第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業来の歯車製造機械づくりで築いてきた精密加工技術を活かし、高精度の加工機械を電子・電機関連業界を中心としたお客様へ、ニーズに即応して提供していくことを基本方針としております。

具体的には、

① ゆるぎない品質の精密機械で産業の発展に貢献する。

② すべての事業活動において、環境保全に積極的に取り組む。

③ 法令の遵守を徹底するとともに、ステークホルダーのより高い満足を得ていく。

の3点を掲げ、中長期的な発展・成長を実現するとともに、社会環境や安全性に十分配慮し、より一層の企業価値向上を目指してまいります。

(2) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「製品の品質重視」と「収益基盤の強化」を重要な経営目標としております。

「製品の品質重視」は、品質が当社製品の価値を高め収益力を強化する要であることから、全社一丸となり品質向上に努めております。その具体的な取組としては、製品の出荷前品質チェックの厳格な励行はもちろんのこと、生産工程毎に作成したチェックリストの活用により、品質管理の徹底をはかっております。

また、「収益基盤の強化」については、業績・収益状況に対応した配当を実現しつつ、自己資本を中心にその厚みを増して、企業体力の充実を早期にはかっていくことに注力しております。

そこで、当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための指標を「自己資本比率」とし、「自己資本比率」を40%以上とすることを目指し、収益の積み上げを従来以上に重点的に取り組んでまいります。

なお、「自己資本比率」は、2023年3月期では29.1%でしたが、2024年3月期には31.5%と着実に積み上げがはかられております。

(3) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、雇用・所得環境の改善による一部個人消費の回復や、円安の進行に伴うインバウンド需要の取り込みなどから、全体的には緩やかな回復基調で推移しました。一方で、過度の円安に伴う原材料やエネルギー価格の高止まりによる物価上昇など、設備投資や個人消費が下振れする懸念要素があることに加え、ウクライナや中東情勢の長期化や、中国経済の減速化、ならびに台湾情勢の緊張状態による地政学リスクも加わり、依然として不透明な状況が続いております。

このような経営環境下において、当社グループといたしましては、主力製品のラップ盤については、半導体シリコンウエーハ加工用やSiC(炭化ケイ素)をはじめとするパワー半導体ウエーハ、および光学関連部品加工用、自動車部品をはじめとする金属部品加工用ファイングラインディングマシン等の拡販に引き続き、注力してまいります。

また、ホブ盤につきましても、加工対象物の自動脱着装置付新型ホブ盤等を市場投入し、釣具関連部品、電動工具用歯車、各種減速機向歯車、およびEV向歯車加工用等の販売を一層強化してまいります。

 

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループの中長期的に取り組むべき課題は、以下のとおりであります。

① グローバル化の進展に合わせ、既存の中国拠点や有力代理店が存在する台湾、韓国の強化に加え、インド市場を含むその他のアジア市場や北米市場に確固たる販売網・サービス体制を築くとともに、新規顧客の開拓に引き続き積極的に取り組んでまいります。

② 当社の強みである精密歯車加工機の製造技術や研磨機の加工ノウハウを活かした多様な新製品・サービスにより、お客様のニーズに合った製品やサービスを常にタイムリーにご提供し、ご満足いただける企業を目指してまいります。

③ 海外営業部門の人材強化をはかるとともに技術部門においては、協力企業との連携を強化して技術力の向上をはかり、併せて技術・ノウハウの若手社員への伝承も引き続き継続して実施してまいります。

④ 適正な製品売価への見直し、および原価低減の諸施策を常に実施し、生産性の向上による安定した収益の確保、収益基盤の拡充をはかってまいります。

⑤ 環境への負荷をかけない企業活動を意識して実践し、環境保全にプラスとなる成果の実現を通じて安全・安心な生活環境の確保に寄与し、それらの活動を通じて企業価値の向上を目指してまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当社グループが優先的に対処すべき課題は、以下のとおりであります。

① 販売体制およびテクニカルサービス体制の拡充

現在、現地法人を置いている中国、有力代理店が存在する台湾、韓国に続き、ベトナム、インドネシア等の東南アジア市場、北米市場およびインド市場においても、テクニカルサービス体制の構築を含む有力代理店網の組成に取組中であります。

② お客様のニーズに沿った新製品の開発、および既存製品の改良改善

  主力製品のラップ盤については、半導体シリコンウエーハ加工用のみならず、パワー半導体素材であるSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、ならびに高放熱基材であるAlN(窒化アルミニウム)等の加工用の開発・販売に、引き続き積極的に取り組んでまいります。また、後工程の自動化への対応のほか、自動装置付金属部品加工用ファイングラインディングマシン等の新製品を自動車部品、ロボット関連部品等の加工用としてご提供してまいります。

