当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、顧客第一主義のもと「お客様により良い商品、サービスを提供することにより喜びと満足のある生活に貢献する」ことを経営理念としております。「安全でおいしい商品」、「確実なサービス」をお客様にお届けし、お客様から支持されることによって信頼される企業グループを目指しております。そしてこれらにより利益ある成長を目指して企業価値を高めることが、社会、株主、従業員等すべてのステークホルダーの利益増大につながると認識しております。
(2) 経営戦略等
当社は2020年~2022年3月期3ヵ年中期経営計画の成果と課題を踏まえて、2022年5月13日に2023年~2025年
3月期3ヵ年中期経営計画(以下「3ヵ年中期経営計画」という。)を発表いたしました。
事業を取り巻くリスクの高まりを覚悟する中で、SDGsを強く意識し、当社が食を通じた社会課題解決に貢献する企業であるために、新たな事業領域へ挑戦し、世界基準で社会・環境の重点課題に取り組み、会社の発展を促し、社会の一員として持続可能な社会づくりへの貢献を推進してまいります。
このような中、3ヵ年中期経営計画では、次の4つの基本戦略を掲げ、当社の創業100年を見据え、「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)を届けることで社会の中で信頼され、必要とされ続ける企業グループ」という目指すべき姿の実現に向けて、「将来の成長に向けた礎を築く3年間」と位置づけ、「飽くなき進化」をテーマに部門の垣根を越えた取り組みを行ってまいります。
① 新たなる食文化・食生活の創造
・「既存主力商品」のさらなる成長
・「新たな需要を見据えた商品」の開発
・「新たな事業領域」への挑戦
② 海外展開の深化
・米国・メキシコにおける物量シェアの改善と営業利益率の向上
・ブラジル国内自社生産に向け販路拡大の継続
・インド事業の黒字化に向けた生産・販売の強化
③ 経営基盤の強化
・開発力の強化
・販売経路・方法の見直し
・ガバナンスの整備
・次世代の人材育成
・IT・AIの整備
④ 社会課題・環境への対応
・持続可能な社会の実現と企業価値の向上
(3) 経営環境
当社グループが4つの基本戦略策定にあたり、認識している経営環境は次のとおりであります。
① 新たなる食文化・食生活の創造
当社グループは、マーケティング強化により、新たな事業領域である「健康やわらか食」並びに「魚惣菜冷食」への展開を図っていきます。「健康やわらか食」では高齢化社会、健康志向等の社会課題を解消する新機軸商品で既存事業を一層強化します。「魚惣菜冷食」では水産食品事業と低温食品事業の強みを引き出し、新たな魚食習慣を創出することで次の成長に繋げていきます。様々な社会課題があるなか、グループ力を結集し、新たな価値・商品を創出していくことが企業として必要不可欠と考えております。
② 海外展開の深化
米国・メキシコでの持続的成長に向けた取り組み、今後の成長を目指すブラジル、インドでの取り組みに集中することにより、海外での中長期における着実な成長路線を確立します。米国では販売チャネル別の戦略強化の取り組みを積極化します。新商品の市場投入を進めるとともに、若者世代への浸透を考えたマーケティング活動も強化させます。メキシコではカップ麺のシェアアップは継続した上で、袋麺の販売強化に取り組みます。ブラジルでは現地向けの新商品の開発、若者世代へのプロモーション強化等を通じて、販路拡大に取り組みます。インドではさらなる認知度アップを目指し、高付加価値商品の投入等を通じて、生産・販売の強化に取り組みます。
③ 経営基盤の強化
「食」の事業を通じた「5つの笑顔」を実現するために、これまでの強みを土台に、開発力、営業力の強化、ガバナンスの整備、人材育成と最先端の機械設備を常に意識した経営基盤の強化に取り組みます。「これからの時代」に適合した企業経営基盤の構築が企業として必要不可欠と考えております。
④ 社会課題・環境への対応
持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すことが必要不可欠と認識し、気候変動への対応等、社会課題・環境に対して重点課題を定め、中長期の目標を設定し、課題の解決に取り組みます。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは3ヵ年中期経営計画の目標達成に向けて、基本戦略として掲げた施策に着実に取り組むとともに、消費者の変化、取引先の変化、事業を取巻く環境の変化にしっかりと対応し、当社グループの中長期ビジョンである「5つの笑顔」をお届けできる会社を目指して、一層の成長を目指してまいります。
なお、4つの基本戦略に基づいたセグメント別の取り組みは次のとおりであります。
① 水産食品事業
・簡便、個食、健康等の価値を付与した商品の強化による魚離れの原因解消
・国内、海外工場の再編により、競争力の高い商品を供給する仕組みの構築
・仕入、製造・加工、物流、販売の見直しによる資産(在庫)の効率化
② 海外即席麺事業
・世代別、エリア別に、消費者・小売・競合の状況を踏まえた拡販によるシェア取り戻し
・労働者確保、生産体制の再考により製造数量増、物流費・動力費の上昇抑制を図る
・ノンフライ麺等、健康意識への高まりや環境に配慮した商品の提案等新カテゴリー発掘
③ 国内即席麺事業
・既存主力商品(「赤いきつねうどん」、「緑のたぬき天そば」、「麺づくり」等)のさらなる強化
・価値訴求型商品(「マルちゃんZUBAAAN!」等)の育成と開発推進
④ 低温食品事業
・既存主力商品(「マルちゃん焼そば3人前」)の商品・販売施策強化によるさらなる成長
・価値訴求型商品の育成
・簡便商品・健康訴求商品(「パリパリ無限シリーズ」)の強化
・冷凍麺・冷凍食品の市場拡大への対応
