文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営方針
(1) ブルドックグループの基本方針
①企業目的:自然の恵みのおいしさで、食の幸せを世界に広げるブルドックグループ
②事業領域:ソース事業領域をたれ・ドレッシング類まで広げていくとともに、原材料(香辛料・酢)を活かした事業や、外食店などにも可能性を求めていきます
③経営理念:「幸福感を味わえる商品の提供」
・幸福感とは全ての方が元気に暮らすことと考えます
・品質を第一に「安全・安心・信頼」できる企業を目指します
・新しい価値を創出し、ホッとするおいしさ、今までにない楽しさを提供する企業を目指します
以上のブルドックグループの基本方針をもとに企業コンセプトを「自然の力とおいしさで、食の幸せと健康をサポートする企業を目指します」とし、企業スローガンを「食の幸せのとなりに」としております。
ブルドックグループのあるべき姿
2.対処すべき課題等
(1) 長期ビジョン
ブルドックグループでは、2022年に「Sauce」を極める世界ブランドに成長することを戦略の方向性として、「ブルドックグループ長期ビジョン『BGI 2032』Bull-Dog Global Innovation 2032 ~ソースのしあわせを、もっともっとカラフルに~」を策定いたしました。2032年度を最終年度とする長期ビジョンでは、「幸福感を味わえる商品の提供」を経営理念としております。この理念を実現するために、当社グループが社会に果たすべき使命(Mission)を「世界のSauceを創造するブルドックグループ」とし、あるべき姿(Vision)を「Sauceの魅力でホッとするおいしさを世界へ伝える」、そのためのブルドックグループ社員としての価値判断基準(Value)を「ひとりひとりに食のこだわりを届ける」といたしました。
長期ビジョン『BGI 2032』では、国内戦略、海外戦略、VC戦略を基本戦略の3テーマとして、2032年度までに下記のSTEP1、STEP2、STEP3の3つのステップを順次進め、3テーマを達成してまいります。
<シナリオステップ>
(2) 中長期的に対処すべき課題
2023年度から始まる第11次中期経営計画「B-Challenge2025」を策定し、以下の基本戦略3テーマを実行しております。
①国内戦略:国内市場におけるリーディングカンパニーの地位確立
②海外戦略:ブルドックグループの海外ローカライズ
③VC戦略:持続的成長を実現するための経営変革
ブルドックグループ第11次中期経営計画B-Challenge2025より
2025年度における連結経営目標は売上高160億円、営業利益8億円、経常利益14億円、ROE5.0%、EBITDA20億円であります。
(3) 短期的(次年度)に対処すべき課題
当連結会計年度においては、ウクライナ、中東、東アジアなどの国際情勢の緊張が高まり、また国内では円安、物価高の長期化などの影響で不透明な状況が継続しています。
このような経営環境のもと、2024年度は、第11次中期経営計画「B-Challenge2025」の2年目になります。基本戦略3テーマにおける重要課題は以下のとおりであります。
①国内戦略:家計の節約志向が一段と強まる状況のなか、東西エリアそれぞれでソースブランドの特性を活かして価値を最大化することにより、家庭用市場における売上拡大を図ります。また新型コロナウイルス感染症が収束し、イベントやインバウンド需要が拡大する業務用市場においては、スーパー総菜、原料加工ユーザー、外食店等ターゲットに合わせた商品提案やメニュー提案により一層の売上拡大に取り組みます。
②海外戦略:長期を見据え海外進出モデル確立に向けた取り組みを実施します。ターゲットエリアを絞り、ニーズ・用途の調査、外部機関による情報収集などにより、海外進出の具体的なシナリオ作りを進めます。また、それらに合わせた社内の体制構築も進めてまいります。
③VC戦略:サステナブルバリューチェーンの実現に向けて、具体的な目標と事業展開を両立させてまいります。また、生産体制の再構築により、2023年12月に「TATEBAYASHIクリエイションセンター」の稼働を開始しております。今後も物流2024年問題への対応、生産・販売現場のDX化の推進、専門人財の採用・育成などを積極的に進め、生産性の大幅な向上を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ方針
当社グループは、「幸福感を味わえる商品の提供」を経営理念としております。この理念を実現するために、当社グループが社会に果たすべき使命(Mission)を「世界のSauceを創造するブルドックグループ」とし、あるべき姿(Vision)を「Sauceの魅力でホッとするおいしさを世界へ伝える」としています。「幸福感を味わえる商品」を提案し、人々の「食の幸せ」に寄り添いつづけることがサステナビリティの原点と考え、「おいしさを届ける」「安全・安心を届ける」「高品質を届ける」の3点を当社グループのゆるぎない価値(Value)、すなわち価値判断基準として社会、経済、環境の課題解決に取り組み、当社グループの持続的成長と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。なお、人権方針、人財育成方針、環境方針、食品安全方針を制定し、サステナビリティ経営に努めております。
