第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、独自の金融コングロマリット構想の下、特長ある各種金融サービス事業の拡充、成長性の高い事業分野の強化、徹底した業務の効率化等により、更なる発展を目指してまいります。

 

(2) 経営戦略等

当社グループでは、グループ各社間の業務展開により、お客様に喜ばれ満足していただけるサービス・商品を提供すること、及び各事業分野において、ナンバー・ワンあるいはオンリー・ワンとなるサービスを育成することを目指し、顧客の拡大とグループ企業価値の最大化に取り組んでおります。また、管理体制と経営体制の一層の強化を図り、グループとしての信用力強化及びブランドイメージの向上を目指してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの目標とする経営指標としては、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)が最適と考えており、連結ベースでROE10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としております。なお、当連結会計年度のROEは14.4%となりました。

 

(4) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、不安定な状況が続いております。

日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動が正常化され景気は緩やかな回復傾向が見られますが、一方でインフレ率の上昇による実質所得の減少や国内消費の減少等の懸念があり、先行きは不透明な状況にあります。国内における各事業は、人口減少や高齢化等に伴う構造的な諸問題や多くの競合他社との激しい競争にさらされており、今後の事業環境は厳しくなっていくものと認識しております。リユース事業を営むSTAYGOLDにおいては、サステナビリティへの関心の高まりやフリマアプリの拡大・浸透などによりリユース市場の拡大が続いており売上が増加しておりますが、一方で、拡大する市場を背景にした新規参入や既存企業間での競争の激化が進んでおり、買取価格の上昇が粗利率の低下をもたらす可能性も危惧されております。

モンゴルでは、財政出動による景気対策やモンゴルの主要輸出先である中国経済の回復などもあり、モンゴル経済は回復傾向にあります。ハーン銀行は、モンゴル最大のリテール銀行として一定の競争優位性を確保しており、業績、預金残高や融資残高は順調に増加しておりますが、今後の中国経済の動向、インフレ率の上昇による景気悪化などの影響により、収益の減少や貸倒引当金の増加をもたらし翌連結会計年度以降のハーン銀行の業績に重要な影響を与える可能性があります。

キルギスやロシアにおいても、新型コロナウイルス感染症は収束し景気は回復傾向にありますが、キルギスではインフレ率の上昇、ロシアではウクライナ問題による幅広い経済制裁を受けるなど、両国経済の先行きは引き続き不透明な状況にあります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

金融サービス事業においては、お客様の資産運用に対する多種多様なニーズを的確に捉え、特長ある金融サービスを提供するため、金融関連の法改正及び規制緩和や国内外の各種金融サービスの動向等を調査・検討して、新たな金融サービスの企画開発や既存サービスの改良等に努めてまいります。また、インターネット取引システムの安定性の強化、コンプライアンスの徹底等を着実に実行し、お客様に信頼され、安心してお取引していただける金融グループの構築を追求してまいります。

金融サービス事業のなかでも、特にハーン銀行については、モンゴル銀行法の改正に伴い2026年12月末までに当社の持分を20%以下まで引き下げる必要があり、優先的に対処すべき課題となっております。

リユース事業は、市場の拡大に伴い今後、収益・利益の増加が期待される事業となっております。そのため、今後は、積極的な新規出店等を行い買取チャネルの拡大を継続することにより、個人のお客様からの買取りを強化するほか、法人販売の強化など様々な営業施策を実施してまいります。

投資業務につきましては、企業再生事業として出資した企業の管理、支援に努めるとともに、経済成長が著しいアジアの新興国や独自性の高い新規事業等、今後の成長性が期待される地域及び事業への投資を積極的に検討してまいります。

また、自己投資業務の他、M&Aの仲介業務並びにコンサルティング業務を積極的に展開してまいります。

業務の効率化につきましては、各事業の業務プロセスの徹底的な見直しを通じたコスト削減の他、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することにより業務の改善を推し進めてまいります。

今後も当社グループ全体の収益性の向上を図り、更なる業容の拡大、企業価値の向上を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、ハーン銀行は、当連結会計年度末において持分法適用関連会社でありますが、当社が保有する同行の持分比率は49.8%であり、依然として当社グループの業績に大きな影響を与えているため記載しております。なお、ハーン銀行の2023年度サステナビリティ・レポートは2024年9月に公表予定であり、有価証券報告書提出日時点では未公表であるため、下記記載は基本的に2022年度のサステナビリティ・レポートをベースとしております。

 

(1)ガバナンス

当社は、経営理念のなかに「自然の摂理を大切にすること」「お客様とスタッフを大切にし、社会に貢献できる企業であること」を掲げており、企業の安定的かつ長期的な成長には、環境や社会問題への取組、ガバナンスが重要であると認識しており、当社グループは、持続可能な社会の実現へ向けてESGを重視した投資・経営を実践しております。

当社グループでは、主に、当社及び各子会社での取締役会においてサステナビリティに関連するリスク、機会及び取組について審議・監督し、適宜、当社の取締役会において子会社での活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。

