第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループの経営基本方針は、「国内外の顧客の発展と合理化に寄与するために当社グループの総合的な企画力・開発力、技術力を結集し、先進的商品を製造・供給すること」であります。

 この総合力を更に発展させて自動車、電機、鉄鋼、化学、電子、食品など多岐に亘る業界及び市場からの顧客満足度を向上させるために、当社グループ内のカスタマイズ能力の向上と、より迅速な市場対応力の強化を図ってまいります。

 当社グループは、この目的達成のために製造部門としての国内外のグループ各社へ積極的に投資を行いグローバルなネットワーク化による製販一貫体制を整えてまいります。また、江東区に構えるテクニカルセンターを新たな技術・新たな製品の発信基地として、更なる充実化を図ってまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、「堅実に収益力を持続する総合力」を今後もより強固に結集させ、常に先進的技術の研究開発を推し進め、グローバルな視点に立った市場への経営資源の効果的な投入を行い、業容の拡大を図ってまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループの事業を取り巻く市場環境は、海外向け輸出の減少や物価上昇の影響により一部には弱い動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことにより、インバウンド需要の回復や設備投資の拡大など景気は緩やかな回復の動きで推移しました。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格や原材料の高騰、急激な円安による物価上昇に加え、中国経済の減速、中東地域をめぐる情勢及び世界的な金融引き締めの影響などによる海外景気の減速懸念等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① グループ全体の持続的成長

 将来を見据えた『事業の選択と集中』を計画的に進め、次代の収益基盤となる『新市場の創造』を推進し、グループ全体の持続的成長に繋げていきます。

 

② 経営判断の更なる迅速化

 経営環境の急激な変化に対応するため、月間2回実施の取締役会を継続し、情報の的確な把握による経営判断を迅速に行い、経営資源の最大限の有効活用を図ってまいります。

 

③ 社会貢献

 事業活動を通じて社会に貢献する企業として、『顧客から信頼と期待を得る会社』、『積極的提案の出る企業文化を持つ会社』、『従業員が誇りを持てる会社』を目指します。

 

④ 価値ある製品と質の高いサービスの提供

 提案型企業として、テクニカルセンターの研究開発機能を駆使して市場ニーズに即した製品開発に努め、『顧客が満足する価値ある製品と質の高いサービス』をタイムリーに提供します。

 

⑤ タイムリーなグローバル戦略の展開

 世界市場の動向を常に把握し、日本を含めた既存のグローバルネットワークを有機的に結合させ、適地生産体制の確立と新規市場の開拓を図ってまいります。

 

⑥ 製造部門の強化と品質向上

 顧客に対する開発から供給までの一貫したフォロー体制を向上させるため、グループ内製造部門の更なる整備と積極的な設備投資を行い、国際基準に準じた更なる品質の向上を図ってまいります。

 

⑦ 収益向上

 グループ各社との緊密な連携のもと、原価管理の徹底と生産の最適化を図り、限られた経営資源を有効かつ効率的に活かし、収益向上を目指します。

 

⑧ 人材育成の促進

 競争力の源泉は『人』であり、戦略的思考と発想を持ち、自ら率先して行動し問題解決能力を有したグローバルに活躍できる人材を中長期研修制度により育成してまいります。

 

⑨ コーポレートガバナンスの強化

 コーポレートガバナンスを強化し、法令遵守やリスク管理等の内部統制をグループ全体に周知徹底し、健全で活力あふれる職場環境を整備します。

 

 会社法や金融商品取引法にも対応すべく、内部統制システムを当社グループ全体に展開しておりますが、今後一層コンプライアンスの充実・強化を図り、経営効率及び企業価値の向上、業務の透明性と公正性を重視し、ステークホルダーの皆様方への期待にお応えできる企業を目指す所存であります。

 

(5)目標とする経営指標

 経営効率を持続的に追求し、当社グループ全体で株主資本利益率(ROE)7%以上、営業利益率8%以上を目標といたします。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティ基本方針は、「パーカーコーポレーショングループは企業価値の向上に繋がる製品・サービスを提供し続けることを通じ、持続可能な社会の実現に寄与するよう努めます。」というものです。

 上記の基本方針に則り、環境に配慮した製品の開発や二酸化炭素排出量の削減に努めています。

 

