第5【経理の状況】

1 連結財務諸表および財務諸表の作成方法について

(1)当社の連結財務諸表は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第95条の規定に従い、米国預託証券の発行に関して要請されている会計処理の原則および手続きならびに表示方法、すなわち、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づき作成されております。

 

(2)当社の連結財務諸表は、各連結会社がその所在する国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成した個別財務諸表を基礎として、上記(1)の基準に合致するよう必要な修正を加えて作成されております。

 

(3)当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号、以下「財務諸表等規則」)に基づき作成しております。

 また、当社は、特例財務諸表提出会社に該当し、財務諸表等規則第127条の規定により財務諸表を作成しております。

 

2 監査証明について

 当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の連結財務諸表および事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の財務諸表について、EY新日本有限責任監査法人による監査を受けております。

 

3 連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みについて

 当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。会計基準等の内容を適切に把握し、かつ会計基準等の変更等について的確に対応するための社内組織や、当社の開示すべき重要情報の網羅性、適正性を確保するための社内組織を設置しております。

 

1【連結財務諸表等】

(1)【連結財務諸表】

①【連結貸借対照表】

 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

区分

注記番号

金額(百万円)

金額(百万円)

(資産)

 

 

 

現金・預金:

 

 

 

現金および現金同等物

 

3,820,685

4,239,359

定期預金

 

409,082

545,842

取引所預託金およびその他の顧客分別金

 

291,480

369,770

 

4,521,247

5,154,971

貸付金および受取債権:

 

 

 

貸付金

※2,7

4,013,852

5,469,195

 (2023年3月31日現在 1,650,115百万円、

  2024年3月31日現在 2,074,585百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価した金額を含む。)

 

 

 

顧客に対する受取債権

※2,4

379,911

453,937

 (2023年3月31日現在  39,107百万円、

  2024年3月31日現在 21,834百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価した金額を含む。)

 

 

 

顧客以外に対する受取債権

 

819,263

928,632

貸倒引当金

※7

△5,832

△18,047

 

5,207,194

6,833,717

担保付契約:

 

 

 

売戻条件付買入有価証券

※2

13,834,460

15,621,132

 (2023年3月31日現在 303,499百万円、

  2024年3月31日現在  466,440百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

借入有価証券担保金

 

4,283,039

5,373,663

 

18,117,499

20,994,795

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット

投資:

 

 

 

トレーディング資産

※2,3

17,509,934

19,539,742

 (2023年3月31日現在 5,656,626百万円、

  2024年3月31日現在 6,892,311百万円の

  担保差入有価証券を含む。)

 

 

 

 (2023年3月31日現在 7,043百万円、

  2024年3月31日現在 8,108百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

プライベートエクイティ・デット投資

※2

99,399

117,066

 (2023年3月31日現在 18,033百万円、

  2024年3月31日現在 22,807百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

 

17,609,333

19,656,808

その他の資産:

 

 

 

建物、土地、器具備品および設備

 

464,316

448,785

 (2023年3月31日現在 459,954百万円、

  2024年3月31日現在 529,605百万円の減価償却累計額控除後)

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

※2

337,361

335,401

投資持分証券

※2

97,660

105,088

 (2023年3月31日現在  953百万円、

  2024年3月31日現在 247百万円の担保差入有価証券を含む。)

 

 

 

関連会社に対する投資および貸付金

※7,18

402,485

462,017

 (2023年3月31日現在 5,658百万円、

  2024年3月31日現在 6,929百万円の担保差入有価証券を含む。)

 

 

 

 (2023年3月31日現在 -百万円、

  2024年3月31日現在 1,514百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

その他

※2,9

1,014,707

1,155,621

 (2023年3月31日現在 168,780百万円、

  2024年3月31日現在 213,227百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

 

2,316,529

2,506,912

資産合計

 

47,771,802

55,147,203

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日

2024年3月31日

区分

注記番号

金額(百万円)

金額(百万円)

(負債および資本)

 

 

 

短期借入

※2,10

1,008,541

1,054,717

 (2023年3月31日現在 476,212百万円、

  2024年3月31日現在 650,122百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

支払債務および受入預金:

 

 

 

顧客に対する支払債務

※4

1,359,948

1,310,825

顧客以外に対する支払債務

 

1,799,585

2,823,100

受入銀行預金

※2

2,137,936

2,356,202

 (2023年3月31日現在 159,505百万円、

  2024年3月31日現在 182,906百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

 

5,297,469

6,490,127

担保付調達:

 

 

 

買戻条件付売却有価証券

※2

14,217,966

16,870,303

 (2023年3月31日現在 666,985百万円、

  2024年3月31日現在 916,090百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

貸付有価証券担保金

※2

1,556,663

2,133,066

 (2023年3月31日現在 82,136百万円、

  2024年3月31日現在 62,102百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

その他の担保付借入

 

334,319

393,206

 

16,108,948

19,396,575

トレーディング負債

※2,3

10,557,971

10,890,610

その他の負債

※2,9

1,175,521

1,414,546

 (2023年3月31日現在 34,984百万円、

  2024年3月31日現在 61,052百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

長期借入

※2,10

10,399,210

12,452,115

 (2023年3月31日現在 4,957,581百万円、

  2024年3月31日現在 6,145,018百万円の

  公正価値オプション適用により公正価値評価をした金額を含む。)

 

 

 

負債合計

 

44,547,660

51,698,690

コミットメントおよび偶発事象

※19

 

 

資本:

※16

 

 

資本金

 

594,493

594,493

無額面:

 

 

 

授権株式数-

 

 

 

 2023年3月31日現在

6,000,000,000株

 

 

 

 2024年3月31日現在

6,000,000,000株

 

 

 

発行済株式数-

 

 

 

 2023年3月31日現在

3,233,562,601株

 

 

 

 2024年3月31日現在

3,163,562,601株

 

 

発行済株式数(自己株式控除後)-

 

 

 

 2023年3月31日現在

3,003,679,324株

 

 

 

 2024年3月31日現在

2,970,755,160株

 

 

資本剰余金

 

707,189

708,785

利益剰余金

 

1,647,005

1,705,725

累積的その他の包括利益

※15

318,454

459,984

 

3,267,141

3,468,987

自己株式(取得価額)

 

△118,574

△118,798

自己株式数-

 

 

 

 2023年3月31日現在

229,883,277株

 

 

 

 2024年3月31日現在

192,807,441株

 

当社株主資本合計

 

3,148,567

3,350,189

非支配持分

 

75,575

98,324

資本合計

 

3,224,142

3,448,513

負債および資本合計

 

47,771,802

55,147,203

 

 

 

 

 

 

 次の表は連結貸借対照表上の連結変動持分事業体の資産および負債を表しております。連結変動持分事業体の資産はその債権者に対する支払義務の履行にのみ使用され、連結変動持分事業体の債権者は、通常、野村に対して変動持分事業体の所有する資産を超過する遡及権を有しておりません。詳細は「[連結財務諸表注記]6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

現金・預金

23

 

73

トレーディング資産および

プライベートエクイティ・デット投資

1,044

 

1,296

その他の資産

127

 

99

資産合計

1,194

 

1,468

トレーディング負債

0

 

0

その他の負債

5

 

6

借入

887

 

1,106

負債合計

892

 

1,112

 関連する連結財務諸表注記をご参照ください。

 

 

 

②【連結損益計算書】

 

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

注記

番号

金額(百万円)

金額(百万円)

収益:

 

 

 

委託・投信募集手数料

※4

279,857

364,095

投資銀行業務手数料

※4

113,208

173,265

アセットマネジメント業務手数料

※4

271,684

310,154

トレーディング損益

※2,3

563,269

491,611

プライベートエクイティ・デット投資関連損益

 

14,504

11,877

金融収益

 

1,114,690

2,620,856

投資持分証券関連損益

 

△1,426

9,612

その他

※4,9

130,940

175,824

収益合計

 

2,486,726

4,157,294

金融費用

 

1,151,149

2,595,294

収益合計(金融費用控除後)

 

1,335,577

1,562,000

金融費用以外の費用:

 

 

 

人件費

 

605,787

673,523

支払手数料

 

119,237

137,328

情報・通信関連費用

 

209,537

217,126

不動産関係費

 

66,857

68,698

事業促進費用

 

22,636

24,236

その他

※9

162,049

167,239

金融費用以外の費用計

 

1,186,103

1,288,150

税引前当期純利益

 

149,474

273,850

法人所得税等

※14

57,798

96,630

当期純利益

 

91,676

177,220

差引:非支配持分に帰属する当期純利益(損失)

 

△1,110

11,357

当社株主に帰属する当期純利益

 

92,786

165,863

 

 

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

注記

番号

金額(円)

金額(円)

普通株式1株当たり:

※11

 

 

基本-

 

 

 

当社株主に帰属する当期純利益

 

30.86

54.97

希薄化後-

 

 

 

当社株主に帰属する当期純利益

 

29.74

52.69

 関連する連結財務諸表注記をご参照ください。

 

③【連結包括利益計算書】

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

金額(百万円)

金額(百万円)

当期純利益

91,676

177,220

その他の包括利益:

 

 

為替換算調整額:

 

 

為替換算調整額

107,058

204,507

繰延税額

△145

△1,161

106,913

203,346

確定給付年金制度:

 

 

年金債務調整額

16,422

18,475

繰延税額

△4,793

△5,813

11,629

12,662

自己クレジット調整額:

 

 

自己クレジット調整額

95,047

△91,001

繰延税額

△22,050

18,565

72,997

△72,436

その他の包括利益合計

191,539

143,572

包括利益

283,215

320,792

差引:非支配持分に帰属する包括利益

△52

13,399

当社株主に帰属する包括利益

283,267

307,393

 関連する連結財務諸表注記をご参照ください。

 

④【連結資本勘定変動表】

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

金額(百万円)

金額(百万円)

資本金

 

 

 期首残高

594,493

594,493

 期末残高

594,493

594,493

資本剰余金

 

 

 期首残高

697,507

707,189

 株式に基づく報酬取引

9,411

1,609

 子会社に対する持分変動

287

 関連会社に対する持分変動

△16

△13

 期末残高

707,189

708,785

利益剰余金

 

 

 期首残高

1,606,987

1,647,005

 当社株主に帰属する当期純利益

92,786

165,863

 現金配当金

△51,050

△68,674

 自己株式売却損益

△1,718

△2,364

  自己株式の消却

△36,105

 期末残高

1,647,005

1,705,725

累積的その他の包括利益

 

 

 為替換算調整額

 

 

  期首残高

136,912

242,767

  当期純変動額

105,855

201,304

  期末残高

242,767

444,071

 確定給付年金制度

 

 

  期首残高

△43,803

△32,174

  年金債務調整額

11,629

12,662

  期末残高

△32,174

△19,512

 自己クレジット調整額

 

 

  期首残高

34,864

107,861

  自己クレジット調整額

72,997

△72,436

  期末残高

107,861

35,425

 期末残高

318,454

459,984

自己株式

 

 

 期首残高

△112,355

△118,574

 取得

△24,728

△61,199

 売却

0

0

 従業員に対する発行株式

18,509

24,870

  消却

36,105

 期末残高

△118,574

△118,798

当社株主資本合計

 

 

 期末残高

3,148,567

3,350,189

 

 

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

金額(百万円)

金額(百万円)

非支配持分(1)

 

 

 期首残高

58,198

75,575

 現金配当金

△3,868

△3,548

 非支配持分に帰属する当期純利益(△損失)

△1,110

11,357

 非支配持分に帰属する累積的その他の包括利益

 

 

  為替換算調整額

1,058

2,042

 非支配持分保有者との取引(純額)

25,956

11,855

 その他の増減(純額)

△4,659

1,043

 期末残高

75,575

98,324

資本合計

 

 

 期末残高

3,224,142

3,448,513

(1)当年度末の開示方法と整合させるために過去に遡り組み替えて表示しております。

 

 関連する連結財務諸表注記をご参照ください。

⑤【連結キャッシュ・フロー計算書】

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー:

 

 

当期純利益

91,676

177,220

当期純利益の営業活動から得た

(△営業活動に使用された)現金(純額)への調整

 

 

減価償却費および償却費

61,424

61,340

貸倒引当金戻入益(繰入額)

△4,047

13,910

株式報酬費用

35,216

35,577

投資持分証券関連損益

1,426

△9,612

子会社および関係会社株式売却損益等

△23,889

△968

持分法投資損益(受取配当金控除後)

△34,127

△31,070

建物、土地、器具備品および設備の処分損益

344

2,670

繰延税額

6,137

△312

営業活動にかかる資産および負債の増減:

 

 

取引所預託金およびその他の顧客分別金

170,632

16,465

トレーディング資産および

  プライベートエクイティ・デット投資

△1,623,037

△386,474

トレーディング負債

467,257

△411,843

売戻条件付買入有価証券および

  買戻条件付売却有価証券(純額)

△590,424

290,843

借入有価証券担保金および

  貸付有価証券担保金(純額)

834,438

△324,095

信用取引貸付金および受取債権

472,811

△276,058

支払債務

△139,417

709,839

賞与引当金

△3,319

26,480

未払法人所得税(純額)

△42,603

70,892

その他(純額)

△375,318

167,836

営業活動から得た

(△営業活動に使用された)現金(純額)

△694,820

132,640

 

 

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

金額(百万円)

金額(百万円)

投資活動によるキャッシュ・フロー:

 

 

定期預金の預入による支出

△344,117

△650,562

定期預金の払戻による収入

284,705

567,599

建物、土地、器具備品および設備の購入

△171,165

△145,784

建物、土地、器具備品および設備の売却

63,648

111,954

エクイティ投資の購入による支出

△4,471

△14,716

エクイティ投資の売却による収入

52,299

40,497

銀行業務貸付金の増加(純額)

△84,362

△112,224

トレーディング目的以外の貸付金の増加

△4,702,061

△4,286,507

トレーディング目的以外の貸付金の減少

4,486,651

3,606,974

インターバンク短期金融市場貸付金の増加による支出(純額)

△62

トレーディング目的以外の負債証券の増加

△45,910

△112,438

トレーディング目的以外の負債証券の減少

205,468

135,690

事業の取得による純支出

△457

事業の売却による純収入

16,950

関連会社に対する投資の購入による支出

△25,119

△29,778

関連会社に対する投資の売却による収入

43,299

900

その他(純額)

△8,978

914

投資活動に使用された現金(純額)

△233,225

△887,938

財務活動によるキャッシュ・フロー:

 

 

長期借入の実行による収入

2,208,422

3,064,698

長期借入の返済による支出

△1,115,171

△2,101,758

短期借入の実行による収入

2,630,083

1,964,955

短期借入の返済による支出

△2,694,588

△1,866,998

インターバンク短期金融市場借入金の増加による収入

(△減少による支出)(純額)

48,197

△88,288

その他の担保付借入の増加(△減少)(純額)

△52,915

57,311

受入銀行預金の増加による収入(純額)

328,867

107,532

株式報酬に関する源泉税の支払

△9,060

△12,669

自己株式の売却に伴う収入

4

953

自己株式の取得に伴う支払

△24,728

△61,029

配当金の支払

△57,262

△60,164

非支配持分からの出資

59,718

69,231

非支配持分への分配

△37,630

△60,924

財務活動から得た現金(純額)

1,283,937

1,012,850

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物に対する為替相場変動の影響額

148,552

220,618

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の増加額

504,444

478,170

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期首残高

3,316,408

3,820,852

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期末残高

3,820,852

4,299,022

 

 

 

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

 

金額(百万円)

金額(百万円)

補足開示:

 

 

 

期中の現金支出額-

 

 

 

利息の支払額

 

1,098,815

2,514,801

法人所得税等支払額(純額)

 

94,263

26,050

 

 次の表は、連結貸借対照表に含まれる現金および現金同等物ならびに取引所預託金およびその他の顧客分別金に含まれる制限付き現金および制限付き現金同等物と連結キャッシュ・フロー計算書の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の調整表です。制限付き現金および制限付き現金同等物は、野村以外の第三者により、そのアクセス、引出、または使用が実質的に制限されているものの残高です。

 

 

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

区分

金額(百万円)

金額(百万円)

 

 

 

現金および現金同等物

3,820,685

4,239,359

取引所預託金およびその他の顧客分別金に含まれる

制限付き現金および制限付き現金同等物

167

59,663

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物合計

3,820,852

4,299,022

 

現金支出を伴わない取引

 2023年3月期および2024年3月期において、新たに認識した使用権資産はそれぞれ36,032百万円および29,374百万円です。

 

 関連する連結財務諸表注記をご参照ください。

 

 

[連結財務諸表注記]

1 会計処理の原則および会計方針の要旨:

 2001年12月、野村ホールディングス株式会社(以下「当社」)はニューヨーク証券取引所に米国預託証券を上場するため、1934年証券取引所法に基づき登録届出書を米国証券取引委員会(以下「米国SEC」)に提出しました。以後当社は、年次報告書である「様式20-F」を1934年証券取引所法に基づき米国SECに年1回提出することを義務付けられております。

 

 上記の理由により、野村(以下、当社および当社が財務上の支配を保持する事業体を合わせて「野村」)の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第95条の規定に従い、米国預託証券の発行に関して要請されている会計処理の原則および手続きならびに表示方法、すなわち、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則(以下「米国会計原則」)に基づき作成されております。なお、2024年3月期において野村が採用しております米国会計原則とわが国における会計処理の原則および手続きならびに連結財務諸表の表示方法(以下「日本会計原則」)との主要な相違点は次のとおりであります。

 

・連結の範囲

 米国会計原則では、主に、議決権所有割合および主たる受益者を特定することにより連結の範囲が決定されます。日本会計原則では、主に、議決権所有割合および議決権所有割合以外の要素を加味した「支配力基準」により、連結の範囲が決定されます。

 

 また、米国会計原則では特定の会計指針が適用される投資会社が定義されており、当該指針の対象となる投資会社におけるすべての投資は公正価値で評価され、公正価値の変動は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、財務諸表提出会社であるベンチャーキャピタルが営業取引としての投資育成目的で他の会社の株式を所有しているなどの場合においては、当該他の会社を支配していることに該当する要件を満たす場合であっても子会社に該当しないものとして取り扱うことができます。

 

・トレーディング目的以外の投資持分証券の評価差額

 証券会社に適用される米国会計原則では、トレーディング目的以外の投資持分証券(営業目的の投資持分証券を含む)は公正価値で評価され、評価差額は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、トレーディング目的以外の投資持分証券は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。

 

・トレーディング目的以外の負債証券への投資の評価差額

 証券会社に適用される米国会計原則では、トレーディング目的以外の負債証券への投資は公正価値で評価され、評価差額は連結損益計算書に計上されます。日本会計原則では、トレーディング目的以外の負債証券への投資は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。

 

・退職金および年金給付

 米国会計原則では、年金数理上の仮定の変更や仮定と異なる実績から生じた損益は、当該損益純額の期首時点の残高が回廊額(予測給付債務と年金資産の公正価値のうち大きい額の10%と定義される)を超過している場合に、当該超過部分が従業員の平均残存勤務期間にわたって償却されます。日本会計原則では、年金数理差異等は回廊額とは無関係に一定期間にわたり償却されます。

 

・のれんの償却

 米国会計原則では、のれんに対しては定期的に減損判定を実施することが規定されております。日本会計原則では、のれんは20年以内の一定期間において均等償却されます。

 

・持分法投資の減損

 米国会計原則では、持分法投資に一時的でない投資の価値の減少が発生した場合、帳簿価額が公正価値を超過する金額を減損損失として認識します。日本会計原則では、持分法投資に内包されるのれんは20年以内の期間にわたって合理的な方法により償却するとともに、必要な場合はのれんの未償却残高の一部または全部を減損処理します。

 

・デリバティブ金融商品の評価差額

 米国会計原則では、ヘッジ手段として保有するデリバティブ金融商品を含めすべてのデリバティブ金融商品は公正価値で評価され、評価差額は、損益またはその他の包括利益に計上されます。日本会計原則では、ヘッジ手段として保有するデリバティブ金融商品は公正価値で評価され、評価差額は適用される法人税等を控除しその他の包括利益に計上されます。

 

・金融資産および金融負債の公正価値

 米国会計原則では、通常は公正価値で測定されない一定の資産と負債を公正価値で測定する選択権(公正価値オプション)が容認されております。公正価値オプションが選択された場合、該当商品の公正価値の変動は、損益として認識されます。日本会計原則では、このような公正価値オプションは容認されておりません。なお、証券会社に適用される米国会計原則では公正価値で計上されている市場価格のない株式は、日本会計原則では、取得原価から減損損失を控除した金額で計上されます。

 

・デリバティブ契約に関連した相殺処理

 米国会計原則では、マスター・ネッティング契約に基づき資産と負債が純額処理されたデリバティブ商品については、関連する現金担保の請求権または返還義務も併せて相殺することとなっております。日本会計原則においては、このような相殺処理は容認されておりません。

 

・新株発行費用

 米国会計原則では、新株発行費用を控除した純額で払込金額を資本として計上することとされております。日本会計原則では、新株発行費用を支出時に全額費用化するか、または繰延資産に計上して新株発行後3年以内の一定期間において均等償却を行うこととされています。

 

・子会社に対する支配の喪失時の会計処理

 米国会計原則では、子会社に対する支配を喪失し、持分法適用の投資先になる場合、従前の子会社に対する残余の投資は、支配喪失日における公正価値で評価され、評価差損益が認識されます。日本会計原則においては、従前の子会社に対する残余の投資は、連結貸借対照表上、親会社の個別貸借対照表上に計上している当該関連会社株式の帳簿価額に、当該会社に対する支配を喪失する日まで連結財務諸表に計上した投資の修正額のうち売却後持分額を加減した、持分法による投資評価額により評価されます。

 

・株式報酬費用

 米国会計原則では、譲渡制限株式ユニット(以下「RSU」)は資本型報酬として扱われ、その総報酬費用は付与日の当社の普通株式の公正価値に基づき算定されます。日本会計原則では、RSUの総報酬費用は、従業員等に付与された金銭報酬債権額としております。

 

 2023年3月期および2024年3月期において、米国会計原則に基づいた場合の税引前当期純利益が日本会計原則に基づいた場合の税引前当期純利益を上回る(△下回る)金額のうち重要な影響額は下記のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

2024年3月期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

日本会計原則に基づいた場合の税引前当期純利益を

上回る(△下回る)利益

 

 

 

営業目的の投資持分証券の評価差額

△29,743

 

△9,649

営業目的以外の投資持分証券の評価差額

897

 

3,013

トレーディング目的以外の負債証券の評価差額

△2,661

 

△408

のれんの償却

3,023

 

4,027

金融資産および金融負債の公正価値

△15,308

 

18,165

株式報酬費用

3,300

 

1,459

合計

△40,492

 

16,607

 

事業の概況

 当社ならびに証券業務、銀行業務およびその他の金融サービス業を行う子会社は、個人や法人、政府などの顧客向けに世界の主要な金融市場において、投資、金融およびこれらに関連するサービスを提供しております。

 

 野村の事業は、主要な商品・サービスの性格、顧客基盤および経営管理上区分された部門に基づいて行われております。野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、インベストメント・マネジメント部門およびホールセール部門の区分で行われております。2024年4月1日付けで、ビジネスの実態に合わせて「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称いたしました。

 

 営業部門は、主に日本国内の個人投資家等に対し資産管理型営業によるサービスを提供しております。インベストメント・マネジメント部門は、主に投資信託の設定や運用、国内外の投資家に対する投資一任サービス、投資法人や機関投資家向けファンドの運用や管理、匿名組合管理など、さまざまな投資運用サービスや投資ソリューションを提供しております。ホールセール部門は、全世界的な規模で債券、株式、デリバティブや為替のセールスおよびトレーディング業務を行うとともに、債券および株式の引受および売出し業務、M&Aの仲介、財務アドバイザリー業務などの多様な投資銀行サービスを提供しております。

 

連結財務諸表作成上の基礎

 連結財務諸表作成にあたっては、当社および当社が財務上の支配を保持している事業体を連結の範囲に含めております。野村はまず事業体の財務上の支配を保持しているかどうかを決定するため、米国財務会計基準審議会編纂書の規定に従い、事業体が「変動持分事業体」であるかを判定しております。変動持分事業体とは、株主が財務上の支配を保持しているとはいえない事業体、あるいは追加の劣後的財務支援がない場合には業務を遂行するための充分なリスク資本を確保していない事業体であります。野村は変動持分を保有することにより変動持分事業体の最も重要な活動を支配するパワーを有し、かつ、利益を享受する権利または損失を負担する義務が重要と判定される持分を有し、かつ受託者として他の受益者のために行動していない場合には当該変動持分事業体を連結しております。

 

 野村は、変動持分事業体に該当しない事業体については野村が議決権の過半を所有する場合には通常野村が財務上の支配を保持しているものと判定しております。

 

 野村が営業上および財務上の意思決定に対し重要な影響力を保持している(通常、会社の議決権の20%から50%またはリミテッド・パートナーシップ等の3%以上を保有する場合)事業体へのエクイティ投資については持分法会計を適用し(以下「持分法適用投資」)、その他の資産-関連会社に対する投資および貸付金の勘定に計上するか、または編纂書825「金融商品」(以下「編纂書825」)で許容される公正価値オプションを選択し公正価値で計上され、連結貸借対照表上は投資の性質に応じてトレーディング資産、プライベートエクイティ・デット投資またはその他の資産-その他の勘定に計上しております。野村の持分法適用投資について減損の兆候がある場合には、投資総額について一時的な減損か否かが判定されます。のれんを含む持分法適用投資先の資産に対する個別の減損判定は行われません。一時的でない減損が存在すると判断された場合には、持分法適用投資は公正価値まで減損され、将来に向かって使用される新たな帳簿価額が構築されます。野村が財務上の支配も重要な影響力も保持していない事業体へのエクイティ投資は公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書で認識されるとともに連結貸借対照表上は投資の性質に応じてトレーディング資産、プライベートエクイティ・デット投資またはその他の資産-その他の勘定に計上しております。

 

 野村の投資先には編纂書946「金融サービス-投資会社」(以下「編纂書946」)に基づく投資会社がいくつかあります。野村はこれら投資会社におけるすべての投資は連結や持分法は適用されずすべて公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書で認識されます。

 

 当社の主要な子会社には野村證券株式会社、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc.、ノムラ・インターナショナル PLCおよび野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社があります。

 

 重要な連結会社間取引および残高は、連結の過程ですべて相殺消去しております。

 

連結財務諸表作成上の見積もり

 野村は会計上の見積もりを用いて連結財務諸表を作成しており、経営者による困難かつ主観的で複雑な判断を必要とします。これらの見積もりのうち、経営者が重要な会計上の見積もりと判断したものには金融商品の公正価値が含まれます。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定や利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績は直近の見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 経営者の判断に基づく見積もりや見積もりの要素、経営者による仮定が現時点または継続的に見積もりに与える影響や関連する連結財務諸表数値については、関連する連結財務諸表注記に記載しております。

 

金融商品の公正価値

 野村の金融資産および金融負債の大半は経常的に公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書や連結包括利益計算書を通じて認識されます。公正価値評価は米国会計原則により明確に適用が要求される場合と、野村が公正価値オプションを選択できる対象に編纂書825で認められる公正価値オプションを選択して適用する場合があります。

 

 その他の一義的な評価基準が公正価値に基づかない金融資産や金融負債は非経常的に公正価値評価されます。その場合、公正価値は減損の測定など当初認識以降の限定的な状況で使用されます。

 

 いずれの場合も公正価値は編纂書820「公正価値評価と開示」(以下「編纂書820」)に基づき、測定日において市場参加者の間で行われる通常の取引において金融資産の譲渡の対価として得られると想定される金額または金融負債を移転するのに必要と想定される金額と定義され、野村が各金融資産または金融負債を取引する場合において主に利用すると想定される市場(当該主要な市場がないときは最も有利な市場)における取引を想定しております。野村が通常扱っている金融商品のタイプ毎の公正価値評価方法の詳細については、「注記2 公正価値測定」をご参照ください。

 

 連結債務担保金融事業体に該当する変動持分事業体が保有する金融資産および金融負債は、いずれかの公正価値のうち、より観察可能な方で測定する代替法を使用しております。

 

貸倒引当金

野村は公正価値で測定されていない金融債権および未実行のローン・コミットメントを含むオフ・バランスの金融商品の現在予想信用損失に対する引当てを、編纂書326「金融商品-信用損失」(以下「編纂書326」)に従い認識しております。

 

現在予想信用損失は、個別の金融商品または金融商品のポートフォリオの予想残存期間にわたり、過去の事象、現在の状況および将来の予測に関する情報を含む、キャッシュ・フローの回収可能性にかかる全ての合理的でサポート可能な関連する情報を考慮し計算されます。現在予想信用損失の計算において、未収利息は金融債権の償却原価から控除されます。

 

現在予想信用損失減損モデル(以下「CECL減損モデル」)に準拠した貸倒引当金を決定するにあたり野村が使用する方法は、主に金融商品の性質や編纂書326で認められている実務上の簡便法が当社で適用されているかどうかに依拠しております。

 

現在予想信用損失を決定するにあたって野村が使用する方法は、主に金融商品の性質や編纂書326で認められている実務上の簡便法が当社で適用されているかどうか、および金融債権から生じる予想信用損失が重大であるかどうかに依拠しております。

 

金融商品の現在予想信用損失に対する引当ては連結貸借対照表上、貸倒引当金として計上され、オフ・バランスの金融商品に対する現在予想信用損失に対する引当ては連結対象対照表上、その他の負債として計上されます。引当ての変動は連結損益計算書上、その他の費用に計上されます。

 

 現在予想信用損失に対する貸倒引当金の計算方法を含む詳細については「注記7 金融債権」をご参照ください。

 

金融資産の譲渡

 野村は金融資産の譲渡について、次の条件をすべて満たすことにより野村がその資産に対する支配を喪失する場合には、売却取引として会計処理いたします:(a)譲渡資産が譲渡人から隔離されていること(譲渡人が倒産した場合または財産管理下に置かれた場合においても)。(b)譲受人が譲り受けた資産を担保として差し入れる、もしくは譲渡する権利を有していること、または譲受人の唯一の目的が証券化やアセットバックファイナンスの場合において、受益持分の保有者が受益持分を差し入れる、もしくは譲渡する権利を有していること。(c)譲渡人が譲渡資産に対する実質的な支配を維持していないこと。

 

 証券化活動に関連して、野村は、商業用および居住用モーゲージ、政府債および事業会社の負債証券ならびにその他の形態の金融商品を証券化するために特別目的事業体を利用しております。野村の特別目的事業体への関与としましては、特別目的事業体を組成すること、特別目的事業体が発行する負債証券および受益権を投資家のために引受け、売出し、販売することが含まれております。野村は証券化により譲渡した金融資産に対する支配を喪失したときにオフ・バランス処理し、当該特別目的事業体は連結対象としておりません。野村が金融資産に対する持分を保有することもあり、証券化を実施するために設立された特別目的事業体の残存持分を一般的な市場条件により保有することもあります。野村の連結貸借対照表では、当該持分は公正価値により評価し、トレーディング資産として計上され、公正価値の変動はすべて連結損益計算書上、収益-トレーディング損益として認識しております。

 

外貨換算

 当社の子会社は、それぞれの事業体における主たる経済環境の機能通貨により財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成に際し、日本円以外の機能通貨を持つ子会社の資産および負債は各期末日における為替相場により円貨換算し、収益および費用は期中平均為替相場により円貨換算しております。この結果生じた換算差額は、連結包括利益計算書において法人税控除後の金額でその他の包括利益として、また、当社株主資本に累積的その他の包括利益として表示しております。

 

 外貨建資産および負債は、期末日における為替相場により換算しており、その結果生じた為替差損益は、各期の連結損益計算書に計上されています。

 

顧客へのサービス提供から生じる収益

 野村はすべての部門において、顧客への金融サービス提供から生じる報酬および手数料により、収益を獲得しております。これらのサービスのうち主要なものとは、取引執行・清算サービス、投資信託募集サービス、財務アドバイザリーサービス、引受および売出業務サービス、およびアセット・マネジメント業務サービスが該当します。

 

 顧客との契約内で野村が約束した主要な区分可能かつ実質的な義務(「履行義務」)それぞれが充足され、野村が提供するサービスに対する支配を顧客が獲得した時、または獲得するにつれて、収益が認識されます。一般的に、これらの履行義務は一定の時点もしくは、特定の基準を満たした場合には一定の期間にわたって充足されます。

 

 取引執行、清算および投資信託募集サービスから得られる収益は連結損益計算書の委託・投信募集手数料に計上され、アセット・マネジメント業務サービスから得られる収益はアセットマネジメント業務手数料に計上され、財務アドバイザリーサービス、引受および売出業務サービスから得られる報酬は投資銀行業務手数料に計上されます。

 

 顧客へサービスを提供するための契約を獲得ないし履行するための費用は、一定の基準を満たした場合、資産として繰り延べられます。連結貸借対照表のその他の資産に計上されるこれらの繰り延べられた費用は、サービスの提供によって関連する収益が認識された時、もしくは、それ以前にその費用が回収不能となり、減損された場合に連結損益計算書で認識されます。

 

トレーディング資産およびトレーディング負債

 トレーディング資産は、主に連結貸借対照表上約定日基準で認識される負債証券、持分証券およびデリバティブならびに決済日基準で認識される貸付金から構成されます。

 以下の基準のいずれかが満たされた場合、金融資産はトレーディング目的として分類されます。

 

・当該資産が短期的な売買により利益を生み出すことを目的として組成または取得されている場合

・当該資産が短期的な利益の獲得または裁定取引を目的とした金融商品ポートフォリオの一部である場合

・当該資産がデリバティブ資産である場合

 

 トレーディング負債は主に有価証券のショート・ポジションおよびデリバティブ負債で構成され、連結貸借対照表上は約定日基準で認識されております。トレーディング資産およびトレーディング負債は公正価値で評価され、その変動は連結損益計算書上、原則として収益-トレーディング損益に計上されております。

 

 デリバティブに関連しない特定のトレーディング負債は、営業目的で保有する投資持分証券の価格変動リスクを経済的にヘッジするため保有されます。このようなトレーディング負債の公正価値の変動は、連結損益計算書上、投資持分証券関連損益に計上されております。

 

担保付契約および担保付調達

 担保付契約は、売戻条件付買入有価証券に計上される売戻条件付有価証券買入取引および借入有価証券担保金に計上される有価証券借入取引から構成されます。担保付調達は、買戻条件付売却有価証券に計上される買戻条件付有価証券売却取引、貸付有価証券担保金に計上される有価証券貸付取引およびその他の一定の担保付借入から構成されます。

 

 

 売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引(以下「レポ取引」)は、主に有価証券を顧客との間において売戻条件付で購入する、または買戻条件付で売却する取引であります。当該取引は概ね担保付契約または担保付調達として会計処理されており、買受金額または売渡金額で連結貸借対照表に計上しております。一部のレポ取引は公正価値オプションの適用により公正価値で計上されます。

 

 野村は日本の金融市場において一般的な、日本版のレポ取引(以下「現先レポ取引」)を行っております。現先レポ取引では、値洗いが要求され、有価証券の差換権があり、また一定の場合に顧客が譲り受けた有価証券を売却または再担保に提供する権利が制限されております。現先レポ取引は担保付契約あるいは担保付調達として会計処理されており、買受金額または売渡金額で連結貸借対照表に計上されております。

 

 有価証券借入取引および有価証券貸付取引は、それぞれ概ね担保付契約および担保付調達として会計処理されております。当該取引は通常、現金担保付の取引であり、差入担保または受入担保の金額は、連結貸借対照表上、それぞれ借入有価証券担保金または貸付有価証券担保金として計上されております。有価証券借入取引の現在予想信用損失に対する貸倒引当金は、担保請求が厳密に行われていることや契約上の満期が短期間であることから重要な金額ではありませんでした。野村が有価証券貸付取引において現金ではなく有価証券を受け取り、その有価証券が担保として売却または差入可能な場合、野村は受領した有価証券を公正価値で評価し連結貸借対照表上、その他の資産―その他で認識するとともに当該有価証券の返還義務をその他の負債で認識します。

 

編纂書326に基づく現在予想信用損失に対する貸倒引当金の決定を含む詳細については「注記7 金融債権」をご参照ください。

 

担保付契約および担保付調達の相殺

 担保付契約および担保付調達として会計処理される売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引のうち、同一の取引相手とマスター・ネッティング契約を締結しているものは、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」(以下「編纂書210-20」)に定義された特定の条件に合致する場合は、連結貸借対照表上相殺して表示しております。特定の条件には、取引の満期、担保が決済される振替機関、関連する銀行取決めおよびマスター・ネッティング契約における一括清算および相殺の法的有効性などに関する要件が含まれます。同様に、担保付契約および担保付調達として会計処理される有価証券借入取引および有価証券貸付取引のうち、同一の取引相手とマスター・ネッティング契約を締結しているものも、編纂書210-20に定義された特定の条件に合致する場合は、連結貸借対照表上相殺して表示しております。

 

 その他の担保付借入は主にインターバンク短期金融市場における金融機関および中央銀行からの借入であり、契約金額で計上されております。

 

 譲渡取消による担保付借入は編纂書860「譲渡とサービシング」(以下「編纂書860」)において売却取引ではなく金融取引として会計処理された金融資産の譲渡に関連する負債であり、連結貸借対照表上、長期借入に含まれております。これらには通常、公正価値オプションを適用し、経常的に公正価値で計上しております。詳細については、「注記6 証券化および変動持分事業体」および「注記10 借入」をご参照ください。

 

 野村の自己所有の有価証券のうち、取引相手に担保として差し入れ、かつ取引相手が当該有価証券に対し売却や再担保差入れの権利を有するもの(現先レポ取引にかかる差入担保を含む)は、連結貸借対照表上、トレーディング資産に担保差入有価証券として括弧書きで記載しております。

 

 詳細については「注記5 担保付取引」をご参照ください。

 

 

デリバティブ取引

 野村はトレーディング目的およびトレーディング目的以外で、先物取引、先渡契約、スワップ、オプションなどのデリバティブ取引を行っております。会計上のデリバティブの定義を満たす独立した金融商品はそれぞれ、その貸借対照表日の公正価値が正の価値か負の価値かにより、連結貸借対照表上トレーディング資産またはトレーディング負債として計上されています。仕組債や仕組預金などの複合金融商品に組み込まれた一定のデリバティブは、主契約から区分され公正価値で評価され、主契約の満期日に応じて短期借入または長期借入に計上されております。公正価値の変動はデリバティブの使用目的により連結損益計算書または連結包括利益計算書に計上されます。

 

トレーディング目的のデリバティブ取引

 区分処理された組込デリバティブを含むトレーディング目的のデリバティブ取引は、公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。

 

 トレーディング目的以外のデリバティブ取引

 野村は、トレーディング目的のほかに、認識された資産・負債、予定取引や確定したコミットメントから生じるリスクを管理するためにデリバティブ取引を利用しております。トレーディング目的以外のデリバティブ取引には、下記のとおり編纂書815「デリバティブとヘッジ」(以下「編纂書815」)における公正価値ヘッジや純投資ヘッジを指定した取引や経済的ヘッジで構成されています。

 

・公正価値ヘッジ

 野村は一定のデリバティブ金融商品を、特定の金融負債から生じる金利リスク管理および為替リスク管理のため、公正価値ヘッジに指定しております。これらのデリバティブ取引は、当該ヘッジ対象のリスク低減に有効であり、ヘッジ契約の開始時から終了時までを通じてヘッジ対象の金融資産および金融負債、公正価値の変動と高い相関性を有しております。関連する評価損益はヘッジ対象の金融負債およびトレーディング目的以外の負債証券にかかる損益とともに、連結損益計算書上、それぞれ金融費用および収益-その他に計上されております。

 

・純投資ヘッジ

 海外事業への純投資についてヘッジ指定されたデリバティブは、日本円以外が機能通貨である特定の子会社に関連付けられています。純投資ヘッジの有効性は、スポット・レートの変動によるデリバティブの公正価値の変動部分で判定されます。ヘッジ手段のデリバティブの公正価値の変動のうちフォワード・レートとスポット・レートの変動の差による差額は有効性の判定から除かれ、連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。

 

その他の有効と判定されたデリバティブの公正価値の増減は、当社株主資本に累積的その他の包括利益として計上されております。

 

・経済的費用ヘッジ

 野村は予定取引や確定したコミットメントから生じる特定の費用について株価や為替の変動を管理するために特定のデリバティブを経済的費用ヘッジとしてヘッジ指定しております。これらのデリバティブの公正価値の変動は連結損益計算書上、ヘッジ対象の損益と同じ科目に報告されます。

 

デリバティブの相殺

 法的拘束力のあるマスター・ネッティング契約を締結している同一の取引相手とのデリバティブ資産および負債、さらに関連する現金担保の請求権(債権)および現金担保の返済義務(債務)は、編纂書210-20および編纂書815に定義された特定の条件に合致する場合は、連結貸借対照表上相殺して表示しております。

 

デリバティブの清算

 取引所で取引されるデリバティブと清算機関で清算されるOTCデリバティブは、公正価値の変動を反映する変動証拠金が日々収受されています。このような変動証拠金は中央清算機関との契約内容によって、デリバティブの部分決済または現金担保の差入れもしくは受入れとして会計処理されます。

 

 詳細については「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。

 

 

貸付金

 予見し得る将来にわたって保有することを意図している貸付は貸付金に区分されております。貸付金は公正価値または償却原価により計上されております。貸付金の利息収入は連結損益計算書上、収益-金融収益に計上されております。