(2) サステナビリティに関する取組
当社グループではサステナビリティ方針に基づいた、SDGs宣言「幸福感を味わえる商品の提供を通じて、未来の笑顔とすべての人の健康に貢献します」を行い、「安全・安心な商品開発」「多様性を尊重した人財の活用」「気候変動の緩和」「持続可能な原材料の調達」「資源循環の推進」を重要活動テーマとし、とりわけ具体的なアクションプランと目標値を掲げた以下のSDGsゴールを達成するために取り組んでおります。
(注)ぶるキッチンについては、特設サイトを参照(https://bull-kitchen.com/)
(3) ガバナンス
サステナビリティに関するガバナンスを維持するために取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ関連の業務は、当社グループ各部門が執行し、サステナビリティ委員会は、各部門の業務執行状況について報告を受け、監督することとしています。委員会は代表取締役社長執行役員を委員長とし、独立社外取締役2名と執行役員3名で構成しております。2023年度は委員会を6回開催し、サステナビリティに関する取締役会からの諮問事項に答申し、業務執行の監督状況の報告をいたしております。当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、下図のとおりです。
(4) 戦略及びリスク分析
① リスク分析
当社グループでは、気候変動リスクをはじめとするサステナビリティに関するリスクと機会を各業務執行部門が抽出し分析しております。リスクと機会の分析は、抽出したリスクと機会の各項目について社会環境や当社グループの経営成績等に対する影響を大・中・小の3段階で評価し、評価が中以上のものをサステナビリティ委員会が検討しています。当社グループの経営理念である「幸福感を味わえる商品の提供」が当社グループのサステナビリティの原点であると考え「安全・安心な商品開発」を第一にかかげ、以下「戦争や社会問題等による農地被災、輸送障害」、「気候変動リスク」を重要なリスクと機会として選定いたしました。
また、当社グループでは、気候変動に関するリスクに関しては、より詳細にTCFDに基づいたシナリオ分析を行っております。分析はTCFDに基づき1.5℃と4℃の2種類のシナリオで分析いたしました。気候変動によるリスクは低炭素経済への移行に関する「移行リスク」と気候変動による物理的変化に関する「物理的リスク」があり、当社グループに影響を及ぼすものを下表のとおり抽出いたしました。なお、気候変動に関するリスク及び機会が経営上の重要な課題であるとの認識のもと、2022年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しております。
1.5℃シナリオ:GHG(Greenouse Gas、温室効果ガス)排出量削減に向けて厳格な政策的対応が行われ、化石燃料の消費を減少させていき、地球の気温上昇が1.5℃に抑えられるシナリオ。
4℃シナリオ: GHG排出量削減に向けた政策的対応が積極的に実行されず、地球の気温が4℃上昇するシナリオ。
② サステナビリティ全般に関する戦略
当社グループの経営理念である「幸福感を味わえる商品の提供」の大前提は、「安全・安心な商品の提供」であり、「安全・安心な商品開発」は前項①にあるとおり、経営理念を実現するための最大の機会であり、またリスクでもあります。当社グループでは、2032年までの目指すべき未来を具現化した長期ビジョン「Bull-Dog Global Innovation 2032」を策定し、基本戦略の3テーマ(国内戦略・海外戦略・VC戦略)を掲げました。特にサステナビリティのリスクと機会の重要項目である「安全・安心な商品開発」は、堅固なバリューチェーン(VC)なくしては実現しないものであります。そのため基本戦略の3テーマの一つにVC戦略を掲げております。そして当社グループの持続的成長と社会のサステナビリティへの貢献を実現するための経営変革にVC全体で取り組むものとし、利益追求だけではなくSDGsや環境への対応も配慮してグループミッションである「世界のSauceを創造するブルドックグループ」を実現してまいります。2023年度から2025年度までの第11次中期経営計画=B-Challenge2025では、基本戦略「持続的成長を実現するための経営変革」の重点戦略として「サステナブル・バリューチェーンの実現(新たな成長を見据えた体制の見直しと変革)」を策定しております。当社グループの企業活動におけるGHGの削減はもちろんのこと、当社グループを含むバリューチェーンの上流から下流までの全体で社会の公器としてサステナビリティの実現を目指しております。
サステナブル・バリューチェーンの実現(新たな成長を見据えた体制の見直しと変革)
③ 人的資本に関する戦略
ブルドックグループ「B-Challenge2025」で掲げている重点戦略の1つに、「企業価値を最大化させるための経営資源の戦略投資」があります。ブルドックグループでは、この重点戦略を実行するための人的資本に関する戦略を策定しました。