特に、ハーン銀行では、サステナビリティに関する組織として、取締役会の他に「4つのサブ・ワーキンググループ」及び「メイン・ワーキンググループ」が設置されております。サブ・ワーキンググループのうち、資金調達に関するサブ・ワーキンググループはグリーンファイナンスの開発等を担当します。サステナブル・オペレーション・サブ・ワーキンググループは、サステナブル・イニシアチブと非金融商品・サービスの実施を担当します。サステナブル・ワークプレイス・サブ・ワーキンググループは、従業員と顧客のために持続可能で支持される職場と安全の実現を担当します。社会投資サブ・ワーキンググループは、社会的・環境的投資を担当します。まず、年初にメイン・ワーキンググループが年度計画を策定し、ガバナンス委員会へ報告し承認されます。そして、各サブ・ワーキンググループは、その進捗状況を四半期ごとにメイン・ワーキンググループへ報告し、メイン・ワーキンググループが管理・監督します。メイン・ワーキンググループは、最終的に年次でハーン銀行取締役会へ進捗状況等を報告し、その結果が当社の取締役会へ報告されます。

 

(2)戦略

当社では、自己投資業務(プリンシパル投資業務)を行っており、投資委員会及び取締役会で投資の意思決定を行いますが、投資案件に関する情報収集、評価及び検討に際して、財務情報のみならずESGの非財務情報を含めて投資判断を行っております。

リユース事業における株式会社STAYGOLDでは、「ひとつのモノ、ひとつの想いを大切に豊かな社会を創る」をミッションに掲げており、時間や場所を超えてお客様をつなぐリユースが文化として根付くことで、社会の消費行動が変わり、本当の意味での豊かな価値観が生まれると考えております。リユース事業は、大量生産・大量消費に伴う大量廃棄という社会問題を解決する循環型社会の形成に向けての重要な取組であります。今後は、事業そのものの成長のみならず、様々なサステナビリティの取組を推進し、持続可能な社会の実現につなげてまいります。

銀行業におけるハーン銀行では、社内外へのアンケート調査等により4つの主要セクションを設定し16のマテリアリティ(主要課題)を特定しております。これらの特定されたマテリアリティの解決を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでおります。詳細は下記のとおりです。また、キルギスコメルツ銀行は、現状、中小規模の企業であり、他の経営的な課題、業務課題や日々のオペレーションと比較するとサステナビリティに関連する取り組みは優先度が低く、そのため具体的な戦略等は設定しておりません。

 

 

セクション

マテリアリティ

主な取り組み

ファイナンス

グリーンローン

・国際金融機関からのグリーン・ファンディングを実施。

・個人事業主や企業向けに様々なグリーンローンを提供。

・エネルギー効率化、公害防止、温室効果ガス排出削減のための再生可能エネルギーなどのグリーンプロジェクトを支援。

・外部のコンサルティングチームと協力し、エネルギー効率やCO2排出削減などの技術支援を実施。

・エネルギー効率の高い家電製品の購入のための融資を実施。

アクセシブルな製品とサービス

顧客満足度向上

オペレーション

グリーンオフィス

・ISO27001に準拠した情報セキュリティ管理システム、ISO27701に準拠したプライバシー情報管理システムを導入。

・全従業員に対し情報セキュリティに関する研修や勧告を実施。

・エシカル・バンカー・プロジェクトを実施。全従業員の倫理的思考や行動を高めるための研修等を実施。

・社外の取引先に対し腐敗防止と倫理に関する研修を提供。

・気候変動、持続可能性、グリーンファイナンスに関する知識向上を目的とした研究を実施。

・従業員満足度調査の実施。

・ワークライフバランスの保証のため柔軟な勤務形態に関する規定を策定。

・学習文化を醸成し、場所や時間に関係なく全従業員が平等に学習できるようにするため、「ハーン銀行アカデミー」を開始。

従業員満足度向上

充実した研修

サイバーセキュリティ及び情報セキュリティ

倫理基準

腐敗防止及び贈収賄防止

社会的投資

企業の社会的責任

・企業の社会的責任に対する取り組みとして、ハーン銀行財団を設立し、下記7つの分野で様々な資金提供などの支援を行っている。

 ①子供と青少年の教育支援 ②公衆衛生の推進 ③環境保護 ④社会的弱者への支援 ⑤芸術と文化の信仰 ⑥地域開発の支援 ⑦国連の17の持続可能な開発目標への貢献

 

・顧客や一般市民に対し、フィナンシャル・プランニング、金融教育、適切な資産形成などの知識や情報を定期的に提供する機会を設置。

・中小企業経営者や女性を支援するため、様々な研修・コンサルティングサービスを実施。

・男女平等の促進、職場における女性の活躍などを目的とした女性開発プログラムの設置。

・顧客に対し様々なペーパーレスサービスを提供。

・自然を保護し、次世代にきれいな空気と緑豊かな環境を受け継いでいくため、森林プログラムを実施。

金融教育の提供

資源の適切な利用

人権と平等の確保

パートナーシップと報告

透明性ある報告

・国内外の様々な組織や部門と提携し、他社から学ぶとともにハーン銀行の積極的な経験を共有することにより、持続可能な社会の実現に貢献する。

・ハーン銀行は、28の外国銀行に13通貨で46のノストロ口座を持ち、コルレスバンキングの分野で世界的に有名な200以上の銀行と関係を築いており、国際決済や外国取引において信頼できる迅速なサービスを顧客に提供している。

・持続可能性と透明性の枠組みの中で、毎年、サステナビリティ・レポートを発行し公表している。

・慎重かつ透明性の高いコーポレートがバンス原則、環境・社会リスク管理システム、顧客の権利保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与防止対策が国際基準に適合していることを取引銀行や国際格付け機関に報告している。

