第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念として、「世のため 人のため 地球のため 社員のため 持続可能な社会を創造します」を掲げ、地球環境の視点から真に必要なものをお客様の企業価値向上に役立つ製品、サービスとして創り出し、子供たちが安心して暮らすことのできる持続可能な社会の実現を目指しております。持続的に調達可能な資源の生産とその循環を長期的な成長戦略として、持続的に調達可能な木質資源(木質廃棄物等)を再資源化した木材チップを紙やパルプ原料、ボード等の建材原料、及び木質バイオマス発電等への石油代替燃料として供給しております。さらには建設現場から生じる木質系以外の建設副産物の再資源化、並びに物流機器の製造・販売及び修理、中古物流機器の買取販売といった環境ソリューションへの取組みにより、資源の循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行と加速、炭素中立型(カーボンニュートラル)経済の実現に貢献するとともに社会全体のSDGs達成へ寄与してまいります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標として、事業規模拡大と収益性の向上に寄与することから、売上高、営業利益に加え、事業の収益力を示す売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。

 

(3) 経営環境

我が国の経済は、地政学リスクや為替変動等によって、エネルギー資源や原材料の価格に与える影響に注視が必要な状況であり、依然として不透明な状況となっております。加えて、資源・エネルギーおよび食糧の需要増加は世界規模での課題となっており、この課題に対処するためには、一方通行で消費する「線型経済」から脱却し、資源の循環利用を実現する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への移行とその加速が求められております。さらに、炭素中立型(カーボンニュートラル)経済、自然再興(ネイチャーポジティブ)の同時実現が必要な時代です。

法規制を背景にした適正な廃棄物処理やリサイクル資源の需要増、より高度な廃棄物処理と再資源化技術の要求、炭素中立型(カーボンニュートラル)経済の実現、国際的な輸出入規制等から、当社事業への社会的な必要性もますます高まっております。

また、2015年に国連総会において持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が採択されたことにより、当社事業とSDGsとの関係性は直結する経営環境となってきております。

当社グループは、再資源化に関わる事業を先駆的に手懸け、潮流を的確に捉えた企業成長を図っており、資源循環・再生可能エネルギー分野に取組む機会が今後も増加していくと考えております。

 

(国内住宅・建設市場)

バイオマテリアル事業及び資源循環事業の主な再資源化の対象物は戸建住宅等の解体材・新築に伴う外壁材、内装材等の各種副産物であり、既設住宅の解体戸数、新設住宅の着工数が影響を及ぼします。新設住宅の着工戸数は2009年以降、リーマン・ショックの影響による落ち込みから回復しましたが、近年においては減少傾向にあり、今後も人口減少に伴い緩やかに減少する予測がなされております。

一方で、少子高齢化により人口が減り始め、使われなくなった家屋(空き家)が社会問題化しております。2015年には「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、所有者に対して解体の勧告及び補助、行政代執行等の各自治体政策が進んでおります。したがって、木質廃棄物の排出量については今後も微増若しくは横這いと予測しております。

 

(木質原料市場)

当社グループの事業と関連性が高い製紙業界・ボード等の建材業界に対して、当社グループは木質廃棄物等を原料に製造した木材チップを製紙原料・ボード等の建材原料用として販売しております。

製紙業界においては、人口減少、インターネットや電子書籍の普及等デジタル化の影響で紙の需要は減少傾向にありますが、再資源化原料の利用推進から当社が扱う木質原料の需要は高まっております。

建材業界は新設住宅の着工戸数と連動して減少傾向にあり、今後も人口減少に伴い緩やかに減少する予測がなされておりますが、再資源化原料の利用推進から当社が扱う木質原料の需要は高まっております。

 

(木質燃料市場)

当社が扱う木質廃棄物由来の木材チップは、植林により持続的に調達可能な資源であり、また燃料利用等で大気中に二酸化炭素として放出されても、森林の成長過程(光合成)で再度吸収されるカーボンニュートラルが可能な資源「木質バイオマス」と社会認識されており、それを用いた製造業でのボイラー燃料利用、木質バイオマス発電での環境需要が確立されております。木質バイオマス発電は、天候に左右されることなく発電が可能なことから、安定した発電事業として期待され、燃料利用市場は増加していくものと見込んでおります。

さらに、輸入された発電用バイオマス燃料については、国内起源のものに比べ輸送距離が圧倒的に長く、その過程における二酸化炭素排出量が大きいため、環境への貢献度に疑念があるとの意見、原油高や円安等による輸入単価の高騰等から、当社が扱う国産の木質燃料の需要は高まっております。

 

(4) 中長期的なグループの経営戦略及び優先的に対処すべき課題

 

① 経営戦略

当社グループでは、経営方針、経営環境を踏まえ、持続的に調達可能な資源の生産とその循環を長期的な成長戦略として、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

当社グループは、その実現のため、設立80周年(2028年2月)に向け、2025年3月期から2028年3月期の4ヶ年での中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」を策定いたしました。

持続的に調達可能な木質資源(木質廃棄物等) の調達、分別、再資源化、供給の一貫したシステムの拡充とその付加価値化(木質バイオマス発電・熱利用等)を重要な経営戦略「植林からエネルギー」と位置付けております。木質資源の有効利用のリーディングカンパニーとして、木質資源を軸にしたサーキュラーエコノミー・再生可能エネルギー時代を牽引し、国内木質バイオマスの量的拡大を図り、木質バイオマスの付加価値化(木質バイオマス発電・熱利用等)に挑戦してまいります。

木質資源を軸にしたサーキュラーエコノミー・再生可能エネルギーの創出の実現のため、再資源化の量的拡大を中期経営計画の重要な戦略としております。工場新設及びM&A等も活用していく方針であります。

