当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、経営理念として掲げている「金融サービスを通じて、社会・経済の発展に貢献する」、「金融サービスにおける革新者を目指す」、「健全な事業活動を通じて、関わる全ての人を大切にする」の三つの基本理念を踏まえ、各事業の企業価値を向上させ、株主利益を最大化させていくことを会社経営の基本的な方針としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、1999年の創業以来、個人投資家向けに最先端の金融デリバティブ取引サービスを提供するリーディング・カンパニーとなることを目指して成長を遂げてきた実績と、高いノウハウによる安定性と豊富な実績を誇るシステム開発能力で、多くの方にご支持いただけるサービスを構築してまいりました。スピード感あるサービス提供及びシステムの開発体制を原動力とし、新たな金融サービスの創出、協業先との連携をさらに強固に推し進め、更なる価値を創造してまいります。
金融商品取引事業においては、高金利通貨にフォーカスした競争戦略を起点として、顧客に訴求できる特徴を打ち出したサービスの強化及び顧客データを徹底的に分析し費用対効果の追求とターゲット層を明確にしたマーケティング戦略を実行してまいりました。また、金融商品取引事業の収益性を左右するカバーディーリング手法の精度向上にも注力し、効率的かつ収益性を高める手法の研究を重ね、着実に実績を積み上げてまいりました。さらに、『みんなのFX』と商品趣向を変えた『LIGHT FX』を立ち上げ顧客層の拡大、顧客資産の増加を達成し、更なる収益力の強化を図ることにも成功しました。
グループ体制としては、2015年12月に実施した株式交換により完全子会社となったシステム事業会社がシステム開発の中核となり、自社システムを稼働させ、高い安定性と企画開発スピードの早期化、システム関連の低コスト化を実現したことで競争力を高めてまいりました。
グループの中核事業である金融商品取引事業とシステム開発・システムコンサルティング事業が連携し、早期に問題抽出・分析・改善が行える体制を構築することにより、事業シナジーを生み出しています。
以上のような取り組みによる成果が結実したことにより、金融商品取引事業の顧客預り資産はFX業界の中でも著しい増加を達成し、連結業績の飛躍的な改善によってFX事業の根幹となる自己資本の充実と資金確保を継続的に図ることができました。
今後当社グループが経営の健全性を保ちつつ成長を加速させるための経営戦略としては、これまで獲得した強みを武器に、さらに業界トップ3へ到達するための各分野の戦略を遂行しつつ、事業リスクを過小評価せず、慎重な経営判断を行うことをベースに、強い経営体質の確立を目標としてまいります。
具体的には、限られた経営資源を金融デリバティブの事業とシステム事業の拡大に集中し、本業の収益強化を目指します。スピード感をもって提供する商品の多様化を図り収益力を強化すること、システム事業会社が高付加価値と競争力あるシステムを開発し続けるための開発体制を拡充することに重点的に取り組むとともに、体制面では経営監視が適切に機能するガバナンスの強化にも力を入れてまいります。
なお、各分野における具体的な取り組みについては、「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2027年3月期末までに顧客預り資産を約1,450億円まで積み上げ、業界ポジションにおいてトップ3に位置付けることを中期的目標としております。
(4)経営環境
当社グループの事業領域である金融サービス分野では、AIやビッグデータ解析等の情報技術の進歩により投資対象となる金融商品や投資手法の多様化・高度化が進んでおります。我が国経済は、2022年3月より米国金利の上昇により日米に金利差が生じたことによる歴史的な円安局面を迎えております。そうした中、FX取引業界においては、個人投資家を中心に資金の流入は継続し取引量も拡大していますが、競合他社とのスプレッド競争及びスワップポイント競争の激化により収益は圧迫され、顧客獲得のための広告宣伝費等の支出増加が避けられない厳しい状況が続いています。また、相場変動でFX取引高が膨らんでも、上位数社に取引シェアが集中する傾向が顕著となっており、すべての店頭FX業者に対して決済リスクの管理強化のため、事業遂行上の財務の健全性を継続的に向上させることを求める規則(ストレステスト)を遵守していくには、中位・下位に位置する店頭FX業者にとって、とりわけ厳しい経営環境が続いており、FX業界での生き残りを図るため競合他社同士の合併・業務提携が行われる等、競争は一段と激化しています。
このような経営環境において、業界中位に位置するトレイダーズ証券は、近年、顧客預り資産の増加額及び増加率において順調な伸びを記録しており、安定した利益を確保できるようになってまいりました。今後は、自社グループ内にシステム事業会社を有する強みを活かし、早期に業界トップ3へ到達できるよう、より一層の努力を重ねてまいります。
当社グループにおいては、「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」への取り組みを着実に推進し、今後、外部環境に大きな変化があった場合にも対応できる経営体制を整備し、持続的成長と企業価値の向上を図ってまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、下記の課題について重点的に取り組み、預り資産の増加による収益力の強化並びに経営基盤の強化に努めるとともに、法令を遵守する内部管理体制を充実させることで、企業体質の健全性をより一層高めてまいります。
①店頭デリバティブ取引の充実・強化
業界競争が熾烈を極める金融デリバティブ取引の事業領域において、今後、当社グループが力強く成長して行くためには、主力商品であるFXサービス(外国為替証拠金取引サービス)を始めとする店頭デリバティブ商品がお客様のニーズに沿った商品としての魅力を高めていくことが重要であると認識しております。
そのため、『みんなのFX』においては、業界最高水準のスプレッド・スワップ等の取引条件面で競争優位性を維持しつつ、機動的・効果的に高金利通貨・新興国通貨の取り扱いを開始するなど、ニッチトップ戦略による他社との差別化を図ってまいります。また、カバーディーリング手法のさらなる高度化に向けた研究と実践を積み重ねていくことにより、収益率の極大化を目指してまいります。
一方、『LIGHT FX』については『みんなのFX』とは差別化した商品性を打ち出し、特定通貨ペアを業界最高水準のスワップに設定するなど、中長期的な投資メリットを好む顧客層へ効果的に訴求し、口座開設と預り資産の純増を図ってまいります。また、新規の口座開設を通じた顧客基盤の拡大及び預り資産の増加を目指すため、WEBメディアやマス広告等の各種媒体への短期的かつ効果的なマーケティング展開による宣伝・露出の拡充を図ることに加えて、中長期的な認知度向上のためのブランディング広告を積極的に実施するとともに、お客様との持続的なリレーションを強化する営業施策にも力を入れていくことで、顧客ロイヤリティを高めてまいります。
今後もお客様の投資・運用に関する新たな価値を提供し、多様な投資家層に訴求しうる良質な商品・サービスを提供し続けていくことで、収益の安定性をより強固なものとし、事業の持続的な成長を追求してまいります。
②システム開発力の強化
金融事業においてシステムは事業基盤の中枢であり、システム開発力は金融商品の画一的な商品性の中で唯一お客様に対する競争力の差が出る部分であり、さらに、システムのリリースの早さそのものが新商品のその後の市場シェアの獲得の優劣を決める重要な要素にもなります。
そして、当社グループは、金融・証券業界の中でも数少ない自社グループ内ですべてのシステム開発を行うことができる体制を有しており、技術力の高さと現場の緊密さがリリースの早さと付加価値の差を生み出し、これらが成長戦略を追求する上で重要な優位性につながるものと自負しております。
このようなシステム開発を担う事業会社がシステム開発を計画どおりに行いクオリティが高いシステムを提供するためには、今後も国内・海外の開発拠点において優秀なエンジニアの確保が益々重要になってまいります。
当社グループは、システム事業会社がさらに競争力の高いシステムの開発を加速するため、経営計画においてシステム開発の人員の拡充及び国内拠点の育成を中期的な重要テーマと位置づけ、これに積極的な投資を行ってまいります。
③地政学的リスクへの対応
当社グループでは、子会社であるトレイダーズ証券等で利用する金融商品取引システムの開発、運用保守を、主に、中国(大連市)及びベトナム(ハノイ市)に所在する海外子会社2社において行っており、金融商品取引システム開発のコア領域や高度な運用保守業務を担う重要なオフショア開発拠点に成長しております。
一方で、米中関係の動向や北朝鮮・ウクライナの情勢をはじめ、国際関係の緊張化や各国での保護主義的な経済・通商政策への転換、情報・通信に関する法規制・監視の強化や政治情勢の急変等、当社グループが事業や投資(出資)を行う国・地域で地政学的リスクが顕在化した場合、事業活動にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうした地政学的リスクへの対応として、事業継続計画の見直しを行うとともに、一定規模の人財投資を行い、高度な技術者集団を確保し、国内におけるシステム開発体制の強化・拡充を図るとともにシステム品質の向上に継続的に取り組むことで、各海外子会社で行っているシステムの保守・運用を日本国内及び海外子会社二社間で相互に補完できる体制の構築を図ってまいります。
④優秀な人財の確保
当社グループが今後も持続的に成長し、業容を拡大させていくためには、優秀な人財を確保し続けていくことが最も重要な課題であると認識しております。
一方、国内経済において、労働力人口の趨勢的な減少と、コロナ禍に起因した労働供給の低下を背景に、人手不足が常態化しております。こうした中、大手企業は労働力を優位に確保するためいち早く賃上げを実施するなど、企業間における人財獲得競争は一層激化し、特に専門スキルや高度な技術を有する優秀な人財を安定的に確保することはますます難しくなっております。
当社グループでは、社会的な信用力や認知度の向上のため、2023年4月に立地条件がよく知名度が高いオフィスビルに本社移転を行い、また、従業員の労働意欲と生産性を高めるべく魅力的なオフィス環境の構築に積極的な設備投資を行いましたが、今後は、専門性の高い優秀かつ多様な人財の確保と長期定着化に資する人事諸制度の改善、高度な技術や知見を有する人財を公正に評価し処遇できる体系の整備等によって、人的資本への重点的な投資を実践し、グループの持続的な業績拡大と価値創造に寄与する人財獲得戦略を強化することで、優秀な人財の安定的な確保を目指してまいります。
⑤コーポレート・ガバナンスの充実
