第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは、「まじめに面白いを創る会社。未来の楽しいを造る会社。」を企業コンセプトとして掲げ、ゲーム・デジタルコンテンツ・WEBシステム・アプリケーションなどの開発業務(派遣契約及び受託開発)及び関連事業を展開しております。

事業区分は、法人向けにソフトウェア開発サービスを提供する「デジタル人材事業」及び「受託開発事業」、個人向けに当社が保有するゲーム関連知的財産を活用し、スマートフォンゲーム、キャラクターグッズなどのサービスまたは商品を提供する「コンテンツプロパティ事業」の3事業に大別され、それぞれの事業がシナジー効果を生み出し、世界に通用するクリエイティブカンパニーとして成長し続けることを事業ミッションとしています。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、上述の経営方針に基づき、セグメント毎に以下の経営戦略を立案し、これを実行しております。

① デジタル人材事業

当社はクリエイティブな技術者が集結する集団として「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」を標榜し、様々な企業に当社のソリューションを提供し、唯一無二の人材サービスの提供を推し進めております。

当事業に従事する当社技術社員は、登録型派遣社員ではなく、正規雇用社員であり、当社独自の研修、教育、セミナーなどを通じて、スキル、経験、人物性(一般教養等)について、一定以上の品質を企業として担保することで、顧客に安心して当該サービスを提供しております。

営業戦略として、これまで当社がゲーム等のエンターテインメント業界で蓄積したクリエイティブな技術力・表現力などを強みに、市場拡大を続けるWEBサービスや企業のDX推進など、当社保有技術がシームレスに活用できる業界への営業活動を展開してまいります。

 

② 受託開発事業

当社の受託開発事業は、「新規開発」「保守・運用開発」「追加開発」「ラボ型開発」と受注区分を4つに大別し、初期開発から運用保守まで全方位的な提案を行うことにより、安定的な受注及び収益構造の構築を目指しております。

開発体制は、案件の状況に応じて適宜デジタル人材事業の人員をアサインすることにより、非稼働要員を出すことなく、コスト効率の良い体制を構築しております。

また、国内IT業界においては、即戦力となる人材は慢性的に不足している状況があり、画一的な採用だけでは技術人材の安定的な確保は困難な状況です。当社グループでは、これらIT人材不足を背景に、今後は外国人人材活用の門戸がさらに広がると見て、ベトナムオフショア事業の要として、株式会社エクスラボを立ち上げ、来るべきIT人材不足に国内からの採用だけではなく、成長著しいアジア諸国と連携する戦略も視野に入れてまいります。

営業戦略として、デジタル人材事業及び当社グループ会社を通じて顧客ニーズや案件のキャッチアップを行い、効率的な営業及び継続的な受注を獲得し、実績の積み上げを行っていくとともに、グループ間における技術力の向上、共有を図ってまいります。

 

③ コンテンツプロパティ事業

当社グループが保有する知的財産を有効活用し、自社による商品開発はもとより、他社を通じて積極的に知的財産を世界規模にて展開し、日本発のコンテンツ文化のグローバルな浸透を図りたいと考えております。

また、営業戦略として、知的財産という商材の特徴上から権利保全を第一に考え、取引実績のある提携先を中心にアライアンスを組み、コンテンツの有効活用及び収益の最大化を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、デジタル人材事業を安定的な事業基盤としながら、受託開発事業及びコンテンツプロパティ事業を新たな収益基盤と捉え、関連企業とも連携しながら、安定した収益の拡大を目指して行きたいと考えております。

このため、当社グループでは、中長期的に売上高規模を100億円超、売上高営業利益率20%の達成を目標に経営指標として管理しております。当社が売上高規模及び営業利益率を重視する理由は、企業として一定程度の売上高規模を確立することで、事業基盤の安定性を確保するとともに、安定した利益成長を継続させることで、新規領域への投資を機動的に行うことが重要であると考えているためであります。継続的な利益確保は安定的なキャッシュ・フローにもつながると考えており、株主への安定的な利益還元を実現するとともに、今後の事業拡大を見据えM&A等への取り組み等についても、資金の状況等を勘案しながら取り組む所存であります。

また、当連結会計年度において売上高は100億円を超えることができたため、新たな中長期目標及び計画の策定に取り組んでまいります。

 

(4)経営環境

① デジタル人材事業

経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(以下、本調査結果」」(2019年4月)によると、今後10年間でIT人材は最大79万人が不足する見通しとなっており、人材の獲得競争の激化だけでなく、IT業務に従事する技術者のアサインも困難になることが想定されます。加えて、ゲームなどのエンターテインメント業界はもとより、今後ますますビジュアル化が進んだソフトウェアが生活に浸透し、5G等次世代通信網規格の普及も後押しとなり、IoT、フィンテック、デジタルサイネージ、先端医療、自動運転、電子商取引等の開発ソリューション需要が着実に見込まれると考えられます。

このような状況下、各企業においては急速に進む業務のデジタル化への対応が要求される一方、慢性的なIT人材不足をどのようにして解決して行くのか具体的な対応が求められる状況となっております。本調査結果によれば、技術人材の採用はますます困難な状況になることが想定されるとともに、IT人材の流動性の向上策も必要との見解が出されています。

即ち、社員にとらわれない流動的なIT人材の活用(派遣・業務委託・フリーランスなど)がますます進み、これらの課題解決を提供する当該事業においては、引き続き堅調な需要が予測されます。

当社グループでは、近い将来予測されているIT人材不足に対し、優秀な人材確保を引き続き積極的に推進するとともに、社内教育・研修システムをさらに充実させ、需要に対するソリューション提供力を高めるべく、事業展開を図ってまいります。

