(1)会社の経営の基本方針・中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした3ヵ年計画「第八次中期経営計画(RISO Vision 25)」を策定し、取り組んでおります。
<第八次中期経営計画(RISO Vision 25)>
《マネジメント目標》
インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する。
(2)会社の経営環境及び対処すべき課題
当社グループの主要事業である印刷機器事業においては、インクジェット事業の収益力を強化することが課題であるととらえております。また、中長期的な課題は、経営環境の変化に適応し当社グループを効率的で強い企業体質に変えることだと認識しております。
当社グループの中長期的な成長を実現するために、製品の特長をいかした販売活動を全世界で展開してまいります。また、新規事業の創出に向けた活動を行ってまいります。
第八次中期経営計画(RISO Vision 25)の最終年度となる2025年3月期は以下の項目を経営方針に掲げ運営してまいります。
<2025年3月期経営方針>
インクジェット事業の健全な運営を進めると同時に、新たな事業の展開を図る
サステナビリティに関する課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に取り組んでおります。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社は、「損失の危険の管理に関する規程」を制定し、サステナビリティ関連を含む全社的なリスク管理の最高責任者を当社の社長と定めております。最高責任者である社長はリスク管理システムの構築及び維持に関する全ての責任と権限を有し、リスク管理に関わる全ての業務を統括しております。また、取締役会にてリスク・コンプライアンス担当執行役員を選任し、リスク管理に関わる業務を執行させ、リスク・コンプライアンス担当執行役員の指揮下に、リスク管理に関わる業務の執行を補助する機関として、リスク・コンプライアンス委員会を設置する旨を定めております。各部門長はリスク・コンプライアンス責任者として、自部門のリスク管理に関する事項を統括するとともに、リスク・コンプライアンス担当執行役員、リスク・コンプライアンス委員会および各種リスク管理委員会より指示されたリスク管理に関する事項を当該部門内で推進しております。リスク・コンプライアンス委員会はリスク・コンプライアンス担当執行役員を委員長とし、リスク・コンプライアンス責任者の中からリスク・コンプライアンス担当執行役員が推薦し、社長が選任した者で運営し、子会社も含めグループ全体のリスク管理に適した人材で構成しております。また、内部統制部門長、常勤監査役、顧問弁護士からも助言を受ける体制としております。
リスク・コンプライアンス委員会では、影響度と発生確率を勘案した「リスクマップ」を作成し、当社グループを取り巻く様々なリスクが発生した場合の影響度などを分析・評価しています。サステナビリティに関するリスク項目は「環境法令違反、自然災害・事故リスク、知的財産権に関するリスク、人的リソース不足または余剰、情報漏洩リスク、カントリーリスク、社員の健康リスク、ハラスメント、第三者によるデータ破壊、改ざん」などがあり、リスク項目毎に「ワーストシナリオ」を策定し、各リスクが発現した場合の最悪の状況を想定しています。特定した重大リスクについては、個別にリスク管理プログラムを策定・実行することにより、リスクの低減・移転・回避に努め、統合的なリスクマネジメントを推進しています。任命されたリスク・コンプライアンス責任者は四半期毎にリスクの発現状況や対応状況をリスク・コンプライアンス委員会に報告することとし、リスク・コンプライアンス担当執行役員及びリスク・コンプライアンス委員会で進捗状況を管理しております。各子会社の管理は主管部門を規程で定め、主管部門が子会社におけるリスクの発現状況をモニタリングし、リスク・コンプライアンス委員会に報告しております。当事業年度はサステナビリティに関する事項として「環境、社会、サイバーセキュリティ、従業員、人権の尊重」に関する内容を取り上げました。
なお、サステナビリティ関連の「機会」の監視・管理を統括して行う組織はなく、各部門が主体となって取り組んでおります。事業を継続する上で必要となる環境及び社会的基準への取り組みを推進するために、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価及び管理する体制として、2024年2月にサステナビリティ委員会を設置しました。
(2)戦略並びに指標及び目標
当社は、当社の事業活動を「事業における重要性」と「社会・環境への影響の大きさ」の2軸で整理し、重要性・影響の大きい取り組みの領域を特定し、3つのマテリアリティを決定しました。
各マテリアリティへの取り組みは、次のとおりであります。
マテリアリティ |
戦略 |
機会 |
リスク |
指標及び目標 |
①経済 お客様が必要とする価値を創造し提供します
|
理想科学は、「世界に類のないものを創る」を開発ポリシーとし、製品やサービスを通じて世界中のお客様の生産性・経済性・利便性の向上に貢献します。 |
・大量印刷への業務効率化のニーズの高まり。 ・フルカラー印刷へのコスト削減のニーズの高まり。 ・多様なプリントニーズへの柔軟な対応。 |
・競争の激化 ・技術革新への対応 |
達成状況を図る具体的な指標・目標は定めておりません。 |
②社会 社会とのつながりを大切にします
|