イ.人財育成方針
経営理念である「新しい価値を創出し、ホッとするおいしさ、今までにない楽しさを提供する企業を目指します」を実現するために、時代の変化に応じて新しい価値を創出できる人財を育成します。
ロ.人財戦略
人財を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出し、社員一人ひとりが新しい変化に挑戦して自律的に成長し、さらに協働を通してお互いを高め合っていけるような人財戦略に取り組みます。
<育成>
当社グループを取り巻く環境変化への対応と自らがおかれた役割を実行するため、スキル面の強化だけでなく、個人の意識の醸成を目的とした様々な育成機会を設定します。
ⅰ.社内教育システムの強化に対する取り組み
人財育成のための教育システムを構築し、スキルを発掘、深耕するための取り組みを実施します。特に今後重要となる商品開発、マーケティング・セールス機能の強化を図ります。
ⅱ.専門性の強化
積極性や変化に対応できる柔軟性を身に付け、自律して活躍できる人財を育成し、人財価値の向上を図ります。また、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして高い専門性を発揮するために必要な専門知識・スキルを習得することを目指します。
a.全社員を対象にコンプライアンスやハラスメント等について周知徹底し、自己啓発テーマについても各人が選択して自由に取り組めるような環境を提供します。
b.会社が求める業務に精通した専門人財を育成するために、外部の専門機関等の研修を受講する等、担当業務のプロを育て、自部門へスキルの水平展開を行ない、部門全体のレベルアップを目指します。
ⅲ.リカレント教育の強化
高齢化社会、定年年齢の引き上げに向けたリカレント教育の強化を行い、社内人財の継続的な育成を図ります。
<ダイバーシティ&インクルージョンの推進>
多様性を尊重し、社員が仕事に取り組みやすく、やりがいを持って活躍できるために必要な職場の環境整備と制度の見直しを実施します。
ⅰ.社員が仕事に取り組みやすい職場づくり
a.多様性に配慮した安全で清潔な社屋の整備、DX化の推進による業務の効率化、相談しやすい窓口対応等、社員が安心して業務に取り組むことができるよう職場の環境整備を進めます。
b.離職率ゼロを目指し、処遇面と職場環境面の両方からの課題解決に取り組みます。
ⅱ.社員が活躍できる職場づくり
a.有給休暇を取得しやすくする取り組みの他、男性が育児休業を取得しやすくする等、待遇の改善に繋がる人事制度へ改正します。
b.適時実施している面談を有効活用し、上司が部下の目指すべき目標を明確化することにより、上司がメンバーを同じ方向に導き、一体となって目標達成することを目指します。
c.社員がブルドックグループそして社会に貢献し、経営理念である「新しい価値を創出し、ホッとするおいしさ、今までにない楽しさを提供する企業を目指します」としていることを実感することができる仕組みを作ります。
その一環として、工場等ものづくり現場での体験などを通じて、その体験が自分の業務及び会社の業務に対して新たな価値として変換される場を創出します。
<採用>
人財育成を進める過程で外部の新しい考え方を取り入れ、育成と両輪となって相乗効果を高めることを目的とした採用活動を行います。
ⅰ.求める人物像
“新しい知恵”“勇気”“行動力”を持ち、将来の当社グループの成長を担う人財を採用します。具体的には、課題発見、解決力を持ち、主体的に行動できる人財や変化を捉えて逃さず、先を考えて行動できるスピードを持つ人財を採用します。
ⅱ.採用ターゲット
今後の海外戦略の展開を見据え、グローバルな環境で活躍できる人財やDX、海外、マーケティング機能を強化するための専門人財を採用します。
ⅲ.新しい採用活動
入社3年目、4年目の若手社員が、ともにブルドックグループで活躍し、成長したいと思える人財を採用するために、採用活動を担当し、採用決定に至るまでの一連の活動に責任をもって行っていきます。
(5) 指標と目標
当社では、気候変動リスクの指標として、GHG排出量をCO2換算で算出することとしております。2013年度のGHG排出量を基準値として、2030年度までに排出量を基準値の46%までに削減することを中期経営計画で定めております。さらに2050年度にはGHG排出量を0にするように努力してまいります。なお、当社グループにおける人的資本については、「管理職に占める女性の割合」、「男性育児休業取得率」、および「労働者の男女の賃金の差異」を、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある当社グループの事業等のリスクは、毎年取締役会で見直し、決議しており、以下のようなものがあります。
事業等のリスクは、各部門で適宜検討を行い、毎年取締役会で討議し見直しを行ったうえで、中長期的な会社運営に役立てております。緊急時のリスクは、危機管理委員会が分析し、対策を立案・実行しています。また、サステナビリティ関連のリスクは、サステナビリティ委員会で討議した結果を取締役会に答申しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) TCFDに基づいた気候変動についてのリスク
