当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来
に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの経営の理念は「化学の力で感動の素を創り、世界に夢と笑顔を届けます」とし、経営の方針は「全員参加の経営、社会貢献と企業価値の増大、地球環境との調和、コンプライアンスの徹底、情報の開示」を骨子としております。
(2)中期的な会社の経営戦略等及び目標とする経営指標
当社グループは、2019年12月に創立100周年を迎え、次の100年に向けた新たな長期経営ビジョン「MOVING-10」及び3ヶ年の新中期経営計画(2024-2026年度)「MOVING-10 STAGE2」を策定いたしました。
昨年まで当社グループでは4ヶ年の中期経営計画(2020-2023年度)「MOVING-10 STAGE1」の下、成長事業の強化、次世代事業の育成に鋭意取り組んでまいりました。2024年度は「MOVING-10 STAGE2」の初年度となりますが、社会情勢などの経営環境は引き続き不透明な状況にあります。かかる状況において、当社グループでは、成長事業である化粧品原料及び電子材料分野の更なる伸張と新規事業創出に取り組むとともに、汎用製品分野では市場環境の変化に応じて事業構造の改革を行うことで、より一層の企業価値向上を図っていきます。
Ⅰ 長期経営ビジョン「MOVING-10」
① 基本方針
a.「まじめに感動素材」のもと、お客様と真摯に向き合い、妥協なく試行錯誤を行う中から、よりよいソリューションを実現します。
b.収益性を重視し、分野別に事業戦略を立案し実行します。要点は次のとおりです。
・当社グループの強みである、成長事業の化粧品原料、電子材料分野に経営資源をシフトし、化粧品原料の総合メーカー、医療用圧電市場のトップメーカーを目指します。(ライフサイエンス分野)
・当社グループの保有技術を展開することで、環境に優しい製品、グローバルニッチトップを目指せる製品を創出します。(環境エネルギー分野)
・汎用製品の分野については、市場環境の変化に応じ、事業構造を変革します。(ケミカル分野)
・当社グループのネットワークや技術・機能を活用し、グループのシナジーを高め、更なる発展を目指します。(インダストリアルサービス分野)
② MOVING-10の目指す経営指標
第164期(2029年度)に以下の経営指標を目指します。
<目標経営指標>
営業利益率 : 15%以上
ROE : 12%以上
③ ESG・SDGsへの取り組み
当社グループが持続的社会価値と高収益を創出する企業となるためには、ESG(環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G))の3つを最重要課題と認識し、積極的に取り組むとともに、事業活動を通じてSDGsで提唱されている課題解決に貢献してまいります。
④ 研究開発方針
・事業環境変化を捉える技術開発、事業基盤強化を図ります。
・技術要素の進化をスピード感を持って進めます。
Ⅱ 新中期経営計画(2024-2026年度)「MOVING-10 STAGE2」
新中期経営計画は、長期経営ビジョン「MOVING-10」の最終年度である2029年度に向けての重要な3年間とな
ります。本中期経営計画で策定した事業戦略と財務・非財務戦略を着実に遂行することで、より一層の企業価
値の向上を図ってまいります。
① 基本方針
■事業戦略
a 営業利益率の回復 b 競争優位事業への積極投資と増強
c 事業の選択と集中 d 新規事業の実現 e プロセス改善と生産性向上
■財務・非財務戦略
f 資本効率経営とテイカブランドの確立 g 人的資本拡充 h CO2の削減
② 具体的な活動方針
■事業戦略
・ライフサイエンス分野 拡大:トップメーカーとしての市場席巻
・環境エネルギー分野 成長と拡大:導電性高分子薬剤事業の収益化
・ケミカル分野 効率化:コスト削減と運営体制再構築
・インダストリアル分野 進化:シナジー追求とコア事業化
・新規事業 創出:新規事業の育成と事業化
■財務・非財務戦略
・資本効率経営 株主資本コストを上回るROEの向上
全社KPI運営とキャピタルアロケーション導入
株主還元充実と株主・投資家との対話活性化
・人的資本拡充 情熱人財創出とエンゲージメント向上
・CO2の削減 CO2排出削減計画(ロードマップ)の遂行
③ 目標経営指標(連結)
新中期経営計画(2024-2026年度)「MOVING-10 STAGE2」における目標値と、当連結会計年度の状況は、
以下のとおりであります。
|
2024年3月期実績 |
最終年度:2027年3月期 |
売上高 |
529億円 |
680億円 |
営業利益 |
23億円 |
60億円 |
営業利益率 |
4.4% |
9%以上 |
ROE |
3.4% |
7%以上 |
EBITDA |
55億円 |
105億円 |
④ 財務・資本政策
