当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(アセットマネジメント事業及び不動産事業におけるビジネスモデルの確立)
これまで培った当社グループのノウハウにより、バリューアップが完了した投資物件を、当社が組成するリートへ組み込み、それにより得た資金を次のプロジェクトに充てていくという資産循環型ビジネスのサイクルを実現させることが、引き続き重要な戦略であります。これによりグループの受託資産の積み上げとリートの成長を図りつつ、相応規模の収益を計画的に実現することが可能になると考えております。
(ホテルの事業力強化)
ホテルというオペレーショナルアセットは、オフィスビルやレジデンスなどに比べて、運用の巧拙が収益力を大きく左右します。当社グループは世界で展開するグローバルなラグジュアリーブランドのホテルオペレーターから運営ノウハウを得て、自前のホテル運営を展開できる強みがあります。また、大きな事業環境の変化へ対応していくため、ホテルのコスト構造を見直していくことを進め、より安定した収益の獲得を可能にすることを目指してまいります。
これらの基本戦略を通じて、ホテル運営事業の安定収益をベースに、資産循環型ビジネスの中で得られる利益を計画的に加え、「経営基盤の安定化」を図ってまいります。それらを着実に具体化させていくことにより、プライム市場を目指してまいりたいと考えております。
優先的に対応すべき重点施策は以下のとおりです。
①事業戦略
(a)資産循環型ビジネスの構築によるアセットマネジメント事業及び不動産金融事業の進化・拡充
取得した資産をバリューアップし、当社が組成するリートへ組み込むサイクルを実現させることにより、資産循環型のビジネスモデルを確立させてまいります。その戦略の核となるリート上場については、その他の関係会社であるサムティ株式会社との業務提携解消に伴い遅延致しましたが、資産循環型のビジネスモデルの出口を確保する意味において、リート上場は引き続き当社の最重要課題の一つであることには変わりはありません。今後、上場リートへの拠出物件のパイプライン約3,000億円を基本に、リート上場の時期や規模について、今後の経済環境、市場環境等を勘案して決定してまいりますとともに、新規事業である不動産STO等、出口戦略の拡充にも努めてまいります。
また、当社グループの事業モデルは、ホテル開発プロジェクトにおいて竣工前の開発過程にも複数の収益機会があり、それらをプロジェクトごとに調整して収益につなげてまいります。現時点で、開発中のプロジェクトが6件進行中です。
(b)新規運営受託獲得活動の本格展開と既存ホテル運営事業の収益力強化
日本の観光都市にはまだまだラグジュアリーホテルが少なく、その成長余地は大きいと考えています。ホテル自体をエクスクルーシブな環境として創造し、五感で満足していただけるサービスやデザインを散りばめた開発を行うことにより、競争力の強化につなげたいと考えております。
ホテル運営事業については、インバウンドによるホテル需要の拡大を確実に業績に取り込んでいくほか、2024年4月23日にグランドオープンいたしました「シックスセンシズ 京都」(京都市東山区妙法院前側町431)に続き、「バンヤンツリー 東山 京都」(2024年夏開業予定)の開業準備を着実に進めてまいります。
今後新たに具体化をさせていくホテル開発プロジェクトも、それぞれが特徴的で魅力のある立地において、最良のパートナーと最適なプランニングを行ってまいります。
(c)ホテル以外のアセットタイプの積極的な取得
当社グループはこれまでもオフィスや商業施設を取り扱ってきた実績があります。不動産事業のパイプラインの拡充に向けて、ホテル以外のアセットについても積極的に物件取得を進めてまいります。
(d)コストの増加への対応
物価上昇、円安及び実質金利の引き上げにより、物件取得費用、開発コスト及びホテル運営費用等は急激に増加しており、当面は継続して上昇することが見込まれております。コストの増加につきましては、物件の売却価格及び宿泊価格への適切な反映、徹底したコスト管理及び資金調達の多様化によって対応してまいります。
(e)外注工事への対応
当社グループのホテル建設においては、建築工事をゼネコンに外注しております。外注先の建設業界では、現状の人手不足に加えて2024年問題、急激なコスト増を抱えており、工事請負契約の締結遅れ、工期の遅延が懸念されております。契約締結や工期の遅れは、当社グループの資金調達、業績に大きな影響を与えることから、ゼネコン業者との連携を強化し、速やかな契約締結及び徹底した工期・コスト管理に進めてまいります。
(f)新規事業への取り組み
当連結会計年度より開始いたしました不動産STO及び宿泊契約締結の申込ができる権利が表章されたNFTの販売といったWeb3.0分野での新たな切り口による事業も継続して推進してまいります。また、幹細胞を用いた再生医療を軸とするメディカル事業、ラグジュアリーホテルで取り扱う高級食材や食料品の販売事業等の新規事業への取り組みを継続して検討してまいります。
②財務戦略
(a)資金調達力の強化と流動資金の拡充
成長に必要な投資資金は、自己資金の充当をベースとしながらも、場合によっては金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等も含めた多様な資金調達の検討を行ってまいります。また、金利上昇や金融不安による金融機関の慎重な融資姿勢にも備えて、資金の早期回収、費用や投資の柔軟な見直しなどを進めることにより、流動資金の拡充を進めてまいります。
(b)財務レバレッジをフル活用した不動産投資の実施
今後自己資本が積み上がっていくことにより、金融機関からの資金調達力が向上するものと期待しております。投資効率や採算を高めるため、可能な限りデットでの資金調達によりレバレッジをかけてまいりたいと考えております。
③資本戦略
(a)戦略的資本提携先の開拓を通じた適正な株主構成の構築
当社グループの事業戦略を早期に具体化し、事業競争力を一層向上させていくため、適切な株主構成の構築を実現させてまいります。
(b)株式の流動性向上を目指す施策の検討・実施
当社の株主構成は特定株主の保有比率が高く、安定をしております。株式の流動性は株式分割や新株予約権の発行等の施策を通じて徐々に高まっておりますが、プライム市場への上場に向けては未だ充分な水準とは言えない状況であると認識しております。特定株主の保有株については、今後、新たな戦略的資本提携先や業務提携先の開拓により、新たな株主構成を考えるとともに、市場の状況等も見つつ、株式の流動性を高めていく対策を講じてまいりたいと考えております。
