトウェア、「ロンハラ マグネア」に係る特許権については収益性が見込めなくなったため、TP-0903に係る仕掛研究開発については開発中止により収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減額しています。
当連結会計年度において認識した減損損失144,107百万円は、連結損益計算書の販売費及び一般管理費並びに研究開発費にそれぞれ133,530百万円、10,577百万円計上しています。
当該減損損失は、主として北米セグメントにおける、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」に係る特許権の減損損失133,457百万円、及び肺動脈性肺高血圧症(PAH)を対象としたrodatristat ethylに係る仕掛研究開発の減損損失5,205百万円です。
「マイフェンブリー」に係る特許権については、事業予想を見直した結果、想定されていた収益が見込めなくなったため、帳簿価額を回収可能価額10,640百万円まで減損しています。rodatristat ethylに係る仕掛研究開発については、開発中止により収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減額しています。
16.リース
当社グループは主に、事務所及び倉庫等をリース契約により使用しています。一部の契約には、満期後もリースを更新する選択権が付されています。また、エスカレーション条項及びリース契約によって課される重要な制限はありません。
借手としてのリース
有形固定資産に含まれる使用権資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりです。
(注) 主に中途解約による使用権資産の変動が含まれています。
リース負債の契約上の満期は、以下のとおりです。
リースに係るキャッシュ・アウトフローは、以下のとおりです。
17.その他の金融資産
(1) 内訳
その他の金融資産の内訳は、以下のとおりです。
(2) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
① 公正価値の内訳
主要な銘柄の公正価値は、以下のとおりです。
(注) Roivant Sciences Ltd.については、2024年4月2日に全株式を売却しています。詳細は、後発事象(注記36)に記載しています。保有株式の売却は継続して行っており、2024年5月末時点において、小野薬品工業株式会社については、全保有株式の売却が完了しています。その他の銘柄の状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況 (5)株式の保有状況 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 (ウ)特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 の脚注に記載しています。
② その他
連結会計年度末に保有しているその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の受取配当金は、前連結会計年度750百万円、当連結会計年度682百万円です。
期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産であるその他の金融資産は、以下のとおりです。
これらは事業戦略の見直し等により売却したものであり、売却時点において税引後の累積利得をその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えており、その金額は前連結会計年度2,378百万円、当連結会計年度11,410百万円です。
また、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産のうち、取得原価に比べ公正価値の著しい下落が一時的でないものについて、税引後の累積損失をその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えており、その金額は前連結会計年度△1,049百万円、当連結会計年度△172百万円です。
18.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、以下のとおりです。
なお、原材料及び貯蔵品には、連結会計年度末から12カ月を超えて使用されるものを含んでいますが、正常営業循環期間内で保有しているものであるため、棚卸資産に含めています。
また、売上原価として純損益に計上された棚卸資産の評価減の金額は、前連結会計年度1,317百万円、当連結会計年度3,962百万円です。
19.営業債権及びその他の債権
(1) 内訳
営業債権及びその他の債権の内訳は、以下のとおりです。
(2) 信用リスク及び市場リスク並びに減損損失
当社グループの信用リスク及び為替リスクに対するエクスポージャー並びに営業債権及びその他の債権に関連する減損損失は、金融商品(注記30)に記載しています。
