当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当行グループは、厳しさを増している経営環境下において、職員一人ひとりが果たすべき役割とそれを通じて北海道の未来に貢献するという使命を明確にするため、グループとしての統一した経営理念を掲げ、その実現のために、4つの行動規範を定めております。
この経営理念及び行動規範に基づき、当行グループは、お客さまの信頼の下にあることを意識し、お客さま・地域の多様化するニーズや課題に最善の提案を持って応えるとともに、こうした一つひとつの取組みを通じて、北海道の持続可能な未来のために、自ら困難に立ち向かってまいります。
(2)経営戦略
人口減少に伴い縮小が懸念される北海道マーケットにおいて、道内企業や個人のお客さま、地域社会のサステナビリティの実現をサポートすることが北洋銀行グループの使命と考え、2023年度より中期経営計画「『新たな成長へのチャレンジ』~お客さま、地域と共に持続可能な成長を~」(2023年4月~2026年3月)をスタートさせております。
「成長」と「環境・社会」をキーワードに、中期経営計画で掲げている3つの全体戦略「①北海道とお客さまのサステナビリティ向上サポート ②お客さまの成長を支える人財の育成 ③店舗機能再構築・事務効率化による生産性の向上」をベースにお客さま本位・従業員本位を実践し、当行の企業価値の向上(社会的価値と経済的価値の両立)を目指してまいります。
(3)目標とする経営指標
中期経営計画『新たな成長へのチャレンジ』では、収益性や健全性、効率性などの持続可能性に重要と考えられる以下の指標を目標に掲げ、各種施策に取り組んでおります。
目標とする経営指標 |
2025年度(計画) |
3年間増減 |
親会社株主に帰属する当期純利益 (連結) |
170億円 |
+74億円 |
自己資本比率 (連結) |
14%程度 |
+2.2pt程度 |
中長期的に目指す経営指標 |
2025年度(計画) |
3年間増減 |
中長期目標 |
ROE (連結) |
4%程度 |
+1.7pt程度 |
5%程度 |
コアOHR (連結) |
70%程度 |
△7.3pt程度 |
60%台 |
(注)1.自己資本比率はバーゼルⅢ最終化(経過措置期間)ベース
2.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷{(期首自己資本+期末自己資本)÷2}
3.コアOHR=経費÷コア業務粗利益
(4)経営環境及び対処すべき課題
当行グループが営業基盤とする北海道は、少子高齢化を伴う人口減少の加速や後継者不在による事業所数の減少などの課題を抱える一方で、再生可能エネルギーなどのGX(グリーントランスフォーメーション)や次世代半導体製造企業の進出など、産業構造の変革への節目にあります。
金融業界においては、日本銀行の金融政策変更のほか、デジタル化の急速な進展やそれらに伴う異業種の参入、CO₂排出量削減をはじめとする環境課題への対応、人生100年時代と言われる老後の長期化など、業界を取り巻く環境も刻一刻と変化しており、対応すべき多くの課題に直面しています。
このような環境下において、当行グループは経営理念・行動規範の更なる実践とともに、中期経営計画を確実に実践することで、対処すべき課題の解決につなげてまいります。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
①ガバナンス
当行グループでは、サステナビリティ経営への取組強化を目的として、頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ方針に基づき、サステナビリティにおける課題の洗い出しとそれに対する施策展開、年度毎のサステナビリティ取組方針の制定ならびに気候変動や生物多様性などの「環境保全」、人財育成などの「人的資本」に関する施策・方針、取組状況などについて報告・協議を行っています。
協議事項等は取締役会へ報告し、取締役会による監督が適切に図られるよう体制を整備しています。
2022年12月、サステナビリティに係るガバナンス強化の一環として、「環境・社会に配慮した投融資方針」を新たに制定しました。地域金融機関として地域のサステナビリティ実現に向け、環境・社会に配慮し且つ、最も環境・社会課題の解決に資する事業領域である投融資に積極的に取り組むために、取組方針を明確化しました。
本方針は、環境・社会に「ポジティブな影響を与えると考えられる事業」と「ネガティブな影響を与えると考えられる事業」に区分し、前者を積極的に取り組み、後者を慎重に判断する当行の投融資姿勢を示すものです。環境保全や気候変動対応など環境課題の解決に資する事業などは、環境・社会にポジティブな影響を与えるものとし、積極的に推進します。また、石炭火力発電・石炭採掘事業、森林伐採事業・パーム油農園開発事業などは、環境・社会にネガティブな影響を与えると考えられることから、慎重に投融資判断を行います。さらに、脱炭素社会実現に向けた移行期間(トランジション期間)の対応等については、積極的に投融資していきます。
また、近年、企業が果たす人権尊重への責任がますます重要になっており、2023年6月、北洋銀行グループ人権方針を制定するとともにお客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまからの人権関連を含む相談・苦情に適切に対応するための態勢を整備しました。
②戦略
当行グループは2021年5月、持続可能な地域社会・環境の実現に対する社会的な意識の高まりを受け、CSR基本方針を発展的に見直し、新たに「サステナビリティ方針」を策定しました。「経営理念」と「行動規範」に基づく企業活動を通じて、当行グループを支えていただいている全てのステークホルダーと地域社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、当行グループの中長期的な企業価値の向上、持続的経営の実現に努めます。
経営理念及びサステナビリティ方針のもと、2023年度の中期経営計画「『新たな成長へのチャレンジ』」~お客さま、地域と共に持続可能な成長を~」において長期ビジョンとして「環境・社会への貢献投資と経済成長投資を両立し、未来志向の豊かな地域社会の実現に貢献する」と定め、道内企業のサステナブル経営や個人のお客さまのサステナブルな生活設計をサポートするとともに、優先的に取り組むべきサステナビリティ経営の重要課題を3つ(「気候変動対応」「生物多様性保全」「金融経済教育」)、人的資本の重要課題を3つ(「専門性の高い人財の育成」「自律性・多様性・創造性の追求」「職員のエンゲージメントの向上」)特定しております。
これらを北洋銀行グループの企業価値の向上と持続的経営の実現につなげます。
A.気候変動対応
(a)北海道は、日本のGXを加速させるための重要エリアです。洋上風力発電などのGXを起点として北海道全体の成長につなげるため、2023年6月に発足した産官学金のコンソーシアム「Team Sapporo-Hokkaido」等の官民連携により、再エネなどに関連したお客さまの新たなニーズの発掘、課題の解決に積極的に取組んでまいります。また、お客さまの脱炭素社会への移行を支援する環境関連投融資への取組みを強化します。
(b)当行グループのGHG排出量の削減に向けた取組みとして、省エネルギー設備への更新やカーボンフリー電力の導入等を進めています。また、地域の脱炭素を積極的に進めるため、Scope3計測によるセクター別の分析に基づき、対象先にGHG排出量削減に向けたソリューションを提供することと併せ、気候変動から創出されるビジネス機会へのサポートを行っていきます。
B.生物多様性保全
北海道は3つの海に囲まれ、多様な樹種からなる広大な森林、日本最大級の湿原など、豊かな自然環境に恵まれています。この豊かな自然を守る取組みの一環として、2023年12月に「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の取組みに賛同し、TNFDフォーラムに参画しています。今後はTNFDの枠組みに沿った取組みや情報開示を進めてまいります。
C.金融経済教育
(a)北海道の未来を担う子どもたちへの教育活動は地域に根差した金融機関として重要な取組みと位置づけ、道内大学生向け講義、教員やPTA向けセミナー、小・中・高生向けの出前授業および当行本支店での職場見学受け入れなどを積極的に行っていきます。
(b)人生100年時代に向けた準備の必要性が高まっており、正しい金融知識や資産形成に対する意識の向上がこれまで以上に重要となっています。金融経済教育に対する地域金融機関の役割が重要であると捉えており、高齢化社会における不安の解消や将来の豊かな生活、社会づくりに必要な知識・判断力の醸成に貢献していきます。
③リスク管理
リスク管理の内容については「
④指標及び目標
A.気候変動への対応に関する指標及び目標については、「
B.金融経済教育による金融リテラシー向上
金融経済教育の対象者数を2023年度から2025年度の対象者延べ50,000人の目標を設定しております。2023年度の実績は18,125人です。
指標 |
目標 |
2023年度実績 |
金融経済教育対象者数 |
2023年度から2025年度 対象者50,000人 |
18,125人 |
(2)気候変動問題への取組
①ガバナンス
当行グループは気候変動をはじめとする環境問題への対応を優先的に解決すべき重要課題の一つとして認識しておりサステナビリティ委員会にて、気候変動に関する取組方針や進捗状況について協議を行っております。推進状況は取締役会へ報告し、取締役会による監督が適切に図られるよう体制を整備しています。
②戦略
A.機会
お客さまの脱炭素社会への移行を支援するファイナンス(サステナビリティ・リンク・ローン、グリーンローン等)やソリューション(SDGsコンサルティング、脱炭素コンサルティング等)の提供を通じて、金融・非金融の両面から、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
B.リスク
当行では、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で気候変動に伴うリスクとして移行リスクと物理的リスクを以下の通り認識しており、引き続きTCFD提言が推奨するシナリオを活用した分析を実施し、各リスクの定量的な評価を進めてまいります。
移行 リスク |
脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの事業が影響を受け当行の与信関係費用が増加するなどのリスクを想定 |
時間軸 |
|
法規制リスク |
炭素税等、CO₂排出に関する規制強化等 |
中期~長期 |
|
技術リスク |
既存製品の低炭素技術への入替に係る投資の失敗等 |
中期~長期 |
|
市場リスク |
消費者行動の変化、原材料コストの上昇等 |
