文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「誠実」「愛」「感謝」「謙虚」「調和」を経営理念に掲げており、株主の皆様、お客様、取引先、従業員などの直接の利害関係者のみならず、社会全体から愛される企業を目指しております。
また、「ECの可能性を無限大に」という新たなビジョンのもと、当社ならではの新しい常識を発信し、サービスの変革を推し進めていく方針です。
その中で、家具・インテリア等の「家具Eコマース事業」を主軸に、新規事業の「越境ECプラットフォーム事業」と2事業において、新たな価値と最高のサービスをお客様に提供し続けてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は企業価値を持続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、目標とする経営指標は、売上高、営業利益、経常利益を主眼に据え、持続的に安定した成長を目指しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、家具・インテリア等の「家具Eコマース事業」を主軸に、新規事業の「越境ECプラットフォーム事業」との2事業において、新たな価値とサービスをお客様に提供し続けてまいります。
家具Eコマース事業におきましては、出会いの創出とお客様のニーズを叶える徹底したCX(カスタマーエクスペリエンス)強化に取り組み、OMO型D2Cビジネスの構築に注力してまいります。具体的には、①オンラインだけではリーチできなかったお客様とのタッチポイントを構築するため、実店舗(チャネル)展開による顧客接点強化、②生活空間におけるLOWYA商品の占有率の引上げのための商品(プロダクト)ジャンル拡大、③SNS、コミュニティ施策等によるファン拡大や顧客満足度向上(エンゲージメント)及びこれらの諸施策推進を支える物流・ITシステム・人材等のインフラ強化を推進してまいります。
売上高については、2025年3月期において実店舗の新規出店を4~6店舗目標にチャネル拡大に取り組みます。また、2024年3月期から取り組んでおります、マーケティングコストを抑制した効率的な事業運営も継続し、引き続き旗艦店と大手モール内店舗を中心に実店舗出店に伴う影響も含めて、売上高の伸長を狙ってまいります。品揃えについては、自社プライベートブランドにおけるジャンル及び商品数の拡充、高利益率商品の開発を継続いたします。費用面については、資源高及び円安による原価上昇並びに配送費高騰への対応が課題となりますが、マーケティングコストの抑制、物流の効率化といった取り組みを継続し、最適なコストコントロールを行いながら、効率的な経営を行ってまいります。また、実店舗の新規出店によるチャネル強化施策や、プロダクト強化、エンゲージメント強化といった各種施策を推進するため、投資が先行する局面も出てまいります。中期的に、実店舗拡大等によるOMO型D2Cビジネスにより売上高の成長率を押し上げることで、長期的なフリーキャッシュフローの最大化を目指してまいります。
越境ECプラットフォーム事業におきましては、台湾を中心にリピートユーザーからの流通が着実に積み上がっており、先行投資額を一定水準に維持したまま流通総額が伸長しております。引き続き、マーケティングコストを抑制した効率的な運営や取り扱い商品ジャンルの拡充により新規会員を獲得し、流通総額の更なる増加に向けた施策を講じると同時に、収益体質強化にも注力してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く環境は、引き続き、他社との販売競争が続くとともに、円安を含む市況変動による原価率上昇が利益の圧迫要因となるものと予測されます。このような状況の中、当社におきましては、旗艦店による集客をメインとする従来のD2C (直販) モデルに、新たな販売チャネルとして実店舗(オフライン)を加えたOMO型D2Cモデルへ転換し、実店舗の新規出店に注力してまいります。また、商品価値・顧客サービスにおいて差別化を図ること、業界の課題である物流コストの抑制に努めフルフィルメントサービスを強化していくこと、円安を含む市況変動に対する耐性を強化していくことが重要課題であると認識しております。
こうした課題に対応するため、以下の項目を対処すべき重要な経営課題として考えております。
① LOWYA事業
ア) OMO型D2Cモデルによる実店舗の新規出店
オンラインだけではリーチできなかったお客様とのタッチポイントを構築するため実店舗(チャネル)を展開しており、2023年4月の1号店オープンを皮切りに、当事業年度において3店舗を開業いたしました。今後もOMOモデル構築に向けて新規出店の拡大に取り組んでまいります。(2025年3月期は4~6店舗出店目標)
イ) 魅力的で豊富な品揃えと品質改善
個性・ライフスタイルが多様化しているお客様のニーズにマッチした品質の高い商品を、魅力的な価格で、より多くのお客様に提供するため、自社における商品開発スピードの向上を図り、数多くの商品をリリースしてまいります。あわせて、商品ジャンルを拡充することで、お客様にとっての選択肢を広げ、新規顧客及びリピート顧客の双方の獲得を目指してまいります。
ウ) LOWYAのブランディング及び認知度の向上
当社が運営する家具・インテリアのショッピングサイトLOWYAへの誘導を強化するため、2023年4月に開業した実店舗を中心に、さまざまな顧客タッチポイントの拡充を行います。認知度向上を図ることで新規顧客獲得及びリピート顧客増加を推進してまいります。
エ) エンゲージメント強化
潜在顧客への浸透により、様々なライフイベントで当社を想起いただくため、当社の強みである各種公式SNSアカウントに加え、コミュニティ施策、コンテンツ強化に取り組んでまいります。