20.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりです。
21.売却目的で保有する資産
継続的な使用ではなく、主に売却により回収が見込まれる非流動資産又は処分グループのうち、現状で直ちに売却することが可能であり、かつ、売却の可能性が非常に高いものを売却目的保有に分類しています。売却目的保有に分類した非流動資産又は処分グループは、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しています。
売却目的で保有する資産とそれに直接関連する負債の内訳は、以下のとおりです。
当社は、2022年12月26日において、当社が保有する住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式を三井物産株式会社にすべて譲渡する契約を締結しました。これにより、住友ファーマアニマルヘルス株式会社が当社の子会社ではなくなる可能性が非常に高まったため、前連結会計年度末において同社に関連する資産およびそれに直接関連する負債を売却目的で保有する処分グループに分類しました。
なお、住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡については、2023年5月31日付けで手続きが完了しました。
また、当連結会計年度末において、当社大分工場の一部を親会社である住友化学株式会社に2024年4月1日付けで譲渡することに伴い、関連する資産については売却目的で保有する資産に分類しています。
22.社債及び借入金
(1) 内訳
社債及び借入金の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1 平均利率については、当連結会計年度末残高に対する加重平均利率を記載しています。
2 当連結会計年度末において財務制限条項に抵触した長期借入金は、連結財政状態計算書上、流動負債として表示しています。
(2) 社債の発行条件
社債の発行条件の要約は、下記のとおりです。
(注) 1 2020年9月10日の翌日から2027年9月10日までは固定利率、2027年9月10日の翌日以降は変動利率です(2027年9月10日の翌日に金利のステップアップが発生)。
2 2020年9月10日の翌日から2030年9月10日までは固定利率、2030年9月10日の翌日以降は変動利率です(2030年9月10日の翌日に金利のステップアップが発生)。
3 2027年9月10日および2027年9月10日以降の各利払日に、または払込期日以降に税制事由もしくは資本性変更事由が生じ、かつ継続している場合に、当社の裁量で期限前償還が可能な特約条項が付されています。
4 2030年9月10日および2030年9月10日以降の各利払日に、または払込期日以降に税制事由もしくは資本性変更事由が生じ、かつ継続している場合に、当社の裁量で期限前償還が可能な特約条項が付されています。
なお、上記の社債は償却原価で測定する金融負債に分類しており、直接取引費用を控除した金額で測定しています。
(3) 財務制限条項
当社を借入人とするシンジケートローン契約については財務制限条項が付されており、当該契約の概要及び当該契約に係る主な財務制限条項は以下のとおりです。
シンジケートローン
借入金額:51,000百万円、返済期限:2025年12月26日
・各事業年度末時点の決算短信におけるコア営業利益を2回連続して赤字としないこと。
・各事業年度末時点の報告書等の連結財政状態計算書における資本合計の金額を、2,000億円以上に維持す
ること。
上記の契約については、当連結会計年度末において、財務制限条項に抵触しましたが、取引先金融機関と期限の利益喪失の請求権放棄に関し協議した結果、主要な取引先金融機関から同請求権を行使しないことについて承諾を得ていることから、引き続き取引先金融機関の支援を得られる見通しです。
(4) 財務活動から生じるキャッシュ・フローの変動を伴う負債の変動
財務活動から生じるキャッシュ・フローの変動を伴う負債の増減は、以下のとおりです。
(注) 上記金額は、未払利息を含んで記載しています。
23.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、以下のとおりです。
24.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は、以下のとおりです。
25.引当金
(1) 増減明細
引当金の増減明細は、以下のとおりです。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(2) 引当金の内容
引当金は、決算日における将来の債務の決済時期および決済に必要と予測されるキャッシュ・フロー等に関する最善の見積りに基づいて算定しています。見積りに使用した仮定と異なる結果が生じることにより、翌年度以降の連結財務諸表において引当金の金額に重要な修正を行う可能性があります。
① 返品調整引当金