中期~長期 |
|
評判リスク |
特定セクターへの非難等 |
短期 |
|
物理的 リスク |
異常気象により、当行の事業用資産が被災し事業継続が困難となるリスクや、お客さまの業績悪化や事業用資産毀損による当行の与信関係費用が増加するなどのリスクを想定 |
時間軸 |
|
急性リスク |
洪水等の増加、異常気象の深刻化 |
中期~長期 |
|
慢性リスク |
平均気温の上昇、海面上昇 |
長期 |
C.炭素関連資産
「エネルギーおよびユーティリティー(注1)」セクター向け貸出金等の当行貸出金等に占める割合は1.6%です。なお2021年TCFD改訂付属書に基づく炭素関連資産(注2)向け貸出金等の当行貸出金等に占める割合は14.3%です。
(注)1.石油精製・石油製品製造、ガス、石炭製品、大手電力会社等。水道事業者、再生可能エネルギー発電事業者は除きます。
2.「エネルギーおよびユーティリティー」セクターに「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターが追加されました。
D.シナリオ分析
TCFD提言では、気候変動のリスクに対する戦略のレジリエンスを示すために複数のシナリオに基づいた分析の実施を推奨しており、当行では移行リスクと物理的リスクについてシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析結果を当行のリスク低減やお客さまの脱炭素社会への移行に向けた対話の強化や支援につなげていくため、引き続き分析手法の高度化に取り組んでまいります。
|
移行リスク |
物理的リスク |
リスク事象 |
脱炭素社会へ移行によるマクロ経済環境の変化を通じてお客さまの財務が悪化することに伴う当行の信用リスクへの影響 |
①洪水等の増加による当行不動産担保の毀損やお客さまの事業停滞に伴う業績悪化 ②洪水等の増加による当行営業店舗等の毀損を基因とした当行の損出発生 |
分析対象 |
エネルギー、ユーティリティー、鉄鋼セクター |
①道内事業性貸出先 ②当行営業店舗等(ATMを含む) |
シナリオ |
NGFS(注1)の「Netzero2050」「Delayed Transition」 |
IPCC(注2)第5次報告書におけるRCP2.6(2℃シナリオ)およびRCP8.5(4℃シナリオ) |
分析期間 |
2050年まで |
2050年まで |
分析結果 |
信用コストの増加額:113~172億円 |
①信用コストの増加額:最大で35億円程度 ②当行損出の増加額:最大で6億円程度 |
(注)1.気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
2.気候変動に関する政府間パネル
③リスク管理
当行では、経営の健全性を確保しつつ収益力を向上できるよう、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクをはじめ主要なリスクを把握し統合的に管理を行っています。
気候変動に伴う変化は様々な波及経路を通じて信用リスク等の主要なリスクを増減させ、当行の事業活動や財務内容に重要な影響を与える可能性があることを認識し、行内で共有しています。
シナリオ分析の活用やお客さまのGHG排出量の算定等を通じて、気候変動による当行財務等及びお客さまの事業活動等への影響について評価を行い、各種ソリューションの提供を中心とするお客さまの気候変動対応への積極的な支援を通じて、中長期的に当行の気候関連リスクの低減を図る体制を統合的なリスク管理の枠組みの中で構築しています。
④指標及び目標
A.環境関連投融資累計実行額
気候変動への対応として、金融機関として最も環境課題の解決に資する事業領域は投融資であるとの考えのもと、脱炭素社会への移行を支援する「環境関連投融資」について、2021年度~2030年度の10年間で5,000億円の目標を設定しております。2021年度からの実績は以下の通りです。
B.GHG排出量削減に向けた取組み
地域の脱炭素化を積極的に進めてまいります。
(a)当行グループはGHG排出量(Scope1.2)削減のため、省エネルギー設備への更新やカーボンフリー電力を導入しております。2030年度までに2013年度比80%削減し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指す目標に対して、2023年度は、2013年度比57.3%削減しました。
(b)金融機関に対してScope3の取組みへの期待が高いことを認識しています。カテゴリー15(投融資先のGHG排出量)は、金融機関におけるGHG排出量の大部分を占めることから、PCAF(※1)スタンダードの計測手法を参考とし、法人融資先を対象に試算を開始しております(一般事業法人向け融資額の91%が集計対象)。
(単位:t-CO2) |
|||||
Scope3カテゴリー |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
5 |
事業活動から出る廃棄物※2 |
- |
- |
- |
24 |
6 |
出張 |
430 |
462 |
418 |
896 |
7 |
通勤 |
1,563 |
1,494 |
1,425 |
1,432 |
15 |
投融資 |
- |
- |
586,103 |
10,539,301 |
Scope3カテゴリー15の内訳
業種 |
排出量 ※3 (単位:t-CO2) |
炭素強度 ※4 (単位:t-CO2/百万円) |
農業 |
126,494 |
6.61 |
製紙・林業製品 |
217,412 |
3.97 |
加工食品・加工肉 |
815,373 |
5.56 |
飲料 |
15,791 |
3.20 |
金属・鉱業 |
339,997 |
14.63 |
化学 |
178,511 |
10.96 |
石油及びガス |
332,424 |
2.98 |
石炭 |
9,128 |
8.06 |
建設資材 |
1,383,084 |
35.43 |
資本財 |
617,531 |
2.75 |
自動車及び部品 |
30,665 |
2.72 |
電力ユーティリティ |
547,374 |
27.75 |
不動産管理・開発 |
103,440 |
1.09 |
トラックサービス |
595,584 |
3.64 |
鉄道輸送 |
14,158 |
5.25 |
海上輸送 |
39,343 |
25.66 |
旅客空輸 |
81,904 |
19.90 |
航空貨物 |
900 |
2.43 |
その他 |
5,090,179 |
2.81 |
合計 |
10,539,301 |
― |
※1.Partnership for Carbon Accounting Financials 投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ
2.カテゴリー5は廃プラスチック類他9種類の開示です。2024年度から紙くずなど計測範囲を拡大していきます。
3.排出量の総量に「融資先の資金調達総額に占める当行融資額の割合」を乗じた数値。小数点以下切り捨て。
4.融資先の売上高1百万円あたりの排出量
(3)人的資本
①戦略
2023年4月から始まった中期経営計画では「成長」と「環境・社会」をキーワードに、サステナブルな投融資、コンサルティング機能の更なる強化、コロナ禍などで苦しんだお客さまへの経営改善支援、銀行取引DX、地域振興への貢献を強化しております。
中期経営計画実行のため、お客さまのニーズを発掘できる能力や、より高度なソリューションを提案できる能力、DX・SXなどの新分野に対応できる能力を有する人財の育成・確保が必要と考え、「専門性の高い人財育成」「自律性・多様性・創造性の追求」「職員エンゲージメントの向上」の相乗効果により、「地域社会のサステナビリティを支える人財の創出」を行っております。
なお、「人財育成方針」「社内環境整備方針」につきましては、事業内容が異なる連結グループ全体での記載が困難なため、連結グループの主要な事業を営む北洋銀行単体の記載としております。
A.人財育成方針
当行は、人財への投資により、その価値を最大限に引き出すことが、中長期的な企業価値の向上につながると捉え、地域社会のサステナビリティを支える人財の創出のために、「必要な業務」に「必要な人財」を適切に配置できるよう、人財育成を行っております。2022年度までコロナ禍のため自粛していた集合研修を2023年度は、積極的に実施するとともに、コンサルティング力強化やマネジメント力強化など、実効的な研修を中心に新設し、一人当りの育成費用は60.1千円と2022年度比33.8千円増加いたしました。一人当りの研修時間は14.2時間と同6.7時間増加しています。
(a)専門性の高い人財の育成
銀行を取り巻く環境が大きく変化しているなか、お客さま本位を徹底し、お客さまのニーズに応え続けていくため、必要な人財の計画的育成に取り組んでおります。
カリキュラムにロールプレイングを取り入れたコンサルティング力強化のための研修や、グループディスカッションを交えた階層別のマネジメント力強化研修、業務別のスキル向上研修、専門性の高い外部講師による個人コンサルティング担当者や法人業務担当者向け研修のほか、職場単位(支店内)で行う対話力向上研修等を実施しております。2023年度は研修の内容を見直し、コンサルティング力強化研修を強化するとともに、同一受講者による継続研修を導入しました。
中期的な人員シミュレーションによる人財ポートフォリオの推移を分析し、新規採用数の引き上げやキャリア採用の強化、不足する分野の人員育成や初級行員の早期育成を図っております。加えて、タレントマネジメントシステムにより、担当者のスキルを可視化し、スキル不足を強化するための研修を追加するなど、さらなる専門知識の向上を図るとともに、SX・DX人財の育成を図り、北海道とお客さまのサステナビリティ向上サポートやデジタル支援を進めてまいります。
|
2022年度実績 |
2023年度実績 |
コンサルティング力強化研修受講者数 |
12研修/実人数172人 /延べ223人 |
17研修/実人数328人 /延べ1,483人 |
業務別スキル向上研修受講者数 |
17研修/実人数355人 /延べ418人 |
25研修/実人数670人 /延べ1,939人 |
(b)自律性・多様性・創造性の追求
職員が将来を見据えて自律的にキャリアを形成できるよう、リスキルの機会として公募によるトレーニー制度を導入しております。同制度では、銀行内の学習機会では対応が十分にできないDXや海外支援、マーケット、コンサルティング等の知識取得のため、社外の学習機会の提供や、道内大学院に入学し修士課程の取得を支援するなど、自身の将来のキャリアを見据えて新たな知識や経験を習得しています。また、当行グループの北洋証券株式会社(証券業務)や株式会社北海道共創パートナーズ(コンサルタント業務)などを活用し、より専門的なコンサルティング提案に繋げるとともに、人事交流などを通じて、職員の専門的能力を高めております。