⑤ 加工食品事業
・備蓄需要等、商品特性を最大限に活かした、商品企画・販売施策の実行による売上の拡大
・たんぱく質強化等、健康カテゴリーの強化
・具材の開発等、他部門との連携強化
・原料価格上昇への対応や、生産の効率化等、収益基盤の安定化に向けた取り組みの推進
⑥ 冷蔵事業
・食品を中心とした取扱いの拡大とともに食品以外の取扱い拡大にも挑戦
・働きやすい、利用しやすい冷蔵倉庫の環境整備を目指し、効率化や省力化への取り組みを推進
・持続可能な事業として、環境負荷低減となるフロン冷媒設備の更新に関する取り組みを推進
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益であります。
3ヵ年中期経営計画の最終年度である2025年3月期において、当初は売上高430,000百万円、営業利益42,000百万円を目標としておりましたが、海外即席麺事業が牽引し、売上高、営業利益ともに、当初の目標を上回るペースで達成いたしました。つきましては、当初の目標を見直し、国内事業の3ヵ年目標の達成、海外事業のさらなる成長により、売上高510,000百万円、営業利益72,000百万円を目指します。
セグメント別の売上高及び営業利益の目標は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
営業利益(百万円) |
水産食品事業 |
29,700 |
500 |
海外即席麺事業 |
235,000 |
51,500 |
国内即席麺事業 |
103,500 |
10,000 |
低温食品事業 |
58,500 |
7,500 |
加工食品事業 |
21,000 |
500 |
冷蔵事業 |
24,300 |
2,000 |
その他 |
38,000 |
900 |
調整額 |
- |
△900 |
合計 |
510,000 |
72,000 |
(6) 3ヵ年中期経営計画の達成状況
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
(7) 2025年3月期の取り組み
2025年3月期につきましては、コストアップの影響の継続が見込まれますが、当社の創業100年を見据え、「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)を届けることで社会の中で信頼され、必要とされ続ける企業グループ」という目指すべき姿の実現に向けて、「将来の成長に向けた礎を築く3年間」と位置づけ、「飽くなき進化」をテーマに部門の垣根を越えた取り組みを行ってまいります。
なお、2025年3月期における取り組みは次のとおりであります。
① 新たなる食文化・食生活の創造
・主力商品の商品企画と販売企画をさらに強化いたします。
・単身世帯の増加・時短簡便需要の拡大等により、今後も伸長すると考えられる「トレー米飯」、「フリーズドライスープ」の商品企画と販売を強化いたします。
・即席麺・生麺・冷凍麺で展開している「焼そば」において、「焼そばはマルちゃん」企画を展開し、さらなる需要を喚起いたします。
・年々厳しくなる夏の酷暑への対応として、水でほぐすだけで簡単に調理のできる「つるやか」シリーズの販売を強化いたします。
② 海外展開の深化
・米国において、新規顧客層の開拓や、世代別のマーケティングを継続し、主力商品の需要増加への対応を強化いたします。
・米国において、高価格帯商品の拡売への取り組みを継続するとともに、新機軸商品の展開を促進し、さらなる上乗せを図ります。
・メキシコにおいて、マルチャンの品質・簡便性・価格優位性を活用し、主力商品であるカップ麺のさらなる定着を目指します。
・メキシコにおいて、袋麺を第2の柱とするため、販売の強化を継続いたします。
③ 経営基盤の強化
・東洋水産グループの経営基盤の強化を支えるため、引き続き設備投資を行います。
なお、主な設備投資の予定につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載のとおりであります。
④ 社会課題・環境への対応
・TCFDの枠組みに沿った開示に向けたシナリオ分析の実施や、SCOPE 1・2・3 の数値把握等を行い、非財務情報の開示を強化いたします。
・国内において、包装資材に使用するプラスチック量のさらなる削減を目指します。
・メキシコにおいて、環境への配慮の取り組みとして、発泡カップから紙カップへの切り替えを順次開始いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
東洋水産グループは、「やる気と誠意」の精神を基本とし、「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」のスローガンのもと、ステークホルダーの皆さまが笑顔になれるよう、商品・サービスを継続的に改善いたします。また、サプライチェーン全体で自然環境や資源の保護に配慮し、持続可能な社会の実現に向け取り組みます。
(1)ガバナンス
東洋水産グループの持続的な成長と持続可能な社会の実現には、「食」の事業を通じた「5つの笑顔(お客様、社会、次世代、地球、社員)」の実現とSDGsへの貢献が必要不可欠と考えております。
これらの実現のため、東洋水産グループでは、サステナビリティに関する事柄について、該当する部署の担当取締役が適宜把握及びチェックできる体制を整備しております。そして、代表取締役が全体を統括する体制を構築することで、的確迅速な企業意思の決定ができるよう取り組んでおります。
(2)戦略
① 持続可能な社会の実現を目指し、全ての業務分野で、CO2等の温室効果ガスや廃棄物の削減、水使用量の削減
や水質の適切な管理、省エネ・省資源等を通じて環境負荷の低減に努めるとともに、環境に配慮した商品・サービスの提供や、生物多様性の保全を推進します。
