第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

中長期的な経営方針及び対処すべき課題

 当社グループは、「知恵」「実行」「貢献」の社是のもと、知恵で地理空間情報のイノベーションを実行し社会資産の豊かな発展に貢献することを経営理念に掲げ、事業活動を行っております。

 

(1) 当社グループの経営方針

 当社グループでは次の社是、経営理念、行動指針を定め、経営を行っております。

 ・社是

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 ・経営理念

知恵で地理空間情報のイノベーションを実行し社会資本の豊かな発展に貢献する。

 ・行動指針

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(2) 中期的な経営目標

 当社グループは、優秀な人財の確保とその人財への教育制度の充実が経営の基礎と考えております。その中で、測量業務のソフトウェアから測量計測機器までのトータルでのソリューションを実現し、且つ、自動車の自動走行に必要とされる高精度三次元地図に「測量」の技術を融合させることのできる国内唯一の企業として、当社が社会に果たすミッションとして次のとおり定めております。

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(3) 中期経営計画(2024年4月~2027年3月)

 前中期経営計画に実施した投資を収益に転換すべく、売上高80億円を目指し、取り組んでまいります。

公共セグメントでは、新規の製品、サービスをリリースし、安定した収益を獲得することを目指します。一方、モビリティ・DXセグメントでは、自動運転の社会実装の事業本格化を目指すとともに、高精度三次元技術を基盤とした新たなDX事業にチャレンジします。コーポレート部門では、上記目標実現には人財投資が必要な状況であり、積極的な採用を継続するなど人的資本経営の推進とともに、資本コストを意識した経営にも取り組んでまいります。

 

①2030年にありたい姿

1.コア事業である公共セグメントにおいて競争力を高め、持続的成長する収益基盤を構築します。

2.戦略事業であり成長分野であるモビリティ・DXセグメントにおいて自社の強みを活かし、コア事業へ引き上げるとともに、3D DX分野で新たな事業の柱として独立させます。

3 一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮し、それぞれが成長でき、新しいことにチャレンジし、成果をあげることが可能な企業を目指します。

 

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②中期経営計画(2024年4月~2027年3月)の位置づけ

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営業利益の推移のイメージ

 

③中期経営計画(2024年4月~2027年3月)の基本方針及び経営目標

 ・基本方針

基本方針1

持続的成長の基礎となる製品・ソリューションの開発力強化

基本方針2

持続的成長を支える人財の獲得とその育成・スキルアップを図る

基本方針3

持続的成長を実現する「科学的」営業活動の実践

基本方針4

チャレンジ事業に経営資源を集中するとともにグループ全体でのシナジーの創出

基本方針5

資本コストを意識した経営の実践により企業価値向上を実現する

 

   ・経営目標

経営目標1

2027年3月期において営業利益8.5億円を目指す

経営目標2

Development(開発と創造)& Evolution(進化)の実践

経営目標3

顧客起点の発想で、体験価値を提供する

経営目標4

自動運転に係る技術、ノウハウを収益に変える

経営目標5

広報活動の強化とともにCS、ES、IR、SR活動の実践

その結果、企業価値向上へ繋げる

 

④2027年3月期定量目標

 新中期経営計画の最終年度である2027年3月期の売上高は80億円、営業利益8.5億円、売上高営業利益率は10%を目標水準とします。当面は、「Development & Evolution」のスローガンを掲げ、公共セグメントでは、新規の製品、サービスをリリースし、安定した収益を獲得することを目指します。一方、モビリティ・DXセグメントでは、自動運転の社会実装の事業本格化を目指すとともに、高精度三次元技術を基盤とした新たなDX事業にチャレンジします。コーポレート部門では、上記目標実現には人財投資が必要な状況であり、積極的な採用を継続するなど人的資本経営の推進とともに、資本コストを意識した経営にも取り組んでまいります。

 

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(注)売上高及び営業利益の増減は2024年3月期比の数値です。

 

(4)サステナビリティへの取り組み

 企業におけるサスティナビリティの実現は、2015年に国連サミットで採択されたSDGsの取り組みの拡がりと浸透と共にグローバルに注目を集めています。その実現に向けては、CSRを踏まえたESGによる企業活動が欠かせません。以上を受け、当社グループでは、サスティナビリティの実現に向けて次の観点から、当社グループの社是の下で、その取り組みに努める所存です。

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・サスティナビリティ基本方針

 当社グループでは、社是、経営理念のもとAisan’s missionで掲げる「未来の社会インフラを創造する」を推進する事業そのもので社会的課題の解決を目指します。その取り組みにあたっては、「環境」「社会」の両面において、多くのステークホルダーの皆様とともに積極的に推進してまいります。

 具体的な取り組みに関しては以下に記載の通りです。

 

①測量で、自動運転で社会インフラ整備

建設、運送業における2024年問題、地域公共交通の維持、所有者不明土地・空き家問題、道路や橋梁といった社会インフラの老朽化と数多くの社会的課題があり、それら課題の解決のための事業活動を行っております。

また、地震、豪雨時の災害なども頻繁に発生する環境にあり、その発生時には、お客様の業務を支援するプログラムを用意し、速やかな復興に向けた貢献を行っております。また、震度5強以上の地震発生時には、電子基準点の情報を観測し、その地域の地殻変動量を算出したレポートを公開し、位置情報の正確性にお役立ていただいております。

自動運転の実証実験においては、国、自治体、交通事業者をはじめとするパートナーの皆様と連携し、数多くの実用化に向けた実証実験を行ってまいりました。新たな移動手段を社会に提供し社会課題を解決することを目的として、人材や技術など投資も進め、グループ会社であるA-Drive株式会社とともに事業モデルの構築を加速化させてまいります。また、新たな街づくりとして期待される「スマートシティ」や「スーパーシティ」のプロジェクトにも積極的に参画しています。

②人事制度改定により70歳定年制度へ

少子高齢化の時代が進み、人生100年時代と言われる昨今、経験とノウハウを持つ高年齢者が、意欲と能力のある限り、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会をサポートする制度を設けることが社員、会社のお互いにメリットがあると考えます。

また、国の社会保障制度としても65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換等を求めているのと同時に、年金の受給開始時期の見直しの議論も行われようとしております。このような社会環境に対応すべく、当社グループでは、2020年4月に人事制度を改定し、従来の60歳定年制度を70歳までの年度で社員個々が定年年齢を選択可能な制度を創設し、運用を行っております。

③多様な人財が活躍できる職場を目指し、従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みへ

社員各々の価値観が多様化する中、どのように事業の成果を上げるか、そのための働き方の多様化が求められています。また、出産、育児、介護が必要な環境下においても、就業継続可能な環境を用意することが経験を持った優秀な社員の離職を防ぐため重要と考えております。当社グループでは、従来より出産、育児、介護から復帰を可能とする休暇制度とともに、短時間勤務制度、コアタイムなしのスーパーフレックスタイム制度、在宅勤務制度を設けており、過去10年間、出産・育児を理由とした離職率は0%を維持しております。

また、現在は全社員を対象にコアタイムなしのスーパーフレックスタイム制度、在宅と出社を併用できるテレワーク制度、副業制度などを運用しております。加えて男性社員の育児休業取得の意識向上にも努めております。2022年1月から2年間の「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」の計画期間において、対象者が少ないながら2名の男性社員が育児休業を取得、2025年3月期には現時点で2名が取得予定としております。

当社グループでは社員のやりがい、満足度の調査を実施し、人事制度の見直し、組織設計に活用しております。今後も本調査を活用することで社員一人一人が活躍できる職場環境を提供できるよう取り組んでまいります。

④改訂コーポレート・ガバナンスコードへの対応を通じたガバナンス体制の強化

「知恵」「実行」「貢献」の社是に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底を図るとともに、リスクマネジメントの徹底に努めております。

2021年6月にコーポレート・ガバナンスコードが改訂されるとともに、2022年4月には、東京証券取引所において、市場再編が行われました。

当社グループでは、スタンダード市場として求められる事項に加え、経営方針に沿って有益な事項は積極的に取り組んでおります。その取り組みについては、ウェブサイトで公開しております。

具体的には、独立社外取締役の増員など取締役会の機能強化を実施するとともに、投資家との対話の充実を更に進めてまいります。

また、昨今ではグループ会社による不正などのニュースも散見されることから当社グループでもグループ全体のガバナンス強化に取り組んでまいります。その取り組みとして、グループ会社の会社機関設計を統一し、全会社にアイサンテクノロジーより取締役、監査役を派遣します。各監査役はアイサンテクノロジーの監査役会、内部監査室とも連携し、決算情報、業務執行の適正性をチェックしてまいります。

⑤期末連結従業員数235名(※契約社員等を含む)体制へ

2027年3月期以降の成長のためには、現在の社員の年齢構成を変える必要があるとともに人員数も不足する状況です。そのため、2025年3月期までの2年間に集中的に人財獲得とその育成を目指します。グループ会社含めて、人財要件を明確にし、新卒採用、キャリア採用中心に人財投資を実行することが必要です。

加えて、当社グループに入社した社員の育成プログラムも構築し、安定した活躍の場を設けるとともに、定期的に社員の意識調査を行い、必要に応じ配置転換、リスキリングにも取り組んでいく方針です。

併せて、M&Aを活用することで、上記で不足する部分を補完することも常時検討を行っております。

⑥生産性の向上を目指してDX推進

当社グループでは、ITやクラウドサービスを積極的に活用し業務の効率化を実現することで、社員は、人間にしかできない戦略的な業務に集中することが可能となり、働き甲斐を向上させるよう取り組んでまいりました。2024年3月期からは、生成AIの利活用を業務に取り入れるべく試験的な導入にも着手しております。

環境面への配慮からは、紙資源の利用を抑制するためにペーパーレス化を推進しております。取締役会では数年前よりペーパーレス化を図り、資料の紙での配布を廃止しております。また、お客様への納品書、請求書も電子化するサービスを導入しております。

