文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。こうした記述は、将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を内包するものです。将来の業績は、経営環境の変化などにより、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)経営環境
当社グループは、これまで社会が変化するタイミングで、投資・事業開発を積極的に進めてまいりました。当社の事業セグメントは、エネルギー事業、レジリエンス事業、メディカル事業及びその他事業となっております。
当社が電力小売業を展開するエネルギー事業の分野においては、ウクライナ情勢の長期化や、中東情勢の悪化に伴う資源価格の上昇、世界的な金融引き締めに伴う為替市場への影響など、エネルギー事業分野の経営環境の先行きは引き続き不透明な状況が続いております。
また、将来にわたって日本全体の電力供給力(kW)を確保する目的で創設された容量市場は、需要家や発電事業者だけでなく、当社のような小売電気事業者にとってもメリットがある制度であるものの、容量拠出金の拠出額水準によっては経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(以下、「エネルギー供給構造高度化法」といいます。)は、一定規模以上の小売電気事業者に対して販売量に応じた非化石証書の調達義務を課しており、具体的には、2030年には、供給電力の非化石電源比率44%以上という目標が定められ、目標達成の確度を高めるために、国は毎年事業者ごとに中間目標を設定しております。再生可能エネルギーによる自社電源を有していない当社にとっては、今後、非化石証書の調達が過大な負担となることも考えられます。
(2)経営の基本方針
当社グループは、社会に新たな価値を創造し提供することを目指し、社会が変化するタイミングで生じる課題を事業を通じて解決することをモットーとし、エネルギー事業、レジリエンス事業及びメディカル事業を推進しております。
すべてのステークホルダーから信頼され期待される存在であるために、「適切な収益を確保し持続的な成長を実現することで企業価値の向上を図ること」、「コーポレート・ガバナンスの強化に努め透明かつ公正な経営を実行すること」を経営の基本方針としております。
(3)経営戦略
当社グループは、今後さらに当社グループを発展させていくためには、各事業が独自に成長戦略を描き、他社との業務提携や資本提携等を含めてスピード感をもって新たな取り組みを推進し、自立的に強化・拡大していくことが必須であると考えております。また、M&A等、既存事業と親和性の高い事業領域や新たな事業機会が創出される分野への投資や、人材確保等を通じた組織力の強化によって、当社グループの更なる収益規模拡大に向けた機動的戦略の実行を図ってまいります。
(4)中長期的な経営戦略
当社グループはこれまで、中期経営計画の策定・公表を行ってこなかったものの、社会に新たな価値を創造し提供することを目指し、積極的な投資・事業開発を進めてまいりました。今後も社会が変化するタイミングで生じる課題を、事業を通じて解決してまいります。中長期的なグループ成長シナリオとして、現在展開する事業セグメントにおける具体的な施策は以下のとおりです。
(5)対処すべき課題
① エネルギー事業における課題
中長期的には、2050年カーボンニュートラル達成に向けての電源の低炭素化推進、再生可能エネルギー発電の活用や環境価値の高い電力供給プランなどがありますが、短期的には、事業利益が、変動する電力調達価額や2025年3月期より始まる容量拠出金の拠出額に左右されぬよう、需要家に価格変動リスクを適切に転嫁する商品ごとの設計や電力調達の仕組みの構築があげられます。また、エネルギー供給構造高度化法で電気事業者に求められている非化石電源比率(中間目標)への対応は必須になります。
② レジリエンス事業における課題
レジリエンス事業は、省エネコンサルティング事業、感染症対策関連事業及び蓄電池事業から構成されております。蓄電池は、代理店を通じて顧客に販売されるBtoB取引が主となります。よって、販路拡大のために蓄電池販売を得意とし販売力のある代理店を獲得することが課題となります。なお、これまで家庭用の蓄電池を主に取り扱ってまいりましたが、今後は小型産業用蓄電池の販売も本格化させてまいります。
省エネコンサルティング事業では、これまでの事業者向けのエネルギー使用合理化・省エネ関連のソリューションに加え、BCP(事業継続計画)対策や家庭における防災・減災対策として、再生可能エネルギー、蓄電池及び発電機の組み合わせなどによる提案を積極的に展開してまいります。省エネルギーや防災・減災といった一部の効用にとどまらず、レジリエンス向上を促すための取り組みを推進してまいります。
③ メディカル事業における課題
メディカル事業は、2023年12月1日付で株式交換により完全子会社化したゼロメディカルにおいて、主に歯科・医科に対する営業支援を目的としたHPの制作及び運用等を行う医療機関向けウェブクリエーション事業のほか、メディア発信等を通しての経営支援、再生医療に関するマーケティング等を行っております。また、福祉関連事業として、放課後等デイサービス、就労継続支援B型事業所及び訪問介護事業所の運営を行っております。
今後は、さらなる収益拡大のため、医科・歯科等医療の領域での新たな収益機会の創出が課題となります。そのために既存顧客をはじめとした、これまでの取引ネットワークを活用し、新規事業の検討を積極的に進めてまいります。
④ 経営環境の変化への機動的な対応、これによる事業機会及び収益の追求
将来にわたる持続的な成長を実現するため、事業規模及び収益の拡大を戦略的に推進する必要があります。当社グループは、市場のニーズやウォンツを的確にとらえ、社会・時代の変化に機動的に対応し、既存事業の強化、派生ビジネスへの取り組み、新しい発想・視点による新規の事業機会の創出をたえず行ってまいります。さらに、事業ポートフォリオを定期的に見直し、収益力及び効率性の向上を推進し、中長期的な成長基盤の確立を図ってまいります。また、成長を加速するために、その時々の経営環境を鑑み、特に、脱炭素を志向する環境意識の高い企業との協業等を含めた他の企業グループとの連携や戦略的な投資を推進してまいります。
⑤ 内部管理体制の拡充ならびにコンプライアンス及びリスクマネジメントの強化
当社グループは、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現することを目的として、2017年12月に策定した「コーポレート・ガバナンス基本方針」(2021年12月一部改訂)において、コンプライアンスの徹底及びリスクマネジメントに対し積極的な取り組みを行う姿勢を明確にいたしました。コーポレート・ガバナンスコードの改訂その他事業環境の変化に応じて、当社グループにふさわしいコーポレート・ガバナンスの実現に努めてまいります。また、引き続き、グループ全体において、継続的な啓発活動及び教育研修を実施し、一人ひとりが高い倫理観を醸成し、良識と責任のある行動をとることのできる企業風土を形成してまいります。