責任ある報告

国際基準への準拠

 

 

※人材の育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループでは、人的資本の強化が持続可能な企業価値向上につながると認識しております。そのため、多様性を考慮した人材育成に努めており、国籍・人種・性別・年齢等による制約はなく、採用にあたっても同様の方針を厳守しています。在外子会社においては、原則として現地の人材を経営層や管理職として登用しており、女性の経営層や管理職も多数在籍しております。また、社内の環境整備に関しても、男性の育児休暇取得、在宅勤務、時差出勤、フレックスタイム制、時間単位有給制度などワークライフバランスを重視した様々な環境整備を進めております。

特に、ハーン銀行では、ポジティブな職場環境の構築が従業員の生産性向上と幸福に不可欠であると考え、「ハーン銀行人事方針」及び「ハーン銀行雇用平等方針」が策定されています。この方針では、雇用関係における平等と多様性の確保、すべての人の尊重と参加の促進、あらゆる形態の差別や迫害のない職場環境の実現、男女平等を通じた長期的に持続可能な職場づくりといった課題について概説しています。これらの方針が遵守されるよう、管理職や一般職員に研修や情報提供を行うとともに、従業員エンゲージメント・プログラム、経営幹部からの定期的なコミュニケーション、多様性と包括性への取り組みなど、様々な施策を実施しています。また、従業員の専門的なスキルや知識の向上を支援し、特に管理職に対しては多様性と包括性を17のリーダーシップ・コンピテンシーの1つに掲げており、スキル向上教育開発プログラム等を通じて将来の経営幹部候補としての人材育成に努めております。

 

(3)リスク管理

当社グループでは「リスク管理規程」を策定しており、各関係会社がそれぞれの事業に応じて各リスク管理プロセスを運用し、重要なものを貴社へ報告する体制(ボトムアップ型)をとっております。また、取締役及び担当部署は、当社グループの事業に係るリスクの把握及び管理に努め、当該リスクの管理状況を適宜、取締役会に報告する体制を整えています。今後、状況に応じて、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理する体制を強化することを検討してまいります。

また、ハーン銀行においては、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理するために、(1)ガバナンスで記載した4つのサブ・ワーキンググループを設置しており、そこで各セクションのリスクを把握、分析し、必要な対応策を講じるとともに、リスク管理委員会に提出され、必要に応じてハーン銀行取締役会に報告されます。ハーン銀行は、リスク管理の枠組みにISO31000規格を導入しており、銀行の戦略や目標に影響を与えるリスクを特定し、「リスクダッシュボード」を通じて効果的に管理しております。リスク管理は、外部および内部の状況を考慮した上で、リスクの特定、リスクの分析と結論、リスクアクションの報告という基本的なプロセスで構成されています。また、2023年度から気候変動リスクの影響も「リスクダッシュボード」に含めており、リスク管理委員会は、気候変動リスクの影響を軽減するための総合的な対策計画を承認し、計画に沿った業務の実施と実績を月次ベースで監視しております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、現状、ハーン銀行以外の関係会社は中小規模の企業であり、他の経営的な課題、業務課題や日々のオペレーションと比較すると、人的資本を含むサステナビリティ関連への取り組みは優先度が低く、そのため具体的な指標及び目標についても設定しておりません。今後、状況に応じて、当社及び各子会社において指標及び目標の設定の要否を含め検討してまいります。

ハーン銀行においても、サステナビリティに関する各取り組みに対して具体的な指標や目標を個別に設定しておりませんが、主な取り組みの実績は下記の通りであります。

・グリーンローンのための資金調達として、88百万米ドルの契約が締結され、58百万米ドルの借入が実行されました。

・グリーンエコノミー融資プログラムの一環として、60百万米ドルが環境に配慮したグリーンローンとして融資されました。

・モンゴルの野菜需要を満たすため、オランダの技術を利用した近代的な全自動冬期温室プロジェクトへの融資を実施しました。これはエネルギー効率の向上、温室効果ガスの排出削減、水の消費量削減などの可能性を秘めた国内最大級のグリーンプロジェクトとなっております。

・モンゴル初の多様な食品工場である国際標準輸出加工区へ600億トゥグルグを融資しました。これにより、廃棄物の削減、エネルギー効率の向上、温室効果ガスの排出削減が見込まれるとともに、モンゴルの食品輸出の増加が期待されます。

・顧客へ様々なペーパーレスサービスを提供し、木材の節約、業務・労働時間の削減、輸送コスト及びそれに伴う交通量の削減などを実現しました。

・ハーン銀行財団を通して、社会的責任投資として16のプロジェクトとプログラムを実施、16億トゥグルグの資金を提供しました。これは、奨学金プログラム、海外留学を含む若手育成プロジェクト、女性開発プログラム、森林プログラムなどがあります。

 

※人材の育成及び社内環境整備に関する方針についての指標及び目標

上記と同様に、人的資本に関する指標及び目標についても設定しておりませんが、各子会社では国籍・年齢・性別を問わず積極的な採用を行っており、国内子会社においては、全従業員に対する女性従業員の割合は40%を超え、健康優良訪印の認定を受けるなど、人的資本に関する社内環境整備を進めております。今後、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する指標及び目標とあわせて検討を進めてまいります。