製品やサービスを通じて、地域社会や学校現場などのコミュニケーションをより良いものにします。 サプライヤーとのパートナーシップを推進することで、法令を遵守した常に公正で透明な調達を行っています。 社員一人ひとりが健康で、チャレンジと成長を続けている風土づくりに取り組んでいます。 |
・教育現場の課題に対する解決方法の提供。 ・サプライチェーン全体におけるサステナビリティの強化。 ・多様な人材の確保、多様な働き方の推進。 |
・海外事業展開に伴うカントリーリスク ・法令違反に関するリスク ・法的規制 ・各種認定基準の変更 ・人材の確保 ・感染症に関するリスク |
達成状況を図る具体的な指標・目標は定めておりません。 |
③環境 地球規模での環境保全に貢献します
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環境負荷を低減しつつお客様に長くお使いいただける製品を開発しています。 美しい健全な環境を次世代に引き継ぐために地球規模での環境保全に貢献します。 |
・サーキュラーエコノミー(循環経済)へのシフトによる環境配慮の重要性の高まり。 ・低炭素社会実現に向けた取り組み。 |
・海外事業展開に伴うカントリーリスク ・自然災害や事故に係るリスク ・法令違反に関するリスク ・法的規制 ・各種認定基準の変更 |
2030年目標として当社国内全体で ①エネルギー使用量売上高原単位を2020年度比で9.56%改善する。 ②CO2排出量を2013年度比で46%削減する。 [2022年度実績] ①約12%改善 ②約25%削減 |
(3)気候変動への対応
気候変動問題が事業にもたらす影響は重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に取り組んでおります。
①ガバナンス
ガバナンス体制につきましては「(1)ガバナンス及びリスク管理」に記載のとおりです。
②リスク管理
物理的リスク
3「事業等のリスク」に記載している、(7)自然災害や事故に係るリスクについて、が当該事項のリスクになります。当該リスクにつきましては、子会社も含めた製造拠点への影響を中心に、製造部門が主体となって取り組んでおります。
移行リスク
3「事業等のリスク」に記載している、(11)法令違反に関するリスクについて、(12)法的規制リスクについて、(13)各種認定基準の変更について、が当該事項のリスクになります。当該リスクにつきましては、環境部門が主体となって取り組んでおり、環境関連の法規制や認定基準の変更について対応を行っております。
③戦略並びに指標及び目標
当社グループは温室効果ガスの排出量の削減に取り組んでおります。2022年度における温室効果ガス(GHG)排出量は以下のとおりです。なお、現時点において気候変動への対応に関する戦略は検討中であり、指標及び目標は見直しを進めております。
GHG排出量(スコープ1,2) [単位:t-CO2e]
スコープ |
2019年度※3 |
2020年度※3 |
2021年度※3 |
2022年度※3 |
|
スコープ1+スコープ2合計※4 |
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|
|
|
|
スコープ1※1 |
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|
|
|
|
日本 |
1,861 |
1,632 |
1,529 |
1,502 |
|
海外 |
2,838 |
1,479 |
1,871 |
1,844 |
スコープ2※2ロケーション基準 |
|
|
|
|
|
|
日本 |
4,763 |
4,527 |
4,588 |
4,359 |
|
海外 |
1,837 |
1,618 |
1,615 |
1,609 |
※1.直接排出:都市ガス、LPG、天然ガス、灯油、ガソリン、軽油、非エネルギー系GHGなど
※2.間接排出:電力
※3.年度 :4月1日から翌年3月31日までの1年間
※4.合計 :端数処理の関係で合計の数値が合わない場合があります。
[集計範囲]
RISOグループ:理想科学工業株式会社(本社及び国内の営業・生産・開発拠点)、国内販売子会社、海外製造
子会社、海外販売子会社
[算出条件]
算出方法 :環境省発行の「温室効果ガス排出量算定、報告マニュアル」の算定方法による。
CO2換算係数 :(スコープ1)環境省発行「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」の数値
を使用。
(スコープ2)電力:日本国内については通年にわたって0.555kg-CO₂/kWh、海外については国
ごとにIEAの統計データの換算値を適用。
(4)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
①ガバナンス
ガバナンス体制につきましては「(1)ガバナンス及びリスク管理」に記載のとおりです。
②リスク管理
3「事業等のリスク」に記載している、(6)海外事業展開に伴うカントリーリスク、(14)人材の確保について、が当該事項のリスクになります。
③戦略
(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針)
当社の人事制度は「多様な人材や働き方が認められ、活躍できる会社」を目指しており、多様な貢献タイプを示し、自らが主体的に選択できる環境を支援しています。さらに、必要なスキルや実力向上の場と機会を提供しています。経営人材育成の一環として、次世代リーダーの発掘・育成プログラムを継続的に実施しています。