ホブ盤につきましても、新型ホブ盤の量産機を早期に市場投入することで、新規顧客の開拓に努めてまいります。

③ 海外営業部門・技術部門の人材拡充と営業・生産現場における人材の育成

各部門への人材拡充は、継続して実施しております。併せて技術・技能(含むノウハウ)の伝承、若手人材の育成についても、SDGsの取組課題として全社的に推進中であります。

④ 適正な製品売価への見直し、および原価低減諸施策の実施による収益力の向上

  適正な製品売価への見直しを適宜適切に実施しており、また、原価低減諸施策についても、「工場体質改善活動」の一環として生産工程の改善に取り組んでおり、一定の成果が上がってきております。今後は、現在取組中の上記活動をさらに強力に推進し、一層の生産性向上に取り組み、安定した収益を確保できるように注力してまいります。

⑤ 環境への負荷の少ない企業活動を通じた企業価値の向上

  環境ISOの活動を展開中ですが、CSR活動にもつなげて拡大することによって、企業価値の向上を実現してまいります。また、サステナビリティの実現に向け、サステナビリティ基本方針のもと、SDGsについて、各部門ごとに課題を設定し、積極的に取組中であります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社グループは、以下のサステナビリティ基本方針を定め、事業活動を通じて持続可能な社会の実現への貢献と自らの企業価値向上の両立をはかり、併せて地球環境や社会を取り巻く課題の解決を目指してまいります。

 

<サステナビリティ基本方針>

当社は、創業以来、「ゆるぎない品質の精密機械で産業の発展に貢献する」を企業理念として事業に取り組んでまいりました。

この理念のもと、「ものづくり」を通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めてまいります。

 

なお、サステナビリティ基本方針に基づき、その実現に向け活動する各部門の活動状況を管理し、目標達成を支援するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を執行役員会に併せ月1回開催し、活動状況を把握しております。これにより、サステナビリティ関連のリスクを管理するとともに、各部門の取り組みを評価し、その結果を全取締役に報告しております。

(2) 戦略

当社グループは、サステナビリティ基本方針のもと、具体的な社会課題解決の指針として以下のSDGs基本方針を定め、日々の事業活動の中で目標を定め活動してまいります。また、人材の多様性の確保を含む人材の育成方針は、以下のとおりであります。

 

<SDGs基本方針>

当社は、脱炭素社会・環境保全等への取組を通じて、国土・地域社会への貢献を図り、多様な人材の活用や循環型社会の実現への貢献を通じて、信用・信頼に基づく経営を実現してまいります。

 

具体的には、「環境問題への対応」「質の高い教育の提供による人材育成」「地域・社会への貢献」の3つのテーマについて、各部門長がリーダーとなり、具体的な課題を設け目標を達成すべく取組中であります。

結果の検証・活動の修正等につきましては、月1回開催のサステナビリティ委員会の場で議論することで、より実効性を高めております。

 

<人材の育成方針>

当社グループの成長の源泉は、「人材」にあるという認識の下、技術員、海外営業部員等の性別・国籍を問わず積極的に採用しておりますが、さらに女性労働者の割合を増やし、人材の多様性を確保していくための取組として、女性がいない、または少ない部門(製造職・技術職)に対して女性の配置転換を積極的に行い、女性が就業しやすい環境の整備を進めることで、女性の新規採用を増やしてまいります。また、採用した人材の育成についても、下記のSDGs基本方針に基づく活動目標に記載の「質の高い教育の提供による人材育成」にあるように、各部門で積極的にリスキリングや有用な外部セミナーの受講、社内のDX化の推進等に取り組んでまいります。

 

(3) リスク管理

当社グループの、サステナビリティ関連のリスクにつきましては、月1回開催のサステナビリティ委員会で、リスクの萌芽の段階から議題に上げ、討議する体制を構築済みであり、リスク管理体制は整っております。なお、気候変動による災害等の発生により生産体制に問題が生じるような突発的なリスクの場合には、危機管理規程に則り、代表取締役社長を本部長とする対策本部を直ちに設置し、即座に対応する体制をとっております。また、人的資本関連のリスク管理につきましては、採用計画・教育計画等の進捗を執行役員会およびサステナビリティ委員会で報告、討議する体制をとっております。

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載したSDGs基本方針の下、部門毎に活動目標を定め、鋭意取組中であります。

 

<SDGs基本方針に基づく取組目標>

テーマ

具体的な課題

主管部門

(共管:サステナビリティ推進部)