② 人材育成の強化を図るため、社員一人ひとりがチャレンジ精神とコンプライアンス意識をもって行動できるよ
う人材育成に取り組みます。
③ 全ての社員が能力を発揮し、いきいきと活躍できる環境を醸成するため、ダイバーシティの推進に取り組みま
す。
(3)リスク管理
東洋水産グループのリスク管理については、当社グループの事業継続や安定的発展を目的に、各部にて業務執行
におけるリスクを洗い出し、自部門に内在するリスクの把握・分析・評価を行い、適切な対策を検討し、対応して
おります。また、定期的に監査を行い、当社グループにおけるリスク管理の状況を把握し、経営層に逐次報告して
おります。
① 持続可能な調達を実現するため、東洋水産グループでは、社会的責任を果たすべく環境・社会・人権等に配慮
した持続可能な資材の調達を推進しております。主として、パーム油の調達に関する方針の遵守、水産エコラベルへの取り組み、グリーン購入の推進等を行っております。
また、環境対応の推進を促すため、東洋水産グループでは、事業活動による環境負荷の低減に考慮した取り組
みの推進等、環境を保全するための取り組みを実施しております。主として、地球温暖化対策、生物多様性及び水資源の保全、産業廃棄物の削減・管理、食品ロス削減等を行っております。
② 人材育成について、企業が業績を上げ、維持、発展していくためには、社員の成長が欠かせません。東洋水産
グループにおいて社員教育は重要な経営課題と捉え、社員の成長を支援する制度を整えております。
社員の成長を図る上で重要なのは、一人ひとりが自発的に成長していきたいという気持ちを生み出すことだと
考えております。職場での職務遂行を通じて業務に必要な知識や経験、企業文化、組織マインドを育む「OJT」や、組織上の役割・期待に応じて求められる能力や意識の向上を図る「集合型研修・勉強会」を通じ、学びの意識を高めております。そして成長意欲の高い社員の能力開発を支援し、将来の東洋水産グループを担う人材の育成に取り組んでおります。
③ ダイバーシティの推進について、東洋水産グループでは、社員一人ひとりの違いを尊重し、多様な考えや経験
を活かすことが持続的な会社の成長に重要であると考えております。ダイバーシティ推進を重要な経営戦略と捉え、2016年には、ダイバーシティ推進に関する担当部署を設置しております。今後も「東洋水産グループのダイバーシティに関する基本方針」に基づき、様々な施策に取り組んでまいります。
なお、当社グループは事業活動による環境負荷低減を考慮した取り組みの一環として地球温暖化対策をさらに促進するべく、金融安定理事会(FSB)により設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が公表したTCFD提言に記載されているフレームワークに沿った気候変動による移行リスク、物理リスク、そして機会の検討に取り組み始めております。
検討するリスクシナリオとして既存の政策と規制のまま推移する世界である4℃シナリオ(2100年の温度上昇が4℃と想定)、2100年の温度上昇を1.5℃以下に抑制する1.5℃シナリオ(2050年以前にネットゼロを達成する世界)という2つの外部シナリオを想定し、当社グループの事業として重要な位置づけにある国内即席麺事業及び低温食品事業を対象に2030年における移行リスク、物理リスク及び機会の検討を進めており、主要なリスクと機会として下記のようなものを特定しております。
移行リスク
・カーボンプライシングによる調達・製造・物流に関わるコストの増加
・GHG排出削減対策としての再生可能エネルギー調達やカーボンクレジット購入等のコストの発生
・省エネルギー設備投資の増加
・気象災害の激甚化による小麦等農作物の価格高騰
・気候変動対応の遅れによる売上等への影響
物理リスク
・気象災害の激甚化によるサプライチェーンへの影響
・気象災害の激甚化による工場の停止及び製品供給の停止の影響
機会
・脱プラスチックやCO2削減に貢献する環境配慮型の商品開発
・積極的なGHG排出削減対策によるコストの低減
現在、特定されたリスクと機会に対するシナリオの策定に取り組んでおります。今後は、策定されたシナリオの財務影響分析を行い、その結果を整理し、情報開示へ向けた検討を進めると同時に対象事業の拡大にも取り組んでいく予定でおります。
(4)指標及び目標
① 持続可能な社会の実現を目指し、東洋水産グループでは、「2030年度東洋水産グループ環境目標」を設定して
おり、2023年度における実績は下記のとおりであります。
2030年度東洋水産グループ環境目標
|
2030年度目標 |
2023年度実績 |
CO2排出量(原単位) |
20%削減 |
21.2%削減 |
産業廃棄物(原単位) |
15%削減 |
23.9%削減 |
産業廃棄物の再資源化率 |
99.5%以上の維持 |
99.9% |
フロン漏洩量(CO2換算) |
85%削減 |
56.3%削減 |
水使用量(原単位) |
10%削減 |
18.1%削減 |
認証パーム油への代替 |
100% |
83.0% |
主要取扱魚種(魚卵・鮭鱒・海老)のMSC等漁業認証原料取扱い |
70% |
78.2% |
※ 対象は国内グループ全体(ただし、認証パーム油への代替目標は国内外グループ全体)
※ 原単位は国内連結売上高を基準として算出
※ 基準年度は2018年度
※ CO2排出量算出の根拠
電力 :電気事業連合会2009年度実績に基づく使用端CO2排出原単位(0.351㎏-CO2/kWh)を使用
電力以外:温対法の換算係数を使用
使用冷媒:環境省「フロン類算定漏えい量の算定・報告に用いる冷媒種類別GWP一覧」を使用
(2009年度は2010年3月期、2018年度は2019年3月期、2023年度は2024年3月期、2030年度は2031年3月期)
② 人材育成の強化を図るため、下記のとおり各年代別の教育制度を構築、実施しております。