(1)ガバナンス

 気候変動が当社の事業活動に及ぼすリスクであると認識しております。

 当社グループ製品のユーザーは脱炭素に向けた取り組みを進めており、当社グループも製品を供給する側の責任として脱炭素に取り組む必要があります。

 事業本部毎に取扱い製品が異なりますが、いずれも製造過程で生じるCo2を削減するための取り組みに努めております。

 当社グループは、事業展開を通じて持続可能な社会の実現を目指し、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)に取り組んでいきます。具体的な内容につきましては以下のとおり当社ウェブサイトにて開示しております。

・Environment(環境)https://www.parkercorp.co.jp/sustainability/environment/

・Social(社会)https://www.parkercorp.co.jp/sustainability/social/

・Governance(ガバナンス)https://www.parkercorp.co.jp/sustainability/governance/

 

(2)戦略

・気候変動

 製品の製造工程の効率化による電力使用量の削減、照明のLED化、エアコンの更新等を通じて二酸化炭素の排出量削減に努めております。

 

・人材育成方針

 競争力の源泉は「人」であり、戦略的思考と発想を持ち、自ら行動し問題解決する能力を有したグローバルに活躍できる人材を中長期研修制度により育成しています。入社後5年目までは中堅社員になるまでの意識や能力の開発を目的とした研修を毎年実施し、6年以降の社員に対しては各職責・職種に合わせた研修を実施し、リーダーシップ育成に取り組んでおります。また、管理職には部下育成を目的としたマネジメントやコーチング研修を実施し、社員一人一人が能力を発揮しやすい環境を整え、人材育成を推進しています。

 

(3)リスク管理

 当社は、当社グループが直面することが予測されるリスクを事前に回避すること、および万一リスクが顕在化した場合に生じる被害を最小化するために実効性のある体制づくりを進める目的でリスク管理員会を設置しております。

 気候変動に起因するリスクも、当社の事業活動に影響を与えると認識しております。

 リスク管理委員会において対処すべきリスクを選別し、またその対応方針を検討・展開しております。

 

(4)指標及び目標

 当社は、持続可能な社会の実現に寄与するよう環境に配慮した製品の開発や展開により二酸化炭素排出量の削減を目指しております。また、お客様の製品品質・生産性の向上に貢献するとともに、持続可能な社会の実現を目指すべくECO型洗浄剤や水溶性洗浄剤の大気汚染防止・水質汚濁防防止といった自然環境に配慮した製品の開発に注力しております。具体的な指標及び目標に関しましては長期的かつ特定の目標の設定や指標の測定が困難であり、今後の経営課題として取り組んでまいります。

 また、女性管理職比率、男性の育児休業取得率の実績値につきましては「第1 企業の概況 5従業員の状況」に記載しております。管理職に占める女性労働者や男性の育児休業取得率等の割合について、今後は具体的な目標の設定と管理を行い、継続して働きやすい環境整備や従業員の意識改革などをはじめとした取り組みを推進して数値の向上を目指します。

 なお、連結グループ内の規模や取り組みの多様性により、統一的な指標や目標の設定が困難であるため、主要な国内会社のものとなります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループは以下のリスクに対応する為、リスク管理委員会を設置するとともに、リスク管理規程に従い、未然防止の観点からリスクの認識と対応策の整備・運用を行うとともに、リスク管理委員会はリスク管理の状況を取締役会によって構成される内部統制委員会へ報告する体制を整えております。

 なお文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況について

 当社グループは、アジア、北米、欧州にて製品の製造又は販売を行っております。販売している国もしくは地域の経済状況が景気後退、大規模な震災・台風等の自然災害による操業の中断等、またはそれに伴う需要が縮小した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 自動車、電機、化学、鉄鋼、電子、食品等多岐に亘る業界のお客様に貢献して参りました各セグメント毎の強みを活かし、特定の業界・地域だけに依存しないことによりリスクの低減に努めております。

 

(2)為替レートの変動について

 当社グループの事業は、グローバル展開しております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表のため円換算されており、換算時のレートにより、換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 このため通貨価値の変動により製造と材料調達コストが影響を受ける可能性があります。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 デリバティブ取引規程に基づく為替予約や、親会社を含めた為替変動リスクの低い国での資金調達によりリスクの管理・低減に努めております。

 