 

公正価値により計上される貸付金

 公正価値ベースでリスク管理している貸付金は、公正価値による測定が選択されております。この公正価値オプションの選択は、貸付金と当該貸付金のリスク低減目的で使用しているデリバティブの測定方法の違いによって生じる連結損益計算書上の変動軽減を目的としております。公正価値オプションを選択した貸付金の公正価値の変動は、連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。

 

償却原価により計上されている貸付金

 公正価値オプションを選択していない貸付金は、償却原価で計上されております。償却原価は、繰延収益および直接費用ならびに購入した貸付金に関しては未償却プレミアムまたはディスカウントを調整した原価から、野村が2020年4月1日に初度適用した編纂書326の現在予想信用損失に対する貸倒引当金を控除した価額であります。

 

 ローン貸出手数料収入は貸出に関連する費用を控除後、金利の調整としてローン期間にわたり償却され収益-金融収益に計上されております。

 

財政的な困難にある借手に対する貸付金の条件変更

 2023年3月31日以前において、借手の財政的困難を理由に野村が借手に対する譲歩として与える貸付金の条件変更は、不良債権のリストラクチャリング(Troubled Debt Restructuring (以下「TDR」))として扱われていました。野村は2023年4月1日からASU第2022-02号「金融商品-信用損失:不良債権のリストラクチャリングおよび年度別開示」を適用し、当該ASUの適用によりTDRにかかる特定の会計処理が廃止されました。

 

 当該ASUの適用にかかる詳細については「会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。

 

 編纂書326に基づく現在予想信用損失に対する貸倒引当金の決定が現在予想信用損失の計算に与えた影響および貸付金の条件変更を含む詳細については「注記7 金融債権」をご参照ください。

 

その他の債権

 顧客に対する受取債権には、顧客との有価証券取引に関する債権、顧客との有価証券の引渡未了(フェイル)にかかる受取債権、および手数料の純受取額の金額が含まれており、顧客以外に対する受取債権には、信用預託金、ブローカーやディーラーとの有価証券の引渡未了(フェイル)にかかる受取債権、デリバティブ取引にかかる現金担保の受取債権、未決済有価証券取引の純受取額の金額が含まれております。

 

 これらの受取債権は編纂書326に従い認識された現在予想信用損失に対する貸倒引当金を差し引いた金額で計上されております。

 

 編纂書326に基づく現在予想信用損失に対する貸倒引当金の決定に関する詳細については「注記7 金融債権」をご参照ください。

 

貸出コミットメント

 野村が提供する未実行貸出コミットメントは、簿外債務として処理されるか、またはトレーディング商品への分類もしくは公正価値オプションの選択により公正価値で会計処理されております。

 

 貸出コミットメントは通常貸出が実行された際の貸付金と同様に会計処理されています。貸付金がトレーディング資産への分類または公正価値オプションの選択により公正価値評価される場合には、貸出コミットメントも通常同様に公正価値評価され、公正価値の変動は連結損益計算書上、収益-トレーディング損益として認識しております。貸出コミットメントの提供に不可欠な貸出コミットメント手数料はコミットメントの公正価値の一部として認識されます。

 

 

 貸付金が予見できる将来にわたって保有され、公正価値オプションが適用されない場合の貸出コミットメントについて、野村は編纂書326に従い現在予想信用損失に対する引当てを認識しております。貸出コミットメント手数料は通常繰り延べられ、金利の調整として貸出日から契約期間にわたり認識されます。貸出コミットメントから貸出が実行される可能性がほとんどないと考えられる場合には、貸出コミットメント手数料はコミットメント期間にわたって役務収益として認識されます。

 

 編纂書326に基づく現在予想信用損失に対する貸倒引当金の決定に関する詳細については「注記7 金融債権」をご参照ください。

 

支払債務および受入預金

 顧客に対する支払債務は、顧客との有価証券取引に関する債務の金額が含まれており、通常契約金額で測定されております。

 

 顧客以外に対する支払債務は、有価証券の受入未了(フェイル)にかかる支払債務、デリバティブ取引や一定の担保付調達および資金調達取引にかかる現金担保の支払債務、未決済有価証券取引の純支払額の金額が含まれており、契約金額で測定されております。

 

 受入銀行預金は、銀行子会社が受け入れた銀行預金の金額を示しており、契約金額で測定されております。

建物、土地、器具備品および設備

 野村が自己使用のために所有する建物、土地、器具備品および設備は、取得価額から減価償却累計額を控除した金額で計上しております。ただし、土地は取得価額で計上しております。多額の改良および追加投資は、資産計上しております。維持、修繕および少額の改良は、連結損益計算書上、当期の費用に計上しております。

 

 野村が借手または貸手として関わるリース取引およびサブリース取引は、編纂書842「リース」に従いリース取引開始日にオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースに分類されます。野村は借手である場合、リース取引開始日に使用権資産およびリース負債を認識し、それぞれ連結貸借対照表上その他の資産-建物、土地、器具備品および設備ならびにその他の負債-その他に計上しております。

 

 リース負債は、リース期間にわたる最低リース料支払額の現在価値で当初測定されます。将来の最低リース料支払額は、リース取引開始日における野村の追加借入利子率を用いて割引計算されます。リース期間は通常、リース契約の満期に、野村が行使することが合理的に予見される延長または解約オプションにより調整される期間を加味して決定されます。使用権資産は、リース負債の金額に、リース料の前払い、当初直接費用およびリース・インセンティブを加算した金額で当初測定されます

 

 リース取引開始日後、野村が借手となるオペレーティング・リースについてはリース契約期間にわたりリース費用を原則として定額法で認識し、連結損益計算書上不動産関係費または情報・通信関係費用に計上しております。ファイナンス・リースについては使用権資産にかかる減価償却費とリース債務にかかる利息費用をリース契約期間にわたり認識します。

 

 野村が所有する資産の減価償却費は、原則として定額法により計算され、各資産の見積耐用年数に基づき認識されます。資産の見積耐用年数は、技術革新、経年劣化および物理的費消を考慮して決定します。リース物件の改良費は、それ自体の耐用年数またはリース期間のいずれか短い期間にわたり減価償却されます。

 

 主要な資産の種別の見積耐用年数は以下のとおりです。

建物

3年から50年

器具備品および設備

3年から20年

ソフトウエア

3年から10年

 

 のれんおよび非償却性無形資産を除く、使用権資産およびソフトウエアを含む長期性資産は、帳簿価額が回収可能でない兆候を示す事象や環境変化が生じた場合には、減損テストの対象となります。将来の資産からの割引前の期待キャッシュ・フローの合計が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額と公正価値の差額を損失計上しております。

 

 詳細については「注記8 リース」をご参照ください。

 

投資持分証券

 野村は、既存および潜在的な取引関係をより強化することを目的とし、非関連会社である日本の金融機関や企業のエクイティ証券を一部保有しており、同様に、これらの企業が野村のエクイティ証券を一部保有していることがあります。こうした株式の持合は日本の商慣行に基づいており、株主との関係を管理する方法のひとつとして用いられております。

 

 野村が営業目的で保有するこれらの投資は公正価値で評価され、連結貸借対照表上、その他の資産-投資持分証券に分類され、公正価値変動は、連結損益計算書上、収益-投資持分証券関連損益に計上されます。

 

その他のトレーディング目的以外の負債証券および営業目的以外の投資持分証券

 一部の子会社はトレーディング目的以外の負債証券および営業目的以外の投資持分証券を保有しております。これらの子会社によって保有されるトレーディング目的以外の有価証券は連結貸借対照表上その他の資産-トレーディング目的以外の負債証券およびその他の資産-その他に計上され、公正価値の変動は連結損益計算書上、収益-その他で認識されております。トレーディング目的以外の有価証券に関する実現損益は連結損益計算書上、収益-その他に計上されております。

 

短期および長期借入

 短期借入は、借入金のうち要求払のもの、借入実行日において契約満期が1年以下のもの、または契約満期は1年超であるが借入実行日より1年以内に野村のコントロールが及ばない条件により貸付人が返済を請求でき、その請求の可能性がほとんどないとは考えられないものと定義しております。短期および長期借入は、主にコマーシャル・ペーパー、銀行借入、野村および野村により連結される特別目的事業体により発行された仕組債、編纂書860に基づき売却ではなく金融取引として会計処理された取引から生じた金融負債(以下「譲渡取消による担保付借入」)により構成されます。これら金融負債のうち、一部の仕組債、譲渡取消による担保付借入および一部の仕組借入は、公正価値オプションを適用し経常的に公正価値で会計処理されております。それ以外の短期および長期借入は償却原価で計上されております。

 

 仕組債とは、投資家への単純な固定または変動金利のリターンを、株価もしくは株価指数、商品相場、為替レート、第三者の信用格付、またはより複雑な金利等の変数に応じたリターンに変換する特徴(多くの場合、会計上のデリバティブの定義に該当する)が組み込まれた負債証券です。また、仕組借入は、仕組債と同様の特徴を持つ借入です。

 

 すべての仕組債および一部の仕組借入は、公正価値オプションの適用により経常的に公正価値で計上されております。この仕組債および仕組借入への包括的な公正価値オプション適用の主な目的は、仕組債と当該仕組債のリスク管理に使用するデリバティブの測定基準の違いから生じる連結損益計算書上の変動軽減と、これら金融商品に適用される会計処理の全般的な簡素化にあります。

 

 公正価値オプションが選択された仕組債の公正価値の変動額は、連結包括利益計算書上、法人税控除後の金額でその他の包括利益に計上されている仕組債にかかる野村の自己クレジットの変動に起因するものを除き、連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。

 

 詳細については「注記10 借入」をご参照ください。

 

法人所得税等

 資産および負債について会計上と税務上の帳簿価額の差額から生じる一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除の将来の税金への影響額は、各期に適用される税法と税率に基づき繰延税金資産または負債として連結貸借対照表に計上されております。繰延税金資産は、将来において実現すると予想される範囲内で認識されております。なお、将来において実現が見込まれない場合には、繰延税金資産に対し評価性引当金を設定しております。

 

 繰延税金資産および繰延税金負債のうち、特定の課税管轄区域内における同一納税主体に関連するものは、連結貸借対照表上相殺表示されております。繰延税金資産および繰延税金負債の純額は、連結貸借対照表上、その他の資産-その他およびその他の負債にそれぞれ計上されております。

 

 野村は、税務ポジションが将来の税務調査で是認される確率を、専門的な観点から事実および状況ならびに期末日時点に入手可能な情報に基づき見積もり、未認識の税金費用減少効果(以下「未認識税務ベネフィット」)を認識および測定しております。野村は、追加情報を入手した、または変更を要する事象が発生した場合、未認識税務ベネフィットの水準を調整しております。未認識税務ベネフィットの再測定は、発生期における実効税率に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 野村は、法人所得税に関する利息および加算税を、連結損益計算書上、法人所得税等に計上しております。

 

 詳細については「注記14 法人所得税等」をご参照ください。

 

株式報酬制度

 野村により役員または従業員に付与される株式報酬は付与の条件により資本型または負債型として処理されます。

 

 ストック・オプションや譲渡制限株式ユニット(以下「RSU」)のように当社株式の交付により決済される予定のある株式報酬は資本型に分類されます。資本型報酬の総報酬費用は通常付与日に固定され、付与日の公正価値に従業員が支払義務を負う金額および見積権利喪失額を差し引いて評価されます。

 

 ファントム・ストックやカラー付ファントム・ストックプランのように現金で決済される株式報酬は負債型に分類されます。負債型報酬は貸借対照表日ごとに見積権利喪失額を差し引いた公正価値で再評価され、最終的な報酬費用の合計は決済額と一致します。

 

 資本型および負債型の報酬の双方について、その公正価値は、オプション価格決定モデル、当社株式の市場価額または第三者機関の株価指数に基づいて適切に測定されます。報酬費用は、必要とされる勤務期間(契約上の受給権確定までの期間と通常一致する)にわたって連結損益計算書に認識されております。報酬が段階的に確定する場合には、段階ごとに費用計算が行われます。

 

 特定の繰延報酬には、野村での職位と勤務期間にかかる一定の条件を満たした場合、自己都合退職時点または事前に決定された期間内におけるフル・キャリア・リタイアメントの申請時点で受給権の確定を認める「フル・キャリア・リタイアメント」条項を含んでおります。これら報酬にかかる必要勤務期間は、契約上の受給権確定日または対象者がフル・キャリア・リタイアメントの条件を満たした日もしくはフル・キャリア・リタイアメントの申請をした日のいずれか早い日に終了します。

 

 株式報酬制度にかかる費用は、連結損益計算書上、人件費に計上されております。

 

 詳細については「注記13 繰延報酬制度」をご参照ください。

 

1株当たり当期純利益

 1株当たり当期純利益は期中加重平均株式数に基づいて計算しております。希薄化後1株当たり当期純利益は、希薄化効果のあるすべての有価証券が投資家にとって最も有利な転換価格または行使価格に基づき転換され、かつ転換負債は転換仮定方式に基づき転換されると仮定して計算しております。

 

 詳細については「注記11 1株当たり当期純利益」をご参照ください。

 

現金および現金同等物

 現金および現金同等物には手許現金と要求払銀行預金が含まれております。

 

のれんおよび無形資産

 企業結合の完了時に買収価額と純資産の公正価値との差額がのれんとして認識されます。当初認識以降、のれんは償却されず、減損の判定がレポーティング・ユニットのレベルで毎年第4四半期に、あるいは減損の兆候の可能性を示す事象がある場合にはそれ以上の頻度で第4四半期を待たずして行われます。野村のレポーティング・ユニットは事業別セグメントと同じレベルまたはひとつ下のレベルになります。

 

 野村は、それぞれのレポーティング・ユニットにつき、まず定性的に事象を検証し、レポーティング・ユニットの公正価値が簿価を下回っている可能性が高い(50%超の見込み)か否かを判断します。公正価値が簿価を下回っていないと判断された場合には、それ以上の分析は必要とされません。公正価値が簿価を下回る可能性が高いと判断された場合には、定量的なテストを行います。のれんを含むレポーティング・ユニットの簿価が公正価値を超過する差額をそれぞれのレポーティング・ユニットに割り当てられたのれんの金額に限定して減損損失として認識します。

 

 償却されない無形資産(以下「非償却性無形資産」)は、毎年第4四半期に、または減損の兆候の可能性を示す事象または状況がある場合にはそれ以上の頻度で第4四半期を待たずして、減損の判定が行われます。のれんと同様に、野村は非償却性無形資産について、まず当該無形資産の公正価値が簿価を下回っている可能性が高い(50%超)か否かを定性的に判断します。この定性的テストで公正価値が簿価を下回っていないと判断された場合、それ以上の分析は不要となります。もし公正価値が簿価を下回る可能性が高いと判断された場合、無形資産の簿価は現時点での公正価値と比較されます。簿価が現時点の公正価値を上回る場合には減損損失が認識されます。

 

 耐用年数に限りのある無形資産(以下「償却性無形資産」)は見積耐用年数にわたって償却され、個別単位または他の資産と合わせた単位(以下「資産グループ」)で当該無形資産(または資産グループ)の簿価が回収できない可能性を示す事象または状況がある場合に減損テストが行われます。

 

 償却性無形資産は、その簿価または資産グループの簿価が公正価値を上回る場合に減損されます。減損損失は、無形資産(または資産グループ)の簿価が回収不可能で、かつ公正価値を上回る場合にのみ計上されます。

 

 のれんと無形資産の両方について、減損損失が計上された場合は新たな取得原価が構築されるため、その後における当該損失の戻入れは認められません。

 

 詳細については「注記9 その他の資産-建物、土地、器具備品および設備ならびにその他 / その他の負債」をご参照ください。

 

従業員給付制度

 野村は、特定の従業員に対して、年金およびその他の退職後給付を含むさまざまな退職給付制度を提供しております。これらの退職給付制度は、確定給付型制度または確定拠出型制度のいずれかに分類されます。

 

確定給付型制度

 確定給付型の年金制度またはその他の退職後給付制度にかかる年金資産および予測給付債務ならびに退職給付費用は、貸借対照表日における、割引率、年金資産の期待運用収益率、将来の給与水準といったさまざまな数理上の見積もりに基づき認識されます。年金数理上の損益のうち予測給付債務または年金資産の公正価値のいずれか大きい額の10%を超える部分および未認識の過去勤務費用は、給付を受ける在籍従業員の平均残存勤務期間にわたって定額法で償却され、退職給付費用に計上されます。年金資産の積立超過または積立不足の状況は、連結貸借対照表上、その他の資産-その他およびその他の負債にそれぞれ計上され、積立状況の変化は、退職給付費用として連結損益計算書上、人件費およびその他に、また、法人税控除後の金額で連結包括利益計算書上、その他の包括利益に計上されます。

 

確定拠出型制度

 確定拠出型制度にかかる退職給付費用およびその他の給付費用は、従業員が野村へサービスを提供したとき(通常は制度への掛金拠出時と一致)に、連結損益計算書上、人件費に計上されます。

 

 詳細については「注記12 従業員給付制度」をご参照ください。

 

会計方針の変更および新しい会計基準の公表

 野村が2023年4月1日以降において適用した新しい会計基準の要約および連結財務諸表への影響は下表のとおりです。

 

 

新会計基準

 

 

概要

 

適用日および

適用方法

 

連結財務諸表

への影響

ASU第2022-02号

「金融商品-信用損失:不良債権のリストラクチャリングおよび年度別開示」

 

・不良債権の認識および測定について特定の規定が削除されます。条件変更により新しい債権を計上するか、既存の債権を継続させるかの判断について適用する単一の指針を提供します。

 

・条件変更後の債権にかかる信用損失の測定方法は割引キャッシュ・フロー法またはその他の調整可能な方法が要求されていましたが、当該規定は削除され、実効金利を使用した測定が要求されます。

 

・債権者に対し、債務者の財政的困難に起因した貸し付け条件の譲歩や金利の引き下げ、重要な支払いの遅延や支払期限の延長に関する開示要求を拡大します。

 

・公開企業の債権者に対し、金融債権およびリース債権に関する当期の償却額について債権の組成年度(すなわち、ヴィンテージイヤー)別の開示要件を増強します。

 

 

野村は当該変更について2023年4月1日から将来に向かって適用しました。

 

 

適用による重要な影響はありませんでした。

 

関連する新規開示は「注記7 金融債権」をご参照ください。

 

 

 

新しい会計基準の進展

 野村が2024年4月1日以降において適用を予定する、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある新しい会計基準は下表のとおりです。

 

 

新会計基準

 

 

概要

 

適用日および

適用方法

 

連結財務諸表

への影響

ASU第2022-03号

「公正価値測定」

 

・契約上の売却制限は企業特有の特徴であり、金融商品に特有の特徴ではないことから、当該制限は株式等の時価評価にあたり考慮しない旨を明確化します。

 

・契約上の売買制限が付された株式等について、当該株式等の時価、当該制限の内容および残存期間ならびに当該制限が失効する状況の開示が要求されます。

 

 

野村は当該変更について2024年4月1日から将来に向かっての適用を予定しております。

 

野村の連結財務諸表に対する重要な影響は見込まれません。

ASU第2023-07号

「セグメント報告:報告セグメントに関する開示の改善」

 

・公開企業の報告セグメントについて、より詳細な費用に関する情報が期中および年次報告の追加的な開示要件として導入され、また、既存のセグメント開示の頻度が増加されます。

 

・セグメント情報最高経営責任者に関する情報の年次での開示が要求されます。

 

・セグメント利益または損失に関する、2つ以上の評価基準の開示が認められる要件を明確化します。

 

 

 

野村は当該変更について2025年3月31日から過去に遡及しての適用を現時点では予定しております。

 

野村の連結財務諸表に対する重要な影響は見込まれません。

ASU第2023-08号

「無形資産-のれんおよびその他-暗号資産:暗号資産に関する会計処理および開示」

 

・適用対象となるすべての暗号資産を毎期時価評価し損益に計上することが要求されます。

 

・財務諸表において適用対象となる暗号資産をその他の無形資産と区別して表示することが要求されます。

 

・すべての企業に対し適用対象となる暗号資産に関する新たな開示要件が導入されます。

 

 

野村は当該変更について2025年4月1日から修正遡及法による適用を現時点では予定しております。

 

野村の連結財務諸表に対する重要な影響は見込まれません。

ASU第2023-09号

「法人所得税:法人所得税に関する開示の改善」

 

・実効税率の調整表等に関するより詳細な情報および支払法人税等に関する情報の年次での追加的な開示が導入されます。

 

・未認識税務ベネフィットおよび繰延税金負債が認識されていない一時差異に関する既存の開示要件の一部が削除されます。

 

 

野村は当該変更について2025年4月1日から将来に向かっての適用を現時点では予定しております。

 

野村の連結財務諸表に対する重要な影響は見込まれません。

 

 

 

 

 

2024年4月1日より適用予定の自発的な会計方針の変更

 2024年4月1日より、野村は編纂書940「金融サービス-ブローカー・ディーラー」(以下「編纂書940」)の当社およびその連結子会社への適用方法にかかる会計方針の変更を予定しております。2024年3月31日以前において、編纂書940は、野村の連結財務諸表に含まれるすべての連結子会社に適用されていましたが、2024年4月1日より、当社およびブローカー・ディーラーではない連結子会社(以下「非ブローカー・ディーラー会社」)は編纂書940を適用しません。

 当該会計方針の変更は、主に野村の銀行ビジネスおよびインベストメント・マネジメントビジネスの拡大が見込まれることを受け、非ブローカー・ディーラー会社が新たに購入するトレーディング目的以外の負債証券を、編纂書320「投資-負債証券」(以下「編纂書320」)において定義される満期保有証券または売却可能証券に分類することを将来に向かって可能とするものです。満期保有証券に分類されるトレーディング目的以外の負債証券は、非ブローカー・ディーラー会社が満期まで保有する能力と意思を持つ負債証券であり、償却原価で測定され、売却可能証券に分類されるトレーディング目的以外の負債証券は公正価値で測定され、公正価値の変動額は連結包括利益計算書において法人税控除後の金額でその他の包括利益に、また、連結貸借対照表において法人税控除後の金額で、当社株主資本の構成要素の1つである累積的その他の包括利益に計上されます。

 この新たな会計方針を遡及適用することは、トレーディング目的以外の負債証券への当初の分類など過年度の会計上の判断を仮定することが必要であり実務上不可能であるため、当社は当該会計方針を2024年4月1日から将来に向かって適用します。

 当該会計方針の変更に際し、非ブローカー・ディーラー会社が保有する既存のトレーディング目的の貸付金およびトレーディング目的以外の負債証券については、2024年4月1日をもって公正価値オプションを選択し、引き続き公正価値で評価の上、公正価値の変動額を損益に計上します。また、新たに組成または購入したトレーディング目的の貸付金についても、同様に公正価値オプションを選択します。当該貸付金は引き続き連結貸借対照表上トレーディング資産に表示され、公正価値の変動額は連結損益計算書上トレーディング損益に表示されます。

 当該会計方針の変更により、2024年4月1日以降に非ブローカー・ディーラー会社が新たに取得するトレーディング目的以外の負債証券が満期保有証券または売却可能証券に分類された場合、減損損失を認識する場合を除き、当該負債証券の公正価値の変動は損益に計上されないこととなります。

 

2 公正価値測定:

金融商品の公正価値

 野村が保有する金融商品の多くは公正価値で計上されております。経常的に公正価値で計上される金融資産は、連結貸借対照表上トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資、貸付金および受取債権、担保付契約、その他の資産に計上されており、金融負債は、トレーディング負債、短期借入、支払債務および受入預金、担保付調達、長期借入、その他の負債に計上されております。

 

 その他の一義的な評価基準が公正価値に基づかない金融資産や負債は非経常的に公正価値評価されます。その場合、公正価値は当初認識以降の減損の測定など限定的な状況で使用されます。

 

 すべての公正価値は、編纂書820「公正価値評価と開示」の規定に従い、測定日において市場参加者の間で行われる通常の取引において、金融資産の譲渡の対価として得られるであろう金額または金融負債を移転するのに必要とされるであろう金額と定義されます。ここでいう取引は、各金融資産または金融負債を取引する場合、主に利用すると想定される市場(当該主要市場がないときは最も有利な市場)における取引を想定しております。

 

 金融商品の公正価値は原則、金融商品の会計単位と整合したうえで、個別商品ごとに決定されております。ただし、ポートフォリオ単位で管理される特定の金融商品は、ポートフォリオ単位で公正価値が測定されております。この場合、公正価値は、ネット・ロング・ポジション(純額での金融資産)の譲渡の対価として得られるであろう金額、あるいはネット・ショート・ポジション(純額での金融負債)を移転するのに必要とされるであろう金額に基づいており、測定日において市場参加者がネット・エクスポージャーに対して行う評価と整合しております。

 

 公正価値で測定される金融資産には、特定のファンドへの投資も含まれております。こうしたファンドへの投資は、1株当たり純資産価額が公正価値算定の方法として業界で一般的に使用されている場合には、実務上の簡便的な方法として1株当たり純資産価額で公正価値を測定しております。

 

 資産負債の公正価値の増減は、野村のポジション、パフォーマンス、流動性および資本調達に大きな影響を与える可能性があります。後述のとおり、採用している評価手法は元来不確実性を内包しているため、将来の市場動向の正確な影響を予測することはできません。金融商品の評価は、ボラティリティの高まりや価格の透明性の低下のために市場がストレス下にある時には、公正価値算定により多くの判断が必要となります。野村は、市場リスクを軽減するために可能な場合には経済的なヘッジ戦略をとっております。ただし、それらのヘッジ戦略も予測することのできない市場の動向の影響を受けます。

 

毎期経常的に公正価値評価される金融商品の評価手法

 金融商品の公正価値は、市場指数を含む取引所価格、ブローカーやディーラー気配、その時点における市場環境下で当社が出口価格と推測する見積もり価格に基づいております。現物取引と店頭取引を含めたさまざまな金融商品は、市場で観察可能なビッド価格とオファー価格を有しています。こうした商品は、ビッド価格とオファー価格の間の野村の見積公正価値をもっとも良く表している価格で公正価値評価されます。取引所価格もしくはブローカーやディーラー気配が取得できない場合は、類似する商品の価格や時価評価モデルが公正価値を決定するにあたって考慮されます。

 

 活発な市場の取引価格が取得できる場合、それらの価格で評価された資産もしくは負債の公正価値に調整を加えることはありません。その他の商品については、観察可能な指標、観察不能な指標、またはその両方を含んだ時価評価モデルなどの評価手法が用いられます。時価評価モデルは市場参加者が類似する金融商品を評価する際に考慮するであろう指標を用いています。

 

 時価評価モデルおよび当該モデルの基礎となる仮定は、未実現および実現損益の金額および計上時期に影響を与えます。異なる時価評価モデルや基礎となる仮定の使用は、異なる財務上の損益に結びつくことがあります。評価の不確実性は、評価手法やモデルの選定、評価モデルに用いられる数量的な仮定、モデルに用いられるデータや他の要素などといったさまざまな要素に起因します。これらの不確実性を考慮したうえで、評価は調整されます。通常用いられる調整としてはモデル・リザーブ、クレジット・アジャストメント、クローズアウト・アジャストメント、譲渡や売却の制限といった個別の商品特有の調整が含まれます。これらの評価の調整は野村の連結財務諸表に重大な影響を与える可能性があります。

 

 評価の調整の程度は概して主観的なものであり、市場参加者が類似する金融商品の公正価値を決定する際に用いるであろうと当社が推測する要素に基づくものです。行われる調整のタイプ、それらの調整の計算方法、計算に用いられるデータなどは、その時々の市場慣行や新たな情報の利用可能状況を反映するように定期的に見直されます。

 

 例えば、ある金融商品の公正価値には、野村の資産に関する取引先の信用リスクと負債に関する自社クレジットの両方に関連した信用リスクの調整を含んでおります。金融資産の信用リスクは、担保やネッティング契約などの信用補完により、大幅に軽減されています。相殺後の信用リスクは、実際の取引先の入手可能で適用可能なデータを用いて測定されます。野村の資産に対する取引先の信用リスクを測定するのと同様の手法が、野村の金融負債に対する信用リスクを測定するために用いられています。

 

 こうした時価評価モデルは定期的に市場動向に合うよう見直され、用いられるデータは最新の市場環境とリスクに応じて調整されます。リスク・マネジメント部門内のバリュエーション・モデル・バリデーション・グループが、収益責任を負う部門から独立した立場で評価モデルをレビューし、モデルの妥当性や一貫性を評価しております。モデル・レビューにあたっては、評価の適切性や特定の商品の感応度など多くの要素を考慮しております。評価モデルは定期的に観察可能な市場価格との比較、代替可能なモデルとの比較、リスク・プロファイルの分析により市場に合うよう見直されます。

 

 上述のとおり、債券、株式、為替、コモディティ市場において変化があれば、野村の将来の公正価値の見積もりに影響を与え、トレーディング損益に影響を与える可能性があります。また、金融商品の満期日までの期間が長ければ長いほど、客観的な市場データが得にくくなることから、野村の公正価値の見積もりはより主観的になる可能性があります。

 

公正価値の階層

 公正価値で測定された特定の金融商品(公正価値オプションの適用により公正価値で測定された金融商品を含む)はその測定に使用された基礎データの透明度によって3段階のレベルに分類されます。金融商品は、公正価値算定にあたり有意なデータのうち最も低いレベルによって分類されます。以下のように3段階のレベルに公正価値評価の階層は規定されており、レベル1は最も透明性の高いデータを有し、レベル3は最も透明性の低いデータを有しております。

 

レベル1

 測定日現在の、同一の金融商品の(未調整の)取引価格を反映した観察可能な評価インプット

 

レベル2

 レベル1に含まれる取引価格以外の、直接的に、または、間接的に観察可能な評価インプット

 

レベル3

 野村の仮定や特定のデータを反映する観察不能な評価インプット

 

 市場で観察可能なデータの利用可能性は金融商品の種別によって異なり、種々の要素の影響を受ける可能性があります。以下に限りませんが、有意な要素には、特に金融商品がカスタマイズされたものである場合、市場における類似する金融商品の普及度、例えば新しい金融商品であるかまたは比較的成熟しているかどうかというような市場での金融商品の様態、現在のデータが取得できる頻度および量などの市場から得られる情報の信頼性などが含まれます。市場が著しく変動している期間は、利用可能で観察可能な市場データが減少する場合があります。そのような環境の下では、金融商品は公正価値評価の階層の下位レベルに再分類される可能性があります。

 

 金融商品の分類を決定する際の重要な判断には、金融商品が取引される市場の性質、金融商品が内包するリスク、市場データの種類と流動性、および類似した金融商品から観察された取引の性質が含まれます。

 

 評価モデルに市場においてあまり観察可能ではないデータあるいは観察不能なデータを使用する場合には、公正価値の決定過程には当社の重要な判断が含まれます。そのため、レベル1やレベル2の金融商品に比べて、レベル3の金融商品の評価にはより多くの判断が含まれます。

 

 市場が活発であるかどうかを判断するために当社が用いる重要な基準は、取引数、市場参加者による価格更新の頻度、市場参加者による取引価格の多様性および公表された情報の量などです。

 

 次の表は、野村が保有する毎期経常的に公正価値評価される金融商品の2023年3月31日および2024年3月31日現在のレベル別の金額を示しています。

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

取引相手毎および現金担保との相殺 (1)

 

2023年

3月31日

残高

資産:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資 (2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ (3)

1,906

 

1,111

 

4

 

 

3,021

プライベートエクイティ・デット投資 (5)

25

 

 

52

 

 

77

日本国債

1,627

 

 

 

 

1,627

日本地方債・政府系機関債

 

157

 

2

 

 

159

外国国債・地方債・政府系機関債

3,566

 

2,221

 

8

 

 

5,795

銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金

 

1,268

 

258

 

 

1,526

商業用不動産ローン担保証券(CMBS)

 

 

0

 

 

0

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)

 

3,402

 

8

 

 

3,410

    政府系機関発行・保証

 

3,265

 

 

 

3,265

  その他

 

137

 

8

 

 

145

不動産担保証券

 

58

 

95

 

 

153

債務担保証券(CDO)等 (6)

 

35

 

28

 

 

63

受益証券等

307

 

3

 

2

 

 

312

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資合計

7,431

 

8,255

 

457

 

 

16,143

デリバティブ資産 (7)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

2

 

1,052

 

11

 

 

1,065

金利デリバティブ

73

 

12,593

 

133

 

 

12,799

信用デリバティブ

8

 

232

 

36

 

 

276

為替取引

0

 

4,171

 

49

 

 

4,220

商品デリバティブ

1

 

2

 

 

 

3

取引相手毎および現金担保との相殺

 

 

 

△16,943

 

△16,943

デリバティブ資産合計

84

 

18,050

 

229

 

△16,943

 

1,420

小計

7,515

 

26,305

 

686

 

△16,943

 

17,563

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貸付金および受取債権 (8)

 

1,498

 

191

 

 

1,689

担保付契約 (9)

 

286

 

17

 

 

303

その他の資産 (2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

87

 

247

 

3

 

 

337

その他 (3)(4)

188

 

164

 

196

 

 

548

合計

7,790

 

28,500

 

1,093

 

△16,943

 

20,440

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

2,068

 

13

 

1

 

 

2,082

日本国債

1,469

 

 

 

 

1,469

日本地方債・政府系機関債

 

5

 

 

 

5

外国国債・地方債・政府系機関債

3,579

 

1,021

 

0

 

 

4,600

銀行および事業会社の負債証券

 

232

 

3

 

 

235

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)

 

0

 

 

 

0

受益証券等

158

 

 

0

 

 

158

トレーディング負債合計

7,274

 

1,271

 

4

 

 

8,549

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

取引相手毎および現金担保との相殺 (1)

 

2023年

3月31日

残高

デリバティブ負債 (7)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

3

 

1,602

 

5

 

 

1,610

金利デリバティブ

45

 

12,080

 

122

 

 

12,247

信用デリバティブ

14

 

276

 

68

 

 

358

為替取引

0

 

4,090

 

30

 

 

4,120

商品デリバティブ

 

3

 

 

 

3

取引相手毎および現金担保との相殺

 

 

 

△16,329

 

△16,329

デリバティブ負債合計

62

 

18,051

 

225

 

△16,329

 

2,009

小計

7,336

 

19,322

 

229

 

△16,329

 

10,558

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入 (11)

 

446

 

30

 

 

476

支払債務および受入預金 (10)(12)

 

142

 

17

 

 

159

担保付調達 (9)

 

749

 

 

 

749

長期借入 (11)(13)(14)

27

 

4,437

 

493

 

 

4,957

その他の負債 (15)

108

 

175

 

21

 

 

304

合計

7,471

 

25,271

 

790

 

△16,329

 

17,203

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

取引相手毎および現金担保との相殺 (1)

 

2024年

3月31日

残高

資産:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資 (2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ (3)

2,931

 

1,353

 

8

 

 

4,292

プライベートエクイティ・デット投資 (5)

 

3

 

80

 

 

83

日本国債

1,919

 

 

 

 

1,919

日本地方債・政府系機関債

 

182

 

0

 

 

182

外国国債・地方債・政府系機関債

3,677

 

2,450

 

3

 

 

6,130

銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金

 

1,543

 

173

 

 

1,716

商業用不動産ローン担保証券(CMBS)

 

9

 

0

 

 

9

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)

 

3,071

 

35

 

 

3,106

    政府系機関発行・保証

 

2,923

 

 

 

2,923

  その他

 

148

 

35

 

 

183

不動産担保証券

 

37

 

122

 

 

159

債務担保証券(CDO)等 (6)

 

35

 

46

 

 

81

受益証券等

393

 

1

 

3

 

 

397

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資合計

8,920

 

8,684

 

470

 

 

18,074

デリバティブ資産 (7)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

2

 

3,228

 

9

 

 

3,239

金利デリバティブ

17

 

12,766

 

146

 

 

12,929

信用デリバティブ

1

 

236

 

47

 

 

284

為替取引

1

 

4,836

 

47

 

 

4,884

商品デリバティブ

1

 

2

 

 

 

3

取引相手毎および現金担保との相殺

 

 

 

△19,815

 

△19,815

デリバティブ資産合計

22

 

21,068

 

249

 

△19,815

 

1,524

小計

8,942

 

29,752

 

719

 

△19,815

 

19,598

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貸付金および受取債権 (8)

2

 

1,808

 

291

 

 

2,101

担保付契約 (9)

 

454

 

12

 

 

466

その他の資産 (2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

112

 

202

 

21

 

 

335

その他 (3)(4)

371

 

59

 

253

 

 

683

合計

9,427

 

32,275

 

1,296

 

△19,815

 

23,183

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

2,597

 

28

 

0

 

 

2,625

日本国債

2,098

 

 

 

 

2,098

日本地方債・政府系機関債

 

6

 

 

 

6

外国国債・地方債・政府系機関債

3,206

 

645

 

 

 

3,851

銀行および事業会社の負債証券

 

175

 

1

 

 

176

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)

 

0

 

 

 

0

受益証券等

188

 

 

0

 

 

188

トレーディング負債合計

8,089

 

854

 

1

 

 

8,944

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

取引相手毎および現金担保との相殺 (1)

 

2024年

3月31日

残高

デリバティブ負債 (7)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

3

 

3,820

 

4

 

 

3,827

金利デリバティブ

18

 

12,102

 

114

 

 

12,234

信用デリバティブ

0

 

290

 

93

 

 

383

為替取引

0

 

4,620

 

44

 

 

4,664

商品デリバティブ

0

 

5

 

 

 

5

取引相手毎および現金担保との相殺

 

 

 

△19,166

 

△19,166

デリバティブ負債合計

21

 

20,837

 

255

 

△19,166

 

1,947

小計

8,110

 

21,691

 

256

 

△19,166

 

10,891

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入 (11)

 

628

 

23

 

 

651

支払債務および受入預金 (10)(12)

 

168

 

15

 

 

183

担保付調達 (9)

 

978

 

 

 

978

長期借入 (11)(13)(14)

22

 

5,627

 

474

 

 

6,123

その他の負債 (15)

283

 

66

 

44

 

 

393

合計

8,415

 

29,158

 

812

 

△19,166

 

19,219

(1)デリバティブ資産および負債の取引相手毎の相殺額およびデリバティブ取引純額に対する現金担保の相殺額であります。

(2)実務上の簡便法として純資産価額を用いて公正価値を測定している投資は公正価値の階層から除いております。2023年3月31日および2024年3月31日において、これらの投資は連結貸借対照表上、トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資にそれぞれ47十億円および59十億円、その他の資産-その他にそれぞれ3十億円および3十億円含まれています。

(3)公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していたエクイティ投資を含んでおります。

(4)営業目的で保有する上場および非上場の投資持分証券が含まれ、2023年3月期には、それぞれ69,475百万円および28,185百万円、2024年3月期には、それぞれ78,708百万円および26,380百万円が計上されております。

(5)プライベートエクイティ・デット投資は非支配持分のプライベートエクイティ投資、ベンチャー・キャピタル投資または他の劣後資本(メザニン債等)の非上場・上場商品を含んでおります。また、これらの投資は公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していたエクイティ投資を含んでおります。

(6)ローン担保証券(CLO)、資産担保証券(ABS)(クレジットカード・ローン、自動車ローン、学生ローン等)を含みます。

(7)複数種類のリスクを含むデリバティブ資産および負債は、主要なリスクの種類に基づいて区分されます。

(8)貸付金および受取債権のうち公正価値オプションを選択したものを含んでおります。

(9)担保付契約および担保付調達のうち公正価値オプションを選択したものを含んでおります。

(10)公正価値オプションを選択した受入預金を含んでおります。

(11)公正価値オプションを選択した仕組債を含んでおります。

(12)区分処理されている受入預金の組込デリバティブ部分を含んでおります。連結貸借対照表上、受入預金は対応する組込デリバティブの公正価値の変動を調整して表示されております。

(13)区分処理されている発行済み仕組債の組込デリバティブ部分を含んでおります。連結貸借対照表上、仕組債は対応する組込デリバティブの公正価値の変動を調整して表示されております。

(14)売却取引ではなく金融取引として会計処理された担保付金融取引によって認識される負債を含んでおり、当該負債について公正価値オプションを選択しております。

(15)公正価値オプションを選択した貸付金の貸出コミットメントを含んでおります。

 

主要な金融商品の評価手法

 金融商品の公正価値評価額の推定にあたり、野村が用いた主要な金融商品種別毎の評価手法、および公正価値階層帰属先決定にあたって有意となったデータは、以下のとおりです。

 

 エクイティおよびその他の資産に含まれる投資持分証券:エクイティおよびその他の資産に含まれる投資持分証券は、上場・非上場のエクイティ証券およびファンド投資を含みます。上場エクイティ証券の公正価値は、取引の活発な市場における同一証券の取引価格が利用可能であれば、それを用いて決定されております。そのような評価は市場慣行に即していなければならず、そのためビッド価格もしくは仲値に基づきます。野村は、証券取引の数量および取引頻度によって、取引の活発な市場であるかどうかを判断しております。これら証券がレベル1の階層に分類される場合、公正価値の調整は行われません。取引の活発ではない市場で取引されている上場エクイティ証券も同様に通常は取引所価格を用いて評価され、レベル2に分類されます。非常に稀ながら、実務上、取引の活発ではない市場で取引されている取引所価格が適切な公正価値を示していないと考えられる場合、取引所価格にディスカウントや流動性アジャストメントを反映させることがあります。こうした調整の有無は個別銘柄毎に判断されており、野村の当該銘柄の保有数量は判断の材料とはなっておりません。取引が活発ではない市場で取引される上場エクイティ証券に対するこうした調整について、2023年3月31日および2024年3月31日現在に認識している金額はありません。非上場エクイティ証券の公正価値は後述のプライベートエクイティ・デット投資と同様の評価手法を用いて決定され、流動性ディスカウントやクレジット・スプレッドのような有意な評価データが観察不能であるため、通常レベル3に分類されます。