③ ダイバーシティの推進を図るため、2023年4月から2026年3月までの3年間において目標を設定しておりま
す。なお、目標と実績は下記のとおりであります。
|
2023年度実績 |
(1) |
|
(2) |
|
(3) |
|
(2023年度は2024年3月期、2025年度は2026年3月期)
また、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 短期・中期の視点から経営戦略・経営成績等に影響を与える可能性のある重要なリスク
① 経済状況
当社グループは、加工食品を中心とした食品製造販売業を営んでおります。そのため、家畜伝染病、残留農薬問題等の食品に係る諸問題の発生が、輸入量の減少、仕入価格の高騰、消費の低迷等を引き起こし売上高等に影響を与える可能性があります。当社グループは消費者の不信を取り除き、安心して購入していただけるようにISOの認証取得及び製品情報管理システムの構築等を積極的に推進するとともに、より一層の原材料等の管理体制の強化を図っておりますが、自然又は人為的な諸問題により影響を受ける可能性があります。
また、食品業界全体が、依然として商品単価の変動が続き、販売競争がますます厳しくなっております。このような厳しい販売競争に対応するために、当社グループは、生産・物流体制の再構築を進め、より一層のコスト削減並びに積極的な営業活動を推進しておりますが、所得の伸び悩み等から消費者心理の低迷等消費動向に影響を受ける可能性があります。
② 為替レートの変動
当社グループは、米州に連結子会社があり、特に米国のマルチャン,INC.及びメキシコのマルチャン デ メヒコ,S.A. de C.V.は連結売上高に占める割合が10%を超える重要な連結子会社であります。また、水産食品事業においては海外の連結子会社をはじめ輸出入取引を行っております。
このような中、輸出入取引においては為替レートの変動によるリスクをヘッジすることを目的として、為替予約等を行い為替の変動による影響を最小限にしております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合には当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは連結財務諸表作成のため連結決算日の直物為替相場により円貨に換算しており、期初に想定した為替レートに対する変動が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
③ 市場環境
当社グループの事業の中心となっている国内即席麺事業等において、特に即席麺類の分野では業界全体で年間何百種類という新商品が発売されており、商品サイクルが非常に短い状況となっております。このような状況下で、当社グループにおいても消費者の健康志向の高まり等消費者ニーズにあった商品開発に注力しております。
当社グループが業界や消費者ニーズの変化を十分に予測できず、消費者に受け入れられる魅力ある新商品の開発ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させる可能性があります。
④ 販売価格
当社グループの国内即席麺事業等においては、末端の小売価格の変動に伴い、当社グループの卸売価格が影響を受けることがあります。また、各分野におけるシェアの確保等販売競争の厳しさが増す中で、値引リベート、特売費等の販売促進費が増加し、収益を圧迫する要因となっております。既存競合先間の提携等により市場におけるシェアが大きく変動するようなことが起これば、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、原材料価格や動力費等の上昇を補うため、価格改定を行うことがあり、その反動として販売数量が減少する可能性があります。
当社グループの水産食品事業は、漁獲量等により市場価格が変動し、これが販売価格にも影響を与え、これにより当社グループの収益に影響を与える可能性があります。また、国内即席麺事業等の一部の原材料(小麦粉等)や加工食品事業に含まれる米飯事業の米価も同様に収穫高等による市場価格の変動の影響を受け、これが製造コストに影響し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤ 製品事故
当社グループは、ISOの認証取得、製品情報管理システムの構築、トレサビリティ管理等安全な食品作りに積極的に取り組んでおりますが、原材料の腐敗や農薬等の問題、製造工程での異物の混入、アレルゲン問題、流通段階での破袋等によるカビの発生等、製品事故が発生する可能性があります。当社グループにおいてもこれらの製品事故を未然に防ぐための設備の充実、管理体制の強化等を図っておりますが、製品事故が発生する可能性があります。そのため製造物責任賠償保険等にも加入しております。
万が一製造物責任賠償につながるような大規模な製品事故が発生した場合には、製品回収等多額のコストの発生や当社グループの評価に影響を与え、それによる売上高の減少等当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑥ 天候及び自然災害等の影響
当社グループの販売する製品には猛暑、冷夏、暖冬等の天候により売上高に影響を受けるものがあります。また、製造拠点における大規模な地震や台風等の自然災害により生産設備に損害を被った場合、並びに、それらに起因する電力供給量の低下等のインフラ使用制限等の影響を受けた場合、操業中断による製造能力低下に伴う売上高の減少、設備の修復費用の増加等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑦ 情報システム