(人材の多様性の確保を含む社内環境整備に関する方針)
女性社員向けのキャリア研修を実施し、育児・介護休業などの取扱細則を定め、女性社員が安心して仕事ができる環境づくりと共に男性の育児休業取得促進にも努めています。さらに、人種や国籍などを問わず、能力を重視して採用するよう努め、多様性の確保を推進しています。
④指標及び目標
当社では、上記「③戦略」に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標及び目標を設定し取り組んでおります。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、以下の指標及び目標は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。また、以下の指標及び目標は2021年4月1日に掲げた目標であり、当事業年度末時点における女性管理職比率は目標を上回っておりますが、引き続き、多様性の確保を含む人材育成に取り組んでまいります。
カテゴリー |
KPI |
目標( |
人材育成 |
|
|
社内環境整備 |
|
|
当社は、会社法の定めに基づき「損失の危険の管理に関する規程」を制定しています。重要な業務は、執行に伴うリスク分析や対策の検討をしたうえで、業務執行会議や取締役会で審議・決定します。また、「リスク・コンプライアンス委員会」では、当社グループを取り巻くさまざまなリスクが発生した場合の影響度などを分析・評価して、「リスクマップ」を作成しています。グループ経営に重大な影響を与えるリスクについては、個別にリスク管理プログラムを策定し実行することで、リスクの低減・回避に努め、統合的なリスク管理と体制整備を推進しています。
リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しており、リスク・コンプライアンス委員会ではリスクの発現状況及び発現したリスクに対する対応状況を定期的に確認しています。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク並びに投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)競争の激化について
当社グループの主力である事務用印刷機器関連製品においては、同じテクノロジーを用いた孔版印刷機やインクジェットプリンターを始め、同様のマーケットを対象にする複写機やレーザービームプリンターなどとの競合が考えられます。
性能面あるいは価格面における競争が激化した場合は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)技術革新への対応について
当社グループは、事務用印刷機器関連製品の開発・製造・販売をコアビジネスとしております。このような中で、当社の孔版印刷技術やインクジェット技術に対抗するような技術革新が起こった場合は、当社グループの製品の競争力が著しく低下する可能性があります。従って、当社グループが技術革新の流れを十分に予測することができず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)業績不振の子会社について
当社グループの販売子会社は、販売不振等により、継続的に経常損失を計上している業績不振の子会社が存在しております。当該子会社では、経費の削減のみならず販路の再構築や陣容の見直し等の実施などにより業績の改善を図っておりますが、計画どおりに業績が改善しない場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)為替レートの変動が業績に与える影響について
当社グループの印刷機器事業においては、売上高の半分近くが海外の顧客向けであります。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)会計制度・税制等の変更について
会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
(6)海外事業展開に伴うカントリーリスクについて
当社グループは、中国及びタイに製造拠点を有するとともに、世界各地域に販売子会社を設立しております。これらの海外市場への事業進出は、以下のような不測の事態が発生するリスクがあります。
①政情不安、反日感情の高まり及び経済環境の悪化
②優秀な労働力の不足、人件費の高騰、大規模な労働争議の発生
③社会インフラの未整備に起因するエネルギー供給の不安定化
④テロ、戦争、暴動、自然災害、感染症の蔓延などによる社会的混乱
当社グループは、製造拠点の存する中国及びタイ並びに販売子会社の存する各国の情勢把握には常に注意を払い、損害を未然に防止できるよう努めておりますが、大規模な労働争議、テロ、戦争、暴動、自然災害などの不測の事態が発生した場合には、当該地域における生産活動や販売活動の停止、現地資産の喪失などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)自然災害や事故に係るリスクについて
当社グループでは、製造拠点を分散しておりますが、地震等の自然災害あるいは火災などの事故によって、当社グループの製造拠点の設備が壊滅的な被害を被った場合、当社製造拠点の操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が減少する恐れがあります。また、製造拠点の修復のための多額の費用を保険でカバーできない場合もあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報漏洩について