 

 プライベートエクイティ・デット投資:非上場プライベートエクイティ・デット投資は元来価格の透明性がない、ないしは低いため、公正価値の決定に際しては当社独自の重要な判断が求められます。プライベートエクイティ・デット投資は当初は公正価値であると見積もられた取得価額で計上されます。第三者取引事例などで価格の変動が明らかな場合には、帳簿価額は調整されます。第三者取引が存在しない場合でも、予想される出口価格が帳簿価額と異なると判断された場合は、帳簿価額を調整することがあります。こうした決定に際しては主に、割引現在価値法(Discounted Cash Flow(以下「DCF法」))またはマルチプル法を使用します。DCF法とは適切な成長率に基づいて調整した投資先から生じる予測将来キャッシュ・フローを、加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital(以下「WACC」))により割り引く内部評価モデルです。マルチプル法とはEV/EBITDA、株価収益率、株価純資産倍率、株価潜在価値比率、投資先の財務諸表数値と比較対象となる他社の株価の関係から導かれるその他の評価倍率などの比較数値を用いた評価手法です。また、投資先特有の属性を反映させるためDCF法ないしはマルチプル法に対して流動性ディスカウントを考慮することがあります。流動性ディスカウントは、時価評価モデルや評価インプットにおけるさまざまな不確実性も考慮しております。可能な場合にはこうした評価は、投資先の営業キャッシュ・フローおよび財務業績ないしは予算または見積もりに関連する資産、類似の公開企業の株価や利益数値、業種または地域内の傾向およびその投資に関連する特定の権利または条件(例えば転換条項や残余財産分配優先権)と比較されます。プライベートエクイティ・デット投資は、前述した評価データの多くが観察不能あるいは不確実性が高いため、通常レベル3に分類されます。

 

 国債、地方債ならびに政府系機関債:日本を含むG7の政府が発行する国債の公正価値は、主に取引所価格、執行可能なブローカーやディーラー気配、あるいはこれらに代替し得る価格情報を用いて決定されております。これらの証券は活発な取引のある市場にて取引されており、したがって公正価値階層においてはレベル1に分類されております。G7以外の政府が発行する国債、政府系機関債および地方債についてはG7国債同様の価格情報を用いて評価されておりますが、これらの債券は取引の活発ではない市場で取引されているため、通常レベル2に分類されております。一部のG7以外の政府が発行する証券については、活発な取引のある市場にて取引されているため、レベル1に分類されることもあります。一部の証券については、取引が頻繁に行われず、比較可能な証券からレベル2に分類するために必要な価格情報が得られないため、レベル3に分類されることがあります。これらの証券は発行体のクレジット・スプレッドなどの有意な観察不能データを含むDCF法によって評価されます。

 

 銀行および事業会社の負債証券:銀行および事業会社の負債証券の公正価値は、主に当該証券あるいは類似証券のブローカーやディーラー気配、直近の取引事例を用いて決定され、DCF法が用いられる場合もあります。ブローカーやディーラー気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。DCF法に用いられる有意な評価データは、利回り曲線、アセット・スワップ・スプレッド、回収率、発行体のクレジット・スプレッドなどであります。銀行および事業会社の負債証券は通常こうした評価データが観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部の銀行および事業会社の負債証券については、取引が散発的であり、かつ比較可能な証券からレベル2に分類するために必要な情報が得られないこと、ないしはDCF法に使用される発行体のクレジット・スプレッドまたは回収率が観察不能であることから、レベル3に分類されることがあります。

 

 商業用不動産ローン担保証券(CMBS)および住宅用不動産ローン担保証券(RMBS):CMBSおよびRMBSの公正価値は、主としてDCF法だけではなく、可能な場合には当該証券あるいは類似証券のブローカーやディーラー気配、直近の取引事例を用いて決定されております。ブローカーやディーラー気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。DCF法に用いられる有意な評価データは、利回り、期中償還率、デフォルト確率および損失率などであります。CMBSおよびRMBSは通常こうした評価データが観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部のCMBSおよびRMBSについては取引が散発的であり、かつ比較可能な証券からレベル2に分類するために必要な情報が得られないこと、ないしはDCF法に使用される1つ以上の評価データが観察不能であることから、レベル3に分類されることがあります。

 

 不動産担保証券:不動産担保証券の公正価値はブローカーやディーラー気配、直近の市場取引または比較可能な市場指数を参照して決定されております。ブローカーやディーラー気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。有意なデータがすべて観察可能である場合、当該証券はレベル2に分類されます。一部の証券は直接的な価格のソースや比較可能な証券や指標が利用できません。そのような証券はDCF法を用いて評価されており、利回りまたは損失率などの有意な観察不能な評価データが含まれるため、レベル3に分類されます。

 

 債務担保証券(CDO)等:CDO等は、主としてDCF法だけではなく、可能な場合には当該証券あるいは類似証券のブローカーやディーラー気配、直近の取引事例を用いて決定されております。ブローカーやディーラー気配については、価格が単なる気配か執行可能かという点、気配を取得できるブローカーやディーラーの社数、直近の市場動向や代替の価格情報と比較した気配の水準などの特性も考慮されております。DCF法に用いられる有意な評価データは、信用格付毎の市場スプレッド、利回り、期中償還率、デフォルト確率および損失率などであります。CDO等はこうした評価データが観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部のCDO等についてはDCF法に使用される1つ以上の有意な評価データが観察不能であるため、レベル3に分類されることがあります。

 

 受益証券等:取引所が公表する価格で評価されている上場投資信託は公正価値階層のレベル1に分類されております。非上場投資信託について、野村が貸借対照表日現在の1株当たり純資産価額で解約可能であり、かつ純資産価額が容易に算定可能である場合はレベル2に分類されます。発行体のクレジット・スプレッドや相関係数のような有意な観察不能データを使って評価されている受益証券への投資はレベル3に分類されます。実務上の便法として一株当たり純資産を時価とみなしている受益証券への投資は、公正価値階層の分類対象から除かれております。

 

 デリバティブ(エクイティ・デリバティブ):野村はインデックス・オプション、エクイティ・オプション、エクイティ・バスケット・オプション、インデックス・スワップ、エクイティ・スワップ等の上場デリバティブおよび店頭デリバティブを取引しております。上場エクイティ・デリバティブの公正価値は、活発な市場で取引され、取引所価格が公正価値を表している場合は未調整の取引所価格を用いて決定され、公正価値階層のレベル1に分類されております。取引が活発でない市場で取引される場合、ないしは取引所価格が公正価値を表していない場合の上場エクイティ・デリバティブの公正価値はモデル価格を用いて決定され、レベル2に分類されます。店頭デリバティブの公正価値はブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより決定されております。使用される有意な評価データにはエクイティ価格、配当利回り、ボラティリティおよび相関係数が含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部の流動性の低いバニラ型、ないしはエキゾチック型のエクイティ・デリバティブについて配当利回り、ボラティリティ、相関係数などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。

 

 デリバティブ(金利デリバティブ):野村は金利スワップ、為替スワップ、金利オプション、金利先渡契約、スワップション、キャップ取引、フロア取引等の上場デリバティブおよび店頭デリバティブを取引しております。上場金利デリバティブの公正価値は、活発な市場で取引され、取引所価格が公正価値を表している場合は未調整の取引所価格を用いて決定され、公正価値階層のレベル1に分類されております。取引が活発でない市場で取引される場合、ないしは取引所価格が公正価値を表していない場合の上場金利デリバティブの公正価値はモデル価格を用いて決定され、レベル2に分類されます。店頭デリバティブの公正価値は、DCF法や、ブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより評価されております。使用される有意な評価データには金利、先物為替、ボラティリティおよび相関係数が含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部の流動性の低いバニラ型、ないしはエキゾチック型の店頭金利デリバティブについて金利、ボラティリティ、相関係数などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。

 

 デリバティブ(信用デリバティブ):野村は特定の相手先、指数、複数の相手先を参照するクレジット・デフォルト・スワップ、クレジット・オプション等の店頭デリバティブを取引しております。店頭デリバティブの公正価値は、DCF法や、ブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより評価されております。使用される有意な評価データには金利、クレジット・スプレッド、回収率、デフォルト確率、ボラティリティおよび相関係数が含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部の流動性の低いバニラ型、ないしはエキゾチック型の店頭信用デリバティブについてクレジット・スプレッド、回収率、ボラティリティ、相関係数などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。

 

 デリバティブ(為替取引):野村は為替先物、通貨オプション等の上場デリバティブおよび店頭デリバティブを取引しております。取引が活発でない市場で取引される場合、ないしは取引所価格が公正価値を表していない場合の上場デリバティブの公正価値はモデル価格を用いて決定され、レベル2に分類されます。店頭デリバティブの公正価値は、DCF法や、ブラック・ショールズ・モデル、モンテカルロ・シミュレーション等のオプションモデルにより評価されております。使用される有意な評価データには金利、先物為替、直物為替、ボラティリティが含まれております。加えて、モデル評価に際してはデリバティブ資産にかかる取引相手のクレジット・リスクならびにデリバティブ負債にかかる野村の信用リスクを反映させるために調整を行っております。店頭デリバティブはすべての有意な評価データおよび調整が観察可能ないしは市場で裏付けがあるため、一般的にはレベル2に分類されます。一部のデリバティブについて金利、ボラティリティ、相関関係などの評価データが有意かつ観察不能である場合は、レベル3に分類されます。

 

 野村は、主要な市場における市場参加者が公正価値を算定するために使用するであろう手法に合致させるため、特定の店頭デリバティブ取引の公正価値を見積もる際にファンディングコストに基づく評価の調整を行っております。

 

 貸付金および受取債権:トレーディング資産として、あるいは公正価値オプションの適用により公正価値で計上されている貸付金および受取債権の公正価値は通常は取引価格が利用できないため、主にDCF法により決定されております。評価データには銀行および事業会社の負債証券と同様のデータが用いられております。貸付金および受取債権は通常こうした評価データが観察可能であるため、一般的にはレベル2に分類されます。しかし、一部の貸付金および受取債権については取引が散発的であり、当該貸付金および受取債権と比較可能な負債証券からレベル2に分類するために必要な情報が得られないため、もしくはDCF法に使用する発行体のクレジット・スプレッドあるいは回収率が有意かつ観察不能であるため、レベル3に分類されます。

 

 担保付契約および担保付調達:公正価値で計上されている売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券は公正価値オプションを適用しており、公正価値は主にDCF法により決定されております。評価データには金利、GC取引やSC取引の貸借料を含みます。売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券は通常こうした評価データが観察可能であるため、一般的にはレベル2に分類されます。

 

 トレーディング目的以外の負債証券:トレーディング業務を行わない当社の子会社が保有する負債証券は、前述した国債、地方債ならびに政府系機関債および銀行および事業会社の負債証券と同様の評価手法により公正価値が決定され、公正価値階層に分類されております。

 

 短期および長期借入(仕組債):仕組債とは野村および連結変動持分事業体によって発行された負債証券で、投資家に対し単純な固定あるいは変動金利に代えて、株価または株価指数、商品相場、為替レート、第三者の信用格付、またはより複雑な金利等の変数によって決定されるリターンが支払われるという特徴が組み込まれたものを指します。仕組債の公正価値は、活発な取引のある市場における当該債務の取引価格があればそれを用いて評価され、それがない場合は同等債務が資産として取引された場合における取引価格、類似債務の取引価格、類似債務が資産として取引された場合における取引価格、仕組債に組み込まれた特徴に応じたDCF法とオプションモデルによる内部評価モデル等を組み合わせた評価手法により評価されております。内部評価モデルを使用する場合、野村は負債証券部分と組込デリバティブ部分の両方の公正価値を評価しております。仕組債のうち、負債証券部分の公正価値を評価するための有意な評価データには利回り、期中償還率、デフォルト確率、損失率が含まれます。組込デリバティブ部分の公正価値を評価するための評価データには前述した店頭デリバティブと同様のデータが用いられております。仕組債の公正価値には野村の信用リスクを反映するための調整が含まれております。この調整は直近の観察可能な流通市場における売買や野村の負債証券を含む執行可能な水準のブローカー気配に基づいて行われており、一般的にはレベル2として分類されております。仕組債は通常評価データと調整が観察可能であるため、一般的にはレベル2に分類されます。組込デリバティブの公正価値を評価する際に用いられる利回り、期中償還率、デフォルト確率、損失率、ボラティリティおよび相関係数といった観察不能なデータが有意な場合は、レベル3に分類されます。

 

 長期借入(担保付金融取引):担保付金融取引は、金融資産移転取引が編纂書860「譲渡とサービシング」(以下「編纂書860」)に基づく売却会計処理の要件を満たさず、当該取引が担保付資金調達として会計処理される場合に認識される負債であります。これらの債務は、連結貸借対照表上に残存する移転された金融資産に適用された評価手法と同様の手法を用いて評価されます。したがって、公正価値評価階層も当該資産と同じレベルに分類されます。野村はこれらの債務に対して一般的な遡及義務を負わないことから、評価にあたっては野村の信用リスクを反映する調整は行いません。

 

レベル3金融商品

 レベル3金融商品の評価は、市場で観察できない特定の有意なデータに基づいております。活発でない市場は、金融商品の取引量が少ない、価格の見積もりが最新ではない、価格の見積もりが時間の経過やマーケットメーカーにより大幅に変わる、執行可能ではないブローカー気配もしくは情報の公共性がほとんどないという共通する特性を持ちます。

 

 仮にレベル3金融商品の評価に確定的な根拠が利用できない場合は、公正価値は市場にある他の同等の商品を参考として計算されます。特定のレベル3金融商品とベンチマークに適用される金融商品の相関の度合いは、観察不能なデータとしてみなされます。市場で観察不能なデータを適切に評価するために使用されるその他の手法では、特定の市場参加者間のコンセンサス・プライス・データ、過去のトレンド、観察可能な市場データからの推定、市場参加者が類似する商品の評価に使用すると野村が想定するその他の情報を考慮します。

 

 レベル3金融商品の評価のために適当かつ代替可能なデータの仮定を使用した場合、公正価値の決定に重要な影響を与えます。最終的には、前述のデータの仮定に関する不確実性は、レベル3金融商品の公正価値が主観的な見積もりであることを示します。それぞれの金融商品における特定の評価は、野村の定めている評価方針および手続きに沿った、一般的な市場環境下の経営判断に基づきます。

 

有意な観察不能なデータに関する定量的および定性的な情報

 次の表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在のレベル3金融商品の公正価値を決定するのに使用される有意な観察不能なデータに関する定量的および定性的な情報を示しております。レベル3金融商品は、一般的に公正価値階層のレベル1ないしはレベル2に使用される観察可能な評価データも含んでおりますが、これらの評価データは表に含まれておりません。また、レベル3金融商品は多くの場合、レベル1ないしはレベル2に分類される金融商品によってヘッジされております。

 

 野村が使用する有意な観察不能のデータの変動は、金融商品に対する公正価値測定に影響を与えます。以下の表には、これらの有意な観察不能なデータが異なる値を取った場合、報告日現在の公正価値測定がより高くまたは低く算定される可能性の情報、および公正価値を決定するのに2つ以上の有意な観察不能なデータが使用されている場合には、そのデータ間の相関についての定性的な情報も記載しております。

 

 

2023年3月31日

金融商品

公正価値

(十億円)

評価手法

有意な

観察不能データ

データの範囲

(1)

加重平均

(2)(3)

観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(4)(5)

観察不能な

データ同士の相関

(6)

資産:

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング資産および

プライベートエクイティ・デット投資

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

4

DCF

流動性ディスカウント

75.0%

75.0%

公正価値の減少

プライベートエクイティ・デット投資

52

DCF

WACC

5.5-17.5%

10.1%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

成長率

0.0-2.0%

0.7%

公正価値の増加

 

 

 

クレジット・スプレッド

7.5-10.9%

9.8%

公正価値の減少

 

 

 

流動性ディスカウント

5.0-30.0%

17.1%

公正価値の減少

 

 

マルチプル

EV/EBITDA

2.0-11.7倍

8.4倍

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

 

株価収益率

11.3-24.3倍

14.4倍

公正価値の増加

 

 

 

流動性ディスカウント

5.0-20.0%

11.0%

公正価値の減少

外国国債・地方債・

政府系機関債

8

DCF

クレジット・スプレッド

0.0-1.7%

0.7%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

回収率

6.3-18.0%

8.1%

公正価値の増加

銀行および事業会社の

負債証券・売買目的の貸付金

258

DCF

クレジット・スプレッド

0.0-21.8%

5.7%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

回収率

0.0-100.0%

83.1%

公正価値の増加

住宅用不動産ローン

担保証券(RMBS)

8

DCF

利回り

17.7-28.6%

24.3%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

期中償還率

12.0-15.0%

13.2%

公正価値の減少

 

 

 

損失率

0.4-99.6%

20.3%

公正価値の減少

不動産担保証券

95

DCF

損失率

1.3-70.0%

9.2%

公正価値の減少

債務担保証券(CDO)等

28

DCF

利回り

6.0-38.9%

13.9%

公正価値の減少

一般的に、デフォルト確率は損失率とは同じ方向に、期中償還率とは反対の方向に変動します

 

 

 

期中償還率

18.0-20.0%

19.0%

公正価値の減少

 

 

 

デフォルト確率

2.0%

2.0%

公正価値の減少

 

 

 

損失率

50.0-100.0%

52.6%

公正価値の減少

受益証券等

2

DCF

流動性ディスカウント

0.0-2.0%

1.0%

公正価値の減少

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日

金融商品

公正価値

(十億円)

評価手法

有意な

観察不能データ

データの範囲

(1)

加重平均

(2)(3)

観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(4)(5)

観察不能な

データ同士の相関

(6)

デリバティブ(純額):

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・

デリバティブ

6

オプション・

モデル

配当利回り

0.0-25.1%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

 

ボラティリティ

15.4-108.6%

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

△0.85-0.98

公正価値の増加

金利デリバティブ

11

DCF/

金利

1.0-4.4%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

ボラティリティ

10.7-14.1%

公正価値の増加

 

 

 

ボラティリティ

38.5-147.4bp

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

△1.00-1.00

公正価値の増加

信用デリバティブ

△32

DCF/

クレジット・

スプレッド

0.1-348.3%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

回収率

0.0-90.0%

公正価値の増加

 

 

 

ボラティリティ

55.5-61.1%

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

0.23-0.90

公正価値の増加

為替取引

19

オプション・

モデル

ボラティリティ

1.0-23.6%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

 

相関係数

0.18-0.74

公正価値の増加

 

 

 

 

 

2023年3月31日

金融商品

公正価値

(十億円)

評価手法

有意な

観察不能データ

データの範囲

(1)

加重平均

(2)(3)

観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(4)(5)

観察不能な

データ同士の相関

(6)

 

 

 

 

 

 

 

 

貸付金および受取債権

191

DCF

クレジット・

スプレッド

0.0-25.8%

7.1%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

回収率

22.1-100.0%

74.5%

公正価値の増加

担保付契約

17

DCF

レポレート

2.8-6.0%

3.4%

公正価値の減少

その他の資産

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

3

DCF

クレジット・

スプレッド

0.0%

0.0%

公正価値の減少

その他(7)

196

DCF

WACC

11.2%

11.2%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

成長率

3.0%

3.0%

公正価値の増加

 

 

マルチプル

EV/EBITDA

4.0-5.4倍

4.4倍

公正価値の増加

収益水準が一定と仮定した場合、一般的にマルチプル法に対する仮定の変動は、公正価値の変動に対して同方向の影響を与えます

 

 

 

株価収益率

7.4-30.8倍

10.3倍

公正価値の増加

 

 

 

株価純資産倍率

0.3-1.6倍

0.8倍

公正価値の増加

 

 

 

流動性

ディスカウント

25.0-30.0%

29.8%

公正価値の減少

 

 

 

 

 

 

 

 

負債:

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

 

 

 

 

  銀行および事業会社の

  負債証券

3

DCF

回収率

4.5-95.0%

65.5%

公正価値の増加

短期借入

30

DCF/

ボラティリティ

15.4-100.6%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

相関係数

△0.80-0.95

公正価値の増加

支払債務および受入預金

17

DCF/

ボラティリティ

10.7-11.3%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

相関係数

0.40-0.98

公正価値の増加

長期借入

493

DCF

損失率

0.0-30.0%

9.0%

公正価値の減少

 

 

DCF/

ボラティリティ

10.5-100.6%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

ボラティリティ

51.9-63.6bp

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

△1.00-0.98

公正価値の増加

その他の負債

21

DCF

回収率

40.0-98.5%

89.9%

公正価値の増加

 

 

2024年3月31日

金融商品

公正価値

(十億円)

評価手法

有意な

観察不能データ

データの範囲

(1)

加重平均

(2)(3)

観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(4)(5)

観察不能な

データ同士の相関

(6)

資産:

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング資産および

プライベートエクイティ・デット投資

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

8

DCF

流動性ディスカウント

75.0%

75.0%

公正価値の減少

プライベートエクイティ・デット投資

80

DCF

WACC

5.5-17.0%

9.2%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

成長率

0.0-2.0%

0.6%

公正価値の増加

 

 

 

クレジット・スプレッド

7.9-11.0%

9.6%

公正価値の減少

 

 

 

流動性ディスカウント

5.0-30.0%

15.2%

公正価値の減少

 

 

マルチプル

EV/EBITDA

3.4-12.0倍

9.2倍

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

 

株価収益率

11.9-28.7倍

16.0倍

公正価値の増加

 

 

 

流動性ディスカウント

5.0-20.0%

10.0%

公正価値の減少

外国国債・地方債・

政府系機関債

3

DCF

クレジット・スプレッド

0.0-1.3%

0.6%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

回収率

0.5-12.0%

1.7%

公正価値の増加

銀行および事業会社の

負債証券・売買目的の貸付金

173

DCF

クレジット・スプレッド

0.0-29.2%

6.6%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

回収率

0.0-100.0%

74.7%

公正価値の増加

住宅用不動産ローン

担保証券(RMBS)

35

DCF

利回り

18.3-41.9%

30.9%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

期中償還率

12.0-15.0%

13.4%

公正価値の減少

 

 

 

損失率

0.0-100.0%

68.3%

公正価値の減少

不動産担保証券

122

DCF

損失率

0.0-26.1%

3.5%

公正価値の減少

債務担保証券(CDO)等

46

DCF

利回り

5.5-50.4%

12.4%

公正価値の減少

一般的に、デフォルト確率は損失率とは同じ方向に、期中償還率とは反対の方向に変動します

 

 

 

期中償還率

20.0%

20.0%

公正価値の減少

 

 

 

デフォルト確率

2.0%

2.0%

公正価値の減少

 

 

 

損失率

0.0-100.0%

37.6%

公正価値の減少

 

 

 

クレジット・スプレッド

0.0-0.1%

0.0%

公正価値の減少

受益証券等

3

DCF

流動性ディスカウント

0.0-3.9%

2.7%

公正価値の減少

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年3月31日

金融商品

公正価値

(十億円)

評価手法

有意な

観察不能データ

データの範囲

(1)

加重平均

(2)(3)

観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(4)(5)

観察不能な

データ同士の相関

(6)

デリバティブ(純額):

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・

デリバティブ

5

オプション・

モデル

配当利回り

0.0-11.6%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

 

ボラティリティ

4.4-140.8%

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

△0.95-0.99

公正価値の増加

金利デリバティブ

32

DCF/

金利

0.6-4.5%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

ボラティリティ

10.1-13.6%

公正価値の増加

 

 

 

ボラティリティ

24.3-401.5bp

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

△1.00-1.00

公正価値の増加

信用デリバティブ

△46

DCF/

クレジット・

スプレッド

0.0-21.0%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

回収率

15.0-100.0%

公正価値の増加

 

 

 

ボラティリティ

35.0-47.9%

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

0.24-0.85

公正価値の増加

為替取引

3

オプション・

モデル

ボラティリティ

6.5-18.9%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

 

相関係数

0.21-0.70

公正価値の増加

 

 

 

 

 

2024年3月31日

金融商品

公正価値

(十億円)

評価手法

有意な

観察不能データ

データの範囲

(1)

加重平均

(2)(3)

観察不能なデータの増加に対する公正価値の感応度(4)(5)

観察不能な

データ同士の相関

(6)

 

 

 

 

 

 

 

 

貸付金および受取債権

291

DCF

クレジット・

スプレッド

0.0-33.6%

8.1%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

回収率

42.1-100.0%

90.3%

公正価値の増加

担保付契約

12

DCF

レポレート

3.1%

3.1%

公正価値の減少

その他の資産

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

21

DCF

クレジット・

スプレッド

4.8-6.3%

5.0%

公正価値の減少

その他(7)

253

DCF

WACC

11.1%

11.1%

公正価値の減少

予測可能な

相関はありません

 

 

 

成長率

3.0%

3.0%

公正価値の増加

 

 

マルチプル

EV/EBITDA

4.2-6.9倍

5.2倍

公正価値の増加

収益水準が一定と仮定した場合、一般的にマルチプル法に対する仮定の変動は、公正価値の変動に対して同方向の影響を与えます

 

 

 

株価収益率

7.9-35.9倍

13.6倍

公正価値の増加

 

 

 

株価純資産倍率

0.4-1.5倍

0.9倍

公正価値の増加

 

 

 

流動性

ディスカウント

25.0-30.0%

29.7%

公正価値の減少

 

 

 

 

 

 

 

 

負債:

 

 

 

 

 

 

 

短期借入

23

DCF/

ボラティリティ

5.0-63.8%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

相関係数

△0.83-0.97

公正価値の増加

支払債務および受入預金

15

DCF/

ボラティリティ

10.3-11.0%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

相関係数

0.40-0.98

公正価値の増加

長期借入

474

DCF

損失率

17.9-99.3%

95.6%

公正価値の減少

 

 

DCF/

ボラティリティ

5.0-63.8%

公正価値の増加

予測可能な

相関はありません

 

 

オプション・

モデル

ボラティリティ

37.8-97.6bp

公正価値の増加

 

 

 

相関係数

△1.00-0.98

公正価値の増加

その他の負債

44

DCF

回収率

40.0-94.0%

85.5%

公正価値の増加

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)データ範囲はパーセント、係数、倍の単位で示しており、各金融商品を公正価値評価する有意な観察不能の評価データの最大値および最小値を表しております。データ範囲が広範であることは必ずしも評価データの不確実性や主観性を示すものではなく、性質の異なる金融商品を含んでいることによるものであります。

(2)現物取引の金融商品の加重平均数値は、各金融商品の公正価値毎に各評価データを加重平均したものであります。

(3)現物取引の金融商品と異なり、デリバティブのリスクは貸借対照表価額とは区別され、ネッティングの影響を受けるため、デリバティブに関する加重平均数値を提供しておりません。

(4)観察不能なデータの増加が公正価値に与える影響のみを記載しています。観察不能なデータの減少は上記の記載と反対方向の影響を与えます。例えば、ある観察不能なデータの増加が公正価値を減少させる場合、当該観察不能なデータの減少は、公正価値を増加させます。

(5)デリバティブに対する観察不能なデータの増加による影響は、野村が例えばボラティリティなどのリスクに対しロング・ポジションであることを仮定しています。野村がショート・ポジションを取っている場合、観察不能なデータの増加は上記と反対方向の影響を与えます。

(6)観察不能なデータの相関は、公正価値を決定するのに2つ以上の観察不能なデータを使用している場合にのみ適用されます。

(7)連結貸借対照表上、その他の資産に含まれる投資持分証券の評価手法および観察不能データを表しております。

 

有意な観察不能のデータ範囲に関する定性的情報

 レベル3金融商品に使用される有意な観察不能のデータ範囲に関する定性的情報は以下のとおりです。

 

 デリバティブ(エクイティ・デリバティブ):有意な観察不能のデータは配当利回り、ボラティリティおよび相関係数です。配当利回りは、収益が欠如している、または会社が成長ステージにある間は配当を行わない方針などの理由により、配当を行わず配当利回りがゼロとなる企業を含む一方で、投資家に資金を還元するために多額の配当を支払う企業を含むためにデータの範囲は変動します。ボラティリティは、満期までの期日が短いあるいは単一のエクイティ証券を参照するエクイティ・デリバティブの方が、満期までの期日が長いあるいは指数を参照するものよりもボラティリティが高くなる傾向にあるため、データの範囲は広範になります。相関係数はあるデータと他のデータの関連性(以下「ペア」)を表しており、正の値にも負の値にもなり得ます。相関係数は、ペアによって異なる関係性を有しており、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で変動します。

 

 デリバティブ(金利デリバティブ):有意な観察不能のデータは金利、ボラティリティおよび相関係数です。金利は国や通貨により金利水準は異なっているためにデータ範囲に幅が生じます。ボラティリティは、一般的に満期までの期日が長いものよりも短い金利デリバティブの方が高いために、データの範囲は広範になります。相関係数は、ペアによって異なる関係性を有しており、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で動きます。すべての有意な観察不能のデータは当該範囲の中に偏りなく分布しています。

 

 デリバティブ(信用デリバティブ):有意な観察不能のデータはクレジット・スプレッド、回収率、ボラティリティおよび相関係数です。クレジット・スプレッドのデータの範囲は、ポートフォリオに内在する異なるデフォルトの危険性を反映します。デフォルトの危険性がほとんどない参照資産の場合はデータの範囲の下限になり、デフォルトの危険性がより高い参照資産の場合はデータの範囲の上限になります。回収率は、シニアのエクスポージャーの方が劣後エクスポージャーよりも回収率が高くなるため、主に参照資産の優先順位によってデータの範囲は変動します。ボラティリティは、一般的に満期までの期日が長いものよりも短い信用デリバティブの方が高いために、データの範囲は広範になります。相関係数は、一般的にクレジット・スプレッドは同一方向に動くため、データの範囲は正の値となります。強い正の相関係数にある場合、密接に関係して同一方向に動きますが、相関係数が下がると関係は弱くなります。

 

 デリバティブ(為替取引):有意な観察不能のデータは金利、ボラティリティおよび相関係数です。金利は国や通貨により金利水準は異なっており、絶対的水準が極めて低い国がある一方で、水準が相対的に低くなっている国があるためにデータ範囲に幅が生じます。ボラティリティは、(主に米ドルに対し)狭い範囲で取引される通貨の場合はデータの範囲の下限に近くなり低くなる一方で、新興市場の通貨の場合はデータの範囲の上限に近くなり高くなります。相関係数は、ペアによって異なる関係性を有しており、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で動きます。

 

 短期借入および長期借入:有意な観察不能のデータは、利回り、期中償還率、デフォルト確率、損失率、ボラティリティおよび相関係数です。ボラティリティは、一般的に満期までの期日が長い金融商品よりも短いものの方が高くなるため、データの範囲は広範になります。相関係数は、同一方向に非常に密接に関連して動くペアが高い正の相関となる一方で、逆方向に非常に密接に関連して動くペアが高い負の相関となるため、データの範囲は正の値から負の値の間で変動します。

 

レベル3金融商品の推移

 次の表は、毎期経常的に公正価値評価されるレベル3金融商品の2023年3月期および2024年3月期の損益と推移を示しております。レベル3金融商品は多くの場合、レベル1または2の金融商品によってリスクヘッジされております。以下の表の損益はこうしたヘッジ資産負債の損益を含んでいません。また、レベル3金融商品の公正価値は、市場で観察不能なデータと観察可能なデータの両方を使用して算定されます。したがって、以下の表は観察不能なデータの変動による実現および未実現損益と観察可能なデータの変動による実現および未実現損益の両方が反映されております。

 

 2023年3月期および2024年3月期において、レベル3金融商品の損益は、野村の流動性と資金調達の管理に重要な影響を及ぼしませんでした。

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2023年

3月期

期首残高

 

当期純利益に含まれる額(1)

 

その他の包括利益に含まれる額

 

購入/

発行

(2)

 

売却/

償還

(2)

 

現金の授受

 

為替の

変動に

よる

影響

 

レベル3への移動(4)(5)

 

レベル3からの移動(5)

 

2023年

3月期

期末残高

資産:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

14

 

△2

 

 

11

 

△13

 

 

1

 

1

 

△8

 

4

プライベートエクイティ・デット投資

32

 

11

 

 

27

 

△18

 

 

0

 

 

 

52

日本地方債・

政府系機関債

2

 

0

 

 

0

 

0

 

 

 

 

 

2

外国国債・地方債・

政府系機関債

10

 

0

 

 

15

 

△17

 

 

0

 

1

 

△1

 

8

銀行および事業会社の

負債証券・売買目的の

貸付金

220

 

△3

 

 

273

 

△266

 

 

13

 

100

 

△79

 

258

商業用不動産ローン

担保証券(CMBS)

7

 

0

 

 

0

 

0

 

 

 

0

 

△7

 

0

住宅用不動産ローン

担保証券(RMBS)

8

 

△1

 

 

3

 

△12

 

 

0

 

10

 

0

 

8

不動産担保証券

79

 

△10

 

 

160

 

△141

 

 

7

 

 

 

95

債務担保証券(CDO)等

26

 

△6

 

 

69

 

△69

 

 

2

 

10

 

△4

 

28

受益証券等

0

 

0

 

 

64

 

△62

 

 

0

 

0

 

 

2

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資合計

398

 

△11

 

 

622

 

△598

 

 

23

 

122

 

△99

 

457

デリバティブ取引(純額)(3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

10

 

△4

 

 

 

 

△23

 

△4

 

11

 

16

 

6

金利デリバティブ

△11

 

△6

 

 

 

 

14

 

1

 

9

 

4

 

11

信用デリバティブ

△33

 

24

 

 

 

 

△5

 

△3

 

0

 

△15

 

△32

為替取引

10

 

2

 

 

 

 

5

 

2

 

0

 

0

 

19

デリバティブ取引(純額)合計

△24

 

16

 

 

 

 

△9

 

△4

 

20

 

5

 

4

小計

374

 

5

 

 

622

 

△598

 

△9

 

19

 

142

 

△94

 

461

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貸付金および受取債権

205

 

21

 

 

85

 

△123

 

 

12

 

65

 

△74

 

191

担保付契約

16

 

0

 

 

 

 

 

1

 

 

 

17

その他の資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

 

0

 

 

0

 

 

 

1

 

2

 

 

3

その他

197

 

△12

 

0

 

10

 

△14

 

 

14

 

1

 

 

196

合計

792

 

14

 

0

 

717

 

△735

 

△9

 

47

 

210

 

△168

 

868

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2023年

3月期

期首残高

 

当期純利益に含まれる額(1)

 

その他の包括利益に含まれる額

 

購入/

発行

(2)

 

売却/

償還

(2)

 

現金の授受

 

為替の

変動に

よる

影響

 

レベル3への移動(4)(5)

 

レベル3からの移動(5)

 

2023年

3月期

期末残高

負債:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

0

 

△1

 

 

0

 

△2

 

 

0

 

2

 

 

1

外国国債・地方債・

政府系機関債

0

 

0

 

 

 

 

 

0

 

 

 

0

銀行および事業会社の

負債証券

3

 

0

 

 

2

 

△6

 

 

0

 

7

 

△3

 

3

債務担保証券(CDO)等

0

 

 

 

1

 

△1

 

 

0

 

 

 

受益証券等

0

 

0

 

 

0

 

0

 

 

0

 

 

 

0

トレーディング負債合計

3

 

△1

 

 

3

 

△9

 

 

0

 

9

 

△3

 

4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入

58

 

△4

 

0

 

43

 

△32

 

 

0

 

10

 

△53

 

30

支払債務および受入預金

8

 

1

 

0

 

17

 

0

 

 

 

8

 

△15

 

17

長期借入

479

 

4

 

7

 

238

 

△152

 

 

2

 

114

 

△177

 

493

その他の負債

32

 

16

 

 

5

 

△2

 

 

3

 

0

 

△1

 

21

合計

580

 

16

 

7

 

306

 

△195

 

 

5

 

141

 

△249

 

565

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月期

 

2024年

3月期

期首残高

 

当期純利益に含まれる額(1)

 

その他の包括利益に含まれる額

 

購入/

発行

(2)

 

売却/

償還

(2)

 

現金の授受

 

為替の

変動に

よる

影響

 

レベル3への移動(4)(5)

 

レベル3からの移動(5)

 

2024年

3月期

期末残高

資産:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

4

 

0

 

 

28

 

△21

 

 

1

 

3

 

△7

 

8

プライベートエクイティ・デット投資

52

 

12

 

 

18

 

△3

 

 

1

 

 

 

80

日本地方債・

政府系機関債

2

 

 

 

 

0

 

 

 

 

△2

 

0

外国国債・地方債・

政府系機関債

8

 

1

 

 

5

 

△8

 

 

0

 

3

 

△6

 

3

銀行および事業会社の

負債証券・売買目的の

貸付金

258

 

△2

 

 

322

 

△410

 

 

23

 

45

 

△63

 

173

商業用不動産ローン

担保証券(CMBS)

0

 

0

 

 

0

 

0

 

 

 

 

 

0

住宅用不動産ローン

担保証券(RMBS)

8

 

0

 

 

34

 

△8

 

 

1

 

 

0

 

35

不動産担保証券

95

 

△1

 

 

241

 

△227

 

 

14

 

 

 

122

債務担保証券(CDO)等

28

 

△2

 

 

124

 

△102

 

 

2

 

0

 

△4

 

46

受益証券等

2

 

0

 

 

48

 

△47

 

 

0

 

 

0

 

3

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資合計

457

 

8

 

 

820

 

△826

 

 

42

 

51

 

△82

 

470

デリバティブ取引(純額)(3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

6

 

△1

 

 

 

 

△4

 

1

 

4

 

△1

 

5

金利デリバティブ

11

 

△5

 

 

 

 

△5

 

3

 

△21

 

49

 

32

信用デリバティブ

△32

 

△3

 

 

 

 

6

 

△4

 

△5

 

△8

 

△46

為替取引

19

 

△12

 

 

 

 

△5

 

3

 

1

 

△3

 

3

デリバティブ取引(純額)合計

4

 

△21

 

 

 

 

△8

 

3

 

△21

 

37

 

△6

小計

461

 

△13

 

 

820

 

△826

 

△8

 

45

 

30

 

△45

 

464

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貸付金および受取債権

191

 

23

 

 

142

 

△118

 

 

28

 

69

 

△44

 

291

担保付契約

17

 

1

 

 

 

△8

 

 

2

 

 

 

12

その他の資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券

3

 

1

 

 

1

 

△4

 

 

0

 

20

 

 

21

その他

196

 

27

 

0

 

12

 

△6

 

 

23

 

 

1

 

253

合計

868

 

39

 

0

 

975

 

△962

 

△8

 

98

 

119

 

△88

 

1,041

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月期

 

2024年

3月期

期首残高

 

当期純利益に含まれる額(1)

 

その他の包括利益に含まれる額

 

購入/

発行

(2)

 

売却/

償還

(2)

 

現金の授受

 

為替の

変動に

よる

影響

 

レベル3への移動(4)(5)

 

レベル3からの移動(5)

 

2024年

3月期

期末残高

負債:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクイティ

1

 

△1

 

 

7

 

△8

 

 

0

 

0

 

△1

 

0

外国国債・地方債・

政府系機関債

0

 

0

 

 

 

 

 

0

 

 

 

銀行および事業会社の

負債証券

3

 

2

 

 

5

 

△6

 

 

0

 

3

 

△2

 

1

債務担保証券(CDO)等

 

 

 

0

 

0

 

 

 

 

 

受益証券等

0

 

0

 

 

 

0

 

 

0

 

 

 

0

トレーディング負債合計

4

 

1

 

 

12

 

△14

 

 

0

 

3

 

△3

 

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入

30

 

△1

 

0

 

59

 

△59

 

 

2

 

5

 

△15

 

23

支払債務および受入預金

17

 

0

 

0

 

3

 

 

 

1

 

4

 

△10

 

15

長期借入

493

 

△40

 

△2

 

285

 

△276

 

 

7

 

55

 

△132

 

474

その他の負債

21

 

6

 

 

29

 

△3

 

 

3

 

0

 

0

 

44

合計

565

 

△34

 

△2

 

388

 

△352

 

 

13

 

67

 

△160

 

557

 

(1)主に連結損益計算書のトレーディング損益、プライベートエクイティ・デット投資関連損益に計上されており、投資持分証券関連損益、収益-その他および金融費用以外の費用-その他、金融収益および金融費用に計上されているものも含みます。

(2)「購入/発行」にはトレーディング負債の増加、「売却/償還」にはトレーディング負債の減少を含みます。

(3)複数種類のリスクを含むデリバティブ資産および負債は、主要なリスクの種類に基づいて区分されます。

(4)2023年3月期および2024年3月期の移動が生じた期間で認識した損益は重要な金額ではありませんでした。

(5)「レベル3への移動」は、関連する評価データが観測不能になったか、もしくは重要になったためです。「レベル3からの移動」は、関連する評価データが観測可能になったか、もしくは重要ではなくなったためです。各金融商品に関連する評価データは、「有意な観察不能なデータに関する定量的および定性的な情報」をご参照ください。

 