(3)商品競争力について

 当社グループの事業は海外市場への更なる展開を考えておりますが、海外市場においてはより多くの競合他社が存在し得ると考えられます。当社グループは競争力ある製品の開発・販売をめざしてタイ、中国等に生産拠点を展開していますが、競合他社がより低コストの製品の供給が可能になった場合には、熾烈な価格競争になり当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製品の研究開発部門も増強を図ってまいりますが、今後投資に見合う新製品・新技術の開発が出来ない可能性があります。商品性能など商品競争力が不足することから、売上高が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の欠陥について

 当社グループは、世界的な品質管理基準に従って製品製造しておりますが、すべての製品に欠陥がなく、将来にわたってクレームが発生しないという保証はありません。また製造物賠償責任については、保険に加入しておりますが、賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なクレームや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に悪影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保や育成について

 「企業は人なり」の精神の下に、有能なエンジニアやキーパーソンの人材確保、育成には力をいれていきますが、これらの有能な人材の確保又は育成が出来なかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制等について

 当社グループは、事業展開する各国において、様々な政府規制の適用を受けております。将来において特許、為替管理、環境及びリサイクル関連の法規制の適用等を遵守できなかった場合には、営業活動が制限されることや、コストが増加することが考えられ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)カントリーリスクについて

 当社グループの事業は、グローバル展開しております。事業拠点を置いている国または当社グループの事業が関連するその他の国において戦争やテロなどの不安定な社会情勢を含むカントリーリスクにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損損失

 当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)大規模災害・感染症等による影響について

 2011年3月に発生いたしました東日本大震災のような想定を超える大規模災害が発生した場合や、2020年に発生した新型コロナウイルスのような感染症等が発生した場合は、営業活動が制限され、サプライチェーンの状況や電力供給不足・ロックダウン等による大手ユーザーの生産調整等により直接的・間接的に影響を被り、さらには災害等の発生に伴う消費動向の低下などが生じた場合は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、海外向け輸出の減少や物価上昇の影響により一部には弱い動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことにより、インバウンド需要の回復や設備投資の拡大など景気は緩やかな回復の動きで推移しました。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格や原材料の高騰、急激な円安による物価上昇に加え、中国経済の減速、中東地域をめぐる情勢及び世界的な金融引き締めの影響などによる海外景気の減速懸念等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループの主力の取引先である自動車業界は日本国内では半導体供給制限の緩和により、自動車の生産台数は回復しましたが、年度末にかけては生産停止により大きく落ち込みました。また当社の主力市場である中国では経済の減速に伴う自動車販売の不振により業績が悪化しました。

 このような状況のもと当社グループは、社会情勢の変化や需要を的確に捉え、将来を見据えた幅広い視野を持ち、高い付加価値が込められた製品を提案すること、そのような付加価値を創出する「コト作り」に注力した製品開発に繋げ、更に高いレベルでの技術サービスの提供とグローバル化を推進し、M&Aによる事業領域の拡大など、持続的な成長と顧客の信頼を獲得するよう努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は67,733百万円(前年同期比19.3%増)、営業利益は4,555百万円(同24.6%増)、経常利益は5,022百万円(同31.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は事業買収した会社の取得に伴う負ののれん発生益790百万円と中国市場環境の著しい悪化に伴い、中国子会社の有形固定資産の減損損失654百万円を計上したことにより、3,601百万円(同45.3%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績につきましては、次のとおりであります。

 

・機械部門

 国内の食品・化学業界向け機械の輸入販売は円安と受注案件が来期に移行した影響を受けましたが、堅調に推移しました。また自動車業界向け設備は新車開発や検収の遅延等により低調に推移しました。

 当部門の売上高は、2,524百万円(同9.6%減)、営業利益95百万円(同2.1%減)となりました。

 

・化成品部門

 自動車業界向けの製造販売は、国内におきましては半導体の供給制限が緩和され自動車生産台数が増加したことにより堅調に推移しましたが、主力市場である中国では低調に推移しました。

 当部門の売上高は30,876百万円(同50.1%増)、営業利益は1,558百万円(同53.4%増)となりました。

 

・化学品部門

 国内外市場向けの一般工業用ケミカル及び特殊ケミカルの製造販売は堅調に推移し、大型設備の販売もあり増収増益となりました。

 当部門の売上高は6,750百万円(同5.6%増)、営業利益は314百万円(同77.5%増)となりました。

 