脱炭素社会に向けた取り組みが世界的に喫緊な課題とされております。気候変動により種々の影響がおよぶ可能性があり、当社グループでは2021年12月に「ブルドックグループSDGs宣言」を制定し、2022年11月にTCFDに賛同し、TCFDコンソーシアムに加入しました。TCFDに基づいた気候変動リスクに関しては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 戦略及びリスク分析①リスク分析」をご参照ください。
(2) 原材料調達についてのリスク
主力商品であるソースは野菜果実、香辛料などを主要原材料としており、世界各国から原材料を調達しております。ウクライナ戦争や円安による原材料の高騰、原油などのエネルギー費の上昇は、当社原材料調達に影響を及ぼしております。原材料の高騰を受け、2022年6月と2023年2月に一部商品の販売価格を改定いたしました。
また、原材料については国際的な需要の拡大による調達競争の激化、地球温暖化に伴う気候変動による供給不足、市況変動による価格の高騰、為替変動の影響、環境規制強化によるプラスチック包材の使用規制など様々なリスクが存在し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは国際情勢・市況情報など原材料調達に係る情報を常に把握し、変化に素早く対応できる体制を構築し、原材料の産地や調達先を分散化することで安定的に調達できるよう取り組んでおります。
(3) 商品品質についてのリスク
当社グループは「幸福感を味わえる商品の提供」を経営理念とし、お客様やご家族のすべての方が元気に暮らせるために品質を第一に「安全・安心・信頼」できる商品、新しい価値を創出しホッとするおいしさと今までにない楽しさを提供する企業をめざしております。近年は食品の安全性や健康に対するお客様の関心も高く、健康被害に及ぶ商品の欠陥(異物混入・ラベル等の表示違い・アレルギー物質混入など)が発生した場合、また商品に欠陥がなくてもSNS等の風評により商品のブランド価値や企業イメージが毀損する可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは食品安全システム(FSSC22000)の管理手法を取り入れたグループの品質管理体制の拡充、食品安全/品質方針の策定、トレーサビリティ管理の徹底を推進し、またWEBサイトや商品パッケージを通じてのお客様とのコミュニケーションを図り、適時情報開示を実施し、お客様が将来にわたり、安心して当社グループ商品を使っていただけるよう食品安全を最優先に企業活動に取り組んでおります。
(4) 人財確保と育成についてのリスク
当社グループは、人財を「資本」として捉え、時代の変化に応じて新しい価値を創出できる人財を育成し企業価値の最大化を目指しております。グローバルな環境で活躍できる人財及びDX、マーケティング機能の強化のための人財を採用し、環境変化に対応する人財の育成と多様な働き方に対応する組織づくりを行ってまいります。
今後、少子高齢化により労働人口が減少し、会社の期待する人財を採用し育成していくことが難しくなるリスクがあります。機械化やDXの活用で対応していきますが、人財採用が困難になり生産に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 災害・事故等についてのリスク
当社グループは製造拠点、事業所を各地に有しており、地震等の自然災害および火災や事故などの緊急事態による生産設備の重大な被害、工場の操業停止、生産能力低下や設備の毀損、サプライチェーンの寸断による原材料の供給不能などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、危機管理規程の制定、危機管理委員会によるBCP・リスクマネジメント計画の整備及び定期的な見直しを実施しております。緊急時においてもお客様へ商品を安定的にお届けすることを優先し、環境の変化に柔軟に対応してまいります。また、未知の感染症のパンデミックリスクは市場動向やライフスタイルに変化をもたらす可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) ビジネスモデルの変革についてのリスク
デジタル技術を含む急速な技術革新や社会構造の変化、消費者の価値観・ライフスタイルの変化、新規企業の参入や競合の台頭、法的規制などの様々な外部環境の加速度的な変化への対応が遅れた場合、商品価値の毀損、ブランド価値の低下につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではマーケティング力を強化し、従来のビジネスモデルにこだわらないITを活用した新しい売り方への挑戦、当社グループならではの付加価値を加えた商品開発、「ファンづくり」のための広報活動、SNS等を活用した消費者向けプロモーションの展開などに取り組んでまいります。また、生産・調達・物流部門においてはDX化による生産性向上を推進してまいります。