ハーン銀行では、70:20:10の法則に基づき様々な研修活動や能力開発を行い、継続的に学習する文化を強化すること目指しております。2022年度では、これらの研修活動等を行った従業員は1,300名を超え、その研修等に費やした時間は累計1,000時間を超えています。その結果、同行の従業員満足度調査によると、研修・能力開発に関する指標が前年比1.9%改善しております。特に経営幹部や管理職に対しては、ワールドクラス・マネージャー・プログラム、エクセレンス・リーダーシップ・プログラム、上級マネジメント・コーチング・プログラムなどの研修・能力開発プログラムを提供しています。2022年度では100名から300名の幹部・管理職がそれぞれのプログラムを実施しており、リーダーとしての資質向上に努めております。また、同行では「雇用平等方針」に基づき差別やハラスメント等が一切ない職場における平等を確保することを目標としており、経営幹部や上級管理職の4割、管理職の半数が女性となっており、女性の活躍できる職場環境を構築しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

なお、下記の記載のうち、将来に関する事項は、別段の記載がない限り本書提出日現在において当社が判断したものに限られており、全てのリスク要因を網羅するものではありません。

 

① グループの利益構造について

当社グループの利益は、銀行業は特にハーン銀行にその多くを依存している状況であります。現在、ハーン銀行はデジタルバンキングサービスの推進などにより、モンゴル国において競争優位を確保しておりますが、後述するような銀行業における固有リスクが顕在化し同行の収益及び利益が減少した場合、当社グループの連結業績に重要な影響を及ぼす結果となります。

 

② グループの拡大・再編について

当社は、上述したハーン銀行への利益の依存度の低下があってもなお社グループの更なる発展を目指し、新規参入やM&Aを含む当社グループの拡大及び再編を継続的に検討、実施しております。今後も当社グループの拡大及び再編を行ってまいりますが、これらを実施した影響により当社が予め想定しなかった結果が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 各事業固有のリスクについて

当社グループは、独自の金融コングロマリット構想のもと、銀行業、リユース事業、M&A仲介・コンサルティング事業等の多岐にわたる事業を展開しているため、各事業における固有のリスク要因が存在します。

 

a) 銀行業

当社子会社のキルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)はキルギス共和国において、また、当社の持分法適用関連会社であるハーン銀行(Khan Bank LLC)はモンゴル国において、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)はロシア連邦において銀行業を展開しております。

 

1) 金利・為替相場等の変動による影響について

ハーン銀行はモンゴル国内において、キルギスコメルツ銀行はキルギス国内において、ソリッド銀行はロシア国内において、主に現地通貨建てで業務を行っているため、以下に挙げる金利、社会・政治情勢の影響を受ける可能性があります。

 

(金利リスクについて)

モンゴル、キルギス又はロシア(以下、「当該国」という。)の金利が大きく変動する場合、ハーン銀行、キルギスコメルツ銀行又はソリッド銀行(以下、「同銀行」という。)の顧客に対する貸出金利の低下、顧客からの預金に対する利払いの増加等により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(為替リスクについて)

同銀行は当該国において主に現地通貨建てで業務を行っております。そのため、為替相場の動向次第では、同銀行の業績の如何にかかわらず当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

また、ハーン銀行においては、同行が保有する外貨建て資産負債に対して、為替変動リスクを軽減するためデリバティブによる為替ヘッジを行っておりますが、為替相場の変動の度合いによって、同行ひいては当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(カントリーリスクについて)

モンゴル国は大規模な鉱山開発等による経済成長が予想されています。中央アジアの新興国であるキルギス共和国は鉱業を主要産業としており、中央アジアの中継点としての地政学的な重要性もあることから、今後の経済成長が見込まれております。また、ソリッド銀行が本店を置くロシア連邦の極東地域は、豊富な天然資源を有しており、開発による更なる発展が期待されます。しかしながら、今後、当該国における政治・社会情勢の混乱、各種法改正や税務及び規制等環境の変化等により当該国の経済情勢が悪化した場合には、貸倒れの増加や貸倒引当金の積み増し等により、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(信用リスクについて)

同銀行は当該国において主に貸出業務を行っており、貸出先の状況、担保の価値、経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しております。ただし、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなる可能性、また、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより追加的な与信費用が発生する可能性があります。

 

2) 法規制について

同銀行は、当該国に設立されている銀行であるため、当該国政府の金融、経済政策や関係する法令規則等の変更により、同銀行あるいは当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

また、同銀行は当該国の中央銀行による規制・監督下に置かれているため、今後当該規制が変更された場合、規制に対応するためのコスト増から当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

3) 競合について

同銀行は、当該国内において他の金融機関やノンバンク等との競争環境に晒されています。今後、当該国において金融機関同士の統合や再編、業務提携が行われる可能性や、フィンテック等の新技術の台頭により競争が激化する可能性があり、同銀行が競争優位を確立できない場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

b) リユース事業

  当社の連結子会社である株式会社STAYGOLDは、リユース買取卸売・小売事業を展開しております。

 

1)仕入体制について

同社では、リユース品の買取仕入が収益確保における基盤となっておりますが、今後の景気動向の変化、競合買取業者の増加、顧客マインドの変化や相場の変動によって、質量ともに安定的な商品の確保が困難となった場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

また、リユース品の買取という性質上、コピー商品や盗品の買取・販売のリスクを含んでおり、これによる顧客とのトラブルの発生や信用低下により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