当社の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上には、実効性あるコーポレート・ガバナンスのあり方を不断に追求しながら確立・強化していくことが不可欠であり、当社グループに対する経営の健全性、信頼性を向上させる観点から、内部管理体制の強化を図り、特に、東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードの趣旨・精神を尊重して、コーポレート・ガバナンスの充実に向けて、特に以下の課題に重点的に取り組んでまいります。取締役会等の責務・役割については、多角的な意見を反映した公正性の高い経営の意思決定の実現のため、取締役会等の実効性を高める制度・仕組みの検討・整備や独立社外役員の機能強化を図ること等により、株主様に対する受託者責任を全うしうる取り組みを実践してまいります。
株主様との対話については、当社の持続的な成長に対する支援と評価を得ていくために不可欠であると認識し、今後は経営陣幹部と機関投資家等との建設的な対話をより積極的に推進してまいります。
適切な情報開示と透明性の確保については、適時開示情報のみならず、当社の中長期的に目指す理念や方針をはじめ、投資家にとって有用な非財務情報等をわかりやすく記載し、幅広く提供してまいります。
また、すべてのステークホルダーとの適切な協働を図ることは、当社の持続的な成長に不可欠であり、当社経営理念にも掲げる重要なテーマと認識しております。今後は、社会問題や環境問題等のサステナビリティを巡る諸課題の対応に向けて、当社グループの事業内容や特性を活かし、課題の解決に貢献し得る活動内容を具体化し、積極的に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、「金融サービスを通じて、社会・経済の発展に貢献する」という経営理念のもと、グループにおけるサステナビリティに関する中期的な取り組みを議論し、推進するための社内機関として、2021年6月にESG推進委員会を設立いたしました。ESG推進委員会は、常勤取締役、事業子会社2社の代表取締役を委員として構成され、当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進する役割を担っており、サステナビリティを巡る活動のPDCAサイクルの中心的な機能を果たしております。同委員会は、サステナビリティに関する方針を決定の上、社会・環境分野における重要課題(マテリアリティ)を明確化しながら、各事業活動に通じた取り組みを実践し、また、サステナビリティを巡る課題の洗い出しと解決策の策定、モニタリングと必要な事項の決定、マテリアリティに沿った取り組みの事業評価・見直し(監視)を行っております。2024年3月期において同委員会は四半期毎に計4回開催され、同委員会で検討された事項は、適宜、取締役会や経営会議へ報告・フィードバックする体制を構築し、重要事項は取締役会で審議・決議を行うなど、取締役会等と連携して推進しております。
マテリアリティの策定にあたっては、主軸の金融事業・システム開発事業を通じて、社会・環境とともに持続的(循環的)に成長するために不可欠な課題を抽出、特定しております。当該マテリアリティに真摯に取り組むことこそが当社グループの企業行動指針と位置付けており、SDGsなどの国連の持続可能な開発目標として掲げる、社会・環境その他諸課題の解決に向けた目標(ターゲット)の中から、各テーマを抽出・特定して活動しております。当該活動は取締役会や各子会社と連携し、ステークホルダーと適切に協働しながら展開しており、内容等につきましては当社Webサイトに掲載しております。
URL: https://www.tradershd.com/sustainability/
(2)戦略
当社グループは、社会課題・経営課題を経営上のサステナビリティ課題として認識し課題解決に向け取り組んでおります。中でも、気候変動は当社グループにおける重要課題であり、グループ経営理念や経営ビジョンにもとづきサステナビリティ戦略の一つとして取り組みを強化してまいります。
また、当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針を、「トレイダーズグループは、グループの価値観を共有できる人財、即ち「関わるすべての”人”を大切にし「コンプライアンス」と「ダイバーシティ」を尊重し、変革にチャレンジし続ける」人財を育成する観点から、人財ひとりひとりに対し、研修や学び直しの機会を提供することとする。」と定めるとともに、当社グループにおける、社内環境整備に関する方針を、「トレイダーズグループは、職場の安全と社員ひとりひとりの心身の健康を守り、従業員が社会的にも満足するという状態を作り出すために、ウェルビーイング経営に取り組む」と定め、人財の育成並びに労働環境の充実に関する取り組みを強化しております。
人財育成の土台である人事制度につきましては、より透明性の高い制度を創り、人財と共に企業価値を高め、人財の育成と個々の人財のエンゲージメントを高めるべく人事制度改定プロジェクトを進め、2024年4月より新人事制度へ移行することを決定いたしました。当社グループが掲げるミッション「Create the New Values ~ 新たな価値を創造し続ける~」、ビジョン「お客様から最も信頼される“FinTech”グループとなり、だれもが未来に投資できる社会を実現させる」、バリュー「当社:関わるすべての“人”を大切にしながら、コンプライアンスとダイバーシティ(多様性)を尊重した経営で、変革にチャレンジし続ける」「トレイダーズ証券株式会社:金融リテラシーの向上に貢献しながら、お客様と社会が求める新たなサービスの提供にチャレンジし続ける」「株式会社FleGrowth:競争力のあるサービスを提供しながら、スピード感をもって安定的かつ革新的なシステム開発にチャレンジし続ける」及び上記人財育成方針を基軸として制度設計されたものであり、求める人物像、即ち人財ビジョンとして、当社は「コンプライアンスとダイバーシティを尊重したコミュニケーションで“人”を大切にできる人財」を、トレイダーズ証券株式会社は「協調性を持った未来の豊かさへ貢献できるイノベーション人財」を、株式会社FleGrowthは「スピード感を持った革新的なシステムを開発できる人財」と明確化いたしました。
(3)リスク管理
当社では、サステナビリティを巡る活動において、内在するリスクが顕在化したり、外的環境から影響を受けたりすることで事業継続に深刻な影響を及ぼす事態が発生した場合に適正に対処するため、また、関連する諸リスクの早期把握、検出、原因分析並びに対処方針・対応措置等の的確な実施を行うため、以下のプロセスで適切なリスク管理を行っております。
①マテリアリティ分析と項目の抽出・整理
②アクションプランや目標(ターゲット)の策定・実行
③活動後の検証・評価
④新たな課題の洗い出しや目標値の再設定等を繰り返すPDCAサイクルをESG推進委員会において実践
さらに、当社グループの業態や経営環境、企業価値へ特に大きな影響等を及ぼし得る危機管理(リスク発生)事案となる場合には、代表取締役社長を統括責任者とする危機管理委員会を設置し、事前対策としての予防的対処、及び問題拡大防止や損害・損失の極小化による利益確保のための事後的対処により、迅速かつ適切な対策を講じる危機管理方法・プロセスを策定しております。
(4)指標及び目標
・人財の育成並びに労働環境の充実
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。また、各指標の選定理由は以下であります。
[指標]
管理職に占める女性労働者の割合
男性労働者の育児休業取得率
労働者の男女の賃金の差異
女性従業員比率
障がい者雇用率
外国人労働者比率
[選定理由]
当社グループは、上記(2)で記載のとおり、「ダイバーシティ」を尊重し、女性の活躍を推進することにより多様な人財の強みを発揮させていきたいと考えております。
[指標]
月平均残業時間
[選定理由]
当社グループは、上記(2)で記載のとおり、「職場の安全と社員ひとりひとりの心身の健康を守り、従業員が社会的にも満足するという状態を作り出す」ことを目指しております。
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度)※ |
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※当社及び連結子会社2社(トレイダーズ証券、FleGrowth)を対象としております。
労働者の男女の賃金に差異が生じておりますのは、管理職における女性労働者の割合が21.4%に留まっており、非管理職に比べ給与水準の高い管理職の男性比率が高いためですが、同じ職種・等級では性別の違いによる賃金の差異はございません。
・地球環境負荷低減
気候変動リスクへの対処として地球環境負荷の低減の取り組みを継続して実施しておりますが、温室効果ガス(GHG)の削減が重要なポイントであることから、CO2排出量を指標と定めております。
2023年4月に本社を渋谷区の恵比寿ガーデンプレイスタワーに移転以来、実質再生可能エネルギー由来の電力の供給を受けております。同ビルにおきましては、空調のためのエネルギー源として主に冷温熱を使用していることから、2024年3月期の電力使用量は前年度比5%減少しましたが、冷温熱使用量が増加したことによりCO2排出量 [Scope 1 + Scope 2]は前期比と変わらずの189(t-CO2)となりました。
今後も本社以外の施設の使用電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることやカーボン・クレジット市場を利用すること等によりCO2排出量削減の取り組みを進めてまいります。
当社グループの電力使用量及びGHG排出量実績値
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
前期比 |
電力使用量(kWh) |
473,353 |
490,058 |
465,857 |
5%減 |
CO2排出量 [Scope 1 + Scope 2] (t-CO2) |
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- |
Scope 1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope 2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(注)1.上記実績値は当社及び連結子会社4社の集計データです。また、第三者保証を受けていない概算値となります。
2.海外連結子会社所在地における排出係数の変更に伴い、2023年3月期のCO2排出量を194(t-CO2)から189(t-CO2)へ修正しております。
