第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

今後の世界経済は、雇用・所得環境が改善する中、各種政策の効果により、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。しかしその一方で、物価上昇や人件費の高騰、中国市場の回復の遅れ等、依然として様々なリスクが存在しています。

このような環境のもと、当社グループでは、2023年度から「安全安心を実現し社会に貢献している ~光の力で夢を現実に変える~」を指針として、第Ⅷ期中期3ヶ年経営計画をスタートさせました。これは、2020年に策定した「スタンレーグループ第3長期経営目標」で示されている3ヶ年ごとの経営計画に、2030年に想定される外部環境を考慮したバックキャスティングによる視点を加えて策定したものです。その中の3つの大きなテーマと経営目標は、以下のとおりです。

 

(1)TADAS思想のものづくり

  あらゆる人々に安全安心を届けたいという思いから生まれた思想が「TADAS」です。全ての機能を無駄にすることなく使い切る、というTADAS思想のもと、あらゆる人々が価値を享受できる価格を実現し、「安くて良いもの」を社会へ提供していきます。

 

(2)光の独自技術で新市場開拓

    悪天候時の運転の安全性を向上させる車載用ランプシステムや、非可視光を用いた製品など、光の価値を追求した独自の技術によって、他社との差別化を明確に図り、新たな製品を生み出し、新市場を開拓していきます。

 

(3)One Stanleyでスピードのある挑戦

    世界中の当社グループ社員が一丸となって、同じベクトルで挑戦し、成果を出していく姿がOne Stanleyです。One Stanleyとなることで、スピードのある価値提供をグローバルで実現していきます。

 

上記のテーマの遂行によって下記の経営目標の達成を目指します。なお、Thai Stanley Electric Public Co., Ltd.の連結子会社化を踏まえ、経営目標を見直しました。

 

         <経営目標>

 

目標

(2025年度)

売上高

(億円)

5,900

営業利益率

(%)

10.5

(責任利益10.0%)

ROE(自己資本当期純利益率)

(%)

8.0

 

 

 

目標

(2023年度以降)

連結配当性向

(%)

30.0

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

当社グループは、経営理念として「光の価値の限りなき追求」、「ものづくりを究める経営革新」、「真に支える人々の幸福の実現」を掲げ、事業活動を行っています。その目指す先は、私たちが生み出した製品や技術が、人々の暮らしの安全・安心に寄与することです。

当社グループのサステナビリティにとって重要なことは、グループ社員一人ひとりが、法令や社会規範の遵守、健全な職場環境の整備、事業活動を通じた社会貢献、人や自然への思いやり、社会とのコミュニケーション・共生を意識して行動することです。

当社グループは、これを「スタンレーグループ行動規範」として定め、持続可能な社会の発展と地球環境の保護に貢献してまいります。

 

①ガバナンス

 当社グループのサステナビリティの推進については、主な委員会・会議体と関係部署を通じ、経営会議にて取り組みの基本方針や施策の審議・決裁を行っています。また、その内容については、適宜、取締役会へ報告しています。

 


 

 

②リスク管理

 当社グループでは、平時からグループ全体を取り巻く具体的なリスクを予見して、そのリスクがもたらす損失に対する予防策を定めるとともに、リスクが顕在化した場合においても、損失を最小限度にとどめるための事後処理対策、再発防止対策などを講じています。

 具体的には「リスク管理規定」を定めて、当社グループにおけるリスクの定義や管理体制、情報管理方針などを明確にすることで、事業継続と安定的発展に必要な準備・対策を、効果的、かつ効率的に講じる環境を整えています。

 また、取締役を委員長とする「リスク管理委員会」が中心となって、リスクの分析や洗い出し、対応マニュアルの整備など、全社的なリスクマネジメントを行っています。「リスク管理委員会」は、有事の発生に関わらず定期的に開催し、「重要リスク」と「リスクシナリオ」の策定と承認及び事業部、主管部署への展開を推進しています。

 

(2)気候変動への対応

①ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載の通りです。

 なお、当該ガバナンス体制及びリスク管理における評価・分析の結果、当社グループの気候変動に関するリスクへの対応として、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進していくことが重要課題であると認識しております。カーボンニュートラルの実現に向けては、「グローバルカーボンニュートラル推進委員会」を設置し、世界中の全社員が同じベクトルで挑戦する“One Stanley”のもと、グローバルで同時期・同一の活動を行い、各工場における施策の共有、課題解決に取り組むとともに、各国の政策や法規制の動向を監視していきます。

 

②リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」に記載の通りです。

 なお、当社グループでは、顕在化すると経営や事業に好ましくない影響が生じる事象をリスクと捉えており、気候変動起因の自然災害も含まれます。近年、自然災害が国内外の事業拠点や取引先拠点各地で発生しており、原材料・部品の供給不足などのリスクが内在し、当社の業績、及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 気候変動がもたらすリスクについては、リスク管理委員会の分析プロセスで検討され、定期的なモニタリングにより、リスクの喫緊性や発現の確度が高いと判断された場合は、他のリスクと同様のプロセスで管理しています。

 

③戦略

当社グループでは、気候関連のリスク及び機会について、事業戦略やバリューチェーンを勘案し、下記の3つの評価軸(財務への影響度合い、発生可能性・実現性、発現時期)で抽出を行い、リスク及び機会として16項目を特定しています。

● 財務への影響度合い:

・『影響大』=調達コスト・税負担等の大幅な増加や追加的な投資コスト等が発生し、戦略の見直しに加え、消費者の行動変容により製品が選択されなくなる(=事業の継続・存続が危ぶまれる)。または、収益の拡大や新たな収益源を獲得し、事業ポートフォリオの変革につながる機会となりうる。

・『影響中』=事業は継続されるものの、調達コスト・税負担等の増加や追加的な投資コスト等が発生し、戦略の見直しが必要となる。または、収益の拡大や新たな収益機会が生じ、持続的かつ安定的な成長につながりうる。

・『影響小』=現行戦略の延長で対応可能。

● 発生可能性・実現性:現状の政策的・科学的な議論に基づき、政策が導入される蓋然性や、リスクの発生確度により判断(「大・中・小」)

● 発現時期:当該影響の発生が想定される時期及び事業戦略策定サイクルを踏まえ、2025年までは短期、2030年までは中期、2050年までは長期と設定。

 

 


 

 

 

・気候変動リスクを低減するための取り組み(レジリエンス強化)

特定したリスクのうち、特に炭素税導入と原材料調達コスト増に対応することが、当社グループの中長期的なレジリエンス強化につながると考えます。そのためには、省エネ活動や樹脂材料の自社開発など、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを着実に推進していくことが重要です。

 

CO2排出削減の考え方としては、再生可能エネルギーに大きく頼ることなく、当社グループの強みである原価低減活動による製造エネルギーのムダ取りに加え、既存に捉われない生産方式や生産技術の導入等、エネルギー効率を良くするものづくり改革(熱を使ったものづくりを減らす)により、環境価値の提供と収益向上の両立を目指します。

 


 

④指標及び目標

 当社グループは、カーボンニュートラルの実現に向けた標として、2021年度には「2030年度:自社の事業活動におけるCO2排出量50%削減(2019年度)/2050年度:カーボンニュートラルの実現」を新たに掲げています。

 

指  標

2030年度目標

2023年度実績(注)

自社の事業活動における
CO2排出量
 (Scope1+2合計)

50%削減

(2019年度比)

11%削減

 

(注) 2023年度実績につきましては、本有価証券報告書提出時点における暫定値となります。
確定値は、2024年秋公表予定の「統合報告書2024」に掲載予定です。

 

 

(3)人的資本

「スタンレーグループ行動規範」における「世界中のあらゆる人々が平等であり、自分と同じ人間として敬意を払い、その人格や個性を尊重する」ならびに人事方針「向上心、向学心に満ちあふれる人を大切にする風土の確立」のもと、公平性、納得性、妥当性のある人事制度を運用しています。従業員一人ひとりが自らの個性と能力を十分に発揮してやりがいを持って働き、安全かつ健康で豊かな人生を送るため、グループ全体で職場環境の整備と人材育成のための仕組みづくりを行っています。

 

①ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載の通りです。

 

②リスク管理

 人的資本に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」に記載の通りです。

 

③戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針と社内環境整備に関する方針)

 中期経営計画に基づき、「競争力のある企業」の実現のため、人材・組織への積極的な投資を行い人材の能力を高めると共に、能力を最大限発揮できる環境を整備することにより新たな価値創出につなげる人的資本経営を進めています。

 経営戦略の遂行に必要な人材を戦略的に採用・育成して人材ポートフォリオを最適化するとともに、多様な人材が心身共に健康で活き活きと働くことができる環境を整備することで強固な人材基盤を構築します。この土台を基に、「働きがい」と「働きやすさ」を向上させる人事制度や人材育成施策を展開して、社員の成長支援と、能力を最大限発揮できる組織開発を推進します。これら施策により、高いエンゲージメントを持つ社員が、「ワークモチベーションにあふれた職場・組織」をつくりあげることで、競争力のある企業を実現し、企業価値の向上を成し遂げます。

