第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

2004年10月1日、株式会社セガとサミー株式会社は、両社の経営資源を統合し、企業価値を最大限に高めることを目的に両社の持株会社となる当社「セガサミーホールディングス株式会社」を設立しました。その後、様々な経営施策により事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する体制及び将来の成長を加速できる体制づくりに努めてまいりました。各事業グループにおきましては、意思決定の迅速化を図りながら重複する機能の効率化を進め、経営資源を適切に投入できる体制を構築し、事業環境の変化に対応しながら経営効率を高めてまいります。

 

当グループは、報告セグメントの区分を当連結会計年度において「エンタテインメントコンテンツ事業」、「遊技機事業」及び「リゾート事業」としておりましたが、新たな中期計画「WELCOME TO THE NEXT LEVEL!」の開始にあたり、翌連結会計年度から「リゾート事業」を廃止し、新たに「ゲーミング事業」を新設する再編を行います。これは新たな中期計画の戦略、事業ポートフォリオの観点から実施するものであり、新設する「ゲーミング事業」には、海外におけるオンラインゲーミング関連事業や既存の統合型リゾートの運営、カジノ機器の開発・製造等を集約します。

この結果、「エンタテインメントコンテンツ事業」、「遊技機事業」及び「ゲーミング事業」を報告セグメントといたします。

当グループの事業領域はエンタテインメントコンテンツ事業、遊技機事業、ゲーミング事業であり、全世界をターゲット市場として当グループ内の経営資源を最大限有効活用及び相互利用し、全ての世代をターゲットにした事業を行います。また、当グループでは、「ミッションピラミッド」を策定し、社員一人ひとりによる施策の確実な遂行を促すことで、経営目標の達成並びに企業価値の向上を図っています。

 

 

(2) 目標とする経営指標及び中長期的な経営戦略についての経営者の認識

当グループでは、2030年に目指す姿の実現に向けて長期ビジョンを策定しており、ミッション/パーパスとして引き続き「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」を掲げております。「感動」や「共感」が溢れる社会を私たちの開発した製品・サービスで生み出すことで、世界中の人々の生活に「彩り」を提供し続けることが私たちの使命であり、私たちが社会に在り続けられる理由です。また、不確実性が高く将来の予測が難しいVUCAの時代において、このミッションを達成するために必要なことは、変化に適応するに留まらず、変革を起こし続けることです。そのために私たちは革新者であり続けることを目指し、「Be a Game Changer」というビジョンも併せて掲げております。各事業における長期戦略といたしまして、エンタテインメントコンテンツ事業につきましては、「セガブランド価値向上」を目指し、遊技機事業につきましては、「業界No.1の地位確立」を目指します。また、ゲーミング事業につきましては、「第3の柱となる事業の確立」を目指します。そして、全社の長期ビジョンとして、5つのマテリアリティ(重要課題)への対応もグループ一丸となって取り組みを進め、サステナブルな経営を目指してまいります。

 


 

 2024年3月期までの前中期計画につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に起因するグループ構造改革からの立て直しの意味を込めて「Beyond the Status Quo」というスローガンを掲げましたが、この3ヵ年で一定の成果を挙げることができました。

こうした状況を受けて、2025年3月期からスタートする新・中期計画については、「WELCOME TO THE NEXT LEVEL!」というスローガンを掲げます。このフレーズは、1989年にセガが発売したゲーム機メガドライブを、北米向けにGenesisとして販売する際のプロモーションに採用したフレーズです。メガドライブは、当時、家庭用ゲーム機として他社に先駆けて16ビットCPUを搭載し、一時期は北米販売シェアでナンバー1になるなど、セガの歴史の中で、最も普及したコンソール機となります。新・中期計画では、このフレーズに表されるとおり、セガサミーグループを次のステージにレベルアップさせていくという強い意志を込めております。

新・中期計画では、目標とする経営指標として2025年3月期から2027年3月期の3ヵ年の累計で「調整後EBITDA2,300億円超」、同3ヵ年の平均で「ROE10%超」達成を目指します。

これらの目標達成のため、事業ポートフォリオの強化を進め、各事業の位置づけをより明確化していきます。成長投資を進める領域としては、引き続きエンタテインメントコンテンツ事業におけるコンシューマ分野と、ゲーミング事業への投資を進めます。そして、その成長投資を支えるのが、遊技機事業等から創出される豊富なキャッシュフローとなります。遊技機事業から創出されるキャッシュフローを、成長を続けるコンシューマ分野、そして新たな事業の柱を構築すべくゲーミング事業に投資をしていくことで、企業価値の向上を実現いたします。

調整後EBITDAの詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。

 


 

 

 

 <財務戦略の考え方>

資本効率重視の経営を実現すべく、利益成長として調整後EBITDAで累計2,300億円超を目指すとともに、エクイティスプレッドを上げ、このエクイティスプレッド拡大と適切な株主還元を通じて、TSR(株主総利回り)の拡大と、企業価値の最大化を目指します。新・中期計画においても、成長投資と株主還元、この二つをバランスさせながら、最適な資本構成を維持してまいります。

 


 

<成長投資及び株主還元の考え方>

新・中期計画スタート時点の運転資金を除いた資金及び中期計画期間中の3ヵ年で稼ぐ営業キャッシュフローを、成長領域への投資及び戦略投資に活用していきます。

株主還元の基本方針は引き続き、DOE3%以上を据えながら、利益成長に応じた還元を実施すべく総還元性向50%以上としております。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 


 


「WELCOME TO THE NEXT LEVEL!」のアクションプラン

①全体の戦略について

エンタテインメントコンテンツ事業におけるコンシューマ分野を成長分野、遊技機事業を基盤事業として位置付けています。成長分野であるコンシューマ分野においては積極的な投資を通じてPillarの拡大、開発・商品力強化等を図っていきます。一方、基盤事業である遊技機事業においてはシェア拡大による収益基盤の強化及び安定化に取り組みます。また、ゲーミング事業は事業としての確立及び調整後EBITDAの黒字化をを目指します。

 

②各事業の戦略について

エンタテインメントコンテンツ事業におきましては、ゲーム以外にも、映像、ライセンスによるマーチャンダイズの展開といったTransmedia戦略を強化していくことでPillarのさらなる拡大を図ります。加えて、Pillarを、モバイルを中心としたGaaSとしてグローバル展開することにも取り組みます。また、主力Pillarのほか、Legacy IPや映像IPへの投資も行い、長期的な成長の柱と期待しているSuper Gameに対しても、適切な資源配分バランスを意識しながら投資を行います。欧州事業においては、「Football Manager」や「Total War」等に投資し、主力Pillarとしてさらなる成長を目指します。

 


 

遊技機事業におきましては、開発費低減に向けた取り組み、固定費水準の低下に資する各種施策を実行し効率的な体制を整備してまいりました。新・中期計画期間においても、この体制を基盤としながら、シェア拡大、並びにプラットフォーム戦略の推進を通じて、収益基盤のさらなる強化及び安定化を目指します。また、市場は長期的に縮小傾向が続いているため、遊技機業界の活性化に向けて、コスト構造の変革、並びにユーザー数の増加に取り組んでまいります。

 


 

 

ゲーミング事業におきましては、既存ゲーミング事業の業績改善と同時に、米国カジノオペレーター向けSaaS事業及び欧州・南米向けB2Cオンラインゲーミング事業を展開するGAN Limited買収等の成長投資を進め、新たな事業としての確立を目指します。

 

(3) 会社の対処すべき課題

エンタテインメントコンテンツ事業を取り巻く環境としては、コンシューマ分野におきまして、インフレーションの進行等による経済環境の悪化から足元の成長は踊り場を迎えております。また、人件費の上昇や開発期間の長期化等によりゲーム開発コストの上昇が続いており、こうした事業環境の変化への対応が急務となっております。一方で、サービス提供形態の多様化により、デバイス・プラットフォームを問わず、全世界に向けてより長期にわたってコンテンツ・サービスを提供できる環境が整ったことから、ゲーム市場の成長に対する期待は継続しています。このような環境のなか、コンシューマ分野を当グループの成長分野として位置づけ、グローバル規模での事業展開を推進すべく経営資源の集中を進め、優秀な人財の確保・育成による開発体制の充実や良質なコンテンツの開発、IPの創出・活用によるライブラリの拡充、商品・サービスの長期展開に伴うユーザーエンゲージメント強化等の取り組みが重要な経営課題であると考えております。

遊技機業界では、足元においてパチンコ機の稼働が低調に推移する一方で、パチスロ機については当グループの『スマスロ北斗の拳』をはじめ、スマートパチスロを中心に話題性のある機種が継続して登場していることから、高い稼働水準を維持しております。一方、長期では店舗数や設置・販売台数が減少傾向にある等、遊技機市場の縮小が続いております。このような環境のなか、市場ニーズに応える製品の開発に取り組むことに加え、遊技機の部材共通化を進め、リユース等による原価改善や開発の効率化に取り組むことによる収益性の確保と、メーカー・ホール双方のコスト低減やユーザー数増加に資する取り組み等を通じた市場活性化の両立が経営課題であると考えております。

ゲーミング事業では、海外におけるゲーミング機器販売において、各国・地域における法令・レギュレーションを遵守し、当局承認の取得・維持を行う必要があります。また、2023年11月に発表した、オンラインゲーミングの統合プラットフォームプロバイダーである米国GAN Limitedの買収手続きを完了し、今後、ゲーミング事業を第3の事業の柱として確立することが経営課題であると考えております。

また、引き続き資本効率を意識した上で、成長投資と株主還元を行うことにより、企業価値の向上を実現することが経営課題であると考えております。

当グループは、「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」というミッションを掲げ、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指しております。2020年10月には、事業に紐づいた重要課題を外部のフレームワーク「SASBモデル」を用いて、以下の取り組むべき5つの重要課題(マテリアリティ)について特定しました。2022年5月にはサステナビリティビジョン「サステナビリティもカラフルに」を策定しました。引き続き当グループとして、ESG(環境、社会、ガバナンス)が掲げる持続可能な社会の実現に対応することが経営課題であると考えております。

 

・人(感動体験を創る人が育つグループへ)

・製品/サービス(安心・安全かつ革新的な製品/サービスの提供)

・環境(気候変動への対応を戦略に)

・依存症(依存症や障害を防ぐ)

・ガバナンス(サステナビリティガバナンスを強化する)

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

「共感されない会社は生き残れない」この信念のもと、変革と成長を実現します。

 


