第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営環境

2023年度のわが国経済は、コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化するとともに、輸出や設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復傾向が続きました。

エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、電力・ガス小売全面自由化により、市場の競争は激しい状況が続いており、エネルギー資源の需給バランスの不安定化や激しい価格変動等、LNG調達環境の不確実性等のリスクはさらに高まっております。また、気候変動問題に対応する国内外におけるカーボンニュートラル潮流の加速やデジタル化の進展、価値観の多様化、労働人口の減少、自然災害の甚大化、国際情勢の悪化等、経営環境の変化はスピードを増している一方、カーボンニュートラル社会実現へのトランジションエネルギーとして、CO排出量の少ない天然ガスに対する期待が高まっております。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPG等のエネルギーとその周辺サービスや、都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指します。そのためには、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、2017年に長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」を、2024年3月には新中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」を策定しました。

また、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルの実現の方向性や取り組みを示した「カーボンニュートラルビジョン」を2021年に、「エネルギートランジション2030」を2023年に策定しております。

当社グループは、これらのビジョン・計画に沿って、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指します。また、経営環境の変化に対応しながら、安定供給やトランジション期における低炭素化等「今日の安心」をまもり続けるとともに、カーボンニュートラル等社会課題の解決が進む「未来の日常」の創造に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

(3) 経営指標

中期経営計画2026では、各事業の収益性向上や財務健全性の維持、事業の成長に応じた株主還元の実現を掲げ、着実に取り組みを進めていきます。

①  収益性、成長性

ROIC(投下資本利益率)(※)5%程度、ROE8%程度を目標に掲げ、資本効率の向上を通じて、各事業の成長力の向上を目指します。

※ (経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)÷(有利子負債+自己資本)

有利子負債は、当社にリスクのないリース負債を除きます。

②  財務健全性

連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を目指します。

※ 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整

③  株主さまへの還元

原則、減配を実施せず、増配又は維持を目指す累進配当を基本に据えて、株主資本を基準に配当を行う株主資本配当率(DOE)3%を目指します。

 

 

(4) 対処すべき課題

中期経営計画2026では、重点戦略「3つの約束」として、カーボンニュートラルと天然ガスの高度利用の両輪で社会課題の解決を進める「ミライ価値の共創」、多様な人材が集い切磋琢磨し合う企業文化を目指す「従業員の輝き向上」、資産価値の最大化を図るアセットライトな経営意識の徹底を中心とする「経営基盤の進化」を掲げます。これらの取り組みを通じて、社会課題の解決に資する価値創造と、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とした、将来の経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営の実践を目指します。それらの実現に向け、以下のとおり、課題に取り組みます。

①  国内エネルギー事業
a  安定的、経済的な原燃料調達

多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原燃料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化等により、市場競争力を高める原燃料調達を目指します。

また、原燃料調達の不測の事態に対しては、トレーディング等で培ったノウハウを活かし、迅速かつ柔軟に原燃料の確保を図ります。

b  競争力のある電源の確保及び再生可能エネルギーの普及拡大

新規電源の開発、卸電力市場やアライアンス先からの調達等を通じ、競争力のある電源ポートフォリオの構築を進めます。特に再生可能エネルギーは、カーボンニュートラル化に向けて開発や事業参画を推進し、協業等を通じて調達先の拡大や案件取得を進めていきます。

c  安定供給と保安の確保

安全かつ安定的な操業を最優先にして、ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波等の自然災害対策及び感染症の流行等の事態への対策等、安定供給とレジリエンスの向上に継続的に取り組みます。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていきます。

d  マーケタービジネスの拡大

燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及、電力・LPG販売の拡大、「D-Lineup」等の提案メニューの拡充、分散型電源と再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーネットワークの構築等を通じて、カーボンニュートラル化やレジリエンスの向上といった社会課題の解決に貢献していきます。また、デジタルを活用したライフサービスプラットフォームの「スマイLINK」や「住ミカタ・サービス」、リノベーション等のライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンス、空調・換気、水処理、省エネルギーや設備稼働状況等の見える化等、エネルギー周辺サービスを拡充するとともに、固定通信サービスや冷蔵食品の定期宅配サービスの「FitDish」、お客さまのライフスタイルやビジネスニーズに応じたエネルギー料金メニューも総合的に提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していきます。さらに、各地のエネルギー事業者を含めた様々なパートナーとの連携等を通じ、幅広くマーケタービジネスを拡大していきます。

e  エネルギーインフラ開発、エンジニアリング事業の推進

天然ガス火力発電所等の新規エネルギーインフラ開発を推進します。また、LNGの導入等を検討しているお客さまに対し、これまでの事業展開で培ったノウハウを活かし、ニーズに応じたソリューションを提案することでエンジニアリング事業を推進していきます。

f  公正で効率的なガス導管事業の推進

一般ガス導管事業者として、託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、地域社会や需要家のニーズに応えながら、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組みます。

 

②  海外エネルギー事業

天然ガス等の安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる北米サビン社によるシェールガス開発等を着実に推進するとともに、北米フリーポートプロジェクトの液化事業や豪州ゴーゴン・イクシスプロジェクトの生産事業の安全かつ安定的な操業に向け働きかけていきます。IPP事業では、ガス火力発電事業の安定的な操業に努めるとともに、再生可能エネルギー等の開発・取得を進めていきます。

マーケタービジネスでは、国内で培った知見を活かし、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組むとともに、事業参画等を通じて新しい領域におけるノウハウの取得を進めます。さらに、ニーズに応じたソリューションを提案することで、エネルギーインフラ開発やエンジニアリング事業を推進していきます。

③  ライフ&ビジネス ソリューション事業

エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していきます。

④  経営基盤
a  ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の実践

「Daigasグループ企業行動憲章」に基づき、ESGに配慮した経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からのさらなる信頼獲得に努めていきます。