⑥ 優秀な人財の確保・育成
当社グループは、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題への取り組みに際して、事業環境の変化に円滑に対応して社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が必須であると考えております。業容拡大のもと、意欲のある経験値の高い人財を確保するとともに、持続的な成長を支える人財の育成、個々のパフォーマンスの最大化のため、就業環境の整備・改善に注力してまいります。
⑦ ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループでは、これまで複数の国籍の人財を登用してまいりましたが、今まで以上に、グローバル化の推進、個性の尊重、人財の経験・スキルの多様性の向上、信頼関係作りの強化に取り組んでまいります。また、取締役だけではなく、執行役員、部長などの経営幹部への女性登用の拡大を推進してまいります。そのために、多様な個々の従業員が意欲をもって活躍できるための就労環境の整備、職場コミュニケーションの改革、人財育成等の人事・労務施策の実施に努めてまいります。
2050年カーボンニュートラル実現というメガトレンドの中、エネルギー事業やレジリエンス事業を営む当社の役割は、二酸化炭素排出量を抑えた発電による電力の提供、蓄電池の販売拡大や顧客のESG活動を支える省エネコンサルティング等を通じて、サステイナブルな社会に貢献することであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
(1)ガバナンス
取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しています。
エネルギー供給構造高度化法は、一定規模以上の小売電気事業者に対して販売量に応じた非化石証書の調達義務を課しており、具体的には、2030年には、供給電力の非化石電源比率44%という目標が定められ、目標達成の確度を高めるために、国は毎年事業者ごとに中間目標を設定しています。
取締役会は、エネルギー事業の事業責任者より、非化石電源比率目標値の達成状況について報告を受けます
(2)戦略
エネルギー事業やレジリエンス事業を営んでいる当社グループが、持続的に成長することが、最も優れたESG活動だと認識しています。持続的に成長するためには、組織におけるガバナンス強化はもちろんのことですが、多種多様な価値観を受け入れる組織風土を育むことも経営陣の大事な使命であると考えております。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループでは、これまで複数の国籍の人財を登用してまいりましたが、これまで以上に、グローバル化の推進、個性の尊重、人財の経験・スキルの多様性の向上、信頼関係作りの強化に取り組んでまいります。また、取締役だけでなく、執行役員、部長などの経営幹部への女性登用の拡大を推進してまいります。そのために、多様な個々の従業員が意欲をもって活躍できるための就労環境の整備、職場コミュニケーションの改革、人財育成等の人事・労務施策の実施に努めます。
(4)リスク管理
当社グループは、当社グループに関するコンプライアンスリスクについて適正に評価し、その対応策を検討する活動を推進及び統括することを目的として当社内にリスク・コンプライアンス委員会を設置しておりますが、サステナビリティに係るリスクと機会の識別、優先的に対応すべきリスクと機会の絞り込みについても、同委員会所属の委員により行われ、同委員会にて共有されております。重要なリスクと機会については、取締役会へ報告される仕組みをとっております。
(5)指標及び目標
当社グループでは、社員の仕事と子育ての両立や女性が活躍できる職場環境づくりを目的として、各指標に対する目標を設定し取り組んでまいります。
しかしながら、当連結会計年度におきまして当社は関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みを行っているものの、株式会社ゼロメディカルは子会社化後間も無いなどの理由により取組み途上のため、連結グループにおける記載が困難な状況であります。
このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、事業上のリスクとして具体化する可能性が高くないと思われる事項も含め、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下のとおり記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断ならびに当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本有価証券報告書の本項以外の記載事項も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載事項は、当社株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。そのため、以下に記載したリスク以外でも当社の想定を超えたリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中においては将来に関する記載事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、経営環境の変化等により実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業の内容に関するリスクについて
(1)法令・規制等による事業への影響について
当社グループは、新たな事業機会が創出される分野において積極的に事業開発を行っていく方針を有しています。そのため、展開中の事業及び展開を検討中の事業において、法令の新設・改正、規制の見直し・整備等によって、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、現在実施している、エネルギー事業における電力小売事業は、「電気事業法」に基づくものであり、想定外の法令改正、制度変更、法令等の解釈・適用(その変更を含みます)等により、当社グループの期待どおりに事業を展開することができなくなる可能性があります。また、事業の実施に必要な許認可、登録等を取得・維持できない又は取消等を受けるような場合には、事業を実施することができなくなる可能性があります。その他、当社グループが行う事業に固有に適用される法規制のほかに、企業活動に関わる各種法規制(消費者保護、プライバシー保護、人権尊重、労務、公正競争、知的財産権、租税、環境に関する各種法規制を含みますがこれらに限られません)の適用を受けています。当社グループがこれらの法規制に違反する場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関等から登録・許認可の取消や罰金などの処分を受けたり、取引先から契約を解除されたりする可能性があります。その結果、当社グループの社会的信用が低下したり事業展開に支障が生じたりする可能性があります。