当グループは、2022年5月に「サステナビリティビジョン」を発表しました。SDGsをはじめ、企業が持続的に成長していくために取り組むべきことは、かつてなく多様になっています。私たちがエンタテインメントを通じて感動体験を提供し続けるためには、今、そして未来の人・社会・地球に寄り添った経営を行っていく必要があります。このサステナブルな経営の考え方をグループ全体に浸透させ、全社員が自分ゴトとして実践できるよう「サステナビリティビジョン」には思いを込めています。

 

このビジョンのもと、5つのマテリアリティ(重要課題)である「人」、「製品/サービス」、「環境」、「依存症」、「ガバナンス」に対して、グループ各社で具体的なマイルストンを定め取り組みを進めております。

マテリアリティ

主な取り組み

目標

マルチカルチャー人財の増加で、ゲーム・チェンジを推進

2031年3月期におけるマルチカルチャー人財約900名、マルチカルチャー人財比率約21%以上

女性活躍/性別に関わらず活躍できる基盤づくり

2031年3月期における女性管理職比率 約8%以上(約80名以上)

中核人財育成/次代を担う人財の戦略的育成

2023年3月期から2031年3月期までの教育投資額累計40億円以上

職場環境整備/人財のエンゲージメント維持・向上

2031年3月期におけるエンゲージメントスコア58以上/レーティングA以上

製品/サービス

品質向上と安心・安全のさらなる推進

セガブランドの価値向上(エンタテインメントコンテンツ事業)

業界№1の地位確立(遊技機事業)

環境

Scope1,2

削減施策の検討・実施

グループ全体で2030年までに2021年3月期比約50%以上の削減

グループ全体で2050年までにカーボンニュートラル

Scope3

サプライヤーエンゲージメント強化、取引先選定基準の検討、削減目標設定対象会社の拡大・時期の検討

グループ主要事業会社である株式会社セガ及びサミー株式会社において、2030年までにGHG排出量2021年3月期比約22.5%以上の削減

TCFD対応

戦略のアップデート

開示対象会社の拡大・時期の検討

依存症

各業界団体と連携した依存症やゲーム障害への対応・予防に関する取り組み、依存症研究への継続的な取り組み

依存症に関する法令・規制・自主規則等の遵守

業界の健全な発展に貢献

依存症に関する産学共同研究の実施

ガバナンス

継続して透明性の高い経営を実現し、中長期的な企業価値向上に資するコーポレート・ガバナンス体制を維持

 

サステナビリティビジョン、CEOメッセージ、その他サステナビリティに関する取り組みにつきましては、当社サステナビリティサイトもご参照ください。

https://www.segasammy.co.jp/ja/sustainability/

 

 

(2) ガバナンス


 

グループ経営委員会内にグループサステナビリティ分科会を設け、グループ方針や目標の策定、各社取り組み状況や目標の修正等について経営討議を実施しております。また、グループ方針や目標の意思決定は、当社の取締役会にて行っております。

意思決定された方針や目標は、グループサステナビリティ推進会議を通じて、グループ各社に共有されます。社会との接点を持つグループ各社は、事業を通じてさまざまな要望や顧客・ユーザーの声を把握し、それが同推進会議においてグループ各社に共有されます。グループ方針や目標に取り入れるべき取り組みについては、グループサステナビリティ分科会に報告され、討議される仕組みとなっております。

主要な組織は、主に以下の機能を果たしております。

 

グループ経営委員会

(グループサステナビリティ分科会)

・グループサステナビリティ計画の策定、改訂における提言

・グループ目標の策定及び進捗モニタリング

・各社取り組みの評価、提言、アドバイザリー

 

グループサステナビリティ推進会議

・グループ全体方針の共有

・各社の取り組みのモニタリング、成功事例の横展開等

 

グループ各社

・各社内のプロジェクト推進体制構築

・各社でのサステナビリティ計画の立案、実行

・事業戦略への織り込み

 

 

 

 

(3) 気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)

当社は、グループミッション/パーパスとして「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」を掲げ、サステナビリティ経営を推進しています。その一環として、5つのマテリアリティ(重要課題)を定め、そのひとつに「環境」を設定しました。当グループは、地球温暖化防止に向けて、エネルギーの有効活用やオフィス・生産拠点から生じる環境負荷の低減、製品/サービスの環境配慮設計などの取り組みを進めてきました。また、2022年5月には温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量の削減に向けて定量的な目標を設定しました。Scope1、2では、2021年3月期を基準年として2030年までにグループ全体で約50%以上の削減、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指しています。また、Scope3ではグループ主要事業会社である株式会社セガ及びサミー株式会社において、2030年までにSBT(パリ協定の要求をベースに、科学的根拠に基づいて企業が設定する、5年~15年先をターゲットとした温室効果ガス排出量削減目標)水準を満たす約22.5%以上の削減達成を目指します。この目標は、サプライヤーアンケートなどにより取引先とのエンゲージメントを高め、協働して気候変動課題に取り組むことを通じて実現します。

 

①ガバナンス

気候変動への対応に関するガバナンスは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

a )短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会

当社は、将来の気候変動が事業活動に与えるリスク及び機会、財務影響を把握するため、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて外部環境変化を予測し、分析を実施しました。

識別された当グループへの重要な影響が想定される気候関連のリスク及び機会の発現時期については、2年以内の短期、2年超~10年以内の中期、10年超の長期の3軸を基準としてシナリオ分析結果を開示しています。

セガサミーグループにおける気候関連のリスク及び機会の発現時期の定義

 

時間軸

発現時期

定義

 

短期

2年以内

事業計画などの実行期間

 

中期

2年超~10年以内

2030年頃まで

 

長期

10年超

2030年~2050年

 

 

b )気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

<分析手法・前提>

当社は、TCFD提言の要請に基づき、外部専門家の助言も踏まえ、次の目的でシナリオ分析を実施しました。

・気候変動が当グループに与えるリスク及び機会とそのインパクトの把握

・2030年~2050年の世界を想定した当グループの戦略のレジリエンスと、さらなる施策の必要性の検討

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存のシナリオを参照の上、パリ協定の目標である産業革命以前に比べて、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを想定したシナリオ(1.5℃未満シナリオ)、及び新たな政策・制度が導入されず、公表済みの政策・規制が達成されることを想定した世界の温室効果ガスが、現在より増加するシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界を想定しました。

 

 

<分析結果>

2つの世界を想定したシナリオ分析から、気候変動が当グループに与えるリスク及び機会を特定し、政府による政策・法規制の導入、技術・市場等の移行リスク及び気候変動がもたらす異常気象等の物理リスクの検討を行いました。

シナリオ分析結果(リスク及び機会、影響)

 

区分

リスク及び機会

発現

時期

当グループへの影響

(●リスク・〇機会)

影響

 

政策・法規制

温室効果ガス排出規制、炭素税の導入

中期・長期

●気候変動に関する規制が強化され、温室効果ガス排出量に対する炭素税が導入された場合には、炭素税負担が増加する。

 

中期・長期

●気候変動に関する規制が強化され、温室効果ガス排出量に対する炭素税が導入された場合には、炭素税がプラスチック等の調達価格へ転嫁され、調達コストが上昇する。

 

資源効率

環境に配慮した販売形態に変革していくことによる部材・包装材の削減等

中期・長期

〇ゲームのオンライン販売や遊技機の販売を環境に配慮した販売形態に変革していくことにより、部材・包装材の削減等、コストが減少する。

 

 

カーボンプライシング

温室効果ガス排出量に対する第三者保証を前提に定量評価が可能であるカーボンプライシングについては、次の算出根拠に基づき試算を行いました。

温室効果ガス排出量(Scope1、2)は活動量に排出原単位を乗じることにより算出し、1.5℃シナリオ、4℃シナリオごとの炭素税価格想定を掛けあわせてカーボンプライシングの影響額を試算しました。

2030年においては1.5℃シナリオで4.1億円、4℃シナリオで1.2億円、2050年においては1.5℃シナリオで7.4億円、4℃シナリオで2.6億円の炭素税の負担が見込まれることが分かりました。引き続きグループ全体で2030年目標の温室効果ガス排出量約50%以上の削減、2050年目標のカーボンニュートラルに向け取り組みを進めます。

 

シナリオ

2030年

2050年

 

1.5℃シナリオ

△4.1億円

△7.4億円

 

4℃シナリオ

△1.2億円

△2.6億円

 

炭素税価格想定:(1.5℃シナリオ)2030年US$140/t-CO2、2050年US$250/t-CO2、(4℃シナリオ)2030年US$42/t-CO2、2050年US$89/t-CO2(IEA(World Energy Outlook 2023)から引用)、為替レートはUS$1=141円(影響額試算時の為替レート)

排出量の仮定:Scope1、2を対象とし、2023年3月期と同様の温室効果ガスが排出されると仮定

 

 

c )2℃以下シナリオを含む、さまざまな気候関連シナリオに基づく検討を踏まえた組織の戦略のレジリエンス

当グループでは、2030年~2050年を想定した2つのシナリオにて特定されたリスク及び機会に対応するため、既存の取り組みを強化するとともに、新たな施策を立案し進めていきます。事業及び財務への影響度を踏まえ、サプライチェーン全体でリスクの最小化と機会の最大化に取り組むことで、中長期的な戦略のレジリエンスを確保していきます。

 

当グループへの影響

(●リスク・〇機会)

影響度

対応策

 

●気候変動に関する規制が強化され、温室効果ガス排出量に対する炭素税が導入された場合には、炭素税負担が増加する。

非ガソリン車への切り替え、生グリーン電力の導入、グリーン電力証書の購入、太陽光発電設備サービスの導入等に取り組む。

 

●気候変動に関する規制が強化され、温室効果ガス排出量に対する炭素税が導入された場合には、炭素税がプラスチック等の調達価格へ転嫁され、調達コストが上昇する。

再生プラスチック等の代替素材の採用や、使用済みアミューズメント機器・遊技機の部品等のリユース・リサイクルの促進、筐体設計の変更等による調達費用・廃棄費用などの製造コストの抑制に取り組む。また、主要サプライヤーとのエンゲージメント強化、温室効果ガス排出削減の支援に継続的に取り組む。

 

〇ゲームのオンライン販売や遊技機の販売を環境に配慮した販売形態に変革していくことにより、部材・包装材の削減等、コストが減少する。

環境対策に取り組むプラットフォーマーとパートナーシップを構築して環境負荷低減に取り組む。また遊技機部材の共通化及び交換パーツの極小化で使用材料を減らすことで環境負荷を低減する。