当社グループは、事業の過程において顧客の個人情報を取得するとともに技術分野におけるノウハウや顧客情報など貴重な機密情報を保有しております。当社グループは、これらの情報の適正な管理を行うため「個人情報保護規程」、「企業機密管理規程」等の諸規程を定めるとともに、従業員教育を通じて情報管理への意識を高め、グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐよう努めております。また、当社は一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークの認定を取得しております。しかし、これらの施策にもかかわらず、個人情報や機密情報が万一漏洩した場合、損害賠償責任や社会的責任を負うばかりでなく、企業の競争力が削がれ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権の侵害、被侵害について
当社グループは、製品の開発・製造・販売等の事業活動において、第三者の知的財産権を侵害しないよう、製品設計段階における特許調査等により細心の注意を払っております。しかしながら、製品の精密化、製品技術の多様化、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合、販売差し止めや設計変更等に伴うコスト増加の可能性があります。一方、第三者による当社グループの知的財産権侵害を完全に防止することができない可能性もあり、その場合、当社グループの製品が想定するシェアを確保できず、売上が減少する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)製品の欠陥について
当社グループは、印刷機器及び関連消耗品を茨城県及び山口県、並びに中国及びタイの製造拠点で品質管理に最大限の配慮を置き製造しております。しかし、製品に重大な欠陥が発生しないという絶対の保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は多額のコストを生じることに加え、当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が減少し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)法令違反に関するリスクについて
当社グループは、日本国内のみならず事業展開する世界各国において適用される法令を遵守し活動しなければなりません。また、当社グループは、法令の遵守だけでなく、正義感や倫理に基づいて判断できるような社員教育を心がけ、「遵法経営規程」や「コンプライアンス行動指針」を制定して経営にあたっております。さらに従業員向けの相談窓口として、コンプライアンスホットラインやハラスメントホットラインを設置しておりますが、一社員の行動や判断の誤りから一瞬にして信用を失うことも予想されます。万が一当社グループの役員又は社員が社会的信用を失うような法令違反を犯した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的規制について
当社グループは、日本国内のみならず事業展開する世界各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境、情報統制等の法的規制を受けております。このような中、当社グループは法令遵守に努めておりますが、将来当社グループの営む事業の継続に影響を及ぼすような法的規制が課せられる場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)各種認定基準の変更について
当社グループは、製品の開発・製造・販売等の事業活動において、必要と認めた各種の認定基準を満たすよう努めております。そのため新たな認定基準が導入された場合、もしくは認定基準が変更された場合は、設計変更等に伴いコストが増加する可能性があります。また、認定基準を満たせない場合は、販売機会が減少し売上が減少する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)人材の確保について
当社グループは、継続的に事業を発展させるためには専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営に優れた人材を確保する必要があります。しかしながら、日本国内における少子高齢化や労働人口の減少により、人材の確保が計画どおりに進まなかった場合、長期的には事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(15)感染症に関するリスクについて
当社グループは、日本をはじめ世界各地域に製造・販売拠点を有しております。そのため感染症の大規模な流行が発生した場合、以下のリスク全てを回避することは困難であり、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
a.従業員が感染するリスク
従業員が感染した場合、行政機関と連携し対応しますが、事業所等の消毒などに必要な期間や、生産や販売に必要な体制を整えることができない場合などに休業を余儀なくされる可能性があります。
b.取引先における感染リスク
部材調達先や運送会社等の取引先が感染により休業を余儀なくされた場合には、当社製造拠点の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