営業

管理

生産

1.環境問題への対応

1

工場の使用電力量の削減(LEDへの切替推進)

 

 

 


2

ストレッチフィルムの使用削減(ミラーマット・ビニールシート含む)

 

 

3

製品に使用する部材の不良率低減

 

 

4

製造工程(日程の管理)の見直しによる生産性の向上

 

 

 


5

省エネ生産設備への更新

 

 

6

ペーパーレス化の推進

7

BCP対策の質の向上に向けた取組強化

2.質の高い教育の提供による人材育成

 


1

仕入れ商品知識講習の受講(グリーン調達)

 

 

2

DX対応力の強化

 

 

3

多技能人材の育成

4

従業員エンゲージメント向上(外部セミナ一等の積極活用他)

 

 

5

ロールプレイング等活用による営業部員スキルアップ

 

 

6

ホブ盤の社内講習会による営業部員の育成

 

 

7

新素材(SiC/GaN)の社内講習会によるスキルアップ

 

 

8

外部・内部セミナ一等の積極活用

3.地域・社会への貢献

1

工場周辺地域の環境保全活動に積極的に参加

 


 


 

 

(渡良瀬川クリーン運動・足利の山クリーンハイク等)

 

 

 

 

 

 

なお、「環境問題への対応」で課題としております、「工場の使用電力量の削減(LEDへの切替推進)」につきまして、当連結会計年度では、約1,350台の蛍光灯をLED照明に切り替えました。

 


 

<人材の育成方針の目標>

製造職・技術職の女性労働者の採用を2027年3月31日までに1人以上増やす。

 

なお、当連結会計年度では、女性労働者に活躍していただける場を増やすため、工場長が女性労働者と個別面談し配置転換の可能性や女性労働者の働きやすい環境等についての意見交換を行いました。また、「質の高い教育の提供による人材育成」で課題としております「多技能人材の育成」に取り組み、属人化した業務を解消し標準化を進めることで、配置転換が行える環境の整備に取り組みました。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 製品の製造について

当社グループは、基本的に全ての製品を当社足利工場1ヵ所で製造しております。

そのため、以下のようなリスクが発生した場合、製品の製造に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

① 自然災害、疫病等が発生した場合

想定を超える規模の台風、洪水、地震等の自然災害や疫病等の発生により、足利工場の操業が停止するなど不測の事態が生じた場合には、製品の製造に支障をきたす可能性があります。

② 部材調達が困難になった場合

製品の製造に必要な部材価格の高騰や、製造業の繁忙に伴う部材の供給不足、事故、自然災害、疫病の流行等による不測の事態が生じることで調達先の生産が滞るなど、部材の調達に困難をきたすような事態が生じた場合には、製品の製造に支障をきたす可能性があります。

これらのリスク発生に備えるため、当社グループでは、避難訓練や建物関係のメンテナンス工事を適時実施し、疫病等の発生・蔓延を防ぐため衛生管理の徹底をはかっております。

また、調達先と情報の共有化をはかるとともに、重要部品を内製化するなど、リスクの極小化にも努めており、さらには、調達先の分散化にも取り組み、サプライチェーンの確保にも積極的に取り組んでまいります。

(2) 製造物責任について

万一、当社グループの過失による製造物責任問題が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、製品出荷時の検査、アフターサービス体制に注力している他、「PL-CE作業委員会」で定期的に製品の危険性をチェックし、さらに取扱説明書等の充実による予防措置等を講じるなど、リスクの極小化に努めております。

(3) 知的財産権の侵害について

当社グループが第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されている事実は現在ありませんが、万一、知的財産権を巡っての係争が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

そのため、「知的財産委員会」を設け、専従員を就けて従業員の特許出願を促し、また、特許調査を行うことにより、当社グループの生産・開発行為が他社の知的財産権を侵すことのないように努めております。

(4) 情報システム管理について

万一、当社グループが保有する顧客情報、製品情報および個人情報等の機密情報が、サイバー攻撃やコンピュータウイルス等により漏洩した場合、顧客等に対する損害賠償等が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、想定を超える災害の発生やサイバー攻撃その他の原因で、情報システムの誤作動や停止が発生した場合、その内容や規模により、正常な業務の継続が困難になることから当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、専門のシステム管理室が徹底した情報セキュリティ対策を実施するとともに、従業員に対してセキュリティ情報を常に発信し注意喚起するなど、リスクの極小化に努めております。

(5) 経済状況の激変について

当社グループは、国内市場の他、東アジア、東南アジアといった海外を主要な市場としておりますが、各国において予測不可能な自然災害、テロ、戦争、疫病等が発生し、経済状況が極度に悪化するような事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、市場の分散化をはかるなど、リスクの極小化に努めております。