・産業用素材部門

 自動車用防音材の製造販売は、半導体の供給制限の緩和により自動車生産台数が増加したことにより堅調に推移しました。家電用防音材の製造販売は、取引先の在庫調整等の影響により低調に推移しました。

 当部門の売上高は17,744百万円(同7.6%増)、営業利益は1,618百万円(同18.2%増)となりました。

 

・化工品部門

 国内ファインケミカルの製造販売は低調でしたが、海外ファインケミカル並びに国内カーケアケミカル・医薬品向け乾燥剤の製造販売は堅調に推移しました。

 当部門の売上高は6,490百万円(同3.6%増)、営業利益は757百万円(同20.7%増)となりました。

 

 

・その他部門

 その他部門は主に化学原料の輸出入が減少したことにより低調に推移しました。

 当部門の売上高は3,346百万円(同21.6%減)、営業利益は210百万円(同42.6%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、248百万円増加の15,402百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5,217百万円(前期は3,765百万円)、減価償却費1,868百万円(前期は1,567百万円)、負ののれん発生益による790百万円の減少、売上債権の減少による367百万円の増加(前期は1,469百万円の減少)、棚卸資産の増加による102百万円の減少(前期は931百万円の減少)、仕入債務の増加による1,132百万円の増加(前期は1,064百万円の増加)、法人税等の支払額による1,257百万円の減少(前期は778百万円の減少)等により、5,325百万円の収入(前期は4,165百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,301百万円(前期は1,058百万円の支出)、有形固定資産の売却による収入45百万円(前期は33百万円の収入)、連結範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出1,815百万円等により、3,897百万円の支出(前期は2,506百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出314百万円(前期は1,087百万円の支出)、リース債務の返済による支出705百万円(前期は361百万円の支出)、配当金の支払500百万円(前期は401百万円の支出)等により、1,696百万円の支出(前期は482百万円の支出)となりました。

 

③ 成約及び販売の実績

a.成約実績

 当連結会計年度における成約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

成約高

成約残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械部門

2,361

77.1

874

84.2

化成品部門

30,890

150.1

193

107.7

化学品部門

6,703

101.9

457

90.6

産業用素材部門

19,161

123.0

1,723

561.1

化工品部門

6,485

103.0

106

95.2

その他

2,996

64.2

209

37.4

68,597

120.8

3,564

132.0

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械部門

2,524

90.4

化成品部門

30,876

150.1

化学品部門

6,750

105.6

産業用素材部門

17,744

107.6

化工品部門

6,490

103.6

その他

3,346

78.5

67,733

119.3

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、総資産は、新規連結会社取得の影響もあり前連結会計年度末と比べ9,234百万円増加し、69,395百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加(2,000百万円)、為替による影響や原材料高騰による商品及び製品の増加(602百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(1,015百万円)、流動資産のその他の増加(2,210百万円)、新規連結会社取得等による有形固定資産の増加(1,248百万円)によるものです。

 負債合計は新規連結会社取得の影響もあり前連結会計年度末と比べ3,947百万円増加し、25,064百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加(2,182百万円)、流動負債のその他の増加(678百万円)、固定負債のリース債務の増加(532百万円)によるものです。

 純資産合計は前連結会計年度末と比べ5,287百万円増加し、44,331百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(3,101百万円)、為替換算調整勘定の増加(1,098百万円)によるものです。

 

 連結業績につきましては、売上高は、当社グループ主力販売先である自動車業界は日本国内では半導体供給制限の緩和により、自動車の生産台数は回復したことにより増収となりましたが、販売先の生産停止により年度末にかけては落ち込みました。また2023年4月に取得した自動車用の鋼板用補強材等の製造販売により海外の売上が増加しました。一方、当社グループの主力市場である中国では経済の減速に伴う自動車販売の不振により売上が大きく減少しました。その結果、前連結会計年度に比べ、10,947百万円増加し67,733百万円となりました。

 売上原価は、売上の増加と原材料の価格高騰により、前連結会計年度に比べ、7,999百万円増加し51,380百万円となり、売上総利益は、前連結会計年度に比べ、2,947百万円増加し売上総利益率は24.1%の16,353百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、主に新規連結子会社の経費の増加の他、売上増加に伴う保管・運送費57百万円の増加、給与手当・賞与金90百万円の増加等により、前連結会計年度に比べ2,047百万円増加し11,798百万円となりました。