当社の経営成績、事業運営及び財務状態その他に関する事項のうち、投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項として、以下のようなリスクがあげられます。これらのリスクは複合、連鎖して発生し、様々なリスクを増大させる可能性があります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、本項目に記載の事項は必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、また、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1 顕在化する可能性を高く想定しているリスク
(1)外部環境によるリスク
①競争激化に伴うリスク
トレイダーズ証券が主力とするFX取引事業は、競合する事業者が多数参入しており、常に取引スプレッドの縮小及びスワップポイントの付与率向上を競っているため収益性は低下の一途を辿る一方、アフィリエイト等の広告単価は過熱を続けており、顧客獲得コストは高止まりするなど、収益環境は年々厳しさを増しております。特に、金融サービスは取引条件の競合他社との優劣が明確に出るため、取引スプレッド及びスワップポイント等が他社に対して劣後した場合、顧客預り資産が他社に流出し、取引量の減少によって収益が低下するなど悪影響が出てまいります。
このようなリスクは、取引スプレッド及びスワップポイントの付与率の比較優劣が、各社によるキャンペーン告知や各種比較サイト・アフィリエイト事業者の情報提供によって常に公表されており、それに応じて顧客は弾力的に資金を移動させるため、常態的に顕在化しうると考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、顧客預り資産の減少により取引量が減少し、トレーディング損益が減少する、或いは継続的に適正な利幅を確保することが困難となり、取引当たりの収益性が悪化し、トレーディング損益が減少するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、取引量が比較的多い顧客層へのコンタクトを強化し、独自のサービスを提供するなど付加価値を高めるカスタマーサポートに力を入れ、顧客ロイヤリティを高める施策をさらに強化して差別化を図ってまいります。また、競合が多数参入するFX取引事業に当社グループの収益の殆どを依存している状況には高いリスクがあるものと認識しており、中期的な重点戦略として、商品ラインナップの拡充による収益の安定性と持続的な収益の成長性を追求してまいります。
②規制・法令等の遵守に関するリスク
トレイダーズ証券は、証券取引事業及びFX取引事業(第一種、第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業)を営むに当たり、内閣総理大臣の登録を受けるとともに、自主規制機関である日本証券業協会、金融先物取引業協会、第二種金融商品取引業協会、日本投資顧問業協会及び日本暗号資産取引業協会に加入しており、金融商品取引法その他の法令のほか、これら自主規制機関の規則に服しています。トレイダーズ証券が法令諸規則を遵守できていない等の要因により、業務停止による業績悪化あるいは、当社グループに対する顧客からの信用失墜を招き、当社グループ全体の業績が悪化するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、社内検査や内部監査等の内部での検知や金融庁及び各自主規制機関等の外部検査での検知、並びに、顧客等からの金融庁等への通報により顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、業務停止、業務改善命令あるいは信用失堕による顧客預り資産の減少、口座の解約、取引量の低下、トレーディング損益の減少といった影響を想定しており、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、信用失堕による受注減少、契約の解除といった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、内部管理統括責任者の指揮の下、全社的な内部管理態勢の強化を図るとともに、継続的な役職員向けのコンプライアンス研修の実施や社内検査・内部監査の実施等、法令遵守・コンプライアンス意識向上の徹底に取組み、制度改正に対しても適切に対応するよう努めてまいります。
③金融商品取引事業等の規制に伴うリスク
投資家がより安全にFX取引を行う環境を整備するために、金融庁は各種の規制の見直しを行い「区分管理信託に関する規制」、「ロスカット・ルールに関する規制」及び「レバレッジ規制」等を導入し、FX取引事業者はそれらの規制を遵守し事業を行ってまいりました。FX取引に限らず金融商品取引において投資が過熱する、多数の一般投資家が損失を被る可能性が高まる等、投資家保護が必要な状況と判断される場合は、金融庁が規制を強化し市場を鎮静化する場合があります。
また、このようなリスクは、一般投資家が過度のリスクを選好し金融商品市場又は特定の商品取引が過熱した場合、並びに市場又は特定の商品取引の鎮静化のため規制される場合に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業における、さらなるレバレッジ規制、金融商品及び金融デリバティブ商品において過度に投機的となっている取引の規制等により、トレイダーズ証券のトレーディング損益等の収益が減少するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、顧客への継続的なリスク情報の提供や顧客の適切なリスク許容度に基づく投資判断を促すことで、顧客が過度に投機的な取引に傾斜しないよう注意喚起してまいります。また、投資対象となる商品ラインアップを拡充することで、顧客が投資リスクを分散できる態勢を整備する一方、トレイダーズ証券における収益減少のリスクを分散するよう努めてまいります。
④経済環境、市況の変化に伴うリスク
トレイダーズ証券の主力事業であるFX取引事業は、日本経済あるいは世界の経済環境の動向や、市況の影響を大きく受ける傾向があります。従って、何らかの経済ショックを発端として為替相場の急激な変動が生じ、顧客に多額の損失が生じた場合は、顧客預り資産が減少し取引量が大きく減少する等の要因により、トレイダーズ証券の収益が長期にわたり低下するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、現在から数年の間に起こる経済環境の変化等により顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、顧客預り資産の減少が長期間にわたり、取引量が減少し、トレーディング損益の低迷が長期間続くといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、顧客への継続的なリスク情報の提供や相場急変動時に備えた顧客への注意喚起を行うなど、顧客の適切なリスク回避の投資判断を促し、顧客預り資産を減少させない施策を講じることで、顧客が持続的にFX取引を行える投資環境の整備に努めてまいります。
⑤地政学的リスク
当社グループでは、子会社であるトレイダーズ証券等で利用する金融商品取引システムの開発、運用保守を、主に、中国(大連市)及びベトナム(ハノイ市)に所在する海外子会社2社において行っております。海外での事業活動においては、外国政府による法令・規制による制約、不安定かつ不確実な政治情勢・社会情勢、資金移動の制約及び当社グループが有する個人情報等が政府からの要請により閲覧可能な状況等の要因により、当社グループが海外子会社を通じて行っている業務・サービス提供が停止又は停滞、さらには撤退を余儀なくされることで、当社グループの業績低下といった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、地政学的なリスク変動による複合的な作用も影響することから、特定することは困難ですが、近い将来に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関してFleGrowthの海外子会社が24時間体制で行っているFXシステムの監視・保守業務の停止やシステム開発の過程で海外子会社から国内データセンターにアクセスして利用している個人情報等の利用を禁止せざるを得ないといった影響を受け、システム開発の業務の停止や停滞、さらには撤退といった影響を想定しております。
当社グループでは、こうした地政学的リスクへの対応として、事業継続計画の見直しを行うとともに、一定規模の投資を行い、高度な技術者集団を確保し、国内におけるシステム開発体制の強化・拡充を図るとともにシステム品質の向上に継続的に取り組むことで、中国・ベトナム・日本の3拠点において特定拠点に依存することのないバランスの取れたシステム開発・運用監視体制の構築を推進してまいります。
(2)当社グループの事業戦略、経営基盤に関するリスク
①新商品の開発又はシステム開発等に伴うリスク
トレイダーズ証券は、多様化する顧客ニーズへの対応を図るため、新商品(新サービス)の導入や既存商品(既存サービス)の改善、見直しを行い、FleGrowthがそれらのシステムの機能強化や新規システムの開発を行っています。しかしながら、開発した商品が顧客ニーズを満たしていない、技術の進歩が速いため商品の陳腐化が極端に早い等の要因により、トレイダーズ証券及びFleGrowthの業績悪化といった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、開発した商品が顧客に全く支持されず利用されない、相対的に他社商品が優れていることが明白であることが明らかになった場合であり、加速度的に技術が進歩するシステム開発事業においては、しばしば顕在化しうることが考えられます。
具体的には、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、開発したシステムはソフトウエアとして資産計上するものがありますが、使用しなくなった場合に固定資産除却損として損失が発生し、FleGrowthの業績を悪化させるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策として新商品及び新システムを開発する場合には、開発コスト及び顧客ニーズを十分検証し検討したうえで、迅速な開発を進めていくよう努めてまいります。
②金融商品取引業等に関する内閣府令に基づくストレステスト実施の結果が経営の健全性に影響を与えるリスク