④配当戦略
(a)利益水準に応じた安定的な配当の実施
(b)トータル・シェアホルダーズリターン(TSR*)等の指標の検討
* 株主総利回り(一定期間における株価上昇率+配当率)
当社グループは、株主の皆様へ安定的な配当を行ってまいりたいと考えておりますが、未だ発展途上にあり、利益は更なる成長のための再投資に利用させて頂くことも必要なため、「TSR」を経営指標に位置づけ、株価上昇につながる施策も含めて検討しております。
当連結会計年度は、前連結会計年度比で1株当たり普通配当金を2円増配し、19円00銭とすることとしました。
⑤人事戦略
(a)「働き甲斐があり、働きやすい職場」と「成果に報いる人事制度」の構築
(b)人材確保と人事制度の構築
当社グループの事業を支えるのは人材です。当社グループの事業は、不動産の開発、不動産金融といった専門性の高い業務、運営ホテルはバジェットからラグジュアリータイプまでと様々であり、多様な人材確保が必要となってまいります。そのためには社員のモチベーション向上が極めて重要と認識しており、それを支える制度の構築、施策の展開を積極的に行ってまいりたいと考えております。
給与水準については、労働市場を注視しながら、継続した給与水準の引き上げに努めております。また、各種研修の充実や諸手当の拡充を含めた福利厚生制度の充実に向けた取り組みも進めており、バランスの良い就業環境を目指してまいります。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
事業の成長、収益性を重視した経営を行うべく、「売上高」、「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。また、アセット・マネジメント事業及び不動産事業においては、グループで取り扱う不動産の評価額の増加に努めております。ホテル運営事業においては、ADR(客室平均単価)、OCC(稼働率)及びRevPAR(販売可能な客室1室当たりの収益)に注視しており、状況に応じて各指標の改善に努めております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において当社グループが判断したものです。
当社グループは、事業活動を通じて、持続可能な不動産市場と社会の発展のために、サステナビリティに関する様々な社会・環境課題への取組みを推進しております。
(1)サステナビリティに関するガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループは、マーケット環境やビジネスチャンスを把握し、適切に事業活動を実施するため、取締役会を通じて管理・監督を行っております。また、当社は外部有識者に参加いただく投資委員会、コンプライアンス委員会での審議結果を取締役会での判断基準としている他、定期的な進捗管理を経営会議にて行うことにより、管理・監督の実効性を確保しております。
当社グループのガバナンスについての詳細は、「
② リスク管理
当社グループは、様々なリスクについて適切に管理を行うために「リスク管理方針」を定めており、全社的な管理体制を整えております。
リスク管理については、総務部が所管し、機能組織ごとに事業への影響の有無によって識別した上で、影響度合いの大きさによって検証をすることとしております。また、リスク管理の状況については、リスクが発生する業務を所管する部門に報告の上、総務部及び内部監査室にてモニタリングを行っております。
当社グループのリスクについての詳細は、「
(2)重要なサステナビリティ項目と指標、目標並びに戦略
① 重要なサステナビリティ項目
当社グループは、『快適な時間と空間づくりを通して、日本の魅力と文化を、「体験価値」として提供し、あらゆるお客様に感動と安定的な繁栄をお届けする』という企業理念のもと、直接的・間接的に環境・社会課題への解決に貢献することを目指しております。
社会課題の中で当社グループが強く意識し、その解決に貢献できる事項として、日本政府が目指す観光立国の実現があげられます。そのため日本の観光事業を世界にむけた輸出産業と位置付け、日本各所の観光地を持続可能で魅力あふれる場所にしていくことが必要不可欠であると認識しております。
本課題解決のため、当社グループでは、地域の自然環境や文化、伝統等を守りながら、地域資源を持続的に保つことができるような旅行や観光業の取り組みである「サステナブルツーリズム」に注目し、「サステナビリティと自然環境・地域社会との共生」を理念とするホテルブランド「シックスセンシズ 京都」を開業いたしました。世界の旅行者の約71%がサステナブルな旅行に興味・関心を向け、地球環境に配慮し旅行を推進していくことがクローズアップされておりますので、今後も時代の一歩先を行くウェルネスをベースにしたホスピタリティで、お客様の滞在価値の向上に努めてまいります。
② 指標及び目標
当社グループでは、ラグジュアリーホテル開発において、出資やAM受託をすることでリスクの極小化を実現いたします。また、サステナビリティや自然環境を重視したホテルブランドとマネジメントコントラクト契約を締結することにより、日本の自然環境や文化、伝統等を守りながら、観光地の魅力を最大化することを、今後も継続して行ってまいります。
下記記載のとおり、2026年から2027年に3ホテルの開業をめざしております。また、新規ホテルの開発PJにも取り組んでまいります。
③ 戦略
サステナビリティに関する指標に対し、目標達成のために多くの施策に取り組んでおります。これらの施策のうち、現在重点的に取り組んでいるものの一例は以下のとおりであります。
a)日本各地へのホテル展開
日本各所の観光地を持続可能で魅力あふれる場所にしていくために、ホテルの取得等拡大を行ってまいります。今後も日本各地へ事業を展開していくべく、用地確保やホテルの取得を実施する予定でおります。
b)医療ツーリズムへの貢献
当社グループでは、日本政府の掲げる「新成長戦略」における医療ツーリズムを促進いたします。ホテルでの再生医療、美容、エイジングケア等を提供することにより、お客様の「体験価値」を高めるとともに、幹細胞を用いた安心・安全な治療を受けられる環境を目指します。
また、「シックスセンシズ 京都」では、例えばアスリートを対象とした湯治、食事、体力増強、リハビリテーションサービス等の提供プログラムを揃えております。
(3)各事業部門での取り組み
① ホテル事業部門
[具体的な施策]