加えて契約書類の一部や取引における書面のやり取りは電子署名技術を活用した電子契約サービスを導入し、運用を行っております。これらの取り組みは環境面のみならず、間接業務の生産性向上にも寄与するものと考えております。

これらの取り組みが有益であることを示す、国がその取り組みを認定する制度の「DX認定制度」へもチャレンジしてまいります。

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(5)2025年3月期業績見通し

 「中期経営計画(2024年度~2026年度) Development & Evolution」の1年目として定量的な目標達成に取り組んでまいります。その中期経営計画の基本方針は、以下の通りです。

① 持続的成長の基礎となる製品・ソリューションの開発力強化

② 持続的成長を支える人財の獲得とその育成・スキルアップ

③ 持続的成長を実現する「科学的」営業活動の実践

④ チャレンジ事業に経営資源を集中とともにグループ全体でのシナジーの創出

⑤ 資本コストを意識した経営の実践による企業価値向上の実現

 この基本方針を達成するにあたり、前中期経営計画から継続して、次期においても、当社グループの事業活動のコアとなる人財補強を実施し、その育成による早期の収益貢献を目指します。中期経営計画の2年目以降においては、その人財の成長が新たな事業開拓、創出を行うとともに、既存事業の収益性改善に繋げることで、最終年度の目標達成を目指します。次期は、そのための基盤を構築する重要な1年と考えております。

 また、2025年3月期における連結業績予想は以下の通りであります。

 

 アイサンテクノロジーグループの連結実績及び次期の業績予想

  (単位:千円)

 

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(計画)

対前期増減額

対前期増減率

売上高

5,478,528

6,000,000

521,471

9.5%

営業利益

449,601

350,000

△99,601

△22.2%

経常利益

455,651

335,000

△120,651

△26.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

340,353

221,000

△119,353

△35.1%

 

 各セグメントにおける次期の市場環境を含めた見通しは以下の通りです。

 なお、報告セグメントについて、従来は市場別に「公共セグメント」「モビリティセグメント」「その他」と区分しておりましたが、2025年3月期より、社内の本部体制をソリューション別に変更したことに伴い、取締役会において適切な意思決定を行うことを目的に、「公共セグメント」「モビリティ・DXセグメント」「その他」の3区分に変更しております。「公共セグメント」は、創業来培ってまいりました測量・不動産登記にかかるお客様の業務を効率化するソリューションを展開する事業とし、「モビリティ・DXセグメント」は、従来のモビリティの分野に加え、自治体をはじめ土木・建設・交通・自動車分野を横断的にDX推進する事業となります。

 新たな報告セグメントごとの主要な市場及び製品は以下の通りです。

 

報告セグメント

主要な市場と製品等

公共セグメント

(主要な市場)

測量・不動産市場を主たるターゲットとしています。

(製品等)

測量土木関連ソフトウェア及び保守サービス、三次元点群処理ソフトウェア、測量計測機器及び関連サービス、土地・河川ならびに海洋に関する各種測量、その他関連ハードウェア 等

モビリティ・DX

セグメント

(主要な市場)

自動車関連、MaaS関連の市場ならびに自治体、土木、建設3次元DXを担う市場を主たるターゲットとしています。

(製品等)

MMS計測機器及び関連製品、三次元計測・解析業務の請負、高精度三次元地図データベース構築業務の請負、自動運転システム構築、自動運転の実証実験請負、衛星測位に係るサービス、三次元点群処理ソフトウェア、その他関連ハードウェア 等

その他

不動産賃貸業

 

 

 

 

a.報告セグメント別の業績見通し

                                           (単位:千円)

 

 

2025年3月期

(計画)

公共セグメント

売上高

2,928,000

セグメント利益

378,000

営業利益率

12.9%

モビリティ・DX

セグメント

売上高

3,062,000

セグメント利益

191,000

営業利益率

6.2%

その他

売上高

10,000

セグメント利益

4,550

営業利益率

45.5%

 

b.報告セグメント別の当連結会計年度末における請負契約に係る受注残高(次期に売上計上予定)

 

公共セグメント

モビリティ・DX

セグメント

合計

計測機器販売及び関連サービス

9,186

9,186

各種請負業務及び関連サービス

34,839

257,573

292,411

合計

34,839

266,759

301,597

 

c.報告セグメント別の次期の見通し

(公共セグメント)

 測量・不動産登記に係る市場においては、不透明な経済状況下において、お客様の設備投資意欲の低下や、測量機器などのハードウェア関連の生産遅延、在庫不足による商談機会を逸するリスクが存在しております。そのような環境下においても、引き続き、三次元データの利活用推進の動きは加速するものと考えられます。また、新型コロナウイルスの影響も落ち着いたことから、積極的な営業エリアの拡大を行うとともに、販売パートナーとの関係強化も図り、顧客・販売店との対面営業推進も行います。

・当社グループの主力製品である「WingneoINFINITY」の定期的なアップデート、サポートサービスに加え、新たな製品・サービスのリリースを継続的に行うことで安定した収益の獲得を目指すとともに、効果的な分野、地域への販売コストの集中的な投下により、収益性の改善を図っていきます。

・2021年4月に成立した所有者不明の土地問題を解消するための関連法案に加え、2023年4月には「相続土地国庫帰属制度」が開始するなど、活性化が予測される不動産登記行政に対し、様々なサービス、製品提案の強化や、官公庁事業の推進などを行うことで、従来と異なる顧客からの収益確保を目指していきます。

・建設関連業界におけるi-Constructionの流れは次期以降も引き続き顕著であり、三次元データの活用を可能とするソリューションの提供を行い、補助金活用や税制優遇を活用したお客様の生産性向上の提案を推進してまいります。

・「GEOMARKETセンター」では中古測量機器やレンタルの需要も高まっており、2024年1月に子会社化を行った「有限会社秋測」に事業移管を行いました。これらの事業のシナジーによる収益拡大を目指すとともに、当社の測量機器販売においても当社グループにしかできない付加価値をつけた提供を目指してまいります。

・次期の第1四半期業績に関しては、すでに契約済みのサポートサービスによる最新バージョンの出荷に伴う売上計上が予想されるとともに、当連結会計年度からの継続案件による収益計上が見込まれます。

・前連結会計年度までは、MMS計測機器及び関連製品、およびMMSを用いた三次元計測・解析業務の請負に関連する売上高を公共セグメントに区分しておりましたが、報告セグメントの見直しを行い、次期よりモビリティ・DXセグメントに移管することといたしました。その影響により、公共セグメントにおける売上高及び利益は、前連結会計年度と比較し、減少となる見込みです。

 

 

(モビリティ・DXセグメント)

 自動車関連市場においては、国を挙げて自動運転への取り組みが加速しており、内閣府によるITSロードマップ2020においても、その実用化時期を2025年度とした様々な法改正や制度改正が進んでおります。本事業セグメントにおいても、2025年度をターゲットとして事業を推進しており、それまでの投資局面においては、様々な自治体やパートナー企業と連携し、高精度三次元地図の整備、実証実験、モビリティ開発、スマートシティやスーパーシティプロジェクトへの参画等を進め、2025年度以降の当社のビジネスモデルを構築してまいります。加えて、これらの事業を通じて培ってきた高精度三次元技術を基盤とし、新たなDX事業に参入すべく、様々な営業・投資活動を計画しております。そのためにも人財確保と育成および研究開発を各専門分野で実施し、またパートナー連携の強化、プロジェクトの深化などを進め、将来の収益性の向上を図ります。

・高精度三次元地図関連事業では、引き続きパートナー企業との連携を深め、今後のニーズ拡大が期待される自治体向け高精度三次元地図データの利活用に向け、自動運転用地図の配信基盤の研究開発に取り組むとともに、スマートシティやスーパーシティなどで期待される高精度三次元地図データプラットフォームなどへの取り組みを進めてまいります。また、本事業の収益性を更に高めるため、自社開発の地図生産ソフトウェアの機能性をさらに高め、地図データ生成における生産性向上と品質強化の取り組みを強力に推進してまいります。

・自動走行に係る車両構築や実証実験においても、国の掲げるロードマップに即し、新たな移動手段を社会に提供し社会課題を解決することを目的として、グループ会社の「A-Drive株式会社」、多くの外部パートナー企業と連携し、全国自治体との対話を進め、将来の実用化に向け今後も積極的に推進するとともに、人財や技術などへの投資も進め、事業モデルの構築を加速させてまいります。

・国土交通省の推進する「インフラ分野のDX」を実現させるべく、三次元データのDXを推進し、新たな収益モデルを確立するための営業活動及び研究開発に取り組んでまいります。その為にも、今まで培ってきたパートナーとの連携に加え、人財採用活動や市場調査を推進し、ビジネスモデルの構築を目指します。

・次期の第1四半期において、当連結会計年度から納品が繰り越された収益を計上する予定です。

 

(6) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

 当社グループでは、「社是」「経営理念」に基づき中長期的に企業グループとしてあるべき姿を示した「2030年にありたい姿」を定め、その目標を達成すべく「中期経営計画」を策定し、その成長戦略に沿って事業活動を行っております。事業活動を行うに際しては、資本コストや株価を意識した経営をはじめ、上場企業の一員として対応すべき事項、社会変化や技術革新など外部環境の変化に伴う機会と脅威が存在するとともに、事業を継続するうえで普遍的な課題が存在しています。これらに適切に対応することで、持続的な成長に繋がるものと考えますが、対応を誤ると、獲得できる可能性のあった収益を失うことにもなります。現在、1ドル160円も一時的に超える円安ドル高といった為替変動や不安定な国際情勢に起因する様々な価格の高騰など物価指数が上昇する事業環境下において、測量・不動産登記に係る市場における技術革新への対応やモビリティ分野における自動運転の実用化社会に向けた開発競争が激しくなるなど、目まぐるしく変化する経営環境の中、「知恵・実行・貢献」の社是のもと「未来の社会インフラを創造する」企業として、持続的な成長を目指すべく、2025年3月期より「Development & Evolution」のスローガンを掲げた新しい中期経営計画の達成に向け、以下の通り取り組んでまいります。