返品による損失に備えるため、全製品及び商品の返品予測高を計上しており、期末残高のうち、Sumitomo Pharma America, Inc.(以下「SMPA社」)で販売している製品に適用される返品調整引当金は 26,193百万円です。将来において経済的便益の流出が予測される時期は、連結会計年度末日より正常営業循環期間内であると見込んでいます。
② 売上割戻引当金
公的なプログラムや卸店、その他の契約等に対する売上割戻金の支出に備えて、その見込額を計上しており、期末残高のうち、SMPA社で販売している製品に適用される売上割戻引当金は52,953百万円です。米国で販売されている主要品目に適用される様々な保険制度に係る売上割戻金は、その決済までの期間が確定までに時間を要するものもあります。また、売上割戻金の算定の基礎となる売上割戻率は、商流(卸売業者、薬局、病院等)及び適用される保険制度によって異なることから、売上割戻引当金の見積りに当たっては、最終的な商流と適用される保険制度を見積もる必要があり、これらの経営者による判断が売上割戻引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。将来において経済的便益の流出が予測される時期は、連結会計年度末日より正常営業循環期間内であると見込んでいます。
26.その他の負債
その他の非流動負債及びその他の流動負債の内訳は、以下のとおりです。
(注) 前受収益は、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)とのがん領域及び婦人科領域における北米でのレルゴリクスの共同開発及び共同販売に関する契約に基づき受領した一時金です。詳細は、共同開発及び共同販売(注記35)に記載しています。
27.従業員給付
(1) 退職後給付制度の概要
当社及び一部の連結子会社は、従業員の退職後給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用しています。
積立型制度である確定給付企業年金制度では、職務等級と勤務期間に基づいた一時金又は年金を支給しています。また、一部の確定給付企業年金制度には、退職給付信託が設定されています。
退職一時金制度では、退職後給付として、職務等級と勤務期間に基づいた一時金を支給しています。
(2) 確定給付制度
① 退職給付に係る負債及び資産の内訳
連結財政状態計算書における確定給付制度に係る負債及び資産は、以下のとおりです。
② 確定給付制度債務
確定給付制度債務の現在価値の増減は、以下のとおりです。
(注) 確定給付制度債務の加重平均支払年数は、前連結会計年度末13.8年、当連結会計年度末13.3年です。
③ 制度資産
制度資産の公正価値の増減は、以下のとおりです。
(注) 当社グループは、翌連結会計年度に1,668百万円の掛金を拠出する予定です。
④ 制度資産の構成
制度資産の主な分類ごとの内訳は、以下のとおりです。
(注) 制度資産合計には、確定給付企業年金制度に対して設定した退職給付信託が前連結会計年度末において9.1%、当連結会計年度末において12.4%含まれています。また、生命保険の一般勘定は、生命保険会社により一定の予定利率と元本が保証されています。
⑤ 資産上限額の影響
資産上限額の影響の増減は、以下のとおりです。
(注) 当連結会計年度において、将来掛金が減額されない又は将来掛金が返還されないために経済的便益が利用できないことから、当社グループの年金制度の一部に未認識の積立超過額が発生しています。
⑥ 重要な数理計算上の仮定
確定給付制度債務の現在価値の計算に用いた重要な数理計算上の仮定は、以下のとおりです。
⑦ 感応度分析
連結会計年度末時点で重要な数理計算上の仮定(割引率)が変動した場合の確定給付制度債務に与える影響は、以下のとおりです。当該分析は、他のすべての変数が一定であると仮定しています。当該分析は、連結財政状態計算書において認識されている確定給付制度債務の計算方法と同一の方法に基づいて実施しています。
⑧ 制度資産の投資戦略・運用方針
当社の制度資産運用に関する基本方針は、退職金規程及び企業年金基金規約に規定された年金給付及び一時金等の支払いを将来にわたり確実に行うために、許容されるリスクの範囲内で、必要とされる総合収益を長期的に確保することを目的としています。
目標とする収益率は、将来にわたって健全な確定給付制度を運営・維持するために必要な収益率、具体的には中長期的な運用上の期待リターンが割引率を上回ることを目標としています。その運用目標を達成するため、資産運用の基本方針を定めており、当社グループの状況、当社グループを取り巻く制度や環境変更に応じて変更することができるものとしています。
⑨ 確定給付制度の将来キャッシュ・フローに与える影響
確定給付型企業年金制度において、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように、5年ごとに掛金の額の再計算を行うこととしています。また、企業年金基金の毎事業年度の決算において積立金の額が責任準備金の額から許容繰越不足金を控除した額を下回る場合、掛金の額を再計算することとしています。