 

1)人材育成

〈人材育成計画〉

 個人の目指す姿と現有スキル・経験とのギャップを埋める機会を提供することで、一人ひとりの能力向上を図るとともに職場・組織の活性化・強化を促進しています。上司との面談を通じて、会社の社員への成長期待と各人のキャリアビジョンをマッチングした上で、「人材育成計画」を策定、これに基づいた能力開発とキャリア形成を図っています。社員が自身のキャリアビジョンに基づき、主体的に教育機会を選択できるようにすることで、社員のキャリア実現と成長支援強化を図ります。

〈能力開発制度〉

 研修やローテーションなどの施策を通じた能力向上により、人材の価値を最大化していきます。従来の階層別・職能別研修に加えて、次期経営者などキーポジションの後継候補など、会社の持続的な発展及び企業価値向上を担う戦略人材を計画的に育成するとともに、事業戦略上、必要な技術や知識の習得、蓄積を図るために、専門人材の育成を強化します。

 

 

 

2)健康経営

 2023年度、社員の健康状態を分析した結果から、課題解決のための戦略と実行施策を見える化した「戦略マップ」を策定しています。また、健康投資施策の効果測定を行うため、主要KPIを設定し、実績値の経年比較をホームページで社内外へ開示し、会社全体で健康経営に取り組んでいます。

 その結果、健康経営度評価結果において、2023年度の総合評価(偏差値)は、55.1(前年比+6.8)と大幅に向上し4年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」として認定されました。

 今後は生活習慣の改善施策に取り組み、社員が心身ともにいきいきと健康で働くことで、業務パフォーマンスの向上につなげるとともに、働きやすい環境づくりを進めていきます。

 


 

3)ダイバーシティ&インクルージョン

「全社員がいきいきと働いている」「仕事と家庭が両立できる」「女性が活躍している」環境の実現を目指しています。

2023年度はストレスチェックを強化し、高ストレス者の面談・職場分析結果に基づく職場改善研修・セルフケア、ラインケア研修を実施し、お互いの個性や価値観を尊重し、安心して働ける職場づくりを推進しています。また、次世代育成支援対策推進法の取り組みとして、育児休暇取得後の円滑な職場復帰ができるよう、上司と部下がコミュニケーションできる仕組みの導入や不妊治療をしている社員への支援施策を検討し、キャリアを諦めることなく継続できる環境をつくるとともに、仕事と家庭が両立できる職場を目指しています。

 

④指標と目標[(3)人的資本 ③戦略で記載した方針に関する指標の内容、その指標を用いた目標、実績]

指  標

目  標

エンゲージメントサーベイ
肯定的回答率

2025年度) 2023年度比 30アップ

 2023年度実績(回答率):

 肯定的 30%、中間的 42%、否定的 28%

女性管理職比率

2026年度) 4.0

 2023年度実績:3.7

健康経営度評価(偏差値)

2025年度) 60.0
 2023年度実績:55.1

 

(注) 当社グループに属する全ての会社では指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難であることから、上記指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、本項に記載した見込み、見通し、方針、所存等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。また、事業活動には様々なリスクが内在しており、下記に記載されたものだけが当社グループのすべてのリスクではないことを、ご留意ください。

 

(1) 経済状況について
 当社グループは、日本、米州、アジア・大洋州、中国、欧州等とグローバルに事業を展開しております。そのため、当社グループが製品を販売している国や地域の経済状況の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。

(2) 為替変動等の影響について
 当社グループは、自動車機器製品、コンポーネンツ製品、電子応用製品の製造販売を主な内容とし、さらに各事業に関連するサービス等の事業を展開しております。当社グループの製品は日本国内のほか、米州、その他の地域において販売されており、各地域における為替動向等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 製品の欠陥について
 当社グループでは、世界の各拠点で、世界に認められる品質管理基準のもと、製造を行っておりますが、将来にわたり、全ての製品において欠陥やリコールがないという保証はありません。大規模なリコールにつながるような製品の欠陥は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原材料や部品等の調達及び価格変動について
 当社グループは、樹脂をはじめとした原材料や半導体等部品の調達において、供給不足や仕入価格上昇によるコストアップ等の影響を受ける可能性があります。当社グループでは、生産革新活動による生産性向上をはじめ、様々なリスク回避策に取り組んでおりますが、これらの対策を超えた急激な供給悪化や価格高騰により、当社グループの業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(5) 自動車業界の動向による影響について
 当社グループでは、自動車機器製品が連結売上高の約8割を占めるため、自動車業界動向の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。