a)脱プラスチック・環境負荷削減に向けた取り組み
シックスセンシズ 京都では、アメニティについては「プラスチック・フリー」をコンセプトに掲げており、客室にて提供している水もペットボトルではなく、再利用可能なビンにて提供を行っております。
また、フォションホテル京都では良質な地下水をくみ上げ、京都の美味しい水をお客様に味わっていただくとともに、適切な地下水の使用によりSDGsに貢献する取り組みを始めております。
b)食の未来に向けた取り組み
ダーワ・悠洛 京都では、ホテルシェフから学ぶキッズクッキングクラスを実施し、クッキングクラス終了後にはシェフと一緒に作った食事を、人気のウェルビーイングビュッフェとともに楽しめるイベントを企画しております。また、ディナーに際しては、サステナブルやウェルビーイングを意識した自然派ワインのBioワインのフリーフローの提供も行っております。
c)誰もが健康で活躍できる職場づくりの取り組み
アロフト大阪堂島では、国際女性デーを祝福したキャンペーンやLGBTQ+の権利等について啓発を促すイベントを開催し、ダイバーシティの実現を進めております。
また、シックスセンシズ 京都では毎月ウェルネスミッションとして、ヨガ等のアクティビティを実施しております。
② 不動産事業部門
不動産事業においては、時代を担い役割を終えた旅館・施設を再生し、ラグジュアリーホテルに生まれ変わらせる等、地方創生や地域活性、そして住み続けられる街づくりへの貢献を目指して事業を推進しております。
そしてこれらの開発においては、『快適な時間と空間づくりを通して、日本の魅力と文化を、「体験価値」として提供し、あらゆるお客様に感動と安定的な繁栄をお届けする』という企業理念を込めて、新たな経験や価値の創造というビジョンの実現とステークホルダーの皆様へのご提供をめざしております。
(4)人的資本についての取り組み
① 人材育成方針
当社グループでは、4つのクレドの中の1つに『「やりがい」と「成長」という企業文化』を掲げております。具体的な取り組みとして、従業員の経験や意欲に応じて人材の適切な配置を行っている他、従業員満足度調査を反映し、従業員が安心して長期的に就業可能な環境を整備するための人事施策を立案、持続的な会社の成長と企業文化の継承を目的としたグループ一括での新卒定期採用の開始(2022年度より)後は、若年層の早期戦力化と定着を図るべく各種教育研修とフォローアップ体制の整備を通じてクレドの実現に取り組んでおります。
② 社内環境整備方針
人材育成方針に沿って以下の取組みを行っております。
(給与・評価制度・人員体制に関する取組み)
a)給与
・市場実勢も考慮した給与水準の見直しを実施
・生涯収入引き上げ
b)評価制度
・定量評価の実施(成果の積み上げを評価基準に導入)
・アカウンタビリティの強化
c)人員体制
・採用力強化の為、リファラル採用制度(紹介制度)を導入
(教育・研修に関する取組み)
a)新卒入社者向け研修
・集合研修、及びOJTを2か月間実施
b)キャリア向け研修
・階層別の研修の実施
・資格試験の取得支援
(従業員のライフステージの変化に応じた取組み)
・フルフレックス制度の導入
・育児・介護期間中の従業員の経済的補助
・短縮時間勤務の延長、在宅勤務等、柔軟な働き方を許容
③ 指標、目標及び実績
人材育成・社内環境整備に関する指標、目標及び実績について、現在準備中ではありますが、今後可能な範囲で任意的な開示を進めてまいります。
本項では、当社グループ(当社及び連結子会社)の事業展開上のリスク要因となりうる事項を記載しております。なお、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項でも、投資者の投資判断において当社が重要であると考える事項については、積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。本項における記載は当社グループの事業又は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご注意ください。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業内容に関するリスクについて
(a)アセットマネジメント事業及び不動産事業の収益構造について
当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社では不動産及び不動産関連金融商品への投資に関するアセットマネジメント業務(投資助言・代理)を行っており、当該事業で得られる主な収益は、受託資産(不動産)に係る管理報酬からなるアセットマネジメント収益と仲介手数料や成功報酬等からなるリアルエステートアドバイザリー収益であります。しかしながら、安定した収益源であるアセットマネジメント契約が解約または終了する場合には、当社グループの業績等に影響を与えることが考えられます。また、当社及びリシェス・マネジメント株式会社の収益の中では、一時的な収益であるリアルエステートアドバイザリー収益及び不動産等の売却収入の占める割合が高いことから、不動産市場の環境悪化等により当該一時的な収益が著しく減少した場合、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(b)ホテル運営事業の収益構造について
当社子会社であるワールド・ブランズ・コレクションホテルズ&リゾーツ株式会社及び株式会社堂島ホテルオペレーションズではホテル運営の受託を行っており、当該事業から得られるホテル運営事業収益が景気動向・経済情勢の変動、感染症の蔓延、競合他社の動向、自然災害・事故等により変動することを通じて、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(c)金融及び不動産市場の情勢、景気動向の影響について
当社グループでは、不動産への投資、外部投資家との共同投資や不動産投資に関連する助言の提供及び不動産の管理等を行っておりますが、景気動向、金融情勢(金利動向を含む)や不動産に係る地価や需給動向等の影響を受けやすい傾向にあります。
国内外の金融・政治等に起因する経済情勢の変化に伴い、景気の悪化や大幅な金利上昇、建設コストの大幅な増加、不動産への投資意欲の低下、不動産価格の下落、空室率の上昇や賃料の下落といったような様々な形で金融及び不動産市況が低迷、開発中の建設コスト及び資金調達コストの増加に伴う追加の資金拠出等により、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(d)外部委託について