当社グループでは適切なシステム管理体制をとっております。当社グループではコンピュータウイルス対策や情報管理の徹底を進めておりますが、予測不能のウイルスの侵入、情報システムへの不正アクセス及び運用上のトラブル等により情報システムに障害が発生する可能性があります。その場合、顧客対応に支障をきたし、それに伴う費用発生等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(2) 中期・長期の視点から経営戦略・経営成績等に影響を与える可能性のあるリスク
① 製品の海外での委託製造
当社グループの水産食品及び冷凍食品類の一部の製品において、海外の会社に製造を委託し、製品を仕入れております。その際に各製造委託会社が所在する国により、食品衛生等に関する法的基準の相違、食品衛生に対する意識の違いから、日本における食品衛生等の法的基準に適合しない農薬等の薬品使用等による製品事故が発生する可能性があります。また、当社グループにおいてもこれらを未然に防ぐために日本の基準の教育・指導の徹底、現地での立会い及び製品検査等の強化を図っておりますが、製品事故が発生する可能性があります。
日本の食品衛生等に関する法的基準に適合しない製品が発生した場合には、製品回収及び廃棄処理等の多額の費用の発生や当社グループの評価に影響を与え、それによる将来の売上高減少等当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 公的規制
当社グループは各事業活動において食品衛生、食品規格、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、環境、リサイクル関連等の法規制の適用を受けており、当社グループはこれらの規制を遵守しております。不測の事態でこれらの規制を遵守することが出来なかった場合、事業活動が制限される可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から緩やかに回復する状況にありました。先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されますが、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
このような状況の中、当社グループは「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」という企業スローガンの下で「食を通じて社会に貢献する」、「お客様に安全で安心な食品とサービスを提供する」ことを責務と考え取り組むとともに、厳しい販売競争に対応するため、より一層のコスト削減並びに積極的な営業活動を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は489,013百万円(前年同期比12.2%増)、営業利益は66,696百万円(前年同期比65.4%増)、経常利益は74,889百万円(前年同期比71.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は55,653百万円(前年同期比68.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度の為替換算レートは151.33円/米ドル(前連結会計年度は133.54円/米ドル)であります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 水産食品事業
水産食品事業は、コンビニエンスストアの来店客数や業務用・外食用食材の需要回復から販売が伸長したことや、ふるさと納税返礼品の納入があったこと等から増収となりました。その結果、売上高は29,562百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は、コンビニエンスストアの来店客数増加を受けた中食具材等の増収や原材料価格が下落した商材によるコストダウンの効果により400百万円(前年同期比769.0%増)となりました。
② 海外即席麺事業
海外即席麺事業は、米国では第1四半期連結会計期間に発生した一部得意先の在庫調整による影響はあったものの、7月以降の受注数量は、主力商品の「Instant Lunch」シリーズ、新商品を発売した「Bowl」シリーズを中心に前期を上回って推移したこと、メキシコでは主力商品のカップ麺、袋麺ともに好調に推移したこと、及び2022年10月に米国、メキシコで実施した価格改定による販売単価の上昇により増収となりました。その結果、売上高は221,229百万円(前年同期比24.0%増)、セグメント利益は、人件費の増加はあったものの、売上高の増加、原材料費の減少等によりカバーし、46,318百万円(前年同期比77.4%増)となりました。
③ 国内即席麺事業
国内即席麺事業は、6月に実施した価格改定により数量は影響を受けましたが、金額については改定後の価格が浸透したこともあり、堅調に推移いたしました。カップ麺では主力商品の「赤いきつねうどん」の45周年記念商品等和風麺全体で多くの施策を行ったことに加え、「ごつ盛り」シリーズや、「麺之助」シリーズ等も好調に推移したことで増収となりました。袋麺では「マルちゃん正麺」シリーズ等、堅調に推移したブランドもありましたが、「マルちゃんZUBAAAN!」シリーズ等が苦戦したことで減収となりました。その結果、売上高は100,093百万円(前年同期比2.5%増)、セグメント利益は、人件費等の増加はあったものの、販売促進費や動力費等の減少により9,703百万円(前年同期比44.7%増)となりました。
④ 低温食品事業