(3) 確定拠出制度
確定拠出制度に関して費用として認識した金額は、前連結会計年度4,128百万円、当連結会計年度3,808百万円です。
(4) 従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度に発生した従業員給付に係る費用は、以下のとおりです。
(注) 事業構造改善費用については、事業セグメント(注記4)に記載しています。
28.株式報酬
当社の連結子会社であるMyovant社は株式報酬制度を採用しており、当該子会社役員又は従業員等に対し、ストック・オプション等を付与していました。
なお、Myovant社は、前連結会計年度中に完全子会社化を完了しており、当連結会計年度においてストック・オプション等は存在していません。
Myovant社が発行するストック・オプションは持分決済型株式報酬であり、主に勤務期間を確定条件としていました。
Myovant社のストック・オプションに関連する情報は、以下のとおりです。
(注) 権利行使時における加重平均株価は、17.49米ドルです。
なお、ストック・オプションの公正価値を評価する目的で、ブラック・ショールズ・モデルが使用されています。期中に付与されたストック・オプションについて、ブラック・ショールズ・モデルに使用された仮定は、以下のとおりです。
(注) 1 予想ボラティリティの見積りは、ストック・オプションの予想残存期間に対応するMyovant社及び同社と類似する上場企業である参照企業の過去のボラティリティに基づいています。
2 Myovant社の取得日以降に付与したストック・オプションの公正価値測定において使用された仮定を記載しています。
連結損益計算書において認識した株式報酬費用は、以下のとおりです。
29.払込資本及びその他の資本
(1) 資本金
授権株式数及び発行済株式数の増減は、以下のとおりです。
(注) 当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら制限のない無額面の普通株式であり、全額払込済です。
(2) 自己株式
自己株式数の増減は、以下のとおりです。
(注) 保有している自己株式は、すべて普通株式です。なお、期中における増減は、主に単元未満株式の買取請求による増加又は単元未満株式の買増請求による減少によるものです。
(3) 剰余金
① 資本剰余金
資本剰余金は、資本取引から発生した金額のうち、資本金に含まれない金額から構成されています。なお、子会社株式の追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額により資本剰余金が負の値になる場合には、資本剰余金をゼロとし、残額は利益剰余金から減額しています。
② 利益剰余金
利益剰余金は、当連結会計年度及び過年度に純損益として認識されたもの並びにその他の資本の構成要素から振り替えられたものから構成されています。
(4) その他の資本の構成要素
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の累積的な純変動額です。
② 確定給付負債(資産)の純額の再測定
期首の数理計算上の仮定と実際の結果との差異の影響額、数理計算上の仮定の変更による影響額、利息収益を除く制度資産の公正価値に係る収益等から構成されています。
③ 在外営業活動体の換算差額
外貨建で作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した累積的な換算差額です。
④ キャッシュ・フロー・ヘッジ
未認識のヘッジ取引に関連するキャッシュ・フロー・ヘッジ手段の公正価値の累積的な純変動額のうち、ヘッジが有効と認められる部分です。
(5) 配当
① 配当の総額及び1株当たり配当額
配当の総額及び1株当たり配当額は、以下のとおりです。
(ア)前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(イ)当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
② 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは、以下のとおりです。
(ア)前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(イ)当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
30.金融商品
(1) 資本管理
当社グループは、企業価値と株主価値の持続的かつ一体的な向上を図るため、製品及び開発品の導入並びに国内事業、北米事業、新規事業等への投資を行うとともに、有利子負債の返済を進め、復配を早期に実現することが重要な経営課題であると認識しています。