 

② 受託開発事業

総務省「情報通信業基本調査」(2023年3月29日)によると、受託開発ソフトウェア市場は、2021年度実績4兆3,821億円、1企業当たりの売上高は34.4億円となっており、あらゆる業務のIT化、働き方改革等による生産性向上を目的に企業によるシステム投資は底堅いニーズが予想され、市場規模は今後も着実に成長することが見込まれます。

また、直近においては、5G等次世代通信網規格の普及など通信環境も飛躍的な進化を遂げることで、企業におけるシステム構築・運営は重厚長大なスタンドアローン型から軽薄短小なクラウド型へますますシフトして行くと考えられます。

一方、業務効率化などを目的とする企業等においてはIT投資が積極的に取り組まれている状況の傍ら、IT投資に対する費用対効果についてはクラウド環境の普及により、より一層効率的なアウトプットを求められる傾向が見受けられ、投資意欲が積極的でありながらも、案件受注においては技術力、価格競争力など独自の強みを訴求する必要性が増しています。

当社グループでは、このような状況下、従前より強みとしてきたインフラ設計からサイト運用までワンストップのソリューションを提供する全方位的な開発提案をさらに推進し、ベトナムなど海外オフショアも含め、顧客に対するコスト削減提案力を強めつつ、大規模な会員を有するプラットフォーマーなどの主要顧客に対し、当該事業の優位性と実績の強みを訴求し、更なる業容拡大を目指してまいります。

 

③ コンテンツプロパティ事業

経済産業省「知的財産ワーキング・グループ等侵害対策強化事業におけるコンテンツ分野の海外市場規模調査」(2017年)によると、2016年における海外コンテンツ(映画・放送・アニメ・マンガ・音楽・ゲーム・キャラクター物販)の市場推計は5,898億米ドルであり、うちゲームコンテンツの市場規模は801億米ドルとなっています。また、日本市場においてはそれぞれ514億米ドル、127億米ドルとなっており、2022年にはそれぞれ589億米ドル(14.6%増)、179億米ドル(40.9%増)に拡大すると見込まれています。

また、2016年における海外でのコンテンツ市場に占める日本由来コンテンツの割合は4.4%に当たる260億米ドルであり、特にゲームコンテンツ市場に占める日本由来コンテンツの割合は20%に達しています。加えて、海外でのコンテンツ市場の成長率は、日本国内の市場規模の成長率を上回ることが見込まれており、2022年には7,448億米ドル(26.2%増)となり、今後、ゲームコンテンツ市場は1,330億米ドル(66.0%増)に達すると試算されています。特にアジアにおけるコンテンツ市場の成長率は2016年から2022年にかけて156.8%に拡大すると見込まれており、日本由来のコンテンツへのニーズがさらに高まることが予想されます。

当該事業においては、当社グループが保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用した各種ビジネスを展開しております。具体的には、ライセンスサービス・ゲームサービスなどがあり、ライセンスサービスについては、当社グループが保有するゲームタイトルまたはキャラクターなどを、第三者が制作・販売するゲーム、マンガ、小説、フィギュア、カードゲームなど様々な商材へ使用許諾を行い、ライセンス料を得るビジネスを展開しております。

主な保有知的財産として、『桃色大戦ぱいろん』シリーズのほか、1990年代に家庭用ゲームで人気を博した『メサイヤ』ブランドを取り扱っております。特に『メサイヤ』ブランドについては、延べ100タイトル程度のゲームタイトルを有しており、この中においても2018年8月から中国にてサービスが開始され、大ヒットとなったスマートフォン向けゲーム『ラングリッサー』をはじめ、『超兄貴』『重装機兵ヴァルケン・レイノス』『改造町人シュビビンマン』『モトローダー』などの人気タイトルがあり、現在においてもレトロゲームダウンロードサービス等で高い人気を有しているとともに、海外配信等も行っております。

また、グループ会社である「株式会社Dragami Games」「株式会社ネクストン」は、人気ゲームブランドを多数保有するゲームパブリッシャーであり、当社と資本的な関係性を構築することにより、両社の知的財産の更なる有効活用、販路拡大などの相乗効果が期待できると考えております。

今後は、『メサイヤ』ブランドを軸としながら、グループ会社との知的財産の有効活用など様々なライセンス活用や新サービスなども検討してまいります。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当連結会計年度におけるわが国の経済は、このところ一部に足踏みがみられるものの、個人投資や設備投資等が緩やかに持ち直しており、先行きについても、各種政策の効果もあり景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。

このような状況下で、当社は各事業において以下の課題に取り組み、デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクションとして、当社グループの強みである唯一無二の人材サービスを提供することで、当社グループの強みを発揮し、持続的な成長が実現できるよう取り組んでまいります。

 

① デジタル人材事業

(a)エンジニアの確保

当事業における重要な要素は、当社社員であるクリエイターまたはエンジニアであり、現在までに当該社員数とサービス提供先企業数が順調に推移してきたことから、業容を拡大してまいりました。一方で慢性的な技術人材不足は今後も継続すると予想されております。このため、当社では更なるクリエイター及びエンジニアの確保及び社員定着率の向上を図る必要があると認識しております。こうした状況に対し、福利厚生、研修制度、技術交流などを充実させ、社員コミュニケーションの活性化による帰属意識とロイヤルティを高め、人材確保に努めてまいります。

 