 

 
③リスク管理
a )組織が気候関連リスクを識別・評価するプロセス

当社では気候関連リスクについて、当グループへの重要な影響が想定される気候関連リスクを、以下のとおり識別しています。

・低炭素経済への「移行」に関するリスク

気候変動政策及び規制や、技術開発、市場動向、市場における評価等

・気候変動による「物理的」変化に関するリスク

気候変動によってもたらされる災害等による急性あるいは慢性的な被害

また、重要な影響が想定される気候関連リスクについて、社内指標を用いた影響度の評価基準に基づき、その重要性を評価しています。

 

b )組織が気候関連リスクを管理するプロセス

当グループの気候関連リスクは、グループサステナビリティ分科会の中で対応策の進捗のモニタリングと議論を行い、その内容を当社取締役会に報告、承認を得ることで管理しております。また、管理内容は、グループサステナビリティ分科会の下にあるグループサステナビリティ推進会議において、各事業会社のサステナビリティ担当役員等と共有しています。

 

c )組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスの統合について

当グループでは、リスク管理等に関する施策や情報について、議論・検証・共有する場として、グループ経営委員会内にグループリスク・コンプライアンス分科会を設置しております。気候関連リスクについては、グループサステナビリティ分科会において、対応策の進捗のモニタリングを実施し、グループリスク・コンプライアンス分科会へ共有することで、グループ内に潜在するリスクに統合されます。主要なリスクの検証・評価を行った上で、その対策について議論と検証をした結果を、取締役会に報告しています。

 

 

④指標及び目標
a )気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標

当グループは、気候関連のリスク及び機会を管理するため温室効果ガス(Scope1、2、3)排出量を指標として定めています。

b )Scope1、Scope2及びScope3の温室効果ガス排出量

当グループは、2015年3月期から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。

当グループは、2023年3月期のScope1、2、3の温室効果ガス排出量について、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社より、「ISO14064-3 温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様並びに手引」に準拠した限定的保証業務を受けました。その結果、同社より「2022年4月1日~2023年3月31日の温室効果ガス排出量情報が、規律に準拠して作成、開示されていないと信じさせる事項はすべての重要な点において認められなかった」との結論を受領しております。

なお、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社は、「ISO17021適合性評価・マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項」の認定要求事項に適合する包括的なマネジメントシステムを導入、維持しているほか、「ISO14065温室効果ガス・認定又は他の承認形式で使用するための温室効果ガスに関する妥当性確認及び検証を行う機関に対する要求事項」に従ってマネジメントシステムを確立しております。

 

2023年3月期Scope1、2、3温室効果ガス排出量実績

 

カテゴリ

排出量(t-CO2

シェア(%)

 

Scope1

6,620

0.8

 

Scope2

14,469

1.8

 

Scope3

761,242

97.3

 

Scope1、2、3合計

782,331

100.0

 

 

c )気候関連のリスク及び機会を管理するために用いる目標及び目標に対する実績

c-1 )Scope1、2について

カーボンニュートラルの達成に向けて、期限を定めて取り組んでいます。

・主要事業であるエンタテインメントコンテンツ事業及び遊技機事業において、2030年までにカーボンニュートラル達成

・グループ全体では2050年までにカーボンニュートラル達成

 

Scope1、2 温室効果ガス排出量削減に向けたロードマップ(2024年3月末現在)


 

Scope1、2温室効果ガス排出量の目標実績対比表

 

カテゴリー

2021年3月期

(t-CO2)

2022年3月期

(t-CO2

2023年3月期

(t-CO2

2030年

t-CO2

 

エンタテインメントコンテンツ事業(当社含む)

8,322

5,952

2,872

グループ全体で

約50%以上削減

(2021年3月期比)

 

遊技機事業

4,762

3,824

2,739

 

リゾート事業

13,537

18,256

15,478

 

Scope1、2合計

26,621

28,032

21,089

 

 

温室効果ガス排出量削減への取り組み

当グループは、省エネの取り組みと高環境性能ビルへの拠点集約により、大幅なエネルギー削減を実現しています。環境保全やさらなるCO2排出量の削減に向けて、住友不動産株式会社及び東京電力エナジーパートナー株式会社と連携し、日本の再エネ電源総量の増加に直接寄与する「新設太陽光発電所由来」の生グリーン電力をオフィスビルのテナント専有部に導入するスキームを構築し、当グループ本社の専有部に2021年12月より導入しています。

なお、太陽光発電でまかなえない夜間等は、非化石証書を活用することで、当グループ本社の使用電力を実質的に100%グリーン電力化が可能となっています。

 

c-2 )Scope3について

グループ主要事業会社である株式会社セガ及びサミー株式会社において、2030年までにSBT水準を満たす約22.5%以上の削減達成を目指し、サプライヤーアンケート等により取引先とのエンゲージメントを高めることなどの取り組みを実施しております。

 

㈱セガ、サミー㈱Scope3温室効果ガス排出量の目標実績対比表

 

カテゴリー

2021年3月期

(t-CO2

2022年3月期

(t-CO2

2023年3月期

(t-CO2)

2030年

t-CO2

 

㈱セガ

169,021

221,244

299,840

約22.5%以上削減

(2021年3月期比)

 

サミー㈱

200,921

235,799

321,026

 

Scope3合計

369,942

457,043

620,867

 

注 2030年の目標には、2024年4月1日付で株式会社セガから分割した株式会社セガフェイブのAM事業の数値を含んでおります。

 

 

温室効果ガス排出量削減への取り組み

・サプライヤーアンケートの実施

当グループは、Scope3の温室効果ガス排出量の削減を目指しており、その一環として、2022年3月期から温室効果ガス排出削減に影響の大きい取引先に対して、温室効果ガス排出量集計や削減目標設定、削減活動の状況を把握するためのサプライヤーアンケートを実施しています。取引先とのエンゲージメントを高めるとともに、得られた結果をサプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減に役立てています。2024年3月期には、対象範囲を59社まで拡大しています。

サプライヤーアンケート実施企業数

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

 

24社

41社

59社

 

 

・サプライヤーアンケート説明会

当グループでは、2024年3月期にサプライヤーアンケート説明会をオンラインと対面のハイブリッド型で開催し、53社に参加いただきました。説明会ではアンケートの重要性とともに各社ごとの算定状況に寄り添った説明を実施することで、初めて取り組みをされる企業から複数回実施されている企業の皆様までそれぞれアンケート内容の理解を深めていただきました。

 

・取引先に対するサステナビリティ勉強会

取引先と連携した気候変動対応の推進に向け、サプライヤーアンケート実施企業を対象に、当グループの気候変動に関する脱炭素方針や取り組み事例、サプライチェーンのリスクとしてのビジネスと人権について勉強会及び質問会を実施しました。2024年3月期は53社の取引先の皆様に参加いただきました。

 

・取引先との個別対話

当グループは、2024年3月期から、双方向のコミュニケーションを通じて、温室効果ガス削減に向けた取り組みを促進するため、取引先との個別対話を開始しました。温室効果ガス排出量算定手法や削減施策の課題などについて、対面で直接対話を行った結果、相互理解が進みました。今後もこの対話を継続して実施してまいります。

 

 

 

(4)人的資本

①人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

人財育成・エンゲージメント向上

当グループは、世界各地で多彩なエンタテインメントを開発、提供しております。グローバルな企業グループとして今後も成長していくためには、多様なカルチャーを持つ人財が集い、育っていける環境づくりが不可欠と考えます。人財が育つグループを構築していくために、当グループでは、教育環境の充実、各種制度の拡充に注力しております。

 

a )人財育成に関する基本方針

当グループの「人財育成に関する基本方針」の根底にあるのは、ミッションピラミッドです。

世の中が目まぐるしいスピードで変化し続け、新しい技術や環境変化によりライフスタイルが多様化している時代。ビジネスにおいても、その変革スピードはすさまじいものがあります。そのような状況下、当グループは、日本国内のみならずグローバルでの事業拡大を推し進めており、「セガサミーグループは社会に何をなすべきか」、「セガサミーグループの使命は何か」を明らかにするために、2017年にミッションピラミッドを定め、共有しています。(ミッションピラミッドは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標及び中長期的な経営戦略についての経営者の認識」の「長期Mission/Purpose」をご参照ください。)

「ミッションピラミッドという共通の理念のもとに人々が集い働き、それぞれの個性を発揮しながら新たな感動を生み出していくには、どのような人財が求められるのか」、「変化し続ける世の中で、わたしたちの存在意義を発揮し続けていくために、人財領域では何ができるのか」。

変革の方向性を示すために、当グループの「人財育成に関する基本方針」として、2020年11月に策定されたのが、「セガサミーグループHR変革ビジョン」です。

「セガサミーグループHR変革ビジョン」は、グループ企業各社・各自の多様性を最大限に引き出しつつ、グループ企業である強みを発揮していくための、人事領域に関するありたい姿、変革の方向性を示すものです。

 

セガサミーグループHR変革ビジョン:大切な3つの要件

当グループは、ミッション/パーパスである「感動体験を創造し続ける」ため、一人一人が“Game Changer(革新者)”であり続けられるように、必要な人財投資と仕組みづくりを行っております。

この人事領域における指針として掲げているのが「セガサミーグループHR変革ビジョン」で、それは次の3つの要件で構成されています。

 

(1)ミッションピラミッド実現が共通の絶対軸

グループ社員の一人ひとりが、ミッションピラミッドの実現に向けての挑戦的な役割と向き合い、相互に支えあい、力を引き出しあいながら、これを全うしていくことを強く奨励します。

 

(2)脱年功:志と実力を示すものが挑戦し活躍できる環境

年功的・名目的な役割に応じた配置や処遇を排し、志と実力に応じた人の活用を徹底することで、革新に向けたパフォーマンスの向上と、個々の成長を促します。

 

(3)グループとして人財の活躍機会を最大化

人財の活躍機会は会社や組織に閉じず、グループ内での多様な活躍機会を提供することで、グループ人財価値の最大化を図ります。

 

当グループはこのビジョンの実現に向けて、グループ及び各社において、人財開発や環境構築、制度改定や文化醸成など人事領域の変革を進めております。

 

b )教育研修体制の強化

当グループは、“個人の成長が組織の成長である”と考え、教育研修体制の充実を推し進め、人財育成に取り組んでいます。

当グループの社員が目指すべき姿は、「Vision(ありたい姿)」で掲げている“Game Changer(革新者)”であること。その土台となる思考特性、行動様式として設定されているのが「SEGA SAMMY 5つの力:S.S.FIVE」です。