(2)顧客基盤について
当社グループは、収益基盤の安定化及び事業規模の拡大を実現するために、既存顧客への売上拡大を図るとともに、新規顧客を意欲的に開拓し獲得することで、顧客基盤を拡大していくことが重要な課題の一つであると認識しています。そのため、製商品・サービスの品質向上、マーケティング・チャネルの有効活用、戦略的パートナーシップの構築・発展、新規事業の開発等に取り組んでまいります。
しかしながら、諸施策が功を奏せず計画が順調に進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競争環境によるリスク
エネルギー事業における電力小売事業は、2016年4月の電力小売全面自由化以降、登録小売電気事業者数は着実に伸び、2023年6月9日現在726事業者となっており、需要家の選択肢も広がり、新電力(電力自由化以降に新規参入した小売電気事業者)による電力供給の割合は2023年1月現在で18.4%(販売電力量ベース)を占めるまで成長しました。そのような環境のもと、電力小売部門における競争は今後も激しくなると考えられますが、2020年度冬季、2021年度冬季と2期連続で卸電力取引市場の取引価格の異常な高騰により、一部の小売電気事業者の経営状況が悪化し、事業停止、事業撤退などがあり、また、新規契約の受付停止などの事態も発生しました。
エネルギー供給構造高度化法は、一定規模以上の小売電気事業者に対して販売量に応じた非化石証書の調達義務を課しており、2030年には、供給電力の非化石電源比率44%以上という目標を定め、さらに、目標達成の確度を高めるために、国は毎年事業者ごとに中間目標を設定しています。再生可能エネルギーによる自社電源を有していない当社にとっては、今後、非化石証書の調達が過大な負担となることも考えられます。また、国全体で必要な供給力(発電量)を確保するための、容量市場における容量拠出金の負担もあり、小売電気事業者が事業を継続するためのコストは今後も増加すると想定されます。また、一般送配電事業者が行う最終保障供給契約件数が減少傾向をしめした場合、需要家獲得の競争が厳しくなることも想定されます。
当社グループは、電力市場の状況・課題に対して適正な利益を実現するための施策を講じてまいる所存ですが、競争環境などの要因により、高騰する電力取引価格並びに非化石証書調達にかかる費用及び容量拠出金を顧客に転嫁できないときは、適正な利益を確保できなくなる可能性があります。
(4)自然災害、不測の事故等について
エネルギー事業における電力小売事業では、気候による電力需給状況の逼迫の発生のほかに、国内外の自然災害、事故、システムトラブルその他の不測の事態が生じることにより、正常な電力供給が行われない、燃料価格の高騰等のため電力調達価格が上昇し電力コストが増加するなど、当社グループの電力小売事業に支障を来たす可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)期間損益の変動について
エネルギー事業における電力小売事業の売上は、需要家の電気使用量の季節変動による影響を受けます。また、電気使用量の変化、発電所の休廃止、その他不測の事態による電力供給量の減少等によって電力需給のバランスが崩れるような場合には、電力調達コストが大きく変動するリスクがあります。気温・湿度・気象・発電コスト等が想定外の範囲で変化した場合には、需給のミスマッチによるインバランス料金等の負担による損失の発生、売上・利益の減少が生じる可能性があります。そのため、当社グループにおいては、需給管理体制の充実、電力調達先の多様化、価格変動リスクのヘッジなどの施策を実施するとともに、電力の調達・需給に関する契約の内容及びバランスを適宜見直し、適正な利益を確保できるように努めてまいります。
レジリエンス事業における省エネコンサルティング事業では、顧客のニーズに合わせた最適なコンサルティングの実施に努め、申請支援する補助金や補助金申請支援が可能な交付団体の多様化等を進めておりますが、補助金の交付決定等の時期により売上が偏重する傾向があります。また、補助金の予算規模や申請要件等の変更により、年間売上高が変動する可能性があります。そのため、当社グループでは、省エネコンサルティング事業と深く関係する蓄電池、発電機、エネルギーコントローラ等のエネルギー関連機器・設備や環境衛生機器その他感染症対策商材の拡販等を行うことにより、期間損益の平準化を目指しております。
また、当社グループの業績は、過去において、当社グループが提供する製商品・サービスの構成、電力先物取引に係る評価損益、事業投資の成功又は失敗、事業の譲渡等の様々な要因によって、四半期毎、年度毎に変動しており、今後も変動する可能性があります。したがって、当社グループの過去の各四半期又は通期の実績が将来の業績の傾向を直接・間接に示唆するものではありません。
(6)M&Aについて
当社グループは、既存の事業ポートフォリオを定期的に見直しつつ、新たな事業機会が創出される分野において積極的に投資や事業買収並びに事業開発を行っていく方針を有しています。また、新規事業の開発や、既存事業の業容の拡大及び縮小を効率的に推進するために、グループ外企業との新規提携及び提携強化を進めております。その過程で、海外を含めた第三者との合弁による企業設立、既存企業への追加的な投資等を国内外で行う可能性があります。
このため、これらの投資や事業買収、事業統合に際して多額の費用が発生する可能性があります。また、第三者との合弁事業、提携事業や投資先事業が大幅な不振に陥ったり、これらの事業の業績不振が一定期間以上継続したりする場合には、追加的なコストの発生や投資有価証券の減損又は評価損の計上等の可能性があります。
さらに、提携先の相手国側における法規制等の制約を受ける可能性や、事業戦略上の目的や予定していた事業収益の増大が実現できない可能性、第三者との合弁事業や提携事業等が所期の目的を達成できない可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループにおいては、提携等に関する意思決定の際には、シナジー効果、将来にわたる投資採算性等を考慮に入れ、法規制・会計・税制等の影響も含めたリスクを低減・回避するべく、検討を実施してまいります。
(7)感染症対策関連事業(現 レジリエンス事業)に特有のリスクについて