この方針のもと、当社グループは特定の営業債権について、金融機関に対してノンリコースで売却を行うプログラムを利用しています。当該プログラムにおいて、売却された営業債権は所有に係るリスク及び経済価値が移転した時点で認識を中止しています。売却の対象である債権のうち、連結会計年度末時点で未売却の金額はありません。なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制はありません。
(2) 金融リスク管理の概要
リスク管理方針
当社グループは、経営活動を行う過程において、信用リスク、流動性リスク、市場リスク等の財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っています。デリバティブは、これらのリスクを一部回避するために利用していますが、投機目的では行っていません。
(3) 信用リスク
① 概要
信用リスクとは、顧客又は金融商品の取引相手が契約上の義務を果たすことができなかった場合に当社グループが負う財務上の損失リスクであり、主に当社グループの顧客に対する売掛金等の債権から生じます。
売掛金等に係る顧客の信用リスクに関しては、社内で定めた債権管理に関する基準に従い、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、主要な取引先の信用状況を定期的に把握する体制をとることにより、リスク低減を図っています。
② 信用リスクの最大エクスポージャー
当社グループが保有する金融資産の信用リスクに対する最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示されている帳簿価額です。
なお、連結会計年度末において、重要な信用リスクが当初認識後に著しく増加した金融資産及び信用減損金融資産はないため、金融商品の信用リスクの区分ごとの帳簿価額の記載は省略しています。
③ 貸倒引当金の増減
当社グループでは、営業債権及びその他の債権等に関する予想信用損失について貸倒引当金を計上しています。
(ア)営業債権
重大な金融要素を含んでいない営業債権については、類似する債権ごとに全期間の予想信用損失に等しい金額で、貸倒引当金を計上しています。
(イ)その他の債権
信用リスクが著しく増加していると判定されていない資産については、原則として12カ月の予想信用損失と同額を貸倒引当金として計上しており、同種の資産の過去の貸倒実績率に将来の経済状況等の予測を加味した引当率を帳簿価額に乗じて算定しています。信用リスクが著しく増大していると判定された資産及び信用減損金融資産については、全期間の予想信用損失と同額を貸倒引当金として計上しており、取引相手先の財務状況に将来の経済状況の予測を加味した上で個別に算定した回収可能価額と、帳簿価額との間の差額をもって算定しています。
いずれの金融資産についても、債務者からの弁済条件の見直しの要請、債務者の深刻な財政難、債務者の破産等の法的整理の手続の開始等の場合には、信用減損金融資産として取り扱っています。また、金融資産が減損した場合、減損損失を資産の帳簿価額から直接減額せず、貸倒引当金勘定により処理しています。
なお、当社グループが計上する貸倒引当金について、重要性が乏しいため、増減分析は省略しています。
(4) 流動性リスク
① 概要
流動性リスクとは、当社グループが現金又はその他の金融資産により決済する金融負債に関連する債務を履行する際に、困難に直面するリスクのことです。
当社グループでは、各社が月次に資金繰計画を作成するなどの方法により、流動性リスクを管理しています。
当社は、当連結会計年度末において、シンジケートローン契約に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益等の喪失事由に該当したため、当該シンジケートローン契約に係る借入金残高を流動負債として表示しています。なお、期末日後において、取引先金融機関と期限の利益喪失の請求権放棄に関し協議した結果、主要な取引先金融機関から同請求権を行使しないことについて承諾を得ていることから、引き続き取引先金融機関の支援を得られる見通しです。
② 満期分析
金融負債の契約上の期日別残高は、以下のとおりです。なお、利息については将来支払いが見込まれる金額で記載しています。
(ア)前連結会計年度(2023年3月31日)
(注) 公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)のうち、第1回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の元本は、元本全額2027年9月10日以降の各利払日において早期償還する可能性があるため、「4年超5年以内」に含んでいます。また、第2回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)は、契約上の償還期限に基づき「5年超」に含んでいますが、特約条項により早期に償還する可能性があります。詳細は、社債及び借入金(注記22)に記載しています。
(イ)当連結会計年度(2024年3月31日)