人財育成では、この「5つの力」を備えた多様な社員を育てることで、それぞれが互いの能力・才能を活かし合いながらシナジーを起こし、大きな革新を起こせるような組織文化を醸成することを目指しています。

 


 

セガサミーカレッジ

人財育成の場として、企業内大学「セガサミーカレッジ」のほか、コンプライアンスやITなどさまざまなテーマ別研修を行っています。

「セガサミーカレッジ」は、“セガサミーらしいリーダーとしての成長機会をつくること”、“誰でも学びたいときに学ぶことができる場を提供すること”を目的に、2018年に設立された企業内大学です。

“学び”を止めない育成環境を整備して、当グループの横断的な人財教育を推進しています。

従来の集合型研修に加えてオンライン研修やeラーニングを導入し、場所や時間に制限されない柔軟な研修スタイルを実現したことなどもあり、2018年の開講から2024年3月末までに延べ約46,000人が研修を受講しました。

セガサミーカレッジの詳細な内容は、当社サステナビリティサイトをご参照ください。

https://www.segasammy.co.jp/ja/sustainability/esg/esgsociety/

 
c )ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

当グループは、多様な人財が活躍できる就業環境を整備しております(グループ内の一部の会社での取り組みも含んでおります)。

 

c-1 )ワークライフバランスの向上

当グループは、多様な人財がキャリアを分断されることなく活躍できるよう、「時間・場所」に縛られない就業環境を構築しています。従来のフレックスタイム制度・短時間勤務制度・在宅勤務(テレワーク)制度をさらに拡充し、個別の事情に応じて働く時間や場所を選択可能とすることで“安心して仕事を続けるための環境”を整備し、育児・介護・女性活躍を支援します。

 

項目

概要

 

セレクトタイム制度

育児や介護などの事情がある社員を対象に働く時間を選択できる制度

・所定労働時間を1日4時間~7時間の間で選択できる

・すきま時間を活用したフルタイム勤務(8時間)ができる

 

セレクトロケーション制度

地方での介護や配偶者の転勤などの事情がある社員を対象に、場所に縛られずに働くことができる制度

・事情に応じて地方などロケーション(勤務地)を選択しテレワークできる

・対象者は、常時、テレワークが可能な職種に限定(出社は月に1~2回程度)

 

 

 

c-2 )育児支援

育児休業は法定を上回る支援制度を整備し、休業の延長やフレックスタイム制度の活用による育児との両立をサポートしています。加えて、出産時に一時金として100万円を支給する制度や、就学時の祝い金など子育て支援にも取り組んでいます(各社制度は異なります)。

 

項目

概要

 

育児休業期間の延長

法定:最大2歳まで

当社:最大子が2歳に達した後、初めて到来する4月まで

※保育所に入所できない等の場合にのみ、延長可能となります。

 

育児短時間勤務の利用期間

法定:子が3歳に達するまで

当社:子が小学校4年生になるまで

※ただし、子が小学校就学後~小学校4年生になるまでの期間については、1日1時間を超えない範囲で早退を認めるものとします。

 

積立年休を利用した育児休業

育児休業期間が20日未満の場合、積立年休を利用できます。

※有給休暇扱いとなります。

 

短時間フレックスタイム制度

育児短時間勤務の適用を受けられる社員が希望する場合、

契約労働時間=個別に定めた時間(6~8時間未満)×1ヶ月の所定労働日数として、フレックスタイム制度の利用が可能となります。

 

企業主導型保育所

「セガサミーそらもり保育園」の運営

社員や地域の方の仕事と育児の両立支援を目的として、企業主導型保育所を設けています。産休・育児休業明けのスムーズな職場復帰や多様な働き方を支援するとともに、子育てに携わる皆さんが生き生きと活躍できる環境整備に取り組んでいます。

 

 

c-3 )介護との両立支援

育児と同様、介護においても法定を上回る対応をしており、介護による経済的負担や帰省などで生じる身体的負担を少しでも軽減できるよう、さまざまな両立支援制度を整備しています。

 

項目

概要

 

介護休業中(無収入期間)に対する金銭的サポート

当社の介護休業期間は法定以上の93営業日となりますが、法定を超えた期間については雇用保険からの介護休業給付金が支給されず、無収入となるため、その無収入期間に対して金銭的サポートを行います。

 

介護のための帰省交通費に対する金銭的サポート

同居していない父母の介護のために、毎月、複数回、継続して帰省する必要がある社員のサポートを目的として、帰省にかかる交通費の一部を会社が負担します。

 

貸付金の貸付事項

貸付金について、家族介護にかかる一時費用だけではなく、継続的に発生する費用についても貸付金の対象とします。

 

法定以上の介護短時間勤務の利用期間

法定:3年
当社:5年
※平均介護期間が約5年といわれていることから「5年」と設定。

 

介護のための帰省時翌日(当日)の出社時間の柔軟化

同居していない父母の介護のために帰省した場合、帰省による肉体的負担が生じることが想定されるため、その負担を軽減することを目的に介護を終えて帰宅した日の翌日(当日)の始業時間を遅らせることができます。

 

法定以上の介護短時間勤務の分割回数

法定:2回まで
当社:4回まで
※要介護者の状況に応じて柔軟に対応できるように「4回」と設定。

 

短時間フレックスタイム制度

介護短時間勤務の適用を受けられる社員が希望する場合、
契約労働時間=個別に定めた時間(6~8時間未満)×1ヶ月の所定労働日数として、フレックスタイム制度の利用が可能となります。

 

 

 

c-4 )性的マイノリティに関する支援

当グループは、同性パートナーにも配偶者と同じ権利・地位が認められるよう、さまざまな制度を設けています。

 

大項目

中項目

概要

 

休暇・休職

慶事・弔事の特別休暇

同性パートナーとの結婚時、同性パートナーの死亡時などに特別休暇を取得できます。

 

介護関連

同性パートナーが要介護状態になった時、介護休業や介護短時間勤務などが利用できます。

 

支給金

別居手当/結婚祝金/出産祝金/香典

関連規程の配偶者と同等の扱いとします。

 

弔慰金

社員本人が死亡した際、弔慰金を同性パートナーへ支給することができます。

 

赴任・出張

下見・正式赴任時の諸経費/転勤休暇/赴任手当/単身赴任帰郷旅費

関連規程の配偶者と同等の扱いとします。

 

福利厚生

貸付金

関連規程の配偶者と同等の扱いとします。

 

保養所

同性パートナーも「メンバー」料金で利用できます。

 

就業サポート

積立年休の利用用途拡大

就業継続サポートとして、トランスジェンダーの方が性別適合手術、ホルモン治療を受ける際に積立年休を利用できます。

 

上記取り組みのほか、当社サステナビリティサイトに以下の取り組みを掲載しておりますので、ご参照ください。

https://www.segasammy.co.jp/ja/sustainability/esg/esgsociety/

・「PRIDE指標2023」において最高位の「ゴールド認定」及び「レインボー認定」獲得

・「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同

・同性パートナーのための「パートナーシップ証明書」

・「Business for Marriage Equality」へ賛同

「東京レインボープライド」におけるブース出展・パレード参加

・Sega of America, Inc.及びSega Europe Ltd.におけるLGBT+の取り組み

・アライ(ally)を示すレインボーストラップの配布

 

c-5 )WE-College(女性活躍推進施策)

当グループは、誰もが活躍できる基盤を一層強固にすることを目指し、国内主要会社における人財戦略の一つとして「女性活躍(性別に関わらず誰でも活躍できる)」を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

採用や制度の充実に加えてこれらの取り組みを進めることで、2030年までに女性管理職比率を2021年比で2倍程度まで引き上げることを目標としています。

女性活躍推進実施施策

・アンコンシャスバイアス研修

・女性のキャリア形成のサポート(妊娠・出産・復職サポート)

・タウンホールミーティング~女性活躍~

・フェムテック・ウェルネス&キャリアセミナー

・若手女性社員向けキャリアワークショップ

なお、各施策の詳細につきましては、当社サステナビリティサイトをご参照ください。

https://www.segasammy.co.jp/ja/sustainability/esg/esgsociety/

 

 

c-6 )障がい者雇用の取り組み

障がいの有無に関わらず、個性を尊重し誰もが活躍できる職場の提供を目指し、2015年に特例子会社「セガサミービジネスサポート」を設立しました。当グループの障がい者雇用率は、2024年3月現在で2.83%となっており、職域拡大と採用の推進とともに、仕事の質の向上を目指し、「障がい者雇用」を通して、当グループのDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の促進と企業価値向上に取り組んでいます。

また、障がいを持つ当事者の疑似体験を通して多様な方々の視点を知り、同じ職場で働く仲間やお客様への合理的配慮についての理解を深め、適切な対応ができるようになることを目的に「障がい者理解体験型研修」を毎年実施しております。

なお、セガサミービジネスサポートに関する詳細は、セガサミービジネスサポート株式会社ホームページをご参照ください。

https://www.segasammybusinesssupport.co.jp/

 

c-7 )シニアに対する取り組み

当グループは、意欲、能力のある高齢者が、年齢に関係なく活躍できる生涯現役社会を実現するため、「定年後継続雇用制度」を設け、中高年社員が豊富な知見を活かして定年後も活躍できる場を提供することを推進しています。

継続雇用者の労働時間は「正社員就業規則」に準じますが、場合によっては働く時間や日数の希望を柔軟に考慮し、定年後の社員のライフスタイルに合わせてサポートしてまいります。

 

 

 

②人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

当グループは、ミッション/パーパスである「感動体験を創造し続ける」ため、さまざまな環境変化の中でも変革を起こしていく「Game Changer(革新者)」でありたい、というビジョンを掲げています。

ミッション/パーパスの実現、持続的な企業成長のためには、人財を大切な資本ととらえ、適切な教育・育成環境の構築と投資を継続しなければなりません。

当グループは、グループの事業戦略に照らして、「マルチカルチャー」「女性活躍」「中核人財育成」「職場環境整備」の4つを人財における重要指標と定め、独自の測定可能な数値目標を策定し、追求しています。

a )マルチカルチャー

主要事業会社である株式会社セガにおいて、世界30億人のゲーマーに刺さるコンテンツとサービスを提供し、海外売上高比率の向上を中長期目標として掲げている中、当グループは既に世界各国のゲーム開発スタジオにおいて約2,000名の人財を擁しております。これらの海外スタジオのメンバーと日本国内のメンバーが、互いの文化を理解し、グローバルビジネス展開を進めていくことが必要であることに加え、サミー株式会社においても新規事業領域への挑戦を進めていく中で、当社、株式会社セガ、サミー株式会社におけるマルチカルチャー人財(外国語・国外在住歴・外国籍)の採用と育成を指標としています。