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①地政学リスクへの対処すべき課題

 当社グループにおける主たる事業活動の地域は、国内が中心であり、直接海外での事業活動を展開していないことから、地政学リスクの直接的な影響は小さいものと判断しております。しかしながらその影響による国内外の景気や経済活動の動向による間接的な影響を受けることとなります。

 具体的には、お客様の投資マインドの低下、生産・入荷の遅延や為替変動による一部仕入商品の価格などへの影響などがあげられます。

 当社グループでは、このようなリスクに対応すべく、多方面での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行うとともに、将来の取引の見込みより適正な在庫管理を行うなど実施していかなければいけません。

 

②中期的な対処すべき課題

 当社グループでは、前中期経営計画に実施した投資を収益に転換すべく、「中期経営計画(2024年4月~2027

年3月) Development & Evolution」にて掲げる2027年3月期の連結業績目標である売上高80億円、営業利益

8.5億円を目指し、取り組んでまいります。

 当社グループの事業活動では幅広い人財が必要となります。そのためには、競争の激しい採用市場で当社の魅力を示し、計画する人財の確保と育成に取り組まなければいけません。また、自社でソリューションするソフトウェアやサービスの研究開発を行い、その成果として利益率の高い製品を継続的にリリースしていかなければいけません。加えて、成長分野である自動運転に係る事業分野においては、2025年の社会実装に向け、幅広い自治体、交通事業者に対し、多くのパートナー企業と連携し、その地位を確立することが企業グループとしての成長には欠かせません。

 最後に、高精度三次元解析技術の向上により土木・建設・交通・自動車分野のDXを推進し、新たな市場と収益を獲得すべく新たな事業の柱に育てることが「2030年ありたい姿」のために重要となります。

 

③各事業分野における対処すべき課題

(コーポレート部門)

・「資本コストや株価を意識した経営」が求められており、その対応が求められております。その取り組みとして2024年5月に具体的な行動目標を策定し、その達成に向け取り組みを推進する。具体的には、売上高営業利益率、ROE、ROA、ROICの改善によりPBRを向上させる取り組みを実施します。

・株主・投資家への情報発信・対話を強化し企業価値の向上に努めます。

・人的資本経営として人財の獲得と共に社員の成長を支え一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮できる職場環境を目指します。

・社員のやりがい、満足度の調査を実施し、人事制度の見直し、組織設計に活用するなど従業員エンゲージメントの向上に努めます。また、男性社員が育児休業を取得できる環境整備と社員の意識向上に努めます。

・ESG経営の実践により、中長期的な持続的成長のため、変化する環境問題への取り組み、社会とのつながり、ガバナンスを強化への取り組みを実施します。なお、2024年3月期における取り組み内容は、「サステナビリティへの取り組み」及び「ESGへの取り組み」に記載のほか、2024年5月10日に「サステナブルレポート2024」(※1)を開示した通りです。

・DXを推進し、それをお客様へ提供する製品、サービスに活用するとともに業務にも活かすことで生産性の向上を図ることが必要です。加えて情報セキュリティ対策を適切に講じ、セキュリティ事故を未然に防ぐことも企業としての重要な責務となります。当社では、2024年5月10日に「DX戦略2024」(※2)を定め、生成AIの活用を始め、具体的な取り組みの指針としております。

 以上により、持続的に成長する企業として、公正で透明性の高い、社会から信頼を寄せられる経営を進めることがコーポレート部門における対処すべき課題となります。

 

※1「サステナブルレポート2024」は以下からご覧いただくことが可能です。

   https://aisan-corp.com/ir/management/sustainability/

DX戦略2024は以下からご覧いただくことが可能です

   https://aisan-corp.com/ir/management/dx-strategy/

 

(公共セグメント部門)

 公共セグメントにおいては、何よりも優先すべき事項は、新たな自社ソリューションのリリースを市場に提供し、収益を獲得することが重要な課題となります。具体的な取り組み目標は以下の通りです。

・製品企画・開発の強化を行い製品・サービスのスピーディ且つ継続的な提供を行います。

・顧客体験を重視し、ユーザが安心して製品を利用できる環境を提供します。

・販売店との情報共有を進め、信頼関係を更に強めたパートナー体制を構築します。

・積極的な情報発信を行うと同時に市場情報を収集し将来を見据えた提案をします。

・業界をリードする人財育成、人財投与を積極的に実施します。

 以上により、安定した収益の獲得のため、新規の製品・サービスをリリースし、市場占有率を高め、収益性の改善に努めることが本事業分野における対処すべき課題となります。

(モビリティ・DXセグメント部門)

 モビリティ・DXセグメントにおいては、2025年度の自動運転社会実装に向けた体制を2025年3月期に構築が最重要の課題となります。具体的な取り組み目標は以下の通りです。

・全国自治体・交通事業者との連携で自動運転社会実装領域での収益獲得を目指します。

・これまでのモニター実証ノウハウの積み上げからのストックビジネスモデルを確立します。

・モビリティ領域で、自社ソリューション領域を拡張し、収益性を向上させます。

・高精度三次元地図の生産性向上させ、市場競争力を高めます。

・DX領域で三次元データのDXを推進し、新たな収益モデルを確立します。

 2025年に向けて自動運転の社会実装の事業本格化を目指すとともに、高精度三次元技術を基盤とした新たなDX事業にチャレンジすることが本事業分野における対処すべき課題となります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のコーポレート・ガバナンスにはサステナビリティに対する考えも含まれており、環境問題への課題が重要と認識し、環境、社会、ガバナンスを重視したESG経営の取り組みを行っております。

 詳細は2024年5月10日に開示した「サステナブルレポート2024」の通りです。下記ウェブサイトをご覧ください。

 https://aisan-corp.com/ir/management/sustainability/

 なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、取締役会設置会社の体制を取っており、経営の基本方針や経営上の重要な事項について意思決定する機関であるとともに、業務の執行状況を監督する機関であると位置付け、意思決定の迅速化と経営の透明性の向上に努めております。取締役会から委ねられた業務の執行に当たっては、経営体制をより強固なものとするとともに、機動力を高め経営力の一層の強化を図ることを目的に、最高経営責任者である代表取締役社長が経営全般を統括し、各事業部門の責任者である本部長が各事業部門単位で事業全般の執行責任を担う体制としております。経営に対する監督機能と客観性を担保するため当連結会計年度では取締役2名を独立社外取締役としております。

 国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまで以上に環境に対する意識、求められることが高まっており、当社グループを取り巻く環境も変化しております。このように変化する環境に対応し、持続的な成長を実現するための体制は取締役会を中心に構築しております。

 長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、取締役会の中で適宜、各取締役より活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。また、重要な課題については、中期経営計画の中で取り上げるなど、対応策の推進を行っております。

 これらの詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご確認ください。

 

(2)戦略

 当社グループでは、さまざまな年齢、性別、国籍、雇用形態や働き方、価値観などを持つ方々を「多様な人財」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮できる職場環境を目指すことにより、社是にある「知恵・実行・貢献」を実践し持続可能な社会を実現するための事業活動を行い、持続的な成長と中長期的な価値の創出に取り組んでまいります。

 具体的には、以下の人財開発投資の取り組みを行うことにより、生産性向上にもつながり、会社利益・企業価値向上に寄与するものと考えております。

1. 事業活動の源泉は人財であり、社員一人ひとりが活躍できる環境を目指します。

2. 当社グループとマッチする社員を新卒採用やキャリア採用を通じて確保します。

3. 社員はコストではなく、人的資産と考え、継続的なスキルアップを実現する教育プログラムを整えます。

4. 給与体系の充実と従業員満足度の向上にも努めていきます。

5. 所属する組織とのミスマッチを防ぎ、「変化・変革」へ果敢に挑戦し続け、活躍機会を増やします。

 

① 人財育成方針

 当社グループにおける事業拡大や成長においては、社員の成長が不可欠となります。そのため、階層別教育を年間通して実施し、社員の育成に取り組んでおります。社会人として身に着けておくべき知識を習得できるよう、eラーニングを中心に用いて、コンプライアンス、会計、労務、ビジネスマナーなど幅広いテーマを選定しております。また、専門性の高い研修については、実践を通じて取り組んでおります。特に当社グループにおいては、職種に関係なく、「測量」が事業の根幹であり、その基礎知識を習得できるよう、「測量」のプロ集団であるグループ会社「三和」を講師に研修プログラムを実施しております。

 その他にも、開発言語、品質管理、三次元計測等の研修や営業コンサルティングなどを活用しております。これらの成果として、お客様へ最新技術を用いた高品質の製品やサービスを提供できる、主体的に考え行動する自律型人財であるプロ集団の育成を目指してまいります。

 

② 人的資本経営のための環境整備方針

当社グループでは、社員一人ひとりが、「変化・変革」に対し、主体的に考え、果敢に挑戦し続けることができるように、職場の安全と心身の健康を守るとともに、社員の人権・人格・個性・多様性を尊重し、差別のない健全な職場環境を整備します。