(6) 競争環境について
 当社グループ事業の主市場である自動車機器業界及び電子機器業界の価格競争はたいへん厳しいものとなっております。当社グループが属している各製品市場において、競争は今後ますます激しくなるものと予想されます。当社グループでは、競争優位に立つべく、高品質・高付加価値の製品を送り出し続けるものの、他社の抜本的な生産性の向上及び市場の支持を獲得する技術進歩や特許取得等により、当社が将来にわたり、優位な競争ポジションを維持できる保証はありません。これらの競争の結果として当社シェアの低下等により、当社グループの業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(7) 自然災害等について
 当社グループは、地震や火災等の自然災害の発生により、生産能力が低下する可能性に備えて、設備点検等事業継続のために必要な安全対策を行い、リスクの最小化に努めております。
 しかしながら、自然災害による火災、停電等の影響を完全に防止することは不可能であり、自然災害が発生した場合は、以下のようなリスクが内在しており、結果として当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 

・電力供給量の低下等による使用制限、取引先からの原材料・部品調達の供給不足、得意先の生産能力や販売の低下、等

(8) 株式市場の動向による影響について
 国内外の株式市場の動向は、当社グループの保有する投資有価証券の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼします。株式市場が低迷した場合、保有する投資有価証券の評価損の発生や、年金資産が目減りし、会社負担が増大する可能性があります。

 

(9) 訴訟その他の法的手続にかかわるリスクについて
 当社グループの技術開発は、他社製品と差別化できる技術・ノウハウを蓄積してきておりますが、第三者が当社グループの知的財産権を使用し類似した製品を製造することを完全には防止できない可能性があります。
 また、当社グループが事業活動を展開する上で、様々な訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、損害賠償請求、規制当局による金銭的な賦課又は事業活動に関する制約が生じる場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、各種法令を遵守するとともに、訴訟が提起された場合には弁護士事務所等と連携し、対応することとしております。

(10)気候変動に対する影響について
 当社グループは、持続的な成長に向けて「環境と価値創造との調和」を重要課題(マテリアリティ)の一つと位置づけており、その中でも脱炭素への取り組みを喫緊の課題と捉えています。カーボンニュートラルの実現に向けて、自社製造領域においては、再生可能エネルギーに大きく頼ることなく、当社グループの強みである原価低減活動をCO2削減にもつなげ、環境価値の提供と収益向上の両立を目指していきます。

  しかし今後、中期的に見て調達コスト・税負担等の大幅な増加や追加的な投資コスト等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)情報セキュリティを取り巻く環境について
 当社グループは、事業の円滑で効率的な遂行のため、ITシステムを利用し、システムの高度化・複雑化によって利便性が向上しています。また、リスクへの対応として、ITシステムのセキュリティ水準を向上させるとともに、コンピュータセキュリティに関する事故対応チームや情報セキュリティ活動を統括する情報セキュリティ事務局を運営し、万が一の発生時の早期収拾、未然防止に向けた活動を推進しています。

  一方で、ITインフラのシステムダウン、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等により、生産や販売等の基幹システムの不具合、故障・停止が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(12)法律・規制、その他に関するリスクについて
 当社グループは、日本をはじめ、米州、アジア・大洋州、中国、欧州等の諸地域で事業を展開しております。これらの市場での事業展開・進出には、例えば、以下のようなリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

・公正な競争に関する規制、知的財産権、製造物責任、環境、労務、租税、通貨管理等に係る諸地域の各種法令や規則の予期しない変更、各種法令や規則に基づく当局による措置、これらに対応する費用の増加

・不利な政治的要因の発生、テロ、紛争、疫病、その他の要因による社会的及び経済的混乱

・労働環境の変化や人材の採用と雇用の難しさ

 

なお、当社グループでは「リスク管理委員会」を設置し、グループ全体を取り巻く具体的リスクを予見し、そのリスクがもたらす損失を予防するための対策を定めることに加え、危機が発生した場合には安全を確保し、損失を最小限にとどめるための事後処理対策、再発防止策などを効果的かつ効率的に講じることによって、事業の継続と安定的発展を確保することとしております。
 感染症の世界的流行のような不測の事態に備え、地域社会や得意先、取引先、社員など、すべてのステークホルダーへの責任を全うし、社会の安定的発展と当社の事業継続の確保に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 ① 概要

当連結会計年度における世界経済は、欧州で景気が弱含んでおり、中国では景気の持ち直しの動きに足踏みがみられました。一方、日本及びアジア各国では緩やかに回復しており、米国では景気が拡大しました。