当社グループは、情報管理等に使用するサーバー、システムの運用・保守、不動産や会計税務に係る調査や鑑定等について、外部委託しております。このため、当社グループの事業運営においては、これらの外部委託先との連携と適切な取引関係の継続が不可欠であります。何らかの事由により、外部委託先において業務運営に重大なトラブルが発生し長期化したとき、又は外部委託先との取引関係の継続が困難となったとき、当社グループがその代替策をすみやかに実施できない事態となった場合は、当社グループの事業運営及び業績等に影響を与える可能性があります。
(e)外注工事について
当社グループのホテル建設においては、建築工事をゼネコンに外注しております。外注先の建設業界では、現状の人手不足に加えて2024年問題、急激なコスト増といった課題を抱えており、工事請負契約の締結遅れや工期の遅延が懸念されております。当社グループにおきましては、ゼネコン業者との連携を強化し、速やかな契約締結及び徹底した工期・コスト管理に進めてまいりますが、工事請負契約の締結や工期の遅れが発生した場合は、当社グループの資金調達、事業運営及び業績等に影響を与える可能性があります。
(f)競合関係について
アセットマネジメント事業では、金融機関系の投資助言会社、不動産投資顧問会社、不動産投資ファンド、その他不動産や有価証券への投資に関する助言を行う会社等と競合関係にあり、ホテル運営事業では他のホテル運営会社と競合関係にあると認識しております。また、市場への参入者の増加や法的規制が強化された場合は、当社グループの事業運営及び業績等に影響を与える可能性があります。
(g)不動産市場の流動性について
当社グループでは、単独及び外部投資家との共同で不動産への投資を行っておりますが、経済環境や不動産市場が不安定な場合は、不動産の流動性が低下する可能性があり、投資対象の不動産を当社グループの希望する条件で売却できなくなる可能性があります。このような場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(h)投資不動産に係るマスターリース契約について
当社グループが共同投資を行っているホテルを用途とする不動産について、当社及び当社子会社は当該ホテルの法的所有者である信託銀行等とマスターリース契約を締結し、一定期間、固定賃料を支払うことを約す一方で、ホテル運営会社との間で賃貸借契約を締結しております。今後、経済環境の変化、感染症の影響及びホテル運営会社の営業の巧拙等によりホテルの稼働が想定を超えて悪化した場合には、賃貸借契約による賃料がマスターリース契約の賃料を下回り収支が逆鞘になることで、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(i)ホテル運営会社及びテナントとの賃貸借契約について
当社グループが共同投資を行っているホテルに係るホテル運営会社(当社グループ外の運営会社に委託した場合)及びテナントとの賃貸借契約の期間満了時に契約が更改される保証はないこと、またホテル運営会社(当社グループ外の運営会社に委託した場合)及びテナントが一定期間前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合もあるため、賃貸借契約の解約が増加した場合、後継テナントが見つかるまでの間、賃貸収入が減少する等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。一方、当社グループが外部の不動産所有者と締結した賃貸借契約又は運営委託契約が解約された場合も、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(j)特定の不動産取引に対する依存度について
当社グループの業績は、特定の不動産取引に対する依存度が高いと考えられます。当連結会計年度におきましても、数件の取引が売上の大部分を占めており、特定の不動産取引の成否が当社グループの業績等に大きな影響を及ぼしております。今後につきましても、同様の状況が続くことが予想されますが、取引件数の増加、ホテル運営事業の売上の増加により、特定の不動産取引に偏らない収益構造の構築に努めてまいります。
(k)不動産の価値の毀損リスク及び瑕疵等に関するリスクについて
当社グループでは、リシェス・マネジメント株式会社がアセットマネジメントを受託している一部の不動産または信託受益権について共同投資を行っているため、当該不動産に地震、戦争、テロ、火災等の災害が発生した場合には、当該不動産の価値が毀損する可能性があり、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、リシェス・マネジメント株式会社では、当該不動産の取得前に十分なデューディリジェンスを実施しておりますが、当該不動産の取得後に構造計算書偽装や瑕疵等の存在が判明し、顧客である投資家においてこれを治癒するための想定外の費用負担が発生した場合、リシェス・マネジメント株式会社においても費用負担が生じる可能性があるため、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(l)借入金の財務制限条項について
当社グループが取引金融機関と締結しております一部の借入契約には、財務制限条項が付されており、当社グループは事業活動をするうえでこれらを遵守する必要があります。
なお、今後万一財務制限条項に抵触することとなった場合には、借入先金融機関からの請求により、当該借入についての期限の利益を喪失する可能性があり、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(m)M&A、資本提携等について
当社グループは、アセットマネジメント受託残高の拡大や投資対象不動産の多様化に結び付き、また当社グループ間のシナジー効果が認められる場合には、M&Aや資本提携等も事業拡大の有力な手段と位置付けております。M&Aや資本提携を実行する場合には、事前に十分な調査を実施し、各種リスクの低減に努める所存ですが、これらを実施した後に、偶発債務等が発見される等、相手先及び当社グループが期待通りの成果を上げられない可能性があり、この場合には当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(n)連結の範囲決定に関する事項について