トレイダーズ証券は、金融商品取引業等に関する内閣府令に従い、金融先物取引業協会の規則に基づきストレステスト(将来懸念される異常事態時の「最大想定損失額」:Aと「固定されていない自己資本の額」:Bを比較し、BがAを上回ることが求められる。)を実施しております。自己資本が不足している又は未カバーリスク、未収金リスク及びカバー取引先破綻リスクのいずれかが増大し最大想定損失額が増加している等の要因により、トレイダーズ証券が経営の健全性を確保するための措置を講じなければならないといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、トレイダーズ証券の業績が悪化し、自己資本が減少した場合又は最大想定損失額が増加した場合に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、自己資本が不足してきた場合、「最大想定損失額」が「固定化されていない自己資本」を上回らないように、利益を減少させても取引ポジションの調整及びカバー先の分散が必要となり、トレイダーズ証券の利益を減少させ、負の連鎖が生じるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、未カバーポジションの適切な管理、カバー先の適切な分散等により最大想定損失額をコントロールするとともに、内部留保の充実に努め、自己資本を継続的に増加させるよう努めてまいります。
(3)事業活動、顧客取引に関するリスク
①オンライン取引のシステム障害に伴うリスク
トレイダーズ証券は、主要商品であるFX証拠金取引において、顧客からインターネットを通じて受注し、一連のコンピュータ処理システム及び第三者への接続を通じて取引を執行しております。当社グループでは、サーバー等の増強、基幹システムのサーバー類の外部データセンターへの移設、より高度なスキルを持つ人財育成に向けた取り組み、システムの改善等を随時行い、あわせてシステム障害時の業務フローの整備等、安全性を確保すべく、システム運用及び保守に努めております。しかしながら、サイバー攻撃による不正アクセス又はこれらのシステムに障害、誤作動が発生し機能不全に陥る等の要因により、当社システムの停止並びにセキュリティ上の問題発生により顧客からの注文を受付けることができなくなる事態及びカウンターパーティーに対するカバー取引を適時に執行できなくなる事態に陥るといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、顧客からの注文が受付けられない事態が生じた場合に、顧客からの信用失墜を招くとともに損害賠償請求が発生するといった影響を想定しています。また、カウンターパーティーに対するカバー取引が適時に執行できない場合は、多額のトレーディング損失が発生するといった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券においてシステム障害発生時のマニュアルを整備し、全社的に障害内容や影響度合いに応じた代替手段や即応体制を迅速に敷くこととしております。また、FleGrowthの海外子会社が24時間体制でシステムを監視しており、異常を感知したときは、すぐにトレイダーズ証券及びFleGrowthにアラートが通知され、迅速なシステム改修等の対応ができる体制を整えております。異常時において適切な対応ができる人財の育成についても、さらに強化するよう努めてまいります。
②資金繰りリスク(トレイダーズ証券)
トレイダーズ証券は、顧客及びカウンターパーティーとの間で取引の売買代金又は証拠金等の受け払い、信託銀行等への顧客資産の分別信託金の預託等、日々多額の資金移動を行っており、厳格な資金繰り管理を行っております。しかしながら、海外のカウンターパーティーとの資金決済は一営業日遅れるため、顧客資産の分別信託金の預託資金及び顧客資産の出金をトレイダーズ証券が立て替えて支払う場合があります。FX相場が大きく変動し多額の立替が必要となる等の要因により、トレイダーズ証券の資金繰りが一時的に逼迫するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、過去の事例からみると年に数回程度の頻度で顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、想定以上のFX相場の変動が発生し、これまでに経験したことがない多額の立替金が必要となった場合に、トレイダーズ証券の資金繰りが一時的に逼迫するといった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策として緊急時における金融機関等からの借入枠増加及びコミットメントライン枠の設定に尽力するとともに、緊急時において利用可能な国内カウンターパーティー数の増加を実現するよう努めてまいります。
③市場リスク
トレイダーズ証券は、顧客とのFX証拠金取引について適宜、カウンターパーティーとカバー取引を行うことによって為替変動リスク(市場リスク)を回避しております。しかしながら、FX相場の急変等の要因により、適時にカバー取引が行えなくなり、多額の損失が発生するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、FX相場が急変し変動幅が瞬時に拡がる場合、カウンターパーティーからレートの配信が停止されカバー取引を行うことができず、トレイダーズ証券が多額の損失ポジションを保持するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券が、国内外の複数のカウンターパーティーとカバー取引を行い、リスクを分散することで損失を最小限にとどめるよう努めてまいります。
④カバー取引先(カウンターパーティー)のリスク
トレイダーズ証券は、顧客とのFX証拠金取引について、複数の金融機関等のカウンターパーティーを相手方としてカバー取引を行い、証拠金を差入れています。しかしながら、世界景気の低迷、金融危機の発生等の要因により、カウンターパーティーが破綻し、トレイダーズ証券が差し入れた証拠金及び決済資金が回収できないといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、過去の事例からみると10年に1回から数回程度の頻度で顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、カウンターパーティーが破綻し、トレイダーズ証券が差し入れた証拠金及び決済資金が回収できなくなりトレイダーズ証券に損失が発生するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券のリスク管理委員会(月次開催)においてカウンターパーティーの財務状況を検証し取引先としての安全性を定期的に確認するとともに、景況が急変した場合には、各カウンターパーティーの財務に問題ないかをトレイダーズ証券の役員間で即座に検討するよう努めてまいります。
⑤顧客立替金が発生するリスク及び同債権が貸倒れとなるリスク
トレイダーズ証券は、FX証拠金取引において、個人顧客については約定代金の4~100%を必要証拠金として預託を受け、顧客が建玉を維持するためには必要証拠金の一定割合を維持することを義務づけています。トレイダーズ証券はFleGrowthが開発した最新の自動ロスカットシステムを採用しており、相場が急変した場合でも顧客に必要証拠金を超える損失が生じないよう努めております。しかしながら、FX市場終了からFX市場開始時の間(一般的には週明け等)に想定を超える急激なFX相場の変動により始値が前営業日終値から大きく乖離する等の要因により、当該損失が顧客の支払許容額を超えた場合には当該損失を顧客がすぐには支払えずトレイダーズ証券の立替金となるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、FX相場の動きが激しく値飛び(配信レートの大幅な乖離)が生じる時であり、FX相場を急変動させるような非常に大きな世界的な事象が発生した場合において顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、FX相場が急変し変動幅が瞬時に拡がる状況において、顧客の必要証拠金を超える損失が生じ、一時的にトレイダーズ証券の立替金となる場合があります。当該立替金を顧客から回収できずにトレイダーズ証券の損失となるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、相場急変動の可能性が想起される場合には、顧客に事前に保有建玉の決済や証拠金の追加預託を促す等の投資リスク情報を提供して、顧客のリスク低減に取り組むとともに、顧客立替金が発生した場合には、回収に向け、迅速な対応を行うよう努めてまいります。また、FleGrowthにおいては、開発した自動ロスカットシステムの能力をさらに高めるよう努めてまいります。
⑥サステナビリティ課題への取り組みに関するリスク
企業が長期的に成長するためには、経営においてESG(環境、社会、ガバナンス)の3つの観点が必要だという考え方が世界中に広まっており、気候変動問題や人権問題などの世界的な社会問題が顕在化している中、ESG観点での配慮ができていない企業は、株主・顧客・取引先等のステークホルダーからの信頼を失い企業存続に影響を及ぼす可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、当社のサステナビリティ課題への取り組みが不十分であるとの判断から、顧客が当社との取引を停止したり、投資家が当社への投資を控えたりすることで当社グループの経営成績及び財務状況が悪化するといった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、社内ペーパーレスの推進、消費電力の削減、地球環境保護に資する金融商品・サービスの開発と提供の推進、若年層・学生・女性への金融リテラシー向上のために為替ディーラーの講師派遣等を実行しており、今後も環境、社会に貢献できることは何かを考え実行してまいります。また、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、実効性あるコーポレート・ガバナンスのあり方を不断に追求し、構築・強化を進めていくよう努めてまいります。
(4)オペレーショナルリスク、その他のリスク
①オペレーショナルリスク
当社グループは、事務処理の過程において、オペレーショナルエラー等の要因により、顧客又は取引先からの損害賠償請求、監督官庁からの行政処分等を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、新たな事務処理方法の適用、法令諸規則の変更、従業員の退職等の機会に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、当社グループの役職員が正確な事務処理が出来ない、あるいは内部統制が有効に機能しない等の事情によって、十分かつ適切なサービスが提供できなくなるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策として事務処理能力が低下することのないよう、優秀な従業員の採用、適切な人員を確保するとともに、外部研修への参加の奨励、社内セミナー等の開催などにより従業員の能力向上に努めてまいります。
②開発したシステムの品質上の重大事故や不具合等による瑕疵等のリスク