② 新規事業への投資
当社は、新規事業として越境ECプラットフォーム事業のための先行投資を行い、企業価値の拡大に努めてまいります。また、中長期的な企業価値拡大を重視したうえで、収益化のタイミングを見計らってまいります。
③ 内部管理体制の充実
当社は、既存事業の成長及び新規事業への投資を行う一方で、リスク管理体制・法令遵守体制を充実させ、会社の成長と経営管理のバランスの取れた組織運営体制の一層の確立を進める方針であります。また、内部統制システムの整備及び充実を継続的に推進してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、サステナビリティに関する取り組みを重要な経営課題として認識しており、積極的に施策を実行しております。
当社のコアバリューは、「誠実・愛・感謝・謙虚・調和」です。サステナビリティに関する取り組みの中では、特に「感謝」が重要であると考え、「“ありがとう”を、未来に繋げよう」をサステナビリティポリシーとして定めております。
当該ポリシーに基づくサステナビリティに関する取り組みを推進すべく、2023年9月にサステナビリティ委員会を発足いたしました。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長として、年2回開催し、サステナビリティに関する方針や目標の設定、下部組織として設置している環境保全ワーキンググループ、人的資本ワーキンググループ、CSR推進ワーキンググループの各活動におけるモニタリングを実施することとしております。さらに、サステナビリティ委員会で把握し取りまとめた内容は取締役会に報告され、適宜協議されております。
また、リスク管理の対応機関として、取締役、常勤監査等委員、部長以上の役職者で構成するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクの頻度・損失の観点から半期毎に検討・協議して、全社的な取り組みとして臨んでおります。なお、リスクマネジメント委員会において重大と判断したリスクについては、取締役会に報告されております。
マテリアリティ(重要課題)としては、「廃棄物の削減および資源循環の拡大」、「ダイバーシティに富んだ環境づくりおよび従業員の働きがいの追求」、「地域・コミュニティの活性化」を特定しております。
具体的な取り組みとしては、①社会福祉施設への寄付、②廃棄物量および電気使用量の算定、③再生資源のリサイクル等が挙げられます。①社会福祉施設への寄付では、児童養護施設、母子生活支援施設等に、撮影に使用した家具等を寄贈し、ご活用いただいております。これまでは廃棄していたことから、廃棄物削減にも寄与する施策です。②廃棄物量および電気使用量の算定では、不必要な廃棄や電気使用等がないかを点検し、サプライチェーン排出量(Scope2、Scope3)の削減に取り組んでおります。③再生資源のリサイクル等では、季節商品「サステナクール」や「グルーニー」の外装・透明ビニール袋に100%リサイクル素材を採用するとともに、廃ダンボールやストレッチフィルム、商品の廃棄時に発生する廃プラスチックや木くず、金属くず等を細かく分別して再生事業者に引き渡す等、資源循環の拡大を目指しております。
これらのマテリアリティについては、以下のサイトをご参照ください。
また、当社では、挑戦することで可能性を広げたい従業員に対し機会提供や支援を行なっていくため、「機会をつかむ」という人事ポリシーを掲げております。社員自らが自分を高め、組織に活かされていることを実感できる場として、「働きがい」や「働きやすさ」を感じられる環境を提供することが必要であると考え、以下の方針を定めて推進しております。
・働きがいを高めるための環境構築
・働きやすさを実現するための環境構築
これら2つの方針を実現する施策として、具体的に下記を実行しております。
<働きがい醸成のための施策例>
機会をつかむ人を支援する、機会をつかみ行動した人を讃える施策
性別・年齢・国籍に関係なく、多様なバックグラウンドを持った人が機会をつかめる施策
① 教育研修、手当:e-learning(正社員全員)、階層別研修、マネジメント実践ゼミ(責任者や希望社員に向けた人事独自の研修)、資格取得に対する受験料手当
② 表彰制度:四半期に1回の表彰制度(秀でた成果を創出した人、挑戦をした人、組織内に好影響を発揮した人を讃える)、年間表彰制度(年間MVP、AWARD)
<働きやすさを醸成するための施策例>
挑戦しやすい環境を整える施策
③ 男性育休:育休を取得しやすい職場の風土醸成、就業規則の改定及び周知
④ 有休取得:入社時5日付与、時間休
⑤ 健診費用の会社負担:子宮がん・乳がん健診、胃カメラ補助等
⑥ 時短、時差出勤:育児社員、介護社員の時差出勤制度、時短制度
<上記施策等をもとに組織状態を数字で正しく見て、改善に向けた打ち手を実践>
⑦ モチベーションクラウド(※)で社内のエンゲージメントスコアを確認(半期毎に実施)
(※)11,590社、422万人の実績を持つ組織診断サーベイによって組織状態を可視化・数値化し、これをものさしとして人事担当者や現場社員が「Plan・Do・See」サイクルを回すクラウドサービス。
気候変動の影響は、木材を主な原材料とする当社にとって大きなリスクになり得ると共に、地域・コミュニティの活性化がなければ、当社製品のユーザーであるお客様・子供たちの豊かな未来は描けないと考えております。そこで、環境リスクについては、毎年度の廃棄物量及び二酸化炭素排出量を算出して数値分析を行いながら中長期的な削減策に取り組むことに加え、地域活性化については、支援が必要な公的施設への寄付や安心できる生活空間づくり・コーディネートに取り組むことで、対応・支援しております。