当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社がアセットマネジメント契約を締結している特別目的会社の一部は、匿名組合契約を用いたストラクチャーによっており、この匿名組合の営業者の社員持分は一般社団法人が保有する形で倒産隔離を図っております。リシェス・マネジメント株式会社が属する不動産ファンド業界においては、連結の範囲決定に関して、当該ストラクチャーにおけるアセットマネジメント契約等に対する支配力及び影響力の判定について、未だ会計方法が定まっていない状態であると認識しております。当社では、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準委員会企業会計基準第22号)、並びに「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会実務対応報告第20号)にしたがい、現状、特別目的会社ごとに、アセットマネジメント契約や匿名組合契約、その他関連契約等を考慮し、個別に支配力及び影響力の有無を判定した上で、子会社及び関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。今後、新たな会計基準の施行や、実務指針等の公表により、特別目的会社に関する連結範囲の決定方針について、当社が採用している方針と大きく異なるルールが確立された場合には、当社の連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(o)情報管理について
当社グループの事業運営上、厳正な情報管理が重要であります。当社グループは、個人情報及び取引先との間で守秘義務を負う取引先の情報について、厳格な情報管理を継続的に行う体制の構築・維持に努めております。また、当社グループ各社の営業活動を通して上場会社のインサイダー情報に該当する情報を知り得る機会があることから、インサイダー情報の不適切な伝達や不公正な利用が行われないよう、法令・社規の遵守について役職員への周知・徹底に努めております。また、当社子会社においてもテナントなどの個人情報の取り扱いがあり、その重大性を十分に認識しており適切な方法により保管しております。
しかしながら、管理体制の構築・維持にもかかわらず、これらの情報の流出、不適切な伝達、又は不公正な利用が発生した場合、当社グループに法的責任が及ぶこと、当社グループの信用の低下及びブランド力の劣化等、当社グループの事業運営及び業績等に影響を与える可能性があります。
(p)法的規制について
現在、当社グループの事業を推進する上で、当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社は、宅地建物取引業法、金融商品取引法(第二種金融商品取引業、投資助言業・代理業)、貸金業法等のライセンスを、株式会社ワールド・ブランズ・コレクションホテルズ&リゾーツ株式会社及び堂島ホテルオペレーションズでは旅館業法等のライセンスを有するため、これらの関係法令による法的規制を受けることとなります。現時点の各種規制に従って、また、規制上のリスクを伴って業務を遂行しておりますが、将来において各種規制が変更された場合には、当社グループの事業推進に悪影響を及ぼす可能性があります。
その他、今後、現行法令の解釈の変更や改正並びに新法令の制定等、現時点で法的規制の対象となっていない当社グループの事業が新たに法的規制の対象となる可能性、もしくは今後の当社グループの事業展開において新たな事業分野への進出に伴い法的規制の対象となる可能性があります。そうした場合に、当該規制に対応するための新たな費用等が発生することにより、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(q)自然災害や感染症の流行について
不動産事業においては、自然災害や感染症の流行に伴う景気低迷により、不動産に対する投資マインドの低下、金融機関の融資の引き締め、当社グループが保有又はマスターリースする物件で多額の賃料減額等が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
ホテル運営事業においては、自然災害や感染症の流行に伴う景気低迷又は移動制限及び移動の自粛等により宿泊客の著しい減少が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおいては、感染の予防対策を徹底しておりますが、万が一当社グループの従業員が感染した場合、健康被害や施設の一時的な閉鎖等により営業活動に支障が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(r)訴訟等について
当連結会計年度末において、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性のある訴訟事件等はありません。しかし、当社グループが事業活動を行う上で、取引先または顧客等から何らかの要因により訴訟等を提起された場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(s)会計上の見積りについて
連結財務諸表及び財務諸表の作成において、会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、見積り金額の変更等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、重要な会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(t)コスト増加について
物価上昇、円安及び実質金利の引き上げにより、物件取得費用、開発コスト及びホテル運営費用等は急激に増加しており、当面は継続して上昇することが見込まれております。コストの増加につきましては、物件の売却価格及び宿泊価格への適切な反映、徹底したコスト管理及び資金調達の多様化によって対応してまいりますが、コストの増加がコスト削減を上回る場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(u)新規事業について