FleGrowthは、金融商品取引システムの開発及び開発したシステムの運用・保守を外部金融機関等に提供しております。しかしながら、提供するシステムに品質上の重大事故や不具合等の要因により、提供先から賠償請求を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、納品したシステムの品質上の重大事故により、システムが停止したことで発生する損失をFleGrowthが賠償するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてシステムを開発・納品にするにあたり、システム開発時の、要件定義や設計・開発の各段階の管理を適切に行い、システム開発時の十分な提供先の受け入れテスト(UAT)を実施し、システムの品質を提供先がFleGrowthとともに確認することで不具合が発生しないよう努めてまいります。
③情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)を使ったサイバーテロによりシステムが停止し事業継続ができない可能性及びサイバー攻撃による不正アクセス、コンピュータウイルスの感染、従業員もしくは委託先の不正な情報の持ち出しで、個人情報や機密情報が漏洩する等の要因により、顧客や取引先からの損害賠償請求や監督官庁による行政処分を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、常にその危機にさらされており、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、ランサムウエア攻撃により、FX取引事業にかかる端末やサーバーの暗号化でFX取引システムが長期間停止し事業が継続できない事態の発生、サイバーテロによる多額の身代金の支払、情報漏洩にかかる損害賠償額の支払いや対応コスト等の発生、あるいは社会的信用低下に伴うトレイダーズ証券の顧客預り資産の減少、取引量の減少などによる収益悪化といった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、システム会社であるFleGrowthを中心に情報セキュリティ管理体制の整備や、各種システムのセキュリティ強化を実施しサイバーテロ、サイバー攻撃やコンピュータウイルス感染の予防に努めるとともに、役職員を対象とした標的型攻撃メールへの徹底した注意喚起を行うなど、情報管理において、適切な技術対策や社内管理体制の整備、役職員への教育等の対策を講じております。テレワークに関しては、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。また、役職員に対する法令遵守意識の徹底のための研修の実施及び内部管理体制の整備等により、役職員による不正の探知及び未然防止に努めております。委託先に関しては、外部委託先管理規程を整備し、定期的に委託先業者の適正性を把握、確認することとしており、当社グループの経営に重要な影響を与えるリスクを早期に把握して、対応することができるよう努めてまいります。
④データ管理の不備によるリスク
当社グループは、トレイダーズ証券が営む金融商品取引事業における顧客データをはじめとし、当社グループの事業にかかわる様々なデータを電子媒体、紙媒体等に記録し保存しています。また、FleGrowthでは金融商品取引事業等に関わるシステムの開発やシステム監視・運用をグループ内外の企業へ提供しております。それらのデータが適切に管理されず重要なデータや個人情報・機密情報の漏洩及び消失、又は攻撃者へヒントを与える行為等の要因により、顧客や取引先からの損害賠償請求や監督官庁による行政処分を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、データのバックアップ不備、データの保存媒体の不具合・故障等によるデータの消失、データを管理する委託先での管理不備等により第三者のデータ閲覧が可能となっているなど、常に危機にさらされており、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、情報漏洩にかかる損害賠償額の支払いやデータ復旧にかかる対応コスト等の発生、あるいは社会的信用低下に伴うトレイダーズ証券の顧客や預り資産の減少、取引量の減少などによる収益悪化や、FleGrowthへの損害賠償請求や社会的信用低下に伴う売上減少といった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策として個人情報・機密情報を含む重要データを国内で安全に管理するためトレイダーズ証券及びFleGrowthに専門部署を設けシステム管理体制の整備を強化するとともに、委託先に関しては、外部委託先管理規程を整備し、定期的に委託先業者の適正性を把握、確認することとしており、当社グループの経営に重要な影響を与えるリスクを早期に把握して、対応することができるよう努めてまいります。
2 顕在化する可能性を低く想定しているリスク
(1)外部環境によるリスク
災害の発生によるリスク
当社グループは、地震、津波、風水害等の大規模自然災害あるいは事務所の火災等が発生し、当社グループの従業員や保有資産への被災、業務に必要な人員が確保できない事態、通信障害の発生、及び電力供給不足等の要因により、当社グループの業務運営の継続性の困難や業績の低下といった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、過去の事例からみると10年に1回から数回程度の頻度で顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、業務の継続が困難となり収益が長期にわたり無くなるといった影響、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、FXシステム等の保守・運用の業務停止、システム開発の停止による納品遅延といった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、緊急事態を想定し具体的なBCP(事業継続計画)を策定し、緊急時の代替事務所を遠隔地に確保しております。また、定期的に社内でBCP訓練を実施し、緊急事態を想定したシミュレーションにより、必要な課題を洗い出し、適切な準備を行うことを考えております。また、システム開発・システムコンサルティング事業における対応策として、テレワーク制度導入によるFXシステム等の保守・運用体制の多様化、システム開発の拠点分散化(国内外の全事務所を活用)によるリスクの軽減を図っており、宮城県仙台市にシステム開発・運用のニアショア拠点として事務所を設立し、具体的なリスク分散の計画を策定し実現するよう努めてまいります。
(2)当社グループの事業戦略、経営基盤に関するリスク
自己資本規制比率が低下するリスク
トレイダーズ証券は、第一種金融商品取引業者として、金融商品取引法等の法令により、財務状態の健全性を維持するために、自己資本規制比率(固定化されていない自己資本をリスク相当額(市場リスク、取引先リスク及び基礎的リスク等)で除した比率)の適正水準の維持(120%以上)が求められていますが、業績の低迷等の要因により、自己資本が減少し金融当局から早期是正措置の発動等による業務改善命令、業務停止命令あるいは金融商品取引業登録の取消等の行政処分を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、トレイダーズ証券の業績が悪化し、自己資本が大きく減少した場合又はリスク相当額が増加した場合に顕在化しうることが考えられます。2024年3月31日現在のトレイダーズ証券の自己資本規制比率は、609.5%となっております。
具体的には、FX取引事業に関して、業績の低迷等の要因により自己資本が減少し金融当局から早期是正措置の発動等による業務改善命令を受けた場合、信用失堕により当社グループの業績が大きく低迷するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、適切なリスク管理を行うとともに、顧客預り資産及び取引量を増加させることで、トレーディング損益の増加を図り、自己資本を継続的に増加させるよう努めてまいります。
(3)事業活動、顧客取引に関するリスク
発注先の信用リスク
FleGrowthは、システム開発及びシステム運用・保守に関して、発注先と事前に契約を締結し、その対価を前受金及び納品時又はサービス提供時に受け取っていますが、発注者が信用不安に陥ったり、破綻したりする等の要因により、FleGrowthが売掛金の回収不能や、システム開発途中での中止により損失が発生するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、システム開発及びシステム運用・保守のサービスを提供した後に、売掛金の回収不能が発生しFleGrowthに損失が発生するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてFleGrowthが、発注先と契約を締結する前に、発注先の財務状況や信用力を十分検証し、判断するよう努めてまいります。
(4)オペレーショナルリスク、その他のリスク
①役職員の不正行為によるリスク
当社グループは、役職員の不正行為もしくは予測し得ない不正行為等の要因により、当社グループのブランドイメージに著しい損傷をきたすといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、予期せずに顕在化しうることが考えられます。
具体的には、不正行為の発生により信用失墜が生じ、当社グループの風評リスクが高まり、円滑な事業の遂行が困難となる、課徴金・過怠金等の納付命令を受ける、その他の行政処分を受けるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策として役職員に対する法令遵守意識の徹底、内部管理体制の整備、また、内部通報制度導入により、社内担当部署もしくは外部の弁護士に通じるホットラインの設置等を通じ、役職員による不正の探知及び未然防止に努めてまいります。
②外部業者への業務委託に伴うリスク
当社グループは、当社及び子会社におけるFX取引事業並びにシステム開発・システムコンサルティング事業において、業務の一部を当社グループ外の業者に委託しております。このため、当該外部委託業者のサービスレベルの低下、不正行為等の要因により、当社グループは、事業運営に深刻な支障をきたすといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、予期せずに顕在化しうることが考えられます。
具体的には、外部委託業者の不正行為による個人情報や重要情報の漏洩や改ざん、外部委託業者の経営環境や事業環境悪化による当社委託業務の成果物の品質低下や納品遅延といった影響を考えております。