感染症対策関連事業では、その取扱い商品やサービスが人の健康・安全に密接に関連していることから、広告や販売に関して、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及び関連法令や広告規制等の適用を受ける場合が考えられます。当社グループでは、各種法規制の遵守に努めておりますが、万が一法規制違反に該当するような事態が発生した場合、関連法規制の制定・変更及び行政対応等の動向により規制対応費用の増加、課徴金納付や事業活動への制約等が余儀なくされたりする場合などには、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
また、感染症対策関連事業での商品やサービスの提供過程において、品質不良等により消費者に健康被害を与えるような事態が発生した場合には、販売減少、損害賠償の発生又は当社グループのブランドイメージ毀損等によって当社グループの経営成績等は影響を受ける可能性があります。
(8)気候変動に関するリスクについて
近年、気候変動への関心が国内外で高まり「低炭素社会」「脱炭素化」への移行が求められる中、電力小売事業を含む電力供給ビジネスにおいても、気候変動問題への対応をはじめとした環境負荷の低減への積極的な取組みがこれまで以上に必要になってきています。
これらの気候変動に関するリスクに対して、当社は、再生可能エネルギーの積極的な活用や需給両面での二酸化炭素排出削減などの取組みを進めております。今後のわが国の環境政策及び国際枠組みの動向などによっては、環境負荷低減や気候変動の対応のための費用が増大するなど、将来的に当社グループの事業運営及び業績に影響を受ける可能性があります。
また、金融・資本市場においてESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に活用することが急速に拡大しており、気候変動問題への戦略・取組みや気候変動リスクをはじめとする環境情報に関する開示はもちろん、環境問題への取組み自体が不十分であるなどと判断された場合には、株主・投資家等のステークホルダーから信頼・評価を失い、株価低迷や資金調達の困難化などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。
(9)サプライチェーンマネジメントについて
特に、レジリエンス事業における蓄電池等の機器の供給においては、コスト極小化のためにも、製品の開発、製商品・部品等の調達、生産・製造、製商品の供給に至るまで、適時に行う必要があります。特定の供給元に依存し調達に制約を受ける場合には、当社における生産・製造及び供給が中断あるいは遅延する可能性があります。
また、製商品の生産・販売が地政学的リスク、自然災害、疫病、テロ、サイバー攻撃あるいは輸送事故などの理由により物流が停滞するような場合には、売上機会の損失、対応コストの増加などにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、製品については外部委託先を含め品質基準に基づく生産・製造を行っておりますが、万が一製品に品質不良や不具合等が発生した場合、また製品の設置工事の不手際により、設置先に損害を与えた場合には、顧客対応、リコール、損害賠償等のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、サプライチェーンマネジメントの強化を目指しており、取引先の動向把握や取引先との関係強化の推進、外部委託先への監督のほか、サプライチェーンの変化に応じた対応策、例えば、特定の取引先への依存を見直しての部品等の確保、供給に合わせた販売の調整などを行っております。
(10)金融関連事業が保有していた投資に関するリスクについて
当社グループは、金融関連事業からは撤退したものの、同事業がおこなった暗号資産関連事業に関する投資、暗号資産への投資、その他事業投資は引き続き保有しております。これらの投資については、市場の変化等によって、価格が下がった場合や期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)メディカル事業についてのリスク
当社グループは、介護保険法、児童福祉法及び障害者総合支援法に基づき、居宅介護支援、放課後等デイサービス及び就労継続支援B型の各施設を運営しております。各施設は、都道府県から指定を受けた人員、設備、運営に関する基準により運営を行っており、現時点では、ゼロメディカルが運営する事業所に指定取消しや営業停止は発生しておりませんが、今後、なんらかの原因により、それらの指定が取り消された場合や営業停止となった場合、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、福祉関連事業は、これまで運営施設における重大事故や金銭賠償は発生しておらず、引き続き適切な危機管理体制のもと、利用者が安心・安全に利用できる施設運営を心がけてまいりますが、今後当社グループの運営施設において利用者の不測の事故等により紛争や損害賠償が発生した場合、当社グループの経営成績等は影響を受ける可能性があります。
(12)知的財産権について
当社グループにおいて、情報システムやソフトウェアに関する知的財産権の重要性が増しているなか、当社グループは、情報システムの開発等に当たっては第三者の特許を侵害する可能性がないかを調査をする一方で、知的財産は重要な経営資源であり、契約対応や産業財産権取得によって当社グループの知的財産権の保護にも努めています。
このような取組みにかかわらず、当社グループの製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求を受ける可能性があるほか、情報システムの使用差止請求を受けサービスを停止せざるを得なくなるなど、業務遂行に支障をきす可能性があります。また、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があります。
2.当社グループの事業体制に関するリスクについて
(1)人財の確保・育成について
当社グループは、価値観が多様化する社会の中で、人財の価値を最大限に引き出し、企業価値の持続的な向上に結び付けることが必要であり、人的資本経営の実現のために適切な人財戦略を立案しこれを実行することが急務であると考えております。
当社グループでは、これまでも事業ポートフォリオ・マネジメントの一環として経営資源配分の最適化に継続的に取り組み、組織構成及び人員配置の適正化を図っております。今後も、事業の進展にあわせて、ダイバーシティ&インクルージョン(「人財の多様性」と「多様性を受容し互いに包摂すること」)の推進を踏まえ、優秀な人財の確保と継続的な育成、ならびに内部管理体制の拡充を図っていく方針です。しかしながら、雇用情勢の変化その他の要因により、経営戦略及びビジネスモデルの実現のために必要な人員の確保や人財育成が計画どおりに進捗しない場合、既存の主要な人財の社外流出を防止できない場合、適切な人員配置や組織の整備ができない場合などには、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営に支障を来たすなど、当社グループの将来の成長、事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、今後の成長を図るべく、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題の取組みに際しては、変化に対応し社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が重要な経営課題の一つであると認識し、実現すべきビジネスモデル及び戦略とその時々の人財ポートフォリオのギャップを把握し、戦略を実現するために必要な意欲のある人財を確保・育成するとともに、持続的な成長を支える人財を育成すべく一人ひとりが活躍することのできる環境を整備し維持してまいります。
