第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「人や社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造」することをグループ経営理念としており、グループ全体でその使命を全うするため、プロモーション支援、採用支援、教育機関支援を事業セグメントとして専門特化し、広告広報を含めた総合支援業務案件の受注を推進しております。

 事業の展開にあたっての基本方針は、以下の通りです。

・クライアントのために、専門力と創造力を発揮し、広範な視野で最適なソリューションを提供する。

・ユーザーのために、一人ひとりのライフスタイルに寄り添い、「必要なときに価値ある情報が届く」仕組みを提供する。

・社員のために、社員の資質と挑戦心、創意工夫を発揮できる働きがいと活力に満ちた職場環境を提供する。

・株主の皆さまと社会のために、倫理観を持って信頼を醸成し、永続的な成長と社会的責任を全うする。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルスによる経済活動への制約解除による人流の回復、サービス業をはじめとした社会活動が復調し、また、インバウンド需要も回復しました。一方で、物価上昇による個人消費の停滞、堅調な米国経済がもたらす大幅な円安進行、ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢などの地政学リスク、中国や欧州をはじめとする世界景気減速への不安など景気下振れ懸念が残っている状況です。なお、全国有効求人倍率は1.31倍(厚生労働省「令和5年平均 一般職業紹介状況」)と高水準にあり、社会活動における人材不足が継続している状況となっています。

 

 このような環境のもと、プロモーション支援事業では、人流回帰を要因に復調している対面型イベントや、デジタルとアナログを組み合わせた集客プロモーションのほか、事務局代行を中心に、労働人口減少を背景に需要が増加している業務アウトソーシング分野の受託に注力し、前連結会計年度に実施したワクチン接種会場運営などの官公庁大口受託案件、延期となった大口顧客の販売促進キャンペーンを補完する取り組みを行ってまいりました。

 

 採用支援事業では、対面型の合同企業説明会及び採用代行業務のニーズの高まりを受け、積極的に提案活動を展開しました。また、求人ニーズの高い、経験者(中途)採用領域にも対象を広げた採用代行業務の受託や、外国人留学生を含む人材紹介サービスにも取り組みました。その他、業務提携先の株式会社プロネクサスとの共同提案を加速させました。

 

 教育機関支援事業は、需要が増加する外国人留学生募集関連のマッチングイベント企画やプロモーションやツール制作の拡販を強化いたしました。また、日本人学生向けの入試広報関連のイベント運営やプロモーション施策に加え、寄付・募金関連のプロモーションや同窓会支援、スポーツ推進関連等の入試広報部門以外からの案件創出にも注力しました。

 

(3)経営戦略及び優先的に対処すべき課題等

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって変化した経営環境を踏まえ、当社グループでは、以下の経営戦略で事業を展開しています。

① 連合企画・個別案件の複合的アプローチによるクライアントの開拓

② アナログ・デジタル・モノを融合したフレキシブルな提案力の拡大

③ 多様化したニーズに応える業務代行・事務局機能の強化

④ 外国人留学生分野等、教育機関のニーズを広範に捉えたビジネスの拡大

 

 今後もこれらの基本となる戦略は踏襲してまいりますが、現在の経済環境及び当社グループの業績の状況を踏まえ、業績を回復基調に乗せ、さらに事業を拡大するため、グループ全体として以下の課題に優先的に取り組んでまいります。

① 業務代行・事務局機能の効率化と拡大

 プロモーション支援事業ではキャンペーン事務局や官公庁からの事務局代行、採用支援事業では採用業務代行等のアウトソーシング関連の引き合いが増加しています。背景には、多様化した手法やその運用工数の増加がありますが、当社グループではこの引き合いを起点として、コンサルティングや商材などの総合提案に繋げています。なお、総合提案の一層の強化のため、当社グループが保有する機能センター(業務推進センター)のデジタルツールによる作業効率向上をはじめ、データ蓄積による提案力向上により、受託体制の強化拡大を図ってまいります。

 