環境の側面では、カーボンニュートラル社会へのトランジション期において、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入や、カーボンニュートラルなLNGや都市ガスの普及等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO排出削減の取り組みを一層拡大してまいります。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、e-メタン・水素等の技術開発やサプライチェーン構築を進めていきます。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえて、カーボンニュートラル化への取り組みに関する情報開示の充実に取り組みます。

社会の側面では、国際規範に則り、2021年4月に制定した「Daigasグループ人権方針」に基づき、人権や労働・安全衛生への取り組みを進めるとともに、女性取締役の登用等によるDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の風土醸成を進めていきます。

ガバナンスの側面では、コンプライアンスの意識向上の取り組みを継続するとともに、監査等委員会設置会社への移行等を通じたガバナンス体制の強化や、情報セキュリティ対策等を推進します。

b  イノベーション・技術開発・デジタルトランスフォーメーションの推進
IoTやAI等、最先端のデジタル技術や当社グループ内外のアイデアを活用した新しいサービスの創造による価値向上と、社内での業務改革・システム刷新による生産性の向上に取り組みます。

また、燃料電池をはじめとするガス機器・設備のさらなる高効率化とコストダウン、新たな材料や情報処理、カーボンニュートラル化等に関する技術開発を推進します。

c  人材・組織の強化

当社グループのアウトプットの最大化に向けて、多様な人材が集い切磋琢磨しあうことで従業員の力が最大限発揮される環境づくりを進めていきます。人材の面では、多様で専門性の高い人材の獲得を拡大するとともに、従業員の成長を促進する制度・育成策を強化していきます。組織の面では、タレントマネジメントにより適所適材の配置を実現するとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進や、働き方・仕事の進め方の変革、成長と挑戦を促す組織風土のさらなる醸成等に取り組んでいきます。

会社と人材の双方向のコミュニケーションを通じて各取り組みを活性化させ、従業員のエンゲージメント向上を図ります。

 

(5) おわりに

グループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていきます。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていきます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス、リスク管理、戦略並びに指標及び目標

① ガバナンス

「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長を実現するために、環境、コンプライアンス、社会貢献、人権尊重をはじめESGに関する課題解決等、当社グループのサステナビリティ活動全般の推進及びガバナンスの充実・強化に取り組んでおります。

サステナビリティ全般に関するガバナンス体制としては、当社グループのサステナビリティ活動を統括する役員「ESG推進統括(代表取締役副社長)」を委員長とし、関連する組織長等を委員とする「ESG推進委員会」を設置しております。「ESG推進委員会」は原則年3回開催し、組織横断的にサステナビリティ活動の審議・推進を行っております。また、代表取締役社長を議長とする経営会議のうち、原則年3回を「ESG推進会議」として開催し、ESG経営における重要課題(マテリアリティ)と指標及び目標の設定、実績状況等については、「ESG推進会議」にも上程し、審議を実施しております。そのうえで、サステナビリティ活動の重要な事項を取締役会に諮り、意思決定及び監督を行っております。また、サステナビリティ活動全般に対するガバナンスを充実するため、環境会計分野や社会学分野の専門性や企業運営・組織運営に関する豊富な経験と幅広い識見を有する社外取締役を選任しております。

なお、コーポレート・ガバナンスの詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 


 

② リスク管理

当社グループの事業領域が拡大する中、全社横断のリスク(サステナビリティ、コンプライアンス、経理・財務、サイバーセキュリティ、海外投資等)を包括的に管理する体制を構築するとともに、重要リスクを選定し、重点的に対応策を講じることで、効率的かつ効果的なリスク管理を実施しています。

リスク管理体制としては、当社グループのリスク管理を統括する役員「リスク管理統括(代表取締役副社長)」を委員長とし、関連する組織長等を委員とする「リスク管理委員会」を設置しております。「リスク管理委員会」は原則年2回開催し、定期的に重要リスクの見直し・選定を行い、重要リスクの予防保全対策を審議・推進し、経営会議にて、リスク予防保全活動の計画・実績等について報告・審議します。また、経営に重要な影響を与える事項については取締役会に付議し、意思決定及び監督を行うこととしております。

 

 


 

この他、気候変動に関するリスク管理は、「ESG推進委員会」、「ESG推進会議」にて報告・審議を行っております。また、取締役会において、気候変動リスクや持続可能性を踏まえて、投資判断を含む経営の基本方針に関する意思決定及び監督を行っております。新規投資案件については、シナリオ分析においてICP(インターナル・カーボン・プライシング)を用いて経済性の影響度を把握し、影響度が大きい場合にはリスクへの対応策の有無及びその有効性も合わせて評価することとしております。なお、気候変動に関連する内容は、後述する「(2)気候変動に関する戦略並びに指標及び目標」をご参照ください。

 

③ 戦略

当社グループは中期経営計画2026策定に際し、ESG経営におけるマテリアリティを新たに特定しました。事業環境の変化やサステナビリティ関連の社会動向を勘案し、国際的なガイドライン(GRIスタンダード等)及びステークホルダー・有識者の意見等を踏まえて、中長期的な「自社グループの将来の財務インパクト」と「社会・環境へのインパクト」よりマテリアリティを特定しました。

なお、マテリアリティは、「ESG推進会議」及び社外取締役を委員長とする「経営に関する諮問委員会」でも審議を実施し、中期経営計画2026とあわせて取締役会にて決議しました。

 


 

 

④ 指標及び目標

当社グループのマテリアリティは下記のとおりであります。各マテリアリティに関しては、ESG指標並びに2026年度・2030年度の目標を2024年3月に設定するとともに、「ESG推進委員会」、「ESG推進会議」にて進捗確認・審議を実施します。そのうえで、当該進捗状況及びサステナビリティ活動の重要な事項を取締役会に諮り、監督を行います。

重要課題

(マテリアリティ)