当社グループといたしましては、対応策として外部委託先管理規程を整備し、定期的に委託先業者の適正性を把握、確認することとしており、当社グループの経営に重要な影響を与えるリスクを早期に把握して、対応できるよう努めてまいります。
③犯罪による収益の移転防止に関するリスク
トレイダーズ証券は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の定めに基づき本人特定事項の確認を実施するとともに、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講じております。しかしながら、トレイダーズ証券の業務方法が同法に準じていない等の要因により、金融監督官庁による行政処分等を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、口座開設の際には常に存在していることが考えられます。
具体的には、犯罪組織がトレイダーズ証券の口座を利用し取引を行ったことが判明した場合、業務改善命令等の処分を受け、信用失堕による顧客預り資産の減少、取引量の低下による収益の悪化といった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、同法に関する社内セミナーを実施するなど従業員の意識を高め、同法の定めに基づき本人特定事項の確認を徹底し、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講じ、犯罪による収益の移転防止に努めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、「売上原価」に含めていた海外子会社の人件費等の費用について、経済的実態をより適切に連結財務諸表に表示するため、「販売費及び一般管理費」の「人件費」に含めて表示する方法に変更しております。そのため、前連結会計年度との比較・分析は、この表示方法の変更を反映させた組替え後の数値で行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行に伴い経済社会活動の制約が大幅に緩和されたことで、インバウンド需要の高まりや旅行や外食等の外出型消費が回復し景気は緩やかに持ち直してきました。しかし、物価上昇による実質賃金の長期的な低下は解消されておらず、成長型経済への転換という政府目標の達成には程遠い状況でした。一方、海外においては、世界的な金融引き締めによる景気減速、中国経済のさらなる減速、ウクライナ侵攻及び中東紛争等の地政学的リスクに起因する海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当連結会計年度の外国為替(以下、「FX」といいます。)市場は、年間を通じて円安傾向が続きました。2023年4月に1米ドル=133円20銭で始まった米ドル/円相場は、キャリー取引の増加に加え、日銀が大規模な金融緩和を維持する姿勢を示したことや米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げへの言及等を受けて円売りドル買いが加速し、6月下旬には1米ドル=145円台まで円安が進みました。7月に入り米国のインフレ率が鈍化し更なる追加利上げの懸念が後退したことから7月中旬には1米ドル=137円台前半まで円高が進みましたが、その後は再び円安トレンドに戻りました。11月の米雇用統計が市場予想を下回ったことや米消費者物価指数(CPI)がインフレ鈍化を示したことから、米国の早期利下げ観測が高まり円は買われ、さらに、12月に入ると植田日銀総裁の発言を受け日銀が金融政策を早期に修正するとの観測が高まり1米ドル=140円台前半まで急速な円高が進みました。しかし、2024年1月に能登半島地震の影響で日銀の政策修正観測が後退したことやFRBによる早期の利下げ観測が後退したことにより相場は反転し、円は対ドルで急速に下落しました。3月に入り日銀のマイナス金利解除観測が強まったこと等から一時1米ドル=146円台半ばまで円高が進みましたが、その後は日本政府による為替介入を警戒しつつも1米ドル=151円台半ばを中心に推移し、当連結会計年度末は1米ドル=151円37銭で取引を終了しました。
このような市場環境のもと、当社グループの主力事業であるFX取引事業を中核とする金融商品取引事業は、子会社であるトレイダーズ証券株式会社において、『みんなのFX』(FX証拠金取引)、『LIGHT FX』(FX証拠金取引)、『みんなのシストレ』(自動売買ツールを利用したFX証拠金取引)、『みんなのオプション』(FXオプション取引)及び『みんなのコイン』(暗号資産証拠金取引)のサービスを提供し収益確保を図ってまいりました。収益を確保する上で重要な指標となる顧客からの預り資産は、前期に引き続き好調な伸びを示し、当連結会計年度末において1,010億17百万円(前連結会計年度末比206億50百万円増、25.7%増)まで増加しました。当連結会計年度のトレーディング損益は、上記の預り資産の増加により97億87百万円(前年同期比10億29百万円増、11.8%増)と前期に記録した過去最高収益を更新しました。
また、子会社である株式会社FleGrowthが営むシステム開発・システムコンサルティング事業は、トレイダーズ証券向けにFX取引システムの開発及び保守・運用を行うとともに、外部顧客向けにFX取引及び暗号資産証拠金取引に関連したシステムの開発及び保守・運用を行い収益の確保を図ってまいりました。当連結会計年度のシステム開発・システムコンサルティング事業における外部顧客に対する営業収益は、2億34百万円(前年同期比1億8百万円減、31.7%減)と前年同期を下回りました。
以上の結果、営業収益合計は、101億3百万円(前年同期比9億9百万円増、9.9%増)となり、売上原価、金融費用を差し引いた純営業収益合計は、99億12百万円(前年同期比10億7百万円増、11.3%増)となりました。
一方、販売費及び一般管理費は54億99百万円(前年同期比3億37百万円増、6.5%増)と前年より増加しました。増加の主な要因は、FX取引事業において広告代理店を変更したことで広告宣伝費が減少し取引関係費が18億11百万円(前年同期比3億97百万円減、18.0%減)に減少した一方で、人件費が22億75百万円(前年同期比3億95百万円増、21.0%増)、不動産関係費が6億92百万円(前年同期比1億4百万円増、17.8%増)、減価償却費が3億28百万円(前年同期比77百万円増、31.0%増)、その他販管費が2億5百万円(前年同期比1億77百万円増、629.7%増)に増加したこと等によります。
その結果、営業利益は、44億12百万円(前年同期比6億69百万円増、17.9%増)となりました。
営業外収益は、助成金収入3百万円等により9百万円(前年同期比2百万円減、19.9%減)となり、営業外費用は、支払利息14百万円及び為替差損14百万円等により31百万円(前年同期比8百万円増、35.4%増)となりました。
その結果、経常利益は、43億89百万円(前年同期比6億58百万円増、17.7%増)となりました。
特別利益は、賞与引当金戻入額3百万円を計上した結果、3百万円(前年同期比23百万円減、88.7%減)となりました。特別損失は、本社移転費用18百万円(前年同期比33百万円減、63.9%減)等を計上した結果、32百万円(前年同期比94百万円減、74.4%減)となりました。
法人税等合計は、税金等調整前当期純利益の増加による繰越欠損金の充当を反映して繰延税金資産を取崩した結果、法人税等調整額が増加したため10億26百万円(前年同期比6億13百万円増、148.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は33億34百万円(前年同期比1億16百万円増、3.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。
(金融商品取引事業)
トレイダーズ証券が営む当セグメントの営業収益は98億69百万円(前年同期比10億24百万円増、11.6%増)、セグメント利益は38億93百万円(前年同期比9億17百万円増、30.8%増)となりました。
なお、FX取引事業・暗号資産証拠金取引事業の当連結会計年度末における顧客口座数、預り資産は以下のとおりとなりました。
顧客口座数 550,823口座(前連結会計年度末比 50,060口座増)
預り資産 1,010億17百万円(前連結会計年度末比 206億50百万円増)
(システム開発・システムコンサルティング事業)
FleGrowthが営む当セグメントの営業収益は26億9百万円(前年同期比1億円増、4.0%増)となりました。同収益の内訳は、グループ会社であるトレイダーズ証券に対するFX取引システムの開発・保守運用等の内部売上が23億74百万円(前年同期比2億9百万円増、9.7%増)、外部顧客に対する売上が2億34百万円(前年同期比1億8百万円減、31.7%減)であります。セグメント利益は5億52百万円(前年同期比2億9百万円減、27.5%減)となりました。
②当期の財政状態の概況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して298億75百万円増加し、1,181億93百万円となりました。これは主に、現金及び預金が36億14百万円及び顧客分別金信託が269億22百万円増加したことによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末と比較して277億29百万円増加し、1,040億71百万円となりました。これは主に、外国為替受入証拠金が270億27百万円増加したこと等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して21億46百万円増加し、141億21百万円となりました。これは主に、剰余金の配当7億15百万円及び自己株式の取得7億5百万円により減少した一方で、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益が33億34百万円及び譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分1億55百万円等により増加したことによります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、営業活動により51億68百万円増加、投資活動により3億29百万円減少、財務活動により12億79百万円減少しました。この結果、資金は、前連結会計年度末と比較して35億84百万円増加し、88億20百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び当該増減の要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、51億68百万円の収入超過(前年同期は13億22百万円の収入超過)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益43億60百万円及びFX取引にかかる短期差入保証金の減少11億48百万円等により資金が増加したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、3億29百万円の支出超過(前年同期は7億29百万円の支出超過)となりました。これは主に、長期預け金の回収による収入1億85百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出56百万円及び無形固定資産の取得による支出3億39百万円並びに投資有価証券の取得による支出1億円等により資金が減少したものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、12億79百万円の支出超過(前年同期は5億90百万円の支出超過)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額による収入2億67百万円があった一方、社債償還による支出1億円及び配当金の支払による7億13百万円の支出並びに自己株式の取得による7億5百万円の支出等により資金が減少したものです。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