自己研鑽の支援制度として、各種資格試験や検定試験への取得費用の補助、難関資格合格に対する奨励金の支給、Eラーニングの充実等を行っております。
2024年度は初級行員の早期戦力化のため、本部の研修体制を強化いたします。特に新入行員に対しては、入行後3ヵ月間の集合研修を実施し、その後も定期的に集合研修を行います。こうした、研修とOJTの繰り返しにより、1年間で集中的に育成する態勢を構築します。2年目~3年目の行員についても、追加の集合研修により早期戦力化を図ります。
|
2023年3月末実績 |
2024年3月末実績 |
トレーニー制度利用者数 |
20人 |
22人 |
FP資格取得者 |
1級69人、2級1,400人 |
1級70人、2級1,379人 |
B.社内環境整備方針
当行は、職員エンゲージメントの向上のために、従業員が安心してやりがいを持って働ける環境や、従業員の多様性を認め、尊重する環境の整備に取組んでおります。
(a)well-beingの実現
2024年度の給与について、職員エンゲージメント向上と急激な物価上昇等の職員の生活への影響に鑑み、お客さまの課題解決に最前線で取組む若手・中堅職員の処遇を大きく引き上げ、支店長等を除く非経営職行員について、平均4.9%(15,400円)のベースアップ、定期昇給等を合わせると6.5%の賃上げをいたしました。行員全体では平均3.9%のベースアップ、定期昇給等を含むと5.1%の賃上げとなります。また、多様かつ優秀な人財の確保を目的に大学卒業の初任給を225,000円から、250,000円に引上げました。
パートタイマーについては、2023年10月に平均7.7%のベースアップを実施していますが、「年収の壁」を越えて勤務を希望するパートタイマーのために「キャリアアップ支援手当」を新設し、多様化する働き方に対して支援を行いました。
制度面では、「コース転換制度」「夫婦帯同転勤制度」「勤務地変更制度」「半日有給休暇制度」「企業内託児所の設置」「育児休暇制度」などのワークライフバランス関連制度を導入しているほか、1週間の連続休暇や勤続年数に応じたリフレッシュ休暇による有給休暇の取得推進を実施しています。2023年12月には、介護離職防止のため、外部専門家による介護の相談窓口を開設、WEBセミナーや介護制度に関するガイドの発信等も行い、介護と仕事の両立支援にも積極的に取り組んでおります。また、時間や場所にとらわれない働き方の一環として、リモートで研修受講や会議出席が可能なコミュニケーションツールを活用しています。
健康経営の取り組みとして、健康診断やストレスチェックに加え、定時退行励行週間等による時間外労働削減、保健師によるメンタルヘルスセミナーの実施、さらには、初級行員のメンタル不調や離職を抑制する取組として「メンター制度」を取り入れるなど、職員が心身の健康を保ち、能力を最大限発揮できる環境整備に努めております。
行内のコミュニケーションの充実のために、役職員・職場のトピックスを紹介する行内SNSの積極利用や、上司部下の相互理解、信頼関係の構築のために、定期的な1on1ミーティングを実施、1on1フォロー研修を行うなど、1on1ミーティングの目的や効果の再認識を図っています。
職員の経済的な安定の支援として財形制度、持ち株会制度、選択型確定拠出年金などの制度を導入しております。2023年4月に選択型確定拠出年金の投資ファンドを追加、2024年1月からは、積立金額に応じて奨励金を支給する職場つみたてNISAを開始いたしました。また、定期的に全職員を対象とした研修を実施するなど、金融リテラシーの向上に取組んでおります。
|
2022年度実績 |
2023年度実績 |
1on1ミーティング実施回数 |
4,453回 |
7,093回 |
(b)ダイバーシティ(Diversity)&インクルージョン(Inclusion)の深化
女性のキャリア形成支援を目的とした各階層別研修や、育児休業中の職員の職場復帰支援等、出産・子育てをしながら働き続けるためのサポートに加え、女性支店長や副支店長を育成するための研修では、研修参加者に対し先輩女性支店長とのメンター制度を約半年間実施し、精神的サポートを行っています。これら女性の活躍支援の結果、女性管理職比率は、年度毎に上昇。男性と女性の平均雇用年数の差は2017年度の4.3年から2023年度には2.2年に短縮しております。
中長期的な企業価値向上のために、女性活躍を促すことに加え、多様な知・経験を持ったキャリア採用者、外国人財の活躍が必要と考え、人財紹介業務を行っている当行グループの北海道共創パートナーズと連携して、キャリア採用の強化を行っております。外国人財については2024年4月1日時点で、海外3拠点と本部で計7名の外国人職員(海外5名、本部2名)が勤務しており、うち1名を管理職(海外拠点)へ登用しております。2024年度はさらに外国人財を1名採用いたしました。
また、人生100年時代に対応するため、希望者全員が満65歳まで引き続き勤務可能な「シニア職員再雇用制度」や、最長70歳まで雇用延長可能な「シニアパートナー制度」により、これまでのキャリアや経験を活かして活躍できる環境の整備に取り組むとともに、障がいのある方が地域の中で安心して暮らせる社会の実現と、社会的自立を支援するために障がい者雇用に取り組んでおります。
|
2023年3月末実績 |
2024年3月末実績 |
従業員に占める女性比率 |
41.0% |
41.8% |
男性と女性の平均雇用年数の差 |
2.4年 |
2.2年 |
北洋銀行における女性管理職比率の推移
|
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
女性管理職比率 |
18.3% |
19.9% |
20.8% |
23.1% |
②指標及び目標
事業内容が異なる連結グループ全体での設定が困難なため、北洋銀行に関する指標・目標となっております。
目的 |
項目 |
2023年度実績 |
|
人財育成強化 |
|
|
|
人財育成強化 |
|
|
|
人財育成強化 |
|
|
|
社内環境整備 (well-beingの実現) |
|
|
|
社内環境整備 (ダイバーシティ& インクルージョン深化) |
|
|
|
(注)1.年間の「研修費用」を職員の「平均人数」で除して算出しております。「研修費用」は外部講師費、教材費、外部研修への参加費、資格取得費、宿泊費、交通費等を含んでおります。「平均人数」は2023年4月から2024年3月までの毎月の人数の和を12で除して算出しております。
2.年間の「研修時間」を職員の平均人数で除して算出しております。
3.お客さまに対する話し方やロールプレイングなどコンサルティング力を強化するための研修の受講者数であります。
4.「有給休暇の取得日数」を「有給休暇付与日数」で除して算出しております。
5.女性の「課長」級以上の人数を男女合計の「課長」級以上の人数で除して算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、主に下記の(1)~(5)のとおりであります。
これらのリスクは独立して発生するとは限らず、あるリスクの発生が他のリスクの発生につながり、様々なリスクを増大させる可能性があります。場合によっては、信用コストの増加や保有有価証券の減損・評価損など、当行及び当行グループ(以下、本項では「当行」という。)の経営成績等に相当の影響を及ぼすものと認識しております。
当行では、想定される具体的なリスクについて、機動的に(原則毎月)その発生の「影響度」と「蓋然性」を確認の上、その重要性を判定しており、早期予兆管理とコントロールするための施策を講じることに努めております。また、発生した場合には、迅速かつ適切な対応に努める所存であります。
<リスク認識のイメージ図>
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行が判断したものです。
(1)信用リスク
① 不良債権の状況
当行の当連結会計年度末における銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額(破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権)は953億円です。それらは当行の内部基準に照らし判定を行ったものであり、当連結会計年度末現在において償却・引当処理を実施しております。
銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額の貸出金に対する比率は低位な水準にありますが、今後の資源・資材の高騰に伴う北海道の景気動向、融資先の経営状況、不動産価格及び株価の変動等によっては、当行の不良債権及び貸倒償却引当費用が増加し、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する 法律に基づく債権額 |
865億円 |
953億円 |
与信額に占める割合 |
1.09% |
1.23% |
当行では、日常のお客さまとの対話などを通じて、事業内容の変化をその都度把握し、売上・利益の縮小や資金繰りに問題を抱えるお客さまに対して、経営改善支援等のソリューション提供による課題解決に取組むことなどにより、不良債権の増加を抑制する対応を行っております。
② 特定の業種等への与信集中に係るリスク
当行の業種別貸出状況では、卸売業・小売業、不動産業・物品賃貸業及び地方公共団体に対する貸出金の構成比が比較的高く、それらの業種の経営環境等に変化が生じた場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行では、特定業種への過度な与信集中を回避するために、与信取引の大口集中排除・小口分散化を基本にポートフォリオのコントロールを行っております。業種全体の悪化が懸念されるような注意を要する業種については、定期的に分析を行い、状況に応じた管理施策を導入し対応しております。
(2)自己資本比率が低下するリスク
当行は、自己資本比率規制における国内基準行であり、連結自己資本比率及び単体自己資本比率について4%以上の水準を確保することが求められております。
そのいずれかが4%を下回った場合は、金融庁長官から、その水準如何によって、改善計画の提出及びその実行の命令、自己資本の充実に資する措置に係る命令、業務の全部又は一部の停止の命令等の措置を受けることとなりますが、直近4年間の推移にある通り、現状4%を下回る蓋然性は高くないものと認識しております。なお、2024年3月期の連結自己資本比率および単体自己資本比率は、2024年3月末より最終化されたバーゼルⅢを適用し算出しております。
自己資本比率 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
連 結 |
12.41% |
12.53% |
11.78% |
14.42% |
単 体 |
12.07% |
12.17% |