c.需要動向に関するリスク
感染症の影響に伴い世界経済が停滞し、国内・海外の景気低迷が長期化した場合、顧客の需要動向が変化することにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)その他リスクについて
a.市場性のある株式保有
当社は市場性のある株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合にはその他有価証券評価差額金の減少、評価損の計上、売却時に損失が発生するなど当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした第八次中期経営計画(RISO Vision 25)を策定し、『インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する』を中期の経営目標に掲げて運営しております。
当期は前期と比べ売上高は減収、営業利益は減益、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。
売上高は746億2百万円(前期比0.1%減)、営業利益は52億5千6百万円(同11.7%減)、経常利益は為替差益を計上したことなどから62億2百万円(同0.0%増)となりました。特別利益に退職給付制度改定益4億3千2百万円を計上したことなどから親会社株主に帰属する当期純利益は48億3千1百万円(同4.5%増)となりました。
なお、当連結会計年度の期中平均為替レートは、1米ドル144.62円(前期比9.15円の円安)、1ユーロ156.80円(同15.83円の円安)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
・印刷機器事業
当社グループは、印刷機器事業として、高速カラープリンター「オルフィス」を主としたインクジェット事業とデジタル印刷機「リソグラフ」を主とした孔版事業を行っております。
印刷機器事業は、為替の円安影響があったものの、前期と比べ減収減益となりました。売上高は728億7千4百万円(前期比0.2%減)、セグメント利益は46億4千6百万円(同12.7%減)となりました。日本において2023年4月からの商品価格改定に伴う前倒し需要が前期末にあったことが減収減益の要因です。
日本では、インクジェット事業及び孔版事業の売上が前期を下回りました。海外では、インクジェット事業及び孔版事業の売上が前期を上回りました。
日本の売上高は346億2千3百万円(同6.3%減)、米州の売上高は57億3千7百万円(同5.0%増)、欧州の売上高は173億3千5百万円(同8.8%増)、アジアの売上高は151億7千7百万円(同3.5%増)となりました。
・不動産事業
当社グループは、不動産事業として、ビルの賃貸を行っております。
不動産事業の売上高は、10億9千4百万円(前期比0.1%減)、セグメント利益は7億6千1百万円(同4.4%減)となりました。
・その他
当社グループは、上記の報告セグメントの他、プリントクリエイト事業とデジタルコミュニケーション事業に加え新サービス「ヨミヤス」を運営するアプリケーションソフトウェア事業を行っております。
その他の売上高は、6億3千3百万円(前期比19.8%増)、セグメント損失は1億5千2百万円(前期は1億6千5百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ38億5千5百万円増加し、886億2千8百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ12億5千8百万円増加し、217億3千5百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ25億9千6百万円増加し、668億9千3百万円となりまし
た。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ4億1千2百万円増加し、200億8千8百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は64億8千2百万円(前期比14.8%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益66億9千5百万円、減価償却費27億1千4百万円、棚卸資産の減少額16億6百万円、仕入債務の減少額9億3千7百万円、法人税等の支払額23億1千1百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は13億5百万円(同76.0%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3億4千8百万円、無形固定資産の取得による支出5億8千5百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は56億2百万円(同26.1%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出14億9千9百万円、配当金の支払額40億5百万円によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
第67期 |
第68期 |
第69期 |
第70期 |
自己資本比率(%) |
74.7 |
77.0 |
75.8 |