レベル3金融商品に含まれる未実現損益

 次の表は、野村が公正価値階層の中でレベル3として分類し、貸借対照表日現在で保有している金融商品に関連する2023年3月期および2024年3月期の未実現損益を示しております。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

 

未実現損益 (1)

資産:

 

 

 

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資

 

 

 

 エクイティ

△2

 

0

 プライベートエクイティ・デット投資

9

 

11

 日本地方債・政府系機関債

0

 

 外国国債・地方債・政府系機関債

△1

 

1

 銀行および事業会社の負債証券・売買目的の貸付金

13

 

△7

 商業用不動産ローン担保証券(CMBS)

0

 

0

 住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)

0

 

1

 不動産担保証券

2

 

1

 債務担保証券(CDO)等

△6

 

△4

 受益証券等

0

 

0

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資合計

15

 

3

デリバティブ取引(純額)(2)

 

 

 

 エクイティ・デリバティブ

7

 

1

 金利デリバティブ

△8

 

△39

 信用デリバティブ

1

 

8

 為替取引

0

 

△14

デリバティブ取引(純額)合計

0

 

△44

小計

15

 

△41

 

 

 

 

貸付金および受取債権

14

 

22

担保付契約

0

 

0

その他の資産

 

 

 

 トレーディング目的以外の負債証券

0

 

1

 その他

△7

 

9

合計

22

 

△9

 

 

 

 

負債:

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

 エクイティ

0

 

 外国国債・地方債・政府系機関債

0

 

0

 銀行および事業会社の負債証券

0

 

1

トレーディング負債合計

0

 

1

 

 

 

 

短期借入(3)

△3

 

0

支払債務および受入預金(3)

1

 

0

長期借入(3)

22

 

△21

その他の負債

0

 

3

合計

20

 

△17

(1)連結損益計算書のトレーディング損益、プライベートエクイティ・デット投資関連損益、投資持分証券関連損益、収益-その他および金融費用以外の費用-その他、金融収益および金融費用に計上されている損益を含みます。

(2)複数種類のリスクを含むデリバティブ資産および負債は、主要なリスクの種類に基づいて区分されます。

(3)貸借対照表日現在で保有しているレベル3金融商品に関連する未実現損益でその他の包括利益に計上されるものを含みます。2023年3月31日および2024年3月31日現在において、それぞれ7十億円および△1十億円が当該未実現損益としてその他の包括利益に計上されております。

 

1株当たりの純資産価額を計算する事業体への投資

 通常の営業活動で野村は、公正価値を測定するのが難しい投資会社の定義に該当するもしくは類似する性質を有する
非連結の事業体に投資しております。それらの投資の一部は実務上の簡便法として公正価値を1株当たり純資産価額で
算定しております。それらの投資のいくつかは1株当たり純資産価額とは異なる価格で償還されます。

 

 次の表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在の1株当たり純資産価額で計算または注記されている投資についての情報を記載しております。ビジネスの性質やリスクに関連させた主要なカテゴリー別に記載しております。

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

公正価値

 

コミットメント残高 (1)

 

償還頻度 (2)(現在償還可能なもののみ)

 

償還通知時期 (3)

ヘッジファンド

12

 

1

 

月次

 

当日-30 日

ベンチャー・キャピタル・ファンド

11

 

9

 

 

プライベート・エクイティ・ファンド

24

 

10

 

 

リアル・エステート・ファンド

3

 

1

 

 

合計

50

 

21

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

 

公正価値

 

コミットメント残高 (1)

 

償還頻度 (2)(現在償還可能なもののみ)

 

償還通知時期 (3)

ヘッジファンド

10

 

3

 

月次

 

当日-30 日

ベンチャー・キャピタル・ファンド

15

 

6

 

 

プライベート・エクイティ・ファンド

33

 

13

 

 

リアル・エステート・ファンド

4

 

0

 

 

合計

62

 

22

 

 

 

 

(1)投資先に野村が支払わなくてはならない契約上のコミットメント残高を示しております。

(2)野村が投資の繰上償還等を受けられる頻度を示しております。

(3)償還が可能になる前に義務付けられている通知の時期を示しております。

 

 ヘッジファンド:

 これらのファンドには、さまざまな資産クラスに投資するファンド・オブ・ファンズへの投資が含まれております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。大部分のファンドは1ヶ月以内に償還することができますが、契約上の理由、流動性および償還制限などのため1ヶ月以内に償還することができないファンドもあります。なお、償還停止中あるいは清算中のファンドの償還時期は明らかではありません。これらのファンドには、第三者への譲渡制限が設けられているものがあります。

 

 ベンチャー・キャピタル・ファンド:

 これらのファンドには、主にスタートアップのファンドが含まれております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。大部分のファンドは6ヶ月以内に償還することができません。償還停止中あるいは清算中のファンドの償還時期は明らかではありません。これらのファンドには、第三者への譲渡制限が設けられているものがあります。

 

 プライベート・エクイティ・ファンド:

 これらのファンドは、主に欧州、米国、日本のさまざまな業界に投資をしております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。これらのファンドの多くは中途償還に制限が課されています。償還停止中あるいは清算中のファンドの償還時期は明らかではありません。これらのファンドには、第三者への譲渡制限が設けられているものがあります。

 

 リアル・エステート・ファンド:

 これらのファンドには、商業用不動産やその他の不動産への投資が含まれております。これらの投資の公正価値は1株当たり純資産価額を用いて決定されております。これらのファンドの多くは中途償還に制限が課されています。償還停止中あるいは清算中のファンドの償還時期は明らかではありません。これらのファンドには、第三者への譲渡制限が設けられているものがあります。

 

金融商品の公正価値オプション

 野村は編纂書815「デリバティブとヘッジ」(以下「編纂書815」)および編纂書825「金融商品」で容認された公正価値オプションを選択することにより公正価値で測定された特定の適格の金融資産と金融負債を有しております。野村が適格項目について公正価値オプションを選択した場合、当該項目の公正価値の変動は、損益において認識されます。公正価値オプションの選択は通常、その商品に対する会計上の取り扱いを改定させる事象が生じた場合を除いて、変更することはできません。

 

 野村が公正価値オプションを適用している主な金融資産と金融負債および適用趣旨は以下のとおりであります。

 

・トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資およびその他の資産に計上されている、公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していた投資で、恒久的に保有する目的ではなく、値上がり益や配当収入を得る目的で保有され、一般的に出口戦略を有する投資。野村はこれらの投資目的をより忠実に連結財務諸表に反映させるために公正価値オプションを選択しております。

 

・貸付金および受取債権に計上されている、公正価値ベースでリスク管理をしている貸付金、顧客からの受取債権および貸出が実行された際に公正価値オプションが選択される貸出コミットメント。野村は、貸付金とリスク管理目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じうる損益の変動を軽減するため、公正価値オプションを選択しております。

 

・担保付契約および担保付調達に計上されている、公正価値ベースでリスク管理をしている売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券。野村は、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券とリスク管理目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じうる損益の変動を軽減するため、公正価値オプションを選択しております。

 

・短期借入または長期借入に計上されている、2008年4月1日以後に発行されたすべての仕組債。仕組債および仕組債のリスク軽減目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じる損益の変動を軽減することを主に目的として公正価値オプションを選択しております。また、同様の目的により連結変動持分事業体が発行した社債や2008年4月1日より前に発行された一部の仕組債に対しても、公正価値オプションを選択しております。一部の子会社にて実行された一部の仕組借入および発行された仕組債以外の社債に対しても、公正価値オプションを選択しております。

 

・受入銀行預金に計上されている、一部の子会社にて実行された仕組預金。野村は、仕組預金および仕組預金のリスク軽減目的で取引しているデリバティブの価格変動によって生じる損益の変動を軽減することを主に目的として公正価値オプションを選択しております。

 

・長期借入に計上されている、編纂書860の規定上、金融資産の譲渡が担保付金融取引として処理される金融負債。野村は、公正価値オプションを選択しない場合に生じる損益の変動を軽減する目的で、公正価値オプションを選択しております。当該取引にともなう金融資産については、野村のエクスポージャーが通常ない、もしくはほとんどないものの、連結貸借対照表に公正価値で計上され、公正価値の変動は損益で認識されます。

 

・その他の資産に計上されている、再保険契約。野村は、測定基準の差異に起因する価格変動による損益の変動を軽減することを主に目的として公正価値オプションを選択しております。公正価値で評価された再保険契約の公正価値の変動は、連結損益計算書に計上されます。

 

 公正価値オプションを適用した金融商品から生じる利息および配当金は、金融収益、金融費用またはトレーディング損益に計上されます。

 

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期において、公正価値オプションを使って公正価値で測定されている金融商品の公正価値変動による損益を表示しております。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

損益 (1)

資産:

 

 

 

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資 (2)

 

 

 

トレーディング資産

△1

 

0

プライベートエクイティ・デット投資

2

 

2

貸付金および受取債権

35

 

54

担保付契約 (3)

0

 

6

その他の資産 (2)

△12

 

22

合計

24

 

84

 

 

 

 

負債:

 

 

 

短期借入 (4)

208

 

13

支払債務および受入預金

7

 

8

担保付調達 (3)

△5

 

△17

長期借入 (4)(5)

298

 

△110

その他の負債 (6)

7

 

△1

合計

515

 

△107

(1)主に連結損益計算書のトレーディング損益および収益-その他に計上されております。

(2)公正価値オプションを選択していなければ持分法を適用していたエクイティ投資を含んでおります。

(3)売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券を含んでおります。

(4)仕組債とその他の金融負債等を含んでおります。

(5)金融資産の移転が譲渡に該当しないため、担保付金融取引として取り扱われることにともない認識される負債を含んでおります。

(6)貸付金の貸出コミットメントを含んでおります。

 

 野村は2023年3月31日および2024年3月31日現在において、アメリカン・センチュリー・カンパニーズInc.への39.32%、39.57%の経済的持分に対して公正価値オプションを適用しており、連結貸借対照表上、その他の資産-その他に含めております。

 

 公正価値オプションを適用した貸付金および受取債権の商品固有の信用リスクからの損益を特定するにあたり、変動金利の商品についてはその公正価値の変動のほとんどは商品固有の信用リスクに起因する一方で、固定金利の貸付金および受取債権における損益は金利の変動にも起因します。このような場合、商品固有の信用リスクに起因する影響を特定するために、収集可能な借り手特有のクレジット・スプレッドや回収に関する情報に基づいて配分が一般的には行われます。

 

 2023年3月期において、公正価値オプションを適用した貸付金および受取債権の商品固有の信用リスクからの損益は、主に米国顧客との取引に起因した損失に関する債権の一部について回収されたことによる損益であり、その他の当該信用リスクからの損益は重要な金額ではありませんでした。この回収額に関する詳細は、「注記20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。

 

 2024年3月期において、公正価値オプションを適用した金融資産の商品固有の信用リスクに重要な影響はありませんでした。

 

 野村は公正価値オプションを適用した金融負債に対する自社クレジットの変化による影響額を、観察可能な自社クレジット・スプレッドの変動を反映したレートを用いた評価により計算しております。

 

 その他の包括利益に計上されている自社クレジットの変化に起因する金融負債の公正価値の連結会計年度での変動、2023年3月期および2024年3月期に金融負債の消滅により純損益に組み替えられたその他の包括利益は下記のとおりであります。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

その他包括利益変動額 - 貸方(△借方)

95

 

△82

純利益に組み替えられたその他の包括利益 - 貸方(△借方)

0

 

0

年度末累計その他包括利益変動額 – 貸方

145

 

56

 

 前連結会計年度末において、公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権のうち、契約上元本が保証されている未回収元本総額の公正価値は、その未回収元本総額に対して45十億円下回っております。公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権に関して、90日以上の延滞が生じたものはありませんでした。また、公正価値オプションを選択した長期借入のうち、契約上元本を保証している未償還元本総額の公正価値は、その未償還元本総額を451十億円下回っております。

 

 当連結会計年度末において、公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権のうち、契約上元本が保証されている未回収元本総額の公正価値は、その未回収元本総額に対して48十億円下回っております。公正価値オプションを選択した貸付金および受取債権に関して、90日以上の延滞が生じたものはありませんでした。また、公正価値オプションを選択した長期借入のうち、契約上元本を保証している未償還元本総額の公正価値は、その未償還元本総額を444十億円下回っております。

 

投資会社による投資

 野村は、編纂書946「金融サービス―投資会社」に基づく投資会社におけるすべての投資を、公正価値で計上しており、公正価値の変動は連結損益計算書で認識されます。

信用リスクの集中

 信用リスクの集中は、トレーディング業務、証券金融取引および引受業務から生じる場合があり、また政治的・経済的な要因の変化によって影響を受けることがあります。野村は、日本国政府、米国政府、英国政府(以下「U.K.」)、欧州連合(以下「EU」)加盟各国政府およびその地方自治体、政府系機関が発行した債券に対して、信用リスクが集中しております。こうした信用リスクの集中は一般的に、トレーディング目的有価証券の保有により発生しており、連結貸借対照表上トレーディング資産に計上されています。担保差入有価証券を含む政府、地方自治体および政府系機関の債券が当社の総資産に占める割合は、2023年3月期末に16%、2024年3月期末に15%となっております。

 

 次の表は、野村が保有する政府、地方自治体および政府系機関債関連のトレーディング資産の地域別残高内訳を示しております。デリバティブ取引の信用リスクの集中については、連結財務諸表「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

日本

 

米国

 

EU & U.K.

 

その他

 

合計 (1)

政府債・地方債および政府系機関債

1,786

 

2,561

 

2,309

 

925

 

7,581

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

日本

 

米国

 

EU & U.K.

 

その他

 

合計 (1)

政府債・地方債および政府系機関債

2,101

 

3,139

 

1,469

 

1,522

 

8,231

(1)上記金額のほかに、連結貸借対照表上その他の資産-トレーディング目的以外の負債証券に国債・地方債および政府系機関債が2023年3月31日に324十億円、2024年3月31日現在において248十億円含まれております。これらの大部分は日本における国債・地方債・政府系機関債で構成されております。

 

公正価値評価されない金融商品の見積公正価値

 一部の金融商品はトレーディング目的として保有されず、公正価値オプションが選択されないため、連結貸借対照表上毎期経常的には公正価値評価されておりません。こうした金融商品は一般的に契約上の満期金額、ないしは償却原価で計上されております。

 

 下記に詳述する大部分の金融商品の帳簿価額は、本来短期であり、ごくわずかな信用リスクしか含まないため、公正価値に近似しております。これらの金融商品は連結貸借対照表上、現金および現金同等物、定期預金、取引所預託金およびその他の顧客分別金、顧客に対する受取債権、顧客以外に対する受取債権、売戻条件付買入有価証券ならびに借入有価証券担保金として計上される金融資産と短期借入、顧客に対する支払債務、顧客以外に対する支払債務、受入銀行預金、買戻条件付売却有価証券、貸付有価証券担保金およびその他の担保付借入として計上される金融負債を含んでおります。

 

 本来長期または少なからず信用リスクを含む可能性があるその他の金融商品の公正価値は、帳簿価額と異なることがあります。このような金融資産は連結貸借対照表上、貸付金に計上され、また金融負債は連結貸借対照表上、長期借入に計上されております。

 

 次の表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在において、連結貸借対照表上、継続的に公正価値で評価されていない特定の金融商品の帳簿価額と公正価値、および公正価値階層内の分類を示しております。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日 (1)

帳簿価額

 

公正価値

 

レベル別公正価値

 

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

資産:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現金および現金同等物

3,821

 

3,821

 

3,821

 

 

定期預金

409

 

409

 

 

409

 

取引所預託金およびその他の顧客分別金

291

 

291

 

 

291

 

貸付金 (2)

4,010

 

4,009

 

 

2,855

 

1,154

売戻条件付買入有価証券

13,834

 

13,834

 

 

13,817

 

17

借入有価証券担保金

4,283

 

4,283

 

 

4,283

 

合計

26,648

 

26,647

 

3,821

 

21,655

 

1,171

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入

1,009

 

1,009

 

 

978

 

31

受入銀行預金

2,138

 

2,138

 

 

2,121

 

17

買戻条件付売却有価証券

14,218

 

14,218

 

 

14,218

 

貸付有価証券担保金

1,557

 

1,557

 

 

1,557

 

その他の担保付借入

334

 

334

 

 

334

 

長期借入

10,399

 

10,350

 

27

 

9,795

 

528

合計

29,655

 

29,606

 

27

 

29,003

 

576

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日 (1)

帳簿価額

 

公正価値

 

レベル別公正価値

 

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

資産:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現金および現金同等物

4,239

 

4,239

 

4,239

 

 

定期預金

546

 

546

 

 

546

 

取引所預託金およびその他の顧客分別金

370

 

370

 

 

370

 

貸付金 (2)

5,467

 

5,464

 

 

4,057

 

1,407

売戻条件付買入有価証券

15,621

 

15,621

 

 

15,609

 

12

借入有価証券担保金

5,374

 

5,374

 

 

5,374

 

合計

31,617

 

31,614

 

4,239

 

25,956

 

1,419

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負債:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入

1,055

 

1,055

 

 

1,032

 

23

受入銀行預金

2,356

 

2,356

 

 

2,341

 

15

買戻条件付売却有価証券

16,870

 

16,870

 

 

16,870

 

貸付有価証券担保金

2,133

 

2,133

 

 

2,133

 

その他の担保付借入

393

 

393

 

 

393

 

長期借入

12,452

 

12,478

 

22

 

11,953

 

503

合計

35,259

 

35,285

 

22

 

34,722

 

541

 

(1)経常的に公正価値評価される金融商品を含みます。

(2)帳簿価額は貸倒引当金を控除した後の金額です。

 

非経常的に公正価値評価される資産および負債

 野村は毎期経常的に公正価値評価される金融商品に加えて、一義的には公正価値以外の方法で計測され、毎期経常的には公正価値評価されない資産および負債を有しております。公正価値は当初取得時認識の後、減損を認識するなど特定の場合にのみ用いられます。

 

 2023年3月31日および2024年3月31日現在において、非経常的に公正価値評価される資産および負債は、重要な金額ではありませんでした。

3 デリバティブ商品およびヘッジ活動:

 野村は、トレーディング目的およびトレーディング目的以外として先物、先渡、オプションおよびスワップを含む多様なデリバティブ金融商品取引を行っています。

 

トレーディング目的のデリバティブ

 通常の営業活動の中で野村は、顧客ニーズの充足のため、もしくは野村のトレーディング目的のためまたは金利・為替相場・有価証券の市場価格等の不利な変動により野村に生じる損失発生リスクの低減のため、デリバティブ金融商品の取引を行っております。当該デリバティブ金融商品には、金利支払の交換、通貨の交換、または将来の特定日に特定条件で行う有価証券およびその他金融商品の売買等の契約が含まれております。

 

 野村は、多様なデリバティブ取引において積極的にトレーディング業務を行っております。野村のトレーディングは、大部分が顧客ニーズに応えるものであります。野村は、証券市場において顧客の特定の金融ニーズと投資家の需要を満たすため多様なデリバティブ取引を活用しております。また野村は、顧客が金利、為替とその他の市場および信用リスクのエクスポージャーによるリスク特性を調整することが可能となるよう、さまざまなデリバティブのトレーディングを行っております。こうした活動を行うにあたり野村は、資本市場商品の在庫を保有するとともに、他のマーケットメーカーへの売買価格の提示および他のマーケットメーカーとのトレーディングにより、市場において流動性を継続的に確保しております。こうした活動は、顧客に有価証券およびその他の資本市場商品を競争力のある価格で提供するために不可欠なものであります。

 

 先物および先渡取引は、有価証券、外貨またはその他資本市場商品を将来の特定の日に特定の価格で購入または売却する契約であり、差金授受または現物受渡により決済が行われるものであります。外国為替取引は、直物、先渡取引を含み、契約当事者が合意した為替レートでの2つの通貨の交換をともなうものであります。取引相手が取引契約上の義務を履行できない可能性および市場価格の変動からリスクが発生します。先物取引は取引所を通じて行われ、当該取引所が取引の決済および取引相手の契約履行の保証を行うことになります。したがって、先物取引にかかる信用リスクはごくわずかであると考えられます。対照的に先渡取引は、一般的に当事者間で相対で取り決めるものであるため、該当する取引相手の契約履行の有無に影響されることになります。

 

 オプション取引は、オプション料の支払を対価として、買い手に対し特定の期間または特定の日に特定の価格で金融商品をオプションの売り手から購入するかまたは当該売り手に売却する権利を付与する契約であります。オプションの売り手は、オプション料を受領し、当該オプションの原商品である金融商品の市場価格が不利な変動をするリスクを引き受けることになります。

 

 スワップ取引は、合意内容に基づいて当事者が将来の特定の日に一定のキャッシュ・フローを交換することに同意する契約であります。契約によっては、金利と外貨とが組み合わされたエクスポージャーを含みます。スワップ取引には、取引相手が債務不履行の場合に損失を被るという信用リスクがともなっております。

 

 こうしたデリバティブ金融商品により、野村が保有する金融商品ポジションが経済的にヘッジされている場合には、総合的にみた野村の損失リスクは全面的にまたは部分的に軽減されることとなります。

 

 野村は、デリバティブ金融商品の利用から生じる市場リスクを、ポジション制限、監視手続き、多様な金融商品において相殺的なもしくは新たなポジションを保有する等のヘッジ戦略を含むさまざまな管理方針および手続きにより最小限にするよう努めております。

 

トレーディング目的以外のデリバティブ

 野村がトレーディング目的以外でデリバティブを利用する主な目的は、金利リスクを管理し、特定の金融負債にかかる金利の性質を変換し、特定の外貨建負債証券の外国為替リスクを管理し、特定の在外事業体から発生する為替の変動による純投資分の変動を管理し、従業員等に対して付与される株価連動型報酬にかかる株価変動リスクを削減することであります。こうしたトレーディング目的以外で行うデリバティブ取引にともなう信用リスクについては、トレーディング目的で行うデリバティブ取引にともなう信用リスクと同様の手法により管理統制しております。

 

公正価値ヘッジ

 野村はデリバティブ金融商品を、特定の金融負債から生じる金利リスク管理および特定の外貨建負債証券から生じる外国為替リスク管理のため、公正価値ヘッジとして指定しております。これらのデリバティブ取引は、当該ヘッジ対象のリスクを減少させる面で有効であり、ヘッジ契約の開始時から終了時までを通じてヘッジ対象資産負債の公正価値の変動または為替変動と高い相関性を有しております。関連する評価損益はヘッジ対象資産負債にかかる損益とともに連結損益計算書上、金融費用または収益-その他として認識しております。

 

純投資ヘッジ

 野村は、日本円以外が機能通貨である特定の海外事業体に対する純投資ヘッジとして、特定のデリバティブを指定しています。純投資ヘッジの有効性判定では、スポット・レートの変動により、デリバティブの公正価値の変動の有効部分が判定されます。ヘッジ手段のデリバティブの公正価値の変動のうちフォワード・レートとスポット・レートの変動の差による差額は有効性の判定から除かれ、連結損益計算書上、収益-トレーディング損益に計上されております。その他すべての高い有効性を有するヘッジ手段の公正価値の変動は、当社株主資本の累積的その他の包括利益として認識されております。

 

デリバティブの信用リスクの集中

 野村の金融商品に対するエクスポージャーはさまざまな金融商品、カウンターパーティ、地域にわたり大きく多様化しておりますが、デリバティブの重要な部分は他の金融機関との間で締結したものになります。次の表は、野村の店頭デリバティブ取引における、清算機関で清算される取引を含めた金融機関への重要な信用リスクの集中について示したものであります。デリバティブ資産の公正価値の総額は、取引相手が契約条件に従った債務を履行できず、かつ信用リスクの相殺のために野村が受け入れている担保やその他の有価証券が無価値であったと仮定した場合に被る最大限の損失を示しております。

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

デリバティブ資産の

公正価値の総額

 

マスター・ネッティング

契約に基づく

取引相手毎の相殺額

 

デリバティブ取引純額

に対する

担保の相殺額

 

信用リスクに対する

エクスポージャー純額

金融機関

15,296

 

△12,885

 

△1,855

 

556

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

デリバティブ資産の

公正価値の総額

 

マスター・ネッティング

契約に基づく

取引相手毎の相殺額

 

デリバティブ取引純額

に対する

担保の相殺額

 

信用リスクに対する

エクスポージャー純額

金融機関

17,644

 

△14,853

 

△2,173

 

618

 

デリバティブ活動

 次の表は、前連結会計年度末および当連結会計年度末におけるデリバティブの想定元本と公正価値を示しております。それぞれの金額は、取引相手毎のデリバティブ資産およびデリバティブ負債の相殺前、およびデリバティブ取引純額に対する現金担保の相殺前の金額となっております。複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブは、金融商品の主要なリスクの種類に基づいて分類されています。デリバティブの公正価値の変動は、デリバティブの使用目的に応じて、連結損益計算書もしくは連結包括利益計算書に計上されております。

 

 

 

(単位:十億円)

 

 

 

2023年3月31日

 

 

デリバティブ資産

 

デリバティブ負債

想定元本 (1)

 

公正価値

 

公正価値 (1)

トレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ取引 (2)

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

39,203

 

1,065

 

1,610

金利デリバティブ

3,423,357

 

12,799

 

12,065

信用デリバティブ

35,007

 

276

 

358

為替取引

337,616

 

4,219

 

4,120

商品デリバティブ

257

 

3

 

3

合計

3,835,440

 

18,362

 

18,156

 

 

 

 

 

 

ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引

 

 

 

 

 

金利デリバティブ

2,828

 

0

 

180

為替取引

164

 

1

 

0

合計

2,992

 

1

 

180

 

 

 

 

 

 

デリバティブ取引合計

3,838,432

 

18,363

 

18,336

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

 

 

2024年3月31日

 

 

デリバティブ資産

 

デリバティブ負債

想定元本 (1)

 

公正価値

 

公正価値 (1)

トレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ取引 (2)

 

 

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

78,829

 

3,239

 

3,827

金利デリバティブ

3,810,866

 

12,929

 

12,014

信用デリバティブ

42,965

 

284

 

383

為替取引

420,052

 

4,881

 

4,664

商品デリバティブ

325

 

3

 

5

合計

4,353,037

 

21,336

 

20,893

 

 

 

 

 

 

ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引

 

 

 

 

 

金利デリバティブ

3,291

 

0

 

219

為替取引

190

 

3

 

合計

3,481

 

3

 

219

 

 

 

 

 

 

デリバティブ取引合計

4,356,518

 

21,339

 

21,112

 

(1)編纂書815に基づき区分処理された組込デリバティブの金額を含んでおります。

(2)トレーディング目的以外のデリバティブで、公正価値ヘッジないし純投資ヘッジを適用していないものの金額を含んでおります。2023年3月31日および2024年3月31日現在において、これらの金額は重要ではありませんでした。

 

デリバティブ取引の相殺

 野村は、デリバティブ金融商品から生じる取引相手のクレジットリスクを与信審査、リスク上限の設定およびモニタリングによって管理しております。また、債務不履行時のリスクを低減させる目的で、一定のデリバティブ取引について主に現金や国債等の担保を徴求しております。場合により、野村は、取引相手の債務不履行時に野村による担保管理を可能とする契約のもと、当該担保の外部カストディアンへの差入れに同意することがあります。野村は、経済的観点から関連する担保を考慮した上で債務不履行時のリスクの評価を行っております。さらに、店頭デリバティブについては通常、野村の取引相手に対するクレジット・エクスポージャーを軽減するために、業界標準のマスター・ネッティング契約を交しております。マスター・ネッティング契約とは、取引相手がデフォルトした場合に、当該契約の対象となる取引金額および担保金額の一括清算および相殺を認める契約です。

 

 特定の清算機関で清算される店頭デリバティブ取引および取引所で取引されるデリバティブ取引についても、清算機関または取引所がデフォルトした場合に同様の権利が認められる清算契約または参加者契約を結んでおります。野村では通常、前述した契約に含まれている取引の一括清算および相殺の法的有効性を裏付けるための法律意見書を外部より取得しております。

 

 特定の取引相手および特定の地域において、野村は、マスター・ネッティング契約を交わさずにデリバティブ取引を行うことがあります。また、マスター・ネッティング契約を交わしている場合でも、野村は、一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手または入手できないことがあります。このような状況は、各国の法律が一括清算および相殺を明確に禁止している場合や、相殺の法的有効性に関する法律が複雑、不明確または存在しない場合に起こり得ます。また、当該状況は、特定の政府、政府系機関、地方自治体、清算機関、取引所または年金ファンドとのデリバティブ取引について生じる可能性があります。

 

 野村は、マスター・ネッティング契約の法的有効性を考慮して、特定の取引相手との取引から生じる信用リスクのヘッジ方法、取引相手のクレジット・エクスポージャーの算定方法およびリスク上限の設定方法、ならびに取引相手に徴求する担保の量および質を決定しております。

 

 連結貸借対照表上では、法的有効性のあるマスター・ネッティング契約を締結している同一の取引相手とのデリバティブ資産および負債、現金担保の請求権(債権)および現金担保の返還義務(債務)は、編纂書210-20および編纂書815に定義された特定の条件に合致する場合は相殺して表示しております。

 

 次の表は、連結貸借対照表に計上されるデリバティブ商品および関連する現金担保の相殺に関する情報を、デリバティブ契約の種類別に表しています。また、編纂書210-20および編纂書815に定義された条件に合致せず、連結貸借対照表上は相殺されないものの、法的有効性のあるマスター・ネッティング契約や清算機関または取引所のルールによって、取引相手がデフォルトした場合に野村が相殺することが認められている追加的な金額に関する情報も含んでおります。なお、マスター・ネッティング契約下にない、または一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠がないマスター・ネッティング契約下にあるデリバティブ取引は、次表の中で相殺されておりません。

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

デリバティブ

資産

 

デリバティブ

負債 (1)

 

デリバティブ

資産

 

デリバティブ

負債 (1)

エクイティ・デリバティブ

 

 

 

 

 

 

 

相対で決済されるデリバティブ取引

649

 

880

 

2,397

 

2,609

取引所で取引されるデリバティブ取引

416

 

730

 

842

 

1,218

金利デリバティブ

 

 

 

 

 

 

 

相対で決済されるデリバティブ取引

11,535

 

10,976

 

11,575

 

10,889

清算機関で清算されるデリバティブ取引

1,191

 

1,226

 

1,339

 

1,329

取引所で取引されるデリバティブ取引

73

 

45

 

15

 

16

信用デリバティブ

 

 

 

 

 

 

 

相対で決済されるデリバティブ取引

182

 

252

 

240

 

341

清算機関で清算されるデリバティブ取引

86

 

92

 

43

 

41

取引所で取引されるデリバティブ取引

8

 

14

 

1

 

1

為替取引

 

 

 

 

 

 

 

相対で決済されるデリバティブ取引

4,220

 

4,120

 

4,884

 

4,664

商品デリバティブ

 

 

 

 

 

 

 

相対で決済されるデリバティブ取引

2

 

3

 

3

 

5

取引所で取引されるデリバティブ取引

1

 

 

0

 

0

デリバティブ取引総額合計 (2)

18,363

 

18,338

 

21,339

 

21,113

(控除)連結貸借対照表上相殺されている金額 (3)

△16,943

 

△16,329

 

△19,815

 

△19,166

連結貸借対照表上に表示されている取引純額 (4)

1,420

 

2,009

 

1,524

 

1,947

 

 

 

 

 

 

 

 

(控除)連結貸借対照表上相殺されていない金額 (5)

 

 

 

 

 

 

 

非現金担保

△394

 

△315

 

△567

 

△394

純額合計

1,026

 

1,694

 

957

 

1,553

(1)編纂書815に基づき区分処理された組込デリバティブの金額を含んでおります。

(2)マスター・ネッティング契約締結の有無、または当該契約の法的有効性を裏付ける十分な証拠の入手の有無に関わらず、すべてのデリバティブ資産総額およびデリバティブ負債総額を含んでおります。前連結会計年度末において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にあるデリバティブ資産総額およびデリバティブ負債総額はそれぞれ479十億円および753十億円です。当連結会計年度末において、同様のデリバティブ資産総額およびデリバティブ負債総額はそれぞれ402十億円および730十億円です。

(3)編纂書210-20および編纂書815に基づき、野村が法的有効性について十分な証拠を入手しているマスター・ネッティング契約あるいは同等の内容の契約により、同一の取引相手とのデリバティブ資産と負債の相殺および相殺されたデリバティブ取引純額と現金担保との相殺を表します。前連結会計年度末において、野村はデリバティブ負債に対する差入現金担保を1,591十億円相殺し、デリバティブ資産に対する受入現金担保を2,205十億円相殺いたしました。また当連結会計年度末において、野村はデリバティブ負債に対する差入現金担保を1,902十億円相殺し、デリバティブ資産に対する受入現金担保を2,551十億円相殺いたしました。

(4)相殺されたデリバティブ資産および負債は連結貸借対照表上それぞれ、トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資-トレーディング資産とトレーディング負債に計上されております。区分処理された組込デリバティブは参照している原契約の満期に応じて、短期借入ないしは長期借入に計上されております。

 

(5)編纂書210-20および編纂書815に基づいた連結貸借対照表上の相殺表示が認められていないものの、取引相手がデフォルトした場合は法的に有効性のある相殺権を有する金額を表しております。相殺の法的有効性について十分な証拠を未入手のデリバティブおよび担保契約にかかる金額は含まれておりません。なお、前連結会計年度末において、デリバティブ取引純額と相殺されなかった差入現金担保および受入現金担保はそれぞれ298十億円および673十億円です。当連結会計年度末において、デリバティブ取引純額と相殺されなかった差入現金担保および受入現金担保はそれぞれ240十億円および938十億円です。

 

なお、担保付取引の相殺については「注記5 担保付取引」をご参照ください。

 

トレーディング目的のデリバティブ取引

 区分処理された組込デリバティブを含むトレーディング目的のデリバティブ金融商品は公正価値で計上され、公正価値の変動は連結損益計算書の収益-トレーディング損益に計上されます。

 

 次の表は、連結損益計算書に含まれるトレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ関連の損益を、基となるデリバティブ取引の種類に応じて表しております。複数のリスク区分を複合的に参照するデリバティブは、商品の主要なリスクの種類に基づいて分類されています。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

トレーディング目的およびトレーディング目的以外のデリバティブ取引 (1)

 

 

 

エクイティ・デリバティブ

88

 

△194

金利デリバティブ

76

 

468

信用デリバティブ

45

 

12

為替取引

434

 

142

商品デリバティブ

△4

 

27

合計

639

 

455

(1)トレーディング目的以外のデリバティブで、公正価値ヘッジないし純投資ヘッジを適用していないものの損益を含んでおります。前連結会計年度および当連結会計年度のこれらの損益は重要ではありません。

 

公正価値ヘッジ

 野村は日本円もしくは外国通貨建ての固定ならびに変動金利債を発行しており、通常、発行社債にかかる固定金利の支払義務についてスワップ契約を締結することにより変動金利の支払義務に変換しております。このような取引に対しては、公正価値ヘッジを適用して会計処理を行っております。

 

 次の表は、ヘッジ関係に指定されたヘッジ対象負債の帳簿価額、それらに含まれる公正価値ヘッジの累積損益調整額、ヘッジ会計を中止したヘッジ対象負債に残存する公正価値ヘッジの累積損益調整額を貸借対照表の科目ごとに表しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

ヘッジ対象が

含まれる連結

貸借対照表項目

 

ヘッジ対象負債の帳簿価額

 

ヘッジ対象負債の帳簿価額に含まれる

公正価値ヘッジの累積損益調整

(△損失)

 

ヘッジ会計を中止したヘッジ対象負債について残存する公正価値ヘッジの累積損益調整額

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

長期借入

 

2,659

 

3,087

 

168

 

201

 

2

 

3

合計

 

2,659

 

3,087

 

168

 

201

 

2

 

3

 

 公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブ取引は公正価値で計上され、ヘッジ対象負債にかかる損益と共に連結損益計算書の金融費用または収益-その他に計上されています。また、公正価値ヘッジとして指定された金利デリバティブから生じるキャッシュ・フローは、ヘッジ対象である長期借入に関する支払利息と同様に、連結キャッシュ・フロー計算書において営業活動によるキャッシュ・フローに含めて表示しております。

 

 次の表は、連結損益計算書に含まれる公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブ関連の利益(△損失)を、元となるデリバティブ取引の種類とヘッジ対象の性質に応じて表しております。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引

 

 

 

金利デリバティブ

92

 

△39

合計

92

 

△39

 

 

 

 

ヘッジ対象の損益

 

 

 

長期借入

△92

 

39

合計

△92

 

39

 

純投資ヘッジ

 野村は一部の重要な為替リスクをもつ在外事業体に対して、外国為替デリバティブ取引を利用した為替ヘッジを行っており、これにヘッジ会計を適用しております。ヘッジ手段として指定されたデリバティブ取引およびデリバティブ取引以外の金融商品から発生する為替換算差額については、有効性評価から除外した部分を除いて、連結包括利益計算書のその他の包括利益-為替換算調整額に計上されています。これは当該在外事業体を連結する際に発生する為替換算差額と相殺されております。

 

 次の表は、連結包括利益計算書に含まれる純投資ヘッジとして指定されたデリバティブ取引から発生した損益を表しております。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

ヘッジ手段

 

 

 

為替取引

3

 

3

合計

3

 

3

 

 ヘッジの非有効部分の損益およびヘッジの有効性評価から除外した部分は、連結損益計算書の収益-トレーディング損益に含まれております。前連結会計年度および当連結会計年度の損益は重要な金額ではありませんでした。

 

信用リスクに関する偶発事象に関する要項を含んだデリバティブ

 野村は信用リスクに関する偶発事象についての要項を含んだ店頭デリバティブやその他の契約を結んでいます。これらの契約は、最も一般的には当社の長期信用格付の引き下げといった信用リスクに関わる事象が発生した場合に追加担保やポジションの決済を求めることがあります。

 

 前連結会計年度末の負債側に計上されている信用リスクに関する偶発事象要項を含んだデリバティブ商品の公正価値の総計は574十億円となり、403十億円の担保を差し入れております。前連結会計年度末時点における長期格付が1ノッチ引き下げられた場合、追加担保の差入れもしくは取引を決済するために求められる金額は11十億円です。

 当連結会計年度末の負債側に計上されている信用リスクに関する偶発事象要項を含んだデリバティブ商品の公正価値の総計は755十億円となり、619十億円の担保を差し入れております。当連結会計年度末時点における長期格付が1ノッチ引き下げられた場合、追加担保の差入れもしくは取引を決済するために求められる金額は27十億円です。

 

クレジット・デリバティブ

 クレジット・デリバティブとは、その原商品の1つあるいは複数が、ある特定(もしくは複数)の参照企業の信用リスク、もしくは企業群の信用リスクに基づく指数に関連するデリバティブ商品であり、契約に特定されている信用事由が発生するとクレジット・プロテクションの売り手は損失を被るリスクがあります。

 

 野村が売り手となるクレジット・デリバティブは野村が保証型の契約の保証者として、あるいはオプション型の契約やクレジット・デフォルト・スワップ、あるいはその他のクレジット・デリバティブ契約の形態においてクレジット・プロテクションを提供するものとして、第三者の信用リスクを引き受ける契約やそうした契約を内包するものであります。

 

 野村は通常のトレーディング業務の一環として、信用リスク回避目的、自己勘定取引および顧客ニーズに対応する取引目的でクレジット・デリバティブを取引しており、クレジット・プロテクションの買い手もしくは売り手となっております。

 

 野村が主として使用するクレジット・デリバティブの種類は特定の企業または負債の信用リスクに基づき決済が行われる個別クレジット・デフォルト・スワップです。また、野村はクレジット・デフォルト指数に連動するものの販売やその他の信用リスク関連ポートフォリオ商品の発行を行っております。

 

 契約で特定された信用事由が発生した場合、野村はクレジット・デリバティブ契約の履行をしなければなりません。信用事由の典型的な例には、参照企業の破産、債務不履行や参照資産の条件変更などがあります。

 

 野村が売り手となるクレジット・デリバティブ契約は現金決済あるいは現物決済の契約になっております。現金決済の契約では、参照債務の不履行など信用事由の発生により支払いがなされた後は契約終了となり、野村による更なる支払い義務はなくなります。この場合、野村は通常支払いの対価としてカウンターパーティの参照資産を受け取る権利は有しておりませんし、参照資産の実際の発行体に対して直接支払い金額を請求する権利も有しません。現物決済の契約では、信用事由発生により契約額全額が支払われた場合に対価として参照資産を受け取ります。

 

 野村は継続的にクレジット・デリバティブのエクスポージャーをモニターし管理しています。野村がプロテクションの売り手となった場合、プロテクションの対象と同一の参照資産、あるいはプロテクションの対象となる参照資産と発行体が同一であり、かつ当該資産と高い相関を有する価値変動を示すだろうと予想される資産を対象としたクレジット・プロテクションを第三者から購入することでリスクを軽減することができます。したがって、野村が売り手となったクレジット・デリバティブの支払い額を第三者からの支払いによって補填するために用いられるリコース条項としては、当該デリバティブ契約によってというよりむしろ、同一あるいは高い相関を有する参照資産を対象としたクレジット・プロテクションを別途購入することによる場合が最も一般的です。

 

 野村は、購入したクレジット・デリバティブの想定元本を、次の表中に「クレジット・プロテクション買付額」として表示しています。これらの数値は売建クレジット・デリバティブの参照資産と同一の資産に対し、第三者から購入したクレジット・プロテクションの購入額であり、野村のエクスポージャーをヘッジするものです。野村が売り手であるクレジット・デリバティブに基づいて支払いを履行しなければならなくなる場合には、通常、その金額に近い金額を購入したクレジット・プロテクションから受け取る権利が発生します。