② 大学との深耕取引による進学・就職領域の事業拡大

 当社グループは、教育機関支援事業において大学の入試広報部門との取引を拡大してきただけでなく、採用支援事業において大学キャリアセンター(就職部門)や国際部門とも取引や連携を重ねてビジネスを創出する独自のプレゼンスを確立してきました。また、長年の実績により、大学から継続取引をいただいており、DXによる入試面接サポートや父母会の運営効率化、寄付金募集活動の活性化に向けた同窓会組織のPRやスポーツ振興領域など、多岐にわたる相談も寄せられ、実績へと繋げており、その実績から新たな引き合いも増加しています。今後も、大学を中心とした取引基盤を活かし、教育機関支援・採用支援事業両面の拡大を進めてまいります。

 

③ 外国人留学生関連ビジネスの拡大

 当社グループでは、日本国内にある約800の日本語学校と連携した国内最大規模の日本語学校生向けの進学サービスをWEBサイト、イベント等で展開しています。また、大学キャリアセンターの繋がりから、外国人大学生の就職相談なども寄せられており、その支援を拡大しています。こうした当社グループの事業領域に関わる外国人留学生の進学・就職領域のビジネスを今後の成長領域のひとつと捉え、一層拡大させてまいります。

 

④ 官公庁関連の取引拡大への対応

 当社グループは、近年、提案力の向上と提携先との関係強化により、官公庁関連の取引が増加かつ大口化しています。当社グループで実施できるアウトソーシング機能の強化やノウハウを蓄積し、これらをさらに強化して、継続して複合的な案件の獲得を目指します。

 

⑤ 財務面の強化と企業価値の向上

 当社グループでは時価総額を含めた企業価値の向上を重要な経営課題と位置付けております。企業価値の向上に向けて① 既存事業の着実な回復による利益の確保、② 事業拡大への資金調達などを含めた機動的な財務戦略、③ 資本アライアンスを含めた事業の深化・多角化、④ 財務体質強化による自己資本比率の改善、⑤ 配当実施と株主優待制度による利益還元、⑥ 効果的なIRの実施に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、「人と社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造する」という当社グループの経営理念に基づき、プロモーション、採用、教育機関支援事業領域において、Environment(環境)Social(社会)Sustainability(サステナビリティ)に配慮した企業活動を行っています。

 従業員一人ひとりが自律的に行動し、人や社会を輝く未来へ導いていく誇りと自覚を持ち、持続可能な未来のため、これからも社会と共に成長していくことを目指してまいります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

ガバナンス

 当社のコーポレートガバナンス報告書の中に、ガバナンスに対する考え方も含まれておりますが、当社グループは株主、顧客、従業員ならびに地域社会等のステークホルダーに対する責任を果たしてまいります。国際情勢や社会環境が大きく変化し、従来にも増して環境への意識が高まり、当社グループを取り巻く環境も変化しております。このような急速に変化し続ける事業環境に即応し、安定期的な成長を実現するため、取締役会を中心に体制を構築しております。経営基盤を強化し、事業機会の拡大と課題の解決を図ってまいります。

 長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、取締役会の中で適宜、各管掌の取締役より活動内容の報告を行い、活動を推進してまいります。また、重要課題については、事業計画で取り上げるなど、対応策の推進を行ってまいります。

 

人事戦略

 当社グループは、広告広報を含めたクライアントの総合支援をビジネスの基本としており、人的資本が様々な資本の価値創造の源泉であると考えております。人的資本がビジネスを通して、当社グループの財務資本を、クライアントを通して社会関係資本を増大させるものであり、人的資本を最重要事項として投資を行うことが、当社グループの持続的な企業価値向上に繋がるものと信じ、人事戦略を実施してまいります。

 このように、サステナビリティの実践に向けて、特に、人事戦略を中心に据え、その重要テーマとして、女性活躍、多様性の確保、人材育成に置き、その向上を図ってまいります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社グループは社員一人一人が十分に能力を発揮できるよう、適能適所のジョブローテーションを基本方針としております。新たに発生する業務や人員が不足した業務への対応にも柔軟に対応できるようフレックス制度など、働きやすき環境を整備推進し、横断的でオープンな組織づくりを目指しております。また、多様化するクライアントニーズへの対応や外国人留学生分野の教育支援の拡大、就労支援の強化において、女性役員、女性管理職、外国籍管理職の在職など、多様性確保へも積極的に取り組んでおり、今後も多様性確保へ向けた施策を実施してまいります。