(注) 公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)のうち、第1回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の元本は、元本全額2027年9月10日以降の各利払日において早期償還する可能性があるため、「3年超4年以内」に含んでいます。また、第2回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)は、契約上の償還期限に基づき「5年超」に含んでいますが、特約条項により早期に償還する可能性があります。さらに、1年超2年以内に含まれる財務制限条項に抵触した借入金は、連結財政状態計算書上、流動負債として表示しています。詳細は、社債及び借入金(注記22)に記載しています。
(5) 市場リスク
① 概要
市場リスクとは、外国為替レート、利子率及び株価等の市場価格の変動に関するリスクであり、当社グループの収益又はその保有する金融商品の価値に影響を及ぼすものです。当社グループはそれぞれのリスクの内容に応じた軽減策を実施しています。
② 為替リスク
(ア)為替リスクに対するエクスポージャー
リスク管理方針に基づいて当社グループの経営陣に提供されている当社グループの為替リスクに対するエクスポージャーに関する定量的データの要約は、以下のとおりです。
債権の主な内容は、外貨預金、売掛金及び貸付金です。また、債務の主な内容は、買掛金及び未払金です。
(イ)為替感応度分析
当社グループは主に米ドルの為替リスクに晒されています。
当社グループが決算日現在において保有する金融商品について、円が米ドルに対して5%円安となった場合に、当期利益に与える影響は、前連結会計年度7,513百万円、当連結会計年度△1,257百万円です。
なお、機能通貨建ての金融商品や在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を円貨に換算する際の影響は含んでいません。また、その他の変動要因は一定であることを前提としています。
③ 金利リスク
当社グループが保有する有利子負債の一部は変動金利により調達されていますが、その変動金利部分は当連結会計年度末現在で0.1%に満たず、金利リスクが当社グループの純損益に与える影響は軽微です。従って、金利感応度分析は、重要性が乏しいため、省略しています。
(6) 金融商品の公正価値
① 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類
公正価値で測定する金融商品について、測定に用いた評価技法へのインプットの観察可能性に応じて算定した公正価値を以下の3つのレベルに分類しています。
レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の市場価格
レベル2:レベル1に含まれる市場価格以外の、直接又は間接的に観察可能なインプットにより測定した公正価値
レベル3:観察可能な市場データに基づかないインプットにより測定した公正価値
② 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する主な金融商品の帳簿価額と公正価値は、以下のとおりです。なお、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている金融商品及び重要性の乏しい金融商品は、以下の表に含めていません。
償却原価で測定される主な金融商品に係る公正価値の測定方法は、以下のとおりです。
(ア) 社債
これらの公正価値は、報告日の活発でない市場における同一負債の市場価格に基づき評価しており、公正価値ヒエラルキーはレベル2です。
(イ) 借入金
これらの公正価値は、元利金の合計額を、同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引いて算定しており、公正価値ヒエラルキーはレベル3です。
③ 連結財政状態計算書において公正価値で測定する金融商品
連結財政状態計算書において公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりです。
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、連結会計年度末において認識しています。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル間の振替が行われた重要な金融資産及び負債はありません。
(ア)前連結会計年度(2023年3月31日)
(イ)当連結会計年度(2024年3月31日)
公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類された金融商品の期首から期末までの変動は、以下のとおりです。
(ア)金融資産
(イ)金融負債
(注) 条件付対価公正価値の変動額は、連結損益計算書において販売費及び一般管理費として認識しています。