(2)内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが極めて重要であると考え、「内部統制システム整備の基本方針」及び「コーポレート・ガバナンス基本方針」を制定し、内部統制システムの適切な整備と運用、コンプライアンスの徹底を行い、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。
当社グループでは、内部管理体制の一層の拡充に努めておりますが、事業の急速な拡大により十分な内部管理体制の整備又は運用が追いつかないというような状況が生じる場合や内部統制システムが有効に機能しないような場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティについて
当社グループは、事業上の重要な情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有し、事業活動のためにこれら情報を利用しています。他方で、特に個人情報については、不正な利用・アクセスや漏えいを防止するためにも、個人情報保護法等により適正な管理及び取扱いが要求されています。当社グループでは、情報管理に関する規程や取扱手順等を策定・運用するとともに、役職員等に対する教育・啓発等による情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を実施し、また、外部委託先等についても適宜その情報管理態勢を監督しております。万が一予期せぬ事態により当社グループの保有する機密性の高い重要情報が外部に流出したり、第三者が不正に取得し使用したりするような事態が生じた場合には、損害賠償や対応費用の発生ばかりでなく、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、業務遂行又はサービス提供のため、複数のコンピュータシステムを活用しています。また、これらのコンピュータシステムの多くは、顧客・取引先等のシステムとネットワークで接続されています。当社グループは、業務システムの安定的な稼動に努めるとともに、重要な業務システムについては、万が一の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。しかしながら、エラー、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により、重大なシステム障害等が発生した場合には、このような対策が有効に機能しない可能性があります。また、システムリスクやサイバーセキュリティリスクが顕在化した場合には、情報の流出、データ改ざん、システム誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、技術の進歩、情報セキュリティ確保の内外の要請、他でのセキュリティインシデントの発生状況等を踏まえ、情報活用の有効性の向上と情報セキュリティ対策の強化を図るとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発により、情報管理のさらなる徹底に取り組んでまいります。また、外部委託先、仕入先、販売チャネルを含むサプライチェーンにおける情報セキュリティの確保についても、関係先の理解・協力を得て推進してまいります。
(4)コンプライアンスについて
当社グループは、コンプライアンスを重要な経営課題の一つとして位置付け、事業活動に際しては企業倫理及び法令遵守の徹底を図るべく諸施策を講じています。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージの低下、損害賠償等により、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、コンプライアンスに関する規程を定め、コンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発を実施し、さらなる企業倫理の向上及び法令等の遵守に努めております。また、外部委託先、仕入先、販売チャネルを含むサプライチェーンでのコンプライアンスの徹底についても、関係先の理解・協力を得て推進してまいります。
3.その他のリスクについて
(1)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、業績向上に対する士気高揚のため、取締役及び従業員等に対するインセンティブとして新株予約権(ストック・オプション)を付与しています。また、今後も取締役及び従業員等に対するインセンティブの一つとして新株予約権の付与について継続的な活用を検討しています。これらの新株予約権が権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存株主の有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。
また、当社グループでは、事業投資の実施、成長戦略の実現、事業環境の変化への対応、その他の経営上の目的のために資本増強又は資金獲得を必要とする場合があり、この資金需要を充足するために、新株、新株予約権の発行や、自己株式を活用する可能性があります。あるいは、企業価値の向上を図るうえで事業の拡大や多角化を目的とする業務提携及びその強化を進める際にこれと並行して資本提携を行う場合があり、その際に新株、新株予約権の発行や、自己株式を活用する可能性があります。これらの発行及び権利行使によって、当社の1株当たりの株式価値及び議決権割合の希薄化が生じ、株価に影響を与える可能性があります。
(2)コロナウイルスが事業活動に及ぼす影響について
当社グループが行う電力小売事業(エネルギー事業)は、その公共性の観点から事業を中断することなく継続することが要請されており、新型コロナウイルス感染拡大及びその長期化による事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めております。