低温食品事業は、主力商品の積極的な拡売と新商品の発売により好調に推移いたしました。生麺では2年連続で価格改定を実施し、主力商品の「マルちゃん焼そば3人前」シリーズは需要期の春夏期に企画性の高い商品施策を行い、拡充を図りました。また、春夏期は簡便需要に対応した「つるやか」シリーズが大幅に伸長し、秋冬期は「マルちゃんの生ラーメン3人前」シリーズや、「北海道産小麦玉うどん3食入り」シリーズのラインナップを拡充し、売上増加に寄与いたしました。冷凍麺も2年連続の価格改定となりましたが、産業給食や外食・行楽関係の需要が回復し、業務用商品が伸長いたしました。その結果、売上高は56,878百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント利益は、原材料費や製造経費の増加はあったものの、価格改定効果と売上の拡大により7,430百万円(前年同期比46.8%増)となりました。
⑤ 加工食品事業
加工食品事業は、魚肉ハム・ソーセージ商品、米飯商品等が堅調に推移いたしましたが、フリーズドライ商品等が苦戦いたしました。米飯商品では価格改定等の影響もあり、低調な時期はあったものの、年間では増収となりました。フリーズドライ商品では価格改定や猛暑、液卵不足問題等の影響により販売が落ち込み減収となりました。その結果、売上高は20,155百万円(前年同期比0.9%減)、セグメント利益は、人件費等の増加はあったものの、動力費等の減少により742百万円(前年同期比499.1%増)となりました。
⑥ 冷蔵事業
冷蔵事業は、物価上昇や円安の影響等により、原材料を中心とした輸入品は低調な荷動きとなりましたが、安定した保管在庫の確保と国内における製造品の取扱いが堅調だったことで、関連する配送や付帯作業等が増加したことにより増収となりました。その結果、売上高は23,996百万円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益は、物価上昇による人件費や補修費等の増加の影響はあったものの、配送収入等の増加により2,282百万円(前年同期比23.3%増)となりました。
⑦ その他
その他は、主に弁当・惣菜事業であります。売上高は37,096百万円(前年同期比5.4%増)、セグメント利益は418百万円(前年同期比35.8%減)となりました。
また、当連結会計年度における経営成績の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 為替変動の影響
前連結会計年度からの為替レートの変動により、当連結会計年度の売上高は26,006百万円の増加、営業利益は4,988百万円の増加と試算されます。ただし、この試算は、当連結会計年度の外貨建の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費を前連結会計年度末の直物為替相場により円貨に換算して算出したものであり、為替変動に対応した販売価格の変更の影響は考慮されておりません。
② 売上高
連結売上高は、前連結会計年度に比べ12.2%増収の489,013百万円となりました。これは主に、海外即席麺事業が増収となったことによるものであります。
③ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、原材料価格及び人件費が上昇してきたことにより、前連結会計年度に比べ6.5%増加し、348,909百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、運送費及び保管費が増加したこと等から前連結会計年度に比べ8.4%増加し、73,407百万円となりました。
④ 営業利益
営業利益は、上記のとおり、主に海外即席麺事業が増収となった結果、前連結会計年度に比べ65.4%増益の66,696百万円となりました。
⑤ 営業外損益
営業外収益は、受取利息が増加したこと等から前連結会計年度に比べ118.3%増加し、8,739百万円となりました。
営業外費用は、為替差損がなくなったこと等から前連結会計年度に比べ10.2%減少し、545百万円となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益が生じたこと等から前連結会計年度に比べ39.0%増加し、372百万円となりました。
特別損失は、減損損失が増加したこと等から前連結会計年度に比べ360.5%増加し、2,053百万円となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ68.0%増益の55,653百万円となりました。
これにより、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の324.36円に対し、当連結会計年度は544.95円となりました。
(2) 財政状態の状況
当社グループの当連結会計年度末における総資産は570,994百万円で、前連結会計年度末に比べ73,911百万円(14.9%)増加しました。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 流動資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べ77,467百万円(27.2%)増加し、362,544百万円となりました。これは主に、現金及び預金が65,693百万円増加したことによるものであります。
② 固定資産
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,555百万円(1.7%)減少し、208,450百万円となりました。これは主に、建設仮勘定が9,391百万円、投資有価証券が7,441百万円増加しましたが、長期預金が18,000百万円減少したことによるものであります。
③ 流動負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べ5,197百万円(8.0%)増加し、69,846百万円となりました。これは主に、未払法人税等が2,246百万円、未払費用が1,230百万円増加したことによるものであります。