新中期経営計画(2024-2026年度)「MOVING-10 STAGE2」期間中の財務及び資本政策は以下の通りであ
ります。
・総投資予定額 220億円(うち、収益の源泉となる成長投資に3年間で115億円)
・株主還元方針 総還元性向40%以上(安定配当と積極的な自己株式の取得)
(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済見通しにつきましては、引き続き高止まりが続く原燃料価格及び中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まりに伴うサプライチェーンに対する影響への懸念もあり、先行きは不透明な状況で推移すると予想されます。次期の連結業績の見通しにつきましては、現時点では売上高575億円、営業利益32億円、経常利益35億円、親会社株主に帰属する当期純利益23億円を見込んでおります。
当社グループを取りまく事業環境は次のとおりであります。
Ⅰ 機能性材料事業
汎用用途の酸化チタンに関しましては、需要回復の兆しはあるものの、原燃料価格の高止まりから、引き続き
収益面で厳しい状況になると予想しております。
機能性用途の微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛及び表面処理製品に関しましては、今後欧米だけでなく、ア
ジア地域でも需要は高まっていくものと予想され、各国の市況を注視しつつ販売維持・拡大に努めます。
Ⅱ 電子材料・化成品事業
電子材料に関しましては、国内外で需要は好調に推移するものと予想しており、特に圧電振動子については、
日・米両製造拠点から世界各国への安定的かつ効率的な製品供給により、更なる販売拡大に努めてまいります。
また、化成品事業に関しましても、洗剤など日用品向けの需要は堅調に推移すると見ており、タイ・ベトナムの関係会社とともに、世界各地での需要の対応に力を注ぎます。
このような状況下、当社グループは激変する環境にスピードをもって的確かつ柔軟に対応するとともに、グループ一丸となって一層の企業価値向上に努めてまいる所存であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社グループは長期経営ビジョン「MOVING-10」において、サステナビリティの基礎となる技術革新や環境エネルギー問題を重視した事業ポートフォリオへのシフト推進、及び新素材の創出に取り組んでおります。
また、より高く、広い視野でゴールを捉え、グリーントランスフォーメーションビジネスと人権、人材育成ならびに多様化など、サステナビリティの重要な課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
① ガバナンス
当社グループは、環境品質管理部管掌役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会において、経営レベルにおけるリスクマネジメントを行い、機会の創出に努めております。
気候変動に関する重要事項等については、サステナビリティ推進委員会での審議・議論を経て、経営会議及び取締役会への付議・報告を行っております。経営会議及び取締役会からの指示事項は、経営戦略やリスク管理・評価に反映させる体制となっており、取締役会は、気候変動関連の議案(目標設定や取組みの進捗状況等)について監督の役割を担っております。
(体制図)
(2)気候変動
当社グループは、気候変動への対応を経営上の重要課題の一つと捉え、低炭素経済への移行と気候変動による物理的な変化に関するリスクと機会について分析し、これらを経営戦略に織り込み、二酸化炭素(CO2)排出量削減活動への取り組みなどを着実に実行していくことが、持続的な成長につながると考えております。
① ガバナンス
「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
二酸化炭素(CO2)排出量削減活動への取り組みとして、低炭素エネルギーへの燃料転換、生産工程の合理化、生産装置の最新鋭化、生産品目の温室効果ガス排出量の多い汎用品から排出量の少ない環境配慮型高機能製品(機能性化学品、電子材料事業)へのポートフォリオシフトなど、さまざまな選択肢を組み合わせ、カーボンニュートラルの考え方に則ったCO2排出量削減を目指しております。
気候変動が当社グループの事業・業績に与える影響について、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のフレームワークに基づき以下2つのシナリオ分析を行っております。各シナリオ分析により導かれる社会像に基づきリスクと機会を導き出し、その影響を把握しております。
1.5℃シナリオ:地球の平均気温が産業革命前と比べて気温上昇2℃未満に抑え低炭素経済へ移行するシナリオ
4℃シナリオ:低炭素化が進まず、物理的気候変動リスクが高まるシナリオ
なお、気候変動シナリオはIPCC SSP1-1.9、IPCC SSP5-8.5を使用しております。