 人材育成においては、継続的な社員教育、トレーニングを実施し、マネジメント層による適切なコーチング、社員一人一人に明確な目標設定を行うことで、パフォーマンスを最大限引き出すことを方針としております。また、そのためには、マネジメント層の育成が必要不可欠であり、組織全体のパフォーマンス向上に欠かせないものと認識しております。

 

リスク管理

 当社は、急激な景気変動や地政学リスクについて、担当委員会を設置するとともに、グループ全体でリスク管理を行っております。特に、事業活動面については、リスクを定期的にモニタリング、評価・分析しグループ全体に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えております。また、リスクに応じて、事業計画の見直しを行い、適切かつ健全な経営に取り組んでまいります。

 

人事戦略の指標及び目標

 当社は、「人材育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載した方針に基づき人的資本を最重要事項としております。女性活躍、多様性の確保、人材育成の成果を評価する指標として、女性社員や外国籍社員の割合、役職別の比率、ワークライフバランスのサポート状況を育児支援制度、有給休暇の取得状況に照らし合わせ、モニタリングを行い、人材育成・強化に取り組み、企業価値向上へ向け新たな仕組みづくりに取り組んでまいりますが、具体的な指標及び目標については、現在策定中であるため、記載を省略しております。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、本株式への投資に対するすべてを網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 事業環境の変化について

 景気の急激な変動や地政学リスクによる社会・経済活動の制限等により、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。また、人口減少を要因とした市場構造の変化などが生じた場合も、同様に当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

② 当社グループが取得している許認可について

 当社グループでは、採用支援事業において、有料職業紹介事業の許認可を受けております。また、プロモーション支援事業において、労働者派遣事業の許認可及び複数の自治体に屋外広告業登録を行っております。さらに各事業において、古物商許可と、国や自治体の入札資格を保有しております。これらの許認可等は適宜情報収集し更新を行っておりますが、何らかの理由により更新できなくなった場合、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

③ 各種法規制の改正・新設や業界規制・自主規制の変化などについて

 当社グループの各事業は、個人情報保護法をはじめ、特定商取引法、景品表示法、消費者契約法、各種業界に適用される法令(宅地建物取引業法、旅行業法等)、古物営業法、屋外広告物に関する自治体の条例等が適用されます。また、広告宣伝物の掲示・配布・送信・放送・放映等にあたっては、著作権法や迷惑メール防止法等を順守する必要があります。一方、就職活動スケジュールなど業界によって順守が求められるルールや自主規制なども存在するほか、外国人分野においては外国人の入国制限の有無も事業に関連します。これらの法規や規制等が事業活動に影響を及ぼすような内容で改正・新設された場合、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

(2)当社グループの事業に関するリスク

① 業績の季節変動について

 当社グループの事業のうち、採用支援事業は、就活関連のイベントの開催やアウトソーシング業務等が増加する7月から9月に売上が集中する傾向があります。また、教育機関支援事業においても、進学説明会の開催や学校のプロモーション活動が増加する上半期に売上が集中する傾向があります。集中期に十分な売上が計上できなかった場合、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。また、これら集中期が変動した場合、当社グループの売上高の偏重時期がそれに合わせて変化する可能性があります。

 

② 業界における取引慣行とクライアントとの取引基本契約書の締結について

 当社グループの各事業の業界では、取引内容の柔軟性や機動性を重視する取引慣行があり、取引基本契約書の取り交しが行われないことが一般的となっております。当社グループの取引においては、取引仕様等を記載した発注書の受領を原則とし、取引基本契約書を取り交わすように努めるとともに、取り交わしが困難なクライアントについては、所定の取引条件書等を差し入れております。しかし、当社グループとクライアントとの間において取引条件が明確になっていない事象や不測の事故が発生した場合等には、当該クライアントとの関係の悪化や係争が生じる可能性があります。かかる事態が発生した場合は、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