(b)サービス提供先の適切な選別

当事業は、これまでエンターテインメント系企業を主要顧客としており、近年スマートフォンアプリ市場の安定的な成長により、市場規模は堅調に推移しております。しかし、エンターテインメント業界は娯楽産業であるため景況感に左右される要素があり、需要の変動が大きく変化する場合があります。このため、当社ではエンターテインメント系企業の顧客に留まらず、クリエイティブなスキルが要求されるインターネットサービス業界など当社社員の技術力をシームレスに活用できる分野へも積極的に参入し、収益の安定化を図ってまいります。

 

(c)技術力の蓄積及び共有

当事業に従事する当社社員は、顧客企業に常駐しているため、社員同士による即時的な技術共有などにおいて課題があります。このため、当社では自社による技術情報蓄積システムを運用し、社員がどのような環境下においても当社が蓄積してきた技術情報を即時に参照できる仕組みを構築しておりますが、今後も技術情報のさらなる蓄積と各種業務の標準化を推し進め、属人的なスキルに偏らない、企業としての技術力の担保をさらに図ってまいります。

 

(d)教育・研修制度の強化

技術者に求められるスキルは日進月歩であり、当社社員であるクリエイターまたはエンジニアにおいても、常に顧客ニーズや技術環境に適したサービスが提供できるよう、社内外の教育・研修制度を通じ、技術力の継続的な向上を図ってまいります。

 

② 受託開発事業

(a)営業体制の強化

効率的かつ機動力のある営業体制を確立するために、営業人員の増加はもとより、デジタル人材事業との連携及び業務提携等によるパートナー戦略の拡充を図り、新規ビジネス機会の創出、パートナー先との協業による複合的なITソリューションの提供等による新たな顧客基盤の確立とさらなる事業の拡大を目指してまいります。

 

(b)ストック型ビジネスの拡大による収益基盤の安定化

当事業においては、「新規開発」「保守・運用開発」「追加開発」「ラボ型開発」の4つの受注区分のうち、「保守・運用開発」「ラボ型開発」がストック型ビジネスとなり、長期的かつ安定的な収益源となります。そのため、顧客に対して業務改善を適宜提案し、信頼関係を構築しながら長期的な顧客との取引が維持できるよう努め、ストック型ビジネスの増大を図ることにより収益基盤のさらなる安定化を目指してまいります。

 

(c)優秀な人材の確保

当事業においては、優秀な人材の確保・育成が今後の経営基盤を維持・拡大するうえで不可欠であると認識しております。技術者については、デジタル人材事業または子会社等との連携により、機動的に優秀な人材を配置することができる強みを持っているものの、プロジェクトの遂行において重要な役割を担うプロジェクトマネージャーについては、不足している状況があります。これらの課題を解決するために、即戦力のキャリア採用を中心に、当社独自の教育・研修制度などを通じて、プロジェクトマネージメント層の育成を一層強化してまいります。

 

③ コンテンツプロパティ事業

(a)収益源の確保

当事業は、自社保有IPやゲームキャラクターを活用したライセンス事業を主なサービス領域として展開してまいりましたが、ライセンス事業にとどまらず、自社製品の強化などを通じ、サービスポートフォリオの拡充に努めてまいります。

 

(b)知的財産権への対応

当事業においては、ゲームタイトル・ゲームキャラクターなどの知的財産を第三者へ許諾することにより、ロイヤルティを得るライセンス事業が伸長しております。許諾先が国内に留まらず、海外においても成果が発生していることから、各許諾地域における商標登録、意匠登録等を適切に行い、模倣品などによる被害が発生しないよう、引き続き権利保全を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス・リスク管理

当社グループは、サスティナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制を構築しております。ガバナンス体制図については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要と当該体制を採用する理由」をご参照ください。また、今後の状況に応じて、サステナビリティに係るリスク管理の強化を検討してまいります。

 

(2)人的資本・多様性について

人的資本・多様性についての取組は、次のとおりであります。

当社グループは、いずれの事業セグメントにおいても、人材こそが最大の財産であるとの基本認識の下、当社の成り立ちから将来の目指すべきポジション、事業内容や取引先など、当社の様々な情報を従業員に丁寧に説明しております。

また、各種社内システムの利用方法やコンプライアンスなどについて学ぶ「入社時研修」、現役社員が現役社員に特定のテーマや技術を教える「テーマ別研修」、クリエイター・エンジニア向けの研修用書籍をデータベース化し、辞書感覚で利用できる「オンライン研修」のオリジナリティを重視した3種の教育、研修制度を実施し、最新の技術トレンドや開発ノウハウを共有し、才能を育む継続的な人材育成に取り組んでおります。また、これらに加え、各種保険制度はもちろん、将来の資産形成のために確定拠出年金制度等の福利厚生制度や、会社負担の社員交流会やクラブ活動など、オフタイムもサポートする制度を豊富に整え、従業員のモチベーションの維持・向上に活用しております。

人材の多様性確保については、当社は年齢・性別・国籍・採用形態などに係わらず、公平な育成・評価・処遇を行なっております。

 

 

3【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針ですが、当社グループ株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)デジタル人材事業に関するリスク

① 法的規制について

当事業は、厚生労働省が指定する「労働者派遣事業」に該当し、厚生労働大臣の認可が必要であります。当社グループでは関係法令の遵守に努め労働者派遣を行っておりますが「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」)に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当したり、法令に違反したりする場合は当該事業の停止を命じられ、事業が営めなくなるリスクがあります。

また、労働者派遣事業と請負により行われる事業の区分に関しては、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(労働省告知第37号)において指揮命令系統の明確化や請負部門の独立化などの点について示されております。当事業における一部の請負契約についても、実質的に労働者派遣とみなされ「労働者派遣法」に違反するような場合には業務停止を命ぜられ事業が営めなくなるリスクがあります。