マルチカルチャーに係る目標と実績は次のとおりです。

 

 

 

2022年3月期

12月時点

2023年3月期

実績

2024年3月期

実績

2031年3月期

目標

 

人財数

554名

658名

855

900

 

対象グループ会社に占める割合

約15%

約17%

20.7

21%以上

 

 

b )女性活躍

大きく変化する市場環境や多様なユーザー志向に応え感動体験を創造し続けていくためには、性別に関わらず志と実力ある者が活躍できる環境が必要です。そのための1つの指標として、当社、株式会社セガ、サミー株式会社における女性管理職比率を指標としています。

女性活躍に係る目標と実績は次のとおりです。

 

 

 

2021年

2023年4月1日

実績

2024年4月1日

実績

2031年3月期

目標

 

女性管理職数

42名

72名

88(注2)

80名以上

 

女性管理職比率(注1)

約5%

約6%

7.2

8%以上

 

(注)1 全管理職に占める女性管理職比率(専門職を含む)であります。

2 女性管理職数は目標を達成しておりますが、全体の人員数も増加したことで女性管理職比率は目標に対して未達であり、引き続き取り組みを推進いたします。

 

 

c )中核人財育成

将来の予測が困難で、大きな環境変化が日々起こっているVUCAの時代、持続的な企業成長のためには、一人一人の人財が己のスキルを磨き向上し続け、その個性を最大限に発揮することが求められます。当グループにおいては、2018年にグループ横断的な教育機関たる「セガサミーカレッジ」を設立し、選抜型・階層別型・手挙式の区分のもと、普遍的なスキル・新たに必要となるスキル、そしてセガサミーらしいリーダーへの成長を促すプログラムを用意、セガサミーカレッジの機能をさらに拡張し、“セガサミーらしい文化”を育み、競争力の源泉としていくため、次代を担う人財育成のための教育投資額を指標としています。

中核人財育成に係る目標と実績は次のとおりです。

 

 

 

2022年3月期

12月時点

2023年3月期

実績

2024年3月期

実績

2031年3月期

目標

 

年間教育投資額

約1.5億円

約4.7億円

5.2億円

平均4.5億円

 

教育投資累計額(注)

約4.7億円

9.8億円

40億円以上

 

(注)教育投資累計額は、2023年3月期から2031年3月期までの累計であります。

 

d )職場環境整備

多様な価値観をもった人財が、グループミッション/パーパス実現にむけて活き活きと協働する状態こそが感動体験を創造し続けることに資するものと考え、人的資本たる人財がグループの目指すミッション/パーパスのもとにエンゲージしている状態を目指すべく、国内主要グループ会社におけるエンゲージメントスコアを指標としています。

職場環境整備に係る目標と実績は次のとおりです。

 

 

 

2021年

2023年3月期

実績

2024年3月期

実績

2031年3月期

目標

 

エンゲージメントスコア

(注)

50.1

52.8

55.8

58以上

 

エンゲージメント・
レーティング

B

BB

BBB

A以上

 

(注)出典:株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションクラウドによるエンゲージメントスコア

 

 

3 【事業等のリスク】

当グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクは以下のとおりであります。以下に記載したリスク以外でも当グループの想定を超えたリスクが顕在化した場合には、当グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 重要なリスク

①個人情報等の情報管理について

当グループでは、事業遂行上、顧客の機密情報や個人情報を間接的に入手し取り扱う機会があり、これらの情報資産を保護するため、情報管理規程を定め、サーバー設備のセキュリティ強化、社内ネットワークや情報機器の適切なセキュリティ手段を講じることによる不正アクセス防止等の措置を講じ、情報管理については万全を期しております。しかしながら、不測の事態により情報漏洩等の事故が発生した場合には、損害賠償等による予期せぬ費用が発生し、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、世界各国・地域で個人情報を保護するための法律の整備が進められているため、特に海外の個人情報を取り扱う際には法律内容の十分な把握と迅速な社内体制の構築が必要であると認識しております。

 

遊技機事業の法的規制等について

遊技機事業において製品を販売する際は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」及び関連法令に基づき、国家公安委員会規則の「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」で定められた「技術上の規格」に適合し、各都道府県公安委員会においてその旨の検定を受けることが必要となります。また、遊技機の射幸性の抑制を主な柱とした「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則(規則改正)」が2018年2月1日より施行されております。当グループでは、射幸心をあおる等、善良の風俗及び清浄な風俗環境の保持を害するような表現や誤解を与えるような表現を社内の倫理委員会のもと規制しております。さらに、不正な方法で利益を得る、いわゆる“ゴト行為”を未然に防ぐために遊技機不正対策担当部門を設け、継続的に市場情報の収集をするなどして不正に強い遊技機作りに取り組んでおります。しかしながら、法令又は規則等に重大な変更が加えられた場合、また、国際的な各種イベントの開催に伴う販売自粛期間が設けられた場合には、当グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 経営全般のリスク
 当グループでは、グループ内に潜在するリスクについて影響度と発生可能性によるクロスマッピングを行い、リスク評価を行った上で、その対策などについて検証などを行った結果、特に重要と判断しているリスクは以下のとおりであります。

リスク項目

概要

主な対策

コンプライアンス、

法令違反

・当グループの提供する製品・サービスによる第三者への権利侵害

・当グループの製造する製品の不具合

・ユーザー等からの予期せぬ苦情から発生する訴訟によるブランドイメージ棄損のリスク

コンプライアンス、法令違反による、ネバダ州ゲーミングライセンス剥奪のリスク

専門部署設置によるハラスメント研修、コンプライアンス研修、他コンプライアンス啓発活動の実施

・内部通報窓口(企業倫理ホットライン)の浸透

・反社会的勢力との関与防止活動として、取引先の背面調査を実施

 

災害等

・本社、事業所、生産拠点及び当グループの取引先が、地震、火災、洪水等の大規模自然災害やテロ攻撃等によって物的・人的に想定を超える被害を受けるリスク

・事業活動に潜在するリスクを特定し、平常時からリスクの低減及び危機の未然防止に努めるとともに、重大な危機が発生した場合の即応体制整備・維持

情報セキュリティ

・ハッキング等の外的攻撃による重要情報の流出

・コンピュータウイルス等により情報システムの不具合、故障

・顧客の機密情報や個人情報の漏えい

世界各国の個人情報を保護するための法律に違反するリスク

・グループ各社へのセキュリティガバナンス強化活動、教育活動、監査活動の実施

・事前予防策(監視やモニタリング)、事後対策の実施(インシデント対応)、脆弱性診断の実施など

・セキュリティ監視ツールの強化

海外の個人情報を取り扱う際の、法律内容の把握と迅速な対応のための社内の専門チームの設置(グループプライバシー推進室)

原材料の調達難、

原材料の高騰

・紛争、感染症の拡大等によるサプライチェーンの分断

・原材料の高騰による価格転嫁がもたらす買い控え

・代替部品を使用した製品の開発

サステナビリティ

における重要課題

(マテリアリティ)

サステナビリティ観点において、適切な行動が取られていない場合、顧客からの取引の停止や、ブランド毀損のリスク

・グループ経営委員会内にグループサステナビリティ分科会を設置し、グループ各社の取り組みの評価、提言、アドバイザリーを実施

・グループ全体方針の共有、各社の取り組みのモニタリング、成功事例共有を目的としたグループサステナビリティ推進会議を、グループ各社代表を招集し年2回実施

 

 

(3) 事業別のリスク
 当グループの事業内容は多岐にわたり、それぞれの事業によって受けるリスクが異なります。事業ごとの特有のリスクについては以下のとおりであります。

セグメント

主なリスクの概要

主な対策

エンタテインメントコンテンツ事業

・コンシューマ分野における高クオリティ、有力IPを使用したタイトルの出現による競争環境の激化

・運営数及び新作タイトル投入規模の適正化

・アミューズメント機器分野における個人消費動向の変化やユーザーニーズの変化による施設オペレーターの設備投資意欲減衰

・施設オペレーターの投資効率の向上と当グループの長期安定収益確保を実現する収益モデルの提供

・家庭用ゲームソフトや玩具などにおける、商戦時期に新商品が投入できなかった場合の余剰在庫の発生

・製品開発管理の強化

遊技機事業

・ギャンブル依存症問題

・業界を横断した「のめり込み」対策への取り組み

・ユーザー嗜好の変化

・市場ニーズに応える斬新なゲーム性を備えた製品の開発体制の構築

・原材料の調達不足のリスク

・部材の共通化

・調達リードタイムの短縮化

・棚卸資産管理強化

・余剰部品の発生

・他の製品への有効活用

ゲーミング事業

・コンプライアンス、法令違反による、ネバダ州ゲーミングライセンス剥奪のリスク

専門部署の設置

・ハラスメント研修、コンプライアンス研修、他コンプライアンス啓発活動の実施

・内部通報窓口(企業倫理ホットライン)の浸透

・反社会的勢力との関与防止活動として、取引先の背面調査を実施

 

 

(4) 個別のリスク
 当グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のある事業外のその他のリスクは以下のとおりであります。

リスク項目

主なリスクの概要

M&A等による事業拡大

・当初期待していたシナジー効果が得られないリスク

・M&A後の業績不振による経営成績棄損のリスク

減損会計の適用

・将来キャッシュ・フロー低下による設備投資額やのれん計上額に対する減損処理のリスク

保有投資有価証券の棄損

・時価の下落による経営成績棄損のリスク

・実質価額低下による減損処理のリスク

繰延税金資産の棄損

・税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異の回収見込みの減少による税金費用の計上のリスク

為替の変動による棄損

・海外市場での販売活動及び部材調達等における為替相場の変動リスク

・海外子会社及び関連会社における為替相場変動による為替換算調整勘定を通じた純資産の棄損リスク

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

《エンタテインメントコンテンツ業界》

コンシューマゲーム市場におきましては、各国・地域でのインフレーションの進行等により足元の成長は踊り場を迎えております。また、人件費の上昇や開発期間の長期化等によりゲーム開発コストの上昇が続いており、こうした事業環境の変化への対応が急務となっております。