そのため、中期経営計画では、重点的に北関東・東北エリアを含む東日本から、九州北部エリアを含む西日本まで全国展開を推進してまいります。

加えて、拠点における事業の多角化・コスト低減のため、既設の「バイオマテリアル事業」の工場に併設若しくは近郊に「資源循環事業」の建設副産物の再資源化工場の展開を計画しております。

また、長期的な需要が見込める木質バイオマス発電・熱利用事業の拡充によって、新たな供給先が確保され、安定的な販売利益を創出することができます。それが当社の更なる拠点拡大につながり、木質資源の調達並びに木質燃料の輸送等における環境負荷やコストの削減にもつながります。

さらに、将来的な自社での発電事業、木質資源の付加価値化(改質利用等)、廃棄物系以外の木質資源の調達(未利用間伐材等)、その他バイオマスの分野(海洋バイオマス等)や食糧安全保障への寄与を目的とした食糧事業にも積極的な研究開発・事業開発を進めてまいります。

 

② コンプライアンス体制の充実

環境関連事業である廃棄物処理業を営む当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」をはじめとした環境関連法規制の遵守を経営上、最も重要な課題と位置付け、法令遵守に対する一層の意識の向上と体制強化を図るため、社内教育や継続的な施策を図り、社会的な信頼をより得る努力を行ってまいります。これに加え、事業の過程で顧客等の個人情報や他社等の機密情報、また当社自身の機密情報を取り扱っております。重要情報の漏洩を防止するための情報セキュリティの強化にも取組んでまいります。

 

③ コーポレート・ガバナンス体制の向上

持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指すために、コーポレート・ガバナンス体制の構築を重視しております。法令遵守と経営の透明性を確保するため、社外取締役の選任、社外監査役の選任、監査役会の設置、任意の指名報酬委員会の設置、代表取締役社長が委員長を務め、子会社の主管部門も含むリスク管理担当者で構成されるコンプライアンス委員会の設置と継続的な改善、内部監査による定期的なモニタリングを実施して、経営と執行に対する実効性の高い監督機能を確立し、様々なステークホルダーの信頼に応えることができる体制の向上を継続して取組んでまいります。

 

④ 人材の確保と育成

 今後の事業展開に合わせた人材の確保、収益基盤を創出できる人材育成が重要な経営課題であると認識しております。

 これらの課題に対応するため、人材多様性の確保及び経営理念に基づき「自ら未来を創造する」人材の育成を基本方針として、教育研修の拡充に取組んでまいります。

また、従業員一人ひとりが創造力をもって「高い安全性、高い生産性、高度な環境技術」を追求できる社内環境整備(安全衛生、従業員の健康確保、技能取得、組織人事評価等)を推進してまいります。

 将来的には、AI・設備等の導入による省人化・無人化を推進し、さらなる生産性の向上を図ってまいります。

 

⑤ SDGsの取組み強化

当社グループの事業は、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)における廃棄物の適正処理及び再資源化の推進、エネルギー問題及び気候変動等の解決に対するソリューションとなるものであり、当社グループは各事業展開を通じて、国際社会の目標達成に貢献できるものと考えております。今般、こうした取組みをさらに推進していくため、カーボンニュートラル推進体制の設置、木質バイオマス発電事業の推進による脱炭素社会の実現、資源循環を目的とした拠点の拡大によるサーキュラーエコノミーの実現、自治体との災害廃棄物対応の強化等、あらゆるステークホルダーとのバランスの取れた関係を一層深化させ、企業価値を高めていくことを目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループにおけるサステナビリティに関する対応は、経営方針やCSR方針のもと次のとおり取組んでおります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

 ①ガバナンス

当社グループでは、気候変動を含む環境・社会課題並びにリスク管理等各種サステナビリティ対応を経営上の重要事項として捉え、カーボンニュートラルプロジェクト体制及びコンプライアンス委員会にて審議し、必要に応じて取締役会において議論し、経営戦略やリスク管理に反映しております。2022年10月にはカーボンニュートラルプロジェクトを発足し、代表取締役副社長がCO2排出量ゼロの達成に向けた取組みの最高責任を担っております。また、コンプライアンス委員会において、リスクの把握と対策を実施し、適切な対応に努めております。統合報告書(FULUHASHI EPO REPORT2023)においても情報開示を実施しております。上記の取組みにおける重要な事項については経営会議や取締役会へ内容を報告しております。

 

 ②リスク管理

当社グループは、地震や台風等の自然災害、業務災害、機密情報漏洩等の様々なリスクに対応するため、「リスク管理規程」を制定し、リスク管理体制の整備及びリスクの予防に努めております。経営上の重大なリスクへの対応方針、その他リスク管理の観点から重要な事項を含め、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会等においてリスクの把握と対策を実施し、適切な対応に努めたほか、取締役会において、当該リスクの管理状況について報告しております。

また、コンプライアンス委員会において、グループ横断的なコンプライアンス・リスクに対応し、リスクの識別及び検討を行うとともに、毎年リスクの洗い出しを行っております。

 

 

③戦略

当社グループは、社会課題解決と企業価値向上の両立を経営の根幹に据えて、サステナビリティの推進に積極的に取組んでおります。事業と関係する社会課題や社会要請が多様化する中、特に重視すべき課題に集中して適切に対応するために、当社グループの事業領域と特に親和性の高い「6つの重点課題(マテリアリティ)」を特定しました。これらについて中長期的な視点で、社会の持続可能な成長と企業価値向上のため、取組みを進めております。

 


 

 <マテリアリティ特定プロセス>

事業活動による社会的な影響や、社会の情勢が当社に与える影響、そしてステークホルダーが当社に求めるものについて、幅広い社会課題から絞り込みました。そしてその中で特に影響度・優先度の高いものを当社のマテリアリティと位置付け、分析を行いました。今後は特定したマテリアリティに基づき、取組み等を設定し、PDCAサイクルを回して進捗管理を行ってまいります。また、本マテリアリティは社会情勢の変化や経営戦略の変更等により、継続的に見直しを行います。