以上のような事業環境のもと、当社グループの業績は、自動車生産台数の増加によるプラスの影響がありました。一方で、一過性の過去の品質問題に関わる費用を計上した影響を受けました。また、在外子会社における資金流出事案を受けて特別損失を計上しております。

その結果、当連結会計年度における、売上高は4,723億9千7百万円(前期比7.5%増)、営業利益は358億3千4百万円(前期比2.4%減)、経常利益は480億6千4百万円(前期比7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は264億9千7百万円(前期比0.0%増)となりました。

なお、技術提供先からの技術提供収入については、従来、営業外収益の「受取ロイヤリティー」に計上しておりましたが、当連結会計年度より「売上高」に計上する方法に変更しております。前期比較については、当該表示方法の変更を反映した組替え後の前期の数値を用いて比較しております。

 

経営上の目標の達成状況を判断するための指標は、次のとおりであります。

 

 

目標

前連結会計年度
(2023年3月期)

当連結会計年度
(2024年3月期)

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

8.0

5.8

5.3

連結配当性向         (%)

30.0

30.8

33.9

 

 

2023年4月~2026年3月の「第Ⅷ期中期3ヶ年経営計画」では、世界の優良企業を目指し、ROE8%を目標に設定しております。
 当社グループのROEは、継続的に企業価値を向上する取り組みを行ったものの、一過性の過去の品質問題に関わる費用を計上したことや、在外子会社における資金流出事案を受けて特別損失を計上した影響を受け、2024年3月期は5.3%となりました。引き続きROEを意識し、スタンレーグループのあらゆるビジネス・プロセスの機能が、「ものづくり」に対して価値を提供し、目標達成に向けグループ全体の総合力を最大限に発揮してまいります。
 また、当社は、安定した配当の維持及び適正な利益還元を基本としており、連結配当性向30%以上を目標とする中、2024年3月期の連結配当性向は33.9%となりました。利益還元策として、毎年、自己株式の取得及び消却を実施しております。今後も継続的な安定した配当の維持、適正な利益還元を実施していきます。

 

 ② 売上高及び営業利益について

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

当連結会計年度から、コンポーネンツ事業に含まれていたアクセサリー&デバイス製品の事業区分を見直し、自動車機器事業へ、同じくコンポーネンツ事業に含まれていた一部のUV(紫外光)を活用した製品の事業区分を見直し、電子応用製品事業へ変更いたしました。以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

自動車機器事業における主な製品は、自動車用ランプ、二輪車用ランプ等です。

関連する市場の動向について、自動車生産台数は、アジア大洋州で横ばい、その他の地域で増加となり、世界全体では増加となりました。二輪車生産台数は、米州、欧州、アジア大洋州で増加、日本と中国で減少となり、世界全体では横ばいとなりました。

このような市場環境のもと、当社グループの自動車機器事業は、自動車用ランプでは中国で一部に弱さがみられたものの、米州の販売は堅調に推移しました。また、二輪車用ランプは、総じて堅調に推移しました。営業利益については、生産革新による合理化効果があった一方で、一過性の費用として、過去の品質問題に関わる費用を計上した影響を受けました。

その結果、当連結会計年度における自動車機器事業の売上高は3,874億7千5百万円(前期比9.5%増)、営業利益は260億2千6百万円(前期比3.0%減)となりました。

コンポーネンツ事業における主な製品は、LED、液晶等です。

関連する市場の動向については、車載市場及びLED照明市場は増加、AV家電市場は微減となりました。

このような市場環境のもと、当社グループのコンポーネンツ事業は、自動車生産台数は回復が進んでいるものの、得意先の在庫調整の影響により、車載用LEDが減少しました。また、部材調達費用が高騰したことによる影響を受けました。一方で、非可視光製品のビジネス拡大に注力し、受注を獲得しております。

その結果、当連結会計年度におけるコンポーネンツ事業の売上高は379億6千3百万円(前期比6.4%減)、営業利益は42億1千4百万円(前期比24.3%減)となりました。

電子応用製品事業における主な製品は、液晶用バックライト、操作パネル、LED照明、電子基板等です。

関連する市場の動向については、OA市場が減少、PC・タブレット市場が微減となる一方で、車載インテリア市場及びLED照明市場は増加となりました

このような市場環境のもと、当社グループの電子応用製品事業は、液晶用バックライトが減少した一方で、自動車生産台数の増加により自動車用ランプの制御等に用いる電子基板やパネル製品が増加しました