 

a)多様な個性と能力の尊重

当社グループは、一人ひとりの社員が持つ個性と能力を互いに尊重し、その特色を活かすことで豊かな価値が創造され、それが企業の成長につながると考えております。そのために、性別、国籍、採用区分などその属性理由で差別することなく、能力発揮度合いに基づく公正な評価を踏まえた登用・処遇を行います。

b)多様な働き方の実現

育児、介護、その他の様々なライフイベントが発生する際でも仕事と両立できるよう、場所や時間、雇用形態にとらわれない多様な働き方ができるよう体制を整えることで、全てのグループ社員が継続して働きやすい環境整備に努めます。

c)従業員エンゲージメントの向上

当社グループでは、事業活動を円滑に行うためには、社員の一人ひとりの声を吸い上げ、満足度を高めていくことが必要と考えています。その取り組みとして、タレントマネジメントシステムを導入し、従業員満足度調査、職場環境調査などを通じ、社員のエンゲージメント状況を把握することで、問題点や課題を特定し、改善の方向性を見出すことを実施しております。さらには、社員の声を聞き、個々の要望に応えることで、従業員満足度やモチベーションの向上につながるものと期待しております。加えて、組織全体のパフォーマンスや生産性の向上、離職率の低下など、ポジティブな影響をもたらすことも期待して取り組んでおります。

d)キャリア形成と能力開発の支援

社員が新しいスキルを身につけ、新たな価値を創出し、成長へと結びつけるため、自律的なキャリア形成、スキルアップ・リスキリングのための教育研修など様々な成長の機会を公平かつ平等に提供します。

e)公正な人事評価制度の構築

社員の自主性とチャレンジ精神を大切にし、組織とともに成長していくことを目指します。そのために、自ら目標設定し、目標達成に向けチャレンジする社員を評価するシステムを構築し、処遇面における公正性、透明性を確保しています。目標達成に向けては、定期的に上司と面談を行い、社員の目標達成を支援しています。

f)安全で健全な職場環境

当社グループは、事業活動のすべてのプロセスにおいて社員の安全と心身の健康を重視します。職場における良好なコミュニケーションを確保します。また、様々なハラスメント行為は社員の人権を侵害し職場環境を害する行為として一切これを禁じます。

 

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(3)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを含め事業活動に関わる、様々なリスクが経営に与える影響を低減する取り組みを行っております。

 リスク対策委員会にてSWOT分析を用いて各事業における様々なリスクを抽出し、その発生頻度や経営に与える影響度を分析し、取締役会へ報告します。取締役会では、リスク分析結果を評価し、重点的に対処すべきリスクを絞り込み、リスク対策委員会を通じて当該事業部門へ対策を指示します。当該事業部門では、リスクに対する対応策を検討、実施をリスク対策委員会へ報告し、リスク対策委員会は、四半期単位でその内容を取締役会へ報告します。報告を受けた取締役会は、その内容評価を、事業部門へフィードバックを行うことで、リスク管理のPDCAを実践しております。

 これらの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご確認ください。

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(4)指標及び目標

①各指標について

 各指標は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載の通りです。

 

②各指標の目標

 各指標の目標に関しては、2022年1月1日から2023年12月31日までを計画期間とし「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」及び「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」にて以下目標を定めて取り組みました。その結果を受け、2024年1月1日から2026年12月31日までの計画を決定し、目標の達成に向かって取り組んでおります。

 

 

 

2022年1月から2023年12月までの目標の内容

期間内の実施結果

目標1

男性社員の育児休業取得者1名以上かつ、育児休業または当社独自の育児休暇を取得した者の割合を15%以上とする。

計画期間内の男性社員の育児休業取得人数は2名、男性社員の育児休業取得率は33%。

目標2

育児休業等を取得しやすい環境作りのため、テレワーク勤務制度の改善と在宅勤務者のケアの充実を図る。

テレワークの活用を継続して実施する方針を決定するとともに、在宅勤務者との定期的な面談、アンケートを今後実施予定。

目標3

新卒・中途で女性を2名以上採用する。

2022年1月から2023年12月までの採用実績は、新卒1名、キャリア採用5名。

目標4

性別関係ない人事評価制度を確立する。

人的資本経営のための環境整備方針に記載の通り性別に関係ない公正な人事評価制度を構築し、運用を実施している。

 

 

2024年1月から2026年12月までの目標の内容

当連結会計年度末の状況

目標1

男性社員の育児休業取得者1名以上かつ、育児休業または当社独自の育児休暇または配偶者出産休暇を取得した者の割合20%以上を達成する。

2024年1月から3月までの間での男性の育児休業取得者は0名。(対象者は1名)

目標2

新卒・キャリア採用で女性を3名以上採用する。

2024年1月から3月までの間での入社は0名も2024年4月1日付で2名が入社。

目標3

性別関係ない公平性のある評価と昇降格制度の維持・改善

引き続き人的資本経営のための環境整備方針に記載の通り性別に関係ない公正な人事評価制度を構築し、運用を実施している。

 

 なお、当社グループにおいては、女性管理職比率、人数の目標設定を行っておりません。その理由は、さまざまな年齢、性別、国籍、雇用形態や働き方、価値観などを持つ方々を「多様な人財」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮できる職場環境を構築するとともに、必要に応じた改善を行っていることに加え、女性、中途採用者、外国人などその属性理由で差別することなく、能力発揮度合いに基づく公正な評価を踏まえた登用・処遇を行う方針からも性別に基づく目標設定はそぐわないものと考えていることによります。

 

③ 各指標に対する考え方

a)管理職に占める女性労働者の割合

 当社グループでは、女性、中途採用者、外国人などその属性理由で差別することなく、能力発揮度合いに基づく公正な評価を踏まえた登用・処遇を行っております。

b)男性労働者の育児休業取得率

 本指標の対象となる人数が少ないため、一人の取得により指標が大きく変動することとなる状況です。取得率だけではなく、取得人数、取得日数も含めた取組を推進する必要があると考えます。

c)労働者の男女賃金の差異

 現在の男女における賃金差異は、平均年齢、勤続年数による差異が要因と捉えております。現在は、能力発揮度合いに基づく公正な評価、公正な人事制度を取り入れており、男女の区分が賃金の差異となることは無いように取り組んでおります。

 

④ 女性活躍への取り組み

a)子育て支援両立支援

 当社は社員のワークライフバランスの向上及び子育てとの両立を支援するため、下記の制度を導入しております。

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b)女性活躍への取り組み

・一般社団法人塩尻市振興公社「KADO」とのパートナー契約

現在、当社が取り組んでいる高精度3次元地図の制作工程において、当社のパートナーとして、長野県塩尻市の一般社団法人塩尻市振興公社が運営する、時短就労者を対象とした自営型テレワーク推進事業「KADO」に一部業務を担っていただいております。自動運転事業が事業面はもとより、地域のまちづくり、雇用創出といった社会貢献に繋がっているという一例となります。

・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画

社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員全員が働きやすい環境を作ることによって、すべての社員がその能力を十分に発揮できるようにするため、行動計画を策定し公表しております。

・女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画

女性の採用を増やし、女性が活躍できる雇用環境整備を行うため、行動計画を策定し公表しております。

・あいち女性輝きカンパニー認証

当社は、2021年11月1日付で「あいち女性輝きカンパニー」に認証されました。 「あいち女性輝きカンパニー」とは、女性活躍の推進に積極的に取り組む企業を愛知県が認証する制度であり、当社は愛知県が掲げる「あいち女性の活躍促進行動宣言」に賛同し、「女性の活躍促進宣言」を策定し、あいち女性の活躍促進応援サイトで公表しています。

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 各指標の詳細は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

当社グループでは、財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 また、当社は、リスクを「収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単に「脅威」として捉えるだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを行っております。現在、認識している課題、リスクは「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等-(6) 経営環境及び優先的に対処すべき課題」で示した内容とともに以下「事業リスクのヒートマップ(影響度・発生可能性)」の通りであり、事業リスクを個々に経営への影響度と発生頻度から分布したものとなります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

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①外部環境変化によるリスク

リスク

パンデミックに関するリスク

発生可能性

3~10年に1回発生する可能性

影響度

数年にわたり経営に影響がある

内容

現在、新型コロナウィルス感染症による影響は小さくなってきていますが、今後も新たなパンデミックの発生は想定されます。その場合の影響から現役世代の就労環境にも影響を及ぼすとともに国内外の経済影響も想定され、結果、事業活動の制限など当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。

対応策

当社グループでは、これらのリスクに対応するため、「社員とその家族、お客様、取引先様が感染しないように取り組むとともに、会社を感染源としない。」を基本方針のもと、テレワークの継続、時差出勤など実施し、通勤途中ならびに事業場内の密を避けるなど予防や拡大防止に対して適切な管理体制を日頃より構築するとともに業績に与える影響を可能な限り抑制する取り組みを準備しております。

前回からの変化

新型コロナウィルス感染症に限定したリスクはほぼ解消しており、テレワーク含めた柔軟な働き方が当社グループで標準化され、新たなるパンデミックを想定した体制も構築している状況です。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

地政学に関するリスク

発生可能性

3~10年に1回発生する可能性

影響度

数年にわたり経営に影響がある

内容

現在、米中の2国間関係、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、北朝鮮によるミサイル発射などアジア情勢は変化が増しております。そのような中、最先端技術の流出を防ぐための法規制や制裁などにより製品の流通等をはじめとする事業活動に影響を及ぼすリスクがあります。

対応策

当社グループにおける主たる事業活動の地域は、国内が中心であり、一部を除き直接海外での事業活動を展開していないことから、地政学リスクの直接的な影響は小さいものと判断しております。しかしながらその影響はゼロではなく、当社グループでは、このようなリスクに対応すべく、多方面での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行うとともに、将来の取引の見込みより適正な在庫管理を行うなど実施しております。

前回からの変化

不確実性が増しており、そのリスクは高まっております。対策は従前どおりの対策を講じてまいります。

前回からの

重要性の変化

増加

 

リスク

グローバルサプライチェーンに関するリスク

発生可能性

1~3年単位で発生

影響度

数年にわたり経営に影響がある

内容

当社グループにおける主たる事業活動の地域は、地政学に関するリスクにも記載の通り、国内が中心ですが、その事業活動において取り扱う商品や部品は世界各国より供給されています。具体的には、測量機販売事業ならびにMMS計測機器販売事業、自動運転システム販売事業においては、機器そのものの流通に加え部品等供給に影響を及ぼすことで生産遅延のリスクとともに、海外での製造コスト、流通コストの高騰などによる仕入れコストに影響があります。

また、上記商品や部品の生産・製造現場や流通過程全般において、企業は、人権を尊重する責任を果たすことが求められており、万が一人権を侵すような事象があった際には事業活動に影響を及ぼすリスクがあります。

対応策

当社グループにおいては、多方面での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行うとともに、将来の取引の見込みより適正な在庫管理を行うなど実施しております。