 

 クレジット・デリバティブで明記される想定元本額は、契約に基づき野村が支払いをしなければならない場合の最大限の金額となります。しかしながら、支払いが起きる可能性や支払額に影響する下記の要素があるため、想定元本額は通常野村が実際に支払う金額を正確に表すものではありません。

 

 信用事由の発生可能性:野村はクレジット・デリバティブの公正価値評価をする際に、参照資産に信用事由が発生し、野村が支払いをしなければならなくなる可能性を考慮しています。野村のこれまでの経験と野村によるマーケットの現状分析に基づきますと、野村がプロテクションを提供している参照資産のすべてについて1つの会計期間において同時に信用事由が発生する可能性はほとんどないと考えています。したがって、開示されている想定元本額は、こうしたデリバティブ契約にかかる野村の実質的なエクスポージャーとしては、相当に過大な表示となっています。

 

 参照資産からの回収価額:ある信用事由が発生した場合に、野村の契約に基づく債務額は、想定元本額と参照資産からの回収価額の差額に限定されます。信用事由が発生した参照資産からの回収価額がわずかであるにしても、回収価額はこれらの契約に基づいて支払う金額を減少させます。

 

 前連結会計年度末および当連結会計年度末の野村が売り手となるクレジット・デリバティブの残高および同一参照資産のクレジット・プロテクションの買付金額の残高は次のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

帳簿価額

 (1)

(△資産)/負債

 

潜在的な最大支払額または想定元本額

 

想定元本額

 

 

満期年限

 

クレジット・

プロテクション

買付額

 

 

1年以内

 

1~3年

 

3~5年

 

5年超

 

クレジット・デフォルト・

スワップ(個別)

△29

 

8,121

 

1,263

 

3,095

 

2,579

 

1,184

 

5,708

クレジット・デフォルト・

スワップ(指数)

△47

 

6,839

 

1,339

 

2,601

 

2,284

 

615

 

3,886

その他のクレジット・リスク関連ポートフォリオ商品

38

 

624

 

166

 

216

 

210

 

32

 

341

クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション

0

 

51

 

 

 

37

 

14

 

51

合計

△38

 

15,635

 

2,768

 

5,912

 

5,110

 

1,845

 

9,986

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

帳簿価額

 (1)

(△資産)/負債

 

潜在的な最大支払額または想定元本額

 

想定元本額

 

 

満期年限

 

クレジット・

プロテクション

買付額

 

 

1年以内

 

1~3年

 

3~5年

 

5年超

 

クレジット・デフォルト・

スワップ(個別)

△138

 

9,746

 

1,849

 

3,125

 

3,251

 

1,521

 

6,994

クレジット・デフォルト・

スワップ(指数)

△126

 

9,223

 

2,271

 

2,558

 

3,232

 

1,162

 

6,040

その他のクレジット・リスク関連ポートフォリオ商品

19

 

1,011

 

142

 

256

 

580

 

33

 

755

クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション

0

 

49

 

 

 

20

 

29

 

10

合計

△245

 

20,029

 

4,262

 

5,939

 

7,083

 

2,745

 

13,799

 

(1)帳簿価額は、取引相手毎または現金担保との相殺前のデリバティブ取引の公正価値であります。なお、資産残高は参照資産のクレジット・スプレッドが取引開始時よりタイトニングしたことによるものです。

 

 次の表は、野村が売り手となるクレジット・デリバティブの参照資産の外部格付ごとの情報を表しております。格付は、S&P Global Ratingsによる格付、同社による格付がない場合はMoody's Investors Serviceによる格付、両社による格付がない場合にはFitch Ratings Ltd.または株式会社日本格付研究所による格付を使用しております。クレジット・デフォルト・スワップ(指数)についてはポートフォリオまたは指数に含まれる参照企業の外部格付の加重平均を使用しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

潜在的な最大支払額または想定元本額

AAA

 

AA

 

A

 

BBB

 

BB

 

その他 (1)

 

合計

クレジット・デフォルト・

スワップ(個別)

227

 

1,405

 

2,378

 

2,530

 

781

 

800

 

8,121

クレジット・デフォルト・

スワップ(指数)

185

 

180

 

2,924

 

2,844

 

299

 

407

 

6,839

その他のクレジット・リスク関連

ポートフォリオ商品

 

 

21

 

325

 

53

 

225

 

624

クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション

 

 

 

29

 

22

 

 

51

合計

412

 

1,585

 

5,323

 

5,728

 

1,155

 

1,432

 

15,635

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

潜在的な最大支払額または想定元本額

AAA

 

AA

 

A

 

BBB

 

BB

 

その他 (1)

 

合計

クレジット・デフォルト・

スワップ(個別)

157

 

1,485

 

2,938

 

3,489

 

925

 

752

 

9,746

クレジット・デフォルト・

スワップ(指数)

37

 

40

 

3,257

 

5,251

 

265

 

373

 

9,223

その他のクレジット・リスク関連

ポートフォリオ商品

 

 

19

 

631

 

18

 

343

 

1,011

クレジット・リスク関連オプションおよびスワップション

 

 

16

 

16

 

17

 

 

49

合計

194

 

1,525

 

6,230

 

9,387

 

1,225

 

1,468

 

20,029

 

(1)その他には、参照資産の外部格付が投資不適格であるものおよび参照資産の外部格付がないものが含まれております。

 

金融資産の売却にともない取引されるデリバティブ

 野村は取引相手への金融資産の譲渡にともない別個の契約を同一相手先と結ぶことで、取引期間中における当該金融資産の実質的にすべての経済的リターンに対するエクスポージャーを野村が保持する取引を行うことがあります。これらの取引は主として相対のトータルリターンスワップまたは実質的なトータルリターンスワップであるデリバティブをともなう有価証券の売却取引により行われます。

 

 これらの取引は、編纂書860における金融資産の消滅の要件を満たした場合には有価証券の売却およびデリバティブとして別々に会計処理されます。金融資産の消滅の要件を満たさない場合、金融資産の譲渡とデリバティブは単一の担保付資金調達取引として会計処理され、連結貸借対照表上、長期借入として計上されます。

 

 野村は、売却として会計処理される有価証券の譲渡を含む特定の同時取引を締結しました。この場合譲渡した有価証券に対する実質的にすべての経済的エクスポージャーはトータルリターンスワップを通じて保持されますが、譲渡した資産に対する支配は保持されません。次の表は2023年3月31日および2024年3月31日現在の関連取引残高に関する情報を示しています。

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

譲渡日時点における現金受取額

69,535

 

69,383

譲渡日時点における有価証券の公正価値

69,405

 

69,253

会計年度末における譲渡した有価証券の公正価値

59,199

 

54,627

会計年度末におけるデリバティブ負債残高の総額(1)

10,119

 

14,434

 

(1)金額は相殺前の総額ベースで表示され、2023年3月期および2024年3月期において連結貸借対照表のトレーディング負債に含まれております。このうち「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」で開示されているトレーディング目的の金利デリバティブに2023年3月期および2024年3月期においてそれぞれ10,119百万円および14,434百万円が含まれております。

 

4 顧客に提供したサービスから得た収益:

サービスの種類ごとの収益

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期の連結損益計算書において関連する項目ごとに、野村が顧客に提供したサービスから得た収益の内訳を表しております。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

委託・投信募集手数料

279,857

364,095

投資銀行業務手数料

113,208

173,265

アセットマネジメント業務手数料

271,684

310,154

その他

43,190

48,971

合計

707,939

896,485

 

 委託・投信募集手数料に計上される金額は主に、顧客への取引執行・清算および投資信託募集サービスから発生しており、主に営業部門に含まれ、ホールセール部門にも含まれます。なお、2024年4月1日付けで、ビジネスの実態に合わせて「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称いたしました。

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期の委託・投信募集手数料の内訳を表しております。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

株式委託手数料

190,778

242,687

投資信託募集手数料

30,268

56,241

その他手数料

58,811

65,167

合計

279,857

364,095

 

 投資銀行業務手数料は、財務アドバイザリーサービス、引受および売出業務サービスから発生しており、多くはホールセール部門に含まれ、残りは主に営業部門に含まれます。

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期の投資銀行業務手数料の内訳を表しております。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

引受および売出手数料 - 株式

18,862

45,478

引受および売出手数料 - 債券

21,145

27,456

財務アドバイザリーサービス

53,946

61,560

その他

19,255

38,771

合計

113,208

173,265

 

 アセットマネジメント業務手数料は、アセット・マネジメント業務サービスから発生しており、多くはインベストメント・マネジメント部門に含まれ、残りは主に営業部門に含まれます。

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期のアセットマネジメント業務手数料の内訳を表しております。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

2024年3月期

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

アセットマネジメントフィー

171,327

193,468

事務手数料

76,157

88,201

カストディアルフィー

24,200

28,485

合計

271,684

310,154

 

 以下の表は、顧客に対して提供した主要なサービスごとの収益認識基準、仮定や重要な判断についての要約情報を示すもので、それぞれのサービスに含まれる履行義務の性質、それらの履行義務が一時点で充足されるか一定期間で充足されるかを含んでいます。一定期間に履行義務が充足されるものについては、収益認識を行うためのインプット、アウトプット法の説明を行っています。

 

サービスの種類

 

サービスの概要

 

主要な収益認識基準、仮定および判断

取引執行・清算および投資信託募集サービス

 

顧客の有価証券の委託売買

 

ファンドの販売

 

顧客の有価証券およびデリバティブの清算代行

 

取引執行および清算手数料は、一時点、つまり約定日に認識されます

 

ファンドの販売報酬は、当該ファンドの投資持分が第三者に販売された時点で認識されます

 

野村が、投資情報調査やこれに類するサービスを代理人として提供する場合の手数料は、ソフトダラーの金額を差し引いた純額で認識されます

 

財務アドバイザリーサービス

 

M&Aの仲介など、特定の取引に関連する顧客に対する財務的助言の提供

 

特定の取引以外や全般的企業情報および同種の調査に関する財務的助言の提供

 

フェアネスオピニオンの発行

 

顧客のための複雑な金融商品の組成業務

 

 

成功報酬は変動対価であり、重要な戻し入れが発生しないと判断された時点、つまり通常は取引が完了した時点で認識されます

 

着手金やマイルストーン報酬は、関連する履行義務が一定期間に従い充足されるか、または一時点に充足されるかの判断に基づき、関連する期間にわたり認識される、または関連する取引が完了するまで繰り延べられた上で認識されることになります

 

収益が一時点で認識されるか、一定期間に認識されるかの判断は、報酬が(事業買収もしくは売却のように)顧客のための特定の取引または成果に影響を受けるか否か、当該特定の取引の実施前に顧客に提供された便益の性質と程度、および、それらの取引または成果の契約全体に占める重要性に基づいて決定されます

 

関連する履行義務が一定期間に従い充足される着手金やマイルストーン報酬は、期間の経過とともに履行義務が充足されるという前提に基づき、通常契約期間にわたり、均等に認識されます

 

引受および売出業務サービス

 

負債性、資本性その他の金融商品の引受業務

 

売出業務

 

顧客向け貸付金のアレンジ業務

 

顧客向けローンシンジケート業務

 

引受や、募集に関する収益は、当該業務の完了時点で認識されます

 

融資の実行が見込まれないコミットメントフィーは、時間の経過に基づきファシリティの期間に応じて均等に認識されます

 

引受および募集に関するコストは、野村が当事者または代理人として行動しているかどうかによって収益の控除または総額で認識されます

 

 

 

サービスの種類

 

サービスの概要

 

主要な収益認識基準、仮定および判断

アセット・マネジメント業務サービス

 

ファンド、投資信託やその他の投資ビークルの運用

 

投資助言サービスの提供

 

カストディや事務サービスの提供

 

ファンド、投資信託、その他の事業体のマネジメント業務手数料は期間の経過とともに履行義務が充足されるという前提に基づき、通常契約期間にわたり、均等に認識されます

 

成果に基づく報酬は一時点で認識される変動対価であり、履行状況に基づき重要な戻し入れがないと判断された場合に認識されます

 

カストディや事務手数料は時間に応じて均等に認識されます

 

 

 一時点で認識される収益に関して、報酬の支払いは、通常、履行義務の充足と同時、または、履行義務を充足して以降の、数日または数か月間内で受領されます。一定期間を通じて認識される収益に関する報酬の支払いは、通常、毎月、3か月ごと、もしくは6か月ごとに受領されます。

 

 上述の、野村が提供する金融サービスの提供契約は、通常、金額的に重要な金融要素を含みません。このような要素が契約に含まれていれば、金融要素が実質的に1年以内である重要な金融要素の効果を調整しないとする、編纂書606「顧客との契約から生じる収益」(以下「編纂書606」)で許容される経理規則を適用しています。また、このような契約は返還権や顧客への同様の要素を含みません。

 

顧客との契約資産・負債残高

 顧客との契約に沿って野村または顧客が行動した際に、顧客との契約資産、受取債権、契約負債は、野村の貸借対照表に計上されます。

 

 顧客との契約資産は、野村により全部または部分的な履行義務の充足が完了することにより認識する未収収益、つまり、野村が顧客に対してサービスを提供して受け取った、時の経過以外の条件付き対価の受領権を示しています。顧客との契約から生じた受取債権は、野村が提供したサービスと交換に対価を受け取る無条件の権利です。野村の連結貸借対照表において、顧客との契約から生じた受取債権と契約資産は、顧客に対する受取債権に表示されます。契約負債は、受領済みまたは受領予定の対価に対する将来のサービスの提供義務を含み、顧客との契約に認識される負債です。契約負債は、野村の連結貸借対照表の顧客に対する支払債務に表示されます。

 

 以下の表は、編纂書606の対象範囲に含まれる顧客との契約から生じた受取債権および契約負債に関する残高を示しています。前連結会計年度末および当連結会計年度末における契約資産は、重要ではありません。

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2023年3月31日)

当連結会計年度末

(2024年3月31日)

顧客との契約から生じた受取債権

85,100

101,668

契約負債 (1)

5,226

6,073

(1)契約負債は、主に投資助言サービスの提供から発生し、期間の経過に関連して認識されます。

 

 2022年3月期末の契約負債の残高は2023年3月期に、2023年3月期末の契約負債の残高は2024年3月期に、それぞれ収益として認識されています。過年度に充足済みの履行義務に基づき、2023年3月期に4,876百万円、2024年3月期に3,347百万円の収益を認識しています。

 

残存する履行義務に配分された取引価格

 野村は通常、期末日において履行義務の全部または一部が満たされない顧客との契約を行うことがあります。これらの契約における残存する履行義務に配分した取引価格の合計は、前連結会計年度末において1,189百万円、当連結会計年度末において1,135百万円です。なお、編纂書606の容認規定に基づき、当初から1年以内と見込まれる履行義務の残存部分に関する開示は行っておりません。また、取引価格に含まれていない顧客との契約から生じる重要な対価はありません。

 

契約コスト

 編纂書340「その他の資産と繰延費用」の容認規定に基づき、資産化した場合の償却期間が1年以内となる契約獲得に関する増加コストを発生時に費用として認識しております。結果として、前連結会計年度末および当連結会計年度末における契約コストから認識される資産は重要ではありません。

 

5 担保付取引:

 野村は、主に顧客のニーズを満たす、トレーディング商品在庫を利用して資金調達を行う、および決済のために有価証券を調達するという目的で、売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引ならびにその他の担保付借入を含む担保付取引を行っております。

 

 売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引は通常、業界標準のマスター・ネッティング契約を交わしており、クレジット・エクスポージャーは軽減されております。特定の清算機関で清算される売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引についても、清算機関がデフォルトした場合に同様の権利を認める清算契約または参加者契約を結んでおります。野村では通常、前述した契約に含まれている取引の一括清算および相殺の法的有効性を裏付けるための法律意見書を外部より取得しております。

 

 特定の取引相手および特定の地域において、野村は、マスター・ネッティング契約を交わさずに売戻条件付有価証券買入取引、買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引を行うことがあります。また、マスター・ネッティング契約を交わしている場合でも、野村は、一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手または入手できないことがあります。このような状況は、各国の法律が一括清算および相殺を明確に禁止している場合や、相殺の法的有効性に関する法律が複雑、不明確または存在しない場合に起こり得ます。また、当該状況は、特定の政府、政府系機関、地方自治体、清算機関、取引所または年金ファンドとの売戻条件付有価証券買入取引、買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引について生じる可能性があります。

 

 野村は、マスター・ネッティング契約の法的有効性を考慮して、特定の取引相手との取引から生じる信用リスクのヘッジ方法、取引相手のクレジット・エクスポージャーの算定方法およびリスク上限の設定方法、ならびに取引相手に徴求する担保の量および質を決定しております。

 

 こうした取引において野村は、日本および海外の国債、地方債および政府系機関債、不動産ローン担保証券、銀行および事業会社の負債証券ならびに投資持分証券を含む担保の受入れまたは差入れを行っております。ほとんどの場合、担保を受け取った側は、受け入れた有価証券について、買戻契約の担保として提供すること、有価証券貸付契約を締結することまたは売建有価証券の精算のために取引相手へ引渡しを行うことが認められております。売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引では、一般的に受け渡される担保は有価証券であり、担保価値は受け渡される現金の金額よりも通常大きくなります。野村が有価証券を借り入れる場合、通常担保金もしくは代用有価証券を差し入れる必要があります。また逆に野村が有価証券を貸し付ける場合、通常野村は担保金もしくは代用有価証券を受け入れます。野村は取引期間を通じて受け入れまたは差し入れている有価証券の市場価額を把握し、必要な場合には取引が十分に保全されるよう追加の担保金もしくは代用有価証券を徴求しております。

 

担保付取引の相殺

 連結貸借対照表上では、マスター・ネッティング契約を締結している同一の取引相手との売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引、担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引は、編纂書210-20に定義された特定の条件に合致する場合は相殺して表示しております。特定の条件には、取引の満期、担保が決済される振替機関、関連する銀行取決め、マスター・ネッティング契約における一括清算および相殺の法的有効性などに関する要件が含まれます。

 

 次の表は、連結貸借対照表上のこうした担保付取引の相殺に関する情報を表しております。取引相手がデフォルトした場合に追加的に相殺が認められるマスター・ネッティング契約を締結している取引に関する情報も含んでおります。なお、マスター・ネッティング契約下にない、または一括清算および相殺の法的有効性を裏付ける十分な証拠がないマスター・ネッティング契約下にある取引は、下表の中で相殺されておりません。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

売戻条件付

有価証券買入

取引

 

担保付

有価証券借入

取引

 

買戻条件付

有価証券売却

取引

 

担保付

有価証券貸付

取引

取引総額 (1)

35,030

 

4,280

 

35,414

 

1,825

(控除)連結貸借対照表上相殺されている金額 (2)

△21,196

 

 

△21,196

 

連結貸借対照表上に表示されている取引純額 (3)

13,834

 

4,280

 

14,218

 

1,825

(控除)連結貸借対照表上相殺されていない額 (4)

 

 

 

 

 

 

 

非現金担保

△11,938

 

△2,690

 

△11,550

 

△1,617

現金担保

△14

 

 

△1

 

純額合計

1,882

 

1,590

 

2,667

 

208

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

売戻条件付

有価証券買入

取引

 

担保付

有価証券借入

取引

 

買戻条件付

有価証券売却

取引

 

担保付

有価証券貸付

取引

取引総額 (1)

41,288

 

5,371

 

42,537

 

2,465

(控除)連結貸借対照表上相殺されている金額 (2)

△25,667

 

 

△25,667

 

連結貸借対照表上に表示されている取引純額 (3)

15,621

 

5,371

 

16,870

 

2,465

(控除)連結貸借対照表上相殺されていない額 (4)

 

 

 

 

 

 

 

非現金担保

△13,228

 

△3,572

 

△13,817

 

△2,324

現金担保

△9

 

 

△2

 

純額合計

2,384

 

1,799

 

3,051

 

141

(1)マスター・ネッティング契約締結の有無、または当該契約の法的有効性を裏付ける十分な証拠の入手の有無に関わらず、すべての取引残高を含んでおります。公正価値オプションの選択により公正価値で計上されている取引を含んでおります。2023年3月31日現在において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引の総額はそれぞれ883十億円および2,394十億円です。2023年3月31日現在において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引の総額はそれぞれ1,449十億円および137十億円です。2024年3月31日現在において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある売戻条件付有価証券買入取引および買戻条件付有価証券売却取引の総額はそれぞれ1,161十億円および2,574十億円です。2024年3月31日現在において、マスター・ネッティング契約下にない、または法的有効性を裏付ける十分な証拠を未入手のマスター・ネッティング契約下にある担保付有価証券借入取引および担保付有価証券貸付取引の総額はそれぞれ1,512十億円および69十億円です。

(2)編纂書210-20に基づき、野村が法的有効性について十分な証拠を入手しているマスター・ネッティング契約あるいは同等の契約により、取引相手ごとに相殺した金額を表します。相殺した金額には、公正価値オプションの選択により公正価値で計上されている取引を含みます。

 

(3)売戻条件付有価証券買入取引および担保付有価証券借入取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付契約-売戻条件付買入有価証券と担保付契約-借入有価証券担保金に計上されております。買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付調達-買戻条件付売却有価証券と担保付調達-貸付有価証券担保金に計上されております。また、担保付有価証券貸付取引には、野村が貸し出した有価証券の担保として、売却または担保差入可能な有価証券を受け入れる取引を含んでおります。野村は受け入れた有価証券を公正価値で認識しており、同額を返還義務のある有価証券として負債に計上しております。当該負債は連結貸借対照表上、その他の負債に計上されております。

(4)編纂書210-20に基づいた連結貸借対照表上の相殺表示が認められていないものの、取引相手のデフォルト発生時には法的に有効性のある相殺権を有する金額を表しております。相殺の法的有効性について十分な証拠を未入手の取引にかかる金額は含まれておりません。

 

 なお、デリバティブ取引の相殺については「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。

 

 

買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の残存契約期間別内訳

 次の表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在において、連結貸借対照表上、負債として計上されている買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の編纂書210-20に基づく相殺表示前の残存契約期間別の内訳を示しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

残存契約期間

オーバーナ

イトまたは

オープン・

エンド (1)

 

30日以内

 

30~90日

 

90日~1年

 

1年以上

 

合計

買戻条件付有価証券売却取引

14,017

 

16,597

 

2,663

 

1,357

 

780

 

35,414

担保付有価証券貸付取引

1,002

 

243

 

55

 

498

 

27

 

1,825

取引総額 (2)

15,019

 

16,840

 

2,718

 

1,855

 

807

 

37,239

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

 

残存契約期間

オーバーナ

イトまたは

オープン・

エンド (1)

 

30日以内

 

30~90日

 

90日~1年

 

1年以上

 

合計

買戻条件付有価証券売却取引

18,513

 

17,317

 

3,747

 

2,024

 

936

 

42,537

担保付有価証券貸付取引

1,337

 

299

 

43

 

786

 

 

2,465

取引総額 (2)

19,850

 

17,616

 

3,790

 

2,810

 

936

 

45,002

(1)オープン・エンド取引とは、取引の明確な契約満期日を定めずに、野村または取引相手の要求に基づいて取引を終了する取引であります。

(2)買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付調達-買戻条件付売却有価証券と担保付調達-貸付有価証券担保金に計上されております。また、担保付有価証券貸付取引には、野村が貸し出した有価証券の担保として、売却または担保差入可能な有価証券を受け入れる取引を含んでおります。野村は受け入れた有価証券を公正価値で認識しており、同額を返還義務のある有価証券として負債に計上しております。当該負債は連結貸借対照表上、その他の負債に計上されております。買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の取引総額は、上述の担保付取引の相殺にかかる開示の取引総額と一致いたします。

 

買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引における担保提供資産

 次の表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在において、連結貸借対照表上、買戻条件付売却有価証券および貸付有価証券担保金として計上されている買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の編纂書210-20に基づく相殺表示前の担保提供資産別の内訳を示しております。

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

買戻条件付

有価証券売却取引

 

担保付有価証券

貸付取引

 

合計

エクイティおよび転換社債

251

 

1,598

 

1,849

日本国債・地方債・政府系機関債

1,651

 

0

 

1,651

外国国債・地方債・政府系機関債

28,039

 

74

 

28,113

銀行および事業会社の負債証券

2,639

 

128

 

2,767

商業用不動産ローン担保証券(CMBS)

 

 

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)(1)

2,657

 

 

2,657

債務担保証券(CDO)等

168

 

 

168

受益証券等

9

 

25

 

34

取引総額 (2)

35,414

 

1,825

 

37,239

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

 

買戻条件付

有価証券売却取引

 

担保付有価証券

貸付取引

 

合計

エクイティおよび転換社債

234

 

2,228

 

2,462

日本国債・地方債・政府系機関債

2,506

 

0

 

2,506

外国国債・地方債・政府系機関債

31,355

 

72

 

31,427

銀行および事業会社の負債証券

3,636

 

94

 

3,730

商業用不動産ローン担保証券(CMBS)

17

 

 

17

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)(1)

4,598

 

 

4,598

債務担保証券(CDO)等

190

 

 

190

受益証券等

1

 

71

 

72

取引総額 (2)

42,537

 

2,465

 

45,002

(1)RMBSにはパス・スルー証券および米国政府保証が付されたCMO(Collateralized Mortgage Obligations)を2023年3月31日現在2,080十億円、2024年3月31日現在3,842十億円含んでおります。

(2)買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引は、連結貸借対照表上それぞれ担保付調達-買戻条件付売却有価証券と担保付調達-貸付有価証券担保金に計上されております。また、担保付有価証券貸付取引には、野村が貸し出した有価証券の担保として、売却または担保差入可能な有価証券を受け入れる取引を含んでおります。野村は受け入れた有価証券を公正価値で認識しており、同額を返還義務のある有価証券として負債に計上しております。当該負債は連結貸借対照表上、その他の負債に計上されております。買戻条件付有価証券売却取引および担保付有価証券貸付取引の取引総額は、上述の担保付取引の相殺にかかる開示の取引総額と一致いたします。

 

担保として受け入れた資産

 野村が担保として受け入れた有価証券および有担保・無担保の貸借契約に基づき受け入れた有価証券のうち野村が売却または再担保の権利を有しているものの公正価値、ならびにそのうちすでに売却されもしくは再担保に提供されている額はそれぞれ以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

担保として受け入れた資産の公正価値

53,857

 

62,456

上記のうちすでに売却され(連結貸借対照表上のトレーディング負債のショート・ポジションに含まれる)もしくは再担保に提供されている額

38,417

 

45,389

担保は通常、売戻条件付有価証券買入取引、有価証券借入取引、担保付貸付金およびデリバティブ取引を通じて受け入れられます。また、担保は自己所有の有価証券およびその他の資産と共に、ショート・ポジションの補填や買戻条件付有価証券売却取引、その他の担保付資金調達取引およびデリバティブ契約を担保するために使用されます。

 

担保として差し入れた資産

 野村は、買戻契約およびその他の担保付資金調達取引の担保として、自己所有の有価証券やその他の資産を差し入れております。担保受入者が売却または再担保に差し入れることのできる担保差入有価証券(現先レポ取引分を含む)は、連結貸借対照表上、トレーディング資産、投資持分証券および関連会社に対する投資および貸付金に担保差入有価証券として括弧書きで記載されております。野村が所有する資産であって、売却または再担保に差し入れる権利を担保受入者に認めることなく証券取引所および決済機関などに対して担保として差し入れられているものの概要は、それぞれ以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

トレーディング資産:

 

 

 

エクイティおよび転換社債

194,486

 

212,165

政府および政府系機関債

1,017,843

 

1,238,863

銀行および事業会社の負債証券

55,532

 

151,454

住宅用不動産ローン担保証券(RMBS)

2,527,124

 

2,360,053

債務担保証券(CDO)等 (1)

12,383

 

12,959

受益証券等

10,411

 

570

合計

3,817,779

 

3,976,064

 

 

 

 

トレーディング目的以外の負債証券 (2)

106,319

 

94,421

関連会社に対する投資および貸付金 (3)

14,023

 

14,976

(1)ローン担保証券(CLO)、資産担保証券(ABS)(クレジットカード・ローン、自動車ローン、学生ローン等)を含みます。

(2)主に日本の都道府県や政令指定都市発行の地方債です。

(3)株式会社野村総合研究所の株式です。

 

 上記で開示されているものを除く担保提供資産は、以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

貸付金および受取債権

354,508

 

409,145

トレーディング資産およびプライベートエクイティ・

デット投資

1,397,669

 

1,818,795

建物、土地、器具備品および設備

3,323

 

7,591

トレーディング目的以外の負債証券

107,852

 

94,471

関連会社に対する投資および貸付金

3

 

2

その他

773

 

1,084

合計

1,864,128

 

2,331,088

 

 

 上記の資産は主にその他の担保付借入および連結変動持分事業体の担保付社債を含む担保付借入ならびにデリバティブ取引に関して差し入れられているものであります。また、上記の資産は編纂書860に基づく売却会計処理の要件を満たさないために連結貸借対照表に認識され続ける金融資産を含んでおります。当該取引にかかる負債は長期借入において、トレーディング目的担保付借入として計上されます。トレーディング目的担保付借入については「注記10 借入」をご参照ください。

 

6 証券化および変動持分事業体:

証券化業務

 野村は、商業用および居住用モーゲージ、政府系機関債および社債、ならびにその他の形態の金融商品を証券化するために特別目的事業体を利用しております。これらは、株式会社、匿名組合、ケイマン諸島で設立された特別目的会社、信託勘定などの形態をとっております。野村の特別目的事業体への関与としましては、特別目的事業体を組成すること、特別目的事業体が発行する負債証券および受益権を投資家のために引受け、売出し、販売することが含まれております。野村は金融資産の譲渡について、編纂書860の規定に基づき処理しております。編纂書860は、野村の金融資産の譲渡について、野村がその資産に対する支配を喪失する場合には、売却取引として会計処理することを義務付けております。編纂書860は、(a)譲渡資産が譲渡人から隔離されていること(譲渡人が倒産した場合もしくは財産管理下に置かれた場合においても)、(b)譲受人が譲り受けた資産を担保として差し入れるまたは譲渡する権利を有していること、もしくは譲受人が証券化または担保付資金調達の目的のためだけに設立された特別目的事業体の場合において、受益持分の保有者が受益持分を差し入れるまたは譲渡する権利を有していること、(c)譲渡人が譲渡資産に対する実質的な支配を維持していないことという条件を満たす場合には支配を喪失すると規定しております。野村は特別目的事業体を使った証券化の際の留保持分など、こうした事業体に対する持分を保有することがあります。野村の連結貸借対照表では、当該持分は通常、公正価値により評価し、トレーディング資産として計上され、公正価値の変動はすべて収益-トレーディング損益として認識しております。証券化した金融資産に対して当初から継続して保有する持分の公正価値は観察可能な価格、もしくはそれが入手不可である持分については野村は、最善の見積もりに基づく重要な仮定を用いて、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことによって計算される価格を公正価値としております。その仮定には、見積もり信用損失、期限前償還率、フォワード・イールド・カーブ、それに含まれるリスクに応じた割引率が含まれます。これ以外に特別目的事業体に対して譲渡した金融資産に関連するデリバティブ取引を行うことがあります。

 

 以上のように、野村は特別目的事業体へ譲渡した金融資産に対し、継続的関与を持つ場合があります。野村が2023年3月期および2024年3月期において、新たな証券化により特別目的事業体から譲渡対価として得たキャッシュ・インフローは285十億円、432十億円であり、野村からの資産の譲渡により認識した利益は1十億円、0十億円でした。さらに2023年3月期および2024年3月期において、譲渡対価として受け取った特別目的事業体が発行する負債証券の当初の公正価値は458十億円、253十億円であり、当該負債証券の第三者への売却等により得たキャッシュ・インフローは436十億円、227十億円となっております。2023年3月31日現在および2024年3月31日現在において、継続的関与を持つ特別目的事業体に、野村が売却処理した譲渡金融資産の累計残高はそれぞれ5,745十億円、6,747十億円となっており、これらの大半は国債・地方債、および政府系機関債です。また、2023年3月31日現在および2024年3月31日現在において、野村はこれらの特別目的事業体に対してそれぞれ168十億円、160十億円の持分を当初から継続的に保有しております。2023年3月期および2024年3月期において、これらの継続して保有している持分に関連して特別目的事業体から受け取った金額はそれぞれ26十億円、23十億円となっております。

 

 野村は、2023年3月31日現在および2024年3月31日現在において、これらの特別目的事業体との間に、契約外の財務支援は行っておりません。

 

 次の表は、野村が継続的関与を持つ特別目的事業体に対する持分を保有するものの公正価値、およびその公正価値のレベル別の内訳を当該特別目的事業体に譲渡した資産の種類別に表しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

合計

 

うち、

投資格付が

適格なもの

 

それ以外

国債・地方債、および政府系機関債

 

161

 

 

161

 

161

 

事業債

 

 

 

 

 

モーゲージ関連商品

 

 

7

 

7

 

2

 

5

合計

 

161

 

7

 

168

 

163

 

5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2024年3月31日

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

合計

 

うち、

投資格付が

適格なもの

 

それ以外

国債・地方債、および政府系機関債

 

152

 

 

152

 

152

 

事業債

 

 

 

 

 

モーゲージ関連商品

 

 

8

 

8

 

2

 

6

合計

 

152

 

8

 

160

 

154

 

6

 

 2023年3月31日および2024年3月31日現在、野村が当初から継続して保有する持分の大半は、有意な観察可能なデータに基づいて公正価値を算定しております。また、これらの継続して保有する持分の当初の公正価値は、大半がレベル2に該当します。

 

 次の表は、金融資産を特別目的事業体に譲渡したが、編纂書860上は譲渡の要件を満たさずトレーディング資産およ

び貸付金となったもの、また、それにより担保付金融取引として会計処理されたために長期借入とされたものの金額およびその区分を表しています。なお、表上の資産はすべて同負債の担保となるもので、野村が資産を自由に処分することも、遡及されることもありません。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

資産

 

 

 

トレーディング資産

 

 

 

日本国債

1

 

1

売買目的の貸付金

25

 

69

貸付金

328

 

539

合計

354

 

609

 

 

 

 

負債

 

 

 

長期借入

354

 

609

 

変動持分事業体

 野村は通常の証券化およびエクイティ・デリバティブ業務の中で、変動持分事業体に対して金融資産の譲渡、変動持分事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。野村はマーケット・メーク業務、投資業務および組成業務に関連し、変動持分事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。

 

 野村が変動持分事業体の経済活動に最も重要な影響を及ぼす活動を決断するパワーを持ち、事業体の持分を通じて、その事業体にとって潜在的に重要な便益を享受する権利または損失を被る義務が野村に生じる場合、かつ野村が他の投資家の受託者たる要件を満たせない場合、野村は主たる受益者でありその事業体を連結しなければなりません。野村の連結変動持分事業体には、事業会社の発行する転換社債型新株予約権付社債やモーゲージおよびモーゲージ担保証券をリパッケージした仕組債を、投資家に販売するために組成されたものが含まれます。航空機のリース事業や、その他のビジネスに関連する変動持分事業体も連結しております。野村はまた、投資ファンド等、野村が主たる受益者となる場合は連結しております。

 

 最も重要な活動を決断するパワーには、変動持分事業体のタイプによりさまざまな形態があります。証券化、投資ファンド、CDO等の取引においては通常、担保資産の管理やサービシングが受託業務に該当しない場合、最も重要な決断を下すパワーであると野村は考えます。したがって、野村が担保資産の管理者やサービサーではなく、担保資産管理者やサービサーを交替させる権利や事業体を清算する一方的な権利を持たない限り、そのような変動持分事業体を連結いたしません。

 

 変動持分事業体が利用される住宅不動産ローン担保証券の再証券化等の多くの取引において、取引期間中に重要な経済的意思決定が行われず、どの投資家も変動持分事業体を清算する一方的な力を持たない場合があります。そのような場合、野村は取引開始前になされた変動持分事業体の仕組みに単一の意思決定権を有した者を分析し、変動持分事業体が保有する原資産の性質、変動持分事業体の仕組みへの第三者投資家の関与の程度、第三者投資家の当初投資額、野村や第三者投資家が保有する変動持分事業体が発行した受益持分の金額と劣後構造といったさまざまな要素を考慮します。野村はこれまで、数多くの再証券化に出資しており、そのうちの多くの場合、事業体にとって最も重要な活動を決断するパワーを第三者の投資家と共有していることから、野村は主たる受益者ではないと判断してきました。しかしながら、第三者投資家の当初投資額が重要ではない等、投資家が変動持分事業体の仕組みに関与していないと判断される場合は、野村はそのような変動持分事業体を連結しております。

 次の表は、連結財務諸表上の連結変動持分事業体の資産および負債の金額、その区分を表しております。これらの資産および負債の大部分は事業会社の発行する転換社債型新株予約権付社債やモーゲージ、モーゲージ担保証券を証券化するための特別目的事業体に関するものであります。なお、連結変動持分事業体の資産はその債権者に対する支払義務の履行にのみ使用され、連結変動持分事業体の債権者は、通常、野村に対して変動持分事業体の所有する資産を超過する遡及権を有しておりません。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

連結貸借対照表上の変動持分事業体の資産

 

 

 

現金および現金同等物

23

 

73

トレーディング資産

 

 

 

株式関連商品

491

 

539

債券関連商品

491

 

613

モーゲージ関連商品

27

 

94

デリバティブ取引

0

 

1

プライベートエクイティ・デット投資

35

 

49

建物、土地、器具備品および設備

49

 

15

その他

78

 

84

合計

1,194

 

1,468

 

 

 

 

連結貸借対照表上の変動持分事業体の負債

 

 

 

トレーディング負債

 

 

 

デリバティブ取引

0

 

0

借入

 

 

 

短期借入

94

 

220

長期借入

793

 

886

その他

5

 

6

合計

892

 

1,112

 

 野村は四半期毎に変動持分事業体との関与を見直し、最新の資料および野村や他社が保有する変動持分事業体の持分の変化の影響を評価しております。

 野村が主たる受益者ではない場合でも変動持分事業体に対し変動持分を保有することがあります。そのような変動持分事業体に対し、野村が保有する変動持分には、商業用および居住用不動産を担保とした証券化やストラクチャード・ファイナンスに関連した優先債、劣後債、残余持分、エクイティ持分、主に高利回りのレバレッジド・ローンや格付の低いローン等を購入するために設立された変動持分事業体に対するエクイティ持分、変動持分事業体を利用した航空機のオペレーティング・リースの取引に関する残余受益権、また事業会社の取得に関わる変動持分事業体への貸付や投資が含まれます。

 

 次の表は非連結の変動持分事業体に対する変動持分の金額と区分、および最大損失のエクスポージャーを表しております。なお、最大損失のエクスポージャーは、不利な環境変化から実際に発生すると見積もられる損失額を表したものでも、その損失額を減少させる効果のある経済的ヘッジ取引を反映したものでもありません。変動持分事業体に対する野村の関与にかかわるリスクは帳簿価額、以下に記載されておりますコミットメントの未実行残高および債務保証の金額に限定されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

連結貸借対照表上

の変動持分

 

最大損失のエクスポージャー

 

連結貸借対照表上

の変動持分

 

最大損失のエクスポージャー

資産

 

負債

 

 

資産

 

負債

 

トレーディング資産および負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式関連商品

18

 

 

18

 

26

 

 

26

債券関連商品

64

 

 

64

 

83

 

 

83

モーゲージ関連商品

3,376

 

 

3,376

 

2,996

 

 

2,996

受益証券等

164

 

 

164

 

147

 

 

147

プライベートエクイティ・デット投資

21

 

 

21

 

23

 

 

23

貸付金

936

 

 

936

 

1,512

 

 

1,512

その他

3

 

 

3

 

22

 

 

22

貸出コミットメント、その他債務保証

 

 

196

 

 

 

224

合計

4,582

 

 

4,778

 

4,809

 

 

5,033

 

 第三者および野村が組成した変動持分事業体に提供した一定のレポ契約による資金調達取引は含んでおりません。

 

7 金融債権:

 通常の営業活動の中で野村は、顧客に対して主に貸付契約、受取債権、貸出コミットメントおよび売戻条件付買入有価証券取引や有価証券借入取引といった担保付契約の形で融資を行っております。これらの金融債権は野村の連結貸借対照表において公正価値あるいは償却原価にて資産として認識されており、要求払いまたは将来の確定日もしくは特定できる決済日に資金を受け取る契約上の権利をもたらすものです。

 

 償却原価法で測定される金融債権の帳簿価額は、編纂書326「金融商品-信用損失」(以下「編纂書326」)において定義された現在予想信用損失引当金に応じて調整されます。認識された金融商品に対する現在予想信用損失引当金は連結貸借対照表上の貸倒引当金に計上しております。

 

担保付契約

 担保付契約は、連結貸借対照表上、売戻条件付買入有価証券に計上される売戻条件付買入有価証券取引および借入有価証券担保金に計上される有価証券借入取引から構成されており、この中には現先レポ取引が含まれております。売戻条件付買入有価証券取引および有価証券貸借取引は、主に国債あるいは政府系機関債を顧客との間において売戻条件付で購入する、または現金および非現金担保付で借り入れる取引です。野村は、原資産である有価証券の価値を関連する受取債権(未収利息を含みます)とともに日々把握し、適宜追加担保の徴求または返還を行っております。売戻条件付買入有価証券取引は、公正価値オプションを適用しているものを除いて、通常買受金額に未収利息を加味した金額で連結貸借対照表に計上されております。有価証券借入取引は、通常現金担保付の取引であり、差入担保の金額が連結貸借対照表に計上されております。担保要件および担保水準の継続的な監視に基づく編纂書326で認められている実務上の簡便法を適用あるいは金融商品の予想残存期間が短いことから、現在予想信用損失引当金は一般的に重要ではありません。