11.48% |
14.07% |
当行の自己資本比率にマイナスに影響する主な要因は以下のとおりです。
・有価証券ポートフォリオの価値の低下
・債務者と株式・債券の発行体に対する内部格付に応じて生じるリスク・アセット及び期待損失の増加
・繰延税金資産の自己資本への算入制限が課せられた場合の自己資本の減少
・繰延税金資産の回収可能性判断に基づく繰延税金資産の取崩しによる自己資本の減少
・債務者の信用力の悪化や不良債権の処分に際して生じうる与信関係費用の増加
・銀行の自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・為替レートの不利益な変動
・本項記載のその他の不利益な展開等
当行は、様々なリスク事象によるストレスが加わった場合にも、十分な自己資本の維持が可能かどうかについて、年に2回「統合ストレステスト」を実施しており、資本の十分性について定点的に検証しております。
(3)業務に伴うリスク
① 市場リスク
当行では有価証券などの市場取引及び投資活動を行っております。したがいまして、当行の業績及び財政状態は、これらの活動に伴うリスク(金利、為替レート、株価及び債券相場の変動等)にさらされております。例えば、金利が上昇した場合、当行の保有する国債をはじめとする債券ポートフォリオの価値に悪影響を及ぼします。また保有している株式の価格が下落した場合には減損又は評価損が発生することにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 流動性リスク
資金繰りに関して、内外の経済情勢や市場環境等の変化、当行格付の低下及びその他の何らかの理由によって当行の信用力が低下することなどにより、必要な資金が確保できなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされたり調達が困難となったりすることで損失を被る可能性があります。また債券などの金融商品の売買において、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることで損失を被る可能性があります。
例えば、2008年のリーマン・ショック時には保有している金融資産を適正な価格で現金化できない、「市場流動性が枯渇」した状況が発生しました。著しく不利な価格での取引を余儀なくされた場合、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 事務リスク
当行では、各種取引に伴う事務処理について、規程等に則った適宜適切な処理を徹底しておりますが、当行役職員や外部委託先の人為的ミスなどにより事故が生じ、金融資産の喪失や原状回復等に係る対応費用などの発生及び社会的信用の失墜などにより、不測の損害を被る可能性があります。
④ システムリスク(サイバーセキュリティリスクを含みます)
コンピュータ機器や通信回線の故障、プログラムの不具合などによるコンピュータシステムの停止又は誤作動や、コンピュータの不正使用又は外部からのサイバー攻撃などによる情報の破壊や流出が発生した場合、決済機能やサービス業務の停止、社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、コンピュータ機器や通信回線の二重化、バックアップシステムの強化のほか、近年のサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化等を踏まえ、サイバー攻撃動向や脆弱性等の情報を収集・把握し、迅速な対応を実施するため、ほくようCSIRTを設置するなど、サイバーセキュリティ管理態勢の充実・強化にも取り組んでおります。
⑤ 法務リスク
当行役職員の法令等違反に起因した多大な損失の発生や当行への訴訟の提起等により信用力の低下等が生じた場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行ではコンプライアンス(法令等遵守)を経営の最重要課題のひとつと位置付け、法令等遵守態勢の充実・強化に取組んでおります。
⑥ 災害等の発生により業務に支障を来たすリスク
当行が保有する店舗、事務所、電算センター等の施設が、地震等の自然災害の発生、停電等の社会インフラ障害及び犯罪、物理的テロ等の被害を受けることにより、当行の業務運営に支障を来たし、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 風評リスク
当行及び銀行業界に対するネガティブな報道や悪質な風評等により、それが事実であるか否かにかかわらず、流動性リスクを誘発することなどにより、当行の業績や財務内容、株価等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 情報漏洩に関するリスク
当行役職員及び外部委託先の人為的ミス・事故等や外部者の不正アクセス等により、お客さまに関する情報が外部に漏洩した場合、お客さまからの損害賠償請求や社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、グループ会社情報管理に関する基本方針・取扱規程及び体制を整備し、各部署への「お客さま情報管理責任者」、「お客さま情報管理者」設置のほか、職員教育、セキュリティ対策といった情報漏洩防止策を講じております。
⑨ ビジネス戦略が奏功しないリスク
当行では収益力増強のため様々なビジネス戦略を実施していますが、これら戦略が功を奏さないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。戦略が奏功しない例としては既存の貸出についての利鞘拡大が進まないこと、手数料収入の増大が期待どおりとならないこと、経費削減等の効率化を図る戦略が期待どおりに進まないこと、などが挙げられます。
⑩ 業務の外部委託に伴うリスク
当行は、様々な業務を外部委託するにあたり、業務委託を行うことの妥当性検証や委託先の情報管理態勢の確認等により、委託先の選定を適切に行うよう努めておりますが、委託先において重要な業務の遂行に支障を来たす事態が発生した場合、当行の業務運営に支障を来たし、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)金融環境等に係るリスク
① 競争の激化
近年、日本の金融制度は大幅に規制が緩和されてきており、これに伴い競争が激化してきております。当行がこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 規制変更のリスク
当行は現時点の規制に従って、また規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の施策の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 地域経済の動向
当行は、北海道を主要な営業基盤としておりますが、インバウンドや公共事業の大幅な縮小等により地域経済が想定以上に悪化した場合は、収益基盤の拡大が困難となるほか、信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、事業性理解や経営改善支援など、道内企業の価値向上に向けた取組みを通じて、地域経済の持続可能性に貢献すべく努めております。
(5)その他
① 格付低下のリスク
格付機関が当行の格付を引下げた場合、当行のマーケット部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得なくなったり、又は一定の取引を行うことができなくなり、資本・資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。このような事態が生じた場合には、当行のマーケット部門及びその他業務の収益性に悪影響を与え、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付債務に関するリスク
当行の年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが低下した場合、予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合、又は退職給付に係る会計基準が改正された場合には、損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を与える可能性があります。これらの結果、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損会計に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 会計制度変更に伴うリスク
現時点で将来の会計制度変更について影響を測定することは困難ですが、会計制度の変更内容によってはコストの増加につながり、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 財務報告に係る内部統制に関するリスク
当行は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められており、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行い有効性を評価する過程で発見された事項は、速やかに改善するよう努めております。
しかしながら、改善が不十分な場合や、開示すべき事項に重大な不備があると監査法人が評価するような場合には、当局による監督指導や社会的信用の失墜により、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 疫病発生による業務継続に関するリスク
事前に疫病発生の影響を測定することは困難ですが、社会的混乱により当行の業務運営に支障が生じ、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では業務継続計画(BCP)や「緊急時対応要領」を策定のうえ、様々な緊急時の訓練を定期的に実施しています。また、職員の出勤前・出勤時の健康管理チェックを行い体調不良者は自宅待機を徹底するなど、感染予防・感染拡大防止のための対策を講じています。
⑦ 気候変動リスク
地球温暖化の進行やそれに伴う異常気象等による自然災害の急増など、気候変動リスクがもたらす被害は年々拡大しています。こうした被害の状況によっては、当行の業務運営への影響に加え、当行取引先の事業活動や業況の悪化等による信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があることから、当行では気候変動問題への対応を進めるため、2021年5月にTCFD(※)提言への賛同を表明しました。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動問題への取組」をご参照ください。
