第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、伝統的経営理念である「三者の得」(当社製品によって「使う人、売る人、造る人」の各々が利益を享受すること)を踏まえ、安全・安心なパワーソースの提供を通じて豊かな社会造りに貢献することを経営理念としております。

この理念のもと、常に技術革新に向けてチャレンジし続け、透明かつ公正な企業活動を通じて世界中で信頼される企業を目指しております。

 

(2)経営戦略

当社グループの経営戦略は、グループの安定的な成長とバランスのとれた事業構造を確立することであり、パワーソースのパイオニアとしての信頼と販売ネットワークを駆使し、高品質パワーソースのグローバルNo1ブランドを目指すと共に、発電機製造のノウハウを最大限に発揮できる周辺事業の拡充や新規事業への参入等に注力してまいります。

そのために、品質・機能・価格・サービスのすべてにおいて、お客様の立場に立って製品を開発すると共に、顧客サポートの充実を最重要目標として、グローバル化とグループ力の結束と強化に取り組み、連結経営体制の構築を進めてまいります。

2035年度長期ビジョンとして「サステナビリティをめぐる諸課題に取り組みつつ、パワーソースの提供を通じて社会に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努める」ことを掲げ、2024年度から始まる中期経営計画「Denyo2026」を長期ビジョンの達成に向けた最初の3年間の計画と位置付けました。本中期経営計画におきましては、国内市場における可搬形発電機、溶接機のトップシェアの維持向上により安定的な収益を確保し、その収益を成長する海外市場の深耕・開拓や脱炭素社会を見据え水素を燃料とする発電機をはじめとする新機軸製品の研究開発などに投資してまいります。

 

(3)経営環境

① 企業構造

当社グループ(当社及び連結子会社)は、中核会社である当社を中心に、販売や製造等機能別の各事業会社で構成されております。各連結子会社は、グループ全体の統一的な方針の下、それぞれの自主性を尊重しつつ、各社が協調して事業運営を行っており、当社グループの事業規模等から判断し、有効に機能しうる体制になっていると考えております。

② 市場の状況

当社グループの主要な製品群(エンジン発電機、エンジン溶接機、エンジンコンプレッサ等)は、建設機械に分類され、商社・販売店・建機レンタル会社等を通じて、主として建設関連市場向けに販売されております。そのため、当社グループの事業は、建設関連市場の需要動向に大きく影響を受けます。国内市場においては、当連結会計年度における建設需要は、都市再開発工事やインフラ関連工事など堅調に推移しておりますが、長期的には、国の財政赤字に伴う公共投資の抑制等を原因として、需要が減少傾向になる可能性があると考えております。海外市場においても、各国における民間・公共建設需要の影響を受けますが、北米市場は、経済対策などを背景に老朽化するインフラに対する維持・更新需要も見込まれ、建設投資は全体として堅調に推移するものと考えております。その他の地域についても、アジア地域を中心に経済成長を背景としたインフラ投資の潜在的な需要は存在しており、中長期的には建設投資の増加が期待されております。

また、当社グループは、防災用発電機や一般停電用予備発電機からなる定置形の非常用発電機を取り扱っており、店舗・工場・オフィス等の企業向けや病院等の医療施設向け、水道施設・消防署等の公共施設向けに広く販売しております。近年、日本のみならず海外も含めて頻発している豪雨・地震・津波などの自然災害を受けて、災害発生時に停電が発生した場合の政府・企業のBCP対策として非常用発電機への需要が期待されております。

③ 競合他社との競争優位性

当社グループが取り扱っている発電機等の製造技術は広く一般に知られており、世界の発電機市場には大手総合建設機械メーカーを含め多数の競合他社が存在しております。

その中において、当社グループの競争優位性としては、まず、製品の特長として、高品質な電気を安定的に供給できることや、メンテナンス性の高い機構を採用していること、耐久性能や低騒音・低排出ガスなどの環境性能に優れていることが挙げられます。また、専業メーカーならではの優位性としては、顧客の皆様のニーズに適合した多数の製品ラインナップを揃えていることが挙げられます。さらには、当社グループは、日本全国に指定サービス工場(正規修理特約店)を擁してアフターサービス網を構築しており、製品ご購入後もユーザーの皆様が安心して当社グループの製品をお使い頂けることも競争優位性として挙げられます。