(7) 情報システムについてのリスク
当社グループは多くの業務をコンピューターで処理・管理をしております。近年サイバー攻撃は高度化し一層巧妙となってきており、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの障害や機密情報の流出が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。情報システムの運用にあたり、コンピューターウイルス対策や情報管理の徹底、基幹業務システムのデータセンターへの委託、ファイアウォールの設置、「情報管理規程」「情報セキュリティ基本方針」「情報システム管理規程」「システム開発規程」「情報システム外部委託管理規程」の制定を行い、セキュリティ体制を強化しております。
(8) コンプライアンス・訴訟についてのリスク
当社グループは「コーポレート・ガバナンス方針」を策定し、企業価値の向上に努めておりますが、役員や社員によるコンプライアンス違反や不祥事、訴訟の提起、輸出先国や事業展開国における法律違反などが発生した場合、社会的評価や企業価値・イメージの低下によりお客様の信頼を失い、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。環境変化に即応出来るよう執行役員制度を導入するとともに「危機管理委員会」「安全衛生委員会」「内部統制監査委員会」「食品安全推進委員会」を設置しております。また、取締役会は透明性の高い経営の確保のため、監査等委員である取締役を含め、取締役7名のうち3名が独立社外取締役で構成されております。役員の指名、報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性を確保するために2021年12月に「指名報酬委員会」を設置しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度において生産体制再構築に伴う設備投資の支払を行っており、前連結会計年度末に比べて現金及び預金、未払金が減少しております。
(資産の状況)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、25億5千3百万円減少し、337億4千7百万円となりました。
流動資産につきましては、現金及び預金の減少などにより、前連結会計年度末に比べて36億8千5百万円減少し、89億3千9百万円となりました。
固定資産につきましては、株価の上昇による投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べて11億3千2百万円増加し、248億8百万円となりました。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて、37億5千6百万円減少し、122億8千6百万円となりました。
流動負債につきましては、未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べて36億2千9百万円減少し、57億8百万円となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べて1億2千7百万円減少し、65億7千7百万円となりました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産は、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べて、12億3百万円増加し、214億6千万円となりました。
当連結会計年度においては、ウクライナ、中東、東アジアなどの国際情勢の緊張が高まり、また国内では円安、物価高の長期化などの影響で不透明な状況が継続しています。このような状況のなか当社グループは「国内戦略」「海外戦略」「VC戦略」の基本戦略3テーマを掲げた第11次中期経営計画「B-Challenge2025」(以下「中期経営計画」)の初年度として、新たな成長を見据えた体制の見直しと変革をスタートさせました。
中期経営計画に基づき、企業価値を最大化させるため、約85億円を投資して商品に関わる機能を集約した「TATEBAYASHIクリエイションセンター」を2023年12月に計画通り完工、稼働し、生産性向上に向けた取り組みを開始いたしました。しかし、依然原材料費の上昇等が続き、厳しい経営状況となりました。
2023年9月には中期経営計画の「国内戦略」に基づき、当社の主力商品である「ウスター、中濃、とんかつソース」を、使いやすくかつ環境に配慮した容器に54年ぶりに大幅にリニューアルいたしました。それに伴い2023年10月より新容器の認知拡大プロモーション等を展開し、市場での新容器への切り替えは順調に終了いたしました。また、リニューアルを好機として、ソースを使用した料理のレシピの一新、オンラインイベントの開催など使用拡大プロモーションを進めた結果、「家庭用ソース」の売上高は、前年同期比3.8%増の82億8千8百万円となりました。