また、分析の時間軸は移行リスクについては2030年、物理的リスクは2050年を基準としております。
分析対象は、テイカ本社及び連結子会社としております。
特定したリスクと機会に関しては、今後当社グループに与える財務影響の把握と対応策の実行に向けた取り組みを進めてまいります。
当社グループの気候変動に関する戦略はCO2削減ロードマップとして、2024年5月に公表した
(主なリスクと機会)
③ リスク管理
気候変動に係るリスク・機会の管理に関しては、サステナビリティ推進委員会を中心に全社的に把握、評価、対応を推進し、リスク管理水準の向上と円滑な事業運営を行っております。
また重要なリスク等については、全社リスク管理のプロセスと同様に経営会議による分析を経て、その影響度合いや管理状況についてサステナビリティ推進委員会より適宜取締役会へ報告を行っております。
④ 指標及び目標
(CO2排出量)
(注)1.CO2排出量はエネルギーの使用に伴って発生するCO2量です。
2.集計範囲はテイカ株式会社の生産拠点と非生産拠点及びテイカ株式会社と同一拠点に存する
テイカ商事株式会社、TFT株式会社及びテイカ倉庫株式会社の一部です。
(千tCO2)
区分 |
2024年3月期実績 |
Scope1 |
|
Scope2 |
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合計(Scope1+2) |
|
(注)1.Scope1及び2については、エネルギー由来による算定を行っております。
当社グループでは、2050年のカーボンニュートラルに向けた、CO2排出量の削減目標(2030年、2050年)及び主な削減策について検討しております。さらに、当社単体の2022年分のScope3を算定し、約45.5万tのCO2排出量を確認しました。今後も当社グループ全体のScope1,2,3の算定、削減に向けて継続して取り組んでまいります。
2030年目標 |
2050年目標 |
CO2排出量50%削減 (対2013年度比) |
カーボンニュートラル |
主な削減案 |
・低炭素エネルギーへの燃料転換 ・製造工程の合理化 ・省エネの徹底・強化 ・省電力・高効率設備への更新 ・グリーン電力の調達 ・事業ポートフォリオの再構築 ・CO2の回収・再利用 ・新技術の利用 |
※対象範囲:Scope1及び2(エネルギー由来)
(3)人的資本
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
① 戦略
■人材育成に関する方針
世界規模での事業展開を踏まえ、グローバルに活躍でき、将来的に経営を任せられる中核人材の育成を重視しています。性別、国籍、社歴、年齢などにとらわれず、早期にそのポテンシャルを存分に発揮できるよう継続的かつ集中的に人材の育成に取り組んでおります。また、従業員全体の能力向上のため「自ら考える力」「常にチャレンジする意欲」「失敗を恐れないメンタリティ」を醸成する取り組みも行っております。
■社内環境整備に関する方針
(a)人材育成への取り組み
・選抜型次世代リーダー育成研修を実施し、経営的発想と事業構想力を習得させ将来を担える中核人材の育成を図っております。
・海外語学留学、マンツーマンの英会話レッスン、e-learning等の手段を用いて従業員の語学力向上に努めております。
・若手から中堅社員を海外現地法人へ派遣することで、海外勤務の経験と経営者としての育成を図っております。
・入社から退職まで、年代や役割に応じた各ステージで階層別研修を実施しております。
・2022年4月から管理職に対して役割等級制度を導入し、評価制度、賃金体系を一新しました。年功要素を廃し、役割の達成度、能力の進展のみに焦点を当て、会社への貢献度合いによって社員を処遇することとしております。
・2023年4月からは一般社員についても、人事制度を大きく改定しました。新しい制度は社員の成長に焦点を当て、社員の持つ能力発揮とポテンシャルの総和が当社の成長力と競争力の源泉になると考えます。チャレンジングな目標を設定し果敢に挑戦する環境を整え、上司は部下の成長に責任を持つことを求めると同時に、評価と賃金にメリハリをつけて管理職と同様に能力の発揮度合いによって処遇を決めることとしました。これらの制度改革は人事面から経営目標の達成へアプローチするものであり、今後も新人事制度が確実に機能するよう定着と運用に努めてまいります。
(b)働き方改革
従業員のライフスタイルに柔軟に対応できる制度を導入することで、ワークライフバランスの向上を図り、従業員の能力を最大限に発揮できる環境を整えております。例えば、在宅勤務、フレックスタイム制の運用、積立保存年次休暇の日数拡大とボランティア等の社会貢献活動にも行使できるよう条件の拡大を図っております。