これらの金融商品については「注記5 担保付取引」をご参照ください。

 

貸付金

 野村が有する貸付金は、主に銀行業務貸付金、有担保短期顧客貸付金、インターバンク短期金融市場貸付金、および企業向貸付金から構成されております。

 

 銀行業務貸付金は、主に野村信託銀行株式会社によって実行された、個人向けおよび商業向けの有担保および無担保の伝統的な貸付金です。不動産ないしは有価証券により担保されている個人向けおよび商業向けの貸付金に対して、野村は担保価値が下落するリスクを負うことになります。銀行業務貸付金には、関係を維持する目的で投資銀行業務の取引先に対して提供する無担保の商業向け貸付金も含まれます。通常、投資銀行業務の一環として提供している無担保の商業向け貸付金については相手先の信用力が高いことがほとんどですが、野村は相手先の債務不履行リスクを負うことになります。保証付き貸付金については、保証人により保証が履行されないリスクを負うことになります。

 

 有担保短期顧客貸付金は、野村の営業部門(2024年4月1日付けで、ビジネスの実態に合わせて「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称いたしました。)が提供している証券仲介業務に関連した顧客に対する貸付金です。このような貸付金は顧客が有価証券を購入するための資金として提供しております。取引の開始にあたっては一定の委託保証金(担保適格有価証券または現金)の差入れが必要であり、また購入有価証券を取引期間中担保として預かっております。さらに当該有価証券の一定以上の公正価値の下落にあたっては、貸付金に対して担保価値が特定の割合を維持するように適宜委託保証金の追加差入れを徴求することができ、当該顧客は、継続的に担保を補充することを要求かつ合理的に期待されています。そのため、有担保短期顧客貸付金に対する現在予想信用損失引当金は重要ではありません。

 

 インターバンク短期金融市場貸付金は、短資会社を経由する短期(翌日および日中決済)取引が行われるコール市場において実行される、金融機関に対する貸付金です。コール市場の参加者は特定の金融機関に限定されており、かつこれらの貸付金は翌日決済またはきわめて期間が短いものであるため、インターバンク短期金融市場貸付金に対する現在予想信用損失引当金は重要ではありません。

 

 企業向貸付金は、銀行業務貸付金を除く、主に法人顧客に対する商業向け貸付金です。企業向貸付金には、不動産または有価証券により担保されている有担保貸付金と、関係を維持する目的で投資銀行業務の取引先に対して提供する無担保の商業向け貸付金が含まれます。これらの貸付金に対して、野村は上記の銀行業務貸付金に含まれる、商業向け貸付金によって生じるリスクと同様のリスクを負うことになります。

 

 連結貸借対照表上、貸付金または関連会社に対する投資および貸付金に計上されている貸付金の種類別残高は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

償却原価

 

公正価値(1)

 

合計

貸付金

 

 

 

 

 

銀行業務貸付金

802,595

 

 

802,595

有担保短期顧客貸付金

457,273

 

 

457,273

インターバンク短期金融市場貸付金

 

 

企業向貸付金

1,103,869

 

1,650,115

 

2,753,984

貸付金合計

2,363,737

 

1,650,115

 

4,013,852

 

 

 

 

 

 

関連会社に対する貸付金

4,000

 

 

4,000

合計

2,367,737

 

1,650,115

 

4,017,852

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

 

償却原価

 

公正価値(1)

 

合計

貸付金

 

 

 

 

 

銀行業務貸付金

915,962

 

 

915,962

有担保短期顧客貸付金

608,332

 

 

608,332

インターバンク短期金融市場貸付金

 

 

企業向貸付金

1,870,316

 

2,074,585

 

3,944,901

貸付金合計

3,394,610

 

2,074,585

 

5,469,195

 

 

 

 

 

 

関連会社に対する貸付金

8,066

 

1,514

 

9,580

合計

3,402,676

 

2,076,099

 

5,478,775

(1)公正価値オプションを選択した貸付金および貸出コミットメントであります。

 

 2023年3月期において、貸付金の購入金額および売却金額は重要な金額ではありません。また、同期間において、トレーディング資産に組み替えられた貸付金およびトレーディング資産から組み入れられた貸付金は重要な金額ではありません。

 

 2024年3月期において、貸付金の購入金額および売却金額は重要な金額ではありません。また、同期間において、トレーディング資産に組み替えられた貸付金およびトレーディング資産から組み入れられた貸付金は重要な金額ではありません。

 

 償却原価により計上されている貸付金に関する繰延貸出手数料、繰延貸出費用、未償却プレミアムおよび未償却ディスカウントの純額は2023年3月31日現在および2024年3月31日現在において重要ではありませんでした。

 

現在予想信用損失引当金

 野村は、回収見込みがある金額を除き、継続的に公正価値評価されない金融債権を含む以下の種類の金融商品について、現在予想信用損失減損モデル(CECL減損モデル)を使用して現在予想信用損失に対する引当金を設定しております。

 

 ・貸付金

 ・コミットメントライン未実行残高およびその他の貸借対照表に計上されていない金融商品

 ・現金預金

 ・リバース・レポ取引や証券貸借取引などの担保付契約

 ・顧客契約資産および債権

 ・その他の債権(信用取引未収金、保証金、中央清算機関へのデフォルト拠出金、再保険金、ファイナンス・リースへの純投資を含む)

 個別の金融商品または金融商品のポートフォリオについての現在予想信用損失は、当該金融商品の予想残存期間にわたる予想信用損失に基づき、報告日において測定され、過去の事象、現在の状況および将来の予測に関する情報を含む情報を考慮しています。将来の予測については今後3年間にわたる複数のシナリオを加重平均しており、それらへの重要なマクロ経済インプットは、GDPおよびクレジット・スプレッドを含んでおります。損失のリスクは、そのリスクがわずかである場合も考慮されております。野村は入手可能な最善の情報に基づいて現在予想信用損失の引当金の見積もりを行っていますが、経済環境の変化または実際の結果と当初の仮定との差異を考慮して、将来の引当金の調整が必要となる場合があります。

 

 野村は、予想信用損失の測定に用いられる金融商品の償却原価から未収利息を控除しております。2023年3月31日現在における未収利息の金額は重要ではありません。2024年3月31日現在における未収利息の金額は13,653百万円です。

 

 CECL減損モデルに準拠した現在予想信用損失引当金を決定するにあたり野村が使用する方法は、主に金融商品の性質や編纂書326で認められている実務上の簡便法が適用されているかどうかに依拠しております。

 

 CECL減損モデルの対象となる金融商品は、野村が貸出金を回収不能と判断し、将来の実質的なキャッシュ・フローを回収する合理的な見込みがなく、未回収の元本および利息を回収する現実的な手段がすべて尽くされた場合に償却されます。

 

 以下の表は、2024年3月期におけるCECL減損モデルの対象となる重要な金融商品の種類ごとに使用されている方法論を要約したものであり、現在予想信用損失の測定に影響を与える前提条件を示しております。

金融商品

現在予想信用損失の算定方法

貸付金、コミットメントライン契約、その他の貸借対照表に計上されない金融商品および特定の預金

・リスク部門が開発した完全損失率モデル

 

・デフォルト確率(PD)、デフォルト時損失率(LGD)、デフォルト時エクスポージャー(EAD)の各入力に基づいて予想信用損失を測定しております。

 

・PDインプットには、内部リスク管理および自己資本の目的のために野村が使用している将来予想のシナリオが含まれております。

 

・合理的なサポート可能な予測ができない期間には、即時復帰法が使用されます。

 

・債務不履行に陥った金融商品、または債務不履行の可能性のある金融商品については、割引キャッシュ・フロー分析を用いて予想信用損失を測定しております。

 

・金融商品が担保に依存している場合には担保の公正価値の不足に基づいて予想信用損失を測定しております。

 

担保付契約、有担保短期顧客貸付金およびプライム・ブローカレッジ貸付金

・リバース・レポ取引、有担保短期顧客貸付金およびプライム・ブローカレッジ貸付金においては、頻繁な証拠金が要求され、カウンターパーティが証拠金を補充する能力を有するため、編纂書326で許容される実務上の簡便法により予想信用損失はリバース・レポ取引もしくはマージン・ローンの帳簿価額と当該担保の公正価額との差額に基づいております。

 

・有価証券貸借取引は、一般的に非常に短い予想残存期間かつ担保保証されるため、過去の経験および一貫したモニタリングに基づき予想信用損失が一般的に重要でないと質的に判断されます。

 

顧客契約資産および債権

・予想信用損失は、通常、過去の経験、現在の経済状況、顧客の支払能力に関する特定の情報に基づく帳簿価額に損失率が適用される経年分析に基づいております。

 

 

 次の表は、編纂書326で定義されたCECL減損モデルを使用して算定された、2023年3月期および2024年3月期における現在予想信用損失引当金の推移を示しております。業者との取引における決済不履行にともなって貸付金以外の債権に対する現在予想信用損失引当金を繰入れたことにより、2024年3月31日現在の現在予想信用損失引当金は増加しております。

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

貸付金に対する現在予想信用損失引当金

 

貸付金以外の

債権に対する

現在予想信用損失引当金(1)

 

合計

 

銀行業務

貸付金

 

有担保

短期顧客

貸付金

 

企業向

貸付金

 

小計

 

 

期首残高

2,434

 

 

62,353

 

64,787

 

1,559

 

66,346

繰入

672

 

 

898

 

1,570

 

4

 

1,574

貸倒償却(3)

△1,523

 

 

△61,604

 

△63,127

 

 

△63,127

その他(4)(5)

△457

 

 

1,283

 

826

 

213

 

1,039

期末残高

1,126

 

 

2,930

 

4,056

 

1,776

 

5,832

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

 

貸付金に対する現在予想信用損失引当金

 

貸付金以外の

債権に対する

現在予想信用損失引当金(1)

 

合計

 

銀行業務

貸付金

 

有担保

短期顧客

貸付金

 

企業向

貸付金

 

小計

 

 

期首残高

1,126

 

 

2,930

 

4,056

 

1,776

 

5,832

繰入(2)

△341

 

 

371

 

30

 

13,608

 

13,638

貸倒償却

 

 

△1,908

 

△1,908

 

 

△1,908

その他(5)

 

 

238

 

238

 

247

 

485

期末残高

785

 

 

1,631

 

2,416

 

15,631

 

18,047

(1)担保付契約、顧客契約資産および債権、およびその他の受取債権に対して認識された引当金の金額を含んでおります。

(2)貸付金以外の債権に対する引当金に、業者との取引における決済不履行にともなう繰入の影響額を含んでおります。

(3)米国顧客への貸付金に対する引当金のうち、59,025百万円の貸倒償却の影響を含んでおります。

(4)米国顧客への貸付金に対する引当金のうち、2023年3月期に2,071百万円の取崩しの影響を含んでおります。

(5)回収額および外国為替の変動による影響額を含んでおります。2023年3月期および2024年3月期の回収額は重要な金額ではありません。

 

財政的な困難にある債務者に対する貸付金の条件変更

 通常の営業活動の中で野村は、トレーディング目的以外で保有する貸付金を、債務者の財政難、市場環境の変化ないしは取引維持などの理由により、条件変更を行う場合があります。野村は注記1に記載のとおり、2023年4月1日からASU第2022-02号「金融商品-信用損失:不良債権のリストラクチャリングおよび年度別開示」を適用しました。当該ASUの適用により、不良債権のリストラクチャリング(以下「TDR」)の認識と測定についての規定および関連する開示要件が廃止され、財政的な困難にある債務者に対する貸付金の条件変更について財政的効果と条件変更後の債務履行状況に関する開示が新たに強化されました。

 

 これらの条件変更は債務者の財政難に関連する経済的または法的な理由により、債権者である野村が債務者に対して、当初の契約条件では要求されていなかった金利引下げ、期間延長、軽微でない支払遅延および元本免除を含めた譲歩を与えた場合に発生します。なお、譲歩は上述のものを含みますがこれらに限定されません。

 

 資産による貸付金の全額または一部の弁済ではなく、単なる条件変更によって財政的な困難にある債務者に対する貸付金の条件変更に該当することとなった貸付金に対する予想信用損失は、通常、割引キャッシュ・フロー分析を用いて決定されております。財政的な困難にある債務者に対する貸付金の条件変更に際し、貸付金の全額または一部の弁済として受け取った資産は公正価値で認識されます。

 

 2024年3月期において発生した財政的な困難にある債務者に対する貸付金の条件変更は重要な金額ではありません。

 

 2023年4月1日より前は、債務者が財政的な困難にあると認められ、野村が通常は考慮しないであろう財務上の譲歩を与えた、あるいは譲歩を与えると想定された条件変更はTDRとして会計処理され、報告されています。

 

 2023年3月期においてTDRに分類された条件変更は重要な金額ではありません。

 

利息計上中止ならびに延滞貸付金

 利息が回収不能とみなされた場合、貸付金の利息計上を中止しております。借り手が経営難に陥っていると判断された場合、または利息や元本の支払いが90日以上遅延している場合、利息は回収不能としております。

 貸付金の利息計上を中止している場合、未収利息の戻しが行われ追加の利息計上は認められません。受取利息は、現金主義に基づいて支払いを受けた時点で認識されます。

 

 利息計上の再開は、原則、貸付金が契約条件に則って履行されるようになったと認められる場合、すなわち延滞した元利金が全額返済された場合に限り行われます。貸付金の支払いが契約条件に則って履行されていない場合でも、元利金を合理的な期間内に全額回収できると合理的に見込める場合、または債務者が一定の期間継続して返済を行っている場合など特別な状況下においては利息の計上を再開する場合があります。

 

 2023年3月31日現在で利息計上を中止している貸付金は16,417百万円であり、主に有担保企業向貸付金であります。利息計上を中止している企業向貸付金には担保の公正価値が貸付金額を超過していることから引当金を計上していない貸付金14,233百万円を含んでいます。未収利息の計上が継続しており、90日以上の延滞が発生している貸付金の残高は重要な金額ではありません。

 

 2024年3月31日現在で利息計上を中止している貸付金の残高は重要な金額ではありません。未収利息の計上が継続しており、90日以上の延滞が発生している貸付金の残高は重要な金額ではありません。

 

信用の質の指標

 野村は、債務者の信用力の低下または破綻等による債権の価値の下落や債務不履行といった信用リスクに晒されておりますが、貸付等に関する信用リスク管理は、内部格付に基づく与信管理を基礎として、融資実行時の個別案件ごとの綿密な審査と融資実行後の債務者の信用力の継続的なモニタリングを通じて行われております。

 

 次の表は、公正価値で評価されたものを除く貸付金について、野村の内部格付またはそれに類する子会社の審査基準および年限別の区分により貸付金を種類別に表示しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2023年

 

2022年

 

2021年

 

2020年

 

2019年

 

2018年

以前

 

リボルビング

 

合計

有担保銀行業務貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

104,543

 

152,888

 

5,960

 

8,050

 

14,817

 

16,047

 

 

302,305

  BB-CCC

117,680

 

199,696

 

 

1,642

 

415

 

2,395

 

 

321,828

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他(1)

55,842

 

45,404

 

 

 

 

 

 

101,246

有担保銀行業務貸付金合計

278,065

 

397,988

 

5,960

 

9,692

 

15,232

 

18,442

 

 

725,379

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無担保銀行業務貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

4,673

 

9,297

 

9,169

 

9,513

 

11,036

 

25,806

 

 

69,494

  BB-CCC

 

 

1,000

 

3,370

 

1,692

 

1,660

 

 

7,722

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他

 

 

 

 

 

 

 

無担保銀行業務貸付金合計

4,673

 

9,297

 

10,169

 

12,883

 

12,728

 

27,466

 

 

77,216

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2023年

 

2022年

 

2021年

 

2020年

 

2019年

 

2018年

以前

 

リボルビング

 

合計

有担保短期顧客貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

 

 

 

 

 

 

 

  BB-CCC

 

 

 

 

 

 

 

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他(1)

217,767

 

2,081

 

 

 

 

 

237,425

 

457,273

有担保短期顧客貸付金合計

217,767

 

2,081

 

 

 

 

 

237,425

 

457,273

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有担保企業向貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

9,132

 

433,330

 

184,579

 

169,393

 

20,423

 

 

10,392

 

827,249

  BB-CCC

598

 

8,242

 

7,322

 

14,954

 

23,811

 

20,791

 

69,260

 

144,978

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他(1)

1,550

 

458

 

 

 

2

 

 

119

 

2,129

有担保企業向貸付金合計

11,280

 

442,030

 

191,901

 

184,347

 

44,236

 

20,791

 

79,771

 

974,356

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無担保企業向貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

 

 

 

 

 

 

 

  BB-CCC

 

 

 

 

 

 

 

  CC-D

 

 

 

 

2,184

 

 

 

2,184

  その他

200

 

3

 

472

 

166

 

 

126,488

 

 

127,329

無担保企業向貸付金合計

200

 

3

 

472

 

166

 

2,184

 

126,488

 

 

129,513

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連会社に対する貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

 

3,000

 

1,000

 

 

 

 

 

4,000

  BB-CCC

 

 

 

 

 

 

 

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他

 

 

 

 

 

 

 

関連会社に対する貸付金合計

 

3,000

 

1,000

 

 

 

 

 

4,000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合計

511,985

 

854,399

 

209,502

 

207,088

 

74,380

 

193,187

 

317,196

 

2,367,737

 

(1)主に所定の担保率が維持されている貸付金であります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

 

2024年

 

2023年

 

2022年

 

2021年

 

2020年

 

2019年

以前

 

リボルビング

 

合計

有担保銀行業務貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

122,946

 

213,785

 

12,000

 

5,660

 

2,650

 

27,115

 

 

384,156

  BB-CCC

108,558

 

215,226

 

5,086

 

 

995

 

283

 

 

330,148

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他(1)

 

139,104

 

 

 

 

 

 

139,104

有担保銀行業務貸付金合計

231,504

 

568,115

 

17,086

 

5,660

 

3,645

 

27,398

 

 

853,408

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無担保銀行業務貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

4,075

 

9,904

 

2,844

 

8,449

 

6,352

 

25,099

 

 

56,723

  BB-CCC

900

 

756

 

 

1,000

 

875

 

2,300

 

 

5,831

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他

 

 

 

 

 

 

 

無担保銀行業務貸付金合計

4,975

 

10,660

 

2,844

 

9,449

 

7,227

 

27,399

 

 

62,554

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

 

2024年

 

2023年

 

2022年

 

2021年

 

2020年

 

2019年

以前

 

リボルビング

 

合計

有担保短期顧客貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

 

 

 

 

 

 

 

  BB-CCC

 

 

 

 

 

 

 

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他(1)

285,209

 

19,038

 

 

 

 

 

304,085

 

608,332

有担保短期顧客貸付金合計

285,209

 

19,038

 

 

 

 

 

304,085

 

608,332

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有担保企業向貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

32,362

 

217,440

 

177,557

 

113,559

 

84,442

 

103,995

 

685,608

 

1,414,963

  BB-CCC

 

25,759

 

17,018

 

12,591

 

32,187

 

8,204

 

161,371

 

257,130

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他(1)

8,203

 

302

 

 

 

 

 

252

 

8,757

有担保企業向貸付金合計

40,565

 

243,501

 

194,575

 

126,150

 

116,629

 

112,199

 

847,231

 

1,680,850

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無担保企業向貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

 

 

 

 

 

 

 

  BB-CCC

36,329

 

8,376

 

 

 

 

 

 

44,705

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他

150

 

122

 

 

537

 

 

143,952

 

 

144,761

無担保企業向貸付金合計

36,479

 

8,498

 

 

537

 

 

143,952

 

 

189,466

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連会社に対する貸付金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  AAA-BBB

 

4,066

 

3,000

 

1,000

 

 

 

 

8,066

  BB-CCC

 

 

 

 

 

 

 

  CC-D

 

 

 

 

 

 

 

  その他

 

 

 

 

 

 

 

関連会社に対する貸付金合計

 

4,066

 

3,000

 

1,000

 

 

 

 

8,066

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合計

598,732

 

853,878

 

217,505

 

142,796

 

127,501

 

310,948

 

1,151,316

 

3,402,676

 

(1)主に所定の担保率が維持されている貸付金であります。

  (2)2024年3月期における貸付金の貸倒償却額は重要な金額ではありません。

 

 

 野村で使用する内部格付の定義は以下の表に記載のとおりです。

 

格付

レンジ

定 義

AAA

最上位の信用力。債務者又は案件の債務を履行する能力は極めて高い。「AAA格」はクレジット部署が付与する最上位の格付である。デフォルト確率は極めて低い。

AA

非常に高い信用力。債務者又は案件の債務を履行する能力は非常に高い。デフォルト確率は非常に低いが、「AAA格」のデフォルト確率を上回る。

A

高い信用力。債務者又は案件の債務を履行する能力は高いが、上位の格付に比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい。デフォルト確率は低いが、「AA格」のデフォルト確率を上回る。

BBB

良好な信用力。債務者又は案件の債務を履行する能力は適切であるが、上位の格付に比べ、事業環境や経済状況の悪化によって、債務履行能力が低下する可能性がより高い。デフォルト確率は中位にあるが、「A格」のデフォルト確率を上回る。

BB

投機的な信用力。債務者又は案件は、より低い格付ほど短期的には脆弱ではないが、事業環境、財務状況、又は経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。デフォルト確率は中位から高めで、「BBB格」のデフォルト確率を上回る。

B

極めて投機的な信用力。債務者又は案件は、「BB格」が付与される場合よりも脆弱である。現時点では債務を履行する能力を有しているが、事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれ易い。デフォルト確率は高く、「BB格」のデフォルト確率を上回る。

CCC

相当程度の信用リスク。債務者又は案件は、現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、及び経済状況に依存している。デフォルト確率は非常に高く、「B格」のデフォルト確率を上回る。

CC

債務者は、財務破綻の懸念があるか債務の再編状況にある。破綻懸念や支払遅延により、取引完了通知が送られたか取引終了手続が開始されている。また債務弁済余力はあるが、支払いを3か月以上延滞している債務者を含む。債務者の事業は継続している。

C

債務者は、近い将来、破綻申請(米国Chapter 11又は同等の申請)が見込まれる。劇的な改善事項が無い限り、債務者の事業継続は困難な状況にある。

D

債務者は、破産・会社更生・民事再生等の手続きの開始、管財人の選任、その他清算、事業停止に相当する事実の発生、又はこれらに相当する状態。「D」が付与される場合には、30%以上の損失を伴う資産(ローン)売却、債務者が外部格付業者から「D」を付与された時を含む。

 

 野村は、債務者および債権に関する財務情報ならびにその他の情報に基づき、最低年1回、内部格付の見直しを行っております。また、リスクが高いまたは問題がある債務者については、より頻繁に内部格付の見直しを行うとともに、債務者の信用力に関する重大な事実が明らかになった際には、すみやかに内部格付の見直しを行うこととしております。

 

8 リース:

貸主側

 野村は、主にオペレーティング・リースにより、国内外で不動産および航空機の賃貸を行っております。賃貸にかかる資産については、土地を除き取得価額から減価償却累計額を控除した金額で、また、土地については取得価額で、連結貸借対照表上のその他の資産-建物、土地、器具備品および設備に計上しております。

 

 次の表は、オペレーティング・リースにより賃貸している資産を種類別に表示しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

 

取得価額

 

減価償却

累計額

 

帳簿価額

(純額)

 

取得価額

 

減価償却

累計額

 

帳簿価額

(純額)

不動産(1)

21

 

 

21

 

21

 

 

21

航空機

49,472

 

△741

 

48,731

 

13,259

 

△184

 

13,075

合計

49,493

 

△741

 

48,752

 

13,280

 

△184

 

13,096

(1)不動産の取得価格、減価償却累計額、帳簿価額(純額)の金額は、自社利用分を含んでおります。

 

 オペレーティング・リースにかかる資産の受取リース料として2023年3月期および2024年3月期にそれぞれ1,795百万円、2,794百万円を計上しております。これらは、連結損益計算書の収益-その他に計上しております。

 

 2024年3月31日現在における解約不能オペレーティング・リースにかかる将来受け取る最低受取リース料の金額は、受取年限別に集計すると、以下のとおりであります。ファイナンス・リースにかかる受取リース料は重要な金額ではありませんでした。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

 

最低受取リース料

受取年限

 

1年以内

1,198

1~2年

1,198

2~3年

1,198

3~4年

1,198

4~5年

1,198

5年超

6,876

合計

12,866

 

借主側

 野村は、国内外でオフィス、特定の従業員用住宅、器具備品および情報・通信関連資産を通常業務の範囲内で主にオペレーティング・リースにより貸借しております。また、野村は、不動産および器具備品をオペレーティング・リースにより転貸借しております。野村のオペレーティング・リース使用権資産は、2023年3月31日および2024年3月31日現在でそれぞれ170,993百万円、166,730百万円となっております。ファイナンス・リース資産総額は、2023年3月31日および2024年3月31日現在で重要な金額ではありませんでした。これらは、連結貸借対照表上のその他の資産-建物、土地、器具備品および設備に計上しております。

 

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期における野村が借手として計上したリース収益およびリース費用の金額を示しております。2023年3月期および2024年3月期のファイナンス・リース費用、短期リース費用、変動リース料およびセール・アンド・リースバック取引における純利益は重要な金額ではありませんでした。

 

 

 

(単位:百万円)

 

 2023年3月期

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 

 2024年3月期

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

リース費用

 

 

 

オペレーティング・リース費用

47,268

 

48,125

 

 

 

 

その他収入と費用

 

 

 

転貸総収入

1,658

 

1,997

 

リース取引によるキャッシュ・フロー

 オペレーティング・リースにかかる支払リース料は、営業活動によるキャッシュ・フローに分類されます。リース開始日に認識される使用権資産およびリース負債は非現金取引に分類されます。

 

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期における支払リース料によるキャッシュ・フローおよび新規に認識した使用権資産およびリース負債を示しております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

 2023年3月期

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 

 2024年3月期

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

- オペレーティング・リース

44,689

 

49,339

新規オペレーティング・リースにおいて

認識された使用権資産

36,032

 

29,374

 

支払年限別リース負債

 次の表は、2024年3月31日現在におけるオペレーティング・リースにかかる割引前の年限別将来支払リース料を示しております。割引前合計支払リース料から割引金額を控除した金額が、野村の連結財務諸表で報告されるリース負債の金額と一致しております。2024年3月31日現在におけるファイナンス・リース負債総額は、重要な金額ではありませんでした。これらのリース負債は、連結貸借対照表上のその他の負債に計上しております。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

 

オペレーティング・

リース

支払年限

 

1年以内

47,123

1~2年

38,059

2~3年

27,765

3~4年

23,404

4~5年

21,226

5年超

42,877

割引前合計支払リース料

200,454

控除:割引金額

△10,640

連結財務諸表で報告されるリース負債

189,814

 

 次の表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在における野村のリース負債測定に用いられた割引率および残存リース期間の加重平均値を示しております。

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

 

オペレーティング・リース

 

オペレーティング・リース

加重平均割引率

1.5%

 

2.9%

加重平均残存リース期間

6.5

 

6.9

 

 

9 その他の資産-建物、土地、器具備品および設備ならびにその他 / その他の負債:

 

建物、土地、器具備品および設備

 

 2023年3月31日および2024年3月31日の建物、土地、器具備品および設備の内訳は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

土地

38,752

 

42,914

建物

56,802

 

54,657

器具備品および設備

71,981

 

38,110

ソフトウエア

117,780

 

130,280

建設仮勘定

8,008

 

16,094

オペレーティング・リース使用権資産

170,993

 

166,730

合計

464,316

 

448,785

 

 償却性資産にかかる減価償却費は、金融費用以外の費用-情報・通信関連費用に2023年3月期は48,893百万円、2024年3月期は47,244百万円がそれぞれ含まれており、また、金融費用以外の費用-不動産関係費に2023年3月期は12,531百万円、2024年3月期は14,096百万円がそれぞれ含まれております。

 

 

その他の資産-その他およびその他の負債

 

 連結貸借対照表上のその他の資産-その他、およびその他の負債には、以下のものが含まれております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

その他の資産-その他:

 

 

 

受入担保有価証券

268,591

 

332,363

のれんおよびその他の無形資産

36,194

 

38,387

繰延税金資産(純額) (1)

22,645

 

24,254

営業目的以外の投資持分証券 (2)

249,865

 

299,638

差入保証金 (4)

298,705

 

316,570

前払費用

19,727

 

22,811

その他

118,980

 

121,598

合計

1,014,707

 

1,155,621

その他の負債:

 

 

 

受入担保有価証券返還義務

268,591

 

332,363

未払法人所得税

42,254

 

81,585

繰延税金負債(純額) (1)

93,834

 

85,301

その他の未払費用および引当金 (3)

479,491

 

596,684

オペレーティング・リース負債

193,883

 

189,814

その他

97,468

 

128,799

合計

1,175,521

 

1,414,546

(注)当期の開示様式に合わせて過年度の数値を組み替えて表示しております。

 

(1)繰延税金資産 (純額) は、繰延税金資産を特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺しております。繰延税金負債 (純額) は、繰延税金負債を特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺しております。詳細については、「注記14 法人所得税等」をご参照ください。

(2)その他の資産-その他には、トレーディングおよび営業目的以外の投資持分証券が含まれております。これらの投資は、上場および非上場の投資持分証券で構成され、2023年3月期にはそれぞれ13,174百万円および236,691百万円、2024年3月期にはそれぞれ6,410百万円および293,228百万円が含まれております。これらの証券は、連結貸借対照表上、原則として公正価値で評価しており、公正価値の変動は、連結損益計算書上、収益-その他で認識しております。また、2023年3月期および2024年3月期において、容易に公正価値を算定できない持分証券が65,365百万円含まれております。

(3)未解決の訴訟や法的手続きのうち、損失が生じる蓋然性が高く、かつそのような損失の金額を見積もることが合理的に可能であるものについて認識した負債が2023年3月期および2024年3月期においてそれぞれ42,459百万円および21,177百万円含まれております。詳細は「注記19 コミットメント、偶発事象および債務保証」をご参照ください。

(4)差入保証金には、日本証券クリアリング機構の清算基金等が含まれております。

 

 

のれん

 のれんは、企業結合にともない、被取得企業の買収価額と買収時の被取得企業の識別可能な純資産の公正価値の差額として認識されます。のれんは償却せず、各事業年度の第4四半期または特定の状況がある場合、例えば不利な方向に経営環境が変動した場合等にはより高い頻度で減損判定を行います。

 のれんの減損テストは、その性質上主観的にならざるを得ず、レポーティング・ユニットの公正価値が帳簿価額を超過するか否かの定量的な判定には経営者の判断をともないます。

 のれんの減損テストは毎年第4四半期に行われます。2023年3月期および2024年3月期におけるレポーティング・ユニットの公正価値は帳簿価額を上回ると見込まれたことから減損損失は認識しておりません。

 

 連結貸借対照表上のその他の資産-その他に含まれるのれんの変動は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

期首残高

 

期中増減

 

期末残高

取得価額

 

減損累計額

 

帳簿価額

(純額)

 

取得

 

減損

 

その他(1)

 

取得価額

 

減損累計額

 

帳簿価額

(純額)

ホールセール

106,554

 

△92,814

 

13,740

 

2,289

 

 

1,191

 

110,034

 

△92,814

 

17,220

その他

667

 

 

667

 

 

 

△249

 

418

 

 

418

合計

107,221

 

△92,814

 

14,407

 

2,289

 

 

942

 

110,452

 

△92,814

 

17,638

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

期首残高

 

期中増減

 

期末残高

取得価額

 

減損累計額

 

帳簿価額

(純額)

 

取得

 

減損

 

その他(1)

 

取得価額

 

減損累計額

 

帳簿価額

(純額)

ホールセール

110,034

 

△92,814

 

17,220

 

 

△723

 

2,345

 

112,379

 

△93,537

 

18,842

その他

418

 

 

418

 

 

 

 

418

 

 

418

合計

110,452

 

△92,814

 

17,638

 

 

△723

 

2,345

 

112,797

 

△93,537

 

19,260

(1)為替換算による増減であります。

 

 

償却性無形資産

 2023年3月31日および2024年3月31日現在の償却性無形資産の内訳は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

取得価額

 

償却累計額

 

帳簿価額

(純額)

 

取得価額

 

償却累計額

 

帳簿価額

(純額)

顧客関連無形資産

74,550

 

△66,465

 

8,085

 

82,155

 

△75,237

 

6,918

その他

2,239

 

△1,836

 

403

 

3,275

 

△2,338

 

937

合計

76,789

 

△68,301

 

8,488

 

85,430

 

△77,575

 

7,855

 

 2023年3月期および2024年3月期の償却性無形資産の償却額はそれぞれ1,589百万円、2,479百万円です。また翌連結会計年度以降5年間の見積償却額は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

連結会計年度

2025年3月期

 

2026年3月期

 

2027年3月期

 

2028年3月期

 

2029年3月期

見積償却額

976

 

143

 

91

 

91

 

91

 

 のれんを除く非償却性無形資産の金額は、2023年3月31日現在10,068百万円、2024年3月31日現在11,272百万円であります。のれんを除く非償却性無形資産には主に商標権が含まれております。

 

 のれんを除く非償却性無形資産に対し減損テストを実施した結果、2023年3月期および2024年3月期におけるのれんを除く非償却性無形資産の公正価値は帳簿価額を上回ると判断したため減損損失は認識しておりません。

 

資産除去債務

 野村は賃借物件契約満了時における原状回復の法的債務を連結貸借対照表上のその他の負債-その他に計上しています。これらの資産除去債務は法的債務が発生した期に認識され、予測債務額の現在価値で測定されます。

 

 2023年3月期および2024年3月期の資産除去債務の変動は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

期首残高

14,240

 

14,196

当期に発生した債務

453

 

1,354

当期に決済した債務

△497

 

△38

期末残高

14,196

 

15,512

 

10 借入:

 野村の2023年3月31日現在および2024年3月31日現在の借入は、以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

短期借入(1):

 

 

 

コマーシャル・ペーパー

299,993

 

224,801

銀行借入金

176,708

 

81,692

その他

531,840

 

748,224

1,008,541

 

1,054,717

 

 

 

 

長期借入:

 

 

 

銀行およびその他の金融機関からの長期借入金(2)

3,502,383

 

4,074,720

社債発行残高(3)

 

 

 

固定金利債務:

 

 

 

日本円建

872,588

 

1,252,324

日本円建以外

3,042,649

 

4,116,627

変動金利債務:

 

 

 

日本円建

893,832

 

546,628

日本円建以外

409,160

 

571,108

インデックス/エクイティ・リンク債務:

 

 

 

日本円建

918,693

 

946,400

日本円建以外

346,292

 

418,622

 

6,483,214

 

7,851,709

小計

9,985,597

 

11,926,429

譲渡取消による担保付借入

413,613

 

525,686

10,399,210

 

12,452,115

(1)担保付借入(2023年3月31日現在97,481百万円、2024年3月31日現在144,920百万円)を含んでおります。

(2)担保付借入(2023年3月31日現在84,999百万円、2024年3月31日現在187,692百万円)を含んでおります。

(3)担保付借入(2023年3月31日現在742,267百万円、2024年3月31日現在903,662百万円)を含んでおります。

 

譲渡取消による担保付借入

 譲渡取消による担保付借入は、金融資産移転取引が編纂書860に基づく売却会計処理の要件を満たさず、当該取引が担保付資金調達として会計処理される場合に認識される負債であります。当該借入は、野村の資金調達を目的としたものではなく、金融資産により担保された金融商品を販売し利益を得るために行うトレーディングに関連したものであります。

 

 長期借入は、以下の内訳からなっております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

当社の借入債務残高

4,154,579

 

4,243,445

子会社の借入債務残高(当社が保証するもの)(1)

2,026,071

 

5,156,514

子会社の借入債務残高(当社が保証しないもの)(1)

4,218,560

 

3,052,156

10,399,210

 

12,452,115

(1)譲渡取消による担保付借入を含んでおります。

 

 2023年3月31日現在、長期借入の固定金利債務の満期の範囲は2023年~2067年、利率の範囲は0.00%~42.44%となっております。変動金利債務は一般にTIBOR、無担保コール翌日物金利(Tokyo Overnight Average rate)および担保付翌日物調達金利(Secured Overnight Financing Rate)を基準としており、返済期限の定めのない永久劣後特約付社債を除いた債務の満期の範囲は2023年~2061年、利率の範囲は0.00%~12.90%となっております。インデックス/エクイティ・リンク債務の満期の範囲は2023年~2053年、利率の範囲は0.00%~28.20%となっております。

 

 2024年3月31日現在、長期借入の固定金利債務の満期の範囲は2024年~2067年、利率の範囲は0.00%~59.67%となっております。変動金利債務は一般にTIBOR、無担保コール翌日物金利(Tokyo Overnight Average rate)および担保付翌日物調達金利(Secured Overnight Financing Rate)を基準としており、返済期限の定めのない永久劣後特約付社債を除いた債務の満期の範囲は2024年~2062年、利率の範囲は0.00%~13.18%となっております。インデックス/エクイティ・リンク債務の満期の範囲は2024年~2054年、利率の範囲は0.00%~26.00%となっております。

 

 特定の借入契約には、当該借入が借入人の選択により満期前の特定期日に償還可能である旨の条項が含まれており、また、エクイティあるいはその他の指数に連動する商品を含んでおります。

 

 野村は、金利および通貨リスクを管理するためにスワップ契約を締結しております。そうしたスワップ契約により、基本的に発行社債は無担保コール翌日物金利(Tokyo Overnight Average rate)および担保付翌日物調達金利(Secured Overnight Financing Rate)ベースの変動金利債務に変換されております。長期借入の帳簿価額は公正価値ヘッジを反映するための調整を含んでおります。

 

 借入の実効加重平均金利(一部のものについてはヘッジ効果考慮後)は、以下のとおりであります。

 

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

短期借入

1.23%

 

1.97%

長期借入

2.09%

 

3.09%

 固定金利債務

2.40%

 

3.73%

 変動金利債務

2.08%

 

2.90%

 インデックス/エクイティ・リンク債務

1.09%

 

1.05%

 

長期借入の満期年限別金額

 2024年3月31日現在の公正価値ヘッジに関連する調整および公正価値測定の対象となっている負債を含む長期借入の満期年限別金額は、以下のとおりであります。

 

(単位:百万円)

2025年3月期

1,146,494

2026年3月期

2,148,270

2027年3月期

1,225,988

2028年3月期

942,368

2029年3月期

1,322,863

2030年3月期以降

5,140,446

小計

11,926,429

譲渡取消による担保付借入

525,686

合計

12,452,115

 

借入ファシリティ

 2023年3月31日および2024年3月31日現在における野村の未使用借入枠はありません。

 

劣後借入

 劣後借入は、2023年3月31日現在414,500百万円、2024年3月31日現在414,500百万円であります。

 

11 1株当たり当期純利益:

 基本および希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、連結損益計算書に記載されております。基本1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は当社株主に帰属する当期純利益を期中加重平均株式数で割ることで求められます。希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、希薄化効果を有するすべての有価証券等につき、潜在的な普通株式が期中に割り当てられると仮定した調整が加えられた加重平均株式数を用いて、基本1株当たり当社株主に帰属する当期純利益と同様に求められます。加えて、当社株主に帰属する当期純利益について連結子会社および関連会社が発行する希薄化効果のある有価証券等を転換させたと仮定した場合の損益への影響を反映しております。

 

 基本および希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の計算に用いられた金額および株式数の調整計算は以下のとおりであります。

 

(単位:百万円)

(1株当たり情報単位:円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

基本-

 

 

 

当社株主に帰属する当期純利益

92,786

 

165,863

 

 

 

 

加重平均株式数

3,006,744,201

 

3,017,128,412

 

 

 

 

1株当たり当社株主に帰属する当期純利益

30.86

 

54.97

 

 

 

 

希薄化後-

 

 

 

当社株主に帰属する当期純利益

92,606

 

165,701

 

 

 

 

加重平均株式数

3,114,313,612

 

3,144,540,974

 

 

 

 

1株当たり当社株主に帰属する当期純利益

29.74

 

52.69

 

 2023年3月期および2024年3月期の当社株主に帰属する当期純利益に対する希薄化は、連結子会社および関連会社が発行するストック・オプションの行使を仮定した場合の当社に帰属する持分の減少により生じます。

 

 2023年3月期および2024年3月期の希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の計算に用いられる加重平均株式数は、新株予約権および譲渡制限株式ユニット(以下「RSU」)を発行する株式報酬制度による潜在株式数を考慮した結果増加しましたが、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益に与える影響は僅少です。

 

 2023年3月31日現在で7,147,000株および2024年3月31日現在で1,805,200株の普通株式を購入する権利を有する新株予約権は、逆希薄化効果を有しているため、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の計算から除いております。

 

決算日後に生じた事象

 当社は、2024年5月16日、RSUおよび業績連動型株式ユニット(以下「PSU」)を付与することを決議いたしました。詳細は、「注記13 繰延報酬制度」をご参照ください。

 

 

 

 

12 従業員給付制度:

 野村は、世界各地でさまざまな退職給付制度を提供しております。加えて、野村證券健康保険組合(以下「健保組合」)を通じて、特定の在籍する従業員および退職した従業員に対し医療給付を行っております。

 

確定給付型年金制度

 当社および国内会社の一部は、一定の受給資格を満たす従業員について、外部積立型の退職給付制度である退職年金制度を設けております。この制度からの給付は、勤続期間、退職時の年齢、従業員の選択等に基づき、年金あるいは一時金として行われております。給付額は就業規則に定められた役職、勤続期間、退職事由等に基づいて計算されております。上記年金制度に加えて、一部の国内会社は、非積立型の退職一時金制度を設けております。この制度のもとでは、原則として、勤続期間が2年以上の従業員に対し、退職時に一時金が支給されます。給付額は就業規則に定められた役職、勤続期間、退職事由等に基づいて計算されております。また退職年金制度の年金資産への拠出は、国内での基準を満たす額を毎年拠出していくという方針で行われております。2008年12月、国内会社の一部は、外部積立型の退職年金制度と非積立型の退職一時金制度につき変更を行い、キャッシュ・バランス・プラン型退職金を採用いたしました。キャッシュ・バランス・プラン型退職金におきましては、参加者はおのおの口座を与えられ、最新の給与と実勢利率により再評価された率に基づいて計算された金額が、その口座に加算されます。

 

 2020年4月、国内会社の一部は、退職給付制度を変更しました。外部積立型の確定給付型年金制度と非積立型の退職一時金制度は過去分を維持した上で閉鎖または廃止し、以後について確定拠出型年金制度とキャッシュ・バランス・プラン型退職金を採用いたしました。

 

 一部の海外子会社は、確定給付型制度を、一定の従業員に対し提供しております。2023年3月31日および2024年3月31日現在で、退職給付にかかる資産をそれぞれ5,795百万円、5,681百万円計上しております。

 

期間退職・年金費用

 国内会社における確定給付型の退職給付制度にかかる期間退職・年金費用(純額)の主な内訳は以下のとおりであります。なお野村は、国内会社の確定給付型年金制度においては3月31日を測定日としております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

勤務費用

6,398

 

6,028

利息費用

2,432

 

3,484

年金資産の期待収益

△5,968

 

△5,658

年金数理上の損失の償却

3,818

 

3,021

過去勤務費用の償却

△1,607

 

△1,603

期間退職・年金費用(純額)

5,073

 

5,272

 

 過去勤務費用の償却は、在籍する従業員の平均残存勤務期間にわたって定額法で行っております。また、予測給付債務と年金資産の公正価値のうちいずれか大きい金額の10%を超える年金数理上の損益は、在籍する従業員の平均残存勤務期間(13年)にわたって償却しております。

 

給付債務および制度の財政状況

 次の表は、国内会社の制度における予測給付債務および年金資産の公正価値の変動状況および財政状況の概要を示したものであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

および

2023年3月31日

 

2024年3月期

および

2024年3月31日

予測給付債務の変動:

 

 

 

予測給付債務期首残高

293,039

 

265,143

勤務費用

6,398

 

6,028

利息費用

2,432

 

3,484

年金数理上の損益

△22,749

 

△14,049

支払給付

△13,893

 

△15,156

連結範囲の異動等

△84

 

△11

予測給付債務期末残高

265,143

 

245,439

年金資産の変動:

 

 

 

年金資産の公正価値期首残高

231,461

 

219,462

年金資産運用収益

△2,416

 

10,219

事業主拠出

820

 

848

支払給付

△10,403

 

△10,660

年金資産の公正価値期末残高

219,462

 

219,869

制度の財政状況

△45,681

 

△25,570

連結貸借対照表で認識された金額

△45,681

 

△25,570

 

 国内会社の制度における累積給付債務は、2023年3月31日現在265,143百万円および2024年3月31日現在245,439百万円であります。

 

 2020年4月の退職給付制度の変更により、確定拠出型年金制度とキャッシュ・バランス・プランに移行しました。過去分を残して閉鎖した外部積立型の退職年金制度については、原則として以後の拠出は行わず、過去積立分の範囲で維持・運営します。廃止した退職一時金制度については、制度移行日時点で退職した場合に支給されるべき退職一時金相当額をキャッシュ・バランス・プラン型退職金に組替えました。

 

 国内会社の制度における予測給付債務および累積給付債務が年金資産の公正価値を上回っている年金制度について、予測給付債務、累積給付債務および年金資産の公正価値は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

累積給付債務が年金資産の公正価値を上回っている制度

 

 

 

予測給付債務

47,672

 

45,899

累積給付債務

47,672

 

45,899

年金資産の公正価値

 

 

 

 

 

予測給付債務が年金資産の公正価値を上回っている制度

 

 

 

予測給付債務

47,672

 

45,899

累積給付債務

47,672

 

45,899

年金資産の公正価値

 

 

 国内会社の制度における期間退職・年金費用(純額)の構成要素として認識されていない累積的その他の包括利益(税引前)の金額は以下のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

未認識年金数理上の損失

43,239

未認識過去勤務費用

△4,904

合計

38,335

 

 2025年3月期において、国内会社の制度における期間退職・年金費用(純額)の構成要素として認識されると予想される累積的その他の包括利益(税引前)の金額は以下のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

2025年3月期

未認識年金数理上の損失

1,650

未認識過去勤務費用

△504

合計

1,146

 

見積もり

 次の表は、国内会社の制度における期末日の予測給付債務の現在価値を決定する際に用いられた見積もり数値の加重平均を示しております。

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

割引率

1.3%

 

1.6%

昇給率

0.4%

 

0.5%

利息付与率

2.8%

 

2.8%

 

 次の表は、国内会社の制度における各年度の期間退職・年金費用を決定する際に用いられた見積もり数値の加重平均を示しております。

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

割引率

0.8%

 

1.3%

昇給率

0.3%

 

0.4%

年金資産の長期期待運用収益率

2.6%

 

2.6%

利息付与率

2.9%

 

2.8%

 

 通常、野村は確定給付制度における割引率の決定に関して長期の高格付債券の指標を参考にしており、決定された割引率が、確定給付制度の債務の期間に応じて調整された後の指標を上回っていないことを確認しております。

 

 野村は、年金資産の期待運用収益を計算するために、長期期待運用収益率を使用しております。そして、長期期待運用収益率を決定する際は、過去の金融市場の傾向が将来にわたって継続するという仮定のもと、過去の長期運用収益率の実績に基づくことを基本方針としております。

 

年金資産

 野村は、年金給付等の支払を将来にわたり確実に行えるよう、長期的に必要となる年金資産の確保を目的として運用しております。長期的な目標収益率を達成することを前提としつつも、リスクが分散されたポートフォリオを構築することにより、短期的変動を抑えた運用を目指しております。年金資産は、このポートフォリオの方針に基づいて、分散投資しております。

 

 野村の国内会社のポートフォリオは、エクイティ(プライベート・エクイティ含む)8%、負債証券50%、生保一般勘定28%、その他14%に投資することを基本的目標としております。基本ポートフォリオは、原則として5年毎の財政再計算およびポートフォリオ策定時に設定した前提条件等に大きな変化があった時に見直しを行います。

 

 公正価値の測定に使用されるデータの3つのレベルの区分については、「注記2 公正価値測定」に記載しております。

 

 次の表は国内会社の制度の年金資産の公正価値について、2023年3月31日および2024年3月31日のレベル別の金額を資産のカテゴリー別に示しております。

年金資産:

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

期末残高

プライベートエクイティおよび合同運用(1)

 

1,718

 

23,078

 

24,796

日本国債

21,704

 

 

 

21,704

受益証券等(2)(3)

 

19,918

 

26,328

 

46,246

生保一般勘定

 

74,033

 

 

74,033

その他

 

24,334

 

 

24,334

合計

21,704

 

120,003

 

49,406

 

191,113

 

年金資産:

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月31日

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

期末残高

プライベートエクイティおよび合同運用(1)

 

905

 

16,321

 

17,226

日本国債

14,411

 

 

 

14,411

受益証券等(2)(3)

 

16,773

 

27,022

 

43,795

生保一般勘定

 

74,529

 

 

74,529

その他

 

31,196

 

 

31,196

合計

14,411

 

123,403

 

43,343

 

181,157

(1) 会社型の株式への合同運用が含まれております。

(2) 主に負債性商品への投資ファンドを含んでおり、ヘッジファンドおよび不動産ファンドも含んでおります。

(3) 実務上の簡便法として純資産価額を用いて公正価値を測定している資産は公正価値の階層から除いております。

2023年3月31日および2024年3月31日において、これらの資産はそれぞれ28,349百万円および38,712百万円でした。

 

 

 海外制度における年金資産の2023年3月31日現在の公正価値は、レベル1が44百万円、レベル2が3,149百万円、レベル3が26,497百万円、2024年3月31日現在の公正価値は、レベル1が92百万円、レベル2が3,388百万円、レベル3が29,753百万円であります。

 

 公正価値評価方法の詳細については、「注記2 公正価値測定」をご参照ください。

 

 

 次の表は、国内会社の制度におけるレベル3に該当する年金資産の2023年3月期および2024年3月期の損益と推移を示しております。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2023年3月期

期首残高

 

実現および

未実現損益

 

購入/売却

 

2023年3月期

期末残高

プライベートエクイティおよび合同運用

29,081

 

△1,990

 

△4,013

 

23,078

受益証券等

27,575

 

2,211

 

△3,458

 

26,328

合計

56,656

 

221

 

△7,471

 

49,406

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2024年3月期

期首残高

 

実現および

未実現損益

 

購入/売却

 

2024年3月期

期末残高

プライベートエクイティおよび合同運用

23,078

 

△316

 

△6,441

 

16,321

受益証券等

26,328

 

2,627

 

△1,933

 

27,022

合計

49,406

 

2,311

 

△8,374

 

43,343

 

 海外制度における年金資産でレベル3に該当するものは主に年金保険投資であり、2023年3月31日現在の残高は26,497百万円、2024年3月31日現在の残高は29,753百万円であります。2023年3月期および2024年3月期においてレベル3に該当する資産にかかる未実現利益(△損失)は△9,705百万円および105百万円であります。2023年3月期および2024年3月期における当該資産にかかる上記以外の実現および未実現損益、購入・売却、レベル1、2からレベル3間の移動で重要なものはありません。

 

キャッシュ・フロー

 国内会社における退職給付制度の変更にともない、2021年3月期からは原則として年金資産への拠出は行わず、過去積立分の範囲で維持・運営します。

 

 国内会社の制度における今後5年間の予測給付額および6年後から10年後までの合計予測給付額は以下のとおりであります。

 

(単位:百万円)

2025年3月期

17,302

2026年3月期

15,534

2027年3月期

14,747

2028年3月期

15,304

2029年3月期

13,913

2030年3月期~2034年3月期

57,231

 

確定拠出年金制度

 確定給付型年金制度に加えて、当社、野村證券株式会社および他の国内子会社、海外子会社は確定拠出年金制度を採用しております。

 

 国内会社の確定拠出年金制度に対する拠出費用は、2023年3月期が6,675百万円、2024年3月期が6,656百万円であります。

 

 海外子会社の確定拠出年金制度に対する拠出費用は、2023年3月期が11,964百万円、2024年3月期が15,026百万円であります。

 

医療給付制度

 当社および特定の子会社は、健保組合を通じ在籍する従業員および退職従業員に対し一定の医療給付も行っております。また当社および特定の子会社は、退職従業員に対する一定の医療給付の提供を支援しており(以下「特別制度」)、こうした退職者は全額負担条件で、すなわち1人当たり見積給付費用に基づく負担に応じることにより特別制度への加入を継続することができます。特別制度の管理が健保組合および国との共同で行われており、また特別制度の財政状況は別個に計算されていないため、特別制度は複数事業主退職後給付制度に該当します。このため、当社および特定の子会社は、退職者医療給付の費用のうち退職者負担により賄われない額の一部を負担しておりますが、将来の費用の引当てを行っておりません。医療給付費用は要拠出額と等しくなり、2023年3月期が9,586百万円、2024年3月期が9,453百万円であります。

 

13 繰延報酬制度:

 野村は役員もしくは従業員に対し、株式報酬を付与しております。これらの株式報酬の一部は、優秀な人材を確保し、業績向上へのインセンティブを高めるため、株価と連動しております。

 

 株式報酬制度には、RSU、PSU、ストック・オプションAプラン、Bプラン、ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランがあります。ストック・オプションAプランは実質的にストック・オプションですが、RSU、ストック・オプションBプラン、ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランは、リストリクテッド・ストック(譲渡制限期間付きの株式)に類似する報酬制度です。また、その他の報酬制度として、Morgan Stanley Capital International社が公表している株価指数の1つに連動するファントム・インデックスプランがあります。

 

 特定の繰延報酬には、野村での職位と勤務期間にかかる一定の条件を満たした場合、自己都合退職時点で受給権の確定を認める「フル・キャリア・リタイアメント」条項を含んでおります。これら報酬にかかる必要勤務期間は、契約上の受給権確定日または対象者がフル・キャリア・リタイアメントの条件を満たした日もしくはフル・キャリア・リタイアメントの申請をした日のいずれか早い日に終了します。

 

 特記しているケースを除き、自己都合での退職、財務諸表の重大な修正、グループの規程に対する重大な違反、グループの事業やレピュテーションに対する重大な損害、あるいはグループの業績が大幅に悪化した場合やリスク管理に重大な欠陥が発生した場合には、繰延報酬は減額、没収または支給後の返還を求めることが定められております。

 

 

譲渡制限株式ユニット「RSU」

 1ユニット当たり当社普通株式1株を株式報酬として支給します。繰延期間は原則として1~3年ですが、付与対象者に適用される規制等の理由により、最大7年間の繰延期間を設定しております。

 

 付与日のRSUの公正価値は、当社の普通株式の公正価値に基づき決定されます。

 

 次の表は、2024年3月期におけるRSUの実施状況を示しております。

 

付与済

(株式数)

 

付与日における

1株当たりの

加重平均公正価値

(円)

 

加重平均

契約残存年数

(年)

2023年3月31日

158,759,875

 

451

 

1.0

付与

84,295,700

 

466

 

 

失効

△12,039,400

 

460

 

 

支給

△69,433,175

 

451

 

 

2024年3月31日

161,583,000

 

459

 

1.0

 

 2023年3月期および2024年3月期の付与日における1ユニット当たりの加重平均公正価値はそれぞれ442円、466円でした。

 

 期中に受給権が確定したRSUの確定日時点の公正価値総額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ26,642百万円および36,607百万円でした。2023年3月期における支給されたRSUの価値総額は23,978百万円であり、2024年3月期には43,636,273株が支給され、その価値は34,362百万円でした。2024年3月31日現在におけるRSUの価値は、157,964百万円でした。

 

 2024年3月31日現在における未確定のRSUに関連する未認識報酬費用の合計額は10,873百万円でした。当該費用は1.7年の加重平均期間にわたって認識される予定です。

 

 野村は受給権の確定もしくは普通株式の交付に伴い、雇用者としての従業員に対する源泉徴収義務を充足すべく、受給権確定済のRSUを留保することがあります。税務当局へ源泉徴収税額を納付するために支払われた現金は2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ9,060百万円および12,669百万円でした。これらのキャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書において財務活動によるキャッシュ・フローの現金支出として区分されます。

 

ストック・オプションBプラン

 当社は、実質的に株式報酬といえる新株予約権を発行しております。この株式報酬は、行使価額が1株当たり1円であり、一般的に約3年にわたって受給権が確定し行使可能となりますが、付与対象者に適用される規制等の理由により、権利確定までの期間がそれより長くなることもあります。

 

 付与日のストック・オプションBプランの公正価値は、当社の普通株式の公正価値に基づき決定されます。

 

 次の表は、2024年3月期におけるストック・オプションBプランの実施状況を示しております。2018年4月1日以降、ストック・オプションBプランは付与されておりません。

 

発行済

(株式数)

 

付与日における

1株当たりの

加重平均公正価値

(円)

 

加重平均

契約残存年数

(年)

2023年3月31日

4,023,000

 

490

 

1.9

付与

 

 

 

行使

△2,143,100

 

470

 

 

失効

△6,600

 

465

 

 

行使期限満了

△482,900

 

559

 

 

2024年3月31日

1,390,400

 

495

 

1.6

うち、行使可能なストック・オプション

1,258,300

 

505

 

1.3

 

 2023年3月期、2024年3月期において行使されたストック・オプションBプランの本源的価値の総額は、それぞれ1,965百万円、1,783百万円でした。

 

 2024年3月期の期末におけるストック・オプションBプランの本源的価値および行使可能なストック・オプションの本源的価値は、それぞれ1,358百万円および1,229百万円でした。

 

 2024年3月期において未確定のストック・オプションBプランに関連する未認識報酬費用はありませんでした。期中に受給権が確定したストック・オプションBプランの確定日時点の公正価値の総額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ415百万円および72百万円となっております。

 

 連結損益計算書上、金融費用以外の費用-人件費に含まれるRSU、ストック・オプションにかかる費用の総額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ35,216百万円および35,577百万円となっております。

 

 ストック・オプションの行使によって受け取った現金は2023年3月期および2024年3月期において、4百万円および953百万円となっております。ストック・オプションの行使から実現した税効果は2023年3月期において87百万円であり、2024年3月期においては重要な金額ではありませんでした。

 

 RSU、ストック・オプションに対して認識した税務ベネフィットの金額は、2023年3月期および2024年3月期において重要な金額ではありませんでした。発行した株式報酬制度の希薄化についての影響は、希薄化後1株当たり当期純利益の計算に用いる加重平均発行済株式数に含まれております。詳細は「注記11 1株当たり当期純利益」をご参照ください。

 

 2023年3月期および2024年3月期において、RSUおよびストック・オプションBプランの重要な変更はありませんでした。

 

ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプラン

 ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランは株価に連動する現金決済型の報酬制度です。ファントム・ストックプランは新株予約権で決済されるストック・オプションBプランと同じ特徴を持つ報酬制度ですが、当社の普通株式に行使可能になるのではなく、現金で決済されます。カラー付ファントム・ストックプランはファントム・ストックプランと同様に株価に連動しますが、連動幅が一定の範囲に制限されます。どちらも約3年にわたって受給権が確定しますが、付与対象者に適用される規制等の理由により、確定期間がそれより長くなることもあります。

 

 ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランの公正価値は当社の普通株式の市場価格に基づき決定されます。

 

 次の表は、2024年3月期におけるファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランの実施状況を示しております。

 

ファントム・ストックプラン

 

カラー付ファントム・ストックプラン

 

 

残高

(単位数)

 

株価

(円)

 

残高

(単位数)

 

株価

(円)

 

2023年3月31日

20,596,542

 

484

 

12,595,287

 

509

 

付与

15,678,023

 

529

(1)

2,808,971

 

484

 

確定

△13,443,712

 

556

(2)

△5,976,711

 

532

(2)

失効

△339,642

 

 

 

△224,157

 

 

 

2024年3月31日

22,491,211

 

949

(3)

9,203,390

 

612

(3)

(1)付与数量を決定するために使用された当社普通株式の加重平均市場価格となっております。

(2)現金決済金額を決定するために使用された当社普通株式の加重平均市場価格となっております。

(3)2024年3月31日現在において、権利未確定の報酬を公正価値で再評価するために使用された当社普通株式の市場価格となっております。

 

 連結損益計算書上、金融費用以外の費用-人件費に含まれる各ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランにかかる費用の総額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ11,544百万円および15,936百万円となっております。

 

 2024年3月31日における未確定のファントム・ストックプランの公正価値に基づく未認識報酬費用の合計額は310百万円でした。当該費用は0.9年の加重平均期間にわたって認識される予定です。期中に受給権が確定したファントム・ストックプランの確定日時点の公正価値の総額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ6,174百万円および7,479百万円となっております。

 

 2024年3月31日におけるカラー付ファントム・ストックプランの公正価値に基づく未認識報酬費用の合計額は852百万円でした。期中に受給権が確定したカラー付ファントム・ストックプランの確定日時点の公正価値の総額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ1,380百万円および3,179百万円となっております。

 

 ファントム・ストックプランおよびカラー付ファントム・ストックプランにかかる費用に対して認識した税務ベネフィットの金額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ164百万円および186百万円でした。

 

 2023年3月期、2024年3月期においてRSUおよびストック・オプションBプランの重要な変更はありませんでした。

 

決算日後に生じた事象

 2024年5月16日、野村はRSUを当社および当社の子会社の取締役、執行役および使用人等に付与することを決議いたしました。総数49,784,400個のRSUが付与され、通常付与から1~3年後、各国における金融機関の報酬規制等の対象となる場合は最大7年後に交付いたします。

 

 2024年5月16日、野村はPSUを当社の執行役に付与することを決議いたしました。付与されるPSUの基準株数は782,100株であり、支給率150%を適用した場合の株数は1,173,200株です。PSUとは、付与から3年後に、対象者に対し、業績評価期間における業績指標の実績に応じ、主に自己株式処分により当社の普通株式等を交付するというものです。

 

 

 2024年5月24日、野村はRSUが税制上およびその他の理由で不利な国に居住する当社および当社の子会社の取締役、執行役および使用人等にファントム・ストックプラン(総額 7十億円、支給までの期間は最長で約7年間)を付与しました。

14 法人所得税等:

 2023年3月期および2024年3月期における連結損益計算書に記載されている法人所得税等の内訳は、以下のとおりです。海外の金額は日本国外での事業から生じる税務ベネフィットあるいは税金費用を表しております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

当年度分

 

 

 

国 内

35,107

 

74,117

海 外

16,554

 

22,825

当年度分計

51,661

 

96,942

繰延分

 

 

 

国 内

14,356

 

2,566

海 外

△8,219

 

△2,878

繰延分計

6,137

 

△312

法人所得税等計

57,798

 

96,630

 

 2023年3月期および2024年3月期の法人所得税等(繰延分)のうち、税務上の繰越欠損金にかかる税務ベネフィットの認識額は、それぞれ1,787百万円および1,901百万円となりました。

 

 当社および日本の100%子会社はグループ通算制度を適用しております。このグループ通算制度は、国税だけを対象としています。

 

実効税率差異分析

 2023年3月期、2024年3月期における当社の国内の法定実効税率は約31%となっております。

 

 海外子会社は、各会社が事業を行う国の法人税率の適用を受けております。法人所得税等と会計上の税引前当期純利益(損失)との関係は、さまざまな税額控除、課税所得に影響しない特定の収益、税務上控除されない特定の費用、評価性引当金の増減、および海外子会社に適用される税率の相違等、多様な要因の影響を受けております。

 

 2023年3月期および2024年3月期における連結損益計算書に記載されている法人所得税等の負担税率と当社の法定実効税率との差異の内訳は、以下のとおりであります。次の表で示されている実効税率は、当該年度における合計の法人所得税等を、税引前当期純利益(損失)に対する比率で表示しております。

 

 

2023年3月期

 

2024年3月期

当社の法定実効税率

31.0%

 

31.0%

影響要因:

 

 

 

 評価性引当金の増減

11.3

 

3.9

 益金に加算される収益項目

0.7

 

0.2

 損金に算入されない費用項目

7.8

 

6.0

 益金に算入されない収益項目

△4.7

 

△2.5

 海外子会社からの配当

0.1

 

0.0

 海外子会社の未分配所得の影響

0.3

 

△0.2

 海外子会社の所得(欠損金)に適用される税率差異

△0.9

 

△0.2

 海外の税制改正の影響

△1.9

 

0.0

 子会社・関連会社株式等の評価減の税務上の認容見込み

△2.3

 

△0.0

 その他

△2.7

 

△2.9

実効税率

38.7%

 

35.3%

 

 

 2023年3月31日および2024年3月31日現在の特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺する前の繰延税金資産および負債の内訳は、以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

繰延税金資産

 

 

 

 減価償却、その他の償却、および固定資産の評価

38,596

 

41,883

 子会社・関連会社株式投資

7,458

 

7,364

 金融商品の評価差額

123,841

 

136,834

 未払退職・年金費用

17,308

 

11,837

 未払費用および引当金

74,043

 

83,418

 繰越欠損金

414,084

 

477,358

 リース負債

48,329

 

48,951

 その他

19,645

 

20,811

 繰延税金資産小計

743,304

 

828,456

 控除:評価性引当金

△515,068

 

△595,668

  繰延税金資産合計

228,236

 

232,788

繰延税金負債

 

 

 

 子会社・関連会社株式投資

100,335

 

109,611

 金融商品の評価差額

118,314

 

111,175

 海外子会社の未分配所得

2,936

 

2,257

 固定資産の評価

22,540

 

22,945

 使用権資産

47,775

 

43,443

 その他

7,524

 

4,404

  繰延税金負債合計

299,424

 

293,835

繰延税金資産(負債)の純額

△71,188

 

△61,047

 

 連結貸借対照表のその他の資産-その他として記載されている特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺した後の繰延税金資産の純額は、それぞれ2023年3月31日現在22,645百万円、2024年3月31日現在24,254百万円となりました。また、連結貸借対照表のその他の負債として記載されている特定の税務管轄地域内における同一納税主体に関連するものを相殺した後の繰延税金負債の純額は、それぞれ2023年3月31日現在93,833百万円、2024年3月31日現在85,301百万円となりました。

 

 2024年3月31日現在、予見可能な将来に配当支払が予想されていない海外子会社の未分配所得の合計額71,334百万円に対して繰延税金負債の計上は行われておりません。これらすべての海外子会社の所得が配当される際の税額を見積もることは現実的ではありません。

 

繰延税金

 2023年3月期および2024年3月期における繰延税金資産にかかる評価性引当金の推移は、以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

2023年3月期

 

2024年3月期

 

期首残高

466,145

 

515,068

 

期中の純増減額

48,923

(1)

80,600

(2)

期末残高

515,068

 

595,668

 

(1)海外子会社では、主に繰越欠損金にかかる評価性引当金が53,851百万円増加しました。また、当社および国内子会社では主に子会社・関連会社株式投資にかかる評価性引当金が4,928百万円減少しました。その結果、全体で48,923百万円の増加となりました。

(2)海外子会社では、主に繰越欠損金にかかる評価性引当金が83,838百万円増加しました。また、当社および国内子会社では主に繰越欠損金の使用により評価性引当金が3,238百万円減少しました。その結果、全体で80,600百万円の増加となりました。

 

 

 2024年3月31日現在、野村は、2,328,006百万円の税務上の繰越欠損金を有しております。このうち、当社および国内子会社に関連するものが363,547百万円、英国に所在する海外子会社に関連するものが782,431百万円、米国に所在する海外子会社に関連するものが774,496百万円、香港に所在する海外子会社に関連するものが370,424百万円、その他の地域に所在する海外子会社に関連するものが37,108百万円であります。当該欠損金については、無期限に繰越が可能な1,469,744百万円を除き、2024年から2034年までに759,294百万円、2034年以降98,968百万円が税務上の効果を失うことになります。

 

 野村は、2024年3月31日現在の評価性引当金の計上にあたり、当社および当社の国内子会社および海外子会社の税務管轄地域内における繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能なあらゆる肯定的および否定的証拠を適切に検討しております。日本およびその他の税務管轄地において、近年、当社の国内子会社および海外子会社は累積的な繰越欠損金を計上しております。これにより、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な最も否定的な証拠が入手可能な肯定的な証拠を上回る状況となっています。

 

 一方、野村は、特定の税務戦略は将来繰越欠損金を使用するために充分な課税所得を生み出すための潜在的な資源と考えております。しかし、この税務戦略は、2023年3月期および2024年3月期において、野村が業務を行っているすべての主要な税務管轄地において、評価性引当金の減少をもたらす肯定的な証拠ではありません。加えて、これらの税務管轄地において、2023年3月期および2024年3月期において、肯定的および否定的証拠の適用度合の変更による評価性引当金の減少はありませんでした。

 

 繰延税金資産の回収可能性に基づく評価性引当金の計上の要否の判断はその性質上主観的にならざるを得ず、将来の収益性や裁判所および規制当局による税務規則の解釈ならびに税務当局による税務調査、繰延税金資産の回収可能性を判断するための十分な将来の課税所得を裏付ける肯定的および否定的証拠の適用度合について、多くの場合経営者の判断を必要とします。

 

未認識税務ベネフィット

 2023年3月期および2024年3月期において、野村は未認識税務ベネフィットをそれぞれ34,763百万円、41,437百万円計上しています。

 

 2024年3月期における未認識税務ベネフィットの金額のうち、10,057百万円は、認識された場合、将来の期間における野村の実効税率を低下させます。その残りの金額は繰越欠損金とそれにともなう評価性引当金が増加するため、将来の期間における野村の実効税率への影響はありません。2024年3月期において、未認識税務ベネフィットの総額の変動は6,674百万円でした。そのうち、2,383百万円は、繰越欠損金の利用による繰延税金資産の減額として相殺した金額を減少させます。

 

 2023年3月期における未認識税務ベネフィットの金額のうち、5,766百万円は、認識された場合、将来の期間における野村の実効税率を低下させます。その残りの金額は繰越欠損金とそれにともなう評価性引当金が増加するため、将来の期間における野村の実効税率への影響はありません。2023年3月期において、未認識税務ベネフィットの総額の変動は△1,011百万円でした。そのうち、504百万円は、繰越欠損金の利用による繰延税金資産の減額として相殺した金額を減少させます。

 

 2023年3月期および2024年3月期において、重要な未認識税務ベネフィットの変動および未認識税務ベネフィットにかかる利息および加算税はありません。

 

 野村は、日本の国税庁ならびに主要な業務を行っている税務管轄地におけるその他の税務当局より、継続的に税務調査を受けております。野村はそれぞれの税務管轄地において追加的に徴収される可能性と連結財務諸表における影響額を定期的に評価しております。期末日以降12ヶ月の間に、税務調査の結果次第で未認識の税務ベネフィットが増加もしくは減少する可能性がありますが、現時点では潜在的な結果が不確実なため、定量的に見積もることは出来ません。しかしながら、未認識税務ベネフィットの変動が当社の連結財政状態に重要な影響を与えるとは考えておりません。

 

税務当局による調査

 野村は複数の税務管轄地において業務を行っており、移転価格税制、費用の控除可能性、外国税額控除、その他多くの問題について、それぞれの税務当局からの調査に応じなければなりません。

 

 次の表は、2024年3月31日現在、野村が業務を行っている主要な税務管轄地において、税務調査が未了となっている最も古い年度を表しています。

税務管轄地

年度

 

日本

2019年3月期

(1)

英国

2016年3月期

(2)

米国

2021年3月期

 

(1)移転価格税制にかかる最も古い調査未了年度は、2018年3月期となります。

(2)移転価格税制にかかる最も古い調査未了年度は、2016年3月期となります。

15 その他の包括利益:

 累積的その他の包括利益の変動は以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

期首残高

 

組替調整前

その他の

包括利益

 

累積的

その他の

包括利益

からの組替

調整額

 

当期

純変動額

 

期末残高

為替換算調整額

136,912

 

109,801

 

△3,946

 

105,855

 

242,767

年金債務調整額(1)

△43,803

 

8,615

 

3,014

 

11,629

 

△32,174

自己クレジット調整額(2)

34,864

 

73,193

 

△196

 

72,997

 

107,861

累積的その他の包括利益

127,973

 

191,609

 

△1,128

 

190,481

 

318,454

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

 

期首残高

 

組替調整前

その他の

包括利益

 

累積的

その他の

包括利益

からの組替

調整額

 

当期

純変動額

 

期末残高

為替換算調整額

242,767

 

201,662

 

△358

 

201,304

 

444,071

年金債務調整額(1)

△32,174

 

11,220

 

1,442

 

12,662

 

△19,512

自己クレジット調整額(2)

107,861

 

△71,965

 

△471

 

△72,436

 

35,425

累積的その他の包括利益

318,454

 

140,917

 

613

 

141,530

 

459,984

 

(1)詳細は「注記12 従業員給付制度」をご参照ください。

(2)詳細は「注記2 公正価値測定」をご参照ください。

 

 重要な累積的その他の包括利益からの組替調整額は以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

 

 

 

累積的その他の包括利益からの組替調整額

 

累積的その他の包括利益からの組替調整額

 

連結損益計算書に影響する項目

為替換算調整額:

 

 

 

 

 

 

4,033

 

358

 

収益-その他/金融費用以外の費用-その他

 

△87

 

 

法人所得税等

 

3,946

 

358

 

当期純利益

 

 

 

非支配持分に帰属する当期純利益

 

3,946

 

358

 

当社株主に帰属する当期純利益

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

 

 

 

累積的その他の包括利益からの組替調整額

 

累積的その他の包括利益からの組替調整額

 

連結損益計算書に影響する項目

年金債務調整額:

 

 

 

 

 

 

△3,372

 

△1,737

 

金融費用以外の費用-人件費/収益-その他

 

358

 

295

 

法人所得税等

 

△3,014

 

△1,442

 

当期純利益

 

 

 

非支配持分に帰属する当期純利益

 

△3,014

 

△1,442

 

当社株主に帰属する当期純利益

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

 

 

 

累積的その他の包括利益からの組替調整額

 

累積的その他の包括利益からの組替調整額

 

連結損益計算書に影響する項目

自己クレジット調整額:

 

 

 

 

 

 

334

 

597

 

収益-トレーディング損益

 

△138

 

△126

 

法人所得税等

 

196

 

471

 

当期純利益

 

 

 

非支配持分に帰属する当期純利益

 

196

 

471

 

当社株主に帰属する当期純利益

 

16 株主資本:

 発行済株式数(自己株式控除後)の変動は以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:株)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

発行済株式数(自己株式控除後)期首残高

3,017,804,012

 

3,003,679,324

自己株式の消却による発行済株式の減少

 

△70,000,000

自己株式:

 

 

 

取得

△50,016,744

 

△80,617,143

売却

296

 

534

従業員等に対する発行株式

35,900,087

 

47,695,273

消却

 

70,000,000

その他の増減(純額)

△8,327

 

△2,828

発行済株式数(自己株式控除後)期末残高

3,003,679,324

 

2,970,755,160

 

 日本の会社法において、配当および自己株式取得は分配可能額の範囲で行うことができます。資本剰余金および利益剰余金には日本の会社法に基づく準備金が含まれ、当該準備金の金額は分配可能額には含まれません。分配可能額は日本で一般的な会計原則および慣行にしたがって作成されている当社の個別財務諸表に基づいており、2023年3月31日現在1,425,642百万円、2024年3月31日現在1,418,959百万円であります。連結財務諸表には記載しているものの個別財務諸表には計上されていない米国会計原則上の調整額は、当該分配可能額に影響を与えておりません。

 

 1株当たり普通株式の配当金は、2023年3月期は17.0円、2024年3月期は23.0円であります。

 

 2022年4月26日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定に基づく自己株式の取得枠の設定を承認いたしました。その内容は、(a)取得する株式の総数の上限は50,000,000株、(b)株式の取得価額の総額は上限30,000百万円、(c)期間は2022年5月17日から2023年3月31日まで、というものであります。上記の取得枠設定に従い、提出会社は総数50,000,000株を取得価額総額24,719百万円で取得しております。

 

 2023年4月26日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定に基づく自己株式の取得枠の設定を承認いたしました。その内容は、(a)取得する株式の総数の上限は35,000,000株、(b)株式の取得価額の総額は上限20,000百万円、(c)期間は2023年5月16日から2024年3月29日まで、というものであります。上記の取得枠設定に従い、提出会社は総数34,368,500株を取得価額総額20,000百万円で取得しております。

 

 2023年6月1日付で実施した自己株式の消却により、発行済株式数および自己株式は、2024年3月期において、それぞ

れ70,000,000株減少しております。

 

 2024年1月31日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定に基づく自己株式の取得枠の設定を承認いたしました。その内容は、(a)取得する株式の総数の上限は125,000,000株、(b)株式の取得価額の総額は上限100,000百万円、(c)期間は2024年2月16日から2024年9月30日まで、というものであります。当決議に従い、2024年3月1日から2024年6月6日までの期間にわたり、当社は総数109,726,600株を取得価額総額100,000百万円で取得しております。これをもって、当決議に基づく自己株式の取得は終了しております。

 

 自己株式の変動には、上記のほか、株式報酬制度に基づき従業員等に自己株式を付与することによるもの、自己株式に含まれている関連会社が保有する株式によるもの、単元未満株式を有する株主からの買増請求により自己株式を売却することによるもの、および単元未満株主から株式を買い取ることによるものが含まれております。

 

17 法的規制:

 2011年4月から、当社は、金融商品取引業者の親会社に対する連結自己資本規制の適用を受ける最終指定親会社の指定を受け、川上連結告示に基づき、連結自己資本規制比率を計測しております。なお、川上連結告示はバーゼル2.5およびバーゼルⅢに対応した改定を行っており、2013年3月末以降、当社はバーゼルⅢに基づく連結自己資本規制比率を算出しております。

 

 当社は、川上連結告示第2条の算式に従い、普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本の額、総自己資本の額、信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額およびオペレーショナル・リスク相当額をもとに連結自己資本規制比率を測定しております。2023年3月31日および2024年3月31日現在の野村の連結普通株式等Tier1比率、連結Tier1比率、連結総自己資本規制比率は、川上連結告示等の定める要件をそれぞれ満たしました。なお、2024年3月31日現在、告示等の定める要件は適用される最低連結資本バッファーを含み、連結普通株式等Tier1比率について7.74%、連結Tier1比率について9.24%、連結総自己資本規制比率について11.24%となっております。

 

 金融商品取引法に基づき、野村證券株式会社および野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社は金融庁による自己資本規制の適用を受けております。この規制により自己資本規制比率、即ち数量化した事業リスク合計に対する控除後自己資本の比率が120%を下回らない状態を維持するよう求められております。控除後自己資本は、純資産(資本金、投資有価証券の評価差額、準備金および劣後債務を含む)から控除資産を控除したものと定義されております。事業リスクは、(1)市場リスク、(2)取引先リスクおよび(3)基礎的リスクという3つのカテゴリーに区分されております。この規制においては、自己資本規制比率が120%を超えている限り当該会社の行う業務への制約はありません。野村證券株式会社の自己資本規制比率は、2023年3月31日現在および2024年3月31日現在ともに120%を超えております。また、野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社の自己資本規制比率は、2023年3月31日現在および2024年3月31日現在ともに120%を超えております。

 

 顧客に対して仲介、精算および資産管理サービスを提供する際に、野村は顧客から預かった現金や債券といった金融資産を管理するための分別口座を保有しております。損失から顧客を守るため、法令または規制により、これら口座の保有が義務付けられております。

 

 2023年3月31日および2024年3月31日現在において、連結貸借対照表の取引所預託金およびその他の顧客分別金として計上されている分別金の合計金額は、それぞれ53,970百万円および54,893百万円です。

 

 2023年3月31日および2024年3月31日現在において、連結貸借対照表のトレーディング資産および担保付契約に計上される分別債券の合計金額は、それぞれ1,082,049百万円および992,563百万円です。

 

 米国において、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc.(以下「NSI」)は、1934年証券取引所法下の証券会社として、また米国先物取引委員会(以下「CFTC」)における先物取引業者として登録されております。NSIは、自主規制組織として指定された金融取引業規制機構(以下「FINRA」)およびシカゴ・マーカンタイル取引所の規制も受けております。NSIは、米国SECの統一自己資本規制(ユニフォーム・ネット・キャピタル・ルール、規制15c3-1)および関連するその他規制の適用を受けております。当該規制は、代替方法により定義される自己資本が、1,000,000米ドルもしくは顧客取引から発生する負債項目の総額の2%のいずれか大きいほうの金額を維持することを要求しております。また、NSIはCFTC規則1.17号の適用を受けております。当該規制は、自己資本を定義上の顧客口座および非顧客口座に存在するすべてのポジションの8%を超過するトータル・リスク・マージン規制、もしくは現金1,000,000米ドルのうちいずれか大きいほうの金額を維持することを要求しております。NSIは米国SEC、CFTCあるいはさまざまな他の取引所の規制のうち、最も大きい金額を満たす自己資本を維持することを求められております。また、ノムラ・グローバル・ファイナンシャル・プロダクツ Inc.(以下「NGFP」)は、1934年証券取引所法下のOTCデリバティブ・ディーラーとして登録されております。NGFPは、2021年10月6日にCFTCにスワップ・ディーラーとして登録され、2021年11月1日に米国証券取引委員会(以下「SEC」)にデリバティブ・ディーラーとして登録されました。NGFPはSEC規制18a-1およびCFTC規制23.101に基づいて自己資本の計算を行い、自己資本の金額が、20,000,000米ドルあるいはSECの要求するリスク・マージン額の2%あるいはCFTCの要求するリスク・マージン額の2%のいずれかより大きい金額を維持することを求められています。その他の米国子会社として、インスティネット,LLC(以下「ILLC」)は、米国SECから証券会社として登録されており、FINRAの会員となっております。さらに、ILLCは、CFTCにおける仲介ブローカーとして登録されており、米国先物機構や、その他のさまざまな取引所の会員となっております。ILLCは、米国SECの規制15c3-1の適用を受けております。当該規制は、代替方法により定義される自己資本が、1,000,000米ドル、顧客取引から発生する負債項目の総額の2%もしくはCFTC最低要件のいずれか大きいほうの金額を維持することを要求しております。ILLCはCFTCの要求する、最低自己資本額の要求を受けております。CFTCが認定する仲介ブローカーとして、最低45,000米ドルの純資産の維持が求められており、調整後純資産額は米国先物機構が要求する水準が求められており、純資産額は規制15c3-1(a)が要求する水準が求められております。2023年3月31日および2024年3月31日現在、NSI、NGFP、ILLCは適用されるすべての自己資本規制要件を充足しております。