長年にわたってこの様な高品質の製品を供給し続け、多くの顧客の皆様に安心してお使い頂くことによって、高品質パワーソースの“Denyo”ブランドとして確立され、これがさらなる競争優位性の獲得に貢献しているものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の経営環境は、国際競争の激化や市場構造の変化に加え、地政学リスクによる経済への影響もあり、より厳しさを増すものと予想されますが、当社グループは、景気や市場の跛行性に左右されにくい企業体質を目指し、グループ各社の生産性向上等により収益基盤の強化に努めてまいります。

国内では、主力の建設関連市場は、インフラ老朽化対策や都市再開発の案件、災害対策工事など建設需要が相応に存在しますが、今後、公共投資の減少などにより縮小傾向になる可能性を否定できません。こうした状況の下、当社グループは、2024年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「Denyo2026」に取り組み、国内では非常用発電機のシェア拡大、海外では北米市場のほか、今後成長が期待できるアジア、中近東市場等の販売店網・サービス網を充実・強化し、当社ブランドの浸透と販売拡大を目指してまいります。また、長期的には、脱炭素社会に向け市場ニーズが変化していくことが想定されるため、水素関連製品をはじめ新機軸製品の研究開発にも取り組んでまいります。

 

[中期経営計画 Denyo2026の概要]

1.中期経営計画基本方針

豊かな社会に貢献する長期ビジョンの達成に向けた成長への投資を実行し経営基盤づくりを推進する。

2.事業戦略

(1)中核分野(安定収益を確保する分野)

(国内建設関連市場)

エンジン発電機、溶接機といったトップブランド製品を中心に国内シェアを維持向上し、安定収益を確保する。

① 新製品の開発・投入によりシェアアップ、顧客拡大を目指す

② 教育体制の充実による販売力の強化を図る

③ 東日本、西日本(2025年1月稼働予定)の大型修理拠点を活用し更なるサービス体制の充実を図る

(2)成長分野(既存市場・製品の延長で成長させ、短・中期的な視点で収益拡大を目指す分野)

(国内定置形発電機市場)

非常用発電機を中心にシェア拡大を目指す。

① 国内グループ3社の連携強化

② 防災用発電機を製造・販売するニシハツ新本社工場(2024年度後半稼働予定)の投資効果の刈り取り

③ 非常用発電機のメンテナンス収益の拡大

(海外市場)

海外販売網・サービス網を充実・拡大し、Denyoブランドの浸透を図る。

① 既存製品による市場深耕・開拓を進める

② 新規製品開発による既存市場での拡販・開拓を図る

③ アジア、中近東等の販売店網・サービス網を強化し、新たなニーズに対応

(3)挑戦分野(グローバルサウス未開拓市場、新機軸の製品で成長させ、長期的な視点で収益拡大を目指す分野)

(グローバルサウス未開拓市場)

成長が期待される未開拓地域への進出

① 未開拓地域進出に向け調査・検討を実施

② M&Aを含めた進出先・進出形態の模索

(新機軸製品)

新機軸製品の社会実装を目指す。

① 新機軸製品の開発継続・推進

② 営業、サービス、生産体制の準備

 

(4)組織能力の強化

(開発・生産)

安定的に生産できる体制を構築

① 顧客要求の早期製品化を講じる

② 生産工程の機械化・自動化を進める

③ 製造現場の環境改善、BCP対策を講じる

(情報システム)

生産性・効率性の向上とセキュリティを両立したシステム構築

① 基幹システムの改善・構築

② 情報セキュリティ・BCP対策の強化を進める

(組織)

多様な人材が活躍できる体制づくり

① 人財育成プログラムの高度化を図る

② 老朽化した事務所建替・移転など職場の環境改善を進める

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標は、企業価値と事業効率の向上を図るため、中期的には(中期経営計画「Denyo2026」の期間中)、自己資本当期純利益率(ROE)7%以上、売上高経常利益率10%以上としますが、長期的(2035年度長期ビジョン)には、ROE8%以上、売上高経常利益率12%以上を目指しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

環境・社会への配慮のもと、使う人・売る人・造る人が製品を通じてともに繁栄するという、当社グループの伝統的経営理念「三者の得」は、当社グループが目指すサステナビリティ経営に繋がると考え、長期にわたり「パワーソースの提供を通じて社会に貢献する企業」として存続し成長するために、全てのステークホルダーとの対話を尊重し、サステナビリティを巡る各課題に取り組むことで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいりたいと考えております。