また、人的資本の面では、企業が成長していくうえで、ビジネスをデザインする業務、クリエイティビティを発揮する業務、テクノロジーを駆使する業務等、職種の垣根を越えたチームワークと一人一人が常に成長し続ける姿勢が必要不可欠であると考えております。社会やマーケットの変化に際しても、これを脅威ではなく機会と捉えていくことが重要であります。
以上の点を踏まえ、サステナビリティを含むリスク全体については、内部監査室がリスクを識別、特定し、発生可能性及び事業への影響度を定量化して評価しております。また、リスクマネジメント委員会に評価結果を報告し、リスクの発生の有無や対応策等について協議、検討しております。
サステナビリティに関する機会については、サステナビリティ委員会に紐づく各ワーキンググループにおいて機会を識別、特定し、対応策を検討、実施しております。また、当該内容をサステナビリティ委員会へ報告しております。
当社では、上記(2)戦略において記載した人材の多様性確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項につきまして、積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社は、一般生活者を顧客とした通信販売事業を行っており、国内の通信販売の市場規模について、インターネットやスマートフォン等モバイル端末の普及と情報技術の発達を背景としたEコマース市場の寄与から拡大傾向にあることが事業展開の基本条件であると考えております。
しかし、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信事業者の動向など、当社の予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、主に楽天市場、Amazon及びYahoo!ショッピング内に出店し、商品販売を行っております。そのため、インターネットモール事業会社との関係悪化や規約違反による出店契約解消、インターネットモールシステム不良等のトラブル、モール閉鎖等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に大きく影響します。
また、インターネットモールへの依存から脱却するため、旗艦店(自社サイト)での販売強化に努めておりますが、インターネットモールにおける売上高が占める割合は依然として高く、手数料率の大幅な改定等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、ネットとリアルを融合した事業体制を構築する方針を打ち出し、新たなお客様との接触機会の増加及び既存のお客様に対するサービス強化を狙うべく、卸売販売及び直営店の運営を行っています。
期待する売上・利益成長や既存事業領域とのシナジー効果等が実現できなかった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合について
当社はインターネット通信販売事業者として、自社企画商品の更なる強化、サイトの利便性向上やブランド価値向上等に努め、特徴のあるサービスを提供することで競争優位性を有していると考えております。しかしながら、Eコマース事業は参入障壁が低いことから、競合他社による新たな付加価値のあるサービス提供がなされる等により、当社の競争優位性の低下や、価格競争が生じた場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、サービス及びそれを支える情報システム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。したがって、定期的なデータバックアップやセキュリティ対策を実施しているほか、複数のデータセンターへシステムを分散配置することで、安定的なシステム運用体制の構築に努めております。しかしながら、予期せぬ自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)、ユーザー数及びアクセス数の急増によるサーバーへの過剰負荷や、ソフトウエアの不具合及びネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウィルスへの感染などのトラブルが発生した場合には、サービスの安定的な提供が困難となり、また復旧等に時間を要した場合、当社の経営成績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当社のEコマース事業における自社運営サイト内の店舗ユーザーの多くは、特定の検索エンジン(「Google」や「Yahoo! JAPAN」等)の検索結果から誘導されてきており、当該検索エンジンからの集客数を確保するため、今後におきましてもSEO対策を実施していく予定であります。
しかしながら、検索エンジンにおける検索アルゴリズム変更等により、これまでのSEO対策が有効に機能せず、当社への顧客流入数が当社想定数を下回り、十分な顧客獲得に至らなかった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が販売する商品の大半は中国などアジア各国及び欧州からの輸入によるものです。中国やアジア各国、欧州等、生産拠点を分散し、また新規の協力工場の発掘に努めておりますが一部の地域で戦争・テロ・多国間での紛争及び摩擦・政情不安・自然災害・伝染病・ストライキ等が発生した場合、その地域で生産している商品の供給が一時的にストップし、当社の業績に影響を与える可能性があります。