 

(6) 財務制限条項について

当社グループが複数の金融機関との間で締結しているシンジケート・ローンには財務制限条項が付されており、万一、その条項に抵触した場合には、当社グループの財務活動に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、収益の積み上げに積極的に取り組み、財務体質の強化に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による一部個人消費の回復や、円安の進行に伴うインバウンド需要の取り込みなどから、全体的には緩やかな回復基調で推移しました。一方で、過度の円安に伴う原材料やエネルギー価格の高止まりによる物価上昇など、設備投資や個人消費が下振れする懸念要素があることに加え、ウクライナや中東情勢の長期化や、中国経済の減速化、ならびに台湾情勢の緊張状態による地政学リスクも加わり、依然として不透明な状況が続いております。

こうした状況の下、当社グループは引き続き、新規顧客先の開拓をはじめとする販売力の強化、ならびに部材調達や製造工程の改善活動を通じて、原価低減諸施策の実施と生産性の向上に積極的に取り組んでまいりました。

それにより、売上高および各利益はラップ盤の旺盛な需要に牽引されたことで、好調であった前連結会計年度をさらに上回ることができたものの、その反動も大きく、受注高および受注残高につきましては、前連結会計年度を下回る結果となりました。

(売上高)

当連結会計年度における売上高は8,755百万円(前年同期比26.6%増)となりました。

当社グループは、1工場で工作機械の製造を行い、販売するという単一事業を展開しております。

以下「機種別」に市場動向、販売状況等を補足させていただきます。

① ラップ盤

国内外の半導体シリコンウエーハ加工用や光学部品加工用装置の需要が堅調に推移しました。中でも、直径300ミリ半導体シリコンウエーハやSiCパワー半導体ウエーハ加工用の中大型機の売上が寄与しました。自動車部品をはじめとする金属部品加工用ファイングラインディングマシンの販売はやや伸び悩んだものの、売上高は5,824百万円(前年同期比74.7%増)となりました。

② ホブ盤、フライス盤

ホブ盤では、国内外の釣具関連や電動工具関連部品の加工用装置の販売が、前期の大口需要の反動により減少しました。また、中国景気の鈍化に伴い、各種減速機向や電気自動車関連の需要も伸び悩みました。フライス盤においても、国内外の需要が伸び悩み、売上高はあわせて1,019百万円(前年同期比32.2%減)となりました。

③ 部品、歯車

半導体シリコンウエーハ加工用の部品・消耗品の販売は堅調に推移したものの、ハードディスク基板をはじめとする光学部品加工用の部品・消耗品の販売がやや伸び悩み、売上高は1,911百万円(前年同期比8.0%減)となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、売上高の増加により、前年同期比21.0%増1,803百万円となったものの、売上総利益率は円安に伴う原材料価格の上昇や、設備投資による減価償却費の増加等により前連結会計年度の21.6%に対して当連結会計年度は20.6%となりました。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、944百万円と前連結会計年度に比べ57百万円増加(前年同期比6.5%増)しております。売上高の増加により、荷造運搬費が32百万円増加したことが主な要因であります。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は859百万円(前年同期比42.2%増)となりました。主な増益要因は前述の売上高の増加に伴う売上総利益の増加によるものであります。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は861百万円(前年同期比47.4%増)となりました。営業外損益の主な内容は収益要因は受取配当金13百万円、費用要因は支払利息16百万円によるものであります。

(特別損益)

当連結会計年度において特別利益として4百万円を計上しております。これは固定資産売却益4百万円であります。また、特別損失として固定資産売却損18百万円、固定資産除却損0百万円を計上しております。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は847百万円(前年同期比44.3%増)となり、税効果会計適用後の法人税等合計は148百万円(前連結会計年度の△54百万円に比べ202百万円の増加)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は698百万円(前年同期比9.0%増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

当社グループは、各種工作機械の製造販売およびそれに関連、附帯する一切の事業活動を展開しておりますが、事業分野においては、工作機械に関する単一の事業分野であります。

したがって、単一の事業部門で組織されているため、生産、受注及び販売の実績につきましては、セグメント別に代えて機種別の情報を記載しております。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績を機種別に示すと、次のとおりであります。

 

機種別

生産高(千円)

前年同期比(%)

ラップ盤

5,829,726

+71.4

ホブ盤

987,493

△30.9

フライス盤

32,000

△23.8

部品

1,875,840

△5.8

歯車

6,129

△61.9

合計

8,731,188

+26.9

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績を機種別に示すと、次のとおりであります。

 