<特定したマテリアリティ>


 

 

(2) 気候変動への対応

当社グループの気候変動への対応に係る考え方及び取組みは、以下のとおりです。

 

①ガバナンス

気候変動への対応に係るガバナンスについては、上記「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載のとおりです。CO2排出量報告については、2023年度は7月に特定事業者として省エネ法における定期報告書並びに中長期計画書を作成・提出しております。

 

②リスク管理

気候変動への対応に係るリスク管理については、上記「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」に記載のとおりです。

 

③戦略

当社グループは環境経営方針を定め、地球温暖化をはじめとする環境保全への取組みを重要な経営課題のひとつに位置付けており、地球環境にやさしい再生可能エネルギーの供給を目的として、国内2ヶ所でバイオマス発電事業に参画しております。また、2022年10月に代表取締役副社長を責任者とするカーボンニュートラルプロジェクトを発足し、CO2排出量ゼロの達成時期及び達成に向けた活動について取組んでおります。

<カーボンニュートラル体制>

本プロジェクトは代表取締役副社長を責任者とし、各部署より選出された担当者によって構成されております。また、各部の担当者を通して現場からも意見の吸い上げを行い、事業活動と並行したカーボンニュートラルの実現に、全社一丸となって取組みます。


 

<環境理念>

私たちは地域環境と未来の子どもたちのために、再生可能な資源・エネルギーのポテンシャルを引き出し、最大限に活用することによって持続可能な社会の実現を目指します。

 

<環境経営方針>

当社は事業の推進に当たり、よりグリーンな経営、生産活動を目指す取組みの基本方針として以下を定めております。

基本方針

1.事業活動、製品及びサービスが環境に与える影響を的確に捉え、技術的・経済的に可能な範囲で環境目的・目標を定め、見直しを行い、環境マネジメントシステム及びパフォーマンスの継続的向上を図ります。

①木質バイオマスの重要性を認識し、積極的な活用を推進します。

②全ての部門で、ムリ・ムダ・ムラを削減、省資源・低エネルギーを推進し、業務の合理化を図ります。

③従業員が健康に働ける職場環境を整えるとともに、環境教育の機会を提供し一人ひとりが環境への意識を向上し、環境保全活動を進めていきます。

④環境情報の開示や発信を通して、ステークホルダーとの信頼関係を築きます。

⑤食の安全保障、再生可能エネルギーの創出、生物多様性の保全、資源の活用と地産地消に努め、持続可能な社会づくりのために必要な活動を展開します。

2.法規制の遵守はもとより、自らの責任において高い目標を設定し、その実現に努めてまいります。

3.環境への汚染をゼロに近づけるため、いっそうの環境保全に取組みます。

4.この方針を達成するために、「環境安全衛生委員会」を組織し、全員参加で環境活動を推進します。

5.この方針は広く一般に公開します。

 

<環境マネジメント>

エコアクション21(EA21)は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)です。環境活動を継続的に改善する手法(PDCA)に基づき、組織や事業者等が環境への取組みを自主的に行うための方法を定めております。当社は2012年よりEA21を導入し、環境マネジメントを継続的に推進するための組織、役割及び責任を定めております。特に毎月開催をしている環境安全衛生委員会における環境活動は、このEA21を主軸としております。EA21の項目に合わせて目標を定め、各拠点での活動状況、拠点独自の取組み内容や数値変化等を情報共有し改善を繰り返し行うことで、当社全体での継続的な環境負荷低減を目指しております。2023年10月時点での更新審査では、新設工場を除く18拠点でのEA21認証継続となりました。当社は引き続き、全拠点でのEA21認証取得に向けて、取組んでまいります。

 

<環境安全衛生委員会>

当社の環境・安全衛生活動を全社に浸透・共有させるために、月に1回環境安全衛生委員会を開催しております。代表取締役副社長を委員長とし、各拠点より活動推進・報告者を選任並びに委員を選出し、『環境』と『安全衛生』の活動について年間計画に沿った各部署での活動状況についての報告や、改善状況の共有を行っております。活動内容は3Rの推進、環境法令のチェック、全体の評価等EA21の項目に沿ったものや、防災訓練や不安全行動の撲滅、作業環境の整備等を行っております。また、従業員の環境意識向上のため、定期的な環境教育を実施しております。2023年度の環境安全衛生委員会では各拠点担当者に向けて、EA21についての活動を行うに当たって必要な知識や審査時の対応についての説明がされ、動画研修が行われました。また、各拠点での数値管理や、計画書の記入・目標設定・評価方法についても改めて説明がされました。また、e-ラーニングを使用した全社的な環境教育も実施しております。

 

④指標及び目標

当社グループは創業100周年となる2047年にカーボンニュートラル達成を目標としております。そこからバックキャストし、2030年のCO2排出量の把握を2019年度比で50%削減することをマイルストーンとしております。カーボンニュートラルプロジェクトでは、特に優先して取組みを進めるべき事業所及び関連する事業活動を選定しました。そして事業活動に伴うCO2排出量の把握と、省エネ診断の実施をベースとし、省エネ性能が高い設備への入れ替えの推進、工場重機の電動化、CO2フリー電力の導入拡大、より環境性能の高い営業車両の使用等に取組んでまいります


 

 

<CO2フリー電力の導入

2020年4月19日より愛知第七工場(半田)において、発電時にCO2排出しない再生可能エネルギー電源(電力会社が保有する水力発電等の再生可能エネルギー電源)に由来するCO2フリー価値つき電力を使用しております。この電力の導入により、CO2フリー電力導入前と比較し、7~8割近くのCO2排出量が削減できました。当社ではカーボンニュートラル及びSDGsへの取組みとしてCO2排出量削減を掲げております。今後も脱炭素社会に向け、再生可能エネルギーのさらなる導入を含めた取組みを積極的に推進していきます。