取扱商品の大半は海外から外貨建で輸入しております。為替相場変動リスク回避のため、実需の範囲内で為替予約及び外貨建預金による決済等の手段でヘッジを行っておりますが、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社の経営成績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当社が販売する商品の大部分は自社企画商品であり、需要予測の精度向上に努めておりますが、実際の受注はライフスタイルの変化や消費者ニーズの変化等の様々な要因に左右されます。そのため、追加仕入が受注量に対応できず販売機会の損失が発生する可能性があります。また、受注量が需要予測に達しない場合は、当社に過剰在庫が発生し、キャッシュ・フローへの影響や棚卸資産評価損が発生する可能性があります。
当社では、需要予測や発注計画の精度の向上等を課題として取り組んでおりますが、需要動向を見誤ったことによる欠品機会損失、又は滞留在庫が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業活動の優位性を保つため、知的財産権の確保による自社権益の確保に努めておりますが、第三者による権利侵害がなされる可能性があります。
また、第三者の知的財産権を侵害しないことを確認する体制(各種調査、顧問弁護士を含む外部専門家への相談等)を構築しており、当該体制の適切な運用に努めております。しかしながら、事業活動において意図せず第三者の知的財産権の侵害が生じた場合には、事業活動の停止の請求・損害賠償責任を追及されることで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が販売する商品の大部分は自社企画商品であり、主に海外の生産工場に委託し生産を行っております。当社は、仕入に際しての品質基準の見直しや、品質検査等を強化し、安全な商品の供給に努めております。しかしながら、製品に重大な欠陥が発生しないという絶対的な保証はないため、製造物責任賠償のための保険に加入しておりますが、大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような製品の欠陥は、多額の費用や当社製品の信頼性や社会的評価に重大な影響を与えることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 返品について
売れ筋商品に対する不具合の発覚等により返品が多数発生した場合には、返品の処理、代替商品の配送等に伴う追加的な費用が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は顧客への商品配達を配送会社へすべて委託しております。当社はリスク分散の観点から、良好な取引関係の維持や新たな配送会社の開拓等につとめております。しかしながら、当社事業の特性上、大型家具を取り扱うことから配送会社の大型配送の撤退や値上げ要請等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商品取引法」、「製造物責任法」及び「不正競争防止法」等による法的規制を受けております。そのため、従業員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。しかしながら、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において安全上の問題や表示表現等の問題が発生する可能性があります。これらの問題が発生した場合、多額のコストや当社のイメージ低下による売上の減少等が想定され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業リスク分散のために複数の事業拠点及び物流拠点を設置し事業運営を行っております。各拠点の地域内において地震、津波等の大規模災害発生により事業拠点または物流拠点が被害を受けた場合や、当社施設内及び取引先において、新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックが発生した場合等、当社の想定を超える異常事態が発生した場合には、製造委託先工場の生産や配送業者が操業停止になる可能性、当社の物流が停滞する可能性、従業員が出勤困難になることによるサービスレベルが低下する可能性等があり、その内容及び結果によっては当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自社で商品企画やデザインを作成し、顧客満足度の高い商品の開発に努めております。また、自社サイトや新規事業で構築したプラットフォームの利便性向上のため、システムエンジニアを多く採用しております。今後、当社が必要とする企画開発力のある人材や技術力のあるシステムエンジニアを計画通り、必要な時期に確保することができなかった場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
インターネット販売サイトの運営管理におきましては、登録会員の個人情報を大量に保有しているため、「個人情報保護規程」等を定め、従業員に対する個人情報保護に関する意識の向上を図り、個人情報の漏洩に対し防止策を講じています。
しかしながら、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による個人情報の漏洩、消失、不正利用が発生した場合、信用の失墜を招き、更には損害賠償の対象となることも考えられ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンス体制について