また、取引先を含め人権を尊重する取り組みの意識を高めるべくモニタリングの仕組みの構築も検討してまいります。

前回からの変化

地政学リスク同様、不確実性が増している状況ですが、現状リスク回避ができており、従前どおりの対策を講じてまいります。

前回からの

重要性の変化

増加

 

 

 

リスク

少子高齢化に関するリスク

発生可能性

すでに発生している

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループでは、販売部門、研究開発部門、技術部門、間接部門のすべての部門において、社員である「人財」とそこから生み出される知恵と実行力を収益の源泉と考えております。

今後、少子高齢化に伴い若年層の人材確保がさらに困難になることが懸念されます。一部業務はAIやシステムに代わることが予想されますが、すべてをそれらが担うことは困難と考えております。事業を進めるに必要な労働力を確保できない場合、将来の当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、ウェブシステムを有効に活用した採用活動を行うなど、応募者とのコンタクトを継続するとともに、雇用環境、雇用条件の改善を行うなど人財確保に努めております。

前回からの変化

人財獲得競争はますます厳しくなっており、対応策として採用方法の多様化を進めると同時に、雇用環境、雇用条件の改善の取り組みを引き続き実施しております。

前回からの

重要性の変化

増加

 

リスク

自然災害・事故災害に関するリスク

発生可能性

3~10年に1回発生する可能性

影響度

数ヶ月にわたり経営に影響がある

内容

地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、国際紛争等が発生した場合、当社グループの経営成績等に深刻な影響を及ぼす可能性があります。当社グループの本社機能、製品開発機能、物流機能の多くは、愛知県名古屋市に集中しております。様々なリスクの中でも、これらの地域では、将来発生が予想される東南海地震、東海地震の影響を大きく受ける可能性があります。万が一の災害時に事業を継続可能な体制を構築できない場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

これらのリスクに対応すべく、運用されているBCPに関して、昨今の事業環境に即し、優先的に再開すべき事業、業務を明確にするとともに、その手順等の見直しを進めております。また、災害発生時のシステムダウンに備え、システムおよびデータ管理の二拠点化の検討に入るなど、事業活動の影響が出ないように準備を行っております。

前回からの変化

前回より発生リスクは僅かに高まっていると考えられるものの対応策は引き続き継続しています。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

世界経済、為替変動に関するリスク

発生可能性

すでに発生している

影響度

数ヶ月にわたり経営に影響がある

内容

当社グループでは、主として国内市場のお客様を対象とした事業活動を行っております。そのため、世界経済の影響や為替変動といったリスクが直接的に当社グループの財政状態や業績に及ぼす影響は小さいと考えられますが、現在、為替相場が歴史的な円安の状況にあり、原材料の高騰など複合的な理由による物価高がお客様の購買や投資意欲にマイナスの影響を与えている状況にあります。特にモビリティDXセグメントのお客様である自動車産業に係る市場では、世界経済や為替変動リスクによる影響が大きく、その結果、当社事業に対する投資予算の抑制に至ることがあります。その結果、当社グループのモビリティDXセグメントにおける財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、このようなリスクに対応すべく、公共事業分野など他分野での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行っております。

前回からの変化

現在の歴史的な円安の状況を鑑み、当社グループへの直接的な影響は少ないものの、すでに発生しているリスクとしてとらえ、記載の対応策をしっかり講じていく必要があります。

前回からの

重要性の変化

増加

 

 

 

リスク

サイバーセキュリティに関するリスク

発生可能性

10年内に1回も発生しない

影響度

数ヶ月にわたり経営に影響がある

内容

当社グループは、事業活動に必要な各種システムを、主に外部委託先のデータセンターやクラウドサービスで運用しております。また、それらシステムはクライアントパソコンからアクセスするとともに、一部データはそのパソコンに保存しております。これらの利用には、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩などのリスクを有しております。中でもクラウドサービスは、アクセス権の設定ミスによる情報漏洩のリスクを有しております。

特に未公表の企業情報や契約情報、技術情報、株主情報など機密情報が第三者に漏洩、不正利用された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、多様な働き方を可能としており、その一つとしてテレワークを行うことができる環境を整えておりますが。この場合、自宅のインターネット回線を利用することからも通信に係る盗聴等のリスクも高くなり、そのセキュリティ対策次第では、不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩などのリスクを有しております。

対応策

これらのリスクに対応すべく、利用するデータセンターは、耐震設計、電源・通信回線の二重化、不正侵入防止などの安全対策を講じているサービスを利用し、定期的にその実施状況のチェックも行っております。クラウドサービスについても、サービス提供企業について導入時ならびに、運用開始後も企業評価を行うとともに、セキュリティへの取り組み状況も確認しております。クラウドサービスの利用においては従業員教育を行い、適切な情報管理を行えるよう他施策してまいります。

加えてクライアントパソコンに関しては、セキュリティソフトウェアを導入するとともに、オフィスのネットワーク回線の通信についても防御システムを導入するなど対策を講じております。

テレワーク環境での通信の安全性を確保するために、データセンターへのアクセスに関しては、インターネットVPNを活用するなど対策を講じております。

前回からの変化

昨今の情勢から発生可能性のリスクは高まっており、その対応策は慎重に検討・実施を進めております。

前回からの

重要性の変化

増加

 

リスク

SNSの利用に関するリスク

発生可能性

10年内に1回も発生しない

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

SNSは誰もが利用できる発信手段であり、SNSを上手に利用することにより、採用活動等における当社グループの認知度アップやイメージアップを図ることが可能ですが、反面、無意識のうちに、業務中に知り得た機密情報を投稿したり、不用意発言によって当社グループの価値を落としてしまうなどの弊害もあり、役員、社員による些細な情報発信が、会社に大きなダメージを与える可能性があります。
 一方で、SNSを有効利用できないことにより当社グループの情報の発信を十分にできず例えば採用活動において学生に向けた当社の認知度を上げられないなどのリスクが考えられます

対応策

SNSの利用に関する社内ガイドラインの策定や、SNSの正しい利用に関する社内研修等を通じて、社員のSNSに対するリテラシーを向上することで、リスクヘッジを実施します。

前回からの変化

今期より新規追加

前回からの

重要性の変化

 

 

②様々な技術・法令・規制の変化によるリスク

リスク

様々な技術・法令・規制の変化への対応

発生可能性

1~3年単位で発生

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

近年の急速な技術の進化、変化、加えてそれらに対応すべく法令改正、規制の改正が行われており、これらの適切な対応は、当社グループの製品・サービスの競争力の源泉であり、収益拡大のチャンスでもあります。しかしながら以下の項目等、十分な対応が取れていないことで、成長性や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

●技術・法令・規制の変化の予想と対応

●重点技術強化領域の設定、適切な資源の投下

●技術・法令・規制の変化によって生まれた新領域に対する技術力強化

特に近年では生成系AIの技術革新と普及が進んでおり、適切に利用することでイノベーションをおこすことが期待されます。一方で利用方法を誤ると、情報漏洩や間違った情報を拡散するなどのリスクもあります。

対応策

あらゆる分野でのイノベーションがグローバル規模で進む中、お客様や社会が直面する課題をいち早く解決できる技術の重要性がますます高まっております。当社グループでは、これを経営上重要なリスクと位置づけ意思決定のプロセスの強化に努めております。

変化の激しい市場環境に対応するために、すべてを自社での研究開発にこだわらず、必要な技術領域において強みのある大学・研究機関・企業と積極的に連携し、研究開発活動を加速させ、イノベーションを推進してまいります。

生成系AIの利活用については、昨年度、社内向けガイドラインを作成しました。生成系AIの選択肢も増えてきている昨今、社内でのセキュア且つ効果的な利活用に向けて、その選定及びガイドラインに沿った適切な利活用が必要となります。当社グループでは、まずDX推進委員会を発足させ、そこでの活用検討を進めております。

前回からの変化

生成型AIに関する対応策及び活用について、普及状況に応じて一歩進めております。

前回からの

重要性の変化

増加

 

 

リスク

所有から共有する販売形態への移行に伴うリスク

発生可能性

すでに発生している

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

現在、世界的に「モノ」を保有する時代から、「共有」する時代へ移り変わろうとしております。当社グループの主たる市場である測量、不動産登記、建設市場においても同様の流れにあります。従来、当社グループの商材であるソフトウェアや計測機器は、お客様へ販売しお客様の資産としてご利用いただくことが大半でした。新たな流れは、そういったこれまでの慣習を大きく転換するものであり、当社グループも製品開発の段階から対応策を検討し、実行する必要があります。その対応が遅れた場合には、当社グループの公共セグメントの売上高、セグメント利益を中心に財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、このようなリスクに対応すべく、「所有」と「共有」を併存するビジネスモデルの検討を行い、対応を目指しております。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

 

 

リスク

税務コンプライアンスリスク

発生可能性

10年内に1回も発生しない

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

国税庁より税務コンプライアンスの維持・向上が求められていますが、近年ではインボイス制度の開始等、様々な税制改正も行われており、税務コンプライアンスの順守や適正な税務申告を行うための敷居が高くなっている一方で、税務上の違反が発覚した場合には、追従課税や企業の社会的信用の失墜を招く可能性があります。また、当社グループの連結子会社が増加傾向にあることから、グループ全体の税務に対する業務量も増加しております。

対応策

経理担当者だけでなく、社内全体で税務に対する研修制度を実施し、グループ全体に正しい税務に対する知識を啓蒙する他、会計監査人や顧問税理士と連携を行い、チェック体制を整えています。また、DXの一環で様々なシステムを導入し、ヒューマンエラーが発生する可能性を極力減らすことで、効率的かつ健全な税務処理が行える環境を構築しております。

前回からの変化

今期より新規追加

前回からの

重要性の変化

 

リスク

入札談合、下請法違反へのリスク

発生可能性

10年内に1回も発生しない

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループは公共ビジネスグループ、モビリティ・DXビジネスグループともに、競争入札を通じて業務を獲得することから、入札談合等に違反行為にかかわることで指名停止処分となった場合、その対象入札を失うだけでなく、社会より信用を失い、長期的に経営に大きく影響を与えることになります。また、下請法違反により公正取引委員会の勧告や刑事罰の対象となった場合でも、違反事実公表に伴い、社会的信用を失うリスクもあります。