リサイクル率の向上

2022年度はバイオマテリアル事業においては前年と同様100%のリサイクル率を達成することができました。また、資源循環事業においてもリサイクル率100%を目指していましたが、2021年度半ばから選別基準を改訂したことで、前年度と同じ81.4%となりました。バイオマテリアル事業、資源循環事業におけるリサイクル率100%を目指し、今後も日々処理方法等の改善を図り、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

 

事業活動に伴う環境負荷の全体像

当社では事業活動に伴う原材料、資源やエネルギー等の利用量及び環境負荷量を、INPUT→OUTPUT(インプット・アウトプット)データとして把握し、さらなる環境負荷低減、リサイクル率の向上に向けて様々な取組みを進めております。よりグリーンな経営、生産活動を目指すことを環境経営方針に掲げ、各拠点において「上下水道の使用量削減」や「ムリ・ムダ・ムラの削減」「省資源・低エネルギー化」を推進しております。


 

 

(3) 人的資本

人的資本に係る考え方及び取組みは、以下のとおりであります。なお、以下に記載する事項は当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

①ガバナンス

人的資本に係るガバナンスについては、上記「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

②リスク管理

人的資本に係るリスク管理については、上記「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」に記載のとおりです。

 

③戦略

当社グループは経営理念に基づき、新しい事業可能性にチャレンジし、持続可能な社会を創造していくことをミッションとしております。今後の事業展開に合わせた人材の確保と多様性、収益基盤を創出できる人材育成が重要な経営課題であると認識しております。

これらの課題に対応するため、人材多様性の確保及び教育、職場環境の整備を推進させてまいります。

 

<人材育成方針>

経営理念に基づき「自ら未来を創造する」人材の育成を基本方針として、行動指針に沿い従業員の意欲を向上できる教育研修(ブラッシュアップ研修、階層別研修、職種別研修、e-ラーニング研修等)の拡充に取組んでおります。

 

行動指針「FULUHASHI Spirits」

 1.新しい可能性にチャレンジし、持続可能な社会を実現します。

 2.お客様の立場に立って考え、ニーズに応えます。

 3.プラス発想と行動力で付加価値を高めます。

 4.知性・技術・感性を育て、使命感を持って仕事に取組みます。

 5.豊かなこころでユーモアを忘れず仕事を楽しみます。

 

<社内環境整備方針>

従業員一人ひとりが創造力をもって「高い安全性、高い生産性、高度な環境技術」を追求できる社内環境整備を基本方針として、安全衛生、従業員の健康確保、技能取得、人事評価、人材多様性の確保(女性活躍推進、仕事と育児の両立支援等)を推進してまいります。

 

④指標及び目標

上記方針に関する指標及び目標と実績は以下のとおりです。

指標

2027年度

2023年度

 

目標

実績

女性管理職比率(注)

7

3.5

男性育児休暇取得率(注)

100

25

 

(注)「女性管理職比率」「男性育児休暇取得率」は、当社グループにおいて主要な事業を営む当社単体の計数としております。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者への情報開示の観点から積極的に開示しております。

当社グループはこれらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本稿以外の記載内容も含めて慎重に検討したうえで下す必要があります。

また、以下の記載は将来において発生する可能性のあるリスクの全てを網羅するものではありません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制について

① 廃棄物処理等に関する法的規制等について

当社グループのバイオマテリアル事業及び資源循環事業については、事業活動の前提となる重要な法的規制として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、「廃棄物処理法」)があり、産業廃棄物の収集運搬及び中間処理等に関する許可、処理及び保管、委託契約、マニフェストに関する基準等が定められております。事業展開において当該規制を受けております。

また、両事業においては、廃棄物の収集運搬過程では道路運送車両法、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法、処分過程においては労働安全衛生法、環境保全やリサイクルに関する諸法令等の他関連する各種法令・規則・条例等の規制を受けております。

これら法令等に違反する行為を行った場合は、違反意図の有無にかかわらず、行政機関である地方自治体から行政処分や行政指導を受ける可能性があり、取得している許認可等が取り消された場合には、当社グループの社会的信用、事業展開、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、「廃棄物処理法」は、1997年と2000年に大改正が行われたほか、以降も継続的に改正が実施されており、廃棄物排出事業者責任や処理委託基準、不適正処理に対する罰則等の規則が強化されております。2010年の改正では、廃棄物排出事業者責任の強化のための規定が多数追加され、廃棄物排出事業者による処理業者に対する監視も厳しくなってきております。また、2000年6月には「循環型社会形成推進基本法」が制定され、廃棄物を再生可能な有効資源として再利用すべくリサイクル推進のための法律が施行されており、引き続き現在も法改正の検討が進められております。加えて、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」等の各産業や素材別のリサイクル関係法令が整備されております。環境問題に対する関心や廃棄物の再生資源としての循環的利用、環境負荷の低減等に対する社会的ニーズの高まりやそれらに対応する政策推進等により法的規制強化が生じる可能性があります。

当社グループは、今後も廃棄物処理及び再資源化等の領域における規制変化をビジネスチャンスと捉え、法令改正等の動向をモニタリングすることにより事業環境の変化やリスクの早期把握及び体制整備を図ったうえで積極的な事業展開を図っていく方針でありますが、予期せぬ法令等の改正又は制定により当社グループの事業運営に何らかの制約が生じる可能性があり、対応が遅れる又は困難となる状況が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② その他の法的規制等について

当社グループの環境物流事業及びその他事業における各事業サービスにおいて、「古物営業法」、「警備業法」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)」、「職業安定法」及びその他関係法令による法的規制を受けております。