なお、女性が活躍できる環境を整え職域を広げるとともに、男女問わず子育てをしながら柔軟な働き方が選択できるよう、2021年4月から「テイカ育児支援プラン」を導入しております。これは、自分の仕事と子供の成長に合わせて、①在宅勤務、②残業なし、③短時間勤務、④始業終業時刻の変更、⑤週4日勤務の5つの働き方を自由に選択でき、加えて1ヵ月単位で変更できるというフレキシブルに活用できる制度です。当期も男性社員がテイカ育児支援プランを利用して、仕事をしながら子育てに積極的に参加するという効果が出ております。今後も次世代育成支援の観点から、制度を運用してまいります。
② 指標及び目標
当社グループでは、中期経営計画(2024-2026)「MOVING-10 STAGE2」において、働きがい創出を掲げております。また、女性活躍推進法に則り、一般事業主行動計画に策定・届出を行っており、以下の定量目標を設けて取り組みを進めております。なお、目標と当事業年度の進捗は、以下のとおりであります。
指標 |
目標 |
実績 |
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|
当社グループの財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のものがあります。当社グループは、当該リスクの発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応には最大限努力してまいります。
なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
① 景気動向に伴う需要変動リスク
当社グループの製品需要は、販売している国又は地域における経済情勢の影響を受け、とりわけ主要市場であります日本、アジア、欧米での景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社グループの製品に対する需要が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、この様な需要の変動に機動的に対応するべく、成長事業への設備投資や研究開発等経営資源の重点投入、国内外での新規市場、顧客の開拓等積極的な営業活動を展開するとともに、製造原価の低減や業務効率の向上を図ることで、引き続き収益確保に努めてまいります。
② 為替相場の変動リスク
当社グループは、アジア、欧米等への製品輸出、及び同地域からの原材料輸入、並びにタイ、ベトナム、アメリカにおける生産拠点設立などを行っており、急激な外国為替相場の変動は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこのようなリスクに対し、為替予約等を行うことによりリスクの最小化に努めておりますが、中長期的な外国為替相場の変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ません。
また、海外子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算され、換算時の為替相場により円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 燃料や原材料の価格変動リスク
原油価格は、中東地域の治安や世界の経済情勢に多大な影響を受け、時に急激な価格変動を起こすことがあります。原油価格が急騰し、当社グループが購入する石油由来の原料価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報の早期入手と製品への価格転嫁を素早く実施する体制を整えるとともに、商品スワップによるデリバティブ取引を利用し、リスクの最小化に努めております。また、主要原料である酸化チタン鉱石は海外から輸入しており、その価格や海上輸送にかかる運賃は国際的な需給状況により大きく変動し、価格が高騰した際に、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、この様な価格の変動に機動的に対応するべく、仕入先との連携強化を図るとともに、購入ソースの拡大や長期契約の締結、適切な在庫確保等を行うことで、リスクの最小化に努めております。
④ 産業事故・自然災害の発生リスク
当社グループは、安全を最優先に保安防災活動に取り組んでおり、製造設備に起因する事故などによる潜在的なリスクを最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施しております。しかしながら、製造設備等で発生する事故を完全に抑止・軽減できる保証はなく、万一、火災・爆発等の産業事故が発生し、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、地震、大雨、洪水などの自然災害により、社員や事務所、設備などに対する被害が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じておりますが、自然災害による被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 海外事業におけるカントリーリスク