③ 新規商材や新規事業の収益性について

 当社グループでは、新たな商材や事業を適宜、事業の状況、マーケット環境を総合的に勘案し展開しております。これらについては、当社グループの実績を踏まえ、想定される事業規模に応じた売上・利益計画を立案しておりますが、拡販が想定通りに進捗しなかった場合、収益が低下し、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

④ 資金の流動性について

 当社グループは、財務基盤の安定維持のため、金融機関からの当座貸越契約、長期借入契約などを締結し、必要な事業資金を調達しております。ただし、当該契約及び借入金の中には財務制限条項が設けられているものがあります。従前より各金融機関とは持続的に良好な関係を築いておりますが、同条項に抵触した場合、金利の上昇や、期限の利益を喪失することにより、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)コンプライアンスに関するリスク

① 協力会社や従業員による損害について

 当社グループは、個々の従業員が企画・進行管理にあたっており、当該従業員、あるいは協力会社において人的ミスや不正の発生の可能性は否定できません。これらに対し業務に合った指示書の導入や作業時のダブルチェック、また協力会社との業務委託契約書の締結や責任範囲の明示、クライアントからのエビデンスの取得、決裁フローの運用などの対策を講ずるとともに、細心の注意を払い業務遂行・運営を行なっておりますが、重大な過失や不正行為などが生じた場合、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

② 個人情報の管理について

 当社グループの事業では、個人情報を取り扱うサービスが存在します。当社グループ各社ではプライバシーマークの取得はもちろん、個人情報保護コンプライアンスプログラムの厳格な運用により厳重かつ細心の注意を払い管理するとともに、一定の損害保険にも加入しておりますが、万一個人情報の漏洩が生じた場合、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。また、他社において個人情報漏洩事件や個人情報の不適切な利用が認められた場合、個人が登録を回避したり、関係先がサービスの利用を推奨しなくなるなどの要因で、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

③ 訴訟の可能性について

 当社は作業ミスを始めとした人為的ミス、システムの障害、個人情報の漏洩等の予期しないトラブルが発生した場合や、取引先や当社グループの役職員との間に何らかの問題が発生した場合、これらに起因する損害賠償の請求や訴訟の提起を受ける可能性があります。その金額や内容、結果によっては、金銭的負担や社会的信用の棄損が発生し、当社グループの業績や財政状況への影響が生じる可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 人材の確保・育成について

 当社グループの業績拡大を目指す上で、人材への投資が不可欠ですが、人材市場や経済の動向により、戦力となる社員の獲得が困難となる可能性があります。当社グループでは、「サステナビリティに対する考え方及び取組」に基づき、社員の獲得と育成に取り組んでおりますが、今後人材の流出が生じ、十分な獲得ができなかった場合には、受注や生産性の低下を招き、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

② システムの停止リスクについて

 当社グループは、インターネット上でサービスを提供するシステムを保有しております。専業の外部データセンターにサーバー等を設置し、開発会社と保守契約を締結して、セキュリティ対策を日常的に行っております。しかしながら、システムに過度なアクセスや障害が発生した場合や、外部からの攻撃によりウイルス感染等が発生した場合、システムの停止を余儀なくされ、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

③ 自然災害、火災、事故、感染症流行等に関するリスクについて

 地震、風水害等の自然災害や火災、停電、ウイルス感染症の感染拡大、施設設備の故障、感染症流行等の不測の事態等により、正常な社会活動が困難となり営業活動が停止又は縮小した場合、イベント等の中止が発生するため、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。また、重大な労働災害、事故等が発生した場合は、操業に支障が生じ、当社グループの業績への影響が生じる可能性があります。

 

④ 投資のリスクについて

 当社グループでは、自社メディアや業務推進センターを始めとして、固定資産への投資を行っております。また、今後資本業務提携やM&A等を積極的に検討していく方針です。これらの投資にあたっては、回収可能性について、十分検討の上で実施しておりますが、想定した売上・利益を実現できなかった場合、当社グループの業績や財務状況への影響が生じる可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 当社は2023年3月期より決算期を9月30日から3月31日に変更しましたこれに伴い前連結会計年度は2022 年10月1日から2023年3月31日までの6か月決算となっており前第4四半期連結財務諸表を作成していないた め前連結会計年度との比較については記載しておりません