当社グループは、各種法令順守に係る対応を推進しておりますが、これら法令等に違反が生じ行政処分等が生じた場合や法改正等により事業展開に制約等が生じた場合等においては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法的規制の変更等の外部要因に起因するリスクについては、関連法令の改正等の動向をモニタリングすることにより顕在化のリスクを早期に把握し体制の整備を行う方針でありますが、係る外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積ることは困難であると認識しております。

 

③ 許認可等について

当社グループは、事業展開に必要となる廃棄物処理法等の重要な各種許認可等を取得しております。許認可の多くは一定期間における更新を要するものがあるほか、事業許可に係る停止又は取消し要件が定められております。不法投棄、マニフェスト虚偽記載等の違反行為、処理施設基準の違反、申請者の欠格要件(廃掃法第14条第5項第2号)等に関しては、事業の停止命令あるいは許可の取消しという行政処分が下される可能性があります。

なお、当社グループは、管理体制強化及び法令順守徹底に努めており、現時点において停止又は取消し事由に該当する事項はないものと判断しておりますが、仮に、当該要件や基準に抵触した場合には、当社の主要な事業活動に重要な支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業環境について

① 住宅及び建設業界等の動向について

当社グループのバイオマテリアル事業及び資源循環事業において取り扱う廃棄物は、建物解体時又は住宅建設現場において排出される木材(木くず)等の廃棄物が多くを占めております。

当該廃棄物の排出量は国内の住宅着工動向に少なからず影響を受けており、経済活動や不動産市況等により住宅建設業界等における工事量減少が生じた場合には、当社グループにおける廃棄物リサイクル処理量が減少するとともに、それを原料として製造する木材チップ製品の供給減少につながる可能性があります。

当社グループにおいては、住宅着工件数等の動向をモニタリングすることにより事業環境の変化やリスクの早期把握及び体制整備を図ったうえで、営業範囲や処理単価等の対策を図っていく方針でありますが、今後においても当該影響を排除することは困難であり、当該動向により業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 国内及び海外における物流動向について

当社グループの環境物流事業においては国内及び海外(タイ及びベトナム)において物流機器の販売等を展開しており、当該各地域における景気動向及び物流動向等に影響を受けております。現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって当社グループの各地域顧客等において物流量の低迷が継続する企業も多く、当該状況が継続した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合等について

当社グループが事業展開するバイオマテリアル事業及び資源循環事業に係る領域においては、各地域において中小・中堅企業が多数存在しており、競合企業には、一般廃棄物その他の産業廃棄物取扱いを基盤とする事業者や、特定廃棄物のリサイクル工場、焼却処理施設、最終処分場を基盤とする事業者等があり、これら企業との競合が生じております。

当社グループは、主に東海地区及び関東地区を基盤として建設系廃棄物処理を展開しており、今後は環境対応や廃棄物リサイクルへのニーズの高まりへの対応として、より高度な廃棄物処理と再資源化の設備投資実施、廃棄物排出事業者からリサイクル資源利用者までを含めた総合的な廃棄物循環処理サービスの構築の推進等により競合事業者との差別化を図っていく方針であります。しかしながら、新規事業者の参入、既存事業者の拡大や業界再編等の環境変化や処理需要の著しい減少等により価格競争を含む競合激化が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、環境物流事業においても国内外各地域における企業との競合が生じており、需要が十分に回復しない状況において競合激化等が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) バイオマテリアル事業における事業構造について

当社グループの主力事業であるバイオマテリアル事業は、廃棄物排出事業者からの廃棄物リサイクル処理受託による収入(売上高)及びリサイクル処理により製造される木材チップ販売による収入(売上高)の双方を獲得する事業モデルを構築しております。

当該事業モデルにおいては、再資源化の処理受託及び木材チップ販売のバランスを確保することが重要であり、処理受託量が減少した場合は、チップ製品供給に悪影響を及ぼすほか、外部調達(商品仕入)による費用増加等が生じる可能性があります。一方で、大口販売先等における設備稼働停止や購入抑制等により木材チップ販売需要が減少した場合には、再資源化の処理受託の受入れを抑制させる又は余剰製品保管のための外部保管施設確保による費用増加等が生じる可能性があります。

当社グループにおいては、再資源化の処理受託拡大のため顧客獲得の強化及び処理工場新設等を実施しており、一方で木材チップ販売においては安定需要先となるバイオマス発電事業者の開拓を推進しております。

しかしながら、今後において両者の需給バランスが著しく悪化する状況が生じた場合には、当社グループの事業展開、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) バイオマス発電所プロジェクトへの参画について

当社グループは、バイオマテリアル事業における木材チップ販売の安定供給先の確保等を目的として、他社が展開するバイオマス発電所プロジェクトに出資を行っております。

2008年8月においては、川崎バイオマス発電所プロジェクトに係る参画を目的として、ジャパンバイオエナジー株式会社及びジャパンバイオエナジーホールディング株式会社への出資(両社とも現持分法適用関連会社)を実施し、2011年2月より同発電所燃料用チップ製品の供給を開始しております。また、2017年4月においては、CEPO半田バイオマス発電株式会社への出資を行い、2019年10月より燃料用チップ製品の供給を開始しております。

上記発電プロジェクトにおいては、発電所隣接地に当社事業所設置し、長期契約に基づく木材チップの供給を行っておりますが、発電設備の稼働状況その他要因により長期的に供給量が減少する場合は事業採算悪化が生じる可能性が、また、木材チップの供給量確保に支障が生じた場合は取引関係に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、出資については採算性や投資回収期間を十分に検討したうえで実施しておりますが、必ずしも計画どおりの成果が得られる保証はなく、今後の業績その他の動向等により減損損失等を計上する可能性があり、当該側面においても当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製品に係る品質等について