当社グループでは、業務の健全かつ適正な運営の為、業務の実態の内部監査を実施しており、労働法・労働者派遣法を含む各種法規と照らし合わせて違反となっていないかを調査しておりますが、新たに法規制の緩和や改正などが行われ、当社グループ事業に不利な影響を及ぼす場合、また、これら法令等に抵触したことにより処分等を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

許可・指定・免許・登録・届出の別

有効期限

関連する法令

登録者の交付者

一般労働者派遣事業許可

2025年4月30日

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第5条第1項

厚生労働大臣

取消等となる事由

イ 労働者派遣法(以下「法」という。)第六条各号(第四号から第七号までを除く。)のいずれかに該当しているとき。

ロ 法(第二十三条第三項、第二十三条の二及び次章第四節の規定を除く。)若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

ハ 法第九条第一項の規定により付された許可の条件に違反したとき。

ニ 法第四十八条第三項の規定による指示を受けたにもかかわらず、なお法第二十三条第三項又は第二十三条の二の規定に違反したとき。

 

② エンジニアの確保について

当事業はソフト開発等の技術サービスを提供しているため、エンジニアは重要な経営資源であり、優秀な技術社員の確保が事業拡大の必要条件であります。

技術社員の採用環境については、メーカーにおいては外部環境のさまざまな変化に対応すべく、業種及び企業間により格差が見られますが、収益改善から拡大に向けた採用の拡大も予想されます。当社においても好調な受注状況を背景に稼働率が高い水準で推移しております。そのような環境の中で即戦力技術社員の採用を積極化させております。

今後も開発ニーズ増加により技術社員不足が起こることが予想されるため、効率的かつ効果的な採用活動を行い、技術社員を確保してまいります。また、技術社員とのコミュニケーションの充実を図り、技術社員が働きやすい環境を整えるために社内に技術交流施設を設置し、社員の定着化向上に努めております。しかし、技術社員の確保が十分に行えない場合や技術社員の退社が少なくない場合は顧客企業からの設計開発ニーズ、技術者要請に対応できないことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 多数のエンジニアの常時雇用について

当事業においては、「労働者派遣法」に基づき多数のエンジニアを正社員として常時雇用し、常時100社以上の顧客に対してエンジニアを派遣しております。当社グループは、デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクションとして、デジタルクリエイターという新しい職能ポジションの確立を通じて、ゲーム等のエンターテインメント業界をはじめ、WEBサービス事業者等へ視覚表現力や演出力などクリエイティブな開発スキルを有した人材ソリューションを提供することで、高付加価値・高稼働率が維持されているものと自負しております。

しかしながら、多数のエンジニアを正社員として常時雇用しているがゆえ、経済状況の変化等に伴い、顧客の情勢が劇的に変化し、労働力に対する需要の減少などが発生した場合、エンジニア派遣者数や稼働率の低下、稼働時間、稼働日数、稼働単価の低下等が想定されるとともに、原価率が上昇し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定業種への高依存度リスクについて

当事業は、ゲームや遊戯機器などを提供するエンターテインメント系企業を主要顧客としております。近年におけるスマートフォンアプリ市場の安定的な成長に連動して、本事業も順調に拡大しております。しかし、エンターテインメント業界は娯楽産業であるため、景況感や流行に左右されやすく、今後スマートフォンアプリ市場をはじめとするエンターテインメント業界全体の動向に大きな変化が起きた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合について

労働者派遣事業について厚生労働省より2024年3月29日に発表された労働者派遣事業報告によると2022年度の派遣労働者数は約214万人と対前年比2.6%増となっております。当社の主要顧客であるエンターテインメント系企業においては収益を改善する過程で新製品開発やサービス改良は重要な位置付けにあり、人材のアウトソースの流れは堅調と予測されます。

一方で、技術派遣業界には優秀な技術者の確保、営業力等の質的な差別化が今まで以上に要求され、企業間の競争はさらに激しくなっていくものと考えられます。そのような環境のもと受注競争が激しくなり、同業他社の低価格戦略や取引先からの値下げ要請を受ける可能性もあります。当社グループは提供する技術サービスの質的向上を図るほか設計・開発ニーズの変動への柔軟かつ的確な対応ができる戦略的営業・技術教育の推進により適正な収益を確保しつつ事業の拡大を図るべく努めておりますが、競合が激しくなるなかで受注が十分に確保できない、または技術料金が低下すること等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 顧客の企業機密漏洩について

当事業は、顧客企業に常駐する契約形態であるため、顧客が保有する各種機密情報、新製品開発等の設計に係る重要な情報を取り扱う場合があります。当社グループでは社員入社時に企業機密保持の重要性を認識させるため指導・教育を行うとともに、万が一に備えて事業総合賠償責任保険に加入しております。

しかしながら、万が一顧客の企業機密等が外部に流出した場合、当社グループの社会的信用を失墜させることになるだけでなく、その漏洩による取引解消請求等の恐れがあります。このような場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 業務請負(委託)契約に基づく契約不適合責任について

当事業における一部契約は、業務請負(委託)契約となっており、設計・開発を請負って完成すべき業務の遂行や成果物に対して対価を受領しております。従って業務請負(委託)契約で完成すべき業務や成果物に係る契約不適合責任や製造物責任などの追及を受ける可能性がありますが、当社グループでは、これら契約不適合責任や製造物責任に係るリスクを軽減するために、個別契約(注文書)において、完成すべき業務や成果物の仕様、検収方法を明確に定義しております。