(※)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略。2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候変動リスク・機会の情報開示を推奨する国際的な支援組織。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国の経済は、このところ足踏みが見られますが緩やかに回復しています。個人消費は、実質雇用者所得に持ち直しの動きが見られるものの、物価上昇の影響もあって足元では持ち直しに足踏みが見られます。設備投資は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により下押しが見られるものの、ソフトウエア投資の増加により持ち直しの動きが見られます。輸出は、アジア向けが弱含みとなり持ち直しの動きに足踏みが見られます。
物価面では、国内企業物価指数は年度後半にかけて前年比横ばいで推移しました。消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、緩やかに上昇しました。金融面では、無担保コールレートはマイナス金利で推移してきましたが、金融政策の変更を受けて年度末にかけてプラスに転じました。新発10年物国債利回りは、一時1.0%目前まで上昇しましたが、年度末にかけて0.7%台半ばで推移しました。対ドル円相場は、年度初め131円台前半で始まりましたが、期間中は円安基調で推移し年度末には151円台前半となりました。
次に北海道経済を見ますと、一部に弱さがみられるものの緩やかに持ち直しています。住宅投資は、減少しています。設備投資は、持ち直しています。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも緩やかに持ち直しています。公共投資は、増加しています。観光関連は、来道客やインバウンドの増加により回復しています。雇用情勢は、人手不足感が強まっています。
このような金融経済環境のもと、当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況(連結)
当連結会計年度の経営成績、損益の状況につきましては、中核となる当行の経営成績を主な要因として、経常収益が1,331億円と前年比63億円増加となりました。経常費用は1,145億円と前年比50億円増加となりました。その結果、経常利益は186億円と前年比12億円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は128億円と前年比31億円増加となりました。
<主な損益項目の分析>
|
|
前連結会計年度 (億円) |
当連結会計年度 (億円) |
増減 (億円) |
連結コア粗利益 |
871 |
887 |
16 |
|
|
資金利益 |
677 |
704 |
26 |
|
役務取引等利益 |
157 |
154 |
△3 |
|
その他 |
35 |
28 |
△6 |
営業経費 |
673 |
670 |
△3 |
|
その他経常損益等 |
△23 |
△30 |
△6 |
|
|
貸倒償却引当費用 |
58 |
67 |
9 |
|
有価証券関係損益 |
24 |
22 |
△2 |
|
その他 |
9 |
15 |
5 |
経常利益 |
173 |
186 |
12 |
|
法人税等調整額 |
△0 |
△6 |
△6 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
96 |
128 |
31 |
|
|
|
|
|
|
連結コア業務純益 |
197 |
222 |
24 |
(注)1.連結コア粗利益=[資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用)]+[役務取引等収益-役務取引等費用]+[(その他業務収益-その他業務費用)-国債等債券関係損益]
2.連結コア業務純益=連結コア粗利益-経費(除く臨時処理分)
なお、セグメントごとの経営成績につきましては、以下のとおりであります。
銀行業(単体)
当事業年度の経営成績につきましては、経常収益は1,066億円と前年比34億円増加となりました。このうち資金運用収益は、有価証券利息配当金の増加を主因に729億円と前年比14億円増加となりました。役務取引等収益は預り資産手数料の減少などにより238億円と前年比1億円減少となりました。
経常費用は、888億円と前年比36億円増加となりました。このうち営業経費は業務委託費や税金の減少を主因に630億円と前年比7億円減少となりました。貸倒引当金繰入額につきましては、48億円と前年比1億円増加となりました。
その結果、当事業年度の経常利益は177億円と前年比1億円の減益、当期純利益は128億円と前年比23億円の増益となりました。
リース業
リース業の経営成績につきましては、リース売上の増加により経常収益が241億円と前年比13億円増加となりました。この結果、経常利益は9億円と前年比2億円の増益、当期純利益は6億円と前年比1億円の増益となりました。
(営業施策)
当行は、経営理念に掲げている「お客さま本位を徹底」した、深度あるコンサルティング営業を中心に、お客さま・地域の多様化するニーズや課題に沿った最適なサービスやソリューションの提供を通じて、多様な課題の解決に積極的に取り組んでおります。
イ 個人のお客さまに向けた取組み
若年層や資産形成層を中心にNISAやiDeCoといった定時定額積立型投資のご提案のほか、InstagramなどのSNS、Web広告を通じたプロモーションの展開、金融リテラシー向上に役立つ情報を発信しております。また、「北洋証券」との連携を強化し、お客さまの高度化・多様化する資産運用ニーズにお応えしております。
個人ローンでは、脱炭素の取組みに資する資金に限定した「ゼロカーボン応援プラン」の住宅ローン・マイカーローン・リフォームローンの取扱いを開始するなど、ローンを通じた環境保全の課題解決に積極的に取組んでおります。また、振込や残高照会等の日常的な銀行取引をスマートフォンから安心・便利にご利用できる個人ポータルアプリ「北洋銀行アプリ」の提供を開始し、デジタル技術を活用して、お客さまへ利便性の高い商品・サービスの充実に努めております。
ロ 法人のお客さまに向けた取組み
本部内に「事業成長サポートグループ」を新設し、従来取り組んできた「事業性理解」を発展させ、お客さまが描く将来ビジョンの実現のための「事業成長サポート」に取り組んでおります。また、法人コンサルティング業務全般を担う「北海道共創パートナーズ」との連携を強化するなどグループの総力を結集し、お客さまの経営課題解決に向けた、広範かつ高度なコンサルティングを提供しております。
当行グループは、「再生可能エネルギーなどのGX」「次世代半導体製造拠点の進出」といった成長期待分野への投融資をリーディングバンクの責務として積極的に行っていく使命があると考えます。
GX関連では2023年6月に発足した「Team Sapporo-Hokkaido」に参画し、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」の指定を通じた規制緩和や税制優遇等により、今後10年間で150兆円超ともいわれるGXの官民投資、及びこれに呼応した世界中からの投資を北海道・札幌に呼び込むため、当行はコンソーシアムのメンバーとして活動しております。
次世代半導体製造拠点進出により、道内経済への波及効果は10兆円を超える試算が出されるなど、北海道にとってこれまでにないビッグプロジェクトとなっています。北海道の産業構造変革への大きな原動力になるとともに、道内事業者にとってはビジネスにおける千載一遇のチャンスであり、当行では頭取直轄組織「成長戦略企画室」を中心に、正確で鮮度の高い情報やソリューションメニューを提供すべく、全行あげての推進体制を整備し、工場が建設される千歳市や関係団体に行員を派遣するなど、積極的に取組みを進めております。
ハ 地域の活性化に向けた取組み
道内の地方公共団体や信用金庫・信用組合も含めた金融機関・大学など、産学官金の連携を拡充させながら、地域の優位性や資源を活かした産業の振興、革新的な新事業の創出など、地方の意欲的な取組みを支援しております。包括連携協定締結先である道内大学を対象とした「道内大学ブランド食品フェア」を開催したほか、道内企業と大学教職員の交流会を開催し、人材不足で悩んでいる道内企業の新卒者採用支援にも取組むなど、産学金の連携を強化しております。
また、北海道の成長のドライバーとなる「スタートアップ」への資金支援として、従来の融資やファンドによる出資に加え、スタートアップに特化した基金の取扱いを新たに開始しております。
ニ その他の取組み
北海道の基幹産業である農業・食品分野に対する取組みとして、道産食品ECモール「collesho」を開設したほか、道内児童養護施設に牛乳贈答券や北海道米、北海道産のてん菜糖を使用したお菓子を寄贈するなど、北海道産農畜産物の消費拡大に取り組んでおります。
また、地銀最大の規模となる「TSUBASAアライアンス(※)」による協業を強化しており、スケールメリットを活かした金融サービスの向上や、新ビジネスの創出、業務共同化による効率化を進めております。
2023年度は、地域金融機関として、企業の課題解決などを通じて地域に貢献するとともに、地域最大のアライアンスを生かし、未来に向けてさらに発展していくため、アライアンスのスローガンとして『地域とともに未来へはばたく』を制定しました。引続き連携の幅を拡大させ、経営統合に匹敵する効果を追求してまいります。
(※)TSUBASAアライアンス
千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、群馬銀行及び当行の10行が参加する地銀広域連携の枠組みです。
財政状態の状況(連結)
(主要勘定残高)
2024年3月末の総資産は、13兆2,445億円と前年比7,235億円増加(5.7%)いたしました。貸出金は、7兆4,877億円と前年比2,158億円減少(△2.8%)いたしました。有価証券は、2兆3,852億円と前年比7,963億円増加(50.1%)いたしました。
預金・譲渡性預金は、11兆928億円と前年比897億円増加(0.8%)いたしました。
純資産は、4,475億円と前年比401億円増加(9.8%)いたしました。
(単位:億円)
|
2023年3月末 |
2024年3月末 |
増減 |
総資産 |
125,209 |
132,445 |
7,235 |
貸出金 |
77,035 |
74,877 |
△2,158 |
有価証券 |
15,889 |
23,852 |
7,963 |
預金・譲渡性預金 |
110,031 |
110,928 |
897 |
純資産 |
4,073 |
4,475 |
401 |
(銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権)
2024年3月末の銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権は、953億円と前年比87億円増加いたしました。
また、債権が与信額に占める割合は、1.23%と前年比0.14ポイント上昇いたしました。
(単位:億円)
|
2023年3月末 |
2024年3月末 |
増減 |
||
|
|
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 |
357 |
365 |
8 |
|
|
危険債権 |
330 |
427 |
96 |
|
|
要管理債権 |
178 |
160 |
△17 |
|
|
三月以上延滞債権 |
5 |
2 |
△3 |
|
|
貸出条件緩和債権 |
172 |
158 |
△13 |
合計 |
865 |
953 |
87 |
||
(与信額に占める割合) |
(1.09%) |
(1.23%) |
(0.14%) |
(有価証券の評価損益)
2024年3月末の有価証券の評価損益は、1,015億円の評価益となり、前年比423億円増加いたしました。内訳としては、株式は1,444億円と前年比516億円増加、債券は△463億円と同183億円の減少、その他は33億円と同89億円増加いたしました。
|
|
|
|
(単位:億円) |
|
|
2023年3月末 |
2024年3月末 |
増減 |
その他有価証券 |
591 |
1,015 |
423 |
|
|
株式 |
927 |
1,444 |
516 |
|
債券 |
△280 |
△463 |
△183 |
|
その他 |
△55 |
33 |
89 |
|
|
|
|
|
日経平均株価(円) |
28,041.48 |
40,369.44 |
12,327.96 |
|
長期国債利回(%) |
0.320 |
0.725 |
0.405 |
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ2,659億円増加し3兆386億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の減少及び債券貸借取引受入担保金の増加等により9,881億円の収入(前連結会計年度は1兆3,621億の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出等により7,030億円の支出(前連結会計年度は1,719億の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付借入金の返済による支出及び配当金の支払いによる支出等により191億円の支出(前連結会計年度は48億の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(国内・海外別収支)
国内業務部門では、資金運用収支が貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等を主因として前連結会計年度比25億25百万円増加の700億96百万円、役務取引等収支が住宅ローン団信保険料の増加等を主因として同4億27百万円減少の152億37百万円、その他業務収支が同95百万円増加し34億41百万円となりました。
国際業務部門では、資金運用収支が売現先利息の減少等を主因として前連結会計年度比1億73百万円増加の3億86百万円、役務取引等収支が同30百万円増加の1億64百万円、その他業務収支が国債等債券売却損の増加等を主因として同39億26百万円減少の△37億89百万円となりました。
この結果、合計では、資金運用収支が前連結会計年度比26億98百万円増加の704億83百万円、役務取引等収支が同3億97百万円減少の154億1百万円、その他業務収支が同38億30百万円減少の△3億48百万円となり、収支合算では同15億29百万円減少の855億37百万円となりました。
種類 |
期別 |
国内業務部門 |
国際業務部門 |
相殺消去額 (△) |
合計 |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
資金運用収支 |
前連結会計年度 |
67,571 |
213 |
- |
67,785 |
当連結会計年度 |
70,096 |
386 |
- |
70,483 |
|
うち資金運用収益 |
前連結会計年度 |
68,368 |
1,033 |
0 |
69,400 |
当連結会計年度 |
70,652 |
907 |
1 |
71,559 |
|
うち資金調達費用 |
前連結会計年度 |
796 |
819 |
0 |
1,615 |
当連結会計年度 |
555 |
520 |
1 |
1,075 |
|
役務取引等収支 |
前連結会計年度 |
15,665 |
134 |
- |
15,799 |
当連結会計年度 |
15,237 |
164 |
- |
15,401 |
|
うち役務取引等収益 |
前連結会計年度 |
26,959 |
195 |
- |
27,154 |
当連結会計年度 |
27,627 |
211 |
- |
27,838 |
|
うち役務取引等費用 |
前連結会計年度 |
11,294 |
61 |
- |
11,355 |
当連結会計年度 |
12,389 |
47 |
- |
12,436 |
|
その他業務収支 |
前連結会計年度 |
3,345 |
136 |
- |
3,482 |
当連結会計年度 |
3,441 |
△3,789 |
- |
△348 |
|
うちその他業務収益 |
前連結会計年度 |
23,942 |
660 |
- |
24,603 |
当連結会計年度 |
24,953 |
348 |
- |
25,301 |
|
うちその他業務費用 |
前連結会計年度 |
20,597 |
524 |
- |
21,121 |
当連結会計年度 |
21,512 |
4,138 |
- |
25,650 |
(注)1.当行及び連結子会社は海外拠点を有していないので、(国内・海外別貸出金残高の状況)を除き、以下の各表とも「国内業務部門」「国際業務部門」に区分して記載しております。なお、「国内業務部門」とは当行及び連結子会社の円建取引であり、「国際業務部門」とは当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2.「資金調達費用」は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
3.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
(国内・海外別資金運用/調達の状況)
国内業務部門では、資金運用勘定は、平均残高が預け金の減少等を主因として前連結会計年度比3,686億42百万円減少の10兆8,521億10百万円、利回りが有価証券で上昇したこと等により同0.05ポイント上昇の0.65%となり、受取利息は同22億84百万円増加の706億52百万円となりました。また、資金調達勘定は、平均残高が借用金の減少等を主因として前連結会計年度比783億32百万円減少の12兆2,010億9百万円、利回りは同0.00ポイント低下の0.00%となり、支払利息は同2億41百万円減少の5億55百万円となりました。
国際業務部門では、資金運用勘定は、平均残高が有価証券の減少等を主因として前連結会計年度比187億4百万円減少の556億77百万円、利回りが同0.25ポイント上昇の1.63%となり、受取利息は同1億26百万円減少の9億7百万円となりました。また、資金調達勘定は、平均残高が売現先勘定の減少等を主因として前連結会計年度比185億62百万円減少の556億36百万円、利回りが同0.17ポイント低下の0.93%となり、支払利息は同2億99百万円減少の5億20百万円となりました。
この結果、合計では、資金運用勘定は平均残高が前連結会計年度比3,918億9百万円減少の10兆8,686億69百万円、利回りが同0.04ポイント上昇の0.65%となり、受取利息が同21億59百万円増加の715億59百万円となりました。資金調達勘定は平均残高が前連結会計年度比1,013億58百万円減少の12兆2,175億27百万円、利回りが同0.00ポイント低下の0.00%となり、支払利息は同5億40百万円減少の10億75百万円となりました。
(① 国内業務部門)
種類 |
期別 |
平均残高 |
利息 |
利回り |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
(%) |
||
資金運用勘定 |
前連結会計年度 |
11,220,752 |
68,368 |
0.60 |
当連結会計年度 |
10,852,110 |
70,652 |
0.65 |
|
うち貸出金 |
前連結会計年度 |
7,667,875 |
57,348 |
0.74 |
当連結会計年度 |
7,675,030 |
57,941 |
0.75 |
|
うち商品有価証券 |
前連結会計年度 |
2,400 |
8 |
0.34 |
当連結会計年度 |
1,955 |
5 |
0.26 |
|
うち有価証券 |
前連結会計年度 |
1,480,144 |
8,280 |
0.55 |
当連結会計年度 |
1,855,613 |
11,327 |
0.61 |
|
うちコールローン 及び買入手形 |
前連結会計年度 |
13,205 |
0 |
0.00 |
当連結会計年度 |
62,226 |
2 |
0.00 |
|
うち買現先勘定 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち債券貸借取引 支払保証金 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち預け金 |
前連結会計年度 |
2,012,975 |
2,571 |
0.12 |
当連結会計年度 |
1,209,305 |
1,218 |
0.10 |
|
資金調達勘定 |
前連結会計年度 |
12,279,341 |
796 |
0.00 |
当連結会計年度 |
12,201,009 |
555 |
0.00 |
|
うち預金 |
前連結会計年度 |
10,245,325 |
110 |
0.00 |
当連結会計年度 |
10,507,378 |
105 |
0.00 |
|
うち譲渡性預金 |
前連結会計年度 |
272,330 |
10 |
0.00 |
当連結会計年度 |
283,670 |
6 |
0.00 |
|
うちコールマネー 及び売渡手形 |
前連結会計年度 |
179,450 |
△32 |
△0.01 |
当連結会計年度 |
90,524 |
△22 |
△0.02 |
|