当社グループは、タイ、ベトナム、アメリカにおいての生産拠点設立など、海外への事業展開を拡大しております。一方、海外における事業活動には、予期しえない法律や規制の変更、貿易摩擦や当該地域における紛争等、社会的又は政治的混乱等の地政学的なリスクを伴っており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 環境関連規制強化のリスク
当社グループは、事業活動継続において化学物質管理関連法令の遵守及び環境負荷低減を社会的使命と自覚しております。化学物質管理面では、日本国内、欧米やアジア地域、また海外子会社がビジネスを行うタイ、ベトナム、アメリカにおける国内法令の改正動向を注視しており、その改正内容に準拠するとともに施行時期を遵守しています。さらに環境負荷低減面では、製品の設計・製造段階から廃棄に至る製品のライフサイクルを通じて環境負荷低減・省エネルギー化を図っております。しかしながら、当初の予想を上回る規制内容の強化や規制範囲の拡大により、新たな対策コストや追加設備投資が必要になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 知的財産におけるリスク
当社グループは、特許等の知的財産について充分な調査及び管理を行っておりますが、万一、第三者からの侵害を完全に防止できなかった場合、または当社グループの製品・技術の一部が他社の知的財産権を侵害しているとされた場合、これらの知的財産権の侵害により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに対応するべく、弁護士、弁理士等の専門家の意見を聴取、連携するとともに、知的財産に関する社内管理規則を定めて有事の際の対策を施しております。
⑧ 情報システム及び情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報システムの安全性確保及び情報セキュリティ強化の為、ウイルスやハッカーに対する防御システムの導入、定期的な保守点検、適切なバックアップ体制、関連規程の整備等を継続的に実施し、機密性の確保や情報漏洩防止に努めております。しかしながら、予期できない水準の情報システムの重大な障害、或いは経営に関わる機密情報の破壊、または未知のコンピューターウイルスの侵入による情報への不正アクセスや窃取が発生する可能性を完全に排除することは困難であり、これにより情報システムが長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、または機密情報の漏洩による損害等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 固定資産の減損に関するリスク
当社グループは、企業買収等により取得したのれんをはじめ、事業用の設備、不動産等の様々な無形固定資産・有形固定資産を所有しております。こうした資産が、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になる等、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合、減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 新型コロナウイルス等、感染拡大によるリスク
当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。
特に今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスに関しては、代表取締役社長執行役員を議長とする新型コロナウイルス感染対策会議を定期的に実施し、(1)在宅勤務や時差出勤、出張禁止、毎日の検温、感染防止対策など、従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底、(2)生産、販売、在庫、物流状況の把握、(3)感染者が発生した場合のBCP対策、(4)資金管理等の施策を通じ、新型コロナウイルスによる影響の極小化を図っております。
⑪ 気候変動リスク
気候変動への対応を重要課題と認識しており、二酸化炭素(CO2)排出量削減活動への取り組みとして、低炭素エネルギーへの燃料転換、生産工程の合理化、生産装置の最新鋭化、生産品目の環境配慮型製品へのシフトなど、さまざまな選択肢を組み合わせながら、カーボンニュートラルの考え方に則ってCO2排出量削減を目指します。
リスクの発生については、サステナビリティ推進委員会を中心に全社的に把握、評価、対応を推進し、リスク管理水準の向上と円滑な事業運営を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の政府方針の転換に伴い、社会経済活動の