不動産のデジタル証券化による資金調達(STO)やホテル宿泊権のトークン化(NFT)による客室販売の多様化といったブロックチェーンを活用した事業、幹細胞を用いた再生医療を軸とするメディカル事業、ラグジュアリーホテルで取り扱う高級食材や食料品の販売事業等の新規事業に取り組んでおります。事業性の可否については慎重に検討してまいりますが、不確実性も高いため、新規事業の状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、検討している新規事業については、関連する法令、会計・税務処理が未整備の部分も多く、今後の法令等の整備状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営体制に関するリスクについて
(a)業務運営体制の適正性の確保について
当社グループは、当社と連結子会社及び関連会社とともに事業活動を行っております。
グループ内でアセットマネジメント事業、不動産事業及びホテル運営事業を営む上で、徹底した管理体制を維持する必要があると認識しております。しかしながら、今後予測し得ない事態や何らかの理由により、当社グループの業務運営体制及び内部統制が有効に機能しない状況となった場合、当社グループの信用の低下を招き、事業運営、業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(b)人材の確保について
アセットマネジメント事業及び全社セグメントは、小規模な組織体制で各業務を遂行しており、役職員一人一人が担う業務の質及び貢献度は相応に高くなっております。現在、一時的な不在・欠員が生じても、業務手順の共有や代行体制等により業務遂行に支障がないよう努めておりますが、何らかの理由により大量の欠員が同時に生じた場合や新型コロナウイルス感染症の罹患等により役職員に就業が困難な事態が生じた場合には、業務遂行に著しい支障を来たす可能性があります。
当社グループの事業上、不動産の投資、投資助言・代理及び媒介及び管理部門に必要なスキルを有する優秀な人材の確保が必要不可欠であります。とりわけ不動産投資に関しては金融取引、不動産取引、税務会計等における高度な知識と経験に基づく競争力のあるサービスを提供していくことが重要であります。また、管理においても、上場会社として、適切かつ十分な財務報告や情報開示を行う体制を構築する必要性があります。現状、当該職種の転職市場は需要過多の状況であり、人材の採用遅れ及び人材流出のリスクは高い状況にあります。当社グループにおきましては、積極的な採用及び賃金の引き上げ等の対応をすすめておりますが、何らかの理由により、急激な人材の流出が生じ、補充が困難となった場合は、当社グループの提供する情報その他のサービスの質の維持、経営管理、財務報告や情報開示の機能に重大な支障が生じる可能性があり、当社グループの事業運営及び業績等に重要な影響を与える可能性があります。
ホテル運営事業においてもホテル業界の人手不足は深刻であります。今後、賃金の上昇による運営コストの増加または人手不足によるホテルの売上の逸失により、当社グループの事業運営及び業績等に重要な影響を与える可能性があります。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が大幅に緩和される一方で、日銀による長期金利の引き上げ、急激な為替の変動やウクライナ情勢、物価高騰により景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
アセットマネジメント事業及び不動産事業が属する不動産市場におきましては、ホテル業界の急速な業績回復に伴い、ホテルアセットに対する劣後投資家の姿勢はより積極的となっており、金融機関のホテル開発事業に対する融資姿勢につきましても新規融資への対応は増加傾向にあります。一方で、不動産市場全体としては、物価高騰及び日銀による長期金利の実質的な引き上げにより、今後の市況については注視が必要な状況にあります。当社グループにおきましては、第3四半期連結累計期間までは営業損失でありましたが、第4四半期連結会計期間に入り、大型の物件売却を複数件実施したことで業績は大きく進捗いたしました。
ホテル運営事業が属するホテル業界におきましては、インバウンドの大幅な増加及び政府の旅行支援策もあり、宿泊客は大幅に増加しております。日本政府観光局(JNTO)公表の訪日外客数は2022年10月から増加し、2022年12月以降は急増しております。当社グループにおきましても、第3四半期連結会計期間から営業利益に転換し第4四半期連結会計期間においても営業利益が増加したことで、当連結会計年度通期で営業利益を確保いたしました。
この結果、当連結会計年度は、売上高28,625,382千円(前期比93.4%増)、営業利益3,028,623千円(前期比20.6%減)、経常利益2,638,810千円(前期比32.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,824,465千円(前期比51.1%減)となりました。これは、当初計画しておりました物件の売却取引の一部が未了となった一方で、ブリッジファンドへの不動産信託受益権の売却等により法人税等の負担率が減少したことによるものであります。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
セグメント |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減率 |
|
金額(千円) |
金額(千円) |
(%) |
||
ホテル運営 事業 |
売上高 |
3,570,041 |
6,166,824 |
72.7 |
営業利益 |
133,466 |
1,437,984 |
977.4 |
|
アセットマネジメント事業 |
売上高 |
655,819 |
784,868 |
19.7 |
営業利益 |
26,096 |
45,158 |
73.0 |
|
不動産事業 |
売上高 |
11,062,755 |
21,897,280 |
97.9 |
営業利益 |
4,403,070 |
2,463,807 |
△44.0 |
(注)セグメント間取引は相殺消去しておりません。
(ホテル運営事業)
ホテル運営事業が属するホテル業界におきましては、インバウンド需要は活況であり、日本政府観光局(JNTO)公表の訪日外客数は継続して増加傾向にありますが、人手不足及び様々なコストの増加といった課題にも直面しております。当社グループにおきましても、客室稼働率及び一日当たりの平均客室単価はいずれも上昇しており、売上高の増加傾向は継続しておりますが、人件費を中心としたコストの増加の影響を受けており、収益性の確保といった課題に継続的に取り組んでおります。