2)外部環境の変化について

同社では、貴金属、時計、地金、宝石、ブランド品が主な取扱い商材となっておりますが、商品によっては流行の変化に伴う経済的陳腐化、為替相場及び貴金属・地金相場の変動等により価格下落がもたらされるもの、牽引役となる人気商品・ヒット商品の有無により販売動向が大きく左右されるものが存在しており、為替・株式市場等の乱高下、景況感の急激な変化等により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

また、主に商品の買取において同業他社との競合が生じており、今後、新規参入などにより一層の競争激化が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

3)法規制等について

同社では、古物営業法による法的規制を受けており、古物営業の許可を所轄の公安委員会により受けています。そのため、同法に抵触または違反するような事案が発生した場合、営業の停止もしくは許可の取消が行われ、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

また、同社では店舗営業や販売促進等において、多くの個人情報を管理しているため、これら個人情報の漏洩等が発生した場合、社会的信用の失墜、事後対応による多額の費用・損失の発生など当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

c) M&A仲介・コンサルティング事業

当社は、M&A仲介・コンサルティング事業を展開しております。

 

1) 法規制について

M&A仲介・コンサルティング事業は、規制を受ける法律が特段ない状況となっております。しかし、案件の増加に伴い、法制度の整備により何らかの規制が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

2) 競合について

M&A仲介・コンサルティング事業は、許認可等の必要がなく、参入障壁が低いことから、今後も競合他社の増加が見込まれます。競合他社の増加に伴う競争激化等により手数料等の減少が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

d) その他の事業

上記事業の他、当社の連結子会社及び持分法適用関連会社が展開する事業において、法令規制等の変更、競争の激化等の事業環境の変化により収入の減少又は費用の増加等が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

また、当社は自己投資業務(プリンシパル投資業務)の一環として企業の育成、再生及び発展に取り組んでおります。当社は、対象会社の再生、企業価値向上へと取り組んでおりますが、対象会社の再生が計画通り進まない場合、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ オペレーショナルリスクについて

a) システムについて

当社グループでは、各事業分野において業務を運営するために基幹システムをはじめとした様々なコンピュータシステムを利用しています。また、当社グループでは、銀行業等において、インターネットを通じて顧客にサービスを提供しており、また、リユース事業においても、買取から販売までの顧客や商品の管理、相場データの収集、オンライン上でのオークション販売など多くのシステムに依存しております。各種システムにつきましては、定期的なメンテナンスやバックアップシステムの確保等、システムの安定的な稼働を維持するため万全を期しておりますが、今後予期せぬシステム障害が起こった場合、さらにシステム障害に伴う訴訟又は行政処分等を受けた場合には、当該事業に重大な支障が生じ、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

b) 事務について

当社グループのすべての業務には事務リスクが存在し、役職員等が事務に関する社内規程・手続等により定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故、不正等を起こす可能性があります。これらの事象により業務に支障をきたした場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 個人情報保護について

当社グループの各事業分野における顧客情報の管理については、情報管理担当者及び責任者を配置し、各社厳重な管理を行っておりますが、想定していなかった経路より外部に情報が流出した際には、金融グループとしての信用に悪影響を及ぼし、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 自然災害等について

地震、火災、大雨等の自然災害や、戦争、暴動、テロ等により人的被害又は物的被害が生じた場合、また、これらの自然災害等に起因する事象により、当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 有能な人材の確保について

当社グループは、独自の総合金融コングロマリット構想の下、幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っておりますので、各国・各分野において有能で熟練した人材が必要とされます。このため、必要な人材の積極的な採用や継続的な研修を行うこと等により、経費が増加する可能性があります。また、有能な人材の採用及び定着を図ることができなかった場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 訴訟について

当社グループは、各事業分野において事業運営に関する訴訟リスクが存在し、また、訴訟の発生を予測することは困難です。訴訟が発生した場合、訴訟対応に関する費用の増大、不利な判決による賠償金の支払い及び社会的信用の低下等により当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 主要株主について

現在、当社のその他の関係会社であるウプシロン投資事業有限責任組合が筆頭株主となっており、議決権総数の約42.2%を保有しております。また、当社の前代表取締役会長である澤田秀雄氏個人が大株主となっており、議決権総数の約9.7%を保有しておりますので、それぞれが当社株主総会の承認を要する事項(取締役・監査役の選任・解任、配当実施等)全てに影響力を持っております。

 

⑩ ロシア・ウクライナ情勢の影響について

ロシア・ウクライナ情勢については、現時点では当社グループの連結業績に与える影響は軽微でありますが、ロシア極東地域を事業拠点とするソリッド銀行やロシア経済の影響を受けるキルギスコメルツ銀行においては、今後、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴う経済制裁による金利上昇やロシア経済悪化等の影響を受ける可能性があり、その場合には当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動が正常化され景気は緩やかな回復傾向が見られますが、一方、円安による急激な為替変動や資源・エネルギー価格の高騰などによるインフレ率の上昇、実質所得の低下による消費低迷、増税などによる国民負担の増加が検討されるなど景気の先行きは極めて不透明な状況が続いております。世界経済においても、資源・エネルギー価格の高騰やインフレ率の高止まり、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中国における不動産不況や消費低迷、世界的な金融引締めによる景気悪化懸念など世界経済は緩やかな減速が続くとみられています。

このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は495億97百万円(前期比281億0百万円減)、経常利益は157億75百万円(前期比99億18百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億63百万円(前期比19億9百万円減)となりました。

 

当社グループは、当社、連結子会社3社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC) ※1

            キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited

 