「家庭用(ソース以外)ドレッシング類・たれ等」は、&Bull‐Dog素材を味わうDRESSINGシリーズから「芳醇フレンチ」「国産にんじん」を新発売し、ドレッシング類が好調に推移いたしました。この結果、カテゴリー全体として売上高は前年同期比12.0%増の13億3千4百万円となりました。
「家庭用(ソース以外)その他」では手軽で簡単に作れる材料セットシリーズ「チヂミ材料セット」を発売しましたが、コロナ後の外食回帰の影響などから売上高は、前年同期比2.0%減の5億8千9百万円となりました。
「業務用ソース」では、外食店等の要望に応えるために発売した「テーブルソース」が、投入当初から順調に外食市場で新規ユーザーを獲得しております。また、市場環境に合わせた商品提案により、産業給食、原料加工等のニーズを捉え、売上高は前年同期比12.1%増の37億6百万円となりました。
「輸出」では、米国で現地でのインポーターを活用した販売活動が増加し、その他欧州、アジアでも伸長したことから、売上高は前年同期比26.8%増の4億6千3百万円となりました。
「現地法人(上海)」の売上高は、前年同期比27.4%増の1億1百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前年同期比7.0%増の144億8千2百万円となりましたが、営業利益は、2023年12月に完工、稼働しました「TATEBAYASHIクリエイションセンター」の減価償却費増加及び原材料の高騰等により前年同期比62.0%減の1億6千3百万円となりました。経常利益は前連結会計年度に計上した投資有価証券売却益が減少したため、前年同期比45.3%減の6億7千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、事業再構築費用3億1千8百万円と鳩ケ谷工場生産終了に伴う減損損失8千5百万円を計上したため、前年同期比75.6%減の1億4千5百万円となりました。
一方、当社の環境保護活動に関しましては2022年に公表した「ブルドックグループSDGs宣言」に基づき、重要活動6テーマの実現に向けて活動をしております。具体的には2023年9月にリニューアルした当社主力商品「ウスター、中濃、とんかつソース」は、プラスチック量を約20%削減した容器を使用しております。また、2023年12月完工、稼働した「TATEBAYASHIクリエイションセンター」において、太陽光パネルを設置し、2024年4月より使用を開始いたしました。2023年4月より始まった第11次中期経営計画「B-Challenge2025」のもと、今後も持続可能な事業活動を展開してまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ39億5千2百万円減少し、当連結会計年度末は19億7千8百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、9千万円の収入(前連結会計年度は、4千4百万円の収入)となりました。
これは、主に減価償却費9億3千1百万円、棚卸資産の減少8億3千7百万円、未収消費税等の増加5億5千6百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億7千6百万円の支出(前連結会計年度は、31億2千5百万円の支出)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出47億4千万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3千1百万円の収入(前連結会計年度は、45億7千万円の収入)となりました。
これは、主に短期借入金の純増加額11億4千5百万円、長期借入金の返済による支出6億7千4百万円によるものです。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額は販売価格によっております。
2.当連結会計年度において生産体制再構築に伴い生産ラインの休止期間があったため、生産実績は前年同期に比して減少しております。
当社グループ(当社及び連結子会社)製品は見込生産であるため、受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
売上高は、「家庭用ソース」、「業務用ソース」、「家庭用(ソース以外)ドレッシング・たれ等」、「輸出」などが順調に推移し、144億8千2百万円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。ブランド別売上高は以下の通りです。
営業利益は、原材料高騰や「TATEBAYASHIクリエイションセンター」の減価償却費増加、生産体制再構築期間の生産ライン休止に伴う在庫減少等により1億6千3百万円(前年同期比62.0%減)となりました。