 営業利益は、売上総利益が2,947百万円増加し、販売費及び一般管理費が2,047百万円増加したことにより、前連結会計年度に比べ900百万円増加し、営業利益率は6.7%の4,555百万円となりました。

 経常利益は、国内外の金利上昇に伴い、受取利息と支払利息がそれぞれ増加しました。また円安による為替差益205百万円の増加(前連結会計年度は為替差損49百万円)等により営業外収益は408百万円増加し、前連結会計年度に比べ1,212百万円増加し、5,022百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、事業買収した会社の取得に伴う負ののれん発生益790百万円を特別利益に計上しましたが、中国市場環境の著しい悪化に伴い、FPMEの有形固定資産の減損損失654百万円を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ1,122百万円増加し3,601百万円となり、1株当たり当期純利益は143円99銭(前連結会計年度は99円02銭)となりました。

 

 当社グループは、「私たちは、お客様の価値向上に寄与し、未来創造のパートナーとなりたい」との経営理念のもと従業員一丸となり、今まで培ってきた顧客からの信頼を大切にし、顧客に対し「あ、それ良いね!」を提供する会社を目指して参ります。具体的には、「国内事業の競争力強化」と「海外収益の拡大」を経営の両輪として継続的な成長と安定した収益体質の実現を経営の目標としております。自社の強みを磨き、過去の延長線上ではない新たなる可能性に挑戦していくことにより収益源の多様化を図り、市場環境に左右されない収益基盤の構築を目指していくことです。特に国内事業の収益拡大に向けては「製品力とコスト競争力」の強化のためのマーケットニーズに即した差別化製品の研究開発を強化し、顧客が満足する魅力ある製品と質の高いサービスの提供によって、「顧客満足度の最大化」を追及し、次の収益基盤となる「新市場の創造」に向けた事業戦略を立案し、実行推進していくことを目指しております。

 経営目標としては株主資本利益率(ROE)7%以上、営業利益率8%以上を目指しております。当連会計年度の連結営業成績につきましては、売上高は前連結会計年度に比べ、10,947百万円増加し67,733百万円となりました。半導体供給制限の緩和により、自動車の生産台数は回復したことにより増収増益となりました。その結果、営業利益は3,655百万円、営業利益率は前連結会計年度に比べ0.3%改善し、6.7%となりました。ROEは当連会計年度におきまして事業買収した会社の取得に伴う負ののれん発生益790百万円を特別利益に計上したことにより9.2%となりました。

 今後の見通しにつきましては、雇用所得環境の改善により、緩やかな景気の回復が期待される一方で、地政学リスクの継続や中国における経済成長鈍化の長期化など、先行き不透明な状況が継続すると見込んでおります。

 このような状況の下、当社グループとしましては、M&Aで新規子会社を所有したことにより、主力の自動車業界においてグローバル供給体制の最適化を加速化すると共に、差別化製品の開発や更なる海外市場の開拓を促進し、より一層の国内外の顧客の発展と合理化に寄与するために、企画力・開発力・技術力を結集し、先進的商品を製造・供給することを努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入を始めとし、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用のための運転資金であります。投資目的の資金需要としましては、製造及び試験研究を目的とした設備投資や、子会社株式の取得等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することと効果的に流動性を高めることを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,752百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は15,402百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためにこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、ロシアによるウクライナ侵攻など、世界経済の先行きは不透明な状況が続いておりますが、将来収益に与える影響を客観的に予測することが困難であることから、発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、当社グループ独自の先駆的な商品及び技術の開発を行うことを基本とし、主に技術本部(パーカーコーポレーションテクニカルセンター;東京都江東区枝川)において、各部門(機械、化成品、化学品、産業用素材、化工品など)の商品に繋がる技術課題につき研究開発を進めております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は984百万円であります。

 

 セグメントの研究開発活動を示すと以下のとおりであります。

 