機種別

受注高(千円)

前年同期比

(%)

受注残高(千円)

前年同期比

(%)

ラップ盤

3,442,730

△56.1

7,590,100

△23.9

ホブ盤

989,351

+5.1

658,000

+0.3

フライス盤

36,000

+12.5

36,000

+12.5

部品

1,570,270

△40.7

1,299,020

△20.5

歯車

5,035

△67.2

1,662

△39.7

合計

6,043,387

△47.3

9,584,782

△22.1

 

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績を機種別に示すと、次のとおりであります。

 

機種別

販売高(千円)

前年同期比(%)

ラップ盤

5,824,726

+74.7

ホブ盤

987,493

△32.5

フライス盤

32,000

△23.8

部品

1,905,046

△7.6

歯車

6,129

△61.9

合計

8,755,394

+26.6

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

友松商事株式会社

908,825

13.1

2,858,867

32.7

 

 

 

 

(2) 財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は6,923百万円で、前連結会計年度末に比べ591百万円増加しております。棚卸資産の増加573百万円が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は3,271百万円で、前連結会計年度末に比べ384百万円増加しております。有形固定資産の増加204百万円、投資その他の資産の増加168百万円が主な要因であります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は5,673百万円で、前連結会計年度末に比べ366百万円増加しております。主な増加要因は、電子記録債務の増加2,290百万円であり、主な減少要因は、支払手形及び買掛金の減少1,984百万円であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は1,307百万円で、前連結会計年度末に比べ77百万円増加しております。主な増加要因は、リース債務の増加231百万円、退職給付に係る負債の増加22百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の減少177百万円であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は3,213百万円で、前連結会計年度末に比べ532百万円増加しております。主な増加要因は、利益剰余金の増加617百万円であり、主な減少要因は、自己株式の増加149百万円であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ173百万円減少し、当連結会計年度末には、1,016百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は162百万円(前年同期比68.9%減)となりました。 

主な内訳は、税金等調整前当期純利益847百万円、仕入債務の増加額305百万円、減価償却費161百万円、棚卸資産の増加額609百万円、前受金の減少額505百万円であります。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は133百万円(前年同期は66百万円の支出)となりました。

主な内訳は、有形固定資産の取得による支出79百万円、投資有価証券の取得による支出49百万円であります。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は203百万円(前年同期は666百万円の支出)となりました。 

主な内訳は、短期借入れによる収入200百万円、長期借入金の返済による支出166百万円、自己株式の取得による支出149百万円、配当金の支払額80百万円であります。

当社グループの資本の財源につきましては、利益剰余金を積み上げることにより、株主資本を充実させることを基本としております。また、資本の増強につきましては、事業展開に応じて直接金融等を通じて戦略的かつ機動的に対応することもその手段としては、排除しておりません。

当社グループは、事業運営上必要な流動性を安定的に確保することを基本方針としております。なお、金融上のリスクに対応するため、取引金融機関との間でシンジケート・ローン契約を締結し、手元流動性を確保しております。

なお、シンジケート・ローン契約には、財務制限条項が付されておりますが、当連結会計年度において財務制限条項に抵触しておりません。詳細につきましては、「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」「追加情報」」をご参照ください。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を慎重に検討したうえで、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果が有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

なお、将来の課税所得見込額は、経営計画を基礎に算定しておりますが、将来売上高の予測には、経営計画策定時点の受注残高に加え、将来の受注予測に基づく売上高が含まれております。工作機械業界は景気の動向に影響を受けやすい特性などにより変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、結果として翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループはラップ盤、ホブ盤をはじめとする精密工作機械製品の新機種、周辺機器、精密化技術、加工支援ソフト等の研究開発活動を推進中であります。

これらの活動は主として当社の技術本部により実施されております。

当連結会計年度における研究開発費は3百万円であり、主な活動は次のとおりであります。

なお、事業分野においては、工作機械に関する単一の事業分野であるため、機種別に記載しております。

(1) 前連結会計年度に引き続き、半導体シリコンウエーハ用ラップ盤の機内定盤洗浄装置を開発中であります。

(2) 前連結会計年度に引き続き、半導体シリコンウエーハ用32B-DSPのリニューアル機を開発中であります。

(3) 前連結会計年度に引き続き、CNC横型ホブ盤Nシリーズの米国市場向長尺ワーク専用機を開発中であります。

(4) CNC横型ホブ盤高剛性仕様N40HRのDRY対応版を開発中であります。

(5) 金属部品加工用ファイングラインディングマシンのサイズアップ版を開発中であります。

(6) 渦電流定寸装置用リニューアル版ソフトを開発中であります。