当社は今後、企業価値を高めていくために、コンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、従業員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など、管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。また、当社の提供する商品については関連法規の遵守はもちろんのこと、法規制以上の自社基準・自社規制を設け、法令遵守及び商品の品質向上に取り組んでおります。しかしながら、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において安全上の問題や表示表現等の問題が発生する可能性があります。これらの問題が発生した場合、多額のコストや当社のイメージ低下による売上の減少等が想定され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴って、経済活動が正常化に向かい個人消費は緩やかな回復傾向となりました。しかしながら、日米金融政策等の影響による為替相場の急激な変動や、物価上昇による消費者心理の悪化に対する懸念が高まっており、内外経済の動向には引き続き注視する必要があります。
家具・インテリア業界におきましては、原材料価格及び物流コストの上昇並びに業態を超えた販売競争の激化等により引き続き厳しい経営環境が続いております。一方、当社の属する雑貨、家具、インテリアのBtoC-EC市場規模は2022年に2兆3,541億円となり、前期比で3.5%増と堅調に拡大しました(出典:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)_2023年8月経済産業省)。家具・インテリア業界におけるEC利用率は、他業界よりも低位にとどまっていることから、更なるEC化の進展余地があり、市場拡大を見込んでおります。
このような事業環境の下、当社の家具Eコマース事業におきましては、LOWYA(ロウヤ)旗艦店(自社サイト)及び大手ECモール内店舗の両販売チャネルを通じた流通拡大に取り組んでおります。成長の柱として位置付けているLOWYA旗艦店においては、SEO・Web広告からの新規アクセス流入、SNS強化による認知度向上及びモバイルアプリのダウンロードを通じた会員化の促進に取り組みました。また、当事業年度中から利益率改善の取り組みとして、販売促進費や広告宣伝費の抑制を実施した影響で、アクセス数及び流通は減少したものの、利益効率の良い販売体制の構築を実現することができました。品揃えの面では、従前より取り組んでいる自社プライベートブランドにおけるジャンル及び商品数の拡充、ヒット商品の開発、高利益率商品の開発を継続的に取り組みました。
また、創業以来ネット専業で事業を行ってまいりましたが、新たに、これまで培ってきた集客力、商品デザイン力及び価格優位性といった強みを活かしつつ、ネットとリアルを融合した事業モデルへ転換し、当社初となる実店舗を2023年4月に福岡県福岡市に開業し、その後も2023年12月に大阪府大阪市、2024年2月に愛知県名古屋市と、当事業年度において3店舗を開業いたしました。1店舗目の開業以降、実店舗によるLOWYA旗艦店への好影響も少しずつ見受けられており、OMO型D2Cビジネスの確立に向けた検証も継続的に行ってまいります。
損益面におきましては、急激な円安進行による原価率上昇の影響を受けたものの、利益改善の取り組みによるマーケティングコストの削減を中心に、従前より取り組んでいる在庫適正化や適正配送による在庫圧縮、配送費削減の取り組みを継続するとともに、人件費及び固定費の削減にも取り組んだ結果、販売管理費率の改善が実現し、増益となりました。
新規事業として取り組んでいる越境ECプラットフォーム事業(DOKODEMO)は、前事業年度からのインバウンド消費動向の変化に伴い、流通総額も減少傾向となりましたが、出店者の品揃え充実支援やマーケティング施策等の実施により、会員数及びアプリダウンロード数は順調に増加しており、流通総額拡大に向けて引き続き取り組みを進めてまいります。
なお、当事業年度において、当社が保有する投資有価証券のうち、帳簿価額に比べて実質価額が著しく低下したと判断したものについて、投資有価証券評価損110百万円を特別損失に計上いたしました。
以上の取り組みの結果、当社における当事業年度の業績は、売上高は16,063百万円(前期比5.4%減)、営業利益は771百万円(同128.1%増)、経常利益は790百万円(同116.7%増)、当期純利益は394百万円(同227.4%増)となりました。
当事業年度末における財政状態は以下のとおりであります。
当事業年度末における総資産は、7,209百万円(前事業年度末7,151百万円)となり、58百万円増加いたしました。流動資産は6,153百万円(前事業年度末5,956百万円)となり、196百万円増加いたしました。これは主に、商品が290百万円増加し、現金及び預金が142百万円減少したことによるものであります。また、固定資産は1,056百万円(前事業年度末1,195百万円)となり、138百万円減少いたしました。これは主に、ソフトウエアが75百万円増加し、ソフトウエア仮勘定が100百万円、投資有価証券が99百万円減少したことによるものであります。
負債は、1,643百万円(前事業年度末1,847百万円)となり、203百万円減少いたしました。流動負債は1,586百万円(前事業年度末1,796百万円)となり、209百万円減少いたしました。これは主に、未払法人税等が248百万円増加し、未払金が203百万円、未払消費税等が233百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は56百万円(前事業年度末51百万円)となり、5百万円増加いたしました。