経常利益は、受取配当金2億3百万円、投資有価証券売却益3億8百万円等の営業外収益を5億4千9百万円計上する一方で、支払利息3千3百万円等の営業外費用を3千8百万円計上した結果、6億7千4百万円(前年同期比45.3%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、事業再構築費用3億1千8百万円と鳩ケ谷工場生産終了に伴う減損損失8千5百万円等の特別損失を4億4千2百万円計上し、法人税、住民税及び事業税を1億3千1百万円計上した結果、1億4千5百万円(前年同期比75.6%減)となりました。また、1株当たり当期純利益は、10円89銭となりました。
b.財政状態の認識
中期経営計画に基づき、企業価値を最大化させるため、約85億円を投資して、商品に関わる機能を集約した「TATEBAYASHIクリエイションセンター」を建設し、2023年12月に完工、稼働を開始しました。資金は主に銀行借入により調達いたしました。
この設備投資は、主に「生産だけでなく、商品に関わる機能を集約し、価値を生み出す旗艦部門」を目指し、環境への配慮、さらなる生産性の向上、持続可能な原材料の調達、新しいことへの挑戦と新しい価値を生み出すためのものであります。
株主還元については、中長期的な視点に立った投資やキャッシュ・フローの状況を勘案しつつ、安定配当の基本方針のもと年間35円配当を継続しております。当連結会計年度における配当性向は、321.4%となりました。
当連結会計年度における財政状態の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概況 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資金需要及び資金の調達・使途
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
第11次中期経営計画「B-Challenge2025」で掲げている「戦略投資の実施」「保有株式の削減」「保有資産の活用」「株主還元」により企業価値を最大化させるため経営資源の活用を進めてまいります。
b.資金需要及び資金の調達・使途
当社グループの資金需要は、主に運転資金と設備投資であります。
運転資金は、主に製品を製造するための原材料の購入、製造経費や商品の仕入、人件費、広告宣伝費等の支払に係るものであり、設備投資は、主に製造設備の更新・拡充に係るものであります。
当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金のほか金融機関からの借入金によりまかなっております。当連結会計年度における設備投資金額は6億4百万円、金融機関からの新規借入は9億円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
該当事項はありません。
当社グループは「幸福感を味わえる商品の提供」という企業理念を原点に、お客様に新鮮な感動をお届けできる企業として、Sauceを核に新しい価値を提供すべく、原料食品素材の研究、加工技術の研究、製品開発研究を行っております。
(1) 原料食品素材の研究
主たる原料の野菜・果実やスパイス・ハーブの配合及び加工条件により、さまざまに変化するSauceの風味について人間の舌と同じメカニズムを持つセンサーを用いて、従来の分析機器では測定できないような味覚を数値化することで、各種原料や工程の変化が味にどのような影響を与えるかを研究し製品開発に役立てております。
(2) 加工技術研究
お客様に安全・安心でおいしいSauceをお届けできるよう、スパイス・ハーブの風味を活かす加工技術や、天産物で品質にバラつきが生じやすいトマト等の原料を使用しても安定した品質の商品が生産できる加工技術を研究しております。また、食品ロス削減のために一部商品で賞味期間の延長やエネルギー削減に向けた生産工程の検討にも取り組んでおります。
(3) 製品開発研究
常に市場のニーズに対応した製品開発を行っております。当連結会計年度においては、50年以上の間、慣れ親しんでいただいた『ブルドックウスターソース』『ブルドック中濃ソース』『ブルドックとんかつソース』等の四角いPETボトルを、お客様が「開けやすく」「持ちやすく」「使いやすい」丸いPETボトル(新容器)へリニューアルいたしました。
新容器はプラスチック量の削減やリサイクルPET材の使用に繋がり、環境へ配慮した設計となっております。
また、2024年2月にはこれ1本で洋食料理の味付けが決まる調理用ソース『ブルドックうまソース コク旨トマト300ml』 を新容器で発売いたしました。
長年のソース作りで培った素材のブレンド技術を活かした「&Bull‐Dog素材を味わうDRESSINGシリーズ」から2023年8月に『素材を味わうドレッシング 芳醇フレンチ200ml』、2024年2月には『素材を味わうドレッシング 国産にんじん200ml』を、「&Bull‐Dogたれシリーズ」から2024年2月に『のせて食べる焼肉のたれ にんにく醤油240g』『のせて食べる焼肉のたれ 熟成コチュジャンみそ240g』『のせて食べるローストビーフのたれ 山わさび醤油240g』を発売いたしました。
更に、2024年2月にご家庭で手軽にお楽しみ頂ける『チヂミ材料セット』を発売いたしました。
他にも専門店様向け及び加工食品メーカー様向け商品を開発しております。
(4) 研究開発費
当連結会計年度における研究開発費の金額は