しかしながら、当該追及を受けた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)受託開発事業に関するリスク

① 受注計画について

当事業は、売上種別を「新規開発」「保守・運用開発」「追加開発」「ラボ型開発」の4つに大別し、それぞれの受注確度及び受注済案件の積み上げによって受注計画を作成しております。具体的に「新規開発」、「追加開発」及び「ラボ型開発」は、受注済みまたは受注確度が高い案件の積み上げ、「保守・運用開発」は、受注済み案件の積み上げにて受注計画を策定しております。

しかしながら、受注計画通りに営業活動が進捗せず、失注や顧客の事情により契約が途中終了するなどの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 見積り違い及び納期遅延等について

当事業は、案件の作業工程等に基づき必要工数やコストを予測し、見積りを行っておりますが、すべての案件に対して正確に見積ることは困難であり、仕様変更や追加作業に起因する作業工数の増大により実績が見積りを超えた場合、低採算または採算割れとなる可能性があります。

また、予め定めた期日までに顧客に対して作業を完了・納品できなかった場合には損害遅延金、最終的に作業完了・納品ができなかった場合には損害賠償が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システム障害について

当事業では、新規開発完了後の運用フェイズとなる保守・運用開発案件を複数受注しております。これら保守・運用開発案件は、所謂365日24時間サービスを提供している案件があり、過剰アクセスによるサーバダウンや通信ネットワーク機器の故障及び自然災害や火災・事故等によるシステム障害を回避すべく、サーバの負荷分散をはじめ、各種セキュリティ対策、稼働状況の定期的なモニタリング、異常発生時の対応方法等の手順化などを実施しております。

しかしながら、このような対策を講じているにもかかわらず、予期しない要因によるシステムダウンや外部からの悪意のある攻撃などによるシステム障害が発生した場合、顧客より損害賠償請求を受けるなど当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 契約不適合責任について

当事業は、顧客へ納品する成果物について、高い品質を保つため、当社開発部門による納品前検品、動作確認等の不具合検査を実施しております。

しかしながら、当社グループが顧客に納入した成果物に瑕疵等が発生し、成果物の修繕及び損害賠償請求を受けるなどの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 技術革新について

当事業は、従前より強みとしてきたインフラ設計からサイト運用までワンストップによるソリューションを提供する全方位的な開発提案を推進しております。また、普及が進むクラウド環境をベースとした技術革新について日頃から技術動向のキャッチアップ及びノウハウの蓄積に努めております。

しかしながら、こうした急速な技術革新への対応に時間を要し、技術力において競合他社との競争力が低下するなどの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.について

当事業では、顧客から受注した一部案件について、子会社であるEXTREME VIETNAM Co.,Ltd.へ業務を委託しております。現地子会社では、日本人従業員が常駐するとともに、親会社からの定期的な訪問、プロジェクト進捗会議、マイルストーンレビュー、関連規則の整備等を実施しております。

しかしながら、これらの施策が効果的に機能せず、開発遅延・システム障害・セキュリティ事故・人材流出などの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)コンテンツプロパティ事業に関するリスク

① 知的財産権への対応について

当社グループは、保有するゲームタイトル、キャラクターなどに関する知的財産権の保護に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、管理本部に担当者を配置し、内部及び外部への委託等により調査を行っております。しかしながら、今後当該事業分野において第三者の権利が成立した場合、また、認識していない権利がすでに成立している場合、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。

また、当事業においては、ゲームタイトル・ゲームキャラクターなどの知的財産を第三者へ許諾することにより、ロイヤルティを得るライセンス事業を展開しております。許諾先が国内に留まらず、海外においても成果が発生していることから、各許諾地域における商標登録、意匠登録等を適切に行い、模倣品などによる被害が発生しないよう、引き続き権利保全を図ってまいります。しかし、これらの権利保全が適切に行われなかった場合、本来の商標や意匠を登録することができず、ブランドの有効活用が阻害されたり、模倣品による収益機会の喪失など、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新たなコンテンツの創出について

当事業においては、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も積極的に自社によるキャラクターや新規IP開発など新たなコンテンツの創出に注力していく方針であります。特にコンテンツプロパティ事業については、ゲーム・キャラクターなどの開発のために相当程度の投資が必要になるとともに、製品化まで一定の期間を要します。これら新規コンテンツの創出において、開発の遅延、停滞などによる追加的な支出の発生、あるいは計画通りに収益が確保できない場合においては、投資が回収できず、減損損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)組織体制に関するリスク

① 代表取締役社長CEOへの依存について

当社代表取締役社長CEOの佐藤昌平は当社の創業者であり、また、技術者としての豊富な経験を有していることから、当社設立以来、当社グループの経営戦略、技術開発戦略において、極めて重要な役割を担っております。当社グループは、経営体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の確立に努めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保、育成について

当社グループが事業拡大を進めていくためには、優秀な人材を確保することが極めて重要な要素であると考えており、外部からの人材獲得及び社内の人材育成に加え、人材流出を防止するための環境整備を重要課題として取り組んでおります。しかしながら、ソフトウェア業界での人材獲得競争が非常に激しいことから、必要な人材を必要な時期に十分に確保できない場合及び社内の有能な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報管理について

当社グループは、社員情報をはじめ、運営するWEBサイト等を通じて、利用者の個人情報を取得する場合があります。当社グループでは「個人情報の保護に関する法律」に従い、個人情報の厳正な管理を行っております。このような対策にも関わらず、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害賠償請求等の金銭補償や企業イメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 内部管理体制について