ESG指標

2026年度目標

2030年度目標

エネルギーの

カーボンニュートラル化

CO排出削減貢献量

700万トン

1,000万トン

再エネ普及貢献量

400万kW

500万kW

再エネ電源比率

30%程度

50%程度

グループCO排出量

国内△500万トン

(2017年度比)

自社オフィス・社用車CO

削減率

67%

100%

e-メタン社会実装の推進

e-メタンサプライチェーンPJにおける

最終投資決定

1%導入

メタネーション技術開発の推進

SOEC GI基金事業第2フェーズ移行

SOECパイロットスケール(400Nm3/h級)での技術確立

お客さまと社会の

レジリエンス向上

重大事故及び自社起因の

重大供給支障件数

ゼロ

ゼロ

強靭な設備形成

防災・経年対策の推進

お客さまの価値観に

寄り添う先進的で多様な

ソリューションの共創

お客さまアカウント数

1,090万件

1,150万件

お客さま満足度

90%

イノベーションの推進

新ビジネス・新サービスの創出

従業員と企業が共創し

高め合う環境づくり

女性管理職昇格比率

20以上

30%以上

女性総合職採用比率

30以上

30%以上

ワークエンゲージメント
スコア

50以上

50以上

新卒・キャリア採用(総合職)
合計数

3ヵ年累計330

次世代経営人材の準備率

250

健全でしなやかな

経営基盤の維持・向上

女性取締役比率

25以上

30%以上

重大な法令違反件数

ゼロ

ゼロ

DX中核スタッフ
人材の確保

300

人権の尊重

自社及びサプライチェーン全体での

人権尊重の取組の推進

地域コミュニティへの貢献

地域共生の取り組みの推進

LBS事業の持続的成長

LBS事業におけるESGの独自取り組みの推進

 

 

 

(2) 気候変動に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を明確にし、「リスク」を低減し、「機会」を拡大するための対応策の検討に向けて複線的なシナリオ分析を実施しております。具体的には、IEA(国際エネルギー機関)が「World Energy Outlook 2021」で公表した1.5℃シナリオと2.6℃シナリオを用いて「リスク」と「機会」を洗い出し、2030年に向けた短中期と2050年に向けた長期に分けて評価し、対応策を検討しました。

当社グループは、天然ガスを主要な原燃料として、日本の関西エリアを中心にガス・電力事業を営んでおり、今後、国内での炭素税導入や税率の大幅な引き上げによって税負担が大幅に増加する場合や、顧客の非化石燃料への転向等によりガス・電力販売が大幅に減少する場合、それぞれの「リスク」の財務影響度は大きくなります。

一方、再生可能エネルギーや脱炭素技術の開発・普及を促進すれば、当社グループにとって、それぞれの「機会」の財務影響度は大きくなると考えております。中期経営計画において「低・脱炭素社会の実現」を重点取り組みに掲げ、再生可能エネルギーの普及貢献に積極的に取り組んでおり、2030年度の再生可能エネルギー事業拡大による売上影響額は1,000億円規模を見込んでおります。

なお、このような気候変動に関する「リスク」と「機会」に適切に対応するためにも、多様な事業によるポートフォリオ経営を推進していくことにより、持続的成長を図っていきます。

 


※リスクと機会に対する主な戦略・対応策は「カーボンニュートラルビジョン」「エネルギートランジション2030」をご参照ください。

https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2021/__icsFiles/afieldfile/2021/01/25/210125_3_1.pdf

https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2023/__icsFiles/afieldfile/2023/03/30/230309_4_1_1.pdf

 

 

② 指標及び目標

当社グループは、2021年1月に「カーボンニュートラルビジョン」を公表し社会全体のCO排出量の削減に寄与する天然ガスの利用拡大に加えて、メタネーション等のイノベーションによる都市ガス原料そのものの脱炭素化、再生可能エネルギーの導入を軸とした電源の脱炭素化によって、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しております。そのための指標と目標については、2030年度に「再生可能エネルギー普及貢献量:500万kW」、「国内電力事業の再生可能エネルギー比率:50%程度」、「CO排出削減貢献量:1,000万トン」の3点を目指すべきマイルストーンとして掲げております。

また、2023年3月に「エネルギートランジション2030」を発表し、エネルギーの低・脱炭素化への移行に向けた道筋の全体像と、2030年に向けた具体的な取り組みやお客さまにご提供できるソリューションを取り纏めました。2030年度は前述に加え、メタネーションの社会実装に向けた取り組みとして、既存の都市ガスインフラへのe-メタン1%導入に挑戦します。

なお、2023年度の再生可能エネルギー普及貢献量は2022年度に比べて106万kW増の317万kWに、国内電力事業の再生可能エネルギー比率は9.4ポイント増の22.4%になりました。また、GHG排出量については、2022年度実績はスコープ1が441万トン、スコープ2が32万トン、スコープ3が2,125万トン、合計2,598万トン(ビューローベリタスジャパン株式会社による第三者検証済みの数値)となり、CO排出削減貢献量の2022年度実績は386万トンとなりました。GHG排出量の算定対象は、提出会社と、2022年度の連結子会社154社のうち、データ把握が困難かつ環境負荷の小さい会社を除いた連結子会社64社の計65社です。なお、GHG排出量及びCO排出削減貢献量の2023年度実績については、2024年9月に弊社ウェブサイト(URL https://www.osakagas.co.jp)において公表予定の「Daigasグループ 統合報告書2024」をご参照ください。

 

 

(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

a 人材育成方針

当社グループは、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とするポートフォリオ経営の実践を目指しております。それらに対応する要員の質や量の確保、適所適材に基づく多様な人材の活躍推進を通じたパフォーマンスの最大化を図るべく、事業環境の変化に柔軟に対応できる人材や専門性の高い人材の採用、育成に取り組みます。

特に、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みや海外エネルギー事業展開の加速、デジタルトランスフォーメーションによる変革等の経営戦略実現に向け、専門性の高い人材の必要性が高まるなか、キャリア採用を拡大しながら人材を確保していきます。