対応策

当社グループでは、入札事業や他社との取引については不正がないことを監査法人による監査を通じて確認しておりますが、事前防止的な取り組みとして、役員および管理職を中心とした社員向けに、入札に関して見識のある社外取締役による社内研修や、顧問弁護士、監査法人による関連法令に関する社内研修を実施するなど対策を講じております。

前回からの変化

今期より新規追加

前回からの

重要性の変化

 

 

③個別の事業分野におけるリスク

リスク

特定のビジネスパートナーへの依存

発生可能性

すでに発生している

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループでは、事業活動を行う上で特定のサプライヤ、業務提携先、販売店といったビジネスパートナーとの信頼関係の上、強力な関係を築いております。しかしながら、事業の進め方など時間の経過とともに、その関係性にも変化を及ぼし関係が弱体化することもあります。また、相手方の経営環境によって事業撤退や方針変更もあり得ます。その結果、当社グループ全般の財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

こうしたリスクに対し、当社グループでは、特定のパートナーに依存しないよう幅広い関係を構築する取り組みを行っております。ただし、一部においては、特定のサプライヤ、ビジネスパートナーが独占的に保有する権利、技術もあり、当該パートナーとの関係性が弱体化しないよう取り組んでおります。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

測量CADシステムへの依存

発生可能性

すでに発生している

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループは、測量設計業・建設コンサルタント業及び土地家屋調査士業向けのCADシステムの開発及び販売を中心に、それらに付帯するサポートサービスの提案・販売を事業としております。これらの業種は公共事業に係る予算及び執行状況に需要が比例し、加えて関連する法改正の影響を受けるものであり、それらによって当社グループの業績に影響を与える場合があります。

対応策

主力製品「WingneoINFINITY」は、2000年の「Wingneo バージョン1」リリースから毎年アップデートを繰り返しており、新たなサービスモデルによる提供も目指していかなければなりません。その実現に向け、2023年4月より営業事業部を3部門に分け、市場情報を速やかに共有し、且つ従来独立していた開発部門を事業本部内に設置することで、現場との距離を縮め、製品提供のスピードアップを目指して取り組んでおります。

前回からの変化

前回から内容の変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

 

 

リスク

自動運転技術を活用した自動走行実証実験の安全性について

発生可能性

1~3年に1回発生する可能性

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

世界的にも注目度の高い自動運転技術を活用した自動走行実証実験は、従来にない新たな技術を活用しています。今後の我が国の技術の発展を推進し、事故等によりその発展を妨げないよう、安全を最重視し、取り組んでいく必要があります。万が一、実証実験で重大な事故が発生した際には、当社グループの中期経営計画の達成に影響を与える場合があります。

対応策

当社グループでは、実証実験を行うに際して、安全を最優先に準備を行い、実施しています。自動運転技術が日進月歩で進化していく状況下で、事故への対策は、安心・安全な自動運転社会を実現するうえで欠かせないものです。自動運転車の走行に関するリスクは、センサーの誤検知といった自動運転ならではの技術的なリスク、サイバー攻撃によって引き起こされるサイバーリスク、自動運転車のテストドライバーによる操作過誤などの運用上のリスク、走行環境により引き起こされるリスク、関係者の認識不足による法令やガイドラインへの抵触リスクなど多岐にわたります。

これらのリスクを網羅的に把握し、事故を未然に防ぐ対策を支援すべく、「Level Ⅳ Discovery」のサービスとして、これまで数多くの自治体や事業者にリスクアセスメントを提供し、安心・安全を最優先とした自動運転実証実験を支援してきました。

2021年5月に当社は、損害保険ジャパン株式会社及び株式会社ティアフォーと共同で、安心・安全な自動運転走行を支援するインシュアテックソリューションとして「自動運転向けデジタルリスクアセスメント」を新たに開発し、提供することを発表しました。これにより、リスク評価の定量化や提供のスピード化を可能とし、自動運転走行に向けた安全性と効率性を高め、自動運転の社会実装を後押しする役割を果たします。

以上の取り組みを通じて、安全面を優先した取り組みを行うことで、リスクに対応してまいります。

前回からの変化

2024年1月に実施した常滑市における自動運転実証実験におきまして、車両が道路上にあるラバーポールに接触する事故が発生しました。事故につきましては軽重問わず、上記対応策に沿って安全性の確認を最優先し、原因と対策措置及び再発防止策を関係機関に報告のうえ、実験を再開しております。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

自動運転の実用化に向け、海外事業者の参入による勢力図が一新するリスク

発生可能性

10年以内に発生する可能性

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

現在業務提携先との強力なパートナー関係により自動運転の分野において、一定の評価を頂いております。今後海外の事業者が参入された際には、その状況が一変し、勢力図が一新するリスクを有します。その結果、当社グループ全般の財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

自動運転マーケットは、国内外で投資が活発に動いており、また競争も更に増えてくることが想定されます。自動運転の実証実験ではすでに海外製モビリティの利用も行われている状況です。一方で当社が狙う国内における自動運転技術の普及においては、単なる技術優劣だけでなく、様々な国内独自の導入プロセスが必要と考えており、当社がこれまで培ってきたノウハウや実績は、今後も大きな下支えになっていくものと考えるとともに、実用化に向けてはこれまでの実証実験の知見をもとに政府の施策にそって取り組んでいくものと考えております。 その一環で2023年2月に三菱商事とともにA-Drive株式会社を設立しました。また当社事業のコアコンピタンスのひとつである、高精度三次元地図は、自動運転以外での利活用も広く進んでいくものと考えており、単なる自動運転技術のみに依存されない、公共資本に資する事業を進めて参ります。

前回からの変化

新中期経営計画でも開示しております通り、高精度三次元地図及びその作製過程のデータの利活用を進める3D DX事業の立ち上げを開始しました。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

 

 

リスク

公共事業予算執行状況に係るリスク

発生可能性

1~3年に1回発生する可能性

影響度

数ヶ月にわたり経営に影響がある

内容

当社グループでは、公共事業に携わるお客様を対象に事業活動を行っております。この市場では、国や地方の公共事業予算の執行状況が当社グループの提供する製品、サービスなどへの投資に影響を与えます。特に、国政選挙や地方選挙などが執り行われる時期では、その間の予算執行が先送りされます。その結果、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、このようなリスクに対応すべく、商品を売り切る販売形態から、継続した取引を行う形態への移行を目指すとともに、他分野での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行っております。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

工事原価総額の見積りの妥当性に関するリスク

発生可能性

すでに発生している

影響度

数ヶ月にわたり経営に影響がある

内容

請負契約に係る収益認識にあたっては、短期もしくは少額の契約を除き、見積総原価に対する実際発生原価の割合により算出した進捗率に基づき、収益を認識しております。そのため、総原価の見積りが重要となります。総原価は、作業に必要となる人員や作業完了までの工程等を基にした社内工数原価と外注費により見積っておりますが、天候や現場状況の変化等の様々な要因により、見積りの前提条件に大きく変更が生じることがあります。

その結果、連結財務諸表において認識する金額にも重要な影響を与えるリスクがあります。

対応策

当社グループでは専用の案件管理システムを導入し、そのシステムの中で見積総原価を管理するとともに、社内の職務決裁権限に沿って見積原価を承認する仕組みとしております。また、見積総原価が大きく変更となる場合は、個別で経営会議による決裁を行うとともに、会計監査人とも慎重に協議を行い、社内でのチェック体制を強化しております。

前回からの変化

今期より新規追加

前回からの

重要性の変化

 

 

④全事業分野に関するリスク

リスク

個人情報・顧客情報管理に関するリスク

発生可能性

10年内に1回も発生しない

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループは営業活動上お客様の個人情報を保有しております。個人情報漏洩による企業経営・信用への影響も十分に認識し、各種規程・マニュアルの整備、社員教育を通じた周知徹底、個人情報に関する認証の取得など、個人情報の管理体制の整備を行っておりますが、万が一情報が漏洩した際には、損害賠償費用の発生、社会的信用の低下などにより、当社グループ全般の財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

これらのリスクに対応すべく、年に1度の社員へのセキュリティ教育を実施するとともに、定期的に社内イントラネットを通じて意識を高めるべく注意喚起を行っております。

また、個人情報や顧客情報を利用するシステムを運用するデータセンターは、耐震設計、電源・通信回線の二重化、不正侵入防止などの安全対策を講じているサービスを利用し、定期的にその実施状況のチェックも行っております。クラウドサービスについても、サービス提供企業について導入時ならびに、運用開始後も企業評価を行うとともに、セキュリティへの取り組み状況も確認しております。

加えてクライアントパソコンに関しては、セキュリティソフトウェアを導入するとともに、オフィスのネットワーク回線の通信についても防御システムを導入するなど対策を講じております。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

知的財産について

発生可能性

10年内に1回も発生しない

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

ソフトウェアに係る知的財産については、様々な特許等が存在し、かつ、出願される今日においては、当社グループが保有する知的財産権が侵害される可能性と当社製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性の双方が存在します。加えて、知的財産として開示しないノウハウが社外に漏洩する可能性があります。場合によっては、それらに対応する費用の発生によって当社グループ全般の業績に影響を与える可能性があります。

対応策

当社は、顧問弁理士・弁護士との協議から当社の知的財産権の保全に努めるとともに、製品開発では知的財産に係る事前調査の徹底を図っております。

加えて、知的財産に関する正しい知識と適切な管理を進めるべく、社内研修の一環として知的財産について取り上げるなど対策を講じております。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

リスク

労働安全衛生管理体制について

発生可能性

3~10年に1回発生する可能性

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループでは、社員の労務管理について、労務関連法規・法令を踏まえた人事制度の設計及び運用を通して、適切な労務管理を行っておりますが、労務管理法令の改正等に対しては、法令施行時に随時制度の見直しが必要となります。その対応が遅れた場合には、新たな労務問題が発生し、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、法令改正時には顧問社会保険労務士と、その改正内容の確認を行い、対応に漏れや遅れが発生しないよう取り組んでおります。また、常に最新の動向を得るために積極的に外部セミナー等にも参加し、情報収集を行うとともにその対応を検討しております。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