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルスによる経済活動への制約解除による人流の回復、サービス業をはじめとした社会活動が復調し、また、インバウンド需要も回復しました。一方で、物価上昇による個人消費の停滞、堅調な米国経済がもたらす大幅な円安進行、ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢などの地政学リスク、中国や欧州をはじめとする世界景気減速への不安など景気下振れ懸念が残っている状況です。なお、全国有効求人倍率は1.31倍(厚生労働省「令和5年平均 一般職業紹介状況」)と高水準にあり、社会活動における人材不足が継続している状況となっています。

 

 このような環境のもと、プロモーション支援事業では、人流回帰を要因に復調している対面型イベントや、デジタルとアナログを組み合わせた集客プロモーションのほか、事務局代行を中心に、労働人口減少を背景に需要が増加している業務アウトソーシング分野の受託に注力し、前連結会計年度に実施したワクチン接種会場運営などの官公庁大口受託案件、延期となった大口顧客の販売促進キャンペーンを補完する取り組みを行ってまいりました。

 

 採用支援事業では、対面型の合同企業説明会及び採用代行業務のニーズの高まりを受け、積極的に提案活動を展開しました。また、求人ニーズの高い、経験者(中途)採用領域にも対象を広げた採用代行業務の受託や、外国人留学生を含む人材紹介サービスにも取り組みました。その他、業務提携先の株式会社プロネクサスとの共同提案を加速させました。

 

 教育機関支援事業は、需要が増加する外国人留学生募集関連のマッチングイベント企画やプロモーションやツール制作の拡販を強化いたしました。また、日本人学生向けの入試広報関連のイベント運営やプロモーション施策に加え、寄付・募金関連のプロモーションや同窓会支援、スポーツ推進関連等の入試広報部門以外からの案件創出にも注力しました。

 

 なお、当連結会計年度の結果及び2025年3月期の連結業績予想を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、回収を合理的に見積もることが可能となったため、繰延税金資産を計上することと致しました。これにより、法人税等調整額を△56百万円計上することとなりました。

 

 その結果、当連結会計年度における売上高は3,452百万円、営業利益は88百万円、経常利益は73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は127百万円となりました。

 

 当連結会計年度における、事業セグメント別の業績は、以下のとおりです。

 

(プロモーション支援事業)

 プロモーション支援事業においては、特に事務局代行業務をはじめとするアウトソーシング分野や自社で保有するイベントスペース「アクセスフォーラム」でのイベント運営が伸長しましたが、前連結会計年度に実施されたワクチン接種会場運営などの官公庁大口受託案件の急激な減少と、物価上昇に起因した大口の販売促進キャンペーンの延期を補完できず、セグメント損失が生じました。

 この結果、当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)は、売上高は1,115百万円、セグメント損失は91百万円となりました。

 

(採用支援事業)

 採用支援事業においては、高利益率の対面型合同企業説明会が伸長したことで、事業全体での高収益化に大きく寄与しました。また、採用代行業務や人材紹介事業が堅調に推移しました。

 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の採用支援事業におきましては、売上高は1,352百万円、セグメント利益は170百万円となり想定を上回って推移し、セグメント利益では上場来最高益となりました。

 

(教育機関支援事業)

 教育機関支援事業は、外国人留学生募集関連の企画が前連結会計年度比で伸長したほか、日本人学生向けの入試広報関連も想定を上回って推移いたしました。一方、前連結会計年度で受託していた新型コロナウイルスの職域接種運営代行業務の失注が売上高に影響し、想定をやや下回りましたが、販売費及び一般管理費の削減が奏功して利益面は概ね想定どおり推移しました。

 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の教育機関支援事業におきましては、売上高は983百万円、セグメント利益は13百万円となりました。

 

② 財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末と比べ91百万円増加し、2,124百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加168百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少32百万円、前払費用の減少10百万円、その他の減少26百万円によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末と比べ74百万円増加し、250百万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加20百万円、繰延税金資産の増加56百万円によるものであります。

 

(繰延資産)