加えて、将来にわたる経営戦略の達成には持続的な組織運営が重要であるとの認識のもと、計画的な要員確保や人材育成を意識した配置、登用に取り組みます。

b 社内環境整備方針

当社グループは、教育・研修や自己啓発支援等を通じて従業員の自律的なキャリア形成を支援し、エンゲージメントの向上や労働生産性の向上による持続的成長を目指します。

また、中長期的な企業価値向上のためには非連続なイノベーションを生み出すことが重要であり、その原動力となるのは多様な個人の掛け合わせと考えております。そのため、DE&Ⅰ(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進し、経験や感性、価値観等の多様性を積極的に取り込みます。従来、女性、高齢者、障がい者、外国人等に対する活躍支援を進めており、少数派であるがゆえの不利益が生じることのないよう配慮し、より一層の能力発揮に向けた環境整備をしていきます。

 

② 指標及び目標

当社グループでは、上記「① 戦略」において記載した、人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略に向けて、連結グループ各社でその事業特性・課題に応じて取組みを行っておりますが、必ずしもすべての会社で共通の指標に関する目標を定めていないため、次の指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。また、指標及び目標の算出においては、当社から他社への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。

当社では、グループ内での確保が難しい専門性の高い人材を中心にキャリア採用を拡大し、それぞれの事業を強化するとともに、多様な価値観を受容することでイノベーションを生み出していきます。2023年度のキャリア採用での入社者は43人(正規雇用労働者におけるキャリア採用比率は22.4%)となりました。

また、従業員の自律的なキャリア形成の支援においては、2024年度よりワークエンゲージメントスコアを調査予定です。

ダイバーシティ推進においては女性活躍指標として2030年度までに女性取締役比率30%以上、総合職の管理職昇格者に占める女性比率を30%以上とすること、及び、総合職採用人数に占める女性比率30%以上の継続を目標としております。2024年3月期に係る定時株主総会終結の時から、女性の取締役比率は26.7%となりました。また、2023年度は総合職の管理職昇格者に占める女性比率は15.9%、総合職採用人数に占める女性比率は32.8%となりました。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 当社グループの事業全体に関するリスク

①  経済金融社会情勢、景気等の変動、市場の縮小

当社グループは、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」の3つの事業分野それぞれを成長させることで経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営を実践しておりますが、国内外における経済・金融・社会情勢の悪化、大規模な感染症の流行等により、売上高の減少や資金調達の不調、共同事業者・取引先の倒産、人口減少、人材確保の難化、工場の海外移転・操業停止等の事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

②  大規模な災害、事故、感染症等の発生

当社グループは、自然災害やテロ、事故、感染症等の発生に備え、設備の一元的な管理、集中的な点検や継続的な改善、災害保険等の各種保険への加入、大規模災害や事故発生時の「事業継続計画(BCP)」や感染症等発生時の対応に関する業務計画の策定や見直し等の取り組みを進めるとともに、安全かつ安定的な事業運営に向けて参画プロジェクトにおける協力的関係の構築に努めておりますが、大規模地震やその他自然災害、テロ、不測の大規模停電、事故の発生や感染症の大規模な流行等の事態が起こることにより、天然ガスの生産・液化設備や、都市ガス製造・供給及び発電等の施設に支障等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

③  各種国際規範、政策、法令、制度等の変更

当社グループは、環境・社会・ガバナンスに関する国際規範やその他国内外の規範・政策・法令・制度等に基づいてそれぞれの事業を遂行しておりますが、それらの変更により追加的な義務等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

④  為替、調達金利の変動、物価上昇

当社グループは、為替、調達金利の変動に対するヘッジや外貨調達を通じた影響の抑制、原材料価格、物流費等の上昇に対するコストの低減等に取り組んでおりますが、市場の動向により為替や調達金利の大幅な変動が生じた場合や、物価上昇の販売価格への適切な反映が困難な場合において、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤  人材の確保

当社グループは、労働人口の減少下においても人材の獲得に努めておりますが、労働市場を取り巻く環境変化等によって人材の確保が困難となる場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥  投資未回収

当社グループは、投資評価委員会による案件の経済性・リスク評価等の総合的な経営判断を踏まえ、取締役会等において各種成長投資の意思決定を実施しておりますが、国内外の経済情勢の変化等により、投資が適切に回収できない場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦  気候変動・カーボンニュートラル潮流

当社グループは、気候変動問題に伴う規制の変更や将来的なカーボンニュートラル社会の実現に向けた社会動向の変化、エネルギー需要の変動等に対応するため、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換、再生可能エネルギーや高効率な商品・設備の導入並びにカーボンニュートラル化等に関する技術開発やサプライチェーン構築等の取り組みを進めておりますが、温暖化傾向の継続や国内外の規制の変更、技術開発の遅延、想定を超える需要家・投資家の選好変化等が生じた場合、対応コストの増加や販売量の減少等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑧  競争の激化

当社グループは、あらゆる事業分野において市場競争力を高めるため、付加価値の向上や原材料費の低減、技術開発やデジタルトランスフォーメーション等の取り組みを進めておりますが、当社グループを取り巻く競争環境が変化し、他事業者との競争激化や技術革新により相対的に競争力が著しく低下した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨  基幹ITシステムの停止、誤作動、開発遅延・中止、情報漏洩

当社グループは、セキュリティ対策の推進・モニタリング、情報管理に関する周知・教育の徹底、情報システムの構築・更新等に取り組んでおりますが、高度なサイバー攻撃や当社施設への侵入等の外部要因、又は書類・データの紛失や計画の遅延等の内部要因により、ガスの製造、発電、ガス・電力の供給や料金に関するシステム等の基幹的なITシステムの停止や誤作動、開発の遅延・中止、お客さま情報や技術情報をはじめとする重要情報の社外への流出が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑩  取扱商品・サービスの品質に関するトラブル