一方で、ゲームコンテンツの提供形態の多様化、新興経済圏の成長による市場顕在化が進んでいることから、全世界に向けデバイス・プラットフォームを問わず、より長期にわたってコンテンツ・サービスを提供できる環境が整い、ゲーム市場の成長に対する期待は継続しています。アミューズメント機器市場におきましては、引き続き円安に起因した原材料価格高騰の影響があるものの、プライズカテゴリーの好調は継続し、全体としては堅調に推移しております。

 

《遊技機業界》

パチスロ機においては、当グループの『スマスロ北斗の拳』をはじめ、スマートパチスロを中心に話題性のある機種が継続して登場していることから、高い稼働水準を維持しております。パチンコ機においては、稼働水準は引き続き低調に推移しております。一方で、2024年3月より導入が開始されたラッキートリガー搭載機種については、稼働面で好調な滑り出しとなっていること等から、今後のヒット機種登場による稼働回復が期待されます。

 

《リゾート業界》

国内において、社会経済活動の正常化に伴い、旅行需要に回復傾向が見られました。インバウンドについては、日本への直行便の再開や円安等が追い風となり、「訪日外国人消費動向調査」では、2023年暦年の訪日外国人旅行消費額が過去最高となる等、新型コロナウイルス感染症拡大前を上回る水準に急回復いたしました。今後も訪日外国人の更なる増加に伴い、旅行需要や宿泊需要を中心とした経済効果が期待されております。

 

このような経営環境のもと、当連結会計年度における売上高は467,896百万円(前期比20.1%増)、営業利益は56,836百万円(前期比21.5%増)、経常利益は59,778百万円(前期比20.8%増)となりました。また、欧州構造改革に伴う事業再編損など特別損失を19,279百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は33,055百万円(前期比28.0%減)となりました。

 

セグメント別の概況は以下のとおりであります。

なお、文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。

 

《エンタテインメントコンテンツ事業》

コンシューマ分野のフルゲームにおきましては、新作タイトルとして『ソニックスーパースターズ』、『龍が如く8』、『ペルソナ3 リロード』、『Football Manager 2024』等を販売し、販売本数は923万本(前期は1,009万本)となりました。また、リピートタイトルの販売本数は1,866万本(前期は1,779万本)となりました。これらの結果として、フルゲームの販売本数は全体で2,789万本(前期は2,789万本)となりました。F2Pにおいては、引き続き『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』及び、開発は株式会社セガ、パブリッシャーは株式会社バンダイナムコエンターテインメントが担う『ONE PIECE バウンティラッシュ』が牽引しました。

アミューズメント機器分野におきましては、UFOキャッチャー® シリーズやプライズ等を中心に販売いたしました。

映像・玩具分野におきましては、映像において、劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の配分収入や、映像制作及び配信に伴う収入等を計上し、玩具において、『#バズゅ Cam』や定番製品を販売いたしました。

以上の結果、売上高は318,005百万円(前期比12.4%増)、経常利益は30,781百万円(前期比25.3%減)となりました。

 

《遊技機事業》

パチスロ機におきましては、当グループにおけるスマートパチスロ第1弾となる『スマスロ北斗の拳』等の販売を行い、180千台の販売(前期は94千台の販売)となりました。『スマスロ北斗の拳』については、前連結会計年度における先行納品分を含め、累計導入台数は84千台を突破し、現在も好調な稼働水準を持続しております。パチンコ機におきましては『P北斗の拳 暴凶星』等の販売を行い、88千台の販売(前期は103千台の販売)となりました。ラッキートリガーを搭載した『P北斗の拳 強敵 LT』については2024年3月の導入開始後、稼働面で好調に推移しております。なお、販売が好調なタイトルの追加販売に注力するため、パチスロ機及びパチンコ機ともに当連結会計年度に予定していた一部タイトルの導入時期を、戦略的に翌連結会計年度にスライドしております。

以上の結果、売上高は135,969百万円(前期比44.3%増)、経常利益は41,877百万円(前期比102.2%増)となりました。

 

《リゾート事業》

リゾート事業におきましては、国内、海外ともに堅調に推移したことから、経常利益段階で黒字化を達成しました。

国内の『フェニックス・シーガイア・リゾート』において、個人客は施設利用者数が想定をやや下回って推移したものの、「G7宮崎農業大臣会合」をはじめとする国際会議や学会、企業イベント等の大型MICEが開催されるなど、コロナ禍で低調に推移していた団体客の獲得に成功し、当グループとなって以来、過去最高の売上高を更新し、2期連続の営業利益黒字化となりました。

海外におきましては、PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.(当社持分法適用関連会社)が運営する『パラダイスシティ』において、カジノでの日本人VIP客のドロップ額(チップ購入額)が新型コロナウイルス感染症拡大前を上回る水準となり、ホテルの施設稼働も高水準を維持したことから、営業利益及びEBITDAは過去最高となりました。また、持分法取込においては開業以来初となる利益貢献となりました。

※PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.は12月決算のため3ヶ月遅れで計上

以上の結果、売上高は12,356百万円(前期比7.1%増)、経常利益は18百万円前期は経常損失3,217百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産及び負債)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ152,428百万円増加し、653,994百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ41,140百万円増加いたしました。これは、棚卸資産が減少した一方で、Rovio Entertainment Corporation(以下「Rovio」という。)を連結の範囲に含めたことにより、現金及び預金並びに有価証券が増加したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ111,287百万円増加いたしました。これは、Rovioを連結の範囲に含めたことにより、のれん及び商標権が増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ126,073百万円増加し、296,292百万円となりました。これは、長期借入金が増加したこと等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ26,354百万円増加し、357,702百万円となりました。これは、配当金の支払や自己株式の取得により株主資本の減少があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと及び為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。

(財務比率)

当連結会計年度末における流動比率は、流動資産が増加した一方で、流動負債も増加したことから、前連結会計年度末に比べ2.6ポイント低下し291.5%となりました。

また、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ11.4ポイント低下し、54.6%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ40,301百万円増加し、219,810百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

法人税等の支払で12,505百万円を支出し、仕入債務が8,238百万円、契約負債が8,009百万円それぞれ減少した一方で、税金等調整前当期純利益を41,831百万円計上したこと、減価償却費を13,514百万円計上したこと等により、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは65,833百万円の収入(前連結会計年度は44,704百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

出資金の分配により9,795百万円の収入があった一方で、子会社の取得により81,776百万円、出資金の払込により12,989百万円をそれぞれ支出したこと等により、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは113,509百万円の支出(前連結会計年度は2,351百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金の返済により17,018百万円、配当金の支払により13,673百万円、自己株式の取得により10,016百万円をそれぞれ支出した一方で、長期借入れにより122,000百万円の収入があったことから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは79,786百万円の収入(前連結会計年度は15,358百万円の支出)となりました。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a )生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

エンタテインメントコンテンツ事業

223,503

+2.1

遊技機事業

115,032

+12.7

リゾート事業

合計

338,535

+5.5

 

(注) 金額は販売価格で表示しております

 

 

b )受注状況

当グループでは一部の製品について受注生産を行っておりますが、金額的重要性が低く、また受注状況の記載は営業の状況に関する実態を表さないため、省略しております。

なお、エンタテインメントコンテンツ事業におけるアミューズメント機器については、生産に要する期間が比較的長期に亘るため、見込み生産を行っております。また、遊技機事業については、生産に要する時間が短時間であるため、基本的に受注動向を見ながら生産を行っておりますが、製品のライフサイクルが短いため販売期間が非常に短く、発売の初期段階に出荷が集中することから、販売政策上、初期受注に対しては見込み生産を行っており、かつ、その数量は通常販売数量の大半を占めております。

 

c )販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

エンタテインメントコンテンツ事業

318,005

+12.4

遊技機事業

135,969

+44.3

リゾート事業

12,356

+7.1

合計

466,331

+20.0

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①経営成績の分析

 当連結会計年度におきましては、遊技機事業における好調や、エンタテインメントコンテンツ事業におけるコンシューマ分野において主に国内・アジア地域での販売が好調に推移したこと、また、新たにRovio Entertainment Corporationがグループ入りしたことにより、前期から大きく増収となりました。その結果として、営業利益及び経常利益も前期から大きく増加いたしました。

 一方で、エンタテインメントコンテンツ事業におけるコンシューマ分野において、欧州スタジオを中心とする経営環境の悪化に伴い、構造改革を実施したこと等により約192億円の特別損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で減益となりました。なお、当グループにおいて重要な経営指標と位置付けている経常利益は59,778百万円、ROEは9.6%となりました。

 

(単位:百万円)

前連結会計年度

当連結会計年度

実績

計画

実績

売上高

389,635

433,000

467,896

営業利益

46,789

55,000

56,836

経常利益

49,473

58,000

59,778

(経常利益率)

12.7

13.4

12.8

親会社株主に帰属する当期純利益

45,938

40,000

33,055

ROE

14.7

9.6

 

 

《エンタテインメントコンテンツ事業》

 当連結会計年度は、前期比で増収・減益となりました。

 増収要因につきましては、コンシューマ分野において、主に国内・アジア地域における販売好調や、Rovio Entertainment Corporationのグループ入りによるものであります。また、減益要因につきましては、主に欧州コンシューマ分野が低調に推移したことと、それに伴い、構造改革を実施したことによるものであります。

 欧州コンシューマ分野の構造改革は、①ラインナップの絞り込み、②人員削減を含む固定費の適正化、③一部開発スタジオの売却を実施いたしました。その結果、エンタテインメントコンテンツ事業減益の大きな要因となりましたが、早期に構造改革を実施することで、収益性改善に向けた道筋を整えることができました。また、欧州地域の経営体制の立て直しとグローバル経営体制の強化を目的とし、欧米のパブリッシング機能を統合することで強化、効率化を図るとともに、欧州スタジオにおける開発管理機能の強化を目的として、開発・評価プロセスの見直しを実施いたしました。

 ※欧州構造改革による当連結会計年度への影響:売上原価約66億円、特別損失約178億円。

 当連結会計年度は、国内スタジオ開発の新作タイトル『龍が如く8』や『ペルソナ3 リロード』が、それぞれシリーズ最速で100万本の販売を突破し、また、定番タイトルである『Football Manager 2024』や、ヴァニラウェア社が開発を手掛ける『ユニコーンオーバーロード』などのタイトルも高い評価を得ることができ、販売が好調に推移いたしました。また、リピート販売や既存のF2Pタイトルも底堅く推移し、当連結会計年度の業績に貢献いたしました。

 

 


 