※1 第1四半期連結会計期間において、ハーン銀行は新株発行による新規株式公開を行い、その結果、当社の持分比率が50%を下回ることとなり、同行は第1四半期連結会計期間末より持分法適用関連会社に異動することとなりました。このため、第2四半期連結会計期間より同行の業績は持分法による投資損益に反映されることとなります。

 

報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は204億55百万円(前期比524億25百万円減)、営業利益は58億83百万円(前期比190億68百万円減)となりました。ハーン銀行が第2四半期連結会計期間より持分法適用関連会社に異動することとなったため、銀行関連事業の業績は前年同期比で大きく減少しております。なお、ハーン銀行の業績は、第1四半期連結会計期間では全部連結され、第2四半期連結会計期間より持分法による投資損益に反映されます。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)

モンゴル経済につきましては、新型コロナウイルス収束後における消費の増加、石炭や金の輸出増加が寄与し、実質GDP(1-12月)は前期比で7.0%増加と高成長が続いております。インフレ率は食品価格を中心に依然として上昇しておりますが、前期末比7.9%と年度末にかけて落ち着いてきており、モンゴル中央銀行が目標とするレンジ(6%±2%)に入ってきました。また、貿易収支(1-12月)は、前期が中国におけるロックダウンの影響で大幅に減少していたことから前期比で54.7%と大きく増加しており、外貨準備高も好調な輸出に支えられ49億ドル台(前期末比44.8%増)となっております。為替市場では、政策金利の引き上げを受けて現地通貨トゥグルグ(以下、MNTという。)の通貨高となっており、前期末比で米ドルに対して1.0%上昇(ドル安)、日本円に対して7.1%上昇(円安)しました。一方で、モンゴル経済は中国経済の影響を強く受けるため、不動産不況等の中国経済の失速の影響を受ける可能性があります。

モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル経済が高成長を続けていることや、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策の影響が継続していることから、金融セクターの融資残高は前期末比で26.1%増加しました。また、延滞債権残高は12.8%増加、不良債権残高は0.6%増加となりました。

このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、法人向け融資や個人向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。特に、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策により個人向け融資が大きく増加したことや金利上昇の影響から資金運用収益が増加しました。一方で、預金残高の増加や預金金利の上昇により資金調達費用も増加しておりますが、デジタルバンキングサービスの推進による手数料収入が増加したことも影響し、増収増益となりました。

結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期末比で11.7%増加、融資残高は19.7%増加、資金運用収益は47.0%増加、当期純利益は24.5%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期末比で15.3%増加、個人向け融資は45.7%増加、農牧業向け融資は6.2%減少いたしました。

 

キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)

キルギス経済につきましては、長期化するロシア・ウクライナ情勢による悪影響が懸念されておりますが、2023年の実質GDP(1-12月)は、製造業や小売業、建設業の成長に支えられ前期比で6.2%増加しました。インフレ率は、エネルギーや食品価格の上昇により前期末比10.8%となり前年(2022年度)の上昇率からは鈍化しておりますが、依然として高水準にあり、キルギス中央銀行は金融引締めのスタンスを維持しております(2024年3月末現在、主要政策金利13%)。

キルギスコメルツ銀行は、高金利環境を背景に、法人融資を抑え、利回りの高い個人融資の拡大に注力しました。預金業務では、預金残高の維持のために預金金利を計画的に引き上げました。また、ロシアの銀行が制裁を受けていることから、キルギスコメルツ銀行では、外貨取引、コルレス口座ネットワーク、海外送金などの決済業務の見直しを行い、非金利収入を増加させることができました。しかし、高止まりのインフレや不透明な国際情勢などを背景に、金利費用や人件費、システム費用などの経費が増加しました。結果として、現地通貨ベースでは増収減益となり、僅かな最終黒字を維持するにとどまっております。また、融資残高は前期末比15.5%と増加しましたが、預金残高は4.5%の減少となりました。

今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢を背景にキルギス経済の先行きは依然として不透明な状況となっております。このような環境の中、キルギスコメルツ銀行は、リスク管理とコンプライアンス体制を強化し、安定した預金基盤の構築と顧客ニーズに応える融資商品の提供に努めます。また、バックオフィス業務の効率向上を目指して、その業務プロセス・IT基盤の見直しを行います。

 

ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)

ロシア経済につきましては、依然としてウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けているものの、2023年の実質GDP(1-12月)はロシア国内消費の増加により前期比で3.6%増加となりました。インフレ率は、前期末比7.4%の上昇と比較的落ち着いた状況となっておりますが、ロシア中央銀行はインフレ抑制のため数回にわたって政策金利を引き上げました(2024年3月現在、主要政策金利15%)

このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、新規顧客への融資を慎重に行い、銀行保証や外為取引などの非金利収入の拡大に注力するとともに、ロシア大手銀行や企業に対する制裁による環境変化を背景に店舗ネットワークと国際業務の見直しを行いました。結果として、現地通貨ベースでは増収増益となり、最終利益は前期比18.2%の増加となりました。また、融資残高は前期末比4.5%の増加、預金残高は23.4%の増加となりました。

今後につきましては、新規顧客の増加を受けソリッド銀行の業績は改善しているものの、ロシア・ウクライナ情勢の影響からロシア経済の先行きについては不透明な状況が続くと予想されます。このため、現地通貨ルーブルの為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の様々な要因により、ソリッド銀行の業績に影響を与える可能性がありますが、今後もソリッド銀行は不良債権の増加を抑制しつつ優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力するとともに、新たなビジネスに取り組み収益拡大を図ってまいります。