当社グループは、当社が取り扱う商品・サービスを安心・安全にご利用いただくために、品質管理の徹底等に取り組んでおりますが、品質上のトラブル等が発生した場合、社会的信用の低下や対応する費用の支出等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

⑪  コンプライアンス違反

当社グループは、コンプライアンスへの意識向上に向け、継続的な社内研修、定期的なリスクの把握と対応状況の点検・フォロー・改善等により問題の発生を未然に防止する取り組みを進めておりますが、万一、国内外で法令等に反する行為が発生した場合、社会的信用の低下や費用の発生等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社グループの主要な事業に関するリスク

①  国内エネルギー事業
a  気温、水温の変動によるエネルギー需要への影響

当社グループは、エネルギー需要の変動影響に対応するため、ガス器具やエネルギーサービスといったエネルギー周辺分野においても販売拡大等の取り組みを進めておりますが、気温、水温の変動によりガス販売量や電力販売量が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

b  原燃料費の変動

当社グループは、LNG調達における契約価格指標の多様化やヘッジによる収支影響の抑制、原料費調整制度によるガス料金の単位料金調整等の取り組みを進めておりますが、為替相場や原油価格等の変動、LNG調達先との契約更改、価格交渉の動向等により、原燃料費が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

c  原燃料調達に関するトラブル

当社グループは、ガス、電力の原燃料であるLNG等の大半を海外からの輸入に頼っているため、多数の生産者からの分散調達を進めるとともに、LNGトレーディングを通じた需給調整等に取り組み、安定的かつ柔軟な原燃料調達を目指しておりますが、調達先の設備や操業等に関するトラブルや調達先における自然災害、カントリーリスク等により原燃料が想定通りに調達できない場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

d  電力調達価格の変動

当社グループは、電力需要に対し、自社電源に加え、他社電源からの調達契約や卸電力取引所等の市場からの調達等により対応し、安定供給に努めておりますが、調達価格やインバランス価格が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

e  ガス製造、発電及びガス・電力の供給に関するトラブル

当社グループは、都市ガスの製造・供給及び発電・電力の供給を安全かつ安定的に維持するため、緊急時に備えた各種訓練の実施、定期的な設備の点検・更新等、地震・津波対策を始めとする事故・供給支障の防止に向けた取り組みを進めておりますが、想定を超える自然災害や事故、技術的課題等によるガスの製造、発電、ガス及び電力の供給に関するトラブル等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

f  ガス消費機器等の製品、設備に関するトラブル

当社グループは、製品の安定供給に努め、安全型機器の普及促進等及びそれに伴う点検・周知等の取り組みを進めておりますが、工場の操業停止等による納入の遅延やガス消費機器や設備に関する重大なトラブルが発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

g  他事業者との競合激化及びそれに伴う消費者の事業者選択

当社グループは、お客さまに選ばれ続ける事業者を目指し、様々な付加価値の提供に取り組んでおりますが、他燃料との競争や2016年度の電力小売全面自由化・2017年度のガス小売全面自由化等の変化に伴う新規参入事業者等との競争が今後さらに激化した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

②  海外エネルギー事業

海外エネルギー事業では、主体的な事業の運営や成長投資の意思決定における厳正な案件評価等のリスク対応策を進めるとともに、安定調達に向け、参画プロジェクトにおける安全で安定的な操業に資する協力的関係の構築に努めておりますが、事業の領域が拡大する中、当社グループが事業を行っている国における政策、規制の実施や変更、経済社会情勢の悪化、原油価格やガス価格等の市況変動、技術的課題や自然災害による被害等の要因によるプロジェクトの遅延・中止や採算の悪化等の事業環境変化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

③  ライフ&ビジネス ソリューション事業

ライフ&ビジネス ソリューション事業では、エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、内部成長や成長投資等の取り組みを進めておりますが、原材料の費用高騰や供給停止、景気の悪化等により、事業環境変化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、以上のリスクに備え、本文記載の対策に加え、業務執行状況の適切な把握と監督によって、リスクが顕在化する可能性の程度や時期を考慮しながら、リスク発生時の業績への影響を低減するように努めます。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

①  概要

当期におけるわが国経済は、コロナウイルス禍からの社会経済活動の正常化が進むとともに、輸出や設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復傾向が続きました。

こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してまいりました。

当期の売上高は、国内エネルギー事業で販売量が多い冬期において原料費調整制度に基づきガス販売単価が前期に比べて低めに推移したことやLNG販売価格が下落したことなどにより、前期に比べて1,920億円減(△8.4%)の2兆830億円となりました。経常利益は、国内エネルギー事業での前年度のフリーポートLNGプロジェクトの液化基地の操業停止を受けたLNG調達等に伴う費用増加の反動や、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響(*)等により、1,509億円増(+199.5%)の2,265億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、755億円増(+132.3%)の1,326億円となりました。

(*)原料価格及び燃料価格の変動が、原料費及び燃料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となります。

 

②  売上高

売上高は、国内エネルギー事業で販売量が多い冬期において原料費調整制度に基づきガス販売単価が前期に比べて低めに推移したことやLNG販売価格が下落したことなどにより、前期に比べて1,920億円減(△8.4%)の2兆830億円となりました。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギーセグメントの売上高は、販売量が多い冬期において原料費調整制度に基づきガス販売単価が前期に比べて低めに推移したことやLNG販売価格が下落したことなどにより、前期に比べて2,010億円減(△10.2%)の1兆7,706億円となりました。

ガス供給件数は、前期末に比べて0.9%増504万8千件となり、ガス販売量は、前期に比べて2.9%減66億4千6百万m3となりました。

ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、供給件数の増加等により、前期に比べて1.4%増17億2千1百万m3となりました。業務用等のガス販売量は、特定のお客さま設備の稼働減少等により、前期に比べて4.3%減49億2千5百万m3となりました。