その結果、当連結会計年度における電子応用製品事業の売上高は1,190億2百万円(前期比7.4%増)、営業利益は134億7千8百万円(前期比13.4%増)となりました。

 ③ 営業外収益(費用)

営業外収益(費用)は、前連結会計年度の81億6千2百万円の収益(純額)から、122億3千万円の収益(純額)となりました。主に、受取利息の増加等によるものです。

 ④ 特別利益(損失)

特別利益(損失)は、前連結会計年度の1千6百万円の利益(純額)から、50億4千6百万円の損失(純額)となりました。主に、減損損失等によるものです。

 ⑤ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の448億8千9百万円から4.2%減少し、430億1千8百万円となりました。

 ⑥ 法人税等

税金等調整前当期純利益に対する法人税等の負担率は、前連結会計年度の23.6%から0.9ポイント減少し、22.7%となりました。

 ⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてVietnam Stanley Electric Co., Ltd.、PT. Indonesia Stanley Electric、Asian Stanley International Co., Ltd.、及び武漢斯坦雷電気有限公司の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度の77億8千万円に対し、当連結会計年度は67億5千6百万円となりました。

 

 ⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の264億9千6百万円に対し、264億9千7百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度の162.32円に対し、162.41円となりました。

 ⑨ 生産、受注及び販売の実績

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 イ 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

自動車機器事業

387,540

11.6

コンポーネンツ事業

18,576

△10.7

電子応用製品事業

65,523

7.8

その他

285

1.1

合計

471,925

10.0

 

(注) 金額は販売価格により、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 ロ 受注実績

当社グループは、主に自動車・エレクトロニクスメーカーに対し部品を中心に納入するメーカーであります。

当業界の受注方法は、メーカーの生産計画について3か月程度前に生産見込数量の連絡を受けた後、納品までの間に確定情報を得る形態が一般的となっております。これらの期間等は得意先ごとに異なり、かつ、納品にいたるまで納入数量・時期・品目が変更されることがあります。

当社グループは、数多くの得意先に対し、極めて多種類の製品を納入しており、それぞれの受注形態に対応して、過去の実績・予測・生産能力等を勘案のうえ生産を行っているので、受注高・受注残高の記載を省略しております。

 

 ハ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

自動車機器事業

386,174

9.6

コンポーネンツ事業

21,724

△12.3

電子応用製品事業

64,423

3.2

その他

75

△37.9

合計

472,397

7.5

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度
(2023年3月期)

当連結会計年度
(2024年3月期)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シー

43,142

              9.8

48,425

10.3

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は7,082億6千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ786億5千2百万円増加しております。要因は、固定資産が414億7千7百万円増加したこと及び流動資産が371億7千5百万円増加したことによるものです。固定資産の増加は、投資その他の資産が増加したこと等によるものです。流動資産の増加は、現金及び預金及び棚卸資産が増加したこと等によるものです。
 負債は1,189億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ254億1千8百万円増加しております。主な要因は、繰延税金負債及び製品保証引当金が増加したこと等によるものです。
 純資産は5,893億6千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ532億3千4百万円増加しております。主な要因は、その他の包括利益累計額が451億9百万円増加したこと及び株主資本が30億8千3百万円増加したこと等によるものです。その他の包括利益累計額の増加は、為替換算調整勘定が増加したこと等によるものです。また、株主資本の増加は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものです。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

自動車
機器事業

コンポーネ
ンツ事業

電子応用
製品事業

その他

調整額

連結財務諸表
計上額

当連結会計年度
(2024年3月期)

231,401

45,962

76,297

3,368

351,234

708,264

前連結会計年度
(2023年3月期)

217,848

46,859

73,943

1,384

289,575

629,611

増減率(%)

6.2

△1.9

3.2

143.3

21.3

12.5

 

 

当社グループでは、事業、機能、地域の3つの軸のグループマトリクス経営を、ものづくりの進化、人づくり、キャッシュの創出により、さらに確固たるものにしていきます。
 当連結会計年度末におけるセグメント資産は、自動車機器事業は2,314億1百万円(前期比6.2%増)、コンポーネンツ事業は459億6千2百万円(前期比1.9%減)、電子応用製品事業は762億9千7百万円(前期比3.2%増)となりました。 

当連結会計年度は、主に自動車用ランプを製造する広島製作所において、「ランプの生産拠点」から「ランプシステムの生産拠点」への改革、及び生産能力の増強を意図した拡張を進めております。なお、調整額のうち全社資産は、余資運用資金(現金及び預金等)、長期投資資金(投資有価証券等)により増加しております。
 当社グループでは、「生産革新活動」で培ってきたノウハウを建物の設計段階から取り入れ、投資効率を最大限に追求した工場として展開し、生産効率を最大限に高めております。
 