また、新型コロナウイルス感染拡大やその防止を理由として他の事業者や一般消費者の休業等が長期化するような場合には、外出自粛やテレワークのために家庭における消費電力、特に日中の電力需要が増加する可能性はあるものの、事業者における電力需要の落ち込みや業績悪化などが生じ、結果として電力小売事業(エネルギー事業)の売上が減少したり、売掛金の回収が困難になったりする可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を優先的に実施するために、事業者においてエネルギー合理化等のための設備投資や省エネ対策の実施に関する意欲が減退するような場合には、省エネコンサルティング事業(レジリエンス事業)の売上が減少する可能性があります。感染症対策関連事業(レジリエンス事業)においては、新型コロナウイルスの感染状況の推移、関連法規制の変更、新規の感染対策や治療法等の出現、万が一の健康被害の発生、未知の感染症の発生・流行その他の事由によって業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現には潜在的リスクや不確実性を含んでおり、さらに業績に影響を与える要因はこれに限定されるものではありません。したがって、諸要因の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高20,487百万円(前期比37.5%減)、営業利益1,743百万円(前連結会計年度は営業損失1,850百万円)、経常利益1,758百万円(前連結会計年度は経常損失1,722百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,070百万円(前期比67.2%減)となりました。
2023年12月1日付で完全子会社化したゼロメディカルの個別決算において、福祉事業が有する建物等の減損損失60百万円と本店の移転費用26百万円を特別損失に計上したことにより、2024年3月末時点において、純資産額が取得時の71百万円から30百万円に減少したこともあって、当社において関係会社株式評価損662百万円を計上いたしました。
上記のゼロメディカル株式の評価損の計上により、あわせて連結決算においてものれんの減損損失598百万円を計上いたしました。
また、資本金が10百万円である当社の青色欠損金の損金算入額は、事業年度の所得金額まで損金算入できることから、リミックスポイント単体の法人税、住民税及び事業税の額は、7百万円となり、また、連結子会社のイプシロン・ホールディングスにおいて40百万円の還付となったことで連結上の法人税、住民税及び事業税の額は、33百万円の還付となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの業績は以下のとおりであります。なお、各セグメントの売上高の金額は、セグメント間の内部売上高を含めない数値を記載しております。当社グループの報告セグメントは、業績評価、事業戦略の構築、経営資源の配分等を行ううえで重要性の高い区分を基に決定しており、前連結会計年度まで「エネルギー事業」、「自動車事業」、「レジリエンス事業」、「金融関連事業」及び「その他事業」の5つで構成されておりました。金融関連事業におきましては、2022年7月1日付で連結子会社として金融関連事業に含まれていた株式会社ビットポイントジャパン(以下「BPJ」といいます)株式の持分51%をSBIホールディングス株式会社のグループ会社に譲渡、2023年3月31日付で残りのBPJ株式49%も同様にSBIホールディングス株式会社のグループ会社に譲渡したことから、2023年5月12日付で金融関連事業を廃止いたしました。これにより、第1四半期連結会計期間からは、同事業に係る損益は「その他事業」に含め、また、これまで営業取引として取り扱ってきた暗号資産事業に関連した投資に係る損益も営業外損益の区分に計上しております。また、自動車事業につきましても、経営資源を集中し、事業ポートフォリオの再構築を推進するため、2023年2月14日付で同年3月31日を目途に自動車事業を廃止することを取締役会で決議いたしました。2023年3月31日時点で一部商品在庫が残っておりましたが、2023年6月30日時点において全て売却し、事業廃止していること、また、第1四半期連結会計期間において同セグメントから生じた損益は僅少であったことから、第1四半期連結会計期間からは同事業に係る損益を「その他事業」に含めております。さらに、2023年10月26日付開示の「簡易株式交換による株式会社ゼロメディカルの完全子会社化に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、主に「健康」や「福祉」を中心とした社会課題の解決へ向け事業を推進するゼロメディカルとの間において、当社を株式交換完全親会社、ゼロメディカルを株式交換完全子会社とする株式交換契約を締結し、効力発生日である2023年12月1日付でゼロメディカルを完全子会社化しました。ゼロメディカルを完全子会社化したことにより、ゼロメディカルが営む事業を「メディカル事業」として報告セグメントに含めております。
以上のことから、当連結会計年度より、当社グループの報告セグメントは、「エネルギー事業」、「レジリエンス事業」、「メディカル事業」及び「その他事業」となります。また、これまで持分法適用関連会社であったBPJの業績を金融関連事業セグメントに含めるために、セグメント利益を経常利益としておりましたが、すべてのBPJ株式を譲渡したことで、セグメント利益を経常利益から営業利益へと変更し、前期比較についても、前期の数値を営業利益ベースに変更して行っております。
(エネルギー事業)
エネルギー事業は主に、電力小売業を営んでおります。当連結会計年度において、中国では長引く景気減速の影響によりエネルギー需要が減退したこと、ヨーロッパにおいても2023年末~翌24年にかけて記録的な暖冬となった影響から暖房需要が落ち込んだこと等の影響により、世界的にLNGをはじめとする化石燃料価格が、前年に比べ低く推移いたしました。それにより、当連結会計年度中の一般社団法人日本卸電力取引所(以下「JEPX」といいます)におけるシステムプライス(以下「市場価格」といいます)の月平均価格は10.74円/kwhとなり、前期(2022年4月から2023年3月)の月平均価格(20.37円/kwh)に比べ、大きく低下いたしました。
当社では、高圧電力、低圧電力ともに既契約に占める市場連動型料金プランの比率が高いため、JEPX市場価格の低下は、売上の減少要因となります。2024年度から開始される容量拠出金の支払いを見据え、高圧のお客様については契約更新時に新料金体系への切り替えを提案した影響により解約件数が増加し、契約総容量が前期比で減少したこともあり、売上高は減少することとなりました。
一方で、前連結会計年度まで、JEPX市場価格の変動リスクをヘッジする目的で電力先物取引を利用しておりましたが、保有する先物ポジションの評価損益が会計上の損益に大きく影響を及ぼすことが課題となっておりました。そこで当連結会計年度からは、「市場連動型」・「固定単価型」・「市場連動と固定単価のミックス型」の3つの料金プランを適切に組み合わせてお客様に提供することで、先物取引を利用せずにJEPX市場価格の変動リスクに対応できる体制を構築し、先物評価損益に影響を受けない損益認識を可能としました。