また、開業準備関連におきましては、2024年4月23日にグランドオープンいたしました「シックスセンシズ 京都」の開業後の運営及び「バンヤンツリー 東山 京都」(2024年夏開業予定)の開業準備は順調に進んでおり、今後の業績拡大に寄与するものと考えております。
運営ホテル売上高の推移
(単位:千円)
|
運営ホテル売上高 |
対前年同期増減率 |
前第1四半期会計期間 |
510,370 |
261.9% |
前第2四半期会計期間 |
524,569 |
96.7% |
前第3四半期会計期間 |
1,121,361 |
102.2% |
前第4四半期会計期間 |
1,153,695 |
188.4% |
当第1四半期会計期間 |
1,499,800 |
193.9% |
当第2四半期会計期間 |
1,396,944 |
166.3% |
当第3四半期会計期間 |
1,798,723 |
60.4% |
当第4四半期会計期間 |
1,464,995 |
27.0% |
(注)1.運営ホテル売上高は、当社グループが運営しているホテルの管理会計上の売上高を合算したものであり、ホテル運営事業の売上高とは一致いたしません。
2.セグメント間取引は相殺消去しておりません。
(アセットマネジメント事業、不動産事業)
アセットマネジメント事業及び不動産事業が属する不動産市場におきましては、物価高騰、建設業の2024年問題及び金利の上昇等の先行きの不透明感はあるものの、ホテル業界の急速な業績の伸びに伴い、ホテルアセットに対する投資家及び金融機関のホテル開発事業に対する投資や融資について積極的な姿勢は継続しております。
このような状況下で、当社グループにおける主な活動は以下の通りとなりました。
(1)当社の連結子会社匿名組合新札が北海道札幌市に所在する「ホテルエミシア札幌」を取得し、当社連結子会社のリシェス・マネジメント株式会社が本物件のアセットマネジメント契約を受託いたしました。
(2)白馬ホテル開発プロジェクトにおいては、開発用地を取得した後、プロジェクトの開発フェーズの進捗に伴い、同開発用地の信託受益権を開発SPCへ譲渡し、リシェス・マネジメント株式会社が本物件のアセットマネジメント契約を受託いたしました。
(3)ダーワ・悠洛 京都を不動産 STO(不動産価値をデジタル証券化して取引を行うもの)による個人・機関投資家への販売を前提として組成される外部のSPCに不動産信託受益権を譲渡し、リシェス・マネジメント株式会社が本物件のサブ・アセットマネジメント契約を受託いたしました。
(4)北海道ニセコ シックスセンシズ プロジェクトの開発フェーズの進捗に伴い、当社の連結子会社匿名組合ヒラフ開発が開発用地の信託受益権を取得し、リシェス・マネジメント株式会社がアセットマネジメント業務を受託いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より5,344,407千円増加し、13,924,417千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、7,030,484千円(前年同期は3,258,026千円の資金の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,607,201千円の計上、販売用不動産の増減額9,717,285千円、仕掛販売用不動産の増減額△6,621,814千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、457,441千円(前年同期は314,782千円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出302,525千円、投資有価証券の取得による支出228,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、1,228,635千円(前年同期は6,588,077千円の資金の増加)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,101,914千円、担保に供した預金の増減額△2,000,000千円によるものであります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
該当事項はありません。
(2)受注実績
該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
ホテル運営事業 |
6,163,224 |
86.0 |
アセットマネジメント事業 |
564,863 |
30.0 |
不動産事業 |
21,897,280 |
98.1 |
合計 |
28,625,368 |
93.4 |
(注)1.セグメント間取引を相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。不動産事業においては、前連結会計年度と比して大型の取引が成約したことにより販売実績が増加いたしました。ホテル運営事業においては、新型コロナウイルス感染症の規制緩和が通期で寄与したこと、インバウンドの大幅な増加により運営ホテルの売上が増加したことにより販売実績は増加いたしました。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ニッセイプライベート リート投資法人 |
5,420,000 |
36.6% |
- |
- |
合同会社伊勢 |
3,700,263 |
25.0% |
- |
- |
匿名組合強羅 |
1,960,542 |
13.2% |
|
|
合同会社京都悠洛 |
- |
- |
15,844,842 |
55.4% |
合同会社白馬 |
- |
- |
5,085,262 |
17.8% |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は当社グループ(当社及び連結子会社)の財務諸表に基づいて分析した内容です。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日における資産・負債及び連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積り及び仮定設定を行う必要があり、過去の実績やそれぞれの状況に応じて合理的と考えられる仮定設定に基づいて、継続して判断・評価及び見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、重要な会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態については、総資産55,230,248千円、負債36,684,453千円、純資産18,545,794千円となりました。