④ 固定負債
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,069百万円(3.9%)減少し、26,614百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が3,241百万円増加しましたが、退職給付に係る負債が4,381百万円減少したことによるものであります。
⑤ 純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ69,783百万円(17.2%)増加し、474,534百万円となりました。これは主に、利益剰余金が43,398百万円、為替換算調整勘定が18,727百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ4,499百万円増加し、42,066百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ28,465百万円増加し、70,497百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ28,534百万円増加し、53,739百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が増加したことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ3,094百万円増加し、12,714百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が増加したことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
水産食品事業 |
11,878 |
98.6 |
海外即席麺事業 |
185,895 |
128.3 |
国内即席麺事業 |
111,706 |
99.0 |
低温食品事業 |
56,598 |
111.0 |
加工食品事業 |
28,277 |
99.5 |
その他 |
35,562 |
107.2 |
合計 |
429,919 |
112.4 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
その他 |
30,282 |
103.7 |
- |
- |
合計 |
30,282 |
103.7 |
- |
- |
(注)1 当社製品は主として見込生産によって製造されております。
2 受注生産を行っている主な連結子会社は、㈱フレッシュダイナー、ミツワデイリー㈱、㈱シマヤであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
水産食品事業 |
29,562 |
103.6 |
海外即席麺事業 |
221,229 |
124.0 |
国内即席麺事業 |
100,093 |
102.5 |
低温食品事業 |
56,878 |
107.6 |
加工食品事業 |
20,155 |
99.1 |
冷蔵事業 |
23,996 |
104.8 |
その他 |
37,096 |
105.4 |
合計 |
489,013 |
112.2 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
三井物産㈱ |
119,537 |
27.4 |
123,978 |
25.4 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を売上高、営業利益としており、3ヵ年中期経営計画の最終年度である2025年3月期において、売上高510,000百万円、営業利益72,000百万円を目指しております。
3ヵ年中期経営計画の2年目である2024年3月期の達成状況は次のとおりであります。
売上高は計画比23,013百万円増の489,013百万円、営業利益は計画比16,696百万円増の66,696百万円となりました。売上高、営業利益ともに海外即席麺事業が牽引し、過去最高の売上高、営業利益を達成いたしました。
また、3ヵ年中期経営計画の当連結会計年度における達成状況をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
① 売上高
セグメントの名称 |
2024年3月期計画(百万円) |
2024年3月期実績(百万円) |
2024年3月期計画比(百万円) |
水産食品事業 |
29,800 |
29,562 |
△237 |
海外即席麺事業 |
199,500 |
221,229 |
21,729 |
国内即席麺事業 |
100,000 |
100,093 |
93 |
低温食品事業 |
54,700 |
56,878 |
2,178 |
加工食品事業 |
21,900 |
20,155 |
△1,744 |
冷蔵事業 |
23,800 |
23,996 |
196 |
その他 |
36,300 |
37,096 |
796 |
合計 |
466,000 |
489,013 |
23,013 |
② 営業利益
セグメントの名称 |
2024年3月期計画(百万円) |
2024年3月期実績(百万円) |
2024年3月期計画比(百万円) |
水産食品事業 |
200 |
400 |
200 |
海外即席麺事業 |
33,200 |
46,318 |
13,118 |
国内即席麺事業 |
8,000 |
9,703 |
1,703 |
低温食品事業 |
6,500 |
7,430 |
930 |
加工食品事業 |
300 |
742 |
442 |
冷蔵事業 |
1,800 |
2,282 |
482 |
その他 |
600 |
418 |
△181 |
調整額 |
△600 |
△600 |