75.5 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
62.4 |
81.8 |
90.9 |
114.9 |
キャッシュ・フロー |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
インタレスト・カバレッジ・ |
122.8 |
156.9 |
232.3 |
677.5 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用し、有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の生産実績は主に印刷機器事業によるものであり、当連結会計年度における印刷機器事業の生産実績は、47,905百万円(前年同期比96.3%)であります。なお、金額は出荷価格によっております。
b.受注実績
当社グループは見込生産が主体で、受注生産は稀少であるため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
地域 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日 本 |
34,623 |
93.7 |
|
米 州 |
5,737 |
105.0 |
印刷機器事業 |
欧 州 |
17,335 |
108.8 |
|
ア ジ ア |
15,177 |
103.5 |
|
計 |
72,874 |
99.8 |
不動産事業 |
- |
1,094 |
99.9 |
その他 |
- |
633 |
119.8 |
合 計 |
74,602 |
99.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度について販売実績が総販売実績の100分の10以上となる相手先はないため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。
総資産は38億5千5百万円増加し、886億2千8百万円となりました。
資産の部における主な増減要因は、金融機関の休日影響による現金及び預金の増加、時価評価の増加による投資有価証券の増加、年金資産運用収益による退職給付に係る資産の増加、在庫保有水準の適正化による製品及び商品の減少によるものです。主な増減内容は、現金及び預金12億6千1百万円、投資有価証券15億1千2百万円、退職給付に係る資産14億8千8百万円がそれぞれ増加し、商品及び製品9億1千5百万円が減少しました。
負債の部における主な増減要因は、金融機関の休日影響による流動負債その他の増加によるものです。主な増減内容は、流動負債その他13億5千8百万円が増加しました。
以上の結果、流動比率は4.1ポイント減少し246.8%となりました。
純資産は25億9千6百万円増加し、668億9千3百万円となりました。
純資産の部における主な増減要因は、自己株式消却による利益剰余金及び自己株式の減少、その他有価証券評価差額金の増加、為替換算調整勘定の増加によるものです。主な増減内容は、利益剰余金58億2千万円、自己株式51億4千4百万円がそれぞれ減少し、その他有価証券評価差額金10億5千万円、為替換算調整勘定15億7千7百万円がそれぞれ増加しました。
以上の結果、自己資本比率は0.4ポイント減少し75.5%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たりの純資産額は111円39銭増加し、2,036円34銭となりました。
b.経営成績
当期は前期と比べ売上高は減収、営業利益は減益、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。売上高は746億2百万円(前期比0.1%減)、営業利益は52億5千6百万円(同11.7%減)となりました。
経常利益は、為替差益等による営業外収益10億6百万円(同136.2%増)、固定資産除却損等の営業外費用6千万円(同66.1%減)により、62億2百万円(同0.0%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は、退職給付制度改定益等による特別利益4億9千2百万円により66億9千5百万円(同5.3%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税18億2千万円(同5.1%減)、法人税等調整額4千3百万円(前期は△1億8千7百万円)により48億3千1百万円(前期比4.5%増)となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益は7円76銭増加し、145円48銭となりました。
セグメントごとの経営成績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.財務戦略の考え方
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。当社グループは、財務体質の強化と設備投資・研究開発等当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び営業活動上の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間では、グループ各社における余剰資金を子会社配当金として当社が受け取り、余剰資金の有効活用に努めております。
b.資金需要の基本方針