 

 

(3) キャッシュ・フロー

 

 

前連結会計年度
(2023年3月期)
(百万円)

当連結会計年度
(2024年3月期)
(百万円)

増 減
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

76,275

65,552

△10,723

投資活動によるキャッシュ・フロー

△56,426

△31,559

24,867

財務活動によるキャッシュ・フロー

△3,821

△25,955

△22,134

現金及び現金同等物に係る換算差額

2,849

8,210

5,361

現金及び現金同等物の増減額

18,877

16,248

△2,629

現金及び現金同等物の期首残高

112,004

130,881

18,877

現金及び現金同等物の期末残高

130,881

147,130

16,248

 

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ162億4千8百万円増加し、1,471億3千万円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、製品保証引当金の増減額の増加109億2千6百万円等による資金増があったものの、棚卸資産の増減額の減少113億1千万円、減価償却費の減少45億6千9百万円等による資金減により、前連結会計年度に比べ107億2千3百万円減少し、655億5千2百万円となりました。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出の増加39億2千8百万円等による資金減があったものの、投資有価証券の取得による支出の減少171億4千8百万円、有形固定資産の取得による支出の減少103億8千2百万円等による資金増により、前連結会計年度に比べ248億6千7百万円増加し、△315億5千9百万円となりました。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式取得のための金銭の信託の増減額の増加94億8千2百万円等による資金増があったものの、自己株式の売却による収入の減少189億9千3百万円、自己株式の取得による支出の増加94億6千9百万円等による資金減により、前連結会計年度に比べ221億3千4百万円減少し、△259億5千5百万円となりました。

主な契約債務は、下記のとおりであります。

 

主な契約債務

合計
(百万円)

1年内
(百万円)

1年超
(百万円)

社債

10,000

10,000

 

社債は2019年4月19日に発行した期間5年の第5回無担保社債であり、2019年4月23日償還の社債償還資金に充当いたしました。

また、当社は資金調達の効率化及び安定性の確保を目的とし、2024年3月31日現在、金融機関5社とシンジケーション方式による総額300億円のコミットメントライン契約を締結しており、資金の流動性を確保しております。

 

当連結会計年度末の自己資本比率は74.0%となりました。また、営業活動によるキャッシュ・フロー655億5千2百万円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△315億5千9百万円であり、フリーキャッシュ・フローはプラスとなっております。

 

翌連結会計年度の設備投資は、主に自動車用ランプを製造する広島製作所において、「ランプの生産拠点」から「ランプシステムの生産拠点」への改革、及び生産能力の増強を意図した拡張を進めており、2024年末に完成を予定しております。財源については、自己資金、助成金及び社債で支払う計画としております。さらに当社グループ最大の研究開発拠点である神奈川県の技術研究所の再構築を計画しています。財源については、自己資金、助成金及び社債で支払う計画としております。

当社グループの資金は、中長期的な展望に立った新製品・新事業の開発及び経営体制の効率化等企業価値を高めるための投資に活用し、企業体質と企業競争力のさらなる強化に取り組んでおります。また、当社は安定した配当の維持及び適正な利益還元を基本としており、連結配当性向30%以上を目標としております。

当社グループは、グローバルにおけるグループ経営の実現に向けて、機動的かつ効率的な資金循環ができる体制の充実を図っております。日本、米州、欧州、中国、アジア・大洋州の5極において、主として統括会社を活用し、為替リスクの低減及び域内の資金循環を実施しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

 ① 製品保証引当金の算定

製品保証引当金は、販売した製品に欠陥が生じた場合、現在入手可能な情報はもとより、過去の修理又は交換実績、並びに、予測発生台数及び台あたり費用等を含む将来の見込みに基づいて、発生する修理又は交換費用を見積り、発生原因の責任割合に応じて個別に計上しております。

当社グループは、製品保証引当金が適切かどうかを常に確認しております。従って、発生が見込まれる製品保証に関連する費用について、必要な金額を引当計上していると考えております。実際の発生は、それらの見積りと異なることがあり、引当金の計上金額が大きく修正される可能性があります。

 ② 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックスプランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 ③ 退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の確定給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、年金資産の期待収益率などの計算基礎が含まれております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名:スタンレー電気株式会社(当社)

提携先(技術導入)

内容

契約期間

OSRAM GmbH                   (ドイツ)