正常化が進み、景気は回復基調で推移しました。しかしながら、ウクライナや中東情勢の地政学的リスクに起因する原燃料価格の高止まりに加え、円安の進行や世界的な金融引き締めによる景気への影響など、依然として先行き
は不透明な状況で推移しました。
このような状況の下、当社グループは、最終年度となる中期経営計画「MOVING-10 STAGE1」のもと、「変革に
よる拡大」と「新素材の創出」に注力するとともに、製造原価の低減、業務効率の向上に取り組んでまいりまし
た。
その結果、当連結会計年度の業績につきましては、国内を中心に化粧品向け機能性微粒子製品の販売が回復した
ものの、原燃料価格の高止まりによるコスト上昇等に加えて、導電性高分子薬剤等の販売が低調であったことによ
り、売上高は529億9千3百万円(前期比3.3%減)、営業利益は23億2千5百万円(前期比45.0%減)、経常利益
は28億2百万円(前期比40.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、18億6千6百万円(前期比37.5%減)
となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
機能性材料事業
汎用用途の酸化チタンは、国内汎用塗料向けの販売が減少したことに加えて、海外競合メーカーとの競争が激化
した影響等により販売数量は減少しましたが、販売価格改定を進めたことにより、売上高は前期を上回りました。
機能性用途の微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、表面処理製品は、国内を中心に化粧品原料向けの販売が回復
したことにより、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
以上の結果、当事業の売上高は280億7千4百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益は5億6千2百万円(前年同期比74.7%減)となりました。
電子材料・化成品事業
界面活性剤は、日用品洗剤用途向けの販売が低調に推移し、販売数量、売上高ともに前期を下回りました。
導電性高分子薬剤は、新規用途での採用もありましたが、スマートフォン及びパソコン需要の低迷により、販売
数量、売上高ともに前期を下回りました。
無公害防錆顔料は、自動車生産の回復により国内需要は増加したものの、輸出が低迷したことにより、販売数
量、売上高ともに前期を下回りました。
圧電材料は、医療機器用の国内顧客向けの販売は堅調に推移したものの、海外顧客の在庫調整等の影響により、
売上高は前期を下回りました。
以上の結果、当事業の売上高は236億6千3百万円(前期比10.0%減)、セグメント利益は14億6千1百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
その他
倉庫業は、荷動きが新型コロナウイルス感染症の拡大前の水準には回復しない状況が続いており、売上高は前期
を下回りました。
以上の結果、当事業の売上高は12億5千5百万円(前期比7.4%減)、セグメント利益は3億2千7百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末比69億9千1百万円増加し827億9百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ28億8千5百万円増加し249億4千4百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ41億6百万円増加し577億6千4百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、142億2千9百万円(前連結会計年度末比26億4千7百万円増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、49億7千8百万円の収入(前連結会計年度比43億9千7百万
円収入額の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益26億8千5百万円、減価償却費29億2百
万円のほか、棚卸資産の減少額10億8千8百万円、売上債権の増加額7億7千6百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、39億4千9百万円の支出(前連結会計年度比9億6千9百万
円支出額の増加)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出36億1千7百万円によるものであ
ります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、14億5千3百万円の収入(前連結会計年度比6億2千8百万