当社グループの運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料費及び製造費、また、製品の販売及び研究開発の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。設備資金のうち主なものは、製造拠点における生産設備等の更新等によるものです。将来の成長に向けた戦略的な投資に対しては、投資効率等を総合的に勘案し対応していく方針です。
c.資金調達の基本方針
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。資金調達にあたっては、財務体質にも留意しながら、その可否を判断しております。具体的には、当社の資金調達は、必要な資金の金額、時期、期間に応じて間接金融、直接金融、不動産の流動化等から適切な調達方法を選択します。また、海外子会社の資金調達は、為替リスクを考慮し、原則として現地で間接金融による調達を行っております。複数の金融機関との間で合計37億5千7百万円の当座貸越契約を締結しており(借入未実行残高37億5千7百万円)、緊急時の流動性を確保しております。
d.資金配分についての考え方
当社グループ全体として得られた資金は、成長投資、株主還元、手許資金に振り分けています。成長投資については、設備投資・研究開発等に活用し、業績向上に努めてまいります。設備投資は、投資対効果を見極め、売上拡大・コスト削減につなげる投資を行っていきます。M&Aや業務提携は、当社の技術を活かし新たな市場開拓ができるような案件があれば検討してまいります。株主還元については、①企業体質を強化しつつ業績に裏付けられた成果の配分を行うこと、②安定配当の継続に努めること、の2点の「基本方針」に基づき、期末配当による年1回の剰余金の配当を行います。なお、自己株式の取得も株主に対する利益還元の一つと考えており、株価水準や市場の動向を考慮しながら適宜実施します。また、所有する自己株式は原則として消却します。手許資金については、原則として、安全性の高い金融商品で、短期間(主に3か月)での運用を行っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には以下のようなものがあります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
a.棚卸資産の評価方法
棚卸資産は、取得原価で測定しておりますが、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で測定し、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。また、営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、将来の需要や市場動向を反映して正味売却価額等を算定しております。市場環境が予測より悪化して正味売却価額が著しく下落した場合には損失が発生する可能性があります。
b.貸倒引当金
売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
c.退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
e.固定資産の減損処理
当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④目標とする経営指標についての分析
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした第八次中期経営計画(RISO Vision 25)を策定し、『インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する』を中期の経営目標に掲げて運営しております。
第八次中期経営計画(RISO Vision 25)の2年目となる当期は、連結売上高は746億2百万円、連結営業利益は52億5千6百万円となりました。
当社は、2023年12月22日に、当社が新たに設立した子会社である理想テクノロジーズ株式会社(以下「理想テクノロジーズ」といいます。)が、東芝テック株式会社(以下「東芝テック」といいます。)及び同社の連結子会社である株式会社テックプレシジョン(以下「TPI」といいます。)が行っているインクジェットヘッド事業(以下「本対象事業」といいます。)を会社分割(吸収分割)の方法により承継する(以下「本吸収分割」といいます。)ことを内容とする契約(以下「本最終契約」といいます。)を東芝テック及びTPIとの間で締結しました。
本吸収分割の概要は次のとおりであります。
(1)本吸収分割の目的
当社グループの主力事業である印刷機器事業では、高速印刷領域に特化した当社独自のインクジェットプリンターを開発・製造・販売しております。2025年3月期を最終年度とする第八次中期経営計画(RISO Vision 25)を策定し、『インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する』を中期的な経営目標に掲げて運営しております。
本対象事業を承継することにより、当社がすでに保有するプリントシステム及びインクの技術に、新たにインクジェットヘッド技術が加わります。この総合力を発揮し、印刷機器事業の効率的な運営と製品の性能・品質の向上を図ります。また、本対象事業が行っているインクジェットヘッドの販売を新規事業と位置づけ、新たな成長に向けて取り組んでまいります。