(資産)
総資産については、前連結会計年度末に比べ、5,325,315千円増加となりました。これは主に、現金及び預金及び仕掛販売用不動産が増加した一方で、販売用不動産が減少したことによるものであります。
(負債)
負債については、前連結会計年度末に比べ、2,567,839千円増加となりました。これは主に、外部投資家の匿名組合出資金等を含む固定負債その他の増加によるものであります。
(純資産)
純資産については、前連結会計年度末に比べ、2,757,476千円増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び新株予約権の行使等による株式発行により資本金及び資本剰余金が増加したことによるものであります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては2(事業等のリスク)に記載しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しにつきましては1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産事業におけるプロジェクト向け投融資資金・運転資金、ホテル運営事業における開業・運営に必要な設備資金・運転資金等であります。
不動産事業におけるプロジェクト向け投融資資金・運転資金の調達は、自己資金や他の投資家との共同投資に加え、金融機関等からの借入による資金調達を行っております。
ホテル運営事業における開業・運営に必要な設備資金・運転資金は、自己資金をベースに必要に応じて金融機関等からの借入による資金調達を行っております。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営指標については、「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」における「(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)」に記載のとおりであります。
当社グループは、2022年3月期から2024年3月までの「中期経営計画2024」により経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標を定めており、各年度の推移は以下の通りであります。なお、有価証券報告書提出日において新たな経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標は定めておりません。
中期経営計画2024進捗
|
計画 |
実績 |
達成率 (%) |
2022年3月期 |
|
|
|
取扱高(百万円)(注1) |
40,000 |
47,686 |
119.2 |
売上高(百万円) |
12,500 |
29,029 |
232.2 |
経常利益(百万円) |
5,500 |
5,317 |
96.7 |
EBITDA(百万円)(注2) |
6,500 |
8,521 |
131.1 |
2023年3月期 |
|
|
|
取扱高(百万円)(注1) |
60,000 |
33,710 |
56.2 |
売上高(百万円) |
15,000 |
14,800 |
98.7 |
経常利益(百万円) |
6,500 |
3,925 |
60.4 |
EBITDA(百万円)(注2) |
7,500 |
5,295 |
70.6 |
2024年3月期 |
|
|
|
取扱高(百万円)(注1) |
100,000 |
40,089 |
40.1 |
売上高(百万円) |
20,000 |
28,625 |
143.1 |
経常利益(百万円) |
7,500 |
2,638 |
35.2 |
EBITDA(百万円)(注2) |
8,500 |
3,892 |
45.8 |
累計 |
|
|
|
取扱高(百万円)(注1) |
200,000 |
121,486 |
60.7 |
売上高(百万円) |
47,500 |
72,455 |
152.5 |
経常利益(百万円) |
19,500 |
11,881 |
60.9 |
EBITDA(百万円)(注2) |
22,500 |
17,710 |
78.7 |
(注)1 アセットマネジメント事業及び不動産事業に係る取扱案件総額+ホテル運営に係る売上高
2 経常利益+減価償却費+のれん償却費+支払利息等
相手方の名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
匿名組合悠洛 |
匿名組合出資契約 |
営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約 |
2019年9月20日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで |
匿名組合高瀬川 |
匿名組合出資契約 |
営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約 |
2022年9月27日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで |
匿名組合強羅開発 |
匿名組合出資契約 |
営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約 |
2023年3月28日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで |
匿名組合新札 |
匿名組合出資契約 |
営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約 |
2023年8月18日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで |
匿名組合ヒラフ開発 |
匿名組合出資契約 |
営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約 |
2024年3月27日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで |
特記すべき事項はありません。