△0 |
合計 |
50,000 |
66,696 |
16,696 |
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、3ヵ年中期経営計画において、3ヵ年合計で約30,000百万円以上の株主還元、約30,000百万円の更新投資、約50,000百万円以上の成長投資、約10,000百万円の経営基盤強化投資等を予定しております。その所要資金については、3ヵ年合計で120,000百万円を計画している営業キャッシュ・フロー等の自己資金を充当する予定であります。
なお、セグメント別の成長投資の考え方は次のとおりであります。
① 水産食品事業
既存主力商品のさらなる強化を見据えた投資を引き続き行います。
② 海外即席麺事業
生産体制を強化し、需要増加に応じた製造数量の増加と物流効率化を図るため、工場拡大を視野に入れた投資を行います。
③ 国内即席麺事業
既存主力商品のさらなる強化を見据えた投資を引き続き行います。
④ 低温食品事業
生麺の西日本拠点の整備を目的とした投資を行います。
⑤ 加工食品事業
主にフリーズドライ商品の供給能力向上を目的とした投資を行います。
⑥ 冷蔵事業
主に環境に配慮した自然冷媒への切り替えを目的とした投資を行います。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、総合研究所が中心となりグループ各社の研究開発部門と連携し、水産食品、即席麺、低温食品、加工食品等多様な商品の開発を行っております。
研究開発におきましては、「Smiles for All.」というスローガンに基づき、安心・安全を第一においしさの探求はもちろん、昨今の、内食需要の高まり・働き方の変化・持続可能な社会の実現といった社会的要請に対し、簡便・個食・時短等を追求した商品や環境へ配慮した商品の研究・開発に取り組みました。また、将来を見据えた新たな価値の創造のための基礎研究開発や社会的課題の解決・環境保全への取り組みを進めました。
研究開発活動の主な内容は、次のとおりであります。
水産食品事業は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向け鮭フレークやたらこ、いくら等の業務用水産食品の開発のほか、“魚を手軽に”をコンセプトにした市販用冷凍魚惣菜「Choi Fish」ブランドで新たに「Choi Fish白身魚のガーリックソース」を発売し、シリーズの品揃えを7品とし、シリーズの拡充を図りました。
海外即席麺事業は、主力商品である即席麺において、「WONTON RAMEN」を発売し、高付加価値商品の拡充を図り、新しいカテゴリーとして「RICE BOWL」を発売し、新しい消費者開拓に取り組みました。
国内即席麺事業は、2023年8月で発売45周年を迎えた「赤いきつねうどん」において、期間限定記念商品として15%麺増量品、及び各エリアの嗜好に合わせてだしや味わいを変えている4つの味を一度に楽しめる「全国味くらべパック4食入り」を発売し、お客様のニーズへの対応とブランド全体の底上げを図りました。また、アジア各国の現地の人に親しまれている料理を再現したカップ麺を開発し、アジア系カップ麺市場への新たな取り組みとして、「プロウンミー」、「シェントゥジャン拉麺」、「バミーヌアトゥン」を発売いたしました。さらに、独自技術により簡便性と従来の即席麺には無かった本格感が味わえる袋麺「マルちゃんZUBAAAN!」シリーズに、ラーメンでの食べ方とともに、つけ麺でも食べられる『二刀流』仕様の「豚骨魚介中華そば」をラインナップに加え、ブランドの強化を図りました。
低温食品事業は、健康に配慮した商品として和風麺カテゴリーの「北海道産小麦の玉うどん 塩分0」、「そば3食入」や「麺上手 粗挽きそば2食入」を“塩分0”仕様としてリニューアル発売いたしました。食品ロス削減にもつながる賞味期限延長に取り組み、発売40周年の「焼うどん」シリーズを15日間から21日間へ、2食焼そば「至福の食卓」シリーズの「お好みソース味(太麺)」と「丸鶏うま塩味(平打ち麺)」を21日間としてリニューアル発売いたしました。また、環境に配慮した商品として、火や電気を使わずに調理できる「つるやか」シリーズ5品を全てリニューアル発売いたしました。各々の麺質の改良とともに、冷し中華については包装形態を見直すことでプラスチック使用量を削減いたしました。秋冬期では生ラーメンブランド購買ナンバーワンの「マルちゃんの生ラーメン」シリーズに新たに“茹でこぼし不要の簡便調理仕様”の「チャンポン3人前」を加え、2食生ラーメンではその技術を用いた新ブランド「札幌の味」シリーズを発売いたしました。
加工食品事業は、昨今の食に対する需要の変化やニーズに応えるため、加工食品の利便性や簡便性、常温での長期保存性を活かした商品開発を継続しております。米飯商品では「食感」に嗜好性があることに着目し、使用する原料米にもこだわった「あったかごはん やわらかめ炊き」、「あったかごはん かため炊き」を発売いたしました。
フリーズドライ商品では「素材のチカラ」シリーズに新商品「揚げなすスープ」、東京家政大学との産学連携プロジェクト商品「カラダほころぶ 豆乳と酒粕のスープ」等を発売し、様々な嗜好にあわせたラインナップの拡充を図りました。魚肉ハム・ソーセージ商品では健康嗜好やニーズにより選択できるよう「フィッシュ&チキンスティック鉄分プラス」、「やわらかソーセージ」を発売いたしました。
なお、上記以外にも事業の拡大やグローバル化への安全・安心への取り組みとして、国内外の各工場と連携し、製品検査や分析精度の向上・発展に取り組んでおります。また、健康への取り組みとして、各種減塩商品を上市いたしました。さらに、社会課題への取り組みとして、加工原料の再利用の取り組みや食品ロス削減をテーマに東京大学との取り組みを行っております。
当連結会計年度における研究開発費は