当社は、本対象事業を承継するために子会社である理想テクノロジーズを設立し、理想テクノロジーズが東芝テック及びTPIとの間でそれぞれ吸収分割契約(以下、総称して「本吸収分割契約」といいます。)を締結することで、理想テクノロジーズに本対象事業を承継させることを決定しました。
(2)本吸収分割の日程
子会社設立の決定日 |
2023年12月22日 |
本最終契約締結の決定日 |
2023年12月22日 |
本最終契約の締結日 |
2023年12月22日 |
承継会社たる理想テクノロジーズの設立日 |
2024年4月1日 |
本吸収分割契約の締結日 |
2024年4月23日 |
本吸収分割の効力発生日 |
2024年7月1日(予定) |
(注)上記の日程は、現時点での予定であり、今後、東芝テック及びTPIと協議の上、上記日程を変更する場合が
あります。
(3)本吸収分割の方式
理想テクノロジーズを承継会社とし、東芝テック及びTPIを分割会社とする吸収分割方式です。
(4)本吸収分割に係る割当ての内容
本吸収分割の対価として、東芝テック及びTPIに総額6,436百万円の金銭を承継会社たる理想テクノロジーズよ
り交付します。
なお、東芝テック及びTPIそれぞれに対する交付金額は、東芝テックに6,114百万円、TPIに322百万円となり
ます。
(5)本吸収分割に係る割当ての内容の根拠等
①割当ての内容の根拠及び理由
本吸収分割において承継会社たる理想テクノロジーズが交付する金銭の算定につきましては、当事者間で協議の
上、公正妥当な価格として合意しております。
②算定に関する事項
本吸収分割に関して、算定機関から算定書を取得しておりません。
(6)本吸収分割の当事会社の概要
①分割会社(東芝テック)の概要(2023年9月30日現在)
名称 |
東芝テック株式会社 |
所在地 |
東京都品川区大崎一丁目11番1号 |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 錦織 弘信 |
事業内容 |
POSシステム、複合機、オートIDシステム、インクジェットヘッド並びにそれらの関連商品の開発、製造、販売、保守サービス等 |
資本金 |
39,970百万円 |
設立年月日 |
1950年2月21日 |
発行済株式数 |
57,629,140株 |
②分割会社(TPI)の概要(2023年9月30日現在)
名称 |
株式会社テックプレシジョン |
所在地 |
静岡県三島市南町6-78 |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 後藤 剛 |
事業内容 |
インクジェットヘッド及び複合機用トナーの製造等 |
資本金 |
10百万円 |
設立年月日 |
1981年4月1日 |
発行済株式数 |
20,000株 |
(7)承継会社(理想テクノロジーズ)の概要
名称 |
理想テクノロジーズ株式会社 |
所在地 |
東京都港区芝五丁目34番7号 |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役 大島 健嗣(当社執行役員) |
事業内容 |
インクジェットヘッド及びその関連商品の開発、製造、販売等 |
資本金 |
4億円 |
設立年月日 |
2024年4月1日 |
(8)承継する事業の概要
①承継する事業内容
|
東芝テック |
TPI |
事業内容 |
インクジェットヘッド及びその関連商品の開発、製造、販売等 |
インクジェットヘッドの製造等 |
②承継する事業の経営成績(2023年3月期)
|
東芝テック |
TPI |
売上高 |
5,114百万円 |
2,379百万円 |
営業利益 |
1,016百万円 |
15百万円 |
(注)上記は、東芝テック及びTPIの単体財務諸表上の本対象事業に係る数値を記載したものであり、東芝テック
及びTPI間の内部取引消去は考慮しておりません。
③承継する資産、負債の項目及び帳簿価格(2023年6月30日現在)
東芝テック
資産 |
負債 |
||
流動資産 |
252百万円 |
流動負債 |
- |
固定資産 |
895百万円 |
固定負債 |
507百万円 |
合計 |
1,147百万円 |
合計 |
507百万円 |
TPI
資産 |
負債 |
||
流動資産 |
39百万円 |
流動負債 |
- |
固定資産 |
101百万円 |
固定負債 |
- |
合計 |
140百万円 |
合計 |
- |
(注)上記は、2023年6月30日現在を基準として算出しており、実際に分割する資産及び負債の金額は、効力発生日
までの増減を加味した数値となります。また、上記は、東芝テック及びTPIの単体財務諸表上の本対象事業に係る
数値を記載したものであり、東芝テック及びTPI間の債権債務の相殺消去及び未実現利益の消去は考慮しておりま
せん。なお、上記金額には、本対象事業の対象となる資産及び負債を含めております。
当社グループは、カラードキュメントへのニーズに対応したインクジェット方式の高速プリンターや孔版技術をいかしたデジタル印刷機など、独自性のある製品の研究開発に取り組んでおります。製品の開発・設計においては、省エネルギー・省資源といった環境への配慮を行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は
アプリケーションソフトウェア事業では、2023年10月12日に一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会と共同開発した「ヨミヤス」の提供を開始しました。「ヨミヤス」は情報の「見やすさ・読みやすさ」を検証する有償のクラウドサービスです。