公正価値ヒエラルキーレベル3に区分された金融資産は、主に非上場株式で構成されています。純資産価値に近似していると考えられる非上場株式等については、主に純資産価値に基づく評価技法により公正価値を算定しています。
公正価値ヒエラルキーレベル3に区分された金融負債は、企業結合により生じた条件付対価です。条件付対価は、特定の開発品の開発進捗に応じて支払う開発マイルストンや販売後の売上収益に応じて支払う販売マイルストン等であり、その公正価値は、それらが達成される可能性や貨幣の時間的価値を考慮して算定しています。
これらの公正価値測定は、当社グループの評価方針及び手続に従って行われており、金融商品の資産性質、特徴及びリスクを最も適切に反映できる評価モデルを決定しています。また、公正価値の変動に影響を与え得る重要な指標の推移を継続的に検証しています。
なお、レベル3に区分された金融商品について、それぞれ合理的と考えられる代替的な仮定に変更した場合に、公正価値の金額に重要な変動はないと考えています。
④ 条件付対価
Tolero Pharmaceuticals, Inc.(現:Sumitomo Pharma America, Inc.、以下「Tolero社」)の買収においては、旧株主に対して、企業結合後の特定のマイルストン達成に応じて、条件付対価を追加で支払うことになっています。
本買収においては、取得の対価として、当連結会計年度末までに205百万米ドル(23,272百万円)を支払うとともに、将来、Tolero社が開発中の化合物の開発マイルストンとして時間的価値考慮前の金額にて最大210百万米ドル(31,779百万円)を支払う可能性があります。さらに、販売後は売上収益に応じた販売マイルストンとして、時間的価値考慮前の金額にて最大150百万米ドル(22,700百万円)を支払う可能性があります。
当社グループは、この条件付対価については、時間的価値を考慮し、連結財政状態計算書におけるその他の金融負債として認識しています。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3です。条件付対価の公正価値は、特定の開発品の開発進捗や販売後の売上収益が達成される可能性や時間的価値を考慮して算定しています。特定の開発進捗や将来の売上収益の予測等及び割引率等は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があります。
条件付対価の公正価値の変動額は連結損益計算書において販売費及び一般管理費として認識しています。
当社グループが条件付対価を支払う可能性があるものの総額は、前連結会計年度末48,074百万円(割引前)、当連結会計年度末54,479百万円(割引前)です。なお、条件付対価に関する期日別支払予定額は、その不確実性により記載していません。
条件付対価の公正価値に影響を与える重要な仮定が変動した場合に、条件付対価の公正価値に与える影響は、以下のとおりです。
31.資本的支出コミットメント
資産の取得に関するコミットメントは、以下のとおりです。
無形資産の取得に関するコミットメントは、主として第三者と締結した技術導入契約等に関する権利の購入によるものです。これらの契約は、契約締結時に支払う一時金に加え、開発の進捗に応じて開発マイルストンを支払う場合があります。上記金額は、割引前のものであり、また成功確率の調整は行わず、現在開発中であるすべての品目が成功すると仮定した場合に生じる潜在的なマイルストン支払額をすべて含んでいます。マイルストンの達成は不確実性が非常に高いため、実際の支払額と大幅に異なる可能性があります。
なお、これらの契約のうち、主要なものに関しては、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に詳細を記載しています。
32.子会社及び関連会社等
(1) 主要な子会社及び関連会社
当社の主要な子会社及び関連会社は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」において同様の内容を記載しているため、記載を省略しています。
(2) 子会社の譲渡による減少
① 住友ファーマフード&ケミカル株式会社
譲渡により子会社でなくなった会社に関する支配喪失時の資産及び負債の主な内訳並びに譲渡対価と支配喪失による収支の関係は以下のとおりです。
② 住友ファーマアニマルヘルス株式会社
譲渡により子会社でなくなった会社に関する支配喪失時の資産及び負債の主な内訳並びに譲渡対価と支配喪失による収支の関係は以下のとおりです。
③ Spirovant Sciences LLC
譲渡により子会社でなくなった会社に関する支配喪失時の資産及び負債の主な内訳並びに譲渡対価と支配喪失による収支の関係は以下のとおりです。
33.関連当事者
(1) 親会社
住友化学株式会社は、当社グループの親会社です。
(2) 関連当事者との取引
当社グループと親会社との取引金額及び未決済残高は、以下のとおりです。
(注) 1 当該取引は、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っています。未決済残高は担保が設定されておらず、現金で決済されています。なお、未決済残高に関する貸倒引当金はありません。