 

 

リスク

投資企業の業績による株式評価損リスク

発生可能性

すでに発生している

影響度

長期にわたり経営に大きな影響がある

内容

当社グループでは事業活動の中で資本提携を行うことで関係をより強固なものとするため、政策保有目的で取引先の株式を保有しております。その大半は、世の中にない技術を保有し、新たなビジネスを当社グループと連携し、創造する企業であり、いわゆるベンチャー企業です。その為、投資後、数年間にわたり単年度決算で損失計上することも想定されます。世の中の動向次第で、その利益計画に影響を与え、収益計上までに想定以上の時間を要することもあります。当初の予定期間を超える損失計上時や財政状態の悪化状況によっては、財務会計上、当該投資有価証券の減損処理が求められることがあります。その場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクを有しております。

対応策

当社グループでは、政策保有目的の株式保有は目的を明確にした投資であり、ともに事業を立ち上げていく立場であります。財務面では、投資先企業の適宜経営計画、財務諸表を入手し、その事業の進捗を確認し、投資先企業とコミュニケーションをとることで事業経営に寄与し、財務会計面でのリスクを低減する取り組みを行っております。ただし、新規事業分野のベンチャー企業等は会社設立後、しばらくは損失計上の可能性が高く、会計基準における評価損に該当するリスクがありますが、出資先企業の経営計画等を入手し、その価値の妥当性を会計監査人とも定期的に協議を行っております。

前回からの変化

前回から変更はございません。

前回からの

重要性の変化

同水準

 

 

リスク

グループ会社のガバナンスに関するリスク

発生可能性

すでに発生している

影響度

数ヶ月にわたり経営に影響がある

内容

グループ全体で適正に業務を遂行し、かつ企業価値の向上を目指せる体制構築を目指して進めていくうえで、企業文化の違い、グループ会社の急激な増加によるバックアップの不足等から発生する連携不足や統率不足により、期待したシナジーが生まれないうえに、バックアップ業務の負担が想定以上に増加するリスクがあります。

対応策

2024年7月より全グループ会社に当社取締役、執行役員を取締役または監査役として配置する体制を構築し、各グループ会社の事業進捗を監視、助言するとともに、当社とのシナジーを生み出す体制を強化しております。

前回からの変化

今期より新規追加

前回からの

重要性の変化

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以

下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①当期の経営成績の概況

 当連結会計年度におきまして、我が国における経済は、雇用情勢や、企業収益・設備投資の改善、インバウンド需要の増加などもあり、緩やかな景気回復の動きがみられました。一方で、地政学リスク及び円安ドル高といった為替変動による原材料価格及びエネルギーコストの上昇、人手不足の深刻化、消費者行動・価値観の変化等、極めて先行き不透明な事業環境が続いております。

 こうした状況の中で当社グループは、「Investment & Innovation」をスローガンに掲げた3年間の中期経営計画の最終年度において、経営計画の達成に向け事業活動を行いました。中期経営計画の初年度及び2年目には人財の採用とその育成といった人的資本への取り組みの強化、新たな製品・サービスをリリースするための研究開発、自動運転実用化に向けた研究と体制づくりなど、経営計画を達成するための重要な成長フェーズと捉え、積極的な投資を行ってまいりました。また、「未来の社会インフラを創造する」をキーワードに、国土強靭化、不動産登記行政といった分野への取り組みとともに、自動運転の分野において地域公共交通の維持、スマートシティ、自動運転の社会実装といった多方面の社会的課題の解決のため積極的な取り組みを行っております。

 当連結会計年度においては、各種補助金の活用をお客様に促し、自社製品や三次元計測機器等への購買動機を高める活動を継続するとともに、展示会への出展を強化し、商談機会の獲得に努めてまいりました。MMS機器販売、高精度三次元地図の作成請負業務及び2025年度以降となる自動運転の社会実装に向けた自動運転実証実験請負、様々な用途の自動運転車両の構築請負、公共及び民間からの計測業務委託については、前連結会計年度と比較し、受注件数が増加しました。大半の案件は当連結会計年度内に成果物を納品することができましたが、一部の案件においてはお客様の補助金を活用した導入の関係で、次年度へ納品が繰り越される結果となりました。

 

(前連結会計年度との比較)

 前連結会計年度との比較につきましては、以下の通りとなります。

A)自社ソフトウェアに関連する事業は、当社主力商品である「WingneoINFINITY」および「WingEarth」等のライセンス販売ならびにそれらのサポートサービスによるものです。当連結会計年度においては、前連結会計年度の自社ソフトウェア販売が堅調に推移したことから、サポートサービスの新規契約、契約更新による売上が増加しました。「WingneoINFINITY」及び「WingEarth」に関しては、新バージョンの販売に加え、追加サービスや補助金申請を活用した販促活動、リモートによる業務サポートや体験会を実施しましたが、計画していた自社ソリューションのリリース遅延などもあり、計画ならびに前年同期の売上を下回りました。一方で、2022年11月に発売開始した、外業向けソフトウェア「LasPort」の売上は好調に推移しております。以上により、自社ソフトウェアに関連する事業の売上高・利益ともに前連結会計年度と比較し、減少しました。

B)MMS計測機器及び関連商材の販売については、受注が順調に推移し、前連結会計年度を上回る想定で進捗しておりましたが、一部の案件におきまして、お客様の補助金を活用した導入の関係で次年度へ納品が繰り越される結果となりました。その結果、前連結会計年度と比較し、売上高・利益ともに前年をわずかに下回りましたが、同水準の実績となりました。

C)三次元計測請負業務及び高精度三次元地図データベース整備は、「安全・安心」な自動運転社会の実現を目指し、自動車向け高精度三次元地図の継続的な提供を進めるとともに、全国各地の自治体における自動運転移動サービスの実現を目指した実証実験のための地図データの作成など、高精度三次元地図を中心とした事業と技術研究開発を積極的に進めることで、前連結会計年度と比較し、売上高・利益ともに増加しました。

D)測量請負事業は、ここ数年、官公庁における公共測量に係る入札競争が激しさを増しております。このような事業環境へ対策すべく、民間の建設コンサルタント企業を中心とした新規顧客の開拓に努めてまいりました。その結果、前連結会計年度と比べて売上高は増加しました。

E)様々な車両を自動化するAutomotive事業や、自動走行関連システムの販売および実用化に向けた実証実験は、実用化を見据えた自治体や交通事業者との連携を積極的に行っております。パートナー連携やプロジェクトへの参加などを推進したことで、新たな案件や商材を獲得できており、当連結会計年度の受注件数は前年度を上回りました。また、各自治体、交通事業者とともに、国土交通省による地域公共交通確保維持改善事業の公募へのアプローチを積極的に行った結果、2023年10月20日に公表の通り、全国15の地域に参画し自動運転実証調査事業を行い、全ての案件の納品を完了しました。その結果、前年同期と比較し売上高・利益ともに増加しました。

 

F)当連結会計年度では、前連結会計年度より引き続き、中期経営計画に基づき様々な投資を実施しております。人財投資においては、新卒採用、即戦力となるキャリア採用を積極的に実施し経営基盤の強化を図るとともに、従業員の労務環境整備のための賃金アップや人財戦略に向けた投資を行いました。また、新たなソフトウェアの開発や、ウェブサイトの継続的なリニューアル、自動運転に関する技術の開発推進に加え、2024年1月5日に「GEOMARKET」における測量機器リペア業務のシナジーを図るべく、有限会社秋測の子会社化が完了しました。その結果、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比較し、増加しました。

(単位:千円)

 

2023年3月期

2024年3月期

対前期増減額

対前期増減率

売上高

4,463,382

5,478,528

1,015,146

22.7%

営業利益

331,280

449,601

118,321

35.7%

経常利益

330,877

455,651

124,774

37.7%

親会社株主に帰属する当期純利益

240,737

340,353

99,616

41.4%

 

 セグメント別においては、次の通りであります。

 

a.事業セグメント別の業績

(単位:千円)

 

 

2023年3月期

2024年3月期

対前期増減額

対前期増減率

公共

セグメント

売上高

3,267,674

3,376,343

108,668

3.3%

セグメント利益

495,188

425,640

△69,547

△14.0%

営業利益率

15.2%

12.6%

 

 

モビリティ

セグメント

売上高

1,184,543

2,091,020

906,477

76.5%

セグメント利益

55,723

268,077

212,354

381.1%

営業利益率

4.7%

12.8%

 

 

その他

売上高

11,164

11,164

-

-

セグメント利益

5,286

5,125

△161

△3.0%

営業利益率

47.4%

45.9%

 

 

 

b.報告セグメント別の概要

 

公共セグメント

 公共セグメントにおいては、中期経営計画で目標としていた新たな自社ソリューションのリリースが遅延したことにより、既存の主力製品「WingneoINFINITY」、「WingEarth」を中心とした営業活動を行ってまいりましたが、総じて苦戦した結果となりました。

 当社グループの主力製品である「WingneoINFINITY」に係る営業活動として、従前の訪問型営業だけではなく、測量・不動産登記・衛星測位・点群といった当社製品及びサービス、ならびに当社が保有する技術に関するオンラインセミナーを積極的に開催し、潜在顧客の掘り起こしを行いましたが、売上増につながる効果的なオプションのリリースができず、前連結会計年度と比較し、売上高は減少しました。

 点群処理ツール「WingEarth」は、前連結会計年度における受注残案件の売上計上、補助金制度を活用した販売活動により、一定の効果がありました。2023年9月には新機能を搭載した「WingEarthVersion2.4.0」とともに新オプションをリリースし、オンライン体験会等の販促活動を行いましたが、すでに顧客への導入は一定程度進んでおり、前年同期と比較し売上高は減少しました。