またいち早く容量市場を見据えた料金体系への移行が完了しており、安定的な利益確保の基盤を整えることができました
以上の結果、当セグメントの売上高は18,886百万円(前期比25.3%減)、セグメント利益(営業利益)2,296百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)491百万円)となりました。
(レジリエンス事業)
レジリエンス事業は、省エネコンサルティング事業、感染症対策関連事業及び蓄電池事業から構成されております。当連結会計年度については、省エネコンサルティング事業における省エネ商材の販売や補助金の採択からの売上が前期と比して増加しました。感染症対策関連事業においては、主力商品であるMA-T System関連商品(「すごい水」シリーズ)の販売による売上は前期と比して増加しましたが、在庫となっている一部商品の収益性の低下に伴い、商品の評価損67百万円を計上しました。一方、蓄電池事業において、世界的な半導体不足の影響で滞っていた蓄電池の生産状況が緩和されたこと、また当社オリジナルブランドの家庭用ハイブリッド蓄電システム「remixbattery」が、高い安全性と品質が認められ、製品性能の第三者認証であるJET 系統連系認証を取得し、蓄電池の販売代理店の開拓や販売活動を積極的に推進したことから、蓄電池販売台数が順調に伸長し増収増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,219百万円(前期比91.2%増)、セグメント利益(営業利益)131百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)162百万円)となりました。
(メディカル事業)
メディカル事業は、2023年12月1日付で株式交換により完全子会社化したゼロメディカルにおいて、主に歯科・医科に対する営業支援を目的としたHPの制作及び運用等を行う医療機関向けウェブクリエーション事業のほか、メディア発信等を通しての経営支援、再生医療に関するマーケティング等を行っております。また、福祉関連事業として、放課後等デイサービス、就労継続支援B型事業所及び訪問介護事業所の運営を行っております。メディカル事業においては、2024年1月よりゼロメディカルの業績が含まれているほか、ゼロメディカルの株式取得の際に発生したのれんのうち2024年1月から3月に対応するのれん償却費31百万円を計上しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は278百万円、セグメント損失(営業損失)7百万円となりました。
(その他事業)
その他事業には、マーケティングコンサルティング事業及び新規事業のほか、第1四半期連結会計期間に事業廃止が完了した自動車事業及び第1四半期連結会計期間に廃止を決議した金融関連事業の損益も含まれております。このことから前期の金額も組み替えていますので、対前期では大きく減収増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は102百万円(前期比98.5%減)、セグメント利益(営業利益)24百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)49百万円)となりました。
仕入および販売の実績は以下のとおりであります。
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 財政状態
<連結貸借対照表の要約>
(単位:百万円)
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、17,714百万円となり、前連結会計年度末(17,620百万円)に比べ、94百万円増加となりました。その主な要因は、現金及び預金2,399百万円の増加、未収法人税等1,162百万円、売掛金及び契約資産507百万円の減少があったこと等によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,999百万円となり、前連結会計年度末(1,651百万円)に比べ、347百万円増加となりました。その主な要因は土地66百万円、建物及び構築物61百万円、ソフトウェア仮勘定25百万円の増加があったほか、敷金及び保証金114百万円の減少があったこと等によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,322百万円となり、前連結会計年度末(2,445百万円)に比べ、1,123百万円減少となりました。その主な要因は、短期借入金100百万円、一年内返済予定長期借入金93百万の増加があったほか、未払法人税等759百万円、未払金287百万円、預り金251百万円の減少があったこと等によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、422百万円となり、前連結会計年度末(0百万円)に比べ、421百万円増加となりました。その主な要因は、長期借入金422百万円の増加があったこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、17,969百万円となり、前連結会計年度末(16,826百万円)に比べ、1,143百万円増加となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,070百万円による増加、配当金237百万円による減少等によるものであります。なお、2023年6月28日開催の第20期定時株主総会決議に基づき、資本金のうち7,867百万円を、資本準備金のうち687百万円をそれぞれその他資本剰余金へ振り替えております。
(財務比率)
当連結会計年度末における流動比率は、前連結会計年度末に比べ619.2ポイント上昇し、1339.7%となりました。
また、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.8ポイント上昇し、91.1%となりました。これは、2023年12月1日付でゼロメディカルを完全子会社化したことにより、総資産が増加したことが主な要因であります。
(3) キャッシュ・フロー
<連結キャッシュ・フロー計算書の要約>