円収入額の増加)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入51億5千5百万円、長期借入金の返済によ
る支出22億1千4百万円、配当金の支払額8億3千2百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
機能性材料事業 |
27,731 |
△9.0 |
電子材料・化成品事業 |
22,359 |
△11.2 |
報告セグメント計 |
50,090 |
△10.0 |
その他 |
- |
- |
合計 |
50,090 |
△10.0 |
(注) 金額は、販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
機能性材料事業 |
15 |
△8.5 |
電子材料・化成品事業 |
1,426 |
2.7 |
報告セグメント計 |
1,441 |
2.6 |
その他 |
- |
- |
合計 |
1,441 |
2.6 |
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループでは受注生産は行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
機能性材料事業 |
28,074 |
+3.5 |
電子材料・化成品事業 |
23,663 |
△10.0 |
報告セグメント計 |
51,738 |
△3.1 |
その他 |
1,255 |
△7.4 |
合計 |
52,993 |
△3.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末に比べ69億9千1百万円増加し827億9百万円となりました。
(流動資産)
流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べ24億5千8百万円増加し490億8千9百万円となりました。これは主に、現金及び預金が26億4千7百万円増加したことによります。
(固定資産)
固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べ45億3千3百万円増加し336億1千9百万円となりました。これは主に、有形固定資産が4億3千4百万円、投資有価証券が40億8千6百万円、それぞれ増加したことによります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ28億8千5百万円増加し249億4千4百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が10億3千5百万円、長期借入金が19億5百万円、それぞれ増加したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ41億6百万円増加し577億6千4百万円となりました。これは主に、利益剰余金が10億3千2百万円、その他有価証券評価差額金が28億3千5百万円、それぞれ増加したことによります。
③ 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績に関する概要につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社は基本的に株主に対する安定した利益還元を重要事項と認識し、必要となる十分な株主資本の水準を保持するとともに、各期の業績等を総合的に判断して配当を実施することとしております。なお、次期以降の重要な資本的支出の見通しにつきましては、機能性微粒子製品及び圧電単結晶材料製造設備をはじめとした新製品開発及び成長事業関連の事業領域に対して、引き続き積極的に経営資源を投入していく方針であります。これらの投資のための所要資金は、自己資金並びに金融機関からの借入金で賄う予定であります。
当連結会計年度において該当事項はありません。
当社グループは、既存製品関連の高品質銘柄の開発を行うとともに、付加価値の高いスペシャルティケミカルズの拡大を図っております。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
セグメント毎の研究開発活動は、次のとおりであります。
(1)機能性材料事業
顔料酸化チタンの分野では、主に塗料、インキ、プラスチック、製紙などの用途で、顧客の要求性能に応えるべく改良研究を行う一方、この酸化チタンに関する技術をベースに新しい用途への技術展開に関する研究開発を行っております。また、酸化チタンで長年培ってきた形状制御や粒子径制御技術、表面処理技術、分散技術を利用して、光、電気・電子、環境、エネルギーなどの分野へ、機能を有した微粒子粉体、分散体の研究開発を行っております。
① 化粧品原材料
紫外線遮蔽機能を有するルチル形微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛は、化粧品分野、各種機能性塗料分野で世界中の顧客に使用されています。なかでも化粧品原料は、訴求力の高い新材料でのグローバルニッチのポジションを強固にすべく研究開発を行っております。