《遊技機事業》

 遊技機事業は、当グループ主力タイトル『スマスロ北斗の拳』を中心に、パチスロ機の販売が好調に推移したことから、大幅な増収・増益となりました。『スマスロ北斗の拳』導入後は高い稼働水準を背景に『スマスロ北斗の拳』のリピート販売が進んだほか、複数の新作タイトルも堅調に推移いたしました。その結果、パチスロ販売台数は約18万台となり前期比で大幅に増加いたしました。一方で、パチンコ機の販売台数は約8.8万台と前期比で減少いたしましたが、これは、期中に販売スケジュールを見直した結果、主力タイトルを含む一部のタイトルの販売時期を2025年3月期に変更したことが要因であります。当連結会計年度に発売した『P北斗の拳 暴凶星』などの各タイトルの販売は概ね堅調に推移いたしました。

 


 

 

《リゾート事業》

 リゾート事業は、国内のフェニックス・シーガイア・リゾートにおいて、団体客が想定以上の回復を見せ、2期連続の黒字を達成いたしました。韓国・インチョンのパラダイスシティについては、日本人VIPを中心に好調に推移し、当連結会計年度の持分法取込額は約9億円となり、リゾート事業の黒字化に貢献いたしました。

 


 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a )キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b )財務戦略の基本スタンス

当グループは、中期事業戦略とその先の持続的企業価値拡大を支えるため、中期的な視座で財務戦略を計画し遂行しております。

具体的には、ボラティリティのある事業特性を踏まえ、強固な財務基盤を維持するために財務規律を注視し、安定的なキャッシュポジションの維持を目標としております。

資金効率を高めるため、グループの資金調達・運用の一元管理を行うとともに、国内及び海外の主要グループ会社でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

また、創出したキャッシュは、成長分野への投資及び安定的な株主還元に振り向ける方針であります。

 

c )資金調達

当グループは、事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するため、グループ内資金の有効活用及び外部調達を行っております。

グループ内資金の有効活用については、CMSによるグループ内での資金融通を積極的に実施することで、資金効率化を図っております。

外部からの資金調達については、引き続きコンシューマ分野及びゲーミング領域への成長投資等を見据え、資本効率向上と資本コスト低減を意識しながら活用を検討してまいります。

資金調達を検討するにあたり、その時々の市場環境を踏まえ当社にとって最適な調達を選択出来るように調達手段の多様化を図るとともに、安定した調達能力の確保に向けて㈱格付投資情報センターからA-(安定的)の格付を取得しており、今後も格付を意識した財務運営を行ってまいります。間接金融においては、当社はメインバンクをはじめとする取引金融機関と良好な関係を維持し、安定的な資金調達を行っております。資金調達に際しては、各年度別の返済額の平準化や期日分散を考慮することによりリファイナンスリスクを低減しております。

なお、当社は社債発行登録枠50,000百万円(残額50,000百万円)及びコマーシャルペーパー発行枠30,000百万円の直接金融による調達手段も有しており、より安定的な長期運転資金確保の目的から、2019年9月に期間10年の公募普通社債を発行しております。

また、当連結会計年度末においては、必要運転資金及び成長投資のための待機資金として219,810百万円の現金及び預金、並びに現金同等物を保有しており、さらに総額で278,000百万円の借入枠を有しております。

今後も引き続き、財務基盤の強化等を意識した財務運営を進めてまいります。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計原則に基づき作成されております。

連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたっては、連結貸借対照表及び貸借対照表上の資産、負債の計上額、並びに連結損益計算書及び損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。

当該見積りは、過去の経験やその時点の状況として適切と考えられる様々な仮定に基づいて行っておりますが、事業環境等に変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。

連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりでありますが、当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積りに関する補足情報は以下のとおりであります。

 

エンタテインメントコンテンツ事業の棚卸資産等、及び遊技機事業の原材料の評価について

エンタテインメントコンテンツ事業のゲームコンテンツ等の制作により計上された仕掛品及びソフトウエア等は、その販売見込数量やサービス見込期間を考慮し費用計上を実施しており、販売の状況によっては想定よりも早期の費用計上が発生することがあります。

また、遊技機事業では、製品を構成する原材料の調達に期間を要するもの(長納期部材)があることから部材の共通化を進めている一方で、販売の状況によっては一部の専用部材などで原材料の廃棄が発生することが想定されます。

そのため、これらの棚卸資産やソフトウエア等については、翌連結会計年度以降の販売の見通しをもとに当連結会計年度末の資産性評価を実施しておりますが、同業他社の新製品等の販売時期等のほか、ヒットビジネスであることによる販売の多寡等により、見積りと実績が乖離する不確実性が存在するため、その精度が会計上の見積りに大きく影響します。

 

②リゾート事業における関連会社への投資の評価について

当社は、韓国仁川においてIR施設『パラダイスシティ』を運営する、持分法適用関連会社PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.に対する投資額を投資有価証券(関係会社株式)に計上しております。

同社が営む施設事業は、その事業の性質上変動費の割合が低いことにより収益の状況が業績に大きく影響する中、特に大雨・台風などの天候のほか、世界情勢の変動等により事業の不確実性が存在すると認識しております。

同社への投資の評価については、経営者の最善の見積りによる将来キャッシュ・フローを基に評価しておりますが、前述の事業の特性から見積りと実績が乖離する不確実性が存在するため、その精度が会計上の見積りに大きく影響します。

 

③Rovio Entertainment Corporation株式の取得に伴う取得原価の配分について

当連結会計年度において、Rovio Entertainment Corporationの持分を取得したことにより、無形固定資産(商標権及び技術関連無形資産)並びにのれんを計上しております。

識別可能資産である無形固定資産の配分額は、企業価値評価で用いた事業計画を基礎としております。また、のれんは、今後の事業活動により期待される将来の超過収益力として、取得原価と企業結合日における識別可能な資産及び負債に対して配分した額との差額であります。

将来の事業計画は、経営者の最善の見積りにより行っておりますが、主要なゲームタイトルごとの売上高等が見積りと乖離する等の不確実性が存在するため、その精度が会計上の見積りに大きく影響します。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)当社又は連結子会社が許諾を受けている重要な契約

当社又は連結子会社

契約会社名

契約内容

契約期間

㈱セガ

㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメント

家庭用ゲーム機「プレイステーション(全機種)」対応ソフトの製造・販売に関する商標権及び技術情報の供与

自 2014年2月22日
至 2025年3月31日

㈱セガ

任天堂㈱

「Nintendo Switchプラットフォーム」ライセンス契約及び「Nintendo Switch」対応ソフトの製造・販売に関するライセンス契約

自 2017年2月1日
至 2025年1月31日

㈱セガ

Microsoft Licensing, GP.

PCゲーム向けのサポートプログラム、「Games for Windows Live」サービス参加の許諾契約

自 2008年1月3日
至  契約解除まで  

㈱セガ

Microsoft Licensing, GP.

家庭用ゲーム機「XboxOne」対応ソフトの製造・販売に関する規定、ロイヤリティ条件、承認方法、及びオンラインにおける規定等の合意

自 2013年10月1日
至 2025年3月31日

㈱セガ

Apple Inc.

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

自 2021年8月14日
至 2024年8月13日

㈱セガ

Google LLC

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

 定めなし

 

 

(2)吸収分割契約

2024年4月1日付のグループ内組織再編に伴って、株式会社セガを分割会社とし、株式会社セガトイズを吸収分割承継会社とする吸収分割を実施いたしました。また、株式会社セガトイズは株式会社セガフェイブに商号変更しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)1 共通支配下の取引等」に記載のとおりであります。

 

(3)その他

当社又は連結子会社

契約会社名

契約内容

契約期間

又は契約締結日

当社

㈱サンリオ

相互に発展と成長することを目的とした業務提携

自 2020年11月17日
至 2024年11月16日

当社

Paradise Co., Ltd.

韓国仁川市エリアにおける統合リゾート開発事業を行うための合弁会社設立

2012年5月11日から当該合弁会社が存続する限り

当社

Hana Bank Co., Ltd.

当社の持分法適用関連会社であるPARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.の金融機関からの借入金総額530,000百万ウォンに対し、当社が保有する全ての同社株式を担保として提供する契約

自 2023年6月9日
至 2028年6月19日

 

(注)前連結会計年度末における経営上の重要な契約のうち、HI Investment & Securities Co., Ltd.との間で2018年10月25日付で締結いたしました担保提供契約は、2023年6月19日をもって終了いたしました。

 

(3)ゲーミング法令及び規則の概要

ネバダ州ゲーミング・コミッションの要求に基づくネバダ州ゲーミング法令及び規則の概要について

 

セガサミーホールディングス株式会社(以下、「当社」)は、株式公開会社(以下「登録会社」)としてネバダ州ゲーミング・コミッションに登録されており、当社の子会社として米国ネバダ州で事業を行う、中間親会社のセガサミークリエイション株式会社及びその完全子会社であるSega Sammy Creation, USA, Inc.(以下、総称して「運営子会社」)の2社の株式を直接的又は間接的に保有することについて適格であると認定されております。両子会社は、ネバダ州においてゲーミング機器を製造・販売するライセンスを受けております。ネバダ州法の規制により、当社がネバダ州においてライセンスを受けている子会社を保有する事実、当社が株式公開会社として登録されている事実及び当社の株主は、ネバダ州ゲーミング当局(以下で定義されます)が定める規則の適用対象となります。

 

ネバダ州において使用又は遊技に供するゲーミング機器インターネット・モバイルゲーミング機器を含む)及びキャッシュレス・ウェジャーリングシステムの製造、販売及び流通並びにスロットマシンルート及びカジノ間接続システムの運営は、(ⅰ) ネバダ州ゲーミング管理法及び同法に基づいて公布された規則(以下、総称して「ネバダ規則」)並びに (ⅱ) 各地方自治体の条例及び規則の適用対象となります。ネバダ州内におけるゲーミング行為及び製造・販売業務は、ネバダ州ゲーミング・コミッション(以下、「ネバダコミッション」)、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボード(以下、「ネバダボード」)及び各郡・市の規制当局(以下、総称して「ネバダ州ゲーミング当局」)によるライセンス制度及び行政監督の対象となります。

 