機械部門

 設計から組立・調整まで行っている自動車業界向け設備販売と、食品・化学業界向け各種生産設備・試験機の輸入販売、これら2つの商品群が事業の柱となっております。自動車業界においては各種内装部品の質感を向上させる加飾化が強まり、さらにEV化の主要部品であるバッテリー関連部品の加工を含めた自動化・省人化設備、複数の工程を集約した合理化設備の確立に注力しております。食品・化学業界には新規・既設工場の自動化・省人化に繋がる機器や、食品の安全性を高める目的で製品や原料の状態を的確に分析するカメラセンサーを用いた画像解析装置を展開しております。

 機械部としては安全を第一に、自動化・省人化(省エネ)・合理化、そして品質の安定と向上をテーマとして開発、開拓を推進しております。

 当連結会計年度の研究開発費は34百万円となっております。

 

化成品部門

 新規開発分野では、新ゴム接着剤を主体とした技術開発を主として行っています。

 自動車部品関連分野では、様々なお客様ニーズに対応し、遮音、遮熱用途をはじめとする材料開発や部品設計により、自動車車両への採用拡大を目指します。

 その他、国内外のグループ内製造工場における技術支援も行なっております。

 当連結会計年度の研究開発費は251百万円となっております。

 

化学品部門

 化学品部門は自動車、機械、電気、鉄鋼、特殊鋼業界の様々な生産プロセスにおけるメタルワーキングをサポートするためのケミカル製品の開発・製造・販売やケミカルに適合した装置の提供を行うことでトータルシステムサポートをご提供させて頂いております。このケミカル製品は自動車・機械などの加工部品の洗浄剤から防錆剤、塗装製品・塗装治具の塗料剥離剤、塗装ブース循環水の水処理剤、鉄鋼関連の表面改質剤、バレル研磨用コンパウンドなどバリエーション豊富なオリジナル製品を様々な市場へ提供し続けております。

 サスティナビリティへの取組みとしては、洗浄剤の常温化、水系塗料シンナーの低VOC化、塗料剥離剤の低温化、窒素フリー型防錆剤など環境性能や経済性を追従した新製品を市場へ展開しております。そして、テクニカルセンターでは、お取引様の様々な課題やニーズに適したケミカル製品の選定、システムの最適化、新製品の開発を行い、随時、最適なソリューションをご提供するために技術スタッフが常駐し迅速な対応をしております。

 当連結会計年度の研究開発費は167百万円となっております。

 

産業用素材部門

 自動車、家電製品などの騒振対策に用いられる軽量で音響性能の優れる防音材の開発を行っております。自動車用においては、今後増加が予測される電動車両への対応も視野に入れた各種繊維系材料及びウレタンフォーム等を中心とした素材開発と防音製品への応用技術の開発を行うとともに、防音性能評価技術、性能予測シミュレーション技術を用いて、材料選定から製品までの音響特性を解析し、お客様のニーズに応える最適な防音材及び防音システムを考案し、製品化に繋げております。また、海外拠点拡大に伴い、現地での素材開発や省人化を目指した設備開発を進める為、技術サポートをしております。

 当連結会計年度の研究開発費は352百万円となっております。

 

化工品部門

 IoT・AI・ロボット・自動運転車・ドローン等による「新しい価値」を創造する社会を実現するためには、半導体・電子部品が益々重要となっております。このような先進デバイス(次世代ディスプレイ・センサなど)の製造ラインで使用される高品質なファインケミカルの研究開発を行っております。

 また、一般の方も利用するセルフSSなどの洗車機に用いられるカーケアケミカルや、鉄道・航空機・船舶などの「安全・安心」な運行/運航に必要不可欠なメンテナンスケミカルの研究開発も行っております。

 当研究開発部門では、これまで培ってきた薬液の配合技術や精密な分析・評価力を生かし、カーボンニュートラルを目指す急速な市場の変化に適した製品開発に注力し、国内はもとよりアジア諸国での現地供給化も推進しております。

 当連結会計年度の研究開発費は161百万円となっております。

その他

 建設資材関連の屋上防水シート並びに土木資材関連の遮水シートに用いられる耐候性に優れた加硫ゴムシートの開発とその工法の考案を行っております。

 また生活資材関連として加硫ゴムの特性を活かした、長寿命で廃棄物の削減に繋がり、水切りがよく衛生的、且つ包丁の“刃アタリ”が木製と遜色のない“合成ゴム製まな板”の開発を行っております。

 当連結会計年度の研究開発費は16百万円となっております。