当社グループは、顧客の要求に基づき品質管理基準を定める等、各種製品の生産体制を構築しておりますが、何らかの要因によりチップ製品における異物混入等の品質トラブルや製造物責任に係る事故が発生した場合、当社グループの信頼性低下や多額の費用負担が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、事業所の設備トラブル、品質問題、原料調達その他の問題に起因して、顧客への納入期限に対して遅延が生じた場合、信頼性低下等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材確保について

当社グループは、継続的な事業成長のため、営業や生産等の優秀な人材確保が重要であると認識しており、継続的な人材採用及び教育を実施しております。また、福利厚生等の充実により人材定着に努めておりますが、国内及び各地域における人材雇用・採用環境の変化等により、人材確保が困難となる場合、社内人材の流出が継続する場合、人材獲得又はつなぎ止めのための費用増加が生じる可能性があるほか、著しい人材流出が生じた場合には事業運営に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 外注事業者の活用について

当社グループにおいては、廃棄物処理に係る収集運搬業務の一部、廃棄物に係る2次処理及び最終処分業務等について、外部事業者を活用しております。外注先企業については、選定基準を設けるとともにサービス品質や法令順守状況その他を確認のうえで決定しております。また、マニフェストによる処理状況の確認とともに視察等による現地確認も実施しております。

しかしながら、当社グループの外注業務において法令違反等を含む契約不適合等が判明した場合、その管理責任を問われる又は信頼性の著しい棄損が生じる可能性があり、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 事業所展開及び運営等について

 ① 事業所展開について

当社グループの廃棄物に係る処理工場設置等については自治体等行政当局の許認可取得が必要となります。当社グループにおいては、各種許可基準に合致する事業所設備建設や近隣住民との合意取得等に努めておりますが、許認可取得が困難となる場合は当社グループが企図する事業展開に制約が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、既存事業所においては、行政当局より事業所設備や廃棄物又は製品保管量、安全衛生等に係る状況について重大な指摘等を受けた場合、対応のための費用発生や操業継続に支障が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 近隣環境への対応について

当社グループの事業においては、産業廃棄物等に係る解体工事現場や中間処理過程において、騒音、振動、粉塵等が発生します。当社グループは、法令に定める基準等を考慮のうえで、近隣への影響等を含めて細心の注意を払いつつ発生低減に努めております。しかしながら、不測の事態等により基準を超えて発生した場合又は基準以下においても近隣住民からの苦情・トラブル等が生じた場合、操業継続に支障が生じる又は対応に多額の費用が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、規制強化等により新たな対応が要請された場合についても、追加費用等により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 火災事故について

当社グループは、再資源化の処理施設において木質廃棄物等を大量に取り扱っており、常時の設備点検・維持管理・整備の徹底を図るとともに、火災事故発生防止を含めた管理体制を構築しております。

しかしながら、万が一、火災事故等が発生した場合には、施設が損傷・倒壊・破壊した場合、事業所の一部又は大部分が停止状態となるほか、被害が周辺地域まで及んだ場合には、当社グループに対する信頼性低下や多額の損害賠償請求等が発生する可能性があり、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 ④ 労働災害について

当社グループの再資源化の処理施設等においては、多数の人員が現場作業に従事しております。各事業所においては、安全衛生対策の実施、マニュアル整備、人員教育の実施等により労働災害防止に努めております。

しかしながら、事業所人員について不測の事故又は重大な労働災害が生じた場合、一時的な操業停止や対策等に多額の費用が必要になる可能性がある等、事業所運営に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 自然災害等について

当社グループの営業エリアにおいて、台風・豪雨、地震等の大規模な自然災害や、感染症の蔓延等の不測の事態が発生した場合は、工場設備の損壊や当社従業員の勤務困難、物流の停止、顧客企業の事業所操業停止等が発生し、事業運営の継続が困難となる可能性があります。

当社グループにおいては、緊急時に備えてリスク管理規程の策定、BCP対策の構築等を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 訴訟等について

当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、国内外の事業活動において、当社グループ各社の法令等に対する違反の有無に関わらず訴訟の提起を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 減損損失について

当社グループは、国内においては東海地区及び関東地区に複数の再資源化の処理施設等を、海外においてはタイ及びベトナムの生産施設等を有しております。これらの事業拠点については継続的な事業拡大及び最適化に努めておりますが、経営環境の著しい悪化等による収益性低下や市場価格の下落等が生じた場合、当該事業拠点に係る固定資産について減損損失を計上する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは今後において新たな再資源化の処理施設に係る設備投資を計画しております。当該設備投資の決定に際しては、市場調査を実施のうえで事業計画を策定しておりますが、必ずしも当社の想定どおりに推移する保証はなく、低迷が継続した場合には業績圧迫要因となるほか減損リスクも生じることから、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 情報セキュリティ等について

当社グループは、事業の過程で顧客等の個人情報や他社等の機密情報、また当社自身の機密情報を取り扱っております。

システム障害発生時の迅速な対応を整備するとともに、個人情報への不正アクセスやその漏洩、消滅、改ざん等の防止対策として、ファイヤーウォール導入等のセキュリティ強化、個人情報保護に関する法令や社会的規範の遵守のため、役職員に対して情報管理の教育等に努めておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス、その他予測不可能な事象等により、ハードウエア、ソフトウエア及びデータベース等に支障が発生し、その結果、機密情報の消失や漏洩、業務の中断又は遅延、修復のための費用や損害賠償責任等が生じて信用、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況
a 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済・社会活動の正常化が進むとともに、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化による資材・原料価格の上昇、資源・エネルギー価格の高止まり、円安の進行や物価高など、景気の先行きは依然として不透明な状態が続いております。