近年は安全性の高いUVフィルターとして無機材料の微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の需要が増加しています。そこで、無機材料が抱える透明性や感触面での課題を解決し、日常使いの面からも要望が高まっているO/Wサンスクリーンにおいて使いやすい材料として、超易分散性を有する微粒子酸化チタンを開発いたしました。本材料は、分散にかかるエネルギーの削減や工程の短縮を図る材料としても期待されております。また、環境に対する負荷を軽減する材料として、亜鉛イオンの溶出量を抑えた微粒子酸化亜鉛の開発も行い、変わりゆく要求レベルに適した品質となるよう抑制技術の向上に努めております。日焼け止め化粧品材料の顧客ニーズに応えるべく、これら開発品については、ラインアップを拡充すべく表面処理技術に磨きをかけ、ニーズにマッチした製品の開発を進めております。
また、紫外線遮蔽機能に拘らない化粧品材料の拡充にも努めております。マイクロプラスチックの規制に関連し、樹脂ビーズの代替となる感触改良材として球状シリカを開発しました。基材に独自の特殊表面処理を施し、樹脂ビーズの柔らかさに匹敵する感触が得られる材料となっております。また、当社の酸化チタンコア技術や分散技術、シリカ粒子の合成技術を融合し、酸化チタンを内包したタイプも上市いたしました。本材料は、製剤の紫外線防御能力を向上させるブースト効果を有しており、感触改良だけでなく処方のバリエーションを拡げるアイテムとして、国内外の顧客にて検討が継続されています。
国内の研究施設は、大阪研究所、岡山研究所、岡山研究所熊山分室、東京クリエーションラボラトリーがあり、それぞれの連携を緊密にすることで共同開発体制の強化にも力を注いでおります。それぞれの研究施設で得意とする無機、有機のノウハウを融合させた化粧品原料の開発も進めております。
② 機能性材料
微粒子酸化チタンは防汚、脱臭、排ガスの低減など環境浄化の目的で光触媒や環境保全触媒の市場に浸透しております。また、これらの微粒子粉体を有機化合物で表面改質を行い、有機一無機複合粉体としての新しい機能を引き出すべく、現行のトナー用外添剤、化粧品、機能性塗料などの用途のほかに、光学機器や電子部品材料に使用される高機能部材などの新規分野で研究開発を行っております。光学機器ではスマートフォンの進化や、ポストスマートフォンと注目されるARデバイス市場の立ち上がりに対応するために、光学部材の高屈折率化が市場から求められております。当社グループは、酸化チタンの高い屈折率を活かし、高度な透明性を実現したチタニアゾルの市場展開を加速しております。
加えて、SDGsの達成につながるバイオマス原料の活用や二酸化炭素排出削減に貢献できる製品の開発を行っています。もみ殻から抽出したシリカを被覆したバイオマス酸化チタンは、包材インキのバイオマス配合率向上を実現します。同材料の量産化を目指した開発並びに市場開拓を推進しています。二酸化炭素の排出削減についても従来の考え方にとらわれることなく、あらゆる可能性を追求した開発を進めております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2)電子材料・化成品事業
界面活性剤の分野では、主にシャンプー、合成洗剤等の洗浄基剤及び可溶化剤、工業用乳化剤、酸硬化触媒などを中心に顧客ニーズに応えるべく品質改良に取り組んでおります。導電性高分子分野では、高い信頼性が求められる自動車用途やIT機器、基地局、サーバーなどで用いられるコンデンサ用電解質の高機能化に積極的に取り組んでおります。特にADAS化、EV化などで成長が期待される自動車用途に注力しております。
圧電材料の分野では、ヘルスケア用を中心に2018年1月に完全子会社化した米国TRS Technologies社の技術を活用し圧電関連の開発を進め、日米両拠点から開発品の市場展開を行っております。また、ヘルスケア用以外のセンサー用途などにも、これまでに培ったセラミック材料技術や加工技術の水平展開による製品開発を行っております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(3)その他
次世代を見据えた取り組みの新規開発テーマとしては、環境・エネルギー、電気・電子、医療・ヘルスケアをキーワードとして、新規分野への参入を図るべく、持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの利用や電気車両の普及に欠かせない蓄電デバイスのプレドープ剤(犠牲正極剤)の開発などに取り組んでおります。
また、社会インフラを支える基幹材料である半導体には高機能化や小型化、省エネ化が求められております。当社グループは、酸化チタンで長年培ってきた形状制御や粒子径制御技術、表面処理技術を駆使して、要求品質に応える半導体部材開発を行っております。