当社グループは、企業価値の向上を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識の下、業務の適正性、財務報告の信頼性確保及び法令遵守の徹底が必要だと考えております。そのため、内部管理体制の充実に努めておりますが、事業の急速な拡大または変化により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないといった事象が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他のリスク

① 投資有価証券の保有について

当社グループでは、一時的な資金運用先として、外貨建てによる社債等の投資有価証券を保有しております。取得に際しては、社内運用規程に基づき、取締役会での決議を経ておりますが、債券相場の著しい下落、為替相場の変動などが発生した場合には、保有する有価証券の評価損が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 為替変動について

当社グループでは、在外連結子会社として、EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.(ベトナム)を有しております。連結財務諸表の作成にあたり、EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.の財務諸表について円換算を行っており、また、当社グループでは、コンテンツプロパティ事業におけるライセンス許諾収益を外貨建てで受領しております。

以上のことから、為替相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外展開について

当社グループでは、国内における慢性的な技術人材の不足という現況を鑑み、受託開発事業については、海外子会社へ業務を委託するなどの事業展開を行っております。

しかしながら、海外での事業活動においては、予期せぬ法律または規則の変更、大規模な自然災害や感染症の発生、政治経済の変化、為替変動、商慣習の相違、雇用制度や労使慣行の相違、不利な影響を及ぼす租税制度の変更等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&A等について

当社グループでは、既存サービスの強化、グローバル展開の加速及び新たな事業領域への展開等を目的として、事業的に関係性の高い企業等の買収等(M&A等)を事業拡大の選択肢の一つとして考えております。これらの取り組みにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施し、各種リスクの軽減を図っております。

しかしながら、M&A等による事業買収等においては、当初想定した効果が得られず、のれんの償却または減損損失が発生するリスクが存在することに加え、出資先企業の財政状況や経営成績によっては、グループ全体の信用低下を招く恐れがあり、そのような場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 重要な訴訟について

当連結会計年度末現在において、当社グループでは業績及び財務状況に重要な影響を与える訴訟は発生しておりません。今後とも、事業運営に係る各種リスクの軽減に努めるとともに、法的リスクに対応できる内部管理体制の構築を進めてまいりますが、当社グループの事業の性質上、デジタル人材事業においては顧客の内部情報に接する機会が多いことから、業務遂行の過程において機密情報に関する紛争等が発生する可能性があること、多数のエンジニアが顧客の構内にて従事していることから、社内のみならず社外の労働者との間にも紛争が発生する可能性があります。受託開発事業においては、納品遅延、契約不適合対応などによる損害賠償請求等、コンテンツプロパティ事業においては、知的財産に関連する使用差止め及び損害賠償請求の訴えを起こされる可能性があります。

また、M&A等の事業戦略の実施に伴い、各種紛争も発生する可能性もあり、これらの紛争が訴訟等に発展し、その顛末によって損害賠償請求や風評被害などが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 法令・規制等について

当社グループの各事業は、現時点の各種法令・規制に従って業務を遂行しております。また、当社グループでは管理部門を中心とする関係部署が業務に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っております。しかしながら、各種規制が新設または強化される場合には、これら規制による各事業への影響、対応などに関する費用が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 自然災害、事故等について

当社グループでは、自然災害、事故等に備え、サーバの分散化、定期的バックアップ、稼働状況の監視によりシステムトラブルの事前防止または回避に努めておりますが、当社グループ本社の所在地である関東圏において、大地震、台風等の自然災害や事故等により、設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、国際的な地域紛争に起因する資源価格の高騰、世界的な金融引締めや急激な為替変動等、経済環境は先行き不透明な状況が続きました。わが国経済においては、このところ一部に足踏みがみられるものの、個人投資や設備投資等が緩やかに持ち直しており、先行きについても、各種政策の効果もあって、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。

一方、当社グループが提供する各種サービスにおいては、これらの影響を直接的に受けることはなく、技術ソリューションを提供する「デジタル人材事業」、ゲーム・各種システム開発などを請け負う「受託開発事業」、当社が保有するゲームタイトル等の使用許諾を行う「コンテンツプロパティ事業」を展開し、取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度における売上高は10,217,437千円(前年同期比15.9%増)、営業利益は1,097,380千円(前年同期比7.1%増)、経常利益は1,448,825千円(前年同期比23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,034,396千円(前年同期比27.0%増)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

(a)デジタル人材事業

デジタル人材事業は、主にゲーム・スマートフォンアプリ・WEB・IT企業などに対し、プログラミング・グラフィック開発スキルを持った当社社員(クリエイター&エンジニア)が直接顧客企業に常駐し、派遣契約または請負契約にて開発業務を行っております。

当連結会計年度においては、企業のDX推進などによる技術ソリューションに対する旺盛な需要を背景に、新規・既存案件とも受注が好調に推移し、稼働プロジェクト数は9,052(前年同期稼働プロジェクト数は8,143)となりました。一方で、国内におけるIT技術者不足に起因する技術社員の採用競争の激化にも直面しており、外部協力会社の開発要員への依存度が高まりつつあります。

この結果、当連結会計年度における売上高は6,122,748千円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は874,812千円(前年同期比7.8%減)となりました。

 

(b)受託開発事業

受託開発事業は、主にデジタル人材事業または当社グループ各社の顧客から持ち込まれるスマートフォンアプリまたはWEB開発案件、大規模会員向けプラットフォームシステムの構築~導入~運用などの案件を持ち帰り形式にて受託し、納品するサービスを提供しております。案件種別としては、「新規開発」「保守・運用開発」「追加開発」「ラボ型開発」の4つに大別されます。子会社の株式会社エクスラボ、EXTREME VIETNAM Co.,LTD.、株式会社EPARKテクノロジーズ、エス・エー・エス株式会社、酒田エス・エー・エス株式会社については当該事業に含まれます。