 当連結会計年度末における繰延資産の残高は、前連結会計年度末と比べ2百万円増加し、2百万円となりました。これは社債発行費の増加2百万円によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末と比べ241百万円減少し、1,096百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少370百万円、1年以内償還予定社債の増加64百万円、1年以内返済予定長期借入金の減少24百万円、買掛金の増加89百万円によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末と比べ53百万円増加し、427百万円となりました。これは主に、社債の増加136百万円、長期借入金の減少84百万円によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ355百万円増加し、853百万円となりました。これは主に、資本金の増加121百万円、資本剰余金の増加107百万円、利益剰余金の増加127百万円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ216百万円増加した結果、当連結会計年度末は1,183百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は244百万円(前連結会計年度に支出した資金は69百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益73百万円の計上、売上債権の減少41百万円、未収入金の減少37百万円、未払金の増加17百万円、仕入債務の増加89百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は22百万円(前連結会計年度に獲得した資金は108百万円)となりました。これは主に、定期預金の預け入れによる支出102百万円、定期預金の払戻による収入150百万円、投資有価証券の取得による支出20百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は50百万円(前連結会計年度に支出した資金は177百万円)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出370百万円、長期借入の返済による支出109百万円、社債の発行による収入200百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入227百万円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績及び受注実績

 当社はプロモーション支援事業、採用支援事業、教育機関支援事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、省略しております。

 

b 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

プロモーション支援事業

1,115,948

採用支援事業

1,352,458

教育機関支援事業

983,779

合計

3,452,186

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度および当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

3.当社は前連結会計年度より決算期を9月期から3月期に変更いたしました。それにより、前連結会計年度は6カ月の変則決算となるため、前連結会計年度との比較については記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

 当社グループは、貸倒引当金、固定資産の減損、投資その他の資産の評価、税効果会計などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計上の見積りは「第5 経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における売上高は3,452百万円、営業利益は88百万円、経常利益は73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は127百万円となりました。

 

 セグメント別の当連結会計年度の事業成績は、以下のとおりです。

① プロモーション支援事業

 プロモーション支援事業においては、特に事務局代行業務をはじめとするアウトソーシング分野や自社で保有するイベントスペース「アクセスフォーラム」でのイベント運営が伸長しましたが、前連結会計年度に実施されたワクチン接種会場運営などの官公庁大口受託案件の急激な減少と、物価上昇に起因した大口の販売促進キャンペーンの延期を補完できず、セグメント損失が生じました。

 その結果、売上高は1,115百万円、セグメント損失は91百万円となりました。

 

② 採用支援事業

 採用支援事業においては、高利益率の対面型合同企業説明会が伸長したことで、事業全体での高収益化に大きく寄与しました。また、採用代行業務や人材紹介事業が堅調に推移し、セグメント利益では上場来最高益となりました。

 その結果、売上高は1,352百万円、セグメント利益は170百万円となりました。

 

③ 教育機関支援事業

 教育機関支援事業は、外国人留学生募集関連の企画が前連結会計年度比で伸長したほか、日本人学生向けの入試広報関連も想定を上回って推移いたしました。一方、前連結会計年度で受託していた新型コロナウイルスの職域接種運営代行業務の失注が売上高に影響し、想定をやや下回りましたが、販売費及び一般管理費の削減が奏功して利益面は概ね想定どおり推移しました。

 その結果、売上高は983百万円、セグメント利益は13百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

 当社グループにおける資金需要の主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入となります。

 内部留保金の使途につきましては、更なる成長に向け、長期的な視点に立ったサービス開発への設備投資、事業拡大のための資金確保に活用していく方針としております。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 経営戦略と見通し

 2025年3月期のわが国経済は、人口減少における労働人口不足が構造的に継続すると見込まれ、賃上げに伴い個人消費が緩やかに回復するものと予想しています。そのような状況下において、プロモーション支援事業は、プロモーションを基点とした業務代行ニーズが活性化することを見込んでいるほか、採用支援事業においても人材採用ニーズの更なる増加、教育機関支援事業では、特に外国人留学生受け入れニーズの更なる伸長を想定しています。しかしながら、ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢などの地政学リスク、中国や欧州をはじめとする世界景気減速への不安など景気下振れや為替変動による物価高の懸念は依然として残っており、今後、様々な要因により業績予想数値が変動する場合があります。