 一方、このような中でも、自社ソフトウェア販売に関して、各種補助金を活用した販売施策の投入、昨年度

リリースした次世代TSコントローラー「LasPort」の販売促進に加え、2024年1月にリリースした新たな3次元ツール「GrandBase」など、様々な業務に特化した新たなサービス・製品のリリース及び開発の継続により、次期以降において収益獲得に一定の貢献をするものと見込んでおります。

 測量機器のリユース・リペア・レンタルの3Rサービスをウェブ展開する測量機器総合マーケット「GEOMARKET」は、お客様との取引がオンラインで完結します。半導体不足の状況は以前に比べ解消傾向にある一方で、原材料価格高騰は新型測量機器の価格にも影響が出ていることから、リユース販売やレンタル需要が高まっております。その中で、ウェブ広告を積極的に展開し知名度も向上したことで、お客様からのアクセス数も増加し、前連結会計年度と比較し、売上高が増加しました。また、2024年1月5日に公表の通り、有限会社秋測のグループ会社化を行い、測量機器のリペア業務におけるシナジーを図っております。

 

 MMS計測機器及び関連商材の販売においては、公共分野・インフラ分野のお客様への新規導入提案活動、既存顧客へのリプレースの提案を行うとともに、測量・土木・地図市場において、公共分野でのMMS計測受託業務や、これまでに販売してきたMMSの保守契約を行いました。受注が順調に推移し、前連結会計年度を上回る想定で進捗しておりましたが、一部の案件におきまして、お客様の補助金を活用した導入の関係で次年度へ納品が繰り越される結果となりました。

 測量請負事業は、ここ数年、官公庁における公共測量に係る入札競争が激しさを増しております。このような事業環境へ対策すべく、民間の建設コンサルタント企業を中心とした新規顧客の開拓に努めてまいりました。その結果、前年同期と比べて売上高・ 利益ともに増加しました。

 一方、前連結会計年度に引き続き、中期経営計画に沿った人財投資計画を進めた結果、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比較して増加しました。

 

モビリティセグメント

 モビリティセグメントにおきましては、世界規模の半導体不足の影響も引き続き発生しており、ハードウェア製品の納期への影響も危惧されましたが、当連結会計年度においては、翌期へ遅延することなく売上を計上しました。政府の掲げる「RoAD to the L4」に伴う2025年度以降の自動運転の社会実装に向けて、国を挙げての取り組みが加速しており、自治体や交通事業者等の課題意識も高まる一方、自動車業界においては投資対象の中心がEVへシフトしている中、継続的に新たな商談発掘に努めてまいりました。

 三次元計測請負業務及び高精度三次元地図データベース整備は、自動走行の実用化を目的とした整備業務を受注し、随時納品を行いました。一方で、品質やコストへの要求が高まっており、生産性向上に向けた体制の見直し、ツールの開発、グループ間でのシナジーを生み出す検証は、前連結会計年度から継続して取り組んでおります。その結果、前連結会計年度と比較し、売上高・利益ともに増加しました。

 自動走行システムの販売および実用化に向けた実証実験は、前連結会計年度に引き続き、国内の多くの企業や地方自治体などで需要がある状況です。そのような中、2023年10月20日に公表の通り、グループ会社であるA-Drive株式会社とともに、地域公共交通確保維持改善事業(自動運転社会実装推進事業)において、全国15の地域に参画し、自動運転実証調査事業を行いました。これらを含め、自動走行の実用化に向けた実証実験の実施は第4四半期に集中し、売上を計上しました。その結果、前連結会計年度と比較し、売上高・利益ともに増加しました。

 自動運転の実用化は、政府目標として2025年に50か所程度、2027年に100カ所以上での社会実装を目指すとされています。当社グループは、株式会社ティアフォー、損害保険ジャパン株式会社、KDDI株式会社等のパートナー企業と連携し、全国自治体との対話を進め、実用化に向け積極的に推進してまいります。それまでの間は、当事業分野は投資フェーズと捉えており、将来の事業モデル確立に向けた先行投資として、前連結会計年度より引き続き、事業推進に必要な人財確保、システム構築や機材などの調達を積極的に行ってまいりました。また、愛知県の補助金を活用した大型自動運転バスの実用化に向けた研究に加え、自動運転小型EVバスである「ティアフォーMinibus」を導入するなど、これまで積み重ねてきた実証実験の知見を活かし、今後はニーズが高いバスタイプでの実証や販売に積極的に取り組んでまいります。

 その他の分野では、前連結会計年度から取り扱いを始めた自動運転支援用のカメラ販売は、他用途での利用を目的とした販売など、本商材の販売は引き続き好調に推移しました。また、三菱商事株式会社との共同出資会社「A-Drive株式会社」とともに、パートナー企業の知見やノウハウを有効活用しながら、自動運転の様々なニーズに対応するサービスの展開を行い、2025年度以降の自動運転の社会実装に向けた更なる事業の深化を目指してまいります。なお、「A-Drive株式会社」の収益に関しては、上記に記載の通り、当事業年度においては投資フェーズとして事業展開を進めてまいりました。

 

その他

 自社保有の不動産に係る賃貸収入については、前年同期と同水準の結果となりました。

 

②当期の財政状態の概況

 (資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて594百万円増加し、8,597百万円となりました。

このうち、流動資産は6,532百万円となり、その内訳は現金及び預金が3,843百万円等であります。また、固定資産は2,064百万円となり、その内訳は有形固定資産が924百万円、ソフトウェア製品をはじめとする無形固定資産が262百万円、投資その他の資産が877百万円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて329百万円増加し、2,286百万円となりました。このうち流動負債は1,810百万円となり、固定負債は475百万円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて265百万円増加し、6,310百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上340百万円によるものであります。この結果、1株当たり純資産額は1,138円83銭となりました。

 

③当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は3,843百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、支出した資金は240百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益468百万円の一方、売上債権及び契約資産の増加額633百万円、棚卸資産の増加額244百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は125百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出170百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は47百万円となりました。これは、ファイナンス・リース債務の返済による支出52百万円、配当金の支払額81百万円等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

公共セグメント(千円)

1,612,075

101.3

モビリティセグメント(千円)

1,972,802

175.3

その他(千円)

合計(千円)

3,584,878

132.0

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

公共セグメント(千円)

1,414,812

101.3

モビリティセグメント(千円)

100,813

226.9

その他(千円)

合計(千円)

1,515,626

105.2

(注)金額は仕入価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

公共セグメント(千円)

3,376,343

103.3

モビリティセグメント(千円)

2,091,020

176.5

その他(千円)

11,164

100.0

合計(千円)

5,478,528

122.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針や見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えています。

a.収益及び費用の計上基準

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

b.投資有価証券の減損

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

c.無形固定資産の減価償却の方法

 当社グループは、クラウドサービスのような顧客へのサービス提供、及び社内の経営情報の充実化・業務効率化等のため、自社利用のソフトウェアの開発・導入を行う場合やパッケージ製品等の市場販売目的のソフトウェアの開発を行う場合に、その開発コストをソフトウェアとして無形固定資産に計上する場合があります。

 その場合、自社利用のソフトウェアについては社内における利用可能期間(5年)に基づく定額法により減価償却を実施し、市場販売目的のソフトウェアについては見込販売可能有効期間(3年)に基づく定額法により減価償却を実施しています。しかし、将来、事業環境等の大幅な変化がある場合には、回収可能額を見直すことにより、損失を計上する可能性があります。

d.固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針としております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、特に自動運転関連の事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

e.繰延税金資産

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、税制の変更や事業環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 なお、繰延税金資産の詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」及び「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご参照下さい。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

 「[ 経営成績等の状況の概要 ]」をご参照ください。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 「[ 事業等のリスク ]」をご参照ください。

④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は3,843百万円となりました。

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③当期のキャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

自己資本比率(%)

76.5

81.1

74.5

74.1

72.1

時価ベースの自己資本比率(%)

96.8

142.9

135.2

173.9

107.0

キャッシュ・フロー

 対有利子負債比率(年)

0.3

0.4

0.4

0.3

-

インタレスト・カバレッジ・

 レシオ(倍)

123.5

72.8

129.7

99.0

-

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)

連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)

株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)

キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)

有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

(注5)

2024年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシ

ュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、投資有価証券の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金又は金融機関からの借入を基本としております。

 当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。

 なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は190百万円となっております。また、当連

結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,843百万円となっております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術援助契約等の概要

契約発効日

契約締結先

契約内容

対価

有効期間

1999年7月1日

㈲キーノスロジック

当社のソフトウェア開発に係る研究開発業務の一部を委託

委託内容・対価等は、個別契約によって支払っております。

1999年7月1日から2004年6月30日までの5年契約とする。以後2年ごとの自動更新。

 

(2)株式取得に関する契約

 当社は、2023年10月13日開催の取締役会において、有限会社秋測の株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。また、2024年1月5日に株式の取得が完了しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは経営戦略・事業戦略を実現するため、製品競争力強化と事業拡大に向けた研究開発を積極的に推進しております。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は123百万円となっております。

(1) 公共セグメント

 創業来培ってきた測量用ソフトウェアにおける高精度位置計算技術に現在の最新技術を組み合わせた新プラットフォームや三次元データの利活用や、クラウドサービス環境の導入に向けた研究開発を行ってまいりました。本プラットフォームを将来の次世代アプリケーションの基礎となるべく計画しております。

 これら公共セグメントに係る研究開発費は99百万円であります。

(2) モビリティセグメント

 測量用ソフトウェアにおける高精度位置計算技術や道路設計技術を活用し、三次元の高精度位置情報の解析や地図データベースを作成するとともに、生産体制の強化や効率化などの積極的な研究開発を行ってまいりました。
また、将来的な自動運転技術の実用化に向け、パートナーとの共同研究を行う一方で、補助金等を有効活用したことで、コストを圧縮しながら、自動運転バスの開発や、システム及び機材構築のための研究開発を行ってまいりました。

 これらモビリティセグメントに係る研究開発費は23百万円であります。