家庭用のガス機器・サービスにつきましては、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発及び販売拡大に努め、2024年4月には、「エネファーム」の累計販売台数が20万台を突破いたしました。また、ガス機器・水まわりの修理等や防災・防犯に関する「住ミカタ・サービス」や、デジタルを活用したライフサービスプラットフォーム「スマイLINK」、インターネットサービス「さすガねっと」等の各種サービスの提供とさらなるメニュー拡充に努めました。

2023年9月、ライフスタイルや嗜好を入力することで、お客さまごとのニーズにあわせた冷蔵パウチ食品をお届けする定期宅配サービス「FitDish」を開始いたしました。

業務用のガス機器・サービスにつきましては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めました。また、エンジニアリング力を活用し、脱炭素化・分散化・デジタル化の視点でお客さまの様々な経営課題を解決する「D-Lineup」等、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めました。

 

都市ガスのカーボンニュートラル化の有望技術として期待される高効率なSOECメタネーション技術の基礎研究等に取り組んでおります。その他、低・脱炭素化に資する触媒・燃焼技術等の研究開発にも取り組んでおります。2023年10月、株式会社INPEXと共同で実施しているCO-メタネーション技術の実用化を目指した技術開発事業において、家庭用1万戸分に相当する400Nm3-CO/hのe-メタンを製造できる試験設備の本工事を開始いたしました。

カーボンニュートラル社会へのトランジション期における取り組みとして、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進し、お客さま先でのCO排出削減に努めました。

安定供給・保安の確保につきましては、天然ガスの調達先の多様化、AI技術活用も含めた製造・供給設備の保全と計画的な改修、安全機能を備えたガス機器の普及促進等に継続的に取り組みました。

また、2023年9月、南海トラフ地震を想定し、より実践的な総合防災訓練を実施するなど、引き続き、地震対策・津波対策に取り組みました。

低圧電気供給件数は、前期末に比べて7.5%増183万5千件となり、電力販売量は、前期に比べて3.6%減153億8百万kWhとなりました。

ガスとセットでお得にご利用いただける料金メニュー、お客さまのライフスタイルや趣味にあわせた料金メニュー、脱炭素に資する料金メニュー等、多彩な電気料金メニューの提供に努めました。

当社の子会社であるDaigasエナジー㈱は、2023年11月、業務用のお客さまを対象に、お客さまの初期投資なしでEV充電器を設置し、エネルギーマネジメントを組み合わせてご提供するサービス「D-Charge」を開始いたしました。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー電源の拡大に積極的に取り組みました。海外エネルギーセグメントに含まれる海外分も含め、再生可能エネルギー電源の普及貢献量は、当期末時点で約316万kWとなりました。

当期中に参画した主な再生可能エネルギー電源は、栃木県佐野市における太陽光発電事業(発電容量約4万kW、営業運転開始済。出資比率40%)、北海道夕張郡長沼町をはじめとする営農型太陽光発電所を含む国内7か所の非FIT/非FIP太陽光発電所(発電容量計約1万kW、2024年2月完工。出資比率50%)等であります。

2023年12月、徳島県徳島市における徳島津田バイオマス発電所(発電容量約7万kW、出資比率33.5%)と、兵庫県姫路市における広畑バイオマス発電所(発電容量約7万kW、出資比率90%)が、それぞれ営業運転を開始いたしました。2023年12月、当社は、経済産業省及び国土交通省より、新潟県村上市及び胎内市沖における洋上風力発電事業(発電出力約68万kW、2029年6月営業運転開始予定)の事業者に、コンソーシアムの一員として選定されました。

海外エネルギーセグメントの売上高は、米国及び豪州の上流事業等の減収により、前期に比べて68億円減(△5.6%)の1,164億円となりました。

北米における再生可能エネルギー事業につきましては、2023年5月、米国の太陽光発電開発事業者であるEuropean Energy North America, LLCとの間で、同社が米国テキサス州で開発を進めていた太陽光発電所の全持分を取得するための契約を締結いたしました。また、同年6月には、米国の分散型太陽光発電・系統用蓄電池開発事業者であるSummit Ridge Energy, LLCとの間で、米国バージニア州における分散型太陽光発電事業及び米国ニューヨーク州における系統用蓄電池事業の共同実施に関する契約をそれぞれ締結いたしました。

また、豪州においても、2023年10月、再生可能エネルギー電源開発事業者であるACE Power Development Pty Ltdとの間で、豪州東部における大規模集中型太陽光発電事業及び蓄電池事業の共同開発に合意いたしました。

北米、南米、欧州、中東及びアジアのエネルギー事業者等との間で、e-メタン等の製造・日本への輸出等に向けた共同検討に関する契約を締結しております。今後もカーボンニュートラルに資するe-メタン等のサプライチェーン構築に向けて取り組んでまいります。

ライフ&ビジネス ソリューションセグメントの売上高は、都市開発事業や情報ソリューション事業等での増収により、前期に比べて154億円増(+6.0%)の2,740億円となりました。

都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス本町Ⅱ」(大阪府)等の8物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めました。また、「シーンズ京都四条烏丸」(京都府)等の6物件の分譲マンションが竣工いたしました。

 

三井不動産株式会社と共同で開発し、2024年2月に竣工した物流施設「MFLP・OGUD大阪酉島」(大阪府)は、竣工前に全区画が成約済となっております。

また、2023年9月、大阪ガス都市開発アセットマネジメント㈱は、私募リート事業の運用受託を開始いたしました。

情報ソリューション事業を展開する㈱オージス総研は、企業情報システムのコンサルティング・設計・開発・運用や、AI・クラウドサービス等、総合的なITサービスの提供やお客さまのDX推進支援に努めました。

材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、ファイン材料、炭素材製品、保存剤等、付加価値の高い材料等の開発及び販売拡大に努めました。

 