そのため、当社グループは、2035年度長期ビジョンにおいても「サステナビリティをめぐる諸課題に取り組みつつ、パワーソースの提供を通じて社会に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努める」ことを掲げ、2024年度から新しく始まる中期経営計画「Denyo2026」の取り組みに際しても、「環境(E)」、「社会(S)」、「ガバナンス(G)」の要素を可能な限り反映させております。また、サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を特定し適切にマネジメントするために代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。

サステナビリティ推進委員会では、サステナビリティに関連する重要課題を特定し、それらに係る対応を策定し、重要課題に関する取り組みを推進・サポートしております。また、取り組みの進捗をモニタリングすると共に、関連部署との連携を密に図っております。これらの結果については、取締役会に年2回報告され、取締役会において適切な指示・監督を行っております。

実際の活動に際しては、重要課題を「環境(E)」、「社会(S)」、「ガバナンス(G)」の3領域に分類し、重要課題に対する活動テーマ毎に必要に応じて各関係部署のメンバーで構成されるワーキンググループを編成して、各テーマに対して取り組んでおります。

 

(社内体制図とその役割)

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(2)リスク管理

当社グループは、リスク管理を企業価値向上の重要な取り組みと位置付け、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し対応を行っております。サステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ推進委員会からリスク管理委員会へ識別したリスクを共有し、全社リスクの評価を行い、発生頻度や財務インパクトから優先順位を検討しております。また、重要なリスクとして評価されたリスクについては、リスク管理委員会が定期的にモニタリングを実施することにより、全社リスクが適切に管理される様に体制を整えております。リスク管理委員会での審議内容は取締役会に報告され、取り組み方針や対応策を代表取締役社長が経営戦略や中期経営計画に反映させております。

 

(リスク管理体制図とその役割)

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(3)気候変動への取り組み(E:環境)

「気候変動」は、グローバル社会が直面している最も重要な社会課題の一つであり、また、当社グループの事業に与えるインパクトの程度を考慮した結果、サステナビリティ推進委員会において重要課題の一つと識別し、取り組みを行っております。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示についても積極的に進めております。

 

a. ガバナンス

サステナビリティ推進委員会において、気候変動に伴う重要なリスク・機会を特定し、重要課題に関する取り組みを審議し、関連部署との連携を図っております。審議の結果については、取締役会に報告され、気候変動に関する重要事項については代表取締役社長が決定すると共に、取締役会において適切な指示・監督を行っております。

 

b. 戦略

当社は、連結売上高の60%以上を占める当社単体を対象に気候変動が事業に与えるリスク・機会とその他財務インパクトを把握するためにシナリオ分析を実施し、その結果を基に事業活動のレジリエンスを強化するための対応策を検討しております。

シナリオ分析で得られた結果を基に、事業活動に伴うGHG排出量の削減のため、省エネ化によるエネルギー使用量の削減に努めている他、環境配慮型製品や水素をはじめとする次世代エネルギーによる脱炭素・低炭素技術製品の需要増加、BCP対策需要の拡大を重要な機会と認識し、製品開発と生産能力向上に向けた取り組みを強化しております。環境配慮型製品として、自動アイドリングストップ機能を搭載したエンジン溶接機を開発し、脱炭素・低炭素技術製品として、水素混焼発電機の開発及び販売を開始し、バイオ燃料・合成燃料に対応した既存製品の進化版の開発や燃料電池式可搬形発電装置、水素専焼発電機など将来を担う新機軸製品の創出に取り組んでいます。また、BCP対策需要の拡大に対しても、非常用自家発電設備等の生産能力向上に向けて、防災用の発電機を生産している子会社ニシハツ株式会社の工場新設を進めております。

 

c. リスク管理

気候変動に関するリスク・機会については、サステナビリティ推進委員会において洗い出し、重要性の評価、取り組み方針や対応案を作成し、進捗管理を行っております。また、識別された気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ推進委員会からリスク管理委員会へ共有され、リスク管理委員会において重要リスクとして全社リスク管理に統合され、定期的にモニタリングが行われております。

 

d. 指標及び目標

当社は、国内グループ会社(デンヨー株式会社、デンヨー興産株式会社、ニシハツ株式会社)でのScope1,2について、2030年度までにCO2排出量の売上高原単位を2010年度比で46%以上削減することを目標としております。2010年度は、排出量5,496[t-CO2]、売上高原単位は18.58[t-CO2/億円]であり、2023年度の実績数値としては、排出量6,468[t-CO2]、売上高原単位は11.93[t-CO2/億円]となっております。

 