(単位:百万円)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は13,577百万円となり、前連結会計年度末(11,173百万円)に比べ、2,403百万円増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,447百万円(前期は6,843百万円の支出)となりました。これは主に法人税等の還付額1,215百万円、税金等調整前当期純利益1,016百万円、法人税等の支払額777百万円、のれん償却額629百万円、売上債権の減少額541百万円等の要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は120百万円(前期は13,685百万円の収入)となりました。これは主に敷金及び保証金の回収による収入201百万円、敷金及び保証金の差入による支出132百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入114百万円、投資事業組合出資金の払込による支出90百万円等の要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は164百万円(前期は564百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額237百万円、短期借入れによる収入100百万円、長期借入金の返済による支出52百万円、長期借入れによる収入21百万円等の要因があったことによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析につきましては、上記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積り及び仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産の金額及び開示期間の費用の金額に影響を与えます。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当社は、2023年10月26日開催の取締役会において、ゼロメディカルとの間において、当社を株式交換完全親会社、ゼロメディカルを株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決議し、ゼロメディカルとの間で同日付で株式交換契約を締結いたしました
株式交換の概要は、以下のとおりです。
(1)株式交換の内容
当社を株式交換完全親会社、ゼロメディカルを株式交換完全子会社とする株式交換
(2)株式交換の日(効力発生日)
2023年12月1日
(3)株式交換の方法及び株式交換比率
当社は、本株式交換に際して、本株式交換がその効力を生ずる時点の直前時におけるゼロメディカルの株主名簿に記載又は記録されたゼロメディカルの株主に対し、ゼロメディカルの普通株式に代わり、その所有するゼロメディカルの普通株式1株につき、当社の普通株式2,031.25株及び金468,750円の割合をもって、当社の普通株式及び金銭を割当て交付いたします。本株式交換による株式の交付に際しては、新たに普通株式を発行せず、当社が保有する自己株式を充当いたします。結果、当社は、本株式交換に際して、当社の普通株式1,625,000株と375百万円の金銭を割当て交付いたします。
(4)株式交換比率の算定根拠
(1)割当ての内容の根拠及び理由
当社及びゼロメディカルは、本株式交換に係る割当ての内容の決定に当たって、公正性・妥当性を確保するため、両社から独立した第三者算定機関に株式交換比率の算定を依頼することとし、株式会社CSGコンサルティング(住所:東京都港区芝大門1-1-23、代表取締役 末永 貴志)(以下「CSGコンサルティング」といいます。)を第三者算定機関として選定しました。
当社及びゼロメディカルは、CSGコンサルティングから提出を受けた算定結果を参考に、両社の財務状況・資産状況・将来の見通し等の要因を総合的に勘案した上で、両社間で本株式交換に係る割当ての内容について協議・検討を重ねてきました。その結果、当社及びゼロメディカルは、上記(3)記載の株式交換の方法及び株式交換比率は、CSGコンサルティングが算定した株式交換比率のレンジ内であり、株主の利益を損ねるものではなく、妥当であるとの判断に至ったため、上記(3)記載の株式交換の方法及び株式交換比率により本株式交換を行うことにつき合意しました。
(2)算定に関する事項
① 算定機関の名称並びに上場会社及び相手会社との関係
当社の第三者算定機関であるCSGコンサルティングは、当社及びゼロメディカルの関連当事者に該当せず、当社及びゼロメディカルとの間で重要な利害関係を有しません。
② 算定の概要
当社の株式価値については、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、また、市場株価は日々変動することから、一時点の株価終値だけではなく過去の平均株価も考慮するため、市場株価平均法を採用しました。当社株式の市場株価平均法においては算定基準日を2023年10月25日として、算定基準日の終値、算定基準日までの1か月間、算定基準日までの3か月間、算定基準日までの6か月間の各期間における当社株式の終値平均株価を算定の基礎として算出いたしました。当社株式の1株当たり株式価値の評価レンジは以下のとおりであります。
以上を踏まえ、算定基準日である2023年10月25日終値200円を当社1株あたり株式価値としました。
これに対し、ゼロメディカルの株式価値については、ゼロメディカルは非上場であり市場株価平均法は採用できず、その株式価値の源泉は将来の収益獲得能力にあることから、将来の事業活動の状況に基づく収益獲得能力を評価に反映させるためにディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(DCF法)を用いて株式価値の算定をしております。算定の前提とした財務予測には、ゼロメディカルの作成した事業計画を基礎として、子会社化後に予測されるゼロメディカルの経営成績を用いております。
上記方式において算定されたゼロメディカルの1株あたり株式価値の算定結果は、以下のとおりです。
各評価手法の算定の結果に基づく当社普通株式1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の評価レンジは、以下のとおりです。
以上の算定結果を踏まえ、当社及びゼロメディカルは本株式交換に係る割当ての内容について検討し、交渉を行った結果、上記(3)に記載のとおり、 ゼロメディカル株式1株に対して、当社株式2,031.25株及び金468,750円を割当てることと決定いたしました。
なお、CSGコンサルティングは、ゼロメディカル社の株式価値算定に際して、提供を受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報、一般に公開されている情報等を原則としてそのまま採用しております。
また、採用したそれらの資料及び情報がすべて正確かつ完全なものであること、ゼロメディカルの株式価値算定に重大な影響を与える可能性のある未開示の情報は存在しないこと、かつ、ゼロメディカルの将来の利益計画や財務予測が現時点における最善の予測と判断に基づき合理的に作成されていることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。
(5)株式交換完全親会社となる会社の概要
該当事項はありません。