③  営業利益

売上原価は、原材料費が減少したことなどにより、前期に比べて3,202億円減(△16.1%)の1兆6,726億円となりました。販売費及び一般管理費は、委託作業費が増加したことなどにより、前期に比べて155億円増(+7.0%)の2,378億円となりました。

国内エネルギーセグメントでは、営業利益は、前年度のフリーポートLNGプロジェクトの液化基地の操業停止を受けたLNG調達等に伴う費用増加の反動や、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響等により1,197億円増884億円となりました。

海外エネルギーセグメントでは、営業利益は、米国及び豪州の上流事業等の減益により、前期に比べて93億円減(△15.3%)の515億円となりました。

ライフ&ビジネス ソリューションセグメントでは、営業利益は、都市開発事業等での増益により、前期に比べて18億円増(+6.2%)の310億円となりました。

以上の結果、営業利益は、前期に比べて1,125億円増(+187.6%)の1,725億円となりました。

 

④  経常利益

営業外収益は、前期に比べて393億円増783億円となりました。これは持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。

営業外費用は、前期に比べて9億円増242億円となりました。これは支払利息が増加したことなどによるものであります。

以上の結果、経常利益は、前期に比べて1,509億円増(+199.5%)の2,265億円となりました。

 

⑤  親会社株主に帰属する当期純利益

当期においては、特別利益の発生はありません。

特別損失は、前期に比べて211億円増305億円となりました。これは減損損失(※)が増加したことなどによるものであります。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて755億円増(+132.3%)の1,326億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の137.39円に対し、当期は320.60円となりました。

(※) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※5 減損損失」をご参照ください。

 

 

⑥  収益性、成長性に関する経営指標

当社グループは、当期の収益性、成長性の経営指標として、連結ROE(自己資本利益率)8.5%、連結ROIC(投下資本利益率)5.4%、連結EBITDA(※)2,645億円を計画として掲げ、連結ROE8.9%、連結ROIC7.0%、連結EBITDA(※)3,281億円の実績となりました。

また、当社グループは、2024年3月に策定した中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」における2026年度計画として、ROIC(投下資本利益率)5%程度、ROE(自己資本利益率)8%程度を収益性、成長性の経営指標として掲げております。

上記の経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めます。

(※) 営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法投資損益

 

(注) 1  上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。

2  本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示しております。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  キャッシュ・フロー

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて2,790億円収入増3,126億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加による収入が前期に比べて1,123億円増加したこと、棚卸資産の減少による収入が前期に比べて850億円増加したこと、売上債権の減少による収入が前期に比べて608億円増加したなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて120億円支出増2,159億円の支出となりました。これは、無形固定資産の取得による支出が前期に比べて93億円減少した一方で、投資有価証券の売却による収入が前期に比べて177億円減少したこと、関係会社株式の取得による支出が前期に比べて59億円増加したことなどによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて2,297億円支出増の1,101億円の支出となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの純減による支払が前期に比べて1,140億円増加したこと、長期借入による収入が前期に比べて531億円減少したこと、社債の発行による収入が前期に比べて350億円減少したことなどによるものであります。

以上の活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べて75億円減の772億円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューション事業への成長投資を行っていきます。

 

②  資産・負債及び純資産

当期末の総資産は2兆9,801億円となり、前期末に比べて1,605億円増加しました。これは、投資の進捗等に伴い、投資有価証券及び有形固定資産が前期末に比べて、それぞれ978億円611億円増加したことなどによるものであります。

当期末の負債は1兆3,751億円となり、前期末に比べて272億円減少しました。これは、長期借入金が前期末に比べて319億円減少したなど、有利子負債が減少したことなどによるものであります。

当期末の純資産は1兆6,049億円となり、前期末に比べて1,878億円増加しました。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期末に比べて870億円増加したこと、その他の包括利益累計額が為替換算調整勘定の増加等により前期末に比べて990億円増加したことなどによるものであります。

以上の結果、当期末の自己資本比率は52.9%となり、前期末に比べて3.6ポイント増加しました。

 

 

③  財務戦略

当社グループの財務戦略の基本的な考え方は以下のとおりです。

a 社会インフラを担う事業者として、将来の経営環境変化や有事にも耐えられる健全な財務基盤を維持する

b 事業の成長と投資を通じて、キャッシュ・フローと収益性・効率性を向上させ、持続的な成長と中長期的

 な企業価値向上を実現する

c 対話や価値共創を進め、ステークホルダーの期待にバランス良く応える

 

当社グループは、健全な財務基盤を維持するために高い財務規律を設けるとともに、エネルギー価格、為替、金利等の収支変動抑制のためのデリバティブの活用や、有事に備えたリスク管理を実施しております。そして、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、ROICを導入しつつ、高格付を活かした経済的かつ安定的な事業運営・資金調達に取り組むこととしております。また、お客さまやビジネスパートナー、成長投資・株主還元、人的資本等のステークホルダーの期待にバランス良く応えます。

当社グループは、2017年3月に策定した長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」・2024年3月に策定した中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」において経営指標を定めました。財務健全性指標としては、連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を中長期的に維持していくことを掲げております。

(※) 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整

 今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2026の実現に向け、財務健全性を考慮した上で、成長投資と株主還元により更なる企業価値の向上を図っていきます。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループにおいては、国内エネルギーセグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス事業が生産活動の中心となっており、販売活動では、ガス事業に加えて、当社等が営む電力事業の比重も高まりつつあります。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多くあります。

このため、以下は、国内エネルギーセグメントにおけるガス事業の生産実績及び販売実績、並びに電力事業の販売実績について記載しております。

(1) 生産実績

(ガス)

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

製品

生産量(百万m3)

前期比(%)

ガス

6,710

△2.4

 

 

(2) 受注状況

(ガス)

ガス販売については、その性質上受注生産は行いません。

 

(3) 販売実績

(ガス)

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

家庭用

1,721

百万m3

(+1.4)