純資産は、5,566百万円(前事業年度末5,304百万円)となり、262百万円増加いたしました。これは主に、当期純利益を394百万円計上し、自己株式の取得により123百万円減少したことによるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動により264百万円の収入、投資活動により189百万円の支出、財務活動により234百万円の支出となった結果、前事業年度に比べ160百万円減少し、当事業年度末には1,839百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果として増加した資金は、264百万円(前事業年度は2,043百万円の資金増加)となりました。
これは主に、棚卸資産の増加290百万円、未払金の減少163百万円により資金が減少し、税引前当期純利益を680百万円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果として減少した資金は、189百万円(前事業年度は179百万円の資金減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出74百万円及び無形固定資産の取得による支出83百万円により資金が減少いたしました。
この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は74百万円のプラス(前事業年度は1,864百万円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果として減少した資金は、234百万円(前事業年度は1,099百万円の資金減少)となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出141百万円及び配当金の支払106百万円により資金が減少いたしました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の取引形態は、一般的な製造等における「生産」活動は行っておらず、また、当社は見込み生産を行っているため、記載しておりません。
当事業年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社の主な販売先は不特定多数の一般消費者であり、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
2.Eコマース事業の「リビング・ダイニング家具」にはソファ・チェア・デスク等、「ベッド・寝具」にはベット・寝具・マットレス等、「その他」には、その他の家具・インテリア売上等が含まれております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(売上高)
当事業年度における売上高は16,063百万円(前期比5.4%減)となりました。
当事業年度は、LOWYA(ロウヤ)旗艦店を中心に集客を強化し、SEO・Web広告からの新規アクセス流入、SNS強化による認知度向上及びモバイルアプリのダウンロードを通じた会員化の促進に取り組みました。一方で、第2四半期会計期間において利益重視の方針に転換し、販売促進費の削減に取り組みました。また、第3四半期会計期間より商品の販売価格見直しを実施いたしました。これらの取り組みの結果、当事業年度において全体の売上高に占めるLOWYA旗艦店の割合は42.8%となりました。
今後も引き続き、LOWYA旗艦店強化及びブランド作りに注力し、売上高の更なる成長と利益獲得に努めてまいります。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は771百万円(前期比128.1%増)となりました。
当事業年度は、急激な円安進行による影響を受けたものの、利益改善の取組としてマーケティングコストを中心に人件費及び固定費の削減に取り組みました。また、従前より取り組んでいる保管効率の向上、在庫量の適正化、在庫の適正配置、商品構成の見直し等の物流コスト削減施策に継続的に取り組んでおりますが、当事業年度においても引き続きコスト削減に努めたことで、配送費率はより一層改善されております。
引き続き、商品構成の見直しや高利益率商品の開発による利益改善に取り組みながら、旗艦店強化のための広告宣伝費投下や、システム投資による物流の効率化を実現し、物流コストの抑制を図ってまいります。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は790百万円(前期比116.7%増)となりました。
当事業年度の主な要因は、営業利益と同様であります。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は394百万円(前期比227.4%増)となりました。
当事業年度の主な要因は、営業利益と同様であります。
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、この財務諸表の作成に当たっては、合理的判断に基づき一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映しております。また、これらの見積りについては将来事象の結果に特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社の採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
当社は、より顧客満足度を高めるための高付加価値なサービスを創り続けるため、VR(仮想現実)・AR(拡張現実) 等の最先端技術を活用したサービスの研究開発を行っております。
当事業年度における研究開発費の総額は、