うち売現先勘定 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち債券貸借取引 受入担保金 |
前連結会計年度 |
326,595 |
32 |
0.00 |
当連結会計年度 |
383,466 |
46 |
0.01 |
|
うちコマーシャル・ ペーパー |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち借用金 |
前連結会計年度 |
1,248,037 |
674 |
0.05 |
当連結会計年度 |
924,925 |
418 |
0.04 |
(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「資金調達勘定」は、金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
(② 国際業務部門)
種類 |
期別 |
平均残高 |
利息 |
利回り |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
(%) |
||
資金運用勘定 |
前連結会計年度 |
74,381 |
1,033 |
1.38 |
当連結会計年度 |
55,677 |
907 |
1.63 |
|
うち貸出金 |
前連結会計年度 |
5,702 |
63 |
1.12 |
当連結会計年度 |
2,066 |
52 |
2.53 |
|
うち商品有価証券 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち有価証券 |
前連結会計年度 |
59,198 |
947 |
1.60 |
当連結会計年度 |
43,780 |
788 |
1.80 |
|
うちコールローン 及び買入手形 |
前連結会計年度 |
409 |
6 |
1.70 |
当連結会計年度 |
520 |
22 |
4.30 |
|
うち買現先勘定 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち債券貸借取引 支払保証金 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち預け金 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
資金調達勘定 |
前連結会計年度 |
74,198 |
819 |
1.10 |
当連結会計年度 |
55,636 |
520 |
0.93 |
|
うち預金 |
前連結会計年度 |
10,335 |
15 |
0.14 |
当連結会計年度 |
8,110 |
74 |
0.91 |
|
うち譲渡性預金 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うちコールマネー 及び売渡手形 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち売現先勘定 |
前連結会計年度 |
18,510 |
537 |
2.90 |
当連結会計年度 |
3,526 |
187 |
5.33 |
|
うち債券貸借取引 受入担保金 |
前連結会計年度 |
10,440 |
266 |
2.54 |
当連結会計年度 |
4,617 |
257 |
5.58 |
|
うちコマーシャル・ ペーパー |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
|
うち借用金 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
(③ 合計)
種類 |
期別 |
平均残高(百万円) |
利息(百万円) |
利回り (%) |
||||
小計 |
相殺消去額 (△) |
合計 |
小計 |
相殺消去額 (△) |
合計 |
|||
資金運用勘定 |
前連結会計年度 |
11,295,133 |
34,654 |
11,260,478 |
69,401 |
0 |
69,400 |
0.61 |
当連結会計年度 |
10,907,787 |
39,117 |
10,868,669 |
71,560 |
1 |
71,559 |
0.65 |
|
うち貸出金 |
前連結会計年度 |
7,673,577 |
- |
7,673,577 |
57,412 |
- |
57,412 |
0.74 |
当連結会計年度 |
7,677,096 |
- |
7,677,096 |
57,994 |
- |
57,994 |
0.75 |
|
うち商品有価証券 |
前連結会計年度 |
2,400 |
- |
2,400 |
8 |
- |
8 |
0.34 |
当連結会計年度 |
1,955 |
- |
1,955 |
5 |
- |
5 |
0.26 |
|
うち有価証券 |
前連結会計年度 |
1,539,343 |
- |
1,539,343 |
9,228 |
- |
9,228 |
0.59 |
当連結会計年度 |
1,899,393 |
- |
1,899,393 |
12,116 |
- |
12,116 |
0.63 |
|
うちコールローン 及び買入手形 |
前連結会計年度 |
13,615 |
- |
13,615 |
7 |
- |
7 |
0.05 |
当連結会計年度 |
62,747 |
- |
62,747 |
24 |
- |
24 |
0.03 |
|
うち買現先勘定 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
うち債券貸借取引 支払保証金 |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
うち預け金 |
前連結会計年度 |
2,012,975 |
- |
2,012,975 |
2,571 |
- |
2,571 |
0.12 |
当連結会計年度 |
1,209,305 |
- |
1,209,305 |
1,218 |
- |
1,218 |
0.10 |
|
資金調達勘定 |
前連結会計年度 |
12,353,540 |
34,654 |
12,318,885 |
1,616 |
0 |
1,615 |
0.01 |
当連結会計年度 |
12,256,645 |
39,117 |
12,217,527 |
1,076 |
1 |
1,075 |
0.00 |
|
うち預金 |
前連結会計年度 |
10,255,660 |
- |
10,255,660 |
125 |
- |
125 |
0.00 |
当連結会計年度 |
10,515,489 |
- |
10,515,489 |
179 |
- |
179 |
0.00 |
|
うち譲渡性預金 |
前連結会計年度 |
272,330 |
- |
272,330 |
10 |
- |
10 |
0.00 |
当連結会計年度 |
283,670 |
- |
283,670 |
6 |
- |
6 |
0.00 |
|
うちコールマネー 及び売渡手形 |
前連結会計年度 |
179,450 |
- |
179,450 |
△32 |
- |
△32 |
△0.01 |
当連結会計年度 |
90,524 |
- |
90,524 |
△22 |
- |
△22 |
△0.02 |
|
うち売現先勘定 |
前連結会計年度 |
18,510 |
- |
18,510 |
537 |
- |
537 |
2.90 |
当連結会計年度 |
3,526 |
- |
3,526 |
187 |
- |
187 |
5.33 |
|
うち債券貸借取引 受入担保金 |
前連結会計年度 |
337,035 |
- |
337,035 |
298 |
- |
298 |
0.08 |
当連結会計年度 |
388,083 |
- |
388,083 |
304 |
- |
304 |
0.07 |
|
うちコマーシャル・ペーパー |
前連結会計年度 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
当連結会計年度 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
うち借用金 |
前連結会計年度 |
1,248,037 |
- |
1,248,037 |
674 |
- |
674 |
0.05 |
当連結会計年度 |
924,925 |
- |
924,925 |
418 |
- |
418 |
0.04 |
(注)1.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
2.「資金調達勘定」は、金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
(国内・海外別役務取引の状況)
国内業務部門の役務取引等収益は前連結会計年度比6億67百万円増加の276億27百万円、役務取引等費用は同10億95百万円増加の123億89百万円となりました。この結果、合計の役務取引等収益は前連結会計年度比6億84百万円増加の278億38百万円、役務取引等費用は同10億81百万円増加の124億36百万円となり、役務取引等収支は同3億97百万円減少の154億1百万円となりました。
種類 |
期別 |
国内業務部門 |
国際業務部門 |
合計 |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
役務取引等収益 |
前連結会計年度 |
26,959 |
195 |
27,154 |
当連結会計年度 |
27,627 |
211 |
27,838 |
|
うち預金・貸出業務 |
前連結会計年度 |
10,451 |
24 |
10,475 |
当連結会計年度 |
11,002 |
54 |
11,057 |
|
うち為替業務 |
前連結会計年度 |
6,011 |
165 |
6,177 |
当連結会計年度 |
5,936 |
142 |
6,078 |
|
うち証券関連業務 |
前連結会計年度 |
1,260 |
2 |
1,262 |
当連結会計年度 |
1,706 |
2 |
1,709 |
|
うち代理業務 |
前連結会計年度 |
6,000 |
- |
6,000 |
当連結会計年度 |
5,663 |
- |
5,663 |
|
うち保護預り・貸金庫業務 |
前連結会計年度 |
245 |
- |
245 |
当連結会計年度 |
238 |
- |
238 |
|
うち保証業務 |
前連結会計年度 |
1,038 |
3 |
1,042 |
当連結会計年度 |
917 |
11 |
929 |
|
役務取引等費用 |
前連結会計年度 |
11,294 |
61 |
11,355 |
当連結会計年度 |
12,389 |
47 |
12,436 |
|
うち為替業務 |
前連結会計年度 |
550 |
29 |
579 |
当連結会計年度 |
552 |