ガス販売量

業務用等

4,925

百万m3

(△4.3)

 

6,646

百万m3

(△2.9)

ガス供給件数

5,048

千件

(+0.9)

 

(注) (  )内数値は前期比(%)であります。

 

(電力)

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

電力販売量

小売

6,858

百万kWh

(+7.3)

卸等

8,450

百万kWh

(△11.0)

15,308

百万kWh

(△3.6)

低圧電気供給件数

1,835

千件

(+7.5)

 

(注) (  )内数値は前期比(%)であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社において、研究開発は最も重要な成長戦略の一つであります。メタネーションを始めとしたカーボンニュートラル社会の実現に貢献する研究開発や新規ビジネスの創出につながる研究開発に取り組んでいます。また、保安の確保・高度化に資する研究開発はもちろんのこと、デジタル技術を活用した業務の効率化や設備関連費用の低減、お客さまの利便性向上、既存サービスの高度化、クリーンな天然ガスの用途拡大や高度利用を目指した研究開発にも継続的に取り組んでおります。

当社は、コア技術として、石炭・石油から都市ガスを製造していた時代からの触媒・材料技術、LNG気化器・PC(プレストレスト・コンクリート)型LNGタンク・LNG冷熱発電・LNG受入基地等の設計・建設技術、ガス空調・天然ガスコージェネレーション・燃料電池・燃焼技術等のエネルギー利用技術等を保有しており、各々の分野で研究開発を進めております。

有機材料・活性炭等各種材料の開発、情報通信技術等、エネルギー分野にとどまらず、ライフ&ビジネス ソリューション分野への取り組みを進めております。

知的財産分野では、保有特許分析等に基づく戦略的な知的財産戦略を展開しております。また、当社保有技術と外部の保有技術を積極的に融合・活用することにより、開発の加速と効率化、新規技術・商品開発の創出を図る「オープンイノベーション」活動を積極的に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は9,886百万円で、各セグメント別の研究目的・主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(国内エネルギー)

当社は、ガスの製造、供給及び拡販に寄与する研究開発を行っております。

ガス製造分野では、安定操業・安定供給を確保するためのLNG基地製造設備の建設・診断・評価技術、保全業務の効率化等に取り組んでおります。

ガスの輸送・供給分野では、大阪ガスネットワーク㈱が、AIによる埋設管等の検知や、車載式レーザー分光式検知器による漏えい調査効率化をはじめとする保安レベルの向上及び業務効率化に取り組んでおります。また、災害予測や被災後の迅速な復旧に資するシステム開発や、新たな工法・検査・修繕技術によるガス導管の建設・保全費用の低減を目指した研究開発を行っております。加えて、お客さまの利便性向上にもつながる「スマートメーター」の研究開発にも取り組んでおります。

家庭用ガス利用分野では、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」で世界最高の発電効率を実現するとともに、カーボンニュートラル実現に向けて電力系統においてエネファームを供給力・調整力として活用するためのVPP実証等、更なる商品性向上に向けた技術開発に取り組んでおります。また、エネファーム、給湯器、コンロ、警報器等の機器をⅠoT化することで新たな価値をお客さまにご提供する先進的な商品開発にも取り組んでおります。さらには、神戸市と連携して3電池(燃料電池、蓄電池、太陽電池)を活用した仮想の街区内での再生可能エネルギーを最大限地産地消することを目指したエネルギーマネジメントの技術検証を実施しました。実験集合住宅NEXT21では、近未来の集合住宅の在り方を模索するため、効率的なエネルギーシステムや健康・快適な住空間、災害に備える住まい、エネルギー融通、デマンドレスポンス等の居住実験も進めております。

業務用・産業用ガス利用分野では、様々なニーズにお応えするバーナ・工業炉の開発や、ガスコージェネレーションシステム、ガスヒートポンプを用いた空調機等、省エネ・省CO2に貢献する機器のさらなる高効率化やコスト低減、遠隔モニタリングを活用した省エネ支援サービスや故障予測技術の開発等に取り組んでおります。工場向けⅠoTサービス「D-Fire」、空調分野のソリューションサービス「D-Airing」、自家消費型太陽光発電サービス「D-Solar」、水処理サービス「D-Aqua」への取り組み、オンサイト型バイオガス化システム「D-Bioメタン」やバイオマスボイラシステム「D-Bio Steam」等、お客さまのカーボンニュートラル実現に貢献するための取り組みや商品開発を実施しております。加えて、お客さまのコージェネレーションシステム等を活用して創出するネガワット価値を取引するサービス「D-Response」も提供しております。

 

カーボンニュートラル社会の実現に向けては、非化石原料からの合成メタン(e-メタン)を製造するメタネーションの研究開発において、非常に高い効率が期待されるSОECメタネーションや早期社会実装を目指すサバティエメタネーション等の研究開発を進めております。また、グリーン水素製造等の研究開発、水素・アンモニア燃料の利用技術開発、低コストでコンパクトな水素製造装置の商品化開発、バイオガス精製・利用の技術開発等にも取り組んでおります。

大阪ガスリキッド㈱は、産業ガスや水素オンサイト事業の需要拡大に繋がるシステム技術や新商品の開発、冷熱を利用した各種樹脂・食品原料の低温粉砕に関する技術開発を行っております。

当セグメントにおける研究開発費は6,668百万円であります。

 

(ライフ&ビジネス ソリューション)

Jacobi Carbons AB及び水澤化学工業㈱を含む大阪ガスケミカルグループでは、炭素材料・光電子材料・活性炭・保存剤・無機吸着剤等に係る研究開発を、㈱KRIはナノ材料や次世代電池、水素・燃料電池、環境・バイオといった先進材料・新エネルギー等に係る研究開発を、オージス総研グループでは、AIクラウドコンピューティング等のソフトウェア及び情報システムに係る研究開発を行っております。当セグメントにおける研究開発費は3,218百万円であります。