当連結会計年度においては、企業のデジタル施策への投資拡大を背景に売上高、営業利益ともに順調に推移しました。受注増加や案件規模の拡大が開発リソースの効率化に寄与し、収益性が大幅に向上しております。

この結果、当連結会計年度における売上高は3,919,313千円(前年同期比19.6%増)、セグメント利益は664,578千円(前年同期比72.2%増)となりました。

 

(c)コンテンツプロパティ事業

コンテンツプロパティ事業は、当社グループが保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用し、様々な事業展開を行うセグメントであり、具体的には、ゲーム開発・販売・運営のほかに、当社グループが保有するゲームタイトルまたはキャラクターなどを様々な商材へ使用許諾を行うライセンス事業が含まれております。子会社の株式会社Dragami Gamesについては当該事業に含まれます。

当連結会計年度においては、当社がライセンス許諾したスマートフォン版ゲームアプリ『ラングリッサー』のゲーム販売額に応じたロイヤルティ収益が発生した他、当社保有の知的財産権のライセンスアウトによる収益が発生しております。また、株式会社Dragami Gamesのゲーム販売の収益が発生しております。

この結果、当連結会計年度における売上高は416,021千円(前年同期比19.0%減)、セグメント利益は286,593千円(前年同期比21.1%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末と比べ1,185,238千円増加し、3,532,031千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は761,552千円(前連結会計年度は1,006,897千円の収入)となりました。これは、主に法人税等の支払額438,577千円などがあったものの、未払金の増加164,573千円、税金等調整前当期純利益1,448,825千円などにより資金獲得したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は407,993千円(前連結会計年度は855,018千円の支出)となりました。これは、主に定期預金の預入による支出600,190千円などがあったものの、定期預金の払戻による収入963,165千円などにより資金獲得したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は42,779千円(前連結会計年度は414,931千円の収入)となりました。これは、主に短期借入金の増加額200,000千円があったものの、配当金の支払額164,858千円、非支配株主への配当金の支払額39,361千円などにより資金使用したことによるものであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、業務委託にかかる外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。

当社グループは、運転資金及び設備資金については、自己資金を基本としております。また、金融上のリスクに対応するため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結することで手許流動性を確保しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当社グループで行う各事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(b)受注実績

当社グループの受注は、デジタル人材事業及び受託開発事業におけるものでありますが、当該事業では、その形態から受注金額と販売金額がほぼ同等となるため、記載を省略しております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

デジタル人材事業

5,898,158

17.3%

受託開発事業

3,903,257

19.2%

コンテンツプロパティ事業

416,021

△19.0%

合計

10,217,437

15.9%

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

   至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

   至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

592,999

6.7

1,326,223

13.0

株式会社アイフラッグ

944,671

10.7

591,812

5.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来生じる実際の結果とは異なる可能性がありますのでご留意ください。

 

① 会計上の見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。その作成にあたっては、経営者による見積りや仮定を用いることが必要となります。当社は合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性の存在により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は、8,487,530千円となり、前連結会計年度比1,368,636千円の増加(前連結会計年度比19.2%増)となりました。これは主に、現金及び預金が728,516千円、仕掛品が115,829千円、有価証券が202,333千円、投資有価証券が70,357千円、長期前払費用が96,473千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は、2,666,215千円となり、前連結会計年度比372,783千円の増加(前連結会計年度比16.3%増)となりました。これは主に短期借入金が200,000千円、未払金が162,343千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は、5,821,314千円となり、前連結会計年度比995,852千円の増加(前連結会計年度比20.6%増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が869,351千円増加したことによるものです。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は10,217,437千円(前年同期比15.9%増)となり、前連結会計年度に比べて1,401,424千円増加いたしました。セグメント別の経営成績についての分析は以下のとおりであります。

 

(デジタル人材事業)

主力事業であるデジタル人材事業における売上高は、前年同期比12.5%の増加となりました。

年間プロジェクト稼働数は、9,052となり、前年度実績8,143から909増加いたしました。稼働単価については、2024年3月度実績において707千円となり、前年度3月度実績678千円から29千円の増加となりました。

当事業における重要業績評価指標は、「クリエイター&エンジニア社員数」「稼働単価」「稼働率」であります。当連結会計年度における「クリエイター&エンジニア社員数」は、テレビCM投下による企業知名度の向上効果などから、一定程度の期中採用を確保したものの、売上高の増加に伴うだけの採用数の確保は難しく、協力会社による要員調達プロジェクトが増加しております。その結果、当セグメントにおけるプロジェクト稼働数は順調に増加した一方で、プロジェクト毎の収益率が低下しております。

「稼働単価」については、人材不足といった市場環境の影響により、前連結会計年度に引き続き上昇いたしました。

「稼働率」については、契約締結におけるインターバル期間、休職などの特段の事情を除き、100%となりました。

本事業は創業来順調に成長してきた事業セグメントであり、「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」として、デジタルクリエイターという新しい職能ポジションの確立を実現し、様々な企業に当社のソリューションを提供し、唯一無二の人材サービスを提供することを引き続き目指してまいります。

 

(受託開発事業)