白色LEDに関する特許

該当特許の有効期間中

提携先(技術提供)

内容

契約期間

Thai Stanley Electric Public
Co., Ltd.            (タイ)

自動車用ランプ類に関する技術

2024年4月1日から

2027年3月31日まで(※)

SL Corporation       (大韓民国)

自動車用ランプ類に関する技術

2022年4月1日から

2025年3月31日まで(※)

Lumax Industries Ltd.     (インド)

自動車用ランプ類に関する技術

2022年11月28日から

2025年11月27日まで(※)

提携先(業務提携)

内容

契約期間

三菱電機株式会社        (日本)

車載用ランプシステム事業の共同取り組み

(開発・設計・製造・販売)

2024年1月9日から

2025年1月8日まで(※)

提携先(資本業務提携)

内容

契約期間

本田技研工業株式会社      (日本)

共同開発、人材交流等による

競争優位性の向上

2022年9月27日から

2025年9月26日まで(※)

 

(注)※ 双方合意のもと契約期間を延長することができます。

 

 

6 【研究開発活動】

当社がグループビジョンで提唱している「光の価値の限りなき追求」と「ものづくりを究める経営革新」によって、真に必要とされる価値を創造し、広く社会に貢献することを実現するために、主に「研究開発統括部」「生産統括部」「設計技術統括部」が技術の牽引役となり研究開発活動を行っております。
 「研究開発統括部」では、“光の5つの価値”(光を創る、光で感知・認識する、光で情報を自在に操る、光のエネルギーを活かす、光で場を演出する)を追求するとともに、市場・顧客の動向を把握し、当社が取り組むべき次世代技術を選定し、あらゆる社員が新製品・新事業創出を考える気風を定着させ、世界最高レベルの光関連技術の保持・向上に積極的に取り組んでおります。
 この飽くなき挑戦により、安全・安心な社会ならびにカーボンニュートラルの実現に貢献する技術の開発を推進し、当社グループの主力事業である自動車機器事業、コンポーネンツ事業及び電子応用製品事業の永続的成長と、将来の柱となるスター事業の創出を目指していきます。
 「生産統括部」では、品質を高めるための材料・加工技術開発、及び設備投資や工数を革新的に低減させる生産設備の開発によって、良いものを安くつくる技術をグループ全体に展開していきます。
 「設計技術統括部」では、社会が求める社会課題を解決するためスタンレーにしかできない新技術を“光の5つの価値”を通して早期に具現化し、自動車機器事業、電子応用製品事業の得意先に対し、スタンレーの価値を高めていきます。また、全社共通となるコア技術(配光、デザイン、人間工学、CAE、回路、ソフトウェア、光源、プロセス改革)を常に進化・融合させ、スタンレー技術の根幹を強化し続けていきます。
 今後も「研究開発統括部」、「生産統括部」及び「設計技術統括部」を中心に、“光の5つの価値”を指針とし、地球環境にやさしく、独創的で競争力のある製品を生み出すために、常に挑戦を続けます。
  当社グループの各拠点、各セグメントの技術部門は、顧客に求められる技術及び新製品の創出、技術の進歩による原価低減、設計品質の向上を狙った開発活動を推し進めております。

なお、研究開発費の総額は、22,502百万円であり、内訳は、自動車機器事業に係る研究開発費は13,557百万円、コンポーネンツ事業に係る研究開発費は5,183百万円、電子応用製品事業に係る研究開発費は3,760百万円であります。
 また、当社グループでは、関連会社とも連携をとり開発活動を行っており、当連結会計年度の持分法適用関連会社の研究開発費の総額は、1,438百万円であり、すべて自動車機器事業に係る研究開発費であります。
 なお、持分法適用関連会社の研究開発費の総額は、連結損益計算書の研究開発費の総額には含まれておりません。

 

主な研究開発等
  (1) オプトエレクトロニクス分野
      ・高出力白色LED
       ・高出力赤外LED

          ・高出力深紫外LED

     ・面発光型レーザーダイオード

(2) ディスプレイ分野
     ・超高コントラストLCD
     ・光マイクロスキャナ
     ・ディスプレイ駆動回路

(3) 光源・照明分野
     ・自動車用照明機器 
     ・LED道路照明・屋内照明機器
     ・点灯駆動回路・電源

(4) ソフトウエア分野・CAE技術開発
     ・配光シミュレーション

    ・熱流体シミュレーション
     ・光学デバイス最適形状設計ツール

(5) 材料・加工技術等の開発

(6) 全社製品のスタイリングデザイン

(7) 上記デバイスや関連技術を統合化した応用製品