そのような経済情勢の中、当社グループでは世の中のエネルギー資源の利用環境を効率化し、サステナビリティ社会の実現に貢献するため、木質廃棄物の再資源化処理を中心に事業の拡大を図っております。特に従来、廃棄あるいは有効活用できていなかった“木質廃棄物”を再資源化し、再生可能エネルギーの原料として“燃料チップ化”する「バイオマテリアル事業」と、住宅建設に際して発生する“建築副産物”を再資源化して循環型社会を目指す「資源循環事業」の中心的な2つの事業について、さらなる利益確保のため拠点の拡大、拡充を実施してまいりました。

なお、当連結会計年度においては、当社は事業拡大による従業員の増加に伴い、退職給付債務の金額の算定精度を高め、退職給付費用の期間損益計算をより適正に反映させるため、当連結会計年度末より退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法に変更しております。また、当社の出資先であるCEPO半田バイオマス発電株式会社における減損損失計上により、当社が保有する同社株式の実質価額が著しく低下したため、特別損失として投資有価証券評価損98,799千円及び債務保証損失引当金繰入額514,477千円を計上しております。

その結果、当連結会計年度の売上高は8,753,627千円前連結会計年度比108.4%)、営業利益は1,039,689千円前連結会計年度比123.9%)、経常利益は1,246,183千円前連結会計年度比118.7%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は263,265千円前連結会計年度比35.4%)となりました。

 

各セグメント別の状況は以下のとおりです。

なお、当連結会計年度より、当社グループの主要な経営管理指標(経営資源の配分の決定や業績の評価等の検討に使用している経営指標等)を経常利益から営業利益に変更したことに伴い、セグメント利益も経常利益から営業利益に変更しております。

この変更に伴い、前連結会計年度のセグメント利益又は損失も営業利益又は損失に変更したうえで比較しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表に関する注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

<バイオマテリアル事業>

「バイオマテリアル事業」では、住環境の改善や発展、環境保全や改善によって不可避的に発生する「木質廃棄物」を当社の加工技術で製造した“燃料チップ”は、再生可能エネルギーの原料として、資源循環型社会の実現に寄与するものであります。特に円安等による輸入燃料及び輸入木材の価格高騰の影響により、国内の木材チップへの需要は増加しており、当社の高品質な木材チップへの需要も引き続き増加の一途を辿っております。木材チップの原料調達におきましては、昨年度開設いたしました岐阜第二工場(大垣)及び西東京工場(入間)が順調に稼働し、入荷数量は堅調に推移いたしました(前連結会計年度比113.9%)。木材チップ販売につきましては、主要顧客であるCEPO半田バイオマス発電所において、引き続き輸入バイオマスの仕入価格高騰の影響もあり、当社からの出荷増に繋がっております。また、販売単価の改定効果として平均単価が前連結会計年度比104.3%となりました。以上の結果、セグメント売上高は6,275,353千円前連結会計年度比112.7%)、セグメント利益は896,429千円(前連結会計年度比120.6%)となりました。

 

 

<資源循環事業>

住宅建設の際に発生する建設副産物を当社が再資源化し循環型社会の実現を図る「資源循環事業」では、住宅市場の動向を注視することが重要となります。住宅資材の高騰とそれに連動した住宅価格水準の高騰などの要因により、直近の住宅着工件数は前年度比7.0%減となりましたが、分譲戸建て住宅に関しては、販売数を維持する状況でありました。こうした中、当社グループでは、既存顧客でもある住宅メーカー等の期待に応える営業方針の徹底により、当事業領域におけるシェアアップを図るとともに、全国展開する顧客取引先に対して対応可能な営業体制を構築することで受注量の増加に繋げました。また、関東における2つ目の拠点として、柏リサイクルガーデンが計画より2か月早く2023年8月に稼働を開始いたしました。以上のように営業活動を推し進めた結果、セグメント売上高は1,561,172千円前連結会計年度比101.0%)、セグメント利益は79,960千円(前連結会計年度比70.3%)となりました。

 

<環境物流事業>

木製パレット等の物流機器の製造・仕入・販売を展開している「環境物流事業」では、物流資材のリユース・リニューアルサービスに注力いたしました。特に、物流業界では2024年問題への対応により生じる不要物流機器の再利用等、一連の製品ライフサイクルを踏まえた物流機器買取、また、中古リニューアル品の販売では顧客ニーズにあわせたリメイク商品提案やイニシャルコスト削減商品としての提案等により販売に注力いたしました。一方で、顧客側の荷動きの低調さによる影響で、当社シェアは維持しているものの販売数量が減少した結果、セグメント売上高は752,065千円前連結会計年度比96.5%)、セグメント利益は6,223千円(前連結会計年度は、2,606千円のセグメント損失)となりました。

 

<その他>

気候変動問題への取組みとして、世界的に2050年のカーボンニュートラル実現に向けた検討が進んでおります。官民における環境問題対策への需要を着実に取り込んだことにより、TCFD「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」及び製品・サービスのライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価するライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)支援等のカーボンニュートラル関連における環境コンサルティングサービス事業が伸長しました。一方で、スポット案件の住宅等の解体工事及び人材派遣業に関連した清掃業務が減少したことにより、セグメント売上高は475,215千円前連結会計年度比93.1%)、セグメント利益は56,887千円(前連結会計年度比172.7%)となりました。

 

(ROE(自己資本利益率))

ROE(自己資本利益率)は、親会社株主に帰属する当期純利益が480,457千円減少したことにより、前連結会計年度より15.6ポイント低下し5.2%となりました。

 

b 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度における資産合計は11,325,947千円となり、前連結会計年度末から14,424千円増加しました。主な要因は以下のとおりであります。

流動資産は前連結会計年度末から204,672千円減少しました。これは主に現金及び預金が173,264千円、受取手形、売掛金及び契約資産が36,941千円減少したことによるものです。