受託開発事業における売上高は、前年同期比19.6%の増加となりました。

当社受託開発部門、株式会社エクスラボ、EXTREME VIETNAM Co.,LTD.、株式会社EPARKテクノロジーズ、エス・エー・エス株式会社、酒田エス・エー・エス株式会社からなる当該事業は、当社受託開発部門及び株式会社エクスラボにおける受注が順調に推移したこと、株式会社エクスラボからEXTREME VIETNAM Co.,LTD.への発注が増加し、開発要員稼働率が順調に推移したことにより、セグメント利益率は上昇いたしました。

当社受託開発部門においては、保守案件を中心にゲーム系顧客からの新規・追加開発案件を受注しました。株式会社エクスラボについては、大口の顧客からの受注拡大に成功し、前期に引き続き売上高・営業利益が大きく伸長いたしました。EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.については、株式会社エクスラボからの受注増に伴い、稼働率が安定化し、収益に貢献することができました。株式会社EPARKテクノロジーズについては、EPARKサービスにおけるグルメ事業に係る受注が堅調に推移しました。

本事業セグメントは、当連結会計年度においては、当社受託開発部門及び子会社の受注が順調に推移したことから、過去最高の売上高・営業利益を計上いたしました。

当社といたしましては、デジタル人材事業を基盤事業としながら、人材派遣に留まらない開発案件については、当社受託開発部門及び受託開発子会社を活用し、開発案件に関する幅広なソリューション提供を行うことで売上高及びグループ全体の利益向上につながるものとして、今後も注力していきたいと考えております。

 

(コンテンツプロパティ事業)

コンテンツプロパティ事業における売上高は、前年同期比19.0%の減少となりました。

当社がライセンス許諾したスマートフォン版ゲームアプリ『ラングリッサー』のゲーム販売額に応じたロイヤルティ収益について、中国・台湾・日本・韓国などのサービス主要地域においてサービス開始からおよそ5年が経過し、ロイヤルティ収益が対前期比で減少となりました。

当社といたしましては、ライセンス許諾というビジネスモデルであるため、ライセンス許諾先の事業運営状況等の変化、サービス提供地域における各種法規制の改廃等などの事象発生に留意しつつ、ライセンス許諾先との連携を強め、事業運営に係る各種協力、他社知的財産とのコラボレーション等などの販売促進へ繋がる施策取り組みなどへの協力、広報活動の強化などにより、収益の継続化に引き続き努めていきたいと考えております。

また、子会社である株式会社Dragami Gamesにおいて、ゲームソフト販売等の収益が発生いたしました。完全新作の発売はなかったものの、販売促進セールの実施、ダウンロードコンテンツの販売など、既存コンテンツを活用しながらコンスタントに収益を確保する販売戦略が奏功し、本セグメントにおいて一定の売上高を確保することができました。

本事業セグメントにおいては、2018年に当社の代表的な知的財産である「ラングリッサー」がライセンス許諾という形でスマートフォンアプリとして中国を起点にアジア地域でヒットしたものの、2017年以降は自社開発・運営タイトルがなく、サービスラインナップの拡充が課題となっております。株式会社Dragami Gamesは、家庭用ゲームソフトタイトルについては、世界的なヒット作となったゾンビアクションゲーム「LOLLIPOP CHAINSAW」(累計販売本数120万本超)、サイケデリックなストーリーが人気を博したミステリーアドベンチャーゲーム「√Letter ルートレター」シリーズ(累計販売本数50万本超)、全世界で好評を博したファンタジーダンジョンRPG「DEMON GAZE」シリーズ(累計販売本数40万本超)、古代日本の若きリーダーたちの葛藤と成長を描く人気タクティクスRPG「GOD WARS」シリーズ(累計販売本数30万本超)など、多数のヒット作を有しております。

当社といたしましては、株式会社Dragami Gamesとの協業等を通じ、当社の保有する知的財産を有効的に活用し、コンテンツプロパティ事業におけるサービスラインナップの拡充を実現するとともに、安定的な収益を確保する手段の確立を目指してまいります。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、7,320,512千円となりました。主な内訳は、給料手当2,156,029千円、支払手数料617,896千円及び外注加工費3,893,601千円であります。

この結果、売上総利益は2,896,924千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、1,799,544千円となりました。主な内訳は、役員報酬183,493千円、給料手当529,997千円及び地代家賃145,405千円であります。

この結果、営業利益は1,097,380千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は、363,541千円となりました。主な内訳は、為替差益181,950千円、有価証券利息60,655千円であります。営業外費用は、12,096千円となりました。主な内訳は、支払利息2,820千円であります。

この結果、経常利益は1,448,825千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は376,988千円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,034,396千円となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの分析・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは事業活動のための適切な資金を確保し、資金の流動性を確保するとともに、健全な財政状態を目指すための安定的な営業キャッシュ・フローの創出が資本財源の最優先事項として考えております。

当連結会計年度においては、営業活動により761,552千円の資金収入を得た一方で、投資活動による収入は407,993千円、財務活動による支出は42,779千円となりました。デジタル人材事業及びコンテンツプロパティ事業による安定的な営業キャッシュ・フローをベースに、投資支出として余剰資金を定期預金・投資有価証券等の取得などに充て、財務支出として長期借入金の返済などを行いました。

デジタル人材事業における堅実なビジネスモデル及びラングリッサー関連のロイヤルティ収益により、盤石なキャッシュポジションを確立しており、現預金、流動性の高い投資有価証券(高格付外債等)の保有残高は、当連結会計年度末時点において5,502,293千円と潤沢な状況にあると考えております。

このような状況を勘案し、現時点では新たな資金の調達を行う計画はありません。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年5月14日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社EPARKテクノロジーズの株式のうち、当社保有分の全部を、株式会社EPARKに譲渡することを決議し、2024年5月15日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。