 

 欧州において、ノムラ・ヨーロッパ・ホールディングズ PLC(以下「NEHS」)は、連結ベースで、英国プルーデンス規制機構による法的監督下にあります。その連結は、2000年金融サービス・市場法、自己資本要求規則および健全性規制機構規則集下の要件に従って作成されております。NEHSの最も重要な連結子会社でありますノムラ・インターナショナル PLC(以下「NIP」)は、証券仲介・売買業務を行っております。NIPは、英国プルーデンス規制機構による規制を受けており、最低資本要件の充足が義務付けられております。NIPはさらに、Non-US Swap Dealer (以下「SD」)としてCFTCに登録されており、条件付きのSecurity-based Swap DealerとしてSECに登録されております。NIPは全米先物協会(以下「NFA」)のメンバーです。SECとCFTCは、英国の規制が米国のドッド・フランク法で求められる要件を満たす同等性を認め、代替的コンプライアンスの利用が認められています。NIPは、自己資本と証拠金、報告、記録管理等のような特定の分野において、代替的コンプライアンスの利用を選択しました。また、NEHSの別の連結子会社でありますノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)も同様に英国プルーデンス規制機構による規制を単体で受けております。NEHSの別の連結子会社であります、ドイツのノムラ・ファイナンシャル・プロダクツ・ヨーロッパ GmbH(以下「NFPE」)が独連邦金融サービス監督庁(BaFin)より規制を受けており、EU自己資本要求規則およびドイツの現地規制による法的監督下にあります。NEHSの別の連結子会社でありますフランスのバンク・ノムラ・フランス(以下「BNF」)は仏プルーデンス監督・破綻処理庁(ACPR)より規制を受けており、EU自己資本要求規則およびフランスの現地規制による法的監督下にあります。2023年3月31日および2024年3月31日現在、NEHSは連結上、NIP、NBI、NFPEおよびBNFは単体上、それぞれ適用されるすべての自己資本規制に関する要件を充足しております。

 

 アジアにおいて、ノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITED(以下「NIHK」)およびノムラ・シンガポール LIMITED(以下「NSL」)は、それぞれの当局により規制を受けております。NIHKは香港証券先物委員会の監督下で、有価証券の販売、取引および決済、先物取引、証券・先物取引に関する助言業務、コーポレートファイナンス、およびウェルスマネジメントに関する認可を取得しております。台湾支店を含むNIHKの活動は、証券先物(ファイナンシャル・リソーシズ)規制(以下「FRR規制」)により、常時、定められた流動資本要求額を下回ることのない流動資本を維持した上でなされることが求められます。流動資本とは、流動資産額が認定負債額を超える部分を指します。流動資本要求額はFRR規制によりあらかじめ決められた条件により計算されます。NSLはシンガポール通貨監督庁(以下「MAS」)の監督下で認可を受けたマーチャント・バンクとして、主に有価証券の販売および取引、証券に関する助言業務、コーポレートファイナンスおよびウェルスマネジメント等を行っております。NSLはシンガポールにおいてMASにより規制されているため、ドバイ・インターナショナル・フィナンシャル・センターの支店を含め、最低自己資本比率を課されております。2023年3月31日および2024年3月31日現在、NIHKおよびNSLは適用されるすべての資本規制に関する要件を充足しております。

 

18 関連会社およびその他の持分法投資先:

 野村の重要な関連会社およびその他の持分法投資先には、株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)、野村不動産ホールディングス株式会社(以下「野村不動産ホールディングス」)があります。また、関連会社であるアメリカン・センチュリー・カンパニーズInc.への投資に対して公正価値オプションを適用しており、「注記2 公正価値測定」において開示しております。

 

NRI

 NRIは、情報システムの開発・運用処理業務および調査研究・経営コンサルティング業務を行っております。野村は、NRIの主要顧客のひとつであります。

 

 野村はNRIが2022年12月5日に実施したNRI普通株式の売り出しに際し、売出人として参加し、当社が保有するNRI普通株式13,000,000株を第三者に37,528百万円にて売却いたしました。当該売却関連利益約280億円は、2023年3月期の連結損益計算書上、収益―その他に計上されております。なお、NRIは、譲渡後も引き続き当社の持分法適用関連会社となります。

 

 野村のNRIに対する持分は2023年3月期および2024年3月期においてそれぞれ22.3%、23.0%であります。

 

野村不動産ホールディングス

 野村不動産ホールディングスは、野村不動産グループの持株会社であり、主な事業内容は、住宅事業、賃貸事業、資産運用事業、その他不動産に関連する業務となっております。

 

 野村の野村不動産ホールディングスに対する持分は2023年3月期および2024年3月期においてそれぞれ37.5%、37.5%であります。

 

 当社の持分法による帳簿価額は投資先に係る純資産持分を2023年3月期および2024年3月期においてそれぞれ23,640百万円、27,053百万円上回っております。これらの額は主要な持分法投資先にかかる持分法によるのれんの未償却残高で主に構成されておりますが、野村不動産ホールディングスを含む一部の投資先にかかる純資産持分が、持分法による帳簿価額を超過するために生じる純資産持分と簿価との差額も含まれております。

 

 

要約財務情報

 重要な関連会社(公正価値オプションを適用している関連会社を含む)を合計した要約財務諸表は以下のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

資産合計

3,135,710

 

3,370,063

負債合計

2,006,590

 

2,204,376

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

収益

1,079,609

 

1,187,696

金融費用以外の費用

838,005

 

937,551

当該会社に帰属する当期純利益

179,073

 

176,705

 

 関連会社およびその他の持分法投資先との債権債務および取引の概要は、以下のとおりであります。なお、公正価値オ

プションを適用しているアメリカン・センチュリー・カンパニーズInc.への投資額については、下表に含まれておらず、

連結貸借対照表上、その他の資産―その他に含めております。また、公正価値オプションを適用している関連会社からの配当は下表の収益には含まれておらず、連結損益計算書上、金融収益に含まれております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

関連会社に対する投資

398,485

 

452,437

関連会社に対する貸付金

4,000

 

9,580

関連会社に対するその他の債権(1)

25,415

 

24,782

関連会社に対するその他の債務(2)

31,074

 

29,546

(1) 使用権資産を2023年3月期および2024年3月期にそれぞれ23,311百万円および23,157百万円計上しております。

(2) オペレーティング・リース負債を2023年3月期および2024年3月期にそれぞれ23,311百万円および23,157百万円計上しております。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

収益

2,795

 

2,172

金融費用以外の費用

50,966

 

53,177

ソフトウエア、有価証券および有形固定資産の購入

19,602

 

15,367

 

 

 関連会社およびその他の持分法投資先に対する投資のうち取引所価格のあるものの帳簿価額および公正価値の総計は、以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

帳簿価額

363,792

 

394,091

公正価値

593,883

 

844,412

 

 持分法投資先からの投資利益および持分法投資先からの配当額は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

持分法投資先からの投資利益(1)

47,480

 

45,687

持分法投資先からの配当額

13,354

 

14,617

(1) 連結損益計算書上、収益―その他に計上されております。

 

19 コミットメント、偶発事象および債務保証:

コミットメント

信用および投資関連コミットメント

 野村は、銀行もしくは金融業務の一環として、貸出コミットメントを行っており、この契約義務には一般に固定満期日が設定されております。投資銀行業務に関連して、野村は顧客により発行されうる債券を引き受けることを保証する契約を結んでおります。中央清算機関の会員として、野村は他の会員が債務不履行に陥った際に、国債および政府系機関債を裏付けとしたリバース・レポの取引相手になり、流動性資金の提供を行う確約をしております。これらの契約のもとでのコミットメント残高はすべて下記、貸出コミットメントに含まれております。

 

 また野村は、パートナーシップ等に投資するコミットメントを行っております。また当該投資に関連しパートナーシップ等に資金提供するコミットメントを行っております。この契約のもとでのコミットメント残高は投資コミットメントに含まれております。

 

 2023年3月31日および2024年3月31日現在において、上記の各コミットメントの残高は、それぞれ以下のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

貸出コミットメント

 

 

 

  中央清算機関への流動性提供

1,623,897

 

1,724,901

  その他の貸出コミットメント

1,010,332

 

1,380,710

合計

2,634,229

 

3,105,611

 

 

 

 

投資コミットメント

21,994

 

31,989

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2024年3月31日現在の上記コミットメントの満期年限別の情報は、以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

契約金額

 

満期年限

 

1年以内

 

1~3年

 

3~5年

 

5年超

貸出コミットメント

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  中央清算機関への流動性提供

1,724,901

 

1,724,901

 

 

 

  その他の貸出コミットメント

1,380,710

 

180,692

 

388,648

 

476,372

 

334,998

合計

3,105,611

 

1,905,593

 

388,648

 

476,372

 

334,998

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投資コミットメント

31,989

 

2,305

 

3,698

 

461

 

25,525

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貸出コミットメントにかかる契約金額は、契約がすべて実行され、取引相手先が債務不履行の状態となり、既存担保が無価値になったと仮定した場合に想定される、野村の信用関連損失の最大値を表しております。締結された契約が実行されることなく契約義務が満期を迎える場合もあるため、当該信用関連コミットメントの契約金額は必ずしも将来の現金所要額を表わしているわけではありません。契約義務にかかる信用リスクは、顧客の信用力および受入担保の価値によって異なるものになります。野村は、各顧客の信用力を個別に評価しております。信用供与に際して必要と考えられる場合に野村が取引相手から受け入れる担保の金額は、取引相手の信用力評価に基づいております。

 

その他のコミットメント

 建物設備等の工事、広告宣伝、コンピュータ・IT関連の維持管理などに関する契約を含む物品およびサービスを購入する義務は、2023年3月31日現在99,134百万円、2024年3月31日現在94,478百万円となっております。

 

 2024年3月31日現在の上記購入義務の支払年限別の情報は、以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

合計

 

支払年限

 

1年以内

 

1~2年

 

2~3年

 

3~4年

 

4~5年

 

5年超

購入義務

94,478

 

16,124

 

8,134

 

66,054

 

1,923

 

1,127

 

1,116

 

 上記には、日本橋地区の再開発不動産の一部を組合から購入する義務が含まれております。

 

 野村は担保付契約および担保付調達に関連する金額を含む売戻契約および買戻契約を結ぶ義務を負っております。これらのコミットメントは2023年3月31日現在、売戻契約に対して1,143十億円および買戻契約に対して2,146十億円、2024年3月31日現在、売戻契約に対して2,926十億円および買戻契約に対して1,408十億円となっております。

 

 野村は顧客に対し、顧客が保有する債券を買い取るコミットメントを締結しております。その金額は、2023年3月31日現在14十億円、2024年3月31日現在17十億円です。

 

 日本では、参加者が金融機関との間で債券・株式の貸借取引を無担保で行う市場があります。この取引に基づき、野村は無担保で借入れた債券・株式を返済する義務を2023年3月31日現在952十億円、2024年3月31日現在1,199十億円負っております。

 

 証券決済機関および取引所の会員として、野村は当該決済機関および取引所に対して債務不履行となった他の会員の財務上の義務の一部を支払うことを要求される可能性があります。これらの保証は一般的に会員契約の下で求められます。これらのリスクを軽減するために取引所および決済機関はしばしば会員に担保を差し入れることを求めます。このような保証の下で野村が支払いを行う可能性は低いと考えられます。

 

偶発事象

訴訟およびその他の法的手続き

 野村は、グローバルな金融機関として通常の業務を行う過程で訴訟およびその他の法的手続きに関係せざるを得ません。その結果として、野村は罰金、違約金、賠償金または和解金および訴訟費用または弁護士費用等の負担を強いられることがあります。

 

 これらの訴訟や法的手続きの結果を予想することは難しく、とりわけ、巨額の賠償請求または金額未定の賠償請求の場合、法的手続きが初期段階にある場合、新たな法的論点が争われている場合、多数の当事者が手続きに関与している場合、複雑または不明確な法律が適用されている国外の法域で手続きが進められる場合等には特に困難であるといえます。

 

 当社は外部弁護士と協議の上で個々の法的手続きおよび請求について定期的に評価を行い、これらの損失額の水準や範囲を見積もることが可能かどうか査定しております。当社は、編纂書450「偶発事象」(以下「編纂書450」)に従い、個々の事案について損失が生じる蓋然性が高く、かつそのような損失の金額を見積もることが合理的に可能な場合にはこれら個々の事案について損失リスクに関する負債を計上します。負債計上される金額は少なくとも四半期ごとに見直され、新たな情報をもとに修正されます。個別の事案についてこれらの基準が満たされない場合、例えば、損失が生じる可能性はあるものの、その蓋然性が高いとまではいえないような場合、負債は計上されません。しかし、重大な損失が発生する合理的な可能性がある場合、当社はその法的手続きまたは請求の詳細を以下において開示します。編纂書450において合理的な可能性がある場合とは当社に対する損失の発生の蓋然性は高くはないが、その可能性が低いとまではいえない場合であると定義されております。2023年3月31日および2024年3月31日現在、未解決の訴訟その他の法的手続きのうち、損失が生じる蓋然性が高く、かつそのような損失の金額を見積もることが合理的に可能であるものについて認識した負債はそれぞれ42,459百万円、21,177百万円であり、連結貸借対照表上、その他の負債に計上しております。

 

 野村に対する主な訴訟および法的手続きの概要は以下のとおりです。連結財務諸表の作成基準日時点の情報に基づき、当社は、これらの法的手続きの解決が当社の財務状況に重大な影響を与えるものではないと考えています。しかしながら、これらの事案の結果が、特定の四半期または事業年度の連結損益計算書やキャッシュ・フローに重大な悪影響を及ぼす可能性もあります。

 

 野村に対する主な訴訟および法的手続きの一部について、当社は、負債計上されている額がある場合にはその額を超えて合理的に発生する可能性のある損失額または合理的に発生する可能性のある損失の範囲を見積もることができます。これらの見積もりは、各事案において野村に対して主張されている特定の損害額や請求等の連結財務諸表の作成基準日時点の情報に基づき算出されています。2024年6月26日現在、当社は、合理的に発生する可能性のある損失の範囲を見積もることができるこれらの事案において、負債計上されている額がある場合にはその額を超えて合理的に発生する可能性のある最大損失額の合計は、約380億円であると見積もっています。

 

 その他の主要な訴訟および法的手続きについて、当社は合理的に発生する可能性のある損失額やその範囲を見積もることができません。その理由としては、とりわけ①法的手続きが初期段階にあり、主張されている請求に根拠があるかどうかを判断する情報が十分にないこと、②相手方が損害を明らかにしていないこと、③損害に根拠がないこと、または損害が誇張されていること、④係属中の控訴または申立ての結果が不確かであること、⑤時効の適用等を含め、請求の却下にもつながる重要な法律問題が解決されていないこと、⑥請求に関連してこれまでに議論されなかったまたは未解決の法的な論点が争われていること、または⑦野村に対し金銭の支払を求める判決等がなされたが、その理由や金額の算定の背景等の詳細を受領していないこと等が挙げられます。

 

 野村は、引き続き、野村に対する関係当局等による調査手続き等において適切に対応するとともに、これらの訴訟や法的手続きにおいてその正当性を主張してまいります。

 

 イタリア共和国ペスカーラ県の租税局から、二重課税にかかる英伊租税条約(1998年)に反した行為があったとして、当社の英国子会社であるIBJノムラ・ファイナンシャル・プロダクツ(UK)PLC(2000年より清算手続き中。以下「IBJN」)に対して、イタリア株式の配当金に関して、同租税局による支払い請求がなされていました。2019年6月、イタリア最高裁判所は同租税局の主張を認め、IBJNに対し、IBJNが受領した還付金およびこれに対する経過利息として合計約38百万ユーロならびに金利を支払うべき旨の判決を言い渡しました。IBJNは2023年イタリア予算法に基づく租税特赦制度の適用を申請しました。この制度では、納税者が未決済の一定の租税について、元本のみを納付すればよいこととなっております。2023年10月、IBJNは元本額を支払い、租税特赦制度の適用を受けた結果、経過利息等の支払いが免除されました。

 

 2010年10月および2012年6月に、Fairfield Sentry およびFairfield Sigmaの2つのファンド(共に清算手続き中。以下総称して「Fairfield」)が過去にノムラ・インターナショナル PLC(以下「NIP」)に支払った償還金の返還を求めて、2件の訴訟がNIPに対して提起されています。Fairfieldは、米国のBernard L. Madoff Investment Securities LLC(米国証券投資者保護法に基づき2008年12月より清算手続き中。以下「BLMIS」)を主たる運用先としていました。1件目の訴訟は2010年10月5日にFairfieldの清算人が米国の州裁判所に提起したもので、その後、ニューヨーク南部地区米国破産裁判所に移送されました。2件目の訴訟はBLMISの破産管財人(以下「Madoff管財人」)がニューヨーク南部地区米国破産裁判所に提起した訴訟で、2012年6月に、NIPが被告として追加されたものです。これら2件の訴訟は、同じ約34百万米ドルの償還金および金利の返還を請求するものです。

 

 2011年11月、NIPは、ニューヨーク南部地区米国破産裁判所において、Madoff管財人からの訴状の送達を受けました。Madoff管財人は同様の訴訟を多数の法人に対して提起しています。Madoff管財人は、NIPがBLMISに投資を行うフィーダー・ファンドであったHarley International (Cayman) Limitedから償還金を2008年12月11日(BLMISに対して破産手続きが開始された日)以前の6年間に受け取ったと主張し、連邦破産法およびニューヨーク州法に基づき、約24.4百万米ドルおよび金利の返還を請求しています。

 

 当社の米国子会社では、住宅用不動産担保ローンを住宅用不動産ローン担保証券(以下「RMBS」)とする証券化を行っておりました。これらの子会社では、原則として、不動産を担保に自ら貸付を行うのではなく、第三者であるローン組成業者(以下「オリジネーター」)から不動産担保付ローンを購入しておりました。ローンの購入に際しては、オリジネーターからローン債権の内容に関する表明保証(representations)を受け入れておりました。証券化にあたって子会社が行った表明保証は、オリジネーターから受け入れた表明保証の内容をそのまま反映させたもので、その内容は概ね以下のとおりです。

 不動産担保ローンの証券化のためのローン債権に関して提供される表明保証とは、個々のローン債権に関する詳細なもので、ローンの借り手および当該不動産の特性に応じたものです。これらの表明保証には、借り手の信用状態、対象不動産価値のローン債権額に対する比率、対象不動産の所有者による当該不動産の居住利用状況、抵当権の順位等の情報、オリジネーターのガイドラインに従ってローンが組成された事実、およびローンが関連法令に従い適法に組成された旨の事実等が含まれます。子会社組成のRMBSの中には、いわゆるモノラインの保険会社が保険を付与して信用が補完されたものもありました。

 子会社の中には、2005年から2007年にかけて発行された一部のRMBSにつき、証券の信託受託者から、ローンを買戻すように請求を受けているものがあります。これらの請求は保険提供者であるモノラインや、投資家の要請によるものがあると思われます。各証券化から6年以内に当社子会社らが買戻請求を受けたローンの元本合計金額は3,203百万米ドルです。表明保証違反に基づく請求に適用される時効成立後に買戻請求を受けたものについては、当社子会社らは買戻しに応じていません。6年以内に買戻請求を受けたものについては、当社子会社らは個々の請求を精査し、請求の根拠がないと考えられるものについては異議を唱え、一定の意義を見出せる請求についてはローンの買戻しに応じています。当社子会社らが買戻しに応じなかった請求の一部については、契約違反として、2011年から2014年にかけ、証券の信託受託者から訴訟が提起されているものもあります。契約違反に関する請求に適用される6年の時効成立前に提起された訴訟については、却下されることなく引き続きニューヨーク州裁判所に係属中であり、証拠手続きが終了しました。当社は裁判外でこれらの紛争解決の可能性を模索しております。5信託に関する訴訟について和解契約を締結し、訴訟は終結しました。残る2信託については、証券保有者による和解契約の決議が完了しており、裁判所による和解契約の承認手続きが行われております。

 

 2013年3月、モンテパスキ銀行(以下「MPS」)は、MPSの元役員2名およびNIPに対して、当該銀行の元役員が2009年に不正にNIPとのデリバティブ取引(以下「当該デリバティブ取引」)を行わせ、またNIPがMPS元役員の違法行為に加担したとして、イタリアの裁判所に訴えを提起しました。また、NIPおよびMPSによる関連する訴えが英国の裁判所に提起されました。2015年9月、NIPは、その法的責任は認めない形で、MPSとの間で、MPSからNIPに支払われる金額を減額したうえで当該デリバティブ取引を終了する旨の和解契約を締結し、MPSとNIP間の民事訴訟は終了しました。

 

 2013年4月、イタリアのシエナ地方検察当局は、MPSおよびMPSの元役員らが当該デリバティブ取引において果たした役割等の解明のため捜査を開始し、その後ミラノ地方検察当局に引き渡されました。2015年4月3日、ミラノ地方検察当局は、予備捜査を終了する通知を発出し過去のMPSの決算に関して不正会計および相場操縦等があったとして、MPS、MPSの元役員3名、NIPならびにNIPの元役員および元職員2名の起訴に向けて手続きを進めていました。2016年10月1日、起訴の是非を判断する裁判所の予備審問が終了し、裁判官は、検察官との間で司法取引を行ったMPSを除く関係者について、審理を開始することを決定し、2016年12月に審理が開始されました。またこれに付随する手続きとして、MPSの株主から民事上の損害賠償請求が行われました。

 

 2019年11月8日、ミラノ刑事裁判所は、NIPの元役員および元職員を不正会計および相場操縦に関与したこと等について有罪とし、使用者であるNIPに対しても、345万ユーロの罰金および88百万ユーロの利益を没収する旨の判決を言い渡しました。また2020年5月12日付で、裁判所から、判決理由等の記載された判決書が交付されました。当該判決について、NIPはミラノ控訴裁判所に対し控訴しました。2022年5月6日、ミラノ控訴裁判所は原判決を破棄し、NIPの元役員および元職員を無罪とし、NIPについても、345万ユーロの罰金および88百万ユーロの利益を没収する内容の原判決を取り消す内容の判決を言い渡しました。判決書は、裁判所から2022年10月3日に交付されました。2022年11月、検察側が最高裁判所に対し上告しました。2023年10月11日、最高裁判所は検察側の上告を棄却しました。これにより、控訴裁判所での無罪判決が確定しました。

 

 上記のほか、NIPは当該デリバティブ取引にかかる以下に記載の事案を含む民事訴訟手続きおよび行政手続きに関与しています。

 

 2018年1月、Alken Fund Sicav(ルクセンブルク籍のファンドAlken Fund European Opportunities、Alken Fund Absolute Return Europeの代理人)およびファンド管理会社Virmont S.A.(旧Alken Luxembourg S.A.)(以下総称して「Alken」)がイタリアの裁判所において提起した訴訟の訴状がNIPに対して送達されました。本件訴訟はMPS、MPSの元役員および監査役合計5名ならびにNIPに対して提起されたもので、Alkenは約434百万ユーロおよび金利の損害賠償等を請求しています。2021年7月、裁判所はAlkenの請求を全て棄却しました。2022年2月、Alkenは当該判決について、ミラノ控訴裁判所に控訴しました。2023年11月、ミラノ控訴裁判所はAlkenからの控訴を棄却しました。2024年1月、Alkenは当該判決について、イタリア最高裁判所に上告しました。

 

 2019年5月、York Global Finance Offshore BDH (Luxembourg) Sàrlおよびそれに関連すると思われる多くのファンド(以下総称して「York」)がイタリアの裁判所において提起した訴訟の訴状がNIPに対して送達されました。本件訴訟はMPS、MPSの元役員および監査役合計3名ならびにNIPに対して提起されたもので、Yorkは約186.7百万ユーロおよび金利の損害賠償等を請求しています。2024年5月、裁判所はYorkの請求をすべて棄却しました。2024年6月、Yorkは当該判決について、ミラノ控訴裁判所に控訴しました。

 

 また、NIPはイタリア金融規制当局(以下「CONSOB」)より、当該デリバティブ取引に関する虚偽情報の市場への流布について課徴金調査手続きを開始する旨の送達を受けました。受領した通知では、当該デリバティブ取引に関連して、MPS、MPSの元役員3名、NIPの元役職員2名が被審人として挙げられており、NIPは当該元役職員に課せられる罰金の支払いに対して雇用者として連帯責任を負う者として挙げられておりました。2018年5月22日、CONSOBは、NIPの元役職員2名それぞれに対し、10万ユーロの罰金を命じる決定を下し、また、それらの元役職員が、それぞれ3か月間および6か月間、イタリア法に基づき必要となる上級職務資格の要件を満たさないとの決定を下しました。NIPは当該罰金の支払いに対して連帯責任を負うことから、これら罰金の支払いを行い、当該決定についてミラノ控訴裁判所に対し不服申立てを行いました。2020年12月、ミラノ控訴裁判所はCONSOBの決定を覆しました。CONSOBはイタリア最高裁判所に対し上訴しています。

 

 2021年5月20日、欧州委員会は、NIP、当社および他の複数の銀行に対し、欧州国債の発行および流通市場における取引に関連して欧州競争法に違反する行為があったとする決定を発出しました。欧州委員会は、欧州国債市場における反競争的な合意形成や協調的行動による欧州競争法違反を認定し、NIPおよび当社に対し、約129.6百万ユーロの課徴金の支払いを命じました。2021年8月、NIPおよび当社は、この決定に対し不服申立を行いました。当該課徴金については不服申立を行う場合でも支払が求められることから、暫定的に支払を行っております。

 NIPおよび当社の米国子会社であるノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc.(以下「NSI」)は、欧州国債の発行市場および流通市場における価格操作により米国独占禁止法違反があったとして、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提起された集団訴訟の被告となっていました。その後、NSIについては訴えが取り下げられています。

 

 野村は、債券発行に関連する金利スワップ取引に関連して、米国商品先物取引委員会(以下「CFTC」)からの情報提供の要請に対応しました。2021年2月1日、CFTCは、2015年に行われた金利スワップ取引に関連して、野村の社員1名に対し、米国商品取引所法の詐欺・価格操作および不実陳述規制に違反したとして、民事訴追手続きを開始しました。

 

 米国証券取引委員会(以下「SEC」)および米国司法省(以下「DOJ」)は、流通市場における住宅用不動産ローン担保証券取引におけるNSIの元職員数名の行為に対し、調査を実施しました。2019年7月、NSIはSECとの間で和解契約を締結し、SECによる調査は終結しました。2023年8月、NSIはDOJとの間で35百万米ドルの民事制裁金および影響を受けた顧客へ約0.8百万米ドルの賠償金を支払う内容で不起訴合意契約を締結し、DOJによる調査も終結しました。

 

 2017年9月および2017年11月、ノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITED (以下「NIHK」)およびノムラ・スペシャル・インベストメンツ・シンガポール Pte Limited(以下「NSIS」)はそれぞれ台北地方裁判所において、NIHK、NSIS、その関係会社、China Firstextile (Holdings) Limited (以下「FT」)および関係する個人に対してFirst Commercial Bank, Ltd.、 Land Bank of Taiwan Co., Ltd.、 Chang Hwa Commercial Bank Ltd.、 Taishin International Bank、 E.Sun Commercial Bank, Ltd.、 CTBC Bank Co., Ltd.、Hwatai Bank, Ltd. およびBank of Taiwan(以下総称して「FTシンジケート団銀行」)から提起された訴訟について送達を受けました。当該訴訟は、NIHKがアレンジャーを務め、NSISを含めたFTシンジケート団銀行によって実行されたFTに対する100百万米ドルのシンジケートローンに関連するものです。FTシンジケート団銀行は、台湾法の不法行為等を根拠として約68百万米ドルの損害賠償および金利の支払いを求めました。台北地方裁判所は2023年10月13日付判決において、FTシンジケート団銀行の請求を全面的に棄却しました。2023年11月、FTシンジケート団銀行8行のうち7行(First Commercial Bank, Ltd.、Land Bank of Taiwan Co., Ltd.、Chang Hwa Commercial Bank Ltd.、Taishin International Bank、E.Sun Commercial Bank, Ltd.、CTBC Bank Co., Ltd. およびBank of Taiwan)は台湾高等法院(高等裁判所)に控訴し、当該訴訟は2024年2月から同裁判所にて係属中です。約63百万ドルの損害賠償および金利の支払いを求めています。

 

 2017年8月、NIPは、ドイツのケルン検察より、野村グループの元社員らによる脱税行為への関与につき捜査を行っている旨の連絡を受けました。本件捜査は、2007年から2012年における特定のドイツ株について配当基準日前後に行われた取引の計画および実施、また税還付申告に関するものであり、元社員らの一部がドイツにおける捜査手続きの対象となっております。これにともない、NIPおよび野村グループの該当会社は、取引データその他関連資料の提出等の検察の要請に対応しております。2023年4月、野村グループのフランクフルトのオフィスに対し、検察による捜索が実施されました。特定のドイツ株について、上記以外の取引も捜査対象となっているものと思料されます。今後野村グループおよび元社員らに対する捜査が裁判に移行されるに至った場合には、判決により元社員らに刑事罰が科され、また該当会社に対して行政罰としての課徴金および利益没収等の処分が科される可能性があります。

 

 2022年8月以降、当社のインド子会社であるNomura Financial Advisory and Securities(India)Private Limited(以下「NFASI」)は、ボンベイ高等裁判所に同社を含む複数の被告とともに提起された3件の訴訟について送達を受けました。いずれの訴訟も同じ株式売却に関するものであり、原告らの株式売却について、NFASIがファイナンシャル・アドバイザーを務めていました。原告らは、NFASIがファイナンシャル・アドバイザーとしての義務を履行しなかった等と主張しています。請求額は、合計約28億インドルピーおよび金利です。

 

 2024年1月、NIPは、イタリアの会計検査院の検察官より通知を受領しました。当該通知は、NIPがイタリアの顧客との間で2005年に締結したアドバイザリー契約について実施された調査の結果をまとめたものであり、NIPが顧客に対し損害を生じさせたとの主張がされています。今後、検察官により損害賠償を求める民事訴訟が提起される可能性があります。

 

債務保証

 野村は、通常の業務の一環として、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証の方法で取引相手とさまざまな債務保証を行っており、こうした債務保証には一般に固定満期日が設定されております。

 

 加えて、野村は債務保証の会計上の定義に該当する一定のデリバティブ契約を行っております。こうしたデリバティブ契約は、被債務保証者の資産、負債または持分証券に関連する原証券の変動にともなって債務保証者が被債務保証者に支払いを行うことが偶発的に求められるような契約であります。野村は顧客がこれらのデリバティブ契約を投機目的で行っているのかまたはヘッジ目的で行っているかを把握していないため、債務保証の定義に該当すると考えられるデリバティブ契約に関して以下で情報を開示しております。

 

 これらのデリバティブ契約によって野村が将来支払う可能性がある潜在的な最大金額の情報として、契約の想定元本額を開示しております。しかしながら、金利キャップ売建取引および通貨オプション売建取引のような一定のデリバティブ契約に対する潜在的な最大支払額は、将来の金利または為替レートにおける上昇が理論的には無制限であるため、見積もることができません。

 

 想定元本額は、これらのデリバティブ契約から生じる予想損失額を表しているわけではありません。デリバティブ取引は公正価値で認識されているため、帳簿価額が個々の取引に対する支払可能性、履行リスクを最も適切に表すものと考えております。野村は反対取引や市場リスクをヘッジする契約を行うことで、これらの一定のデリバティブ契約に対するネットエクスポージャーを軽減することがあります。

 

 債務保証の定義に該当すると考えられる野村のデリバティブ取引、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証は以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

帳簿価額

 

潜在的な最大支払額または契約額

 

帳簿価額

 

潜在的な最大支払額または契約額

デリバティブ取引 (1)(2)

8,983,145

 

514,420,432

 

11,286,872

 

613,663,415

スタンドバイ信用状および

その他の債務保証 (3)

 

1,544,159

 

 

3,561,640

(1)クレジット・デリバティブは「注記3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」で開示されており、上記には含まれておりません。

(2)主にエクイティ・デリバティブ、金利デリバティブおよび為替取引で構成されております。

(3)主に特定のスポンサード・レポプログラムに関連して野村が清算機関に対して行う顧客の支払義務に関する保証を含んでおります。野村は当該保証の潜在的な最大支払額に対して、概ね同額の担保を顧客に要求することで、野村のエクスポージャーを最小化しています。

 

 2024年3月31日現在の債務保証の定義に該当すると考えられる野村のデリバティブ取引、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証にかかる満期年限別の情報は、以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

帳簿価額

 

潜在的な最大支払額または契約額

 

 

満期年限

 

 

1年以内

 

1~3年

 

3~5年

 

5年超

デリバティブ取引

11,286,872

 

613,663,415

 

137,188,347

 

236,495,377

 

53,281,097

 

186,698,594

スタンドバイ信用状および

その他の債務保証

 

3,561,640

 

3,517,487

 

24,321

 

16,976

 

2,856

 

20 セグメントおよび地域別情報:

[事業別セグメント]

 

 野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の区

分で行われております。野村の事業別セグメントの構成は、主要な商品・サービスの性格および顧客基盤ならびに経営

管理上の組織に基づいております。各事業別セグメントの収益と対応するサービスおよび商品については「注記4 顧客に提供したサービスから得た収益」をご参照ください。野村は、2024年4月1日付で「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称しました。

 

 セグメント情報の会計方針は、米国会計原則に基づいております。ただし、営業目的で保有する投資持分証券のうち一定のものから生じる評価損益の影響は、米国会計原則では税引前当期純利益(△損失)に含まれていますが、セグメント情報からは除外しております。

 

 各事業セグメントに直接関わる収益および費用は、それぞれのセグメントの業績数値に含め表示されております。特定のセグメントに直接帰属しない収益および費用は、経営者がセグメントの業績の評価に用いる野村の配分方法に基づき、各事業セグメントに配分されるかあるいはその他の欄に含め表示されております。

 

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期における事業別セグメントの業績を示したものであります。経営者は経営の意思決定上、金融費用控除後の金融収益を利用しているため、純金融収益が開示されております。総資産についての事業別セグメント情報は、経営者が経営の意思決定上当該情報を利用していないため経営者に報告されていないことから、開示しておりません。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

営業部門

 

インベストメント・マネジメント部門

 

ホールセール部門(1)

 

その他(消去分を含む)

 

2023年3月期

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金融収益以外の収益

297,496

 

120,096

 

809,681

 

175,034

 

1,402,307

純金融収益

2,695

 

8,463

 

△37,301

 

△10,316

 

△36,459

収益合計(金融費用控除後)

300,191

 

128,559

 

772,380

 

164,718

 

1,365,848

金融費用以外の費用

266,695

 

85,064

 

743,011

 

91,333

 

1,186,103

税引前当期純利益

33,496

 

43,495

 

29,369

 

73,385

 

179,745

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年3月期

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金融収益以外の収益

395,900

 

149,575

 

875,664

 

125,640

 

1,546,779

純金融収益

6,461

 

4,568

 

△9,517

 

24,050

 

25,562

収益合計(金融費用控除後)

402,361

 

154,143

 

866,147

 

149,690

 

1,572,341

金融費用以外の費用

279,682

 

93,945

 

812,236

 

102,287

 

1,288,150

税引前当期純利益

122,679

 

60,198

 

53,911

 

47,403

 

284,191

 

(1)2023年3月期の金融収益以外の収益および金融費用以外の費用に米国顧客との取引に起因した損失からの回収額12,025百万円を含みます。なお、連結損益計算書上、トレーディング損益に9,954百万円、金融費用以外の費用-その他に△2,071百万円が含まれております。

 

 事業セグメント間の取引は、通常の商取引条件によりそれぞれのセグメント業績に計上されており、消去はその他の欄において行われております。

 

 次の表は、その他の欄の税引前当期純利益(△損失)の主要構成要素を示したものであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

経済的ヘッジ取引に関連する損益

△4,846

 

2,021

営業目的で保有する投資持分証券の実現損益

28,385

 

21,027

関連会社損益の持分額

47,744

 

46,420

本社勘定

△12,590

 

△11,997

その他(1)(2)

14,692

 

△10,068

73,385

 

47,403

 

(1)2023年3月期の利益には、株式会社野村総合研究所普通株式の売却関連利益約280億円が含まれております。

(2)その他には、自社の信用リスクによる影響額等が含まれております。

 

 次の表は、前出の表に含まれる合算セグメント情報の、野村の連結損益計算書上の収益合計(金融費用控除後)、金融費用以外の費用計ならびに税引前当期純利益(△損失)に対する調整計算を示したものであります。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

 

2024年3月期

収益合計(金融費用控除後)

1,365,848

 

1,572,341

営業目的で保有する投資持分証券の評価損益(1)

△30,271

 

△10,341

連結収益合計(金融費用控除後)

1,335,577

 

1,562,000

 

 

 

 

金融費用以外の費用計

1,186,103

 

1,288,150

営業目的で保有する投資持分証券の評価損益

 

連結金融費用以外の費用計

1,186,103

 

1,288,150

 

 

 

 

税引前当期純利益

179,745

 

284,191

営業目的で保有する投資持分証券の評価損益(1)

△30,271

 

△10,341

連結税引前当期純利益

149,474

 

273,850

(1) 売却した投資持分証券にかかる評価損益の戻入れを含んでおります。

 

[地域別情報]

 野村の識別可能な資産、収益および費用の配分は、一般にサービスを提供している法的主体の所在国に基づき行われております。ただし、世界の資本市場が統合され、それに合わせて野村の営業活動およびサービスがグローバル化しているため、地域による厳密な区分は不可能な場合があります。こうしたことから、以下の地域別情報の作成に際しては複数年度にわたり一貫性のあるさまざまな仮定をおいております。

 

 次の表は、2023年3月期および2024年3月期における地域別業務ごとの収益合計(金融費用控除後)および税引前当期純利益(△損失)ならびに2023年3月末および2024年3月末時点での野村の事業にかかる長期性資産の地域別配分を示したものであります。米州および欧州の収益合計(金融費用控除後)は、主にそれぞれ米国および英国における野村の事業から構成されております。なお、地域別配分方法において、収益合計(金融費用控除後)および長期性資産については外部顧客との取引高を基準とし、税引前当期純利益(△損失)については、地域間の内部取引を含む取引高を基準としております。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期(2)

 

2024年3月期

収益合計(金融費用控除後)(1)(2):

 

 

 

米 州

290,036

 

453,069

欧 州

163,977

 

269,292

アジア・オセアニア

68,817

 

56,684

小計

522,830

 

779,045

日 本

812,747

 

782,955

連 結

1,335,577

 

1,562,000

 

 

 

 

税引前当期純利益(△損失)(2):

 

 

 

米 州

△51,743

 

14,650

欧 州

9,206

 

△33,064

アジア・オセアニア

31,003

 

23,795

小計

△11,534

 

5,381

日 本

161,008

 

268,469

連 結

149,474

 

273,850

(1)単独で重要とみなされる外部の顧客との取引から生ずる収益はありません。

(2)米国顧客との取引に起因した損益を含みます。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月31日

 

2024年3月31日

長期性資産:

 

 

 

米 州

114,946

 

121,633

欧 州

53,161

 

62,063

アジア・オセアニア

23,839

 

33,820

小 計

191,946

 

217,516

日 本

308,941

 

270,924

連 結

500,887

 

488,440

 

21 関連当事者取引:

 

 野村は取締役およびその他の関連当事者に対し資金の貸付を行っております。取締役およびその他の関連当事者に対する貸付は重要ではありません。

⑥【連結附属明細表】

 社債および借入金等の内容につきましては、「[連結財務諸表注記]5 担保付取引、8 リースおよび10 借入」に記載されております。リース債務の平均利率については、リース料総額に含まれる利息相当額を控除する前の金額でリース債務を連結貸借対照表に計上しているため、記載しておりません。

 

 当連結会計年度期首および当連結会計年度末における資産除去債務の金額が、当連結会計年度期首および当連結会計年度末における負債および純資産の合計額の100分の1以下であるため、連結財務諸表規則第92条の2の規定により記載を省略しております。

 

 

(2)【その他】

 当連結会計年度における四半期情報等

 

第1四半期

連結累計期間

第2四半期

連結累計期間

第3四半期

連結累計期間

第120期

連結会計年度

 

 (自2023年4月1日

  至2023年6月30日)

 (自2023年4月1日

  至2023年9月30日)

 (自2023年4月1日

  至2023年12月31日)

 (自2023年4月1日

  至2024年3月31日)

収益合計(百万円)

893,353

1,906,053

2,986,540

4,157,294

収益合計(金融費用控除後)(百万円)

348,913

716,673

1,116,898

1,562,000

税引前四半期(当期)

純利益(百万円)

46,310

103,045

181,756

273,850

当社株主に帰属する

四半期(当期)純利益(百万円)

23,331

58,563

109,113

165,863

1株当たり当社株主に帰属する四半期(当期)純利益(円)

7.71

19.34

36.08

54.97

 

 

第1四半期

連結会計期間

第2四半期

連結会計期間

第3四半期

連結会計期間

第4四半期

連結会計期間

 

 (自2023年4月1日

  至2023年6月30日)

 (自2023年7月1日

  至2023年9月30日)

 (自2023年10月1日

  至2023年12月31日)

 (自2024年1月1日

  至2024年3月31日)

1株当たり当社株主に帰属する四半期純利益(円)

7.71

11.61

16.77

18.92