 

b) リユース事業

リユース市場は、SDGsなど環境意識の高まりやフリマアプリなどによるネット販売の急拡大により、市場規模は10年以上も拡大しており、今後も成長を続けていくとみられています。

リユース事業を営んでいる株式会社STAYGOLDは、主に時計やバッグ、ジュエリーの販売が好調であり前期比で増収ではありますが、事業拡大に伴い人件費や広告宣伝費などの経費が増加し、また連結上では無形固定資産やのれんの償却費が計上されている影響もあり営業損失となりました。新型コロナウイルス感染症の収束に伴いインバウンド消費が急回復していることに加え、国内消費においてもリユース品に対する需要は強く、今後も積極的な買取・販売の拡大を目指してまいります。また、当連結会計年度においては新たに11店舗の新規出店を行い買取の強化に努めました。販売についても、楽天モール内での「リマルク」の開始、STAYGOLD社主催の法人向けオンラインオークションによる法人販売の強化などの取り組みを行いました。

結果として、リユース事業の当連結会計年度の営業収益は291億33百万円、営業損失は2億61百万円となりました。なお、STAYGOLDは前第3四半期期末からの連結となりますので、前期比較は記載しておりません。

 

c) その他事業

当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社は、その他事業に分類しております。

当社(単体)の営業収益は主に関係会社からの配当金で構成され、当連結会計年度においては、関係会社からの配当金がなかったため減収減益となりました。なお、関係会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績に影響を与えません。

結果として、その他事業の当連結会計年度の営業収益は13百万円(前期比85億92百万円減)、営業損失は7億36百万円(前期は営業利益73億34百万円)となりました。

 

d) 持分法による投資損益

持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。なお、ハーン銀行の業績は第2四半期連結会計期間より持分法による投資損益に反映されております。

ハーン銀行は融資残高の増加による金利収入の増加、手数料収入の増加により増収増益となっております。ソリッド銀行においても、法人貸出の金利収入や外貨取引による非金利収入の増加により増収増益となっております。持分法による投資利益は、ハーン銀行が持分法適用関連会社へ異動となった影響から、前期比で大幅に増加しております。

結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は99億18百万円(前期比91億60百万円増)となりました。

 

② 財政状態の状況
第1四半期連結会計期間末において、当社グループの主要な連結子会社であったハーン銀行が持分法適用関連会社に異動することとなったため、連結貸借対照表の各科目は対前期末比で大きく減少しております。そのため、主な増減要因の記載は省略いたします。各科目の減少額については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ①連結貸借対照表」をご参照ください。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産合計につきましては、987億74百万円となり、前期比5,229億52百万円減少しました。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計につきましては、263億58百万円となり、前期比5,139億56百万円減少しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計につきましては、724億16百万円となり、前期比89億95百万円減少しました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、181億99百万円(前期比1,678億58百万円減)となりました。第1四半期連結会計期間末において、当社グループの主要な連結子会社であったハーン銀行が持分法適用関連会社に異動することとなったため、資金残高は対前期末比で大きく減少しております。

また、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、前連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況はハーン銀行によるものが大きな割合を占めており、当連結会計年度のハーン銀行におけるキャッシュ・フローの状況は第1四半期連結会計期間のみ連結され比較対象期間が異なっており、キャッシュフローの状況が大きく変動し比較困難のため、主な増減要因の記載は省略いたします。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、255億86百万円の資金減少(前期は185億5百万円の資金増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、81億4百万円の資金減少(前期は179億38百万の資金減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、121億29百万円の資金増加(前期は25億78百万円の資金増加)となりました。

 

④ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

当連結会計年度におけるリユース事業の仕入実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門名

金額(百万円)

前期比(%)

BRING

4,127

BRAND REVALUE

19,073

合計

23,200

 

(注)リユース事業を営む株式会社STAYGOLDは、前第4四半期連結会計期間より連結子会社となりましたので、前期比については記載しておりません。

 

b.販売実績

当連結会計年度におけるリユース事業の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門名

金額(百万円)

前期比(%)

BRING

6,203

BRAND REVALUE

22,929

合計

29,133

 

(注)リユース事業を営む株式会社STAYGOLDは、前第4四半期連結会計期間より連結子会社となりましたので、前期比については記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は495億97百万円(前期比281億0百万円減)、経常利益は157億75百万円(前期比99億18百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億63百万円(前期比19億9百万円減)となりました。

第1四半期連結会計期間末より、ハーン銀行が持分法適用関連会社へ異動となったため、当社グループの連結業績は減収減益となりました。今後においても、モンゴル国の銀行法等の規制により、当社のハーン銀行株式保有比率を20%以下に引き下げる必要があり、これにより持分法による投資利益も減少していく見込みとなっております。

また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、国内の景気動向や同業他社との競争激化などに影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては14.4%となりました。前年比5.9%減少となりましたが、これはハーン銀行の持分減少や前連結会計年度に関係会社株式売却益が約57億円計上されていたことが影響しております。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は204億55百万円(前期比524億25百万円減)、営業利益は58億83百万円(前期比190億68百万円減)となりました。なお、ハーン銀行の業績は、第2四半期連結会計期間より持分法による投資損益に反映されております。

 

ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの資金運用収益や当期純利益は引き続き前期比で増収増益となり、融資残高や預金残高も前期比で増加しました。

ハーン銀行の業績は、モンゴルの好調な経済成長(前期比7.0%増加)に支えられ、また、10兆トゥグルグ規模の景気対策が引き続き影響し大幅な増収増益となっております。ハーン銀行の業績に影響を与えている景気対策の主な内容としては低金利融資があり、これにより住宅ローンなどの個人向け融資、ひいては資金運用収益が増加しました。一方で、預金金利の免除がなくなったこと、預金金利の上昇や預金残高が増加したことにより資金調達費用も増加しておりますが、資金運用収益増加の影響が大きく、増収増益を達成しております。

モンゴル国内においては、中国向けを主とする輸出が好調に推移しており、モンゴル経済は今後も成長を維持していくと思われます。一方で、中国経済の減速、財政の悪化やインフレ率の高止まりによる金利の上昇など不安要素も存在します。また、ハーン銀行は国の景気対策に協力する形で、低金利の融資や融資の返済猶予等を実施しました。このため、来期以降、この信用リスクが顕在化し、貸倒引当金繰入額が増加する可能性もあります。

今後も、ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めてまいります。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。今後、ハーン銀行は個人向け・法人向け融資に注力しつつ、カード事業やデジタルバンキングサービス等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。

 

キルギスコメルツ銀行においては、利回りが高い個人向け融資残高の増加により金利収入が増加しました。キルギス国の金融引き締め政策の影響から預金コストも増加しましたが、純金利収入は増加しております。また、コルレス口座ネットワークや海外送金などの決済業務の見直しを行い手数料収入が増加し、非金利収入が増加しました。以上の結果、金利収入や非金利収入は増加しておりますが、貸倒引当金の増加や販管費の増加が影響し、今期は減益となりました。ロシアウクライナ問題を受け、リスク回避のため融資の実行には慎重な姿勢を続けており、そのため金利収入が伸び悩んでいるため、どのように融資を増加させていくかが今後の課題となっております。

キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。新決済システムの導入によるデジタルバンキングの推進、キルギス国内唯一のクレジットカードのプロセシングセンターを設立するなど、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。

 

ソリッド銀行においては、前期に引き続き、法人向けを中心とした融資残高の増加、外為取引による非金利収入の増加により増収増益となっております。一方で、今期は融資への引当金が増加しており、特に個人向け融資の引当金の増加抑制が今後の課題となっております。ソリッド銀行は、現在のところ、ロシアウクライナ問題による業績への影響はなく、預金残高・融資残高も増加しており増収増益を続けておりますが、ロシアは依然としてウクライナ問題に起因する幅広い経済制裁を受けており、今後のロシア経済の悪化がソリッド銀行の業績にも影響を与える可能性があります。ロシア経済はインドや中国などの新興大国との繋がりを強めており、そのような環境の変化がソリッド銀行にどのような影響を与えるか注視している状況であります。

そのような環境のなかで、ソリッド銀行は貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築や継続的なコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。

 

b) リユース事業

近年、リユース市場は、循環型社会への促進を受けて成長を続けており、スマホの普及によるフリマアプリの拡大・浸透は市場を活性化させ、現代のサステナビリティの風潮も追い風となり、人口減少時代に突入した我が国においても引き続き成長が見込める市場となっております。STAYGOLDは、中古品をメインとした宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、シルバーアクセサリー、スニーカー等の買取・仕入・販売・仲介及びオークション運営を行っております。

今期のリユース事業の業績は、販売や買取を順調に増加させており、事業拡大に伴い人件費を中心に販管費が増加しておりますが、STAYGOLD単体では増収増益となっております。連結セグメントとしては、のれんや無形固定資産の償却費が多額に計上されていることなどから営業損失となっておりますが、足元の業績は好調であり、今後も、積極的な新規出店等を行うとともに買取チャネルの拡大を継続することにより個人のお客様からの買取りを強化するほか、様々な営業施策を実施してまいります。一方でリユース事業は、市場の成長性の高さから競争が激化しているため、ブランド力の強化や他社との差別化などが課題となっております。

リユース事業の当連結会計年度における営業収益は291億33百万円、営業損失は2億61百万円となりました。

 

c) その他事業

その他事業の当連結会計年度における営業収益は13百万円(前期比85億92百万円減)、営業損失は7億36百万円(前期は営業利益73億34百万円)となりました。

当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金で構成されており、当連結会計年度においては、関係会社からの配当金がなかったことにより減収減益となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、国外における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開し、今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。

 

d) 持分法による投資損益

当連結会計年度における持分法による投資利益は99億18百万円(前期比91億60百万円増)となりました。

第2四半期連結会計期間よりハーン銀行が持分法適用関連会社へ異動となったため、大幅な増加となっております。持分法適用関連会社であるハーン銀行およびソリッド銀行の状況は前述のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、中古リユース品の買取、新規店舗への設備投資、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、STAYGOLDにおける新規店舗開設によるものであります。

また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、長期借入金(1年内含む)11億40百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は181億99百万円となっております。

主な借入先として、キルギスコメルツ銀行において、Russian-KyrgyzDevelopmentFundから2億90百万円、Ministry of Finance of the Kyrgyz Republicから2億33百万円、STAYGOLDにおいて、株式会社高知銀行から1億56百万円、株式会社日本政策金融公庫から1億21百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。