0 |
552 |
(国内・海外別預金残高の状況)
○預金の種類別残高(末残)
種類 |
期別 |
国内業務部門 |
国際業務部門 |
合計 |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
預金合計 |
前連結会計年度 |
10,820,299 |
7,882 |
10,828,182 |
当連結会計年度 |
10,908,789 |
6,257 |
10,915,046 |
|
うち流動性預金 |
前連結会計年度 |
8,880,220 |
- |
8,880,220 |
当連結会計年度 |
9,080,819 |
- |
9,080,819 |
|
うち定期性預金 |
前連結会計年度 |
1,791,116 |
- |
1,791,116 |
当連結会計年度 |
1,723,953 |
- |
1,723,953 |
|
うちその他 |
前連結会計年度 |
148,963 |
7,882 |
156,845 |
当連結会計年度 |
104,015 |
6,257 |
110,273 |
|
譲渡性預金 |
前連結会計年度 |
174,937 |
- |
174,937 |
当連結会計年度 |
177,789 |
- |
177,789 |
|
総合計 |
前連結会計年度 |
10,995,237 |
7,882 |
11,003,119 |
当連結会計年度 |
11,086,578 |
6,257 |
11,092,836 |
(注)1.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2.定期性預金=定期預金
(国内・海外別貸出金残高の状況)
○業種別貸出状況(末残・構成比)
業種別 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
国内 (除く特別国際金融取引勘定分) |
7,703,573 |
100.00 |
7,487,752 |
100.00 |
製造業 |
392,099 |
5.09 |
370,964 |
4.95 |
農業,林業 |
30,723 |
0.40 |
31,095 |
0.42 |
漁業 |
1,545 |
0.02 |
1,440 |
0.02 |
鉱業,採石業,砂利採取業 |
3,712 |
0.05 |
4,127 |
0.06 |
建設業 |
270,358 |
3.51 |
261,065 |
3.49 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
104,659 |
1.36 |
112,099 |
1.50 |
情報通信業 |
39,516 |
0.51 |
58,806 |
0.79 |
運輸業,郵便業 |
197,280 |
2.56 |
180,044 |
2.40 |
卸売業,小売業 |
583,246 |
7.57 |
561,636 |
7.50 |
金融業,保険業 |
235,470 |
3.06 |
266,893 |
3.56 |
不動産業,物品賃貸業 |
625,563 |
8.12 |
653,272 |
8.72 |
各種サービス業 |
574,013 |
7.45 |
536,994 |
7.17 |
地方公共団体等 |
2,576,186 |
33.44 |
2,279,430 |
30.44 |
その他 |
2,069,196 |
26.86 |
2,169,881 |
28.98 |
特別国際金融取引勘定分 |
- |
- |
- |
- |
政府等 |
- |
- |
- |
- |
金融機関 |
- |
- |
- |
- |
その他 |
- |
- |
- |
- |
合計 |
7,703,573 |
―― |
7,487,752 |
―― |
(注) 「国内」とは当行及び連結子会社であります。
(国内・海外別有価証券の状況)
○有価証券残高(末残)
種類 |
期別 |
国内業務部門 |
国際業務部門 |
合計 |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
国債 |
前連結会計年度 |
405,503 |
- |
405,503 |
当連結会計年度 |
732,581 |
- |
732,581 |
|
地方債 |
前連結会計年度 |
574,709 |
- |
574,709 |
当連結会計年度 |
852,266 |
- |
852,266 |
|
短期社債 |
前連結会計年度 |
4,999 |
- |
4,999 |
当連結会計年度 |
4,997 |
- |
4,997 |
|
社債 |
前連結会計年度 |
337,452 |
- |
337,452 |
当連結会計年度 |
475,032 |
- |
475,032 |
|
株式 |
前連結会計年度 |
138,572 |
- |
138,572 |
当連結会計年度 |
189,519 |
- |
189,519 |
|
その他の証券 |
前連結会計年度 |
77,699 |
50,013 |
127,713 |
当連結会計年度 |
107,693 |
23,196 |
130,890 |
|
合計 |
前連結会計年度 |
1,538,937 |
50,013 |
1,588,951 |
当連結会計年度 |
2,362,092 |
23,196 |
2,385,288 |
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(自己資本比率等の状況)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
2024年3月末の自己資本比率は、最終化されたバーゼルⅢを適用しており、連結ベースでは14.42%、単体ベースでは14.07%となりました。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
|
|
(単位:億円、%) |
|
2023年3月31日 |
2024年3月31日 |
1.連結自己資本比率(2/3) |
11.78 |
14.42 |
2.連結における自己資本の額 |
3,398 |
3,540 |
3.リスク・アセットの額 |
28,842 |
24,540 |
4.連結総所要自己資本額 |
1,153 |
981 |
単体自己資本比率(国内基準)
|
|
(単位:億円、%) |
|
2023年3月31日 |
2024年3月31日 |
1.単体自己資本比率(2/3) |
11.48 |
14.07 |
2.単体における自己資本の額 |
3,248 |
3,393 |
3.リスク・アセットの額 |
28,288 |
24,114 |
4.単体総所要自己資本額 |
1,131 |
964 |
(資産の査定)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
債権の区分 |
2023年3月31日 |
2024年3月31日 |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 |
346 |
354 |
危険債権 |
330 |
427 |
要管理債権 |
178 |
160 |
正常債権 |
78,479 |
76,109 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当行グループの当連結会計年度の経営成績は、経常収益が有価証券利息配当金や有価証券売却益の増加などから1,331億円と63億円の増加となりました。経常費用は国債等債券売却損の増加などにより1,145億円と50億円の増加となりました。その結果、経常利益は186億円と12億円の増益、また、親会社株主に帰属する当期純利益は128億円と31億円の増益となりました。この主な要因分析等につきましては、前段「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、これらのリスクは独立して発生するとは限らず、あるリスクの発生が他のリスクの発生につながり、様々なリスクを増大させる可能性があります。場合によっては、信用コストの増加や保有有価証券の減損・評価損など、相当の影響を及ぼすものと認識しております。
当行では、想定される具体的なリスクについて、機動的に(原則毎月)その発生の「影響度」と「蓋然性」を確認の上、その重要性を判定しており、早期予兆管理とコントロールするための施策を講じることに努めております。また、発生した場合には、迅速かつ適切な対応に努める所存であります。
2023年度よりスタートした中期経営計画『新たな成長へのチャレンジ』で掲げた、目標となる経営指標の進捗状況は以下のとおりです。
目標とする経営指標 |
2023年度実績(前年比) |
2025年度計画 |
親会社株主に帰属する当期純利益 (連結) |
128億円( 31億円) |
170億円 |
自己資本比率 (連結) |
14.42% ( 2.64%) |
14%程度 |
長期的に目指す経営指標 |
2023年度実績(前年比) |
2025年度計画 |
長期目標 |
ROE (連結) |
3.03% (0.68%) |
4%程度 |
5%程度 |
コアOHR (連結) |
74.94%(△2.41%) |
70%程度 |
60%台 |
親会社株主に帰属する当期純利益は前年比増益、自己資本比率も前年比良化しました。また、長期的に目指す経営指標として掲げているROE、コアOHRについても前年比で改善しており、引き続き目標達成に向け取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当行グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが9,881億円の収入(前年比2兆3,502億円の収入増加)となりました。これは、貸出金の減少及び債券貸借取引受入担保金の増加が主因となります。このほか、有価証券の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは、7,030億円の支出(前年比5,310億円の支出増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付借入金の返済による支出および配当金の支払いによる支出等により、191億円の支出(前年比143億円の支出増加)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3兆386億円と前連結会計年度に比べ2,659億円増加しておりますが、資本の財源や資金の流動性は十分に維持されております。なお、当行グループの主な設備投資の内容については、「第3 設備の状況」に記載のとおりであり、設備投資の資金源は自己資金であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。