ネバダ州ゲーミング当局の法律、規則及び監督手続は、特に以下の事項に係る公共政策の宣言に基づいています。すなわち、(ⅰ) いつ、いかなる立場においても、直接、間接を問わず、好ましくない者又は不適格な者がゲーミング、製造又は販売業務に関わることを防止すること、(ⅱ) 責任ある会計実務及び手順を確立し、維持すること、(ⅲ) ライセンス保有者の財務実務の効果的な管理を維持すること(社内の財務業務に関する最低限の手続の確立、資産及び収益の保全、信頼性のある帳簿等の保持、ネバダゲーミング当局への定期的な報告義務などが含まれます。)、(ⅳ) 詐欺的及び不正な実務を防止すること、(ⅴ) 納税及びライセンス料の支払を通じて、州及び地方自治体の収入源を確保すること、が要請されています。これらの法律、規則、手続、司法上又は規制上の解釈に変更があった場合、当社のゲーミング事業に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

製造・販売ライセンスは、ネバダ州内における使用・遊技又はネバダ州外への販売を目的としたゲーミング機器及びキャッシュレス・ウェジャーリングシステムの製造、販売及び流通を許可するものですが、ネバダ州外の流通においては他管轄のライセンスが要求される可能性があります(下記「②ネバダ州以外のゲーミング法令及び規則の概要について」をご参照)。当グループがライセンスを保持するためには、定期的にライセンス料及び税金を支払う必要があり、ライセンスの譲渡はできません。当グループがネバダ州内において販売する各種機器は、ネバダコミッションの事前承認を受けなければならず、機器の修正の承認を求められることもあります。ネバダ州においてライセンスを受けている当社のゲーミング事業子会社には、一定額を超える借入れ及びリースその他同様の金融取引に関する報告義務があります。ネバダコミッションの事前の承認を得ずに、運営子会社の持分に係る証券を売却又は譲渡することはできません。

 

ネバダ州ゲーミング当局は、当社又は運営子会社と重要な関係又は関わりを有する個人について、当該個人がその関わりを有する上で適格であるかを判断するために、調査を実施することがあります。ネバダコミッションは、合理的とみなされる根拠があれば、ライセンス申請又は適格性認定申請を却下することができます。適格性の認定を受けることはライセンスを付与されることに等しく、どちらも詳細な個人情報及び財務情報の提出を要求され、その後、徹底した身上調査が行われます。

 

 

当社又はいずれかの運営子会社がネバダ規則に違反したと判断された場合には、当社の登録及び運営子会社のライセンスは、一定の法律上及び規制上の手続に基づき、制限され、条件が付けられ、停止され、又は取り消される可能性があります。また、当社、運営子会社及び関係者がネバダ規則に違反した場合は、その違反毎に、ネバダコミッションの裁量により多額の罰金が科せられる可能性があります。

 

登録会社の議決権付証券(当社の場合は普通株式)を実質的に所有する者は、ネバダコミッションに当該所有がネバダ州の公表するゲーミング政策に適合しないと判断する根拠がある場合には、その所有する議決権付証券数に関わらず、申請書を提出し、調査を受け、登録会社の議決権付証券の実質所有者として適格性の判断を受けるよう求められることがあります。

 

ネバダ規則では、登録会社の議決権付証券の5%超を実質的に取得した者は、ネバダコミッションに当該取得を報告しなければならないと定めています。また、ネバダ規則では、登録会社の議決権付証券の10%超を実質的に取得した者は、ネバダボードの議長がNRS 463.643に基づいて届出を求める通知を郵送した日から30日以内に、ネバダコミッションに適格性の認定を申請しなければならないと定めています。

 

一定の状況下においては、ネバダ規則に定義する「機関投資家」が登録会社の議決権付証券の10%超25%以下を実質的に取得した場合において、当該機関投資家が投資目的のみにおいて議決権付証券を保有しており、かつ、当該議決権付証券が債務再編を通して取得したものでないときは、当該機関投資家はネバダコミッションに対して適格性認定の免除を申請することができます。ネバダコミッションから免除を受けた機関投資家は、登録会社の議決権付証券の25%超29%以下を実質的に保有することができますが、これは、25%を超える分の持分保有が登録会社による自社株の買戻しから生じるものである場合に限られ、かつ、当該機関投資家が登録会社の議決権付証券を追加で購入その他取得することにより当該機関投資家の議決権比率を増加させないことが条件となります。また、登録会社の議決権付証券を実質的に保有することによりNRS 463.643(4)に基づいて適格性認定を申請する必要があり、かつ、ネバダコミッションから免除を受けていない機関投資家は、当該登録会社の議決権付証券の10%超11%以下を実質的に保有することができますが、これは、10%を超える分の持分保有が登録会社による自社株の買戻しから生じるものである場合に限られ、かつ、当該機関投資家が登録会社の議決権付証券を追加で購入その他取得することにより当該機関投資家の議決権比率を増加させないことが条件となります。ネバダボードの議長から別段の通知がない限り、当該機関投資家はネバダコミッションに適格性認定を申請する必要はありませんが、同議長が定める報告義務には従わなければなりません。

 

ネバダ州ゲーミング当局に発生した調査費用一切は申請者が負担しなければなりません。ネバダ規則では、ネバダコミッション又はネバダボードの議長から、適格性認定の申請又はライセンス申請を命じられたにもかかわらず、30日以内にこれを行わなかった者又は拒否した者は、不適格と判断されることがあると定めています。同様の規制は、実質保有者を特定するよう要請されたにもかかわらずそれを行わなかった名義上の証券保有者(当社の場合は登録名義人)にも適用されます。

 

不適格と判断された者が、ネバダコミッションが定める期間を超えて、登録会社の議決権付証券を直接的又は間接的に保有する場合は、ネバダ州法により刑法上の罪に問われることがあります。登録会社が、ある者について、登録会社の議決権付証券の保有者として不適格である、又は登録会社とその他の関係を有する者として不適格であるとの通知を受領した後に以下の行為を行った場合、承認の取消しなどの制裁措置を受けることがあります。その行為とはすなわち、(ⅰ) 不適格者に対して、その議決権付証券に係る配当又は利息を支払うこと、(ⅱ) 不適格者に対して、その保有する証券により付与された議決権の直接的又は間接的な行使を認めること、(ⅲ) 提供された役務などに関して、その種類を問わず、不適格者に報酬を支払うこと、(ⅳ) 必要に応じて、公正な市場価格にて現金と引換えにその議決権付証券を直ちに買い取ることを含め、不適格者がその議決権付証券を放棄することを求めるために必要なあらゆる合法的な努力を行わないことが該当します。

 

 

ネバダコミッションは、その裁量により、登録会社の負債証券の保有者に対して、申請書を提出し、調査を受け、登録会社の負債証券の保有者として適格性の認定を受けるよう求めることができます。ネバダコミッションが、ある者について、当該負債証券の保有者として不適格であると判断した場合に、登録会社がネバダコミッションの事前の承認を得ずに以下の行為を行うと、ネバダ州法により承認の取消しなどの制裁措置を受けることがあります。その行為とはすなわち、(ⅰ) 不適格者に対して、配当又は利息の支払その他種類を問わず何らかの分配を行うこと、(ⅱ) 不適格者が保有する証券に関連して不適格者の議決権を認めること、(ⅲ) 種類を問わず、不適格者に報酬を支払うこと、(ⅳ) 元金支払、償還、転換、交換、清算又はこれらに準じる取引により不適格者に対して何らかの支払を行うことが該当します。

 

証券又はそれによる収入をネバダ州におけるゲーミング施設の建設もしくは取得、当該ゲーミング施設への資金供給、又はこれらの目的のために発生する負債の償還もしくは返済期限の延長に供することが意図されている場合は、登録会社はネバダコミッションの事前の承認を得ずに証券の公募を行うことはできません。この承認がなされたとしても、ネバダコミッションが当該証券の目論見書及び投資メリットの正確性に関して認定、推奨又は承認したことにはなりません。これに反するいかなる表示も違法となります。

 

当社は、ネバダ規則によって課される一定の報告義務を履行しなければなりません。また、当社が製造・販売ライセンスを保持し、又はゲーミング業務を遂行するネバダ州外の法域における法律に故意に違反した場合、並びに、ネバダ州のゲーミング管理に不当な脅威となる行為又はネバダ州もしくはネバダ州のゲーミングに悪評をもたらす行為を行った場合は、ネバダコミッションによる懲戒処分の対象となります。

 

詳細に関しては、改正ネバダ州法(Nevada Revised Statutes)463.635 – 463.643 及びネバダ州ゲーミング・コミッション(NGC)規則16.010 – 16.450をご覧ください。ネバダ規則の概要に関してより具体的な情報をご所望の場合は、当社経営企画本部 IR・SR部までお問い合わせください。

 

②ネバダ州以外のゲーミング法令及び規則の概要について

運営子会社は、ネバダ州以外の複数の国や州、その他地域(以下、総称して「その他地域」)においてもゲーミング機器を製造・販売するライセンスを受けております。

 

その他地域を含む世界各地のゲーミング当局では、登録会社の議決権付証券の5%超を実質的に取得した者に対して、当該ゲーミング当局への取得報告を義務づけることがあり、場合によっては、登録会社の議決権付証券の5%超を取得後所定の期間内に、ゲーミング当局への適格性認定申請を義務づけることもあります。申請者には、不適格者の認定に関して、ネバダ州におけるのと同様又は類似のルールが適用されることがあります。申請者は、ゲーミング当局に発生した調査費用一切を負担しなければなりません。

 

当社の株主は、上記以外にもその他地域の法令及び当該ゲーミング当局が定める規則等に基づき、ネバダ州と同様又は類似の規制の適用対象となることがあります。

 

 

6 【研究開発活動】

当グループは、世界的な総合エンタテインメント企業として、研究開発の強化・充実を経営戦略の最重要課題のひとつとして取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費総額は61,365百万円であり、主なセグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの研究開発費はセグメント間の取引を含んでおります。

 

(1)エンタテインメントコンテンツ事業

エンタテインメントコンテンツ事業におきましては、コンシューマ分野において、フルゲームの『ソニックスーパースターズ』、『龍が如く8』、『ペルソナ3 リロード』、『Football Manager 2024』等を開発し、リリースいたしました。

当事業に係わる研究開発費は、47,984百万円であります。

 

(2)遊技機事業

パチスロ機につきましては、当社主力タイトル『スマスロ北斗の拳』等をリリースいたしました。パチンコ機につきましても、『P北斗の拳 暴凶星』等をリリースいたしました。

当事業に係わる研究開発費は、13,416百万円であります。

 

(3)リゾート事業

リゾート事業におきましては、ゲーミング分野に関する研究等を進めております。

当事業に係わる研究開発費は、220百万円であります。