2 当社の金融機関からの借入債務および売掛債権売却に係る債務につき、債務保証を受けています。なお、取引金額には、債務被保証の期末残高を記載しています。
(3) 主要な経営幹部に対する報酬
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は、以下のとおりです。
34.非支配持分の取得
(非支配持分の取得に伴う親会社の所有持分の変動)
前連結会計年度において、当社グループは、Myovant社に対して、当社グループとして最適なサポートを提供し、同社の進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」の価値最大化を実現するために、同社を完全子会社化しました。この結果、資本剰余金が161,086百万円減少しています。なお、同社の完全子会社化に伴い発生した取引コストは9,618百万円であり、資本剰余金から控除しています。
35.共同開発及び共同販売
当社グループは、当社グループの開発品及び製品について、提携企業との間で共同開発及び共同販売契約を締結しています。
(1) Pfizer社との共同開発・共同販売
2020年12月26日、Myovant社はPfizer社と、米国及びカナダにおけるがん領域及び婦人科領域におけるレルゴリクスの共同開発及び共同販売に関する契約を締結しました。
本契約に基づき、レルゴリクス単剤及びレルゴリクス配合剤(以下「配合剤」)の売上収益はMyovant社が計上し、利益及び開発・販売に要する特定の費用を両社で折半します。
本契約締結の対価として、Myovant社はPfizer社より、契約一時金として650百万米ドル(67,353百万円)及び配合剤の米国承認時マイルストン200百万米ドル(24,179百万円)を受領しました。さらに、今後、レルゴリクスの前立腺がんに係る売上収益と子宮筋腫及び子宮内膜症に係る売上収益のそれぞれが2,500百万ドルに達するまで段階的に支払われる販売マイルストンを加え、総額で最大4,200百万米ドル(621,187百万円)を受け取る可能性があります。
本提携以降、当社グループは、レルゴリクスの販売に係る売上収益及び売上原価を計上しています。また、当社グループで発生したレルゴリクスの販売費及び一般管理費、研究開発費に加え、利益の折半のために当社グループがPfizer社に支払う費用は、その性質に応じて、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費に計上しています。
前連結会計年度において配合剤の子宮内膜症を適応症とした米国承認時マイルストン達成により100百万米ドル(13,304百万円)を受領しており、その他の負債に計上し、共同開発活動に対する対価として上記契約一時金に含めて収益を認識しています。
(2) 大塚製薬株式会社との共同開発・共同販売
2021年9月30日、当社及びSunovion Pharmaceuticals Inc.(現:Sumitomo Pharma America, Inc.、以下「Sunovion社」)は大塚製薬株式会社(以下「大塚製薬」)と、当社とSunovion社が精神神経領域で開発中の4 つの新規化合物(SEP-363856(ウロタロント)、SEP-4199、SEP-378614、SEP-380135、以下「4化合物」)について全世界を対象とした共同開発及び販売に関するライセンス契約を締結し、大塚製薬より、契約一時金として270百万米ドル(30,227百万円)を受領しました。
その後、開発優先品目の見直しを図り、がん領域及び再生・細胞医薬事業の開発プログラムを最優先に注力することを目的として、2024年3月15日、当社及びSMPA社(「Sunovion社」から商号変更)は、大塚製薬との間で本契約を改定しました。
契約改定の主な内容は、以下のとおりです。
・当社グループは、対象としていた4化合物のうちSEP-4199及びSEP-378614をライセンス契約の許諾対象から外し、SMPA社は大塚製薬に対し、ウロタロント及びSEP-380135の全適応症について、全世界における開発、製造および販売を独占的に行う権利を許諾しました。
・SMPA社は、ウロタロント及びSEP-380135の開発に応じたマイルストンとして最大30百万米ドル(4,540百万円)及び売上に応じたロイヤルティを大塚製薬から受け取る可能性があります。
・契約改定に係る契約一時金は発生せず、一部試験を除き、当社グループ及び大塚製薬が実施している試験の2024年1月以降の費用は大塚製薬が全額負担します。
36.後発事象
(投資有価証券の売却)
当社は、政策保有株式の見直しによる資産効率の向上を図るため、当社が保有するRoivant Sciences Ltd.の全ての株式(71,251,083株)を同社に売却する契約を2024年4月2日付けで締結し、98,146百万円で売却しました。
なお、本株式における公正価値の変動はその他の包括利益で認識しているため、連結損益への影響はありません。