固定資産は前連結会計年度末から219,096千円増加しました。これは主に、保険積立金の一部を解約したことにより保険積立金が199,999千円減少したものの、柏リサイクルガーデンの新設、既存工場の生産性向上を目的とした設備投資及び愛知第八工場(一宮)建設予定地の土地を取得したことなどにより、建設仮勘定が199,881千円、土地が109,542千円、リース資産が85,398千円、機械装置及び運搬具が12,753千円増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度における負債合計は6,302,150千円となり、前連結会計年度末から43,080千円増加しました。主な要因は以下のとおりであります。

流動負債は前連結会計年度末から196,277千円減少しました。これは主に、短期借入金が200,000千円減少したことによるものです。

固定負債は前連結会計年度末から239,358千円増加しました。これは主に、長期借入金が481,143千円減少したものの、債務保証損失引当金514,477千円を計上したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度における純資産合計は5,023,797千円となり、前連結会計年度末から28,656千円減少しました。主な要因は以下のとおりであります。

資本剰余金は前連結会計年度末から16,757千円増加しました。これは譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分差益を計上したことによるものです。

利益剰余金は前連結会計年度末から65,528千円減少しました。これは親会社株主に帰属する当期純利益263,265千円の計上があったものの、剰余金の配当を328,793千円行ったことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度から145,251千円減少2,313,247千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

a 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金の増加は、1,742,502千円(前連結会計年度は、1,282,718千円の資金増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上665,513千円、債務保証損失引当金の増加514,477千円によるものです。

 

b 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金の減少は、634,610千円(前連結会計年度は、444,464千円の資金減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出692,183千円によるものです。

 

c 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金の減少は、1,253,492千円(前連結会計年度は、1,107,392千円の資金増加)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出925,888千円、配当金の支払額328,793千円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

バイオマテリアル事業

5,637,461

114.3

 

再資源化処理受託

3,741,083

113.0

木材チップ販売

1,896,378

116.9

資源循環事業

1,534,341

102.3

環境物流事業

352,131

100.0

合計

7,523,935

110.9

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.「その他」に関しては、生産をしておりませんので省略しております。

 

b 受注実績

当社グループの廃棄物処理業、チップ販売、環境物流機器販売においては、受注から最終処理完了や商品発送までのリードタイムが短いことから受注実績を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

バイオマテリアル事業

6,214,081

112.8

 

再資源化処理受託

3,741,083

113.0

木材チップ販売

2,199,310

113.3

その他

273,688

106.4

資源循環事業

1,554,769

101.0

環境物流事業

739,165

95.9

その他

245,610

95.1

合計

8,753,627

108.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.「バイオマテリアル事業」に含まれる「その他」の主なものは、有価物売却であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

この連結財務諸表の作成に当たりましては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。

 

  固定資産の減損の判定

当社グループは、固定資産に係る減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る資産又は資産グループについては減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析

経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

b 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境」をご参照ください。

 

c 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要  ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(資金需要)

所要資金は大きく分けて設備投資資金及び運転資金となりますが、基本的には営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入れにより運転資金を賄い、設備投資資金につきましては、長期借入金により調達を行う方針であります。

 

d 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは、地球環境の視点から真に必要なものをお客様の企業価値向上に役立つ製品、サービスとして創り出し、子供たちが安心して暮らすことのできる持続可能な社会の実現を目指しており、経営指標として、事業規模拡大と収益性の向上に寄与することから、売上高、営業利益に加え、事業の収益力を示す売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における主な経営指標は以下のとおりであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。

経営指標

2023年3月

(前連結会計年度実績)

2024年3月

(当連結会計年度実績)

売上高(千円)

8,076,657

8,753,627

営業利益(千円)

839,033

1,039,689

売上高営業利益率(%)

10.4

11.9

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、地球環境へ積極的に取組みながら、顧客に信頼される企業価値向上に役立つ製品・サービスを開発することに日々研究を積み重ねております。

研究開発体制は、3つのプロジェクトを掲げて新しい商品・サービスの研究活動を推進しております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発活動に関する費用(主に人件費、地代家賃等)の総額は36,928千円であり、主な研究内容は次のとおりであります。

 

a グリーン・ジャパン・プロジェクト

当プロジェクトは、バイオマテリアル事業における木質バイオマスに関する新しい製品・サービスの創出を目的として研究開発を進めております。現在は、木材チップの液体化(バイオエタノール化)等の付加価値化、国内に眠る森林資源の活用の検討、その他再生可能エネルギーの可能性調査等から、サステナブルな木質バイオマスの資源循環とさらなる価値化を目指しております。

 

b ブルー・オーシャン・プロジェクト

当プロジェクトは、海洋バイオマス生産及びその有効活用(資源・エネルギー・工業原料・食料・医薬品等)を目的として研究開発を進めております。現在は、光合成が旺盛で成長が速く、高いCO2吸収力が期待できる緑藻類「スジアオノリ」に着目し、富山県入善町において海洋深層水を利用した陸上養殖に取組んでおります。さらなる分析を進め、将来的には食料に限らず医薬、工業原料等としても活用できるような技術開発を目指しております。

 

c オレンジ・サン・プロジェクト

当プロジェクトは、「always ecology, forever healthy.」の理念のもと、真に安心・安全な食を提供するシステムを構築し、持続可能な社会構築に資することを目的として無農薬・無化学肥料の有機栽培技術の研究開発を進めております。耕作放棄地を借受け、稲の有機栽培に取組んだ後、近年では農業用ハウスにおいて水耕栽培を無農薬・無化学肥料で行うシステムについて技術開発を進めてきました。後継者問題のある農業において、労働生産性を高め、周年栽培を通し、農業による収益を高める仕組みを展望し、基礎的な栽培システムを特許化しております(特許第6347878号、特許第6747731号)。