 このような環境のもと、当社グループは、①BPO需要に応じた業務代行・事務局機能の拡充と効率化②大学との協力連携深化、新たな取引部署・支援業務の開拓③㈱プロネクサスとの業務提携による取引先拡大④外国人留学生分野の更なる拡大、就労支援を強化⑤財務面の強化と企業価値向上に重点を置いて、事業を推進してまいります。

 

 セグメントごとの戦略と見通しは以下のとおりです。

 

 2023年の日本の総広告費推移は、過去最高の7兆3,167億円となっています。(電通「2023年 日本の広告費」より)。また、当社が注力するキャンペーン等の事務局代行は、SNS運用支援や分析ツールの市場規模推計で2021年の316億円から2027年には663億円に伸長する予測となっている(サイバー・バズ「デジタルインファクト調べ」より)ほか、業務代行のマーケットであるBPO市場予測は、4兆7,021億円(前年比3.0%増。矢野経済研究所「2023-2024 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望」)となり、全般として市場規模は広がるものと捉えています。今後、プロモーションは一層手法が多様化し、業界を牽引するのはデジタル・リアル・アナログを組み合わせたプロモーション施策とそれを下支えするアウトソーシング(業務代行)であると見通しております。

 これらを背景に、当事業では伸長しているキャンペーン等の事務局代行の拡充と高度化、一層迅速な運営体制の構築を推進します。プロモーション施策の選定や運用方法などは益々多様化してきているほか、対象の商品や販売戦略によって業務が複雑になってきています。当事業では、最新の情報と知見によりプロモーション施策の提案を行い、その業務を一気通貫で内製化させることで利益効率を高めてまいります。また、官公庁との取引を足掛かりとした他分野での運営業務の受託促進にも努めてまいります。

 

 採用支援市場では、若年者人口の減少を背景として社員の獲得競争が一層激化しています。特に、新卒採用市場においては、インターンシップルールの変更に伴い、就職活動がさらに早期化することが予測される一方で、通年採用も拡大し、就職活動のスケジュールは従来以上に変化をしています。これらの動きと相まって、企業の採用担当の業務の増加や複雑化により、採用業務やスカウト型メディアの運用を一部外注する動きが盛んになっているほか、費用対効果を明確にするための成果報酬型の人材紹介モデルの引き合いが増加をしています。

 当事業では、伸長している採用業務代行やスカウト型メディアであるダイレクトリクルーティングの運用代行に一層注力するほか、大学と連携したエージェント型の人材紹介モデルの構築等、自社の強みである「事務局代行」「大学との連携」を活かしたサービスの拡充を進める計画です。対面型イベントにおいても、復調傾向であることから市場ニーズに応える企画開発に取り組み、更なる販売強化を行ってまいります。

 

 教育機関支援市場では、高等教育機関への進学率が84.0%(文部科学省報道発表「学校基本調査/令和5年度(確定値)参考資料)と過去最高になる一方、18歳人口の減少を見据えて、各大学や専門学校とも学生確保に向けた広報を強化しています。また、当社グループの強みである外国人留学生マーケットにおいては、2023年の外国人留学生数は、27万9,274人(前年比4万8,128人増)となり、復調しています。また、大学運営において寄付・募金による収入確保も本格的な課題となってきています。

 当事業では、大学を中心とした教育機関の面的な取引実績を強みに「教育機関の運営・発展のための総合プロデュース企業」として、大学の入試広報以外の部門だけでなく、寄付・募金の活性化に向けたアルムナイ(卒業生)分野、スポーツ振興分野の提案を強化するとともに、活性化している外国人留学生分野に注力します。今後も教育機関の総合支援化にリソースを投入するとともに、教育関連企業・団体や自治体の支援も見据え事業フィールドを広げてまいります。

 

  また、グループ全般においては、事業の拡大機会を的確に捉え、事業基盤の強化につながる投資を積極的に行うことを方針とし、当社が積極的にグループ各社を牽引する形で、他社との業務提携や新規事業、M&A等の検討を引き続きおこなってまいります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。