システム開発・システムコンサルティング事業(百万円) |
234 |
△31.7 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「金融商品取引事業」及び「その他」につきましては、生産活動を行っていないため記載を省略しております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
システム開発・ システムコンサルティング事業 |
340 |
△37.5 |
105 |
△47.5 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「金融商品取引事業」及び「その他」につきましては、受注生産形態をとっていないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
システム開発・システムコンサルティング事業(百万円) |
234 |
△31.7 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
⑤金融商品取引事業の業務の状況
a. FX取引の売買等の状況
区 分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
|
米ドル |
(百万ドル) |
2,459,491 |
2,282,314 |
△7.2 |
メキシコペソ |
(百万ペソ) |
709,399 |
831,674 |
17.2 |
ユーロ |
(百万ユーロ) |
280,891 |
240,187 |
△14.5 |
豪ドル |
(百万ドル) |
343,647 |
208,500 |
△39.3 |
英ポンド |
(百万ポンド) |
293,875 |
191,951 |
△34.7 |
ハンガリーフォリント |
(百万フォリント) |
8,193 |
107,793 |
1,215.6 |
南アフリカランド |
(百万ランド) |
94,020 |
64,234 |
△31.7 |
ニュージーランドドル |
(百万ドル) |
28,030 |
41,675 |
48.7 |
トルコリラ |
(百万リラ) |
12,984 |
33,867 |
160.8 |
チェココルナ |
(百万コルナ) |
4,157 |
8,246 |
98.3 |
その他 |
(百万通貨単位) |
17,459 |
18,249 |
4.5 |
合計 |
(百万通貨単位) |
4,252,152 |
4,028,693 |
△5.3 |
(注)「その他」には、FXオプション取引並びに暗号資産証拠金取引を含めております。
b. 自己資本規制比率
|
|
(単位:百万円) |
||
|
前連結会計年度 2023年3月31日 |
当連結会計年度 2024年3月31日 |
||
基本的項目 |
(A) |
8,717 |
10,824 |
|
補完的項目 |
その他有価証券評価差額金等 |
|
- |
- |
金融商品取引責任準備金等 |
|
- |
- |
|
一般貸倒引当金 |
|
10 |
23 |
|
長期劣後債務 |
|
- |
- |
|
短期劣後債務 |
|
100 |
- |
|
計 |
(B) |
110 |
23 |
|
控除資産計 |
(C) |
734 |
433 |
|
固定化されていない自己資本の額 (A)+(B)-(C) |
(D) |
8,093 |
10,415 |
|
リスク相当額 |
市場リスク相当額 |
|
6 |
6 |
取引先リスク相当額 |
|
223 |
229 |
|
基礎的リスク相当額 |
|
1,452 |
1,472 |
|
控除前リスク相当額 |
(F) |
1,682 |
1,708 |
|
暗号資産等による控除額 (第17条関係) |
(G) |
- |
- |
|
計 (F)-(G) |
(E) |
1,682 |
1,708 |
|
自己資本規制比率 (D) / (E) × 100 |
|
481.1% |
609.5% |
(注)1.金融商品取引業を営む子会社であるトレイダーズ証券の自己資本規制比率を記載しております。
2.上記は金融商品取引法第46条の6第1項の規定に基づき、「金融商品取引業等に関する内閣府令」で定められた計算方法により算出しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績や状況等を勘案して合理的と考えられる様々な要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
a. 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積り及び繰延税金資産の回収可能性の判断等に当たっては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、課税所得の見積りは将来の経営環境の変化や当社グループの事業活動の推移、その他の要因により変化します。なお、将来、課税所得の予測に影響を与える諸要因に変化があり、当社が繰延税金資産の回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産を取り崩す処理を行うため、連結損益計算書の法人税等調整額が増加し、親会社株主に帰属する当期純利益が減少する可能性があります。
b. 貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討して回収不能見込額を計上しております。なお、将来、相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
c. 固定資産の減損処理
当社グループは、主にインターネットを通じた金融商品取引事業を営んでおり、これらの事業に関する取引システム等については当社グループで開発しているため、多くの固定資産を保有しております。これらの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の兆候があり、減損損失を認識すべきであると判断した場合には、固定資産の減損処理を行っております。なお、将来、営む事業の収益性の悪化や経営環境の変化等により、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりです。
a. 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、過去最高収益を計上した前連結会計年度をさらに更新しました。好調を維持した主な理由は、金融商品取引事業において、為替相場の変動率が前連結会計年度よりも低下する市場環境ではあったものの、顧客預り資産金額が引き続き増加を遂げたことで、FX相場の変動率が高い状況においては大きくトレーディング損益を計上できる態勢を整備できたことが最大の要因であると認識しております。当連結会計年度のFX市場は、第1四半期はマイナス金利政策が続く日本円を調達して高金利の外貨で運用するキャリー取引の増加により円安の勢いが強まったとの見方もあり円安基調が続き、営業収益が大きく増加しました。第2四半期は第1四半期の反動で相場の変動率が低く、四半期ベースで見て当連結会計年度の中で最も不調でした。第3四半期はFOMC参加者の政策金利見通しで2024年の利下げ幅が拡大したことで米国の早期利下げ観測が強まり相場が活況となり営業収益は増加しました。第4四半期後半はレンジ相場が続いて営業収益を多く稼ぐことはできなかったものの、通期では5期連続で最高営業収益となりました。営業収益の好調を維持できたことは、顧客預り資産の増加を第一の目標にかかげ、様々な施策を実行してきた当社の成果が実ったものと認識しております。
金融商品取引事業においては、戦略的なマーケティングによる費用対効果の向上を図るとともに、お客様目線に立った魅力ある施策の実行及びお客様に継続して取引を行っていただけるサービスの提供を心掛け事業を推進してまいりました。今後も、お客様に安全で快適な取引を行っていただけるよう最新のシステム環境の整備充実を図るとともに、継続して当社でお取引いただけるようカスタマーサービス体制のさらなる充実及び魅力ある商品の提供を実現するよう同事業を営むトレイダーズ証券に求めていくことが重要であると認識しております。
システム開発・システムコンサルティング事業においては、外部からの大型システム開発案件の受注が無く、さらに既存の大口顧客の事業規模の縮小に伴う案件整理の影響を受け、外部への売上は前連結会計年度に比べ減少しました。当連結会計年度における外部売上減少の要因は、FleGrowthがトレイダーズ証券向けのオンラインFX取引システムの追加開発を行い機能・安全性の強化に努めるとともに、トレイダーズ証券向けの暗号資産CFDアプリケーションの開発に注力したことに起因するものと考えております。
今後も品質の高いシステムをお客様に提供できるように、FleGrowthには、同社の海外子会社を含めてシステム開発・運用管理体制のより一層の整備・強化に努めるよう求めていくとともに、トレイダーズ証券向けのデリバティブ商品の多様化を早期に実現するため商品開発のスピード向上に向けた対応を求めていくことが重要であると認識しております。
b. 純営業収益
当連結会計年度の純営業収益は、前連結会計年度に比べ増加しました。増加の主な理由は、上記 a.と同様の理由により営業収益が増加したことによるものです。
c. 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ増益となりました。販売費及び一般管理費が増加したものの、上記 b.純営業収益が大きく増加したことによります。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費が増加した第1の理由は人件費の増加です。人件費増加の主な理由は、給与水準の引き上げと業績拡大に伴う賞与の増加です。第2の理由は不動産関係費の増加です。不動産関係費増加の主な理由は、本社移転による不動産費の増加と営業収益増加に伴うシステムコストの増加です。
その結果、販売費及び一般管理費合計は前連結会計年度と比較しますと約6.5%増加しました。
販売費及び一般管理費については、費用が適正に配分されているか、支出金額は適正な水準となっているか等を継続して注視してまいります。
d. 経常利益
当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ増益となりました。増益の主な理由は、上記 c. 営業利益までの利益が大きく増加したことによります。
e. 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ増益となりました。増益の主な理由は、特別利益が減少したこと及び法人税等が増加したものの、上記d.経常利益までの利益が大きく増加したことによります。
特別利益減少の主な理由は、前連結会計年度に計上したトレイダーズインベストメントが保有していた投資有価証券の売却益が当連結会計年度では発生しなかったことによります。
法人税等が増加した主な理由は、税金等調整前当期純利益の増加による繰越欠損金の充当を反映して繰延税金資産を取り崩した結果、法人税等調整額が増加したことによります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
(金融商品取引事業)
トレイダーズ証券が営む当セグメントの営業収益は、「②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 営業収益」に記載したとおりです。営業収益が前連結会計年度に比べ10億24百万円増加しましたが、販売費及び一般管理費が前連結会計年度に比べ1億5百万円増加したことで、セグメント利益は前連結会計年度を9億17百万円上回りました。
トレーディング損益増加の源泉となる顧客預り資産の当連結会計年度末残高は、1,010億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ206億50百万円増加しました。
証券会社の財務指標となる自己資本規制比率は当連結会計年度末 609.5%(前連結会計年度末 481.1%)となり、財務の健全性を維持しております。
(システム開発・システムコンサルティング事業)
FleGrowthが営む当セグメントの営業収益は、トレイダーズ証券からのFX取引システムの利用料及び外部へのシステム等に係る保守運用収入及び販売収入からなります。当連結会計年度における外部売上は、システム開発等の販売収入が減少し、前連結会計年度を1億8百万円下回りました。一方、内部売上はトレイダーズ証券のトレーディング損益が増加したことから、レベニューシェア型である同システム利用料収入が前連結会計年度に比べ2億9百万円増加しました。その結果、当セグメントの営業収益は、前連結会計年度を1億円上回りました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ人件費等の増加により2億75百万円増加しました。その結果、セグメント利益は、前連結会計年度を2億9百万円下回りました。
FleGrowthではFX取引システム及び暗号資産CFDアプリケーション等の金融商品取引システムの開発を中心に行っており、優秀な開発人員の確保を含め、システム開発・運用管理体制を整備・強化し、当グループ内外へのシステムの安定的な提供を可能とする体制構築を図っております。
翌連結会計年度においては、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ③地政学的リスクへの対応」に記載しましたとおり、国内拠点における中長期的に安定したシステム開発体制の整備・拡充と専門要員の確保によるシステム品質の向上に向けて取り組むことで、中国・ベトナム・日本の3拠点における金融取引システムの開発・運用監視業務のバランスを重視した相互補完体制の構築を推進するために一定の投資を行ってまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、当社グループを取り巻く経営環境・事業環境・システム環境等の面から業績に影響を及ぼす事項について「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
a. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 財務政策
当社グループが注力するFX取引事業は、カバー先金融機関に預託する証拠金や日々の取引損益の値洗いに伴う決済金、顧客区分管理信託の受払に伴う立替資金等多額の運転資金が必要となるため、事業を安定化させるためには多額の長期安定資金の確保が必要となります。資金繰りにおいては顧客の取引損益の増減により生じる日々のカバー先金融機関との決済、顧客区分管理信託の受払に関する必要額が予見しづらく、時として多額に上ることも想定されるため、手許の待機資金を十分厚く保持することが必要になります。とりわけ、海外カバー先金融機関からの資金の受取は1~2営業日の日数を要するため、トレイダーズ証券が一時的に多額の資金を立替えなくてはならない可能性があります。
当社グループの財務基盤は、業績の回復とともに改善してきており、利益の積み上げで資金が増加するとともに、金融機関からの融資の取り組みも徐々に増えてきております。しかしながら、当社の資金は、上記の資金需要をまだ十分に満たすには至っていないため、今後も金融機関に対する融資の交渉を続けるとともに、事業運営上の安定化を促進させるための取り組みを行ってまいります。また、万が一、将来において業績が悪化する等の状況に陥り、資金調達が必要と判断した場合には、金融機関等からの借入だけにとどまらず、第三者割当増資又は新株予約権等のエクイティ・ファイナンス及び社債等のデット・ファイナンス等、可能な限りの資金調達方法を検討し、実行することを考えております。
当社は、2023年4月19日開催の取締役会において、国内のスタートアップ企業への投資を目的としたCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「トレイダーズFinTech1号投資事業有限責任組合」の設立及び投資事業有限責任組合契約の締結を決議いたしました。当ファンドを当連結会計年度より連結の範囲に含めております。
1.設立の背景・目的
当社グループは、2021年12月15日に公表したグループビジョン「Traders Group Vision for 2024」において、事業ポートフォリオの見直しによる不採算事業の撤退完了を掲げ、限られた経営資源を金融商品取引事業とシステム事業に集中して本業の収益強化に努めてまいりました。
このような状況下で、1999年の創業以来培ってきた経営理念、ノウハウ及び資源を有効活用し、かつ選りすぐりのスタートアップ企業が保有する革新的な技術・サービスを融合することにより、当社グループのミッションでもある「新たな価値を創造」することを目的としたCVCファンド(以下、「本ファンド」)を設立することに至りました。本ファンドは財務的リターンのみならず、成長を牽引しうる「FinTech領域・その他新規事業領域」における事業成長及び企業価値向上を企図しております。
これまでに当社グループが行ってきた直接投資におきましては、投資対象事業に対する専門的知見が不足していたことや投資先企業の管理に行き届かない点があったことから損失を計上した過去がありますが、その反省を活かすべく、ベンチャー投資運用のプロフェッショナル企業に運用・管理を一任する二人組合型ファンドという形式を選択いたしました。
ビジョンとして「投資の力で持続可能な未来を創る」を掲げ、高度な金融スキルを有するインベストメントLab株式会社とタッグを組み、社会課題の解決に取り組む有望なスタートアップ企業への投資を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指してまいります。
2.基本スキーム
インベストメントLab株式会社の役職員が設立した組合を無限責任組合員、当社を有限責任組合員とする投資事業有限責任組合(LPS)形式で本ファンドを設立し、当社は本ファンドへ出資いたします。インベストメントLab株式会社はアセット・マネージャーとして、無限責任組合員と投資判断の一任に係る契約を締結の上、本ファンドの運用・管理業務を行います。
3.本ファンドの概要
(1) |
名称 |
トレイダーズFinTech1号投資事業有限責任組合 |
|
(2) |
所在地 |
東京都中央区日本橋兜町8番1号 |
|
(3) |
設立根拠等 |
「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づく |
|
(4) |
設立目的 |
スタートアップ企業への投資・運用 |
|
(5) |
設立及び契約締結日 |
2023年4月19日 |
|
(6) |
運用期間 |
2023年4月から10年間(延長あり) |
|
(7) |
出資額 |
最大10.1億円(キャピタルコール方式) |
|
(8) |
出資者・出資比率 |
有限責任組合員 |
トレイダーズホールディングス株式会社 99.0% |
無限責任組合員 |
i-LabCVC1号有限責任事業組合 1.0% |
||
(9) |
無限責任組合員の概要 |
名称 |
i-LabCVC1号有限責任事業組合 |
所在地 |
東京都中央区日本橋兜町8番1号 |
||
組合員の氏名 |
宇根尚秀 他4名 |
||
事業内容 |
ファンドの運用・管理 |
||
(10) |
アセット・マネージャーの概要 |
名称 |
インベストメントLab株式会社 |
所在地 |
東京都中央区日本橋兜町8番1号 |
||
代表者の氏名 |
宇根尚秀 |
||
事業内容 |
①オルタナティブ投資にかかる投資運用業、 投資助言・代理業、及び第二種金融商品取引業 ②コンサルティングサービス |
||
(11) |
上場会社(当社)と 当該ファンドとの関係 |
上場会社(当社)と当該ファンドとの間の関係 |
当社は有限責任組合員として当該ファンドへ出資いたします。 |
上場会社(当社)と無限責任組合員との関係 |
該当事項はありません。 |
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
(システム開発・システムコンサルティング事業)
当事業を営むFleGrowthは、主にFX取引システムの開発及び生成AIを用いたDX領域のソリューションサービスに関する研究活動を行っております。当該研究開発活動の主な内容は、システムトレードのシステム及び生成AIを活用した社内業務効率化サービスの開発等です。
なお、当事業の研究開発費は