TCFDに基づく情報開示の詳細につきましては、当社ウェブサイト掲載「TCFD提言に沿った情報開示」をご覧ください。(当社ウェブサイト https://www.denyo.co.jp/)

 

(4)人的資本に関する取り組み(S:社会)

当社グループは、社会のサステナビリティと自社の継続的な成長を同期化する「サステナビリティ経営」を標榜し、強固な経営資本作りを進める中で、企業の成長の基盤が人財であることを認識し、特に人的資本の拡充を最優先事項として取り組みを行っております。

特に、社是・経営理念に謳う人財育成に関する基本理念を実践するため、多様な従業員の一人ひとりがその持てる力を最大限に発揮することができる様、経営の最優先事項として人財育成に努めております。

なお、人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」については、当社グループに属する全ての会社において、指標のデータ管理と共に、共通の取り組みが行われているわけではないため、当社及び当社の出向者で構成されているデンヨー興産㈱のみの内容を記載しております。

 

a. ガバナンス

サステナビリティ推進委員会においては、他のサステナビリティ課題と同様に、人的資本の拡充を重要課題として識別し、関係部署である人事部と連携し対応しております。各種施策の取り組み状況については、取締役会に報告され、重要事項については代表取締役社長が決定すると共に、取締役会において適切な指示・監督を行っております。

 

b. 戦略

当社は、企業文化や経営理念を共有する社員一人ひとりが「働きがい」を感じながら活躍できる企業に相応しい人事制度の構築・運用が不可欠と認識し、人事基本ビジョン(公平・公正処遇/安全・安心・健康/ダイバーシティ&インクルージョン)に基づき、強固な人的資本構築に向けた社内環境整備に努めております。

具体的には、以下の各種施策を実施し、人事評定や人財登用において、性別・国籍・キャリア等に一切捕らわれず、多様性の重要性を理解するリーダーの育成、多様な人財の採用・登用・活躍及び勤務の柔軟化など多様性が育まれる環境の整備に努めております。

・フィードバックを重視した対話式人事評定制度による従業員の成長促進

・積極的なキャリア採用

・育児や介護と仕事を両立できる各種施策の周知・実施

・全従業員へのハラスメント教育の実施による働きやすい職場環境づくり

・従業員のワークライフバランス改善に向けた、外部機関の福利厚生制度の採用

・定期的な従業員モラール・サーベイの実施による組織課題の明確化と対策

また、当社は、全社員が「求められる人財像」を目指し、能力開発・自己研鑽に取り組み、自発的に業務遂行するだけではなく、新たな価値に繋がるイノベーションを継続的に生み出すことができる創造的な人財の育成と風土醸成を目指すことを人財育成の基本方針としております。

この方針のもと、動機と機会を得て職業人として成長することが社員の「働きがい」に繋がるという前提に立ち、自己成長を中長期的に支援するため、「本社教育」・「部門別教育(計画的OJT)」・「自己啓発(自己啓発支援プログラム)」の3層からなる「デンヨー人財育成プログラム」を整備しております。

「本社教育」として、企業人としての基礎や指導職・管理職としての意識醸成を目的とした「階層別集合研修」、MBA派遣、海外トレーニー制度や英語学習支援制度等からなる「グローバル人財教育」、体系的な製品知識の習得を目指す「製品知識研修」の他、各専門分野におけるテーマ別の研修から構成されております。

「部門別教育」は、各部門において、職掌別・等級別の職務要件書に定められた到達目標に従い、計画的なOJTにより、担当業務遂行に必要な知識・技術・技能の習得を推進し、次世代の担い手を育成するものであります。

「自己啓発」では、社業に有用な個人資格取得に対する奨励金支給を通して自己啓発を促し、専門性の高い社員の育成を目指す指定社外資格取得奨励制度や、インターネットを介した幅広いテーマ別教育コンテンツを準備し、全社共通の基礎知識習得を促進すると共に、各社員の将来志向に合わせた基礎知識・ビジネススキル習得を支援するeラーニングシステムを導入しております。

 

c. リスク管理

識別された人的資本に関するリスクについては、リスク管理委員会に移牒され、同委員会において全社リスク管理に統合され、定期的にモニタリングが行われます。

 

d. 指標及び目標

当社は、多様な人財が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの実現に向け、以下の目標を定め取り組みを行っております。

女性の管理職登用については、2025年3月までに管理職層の女性占率5%以上を当面の目標として掲げております。2024年3月31日現在の管理職層の女性占率は3.0%であり、一層の職務開発と候補者選抜、人財育成を進める必要があると認識しております。

外国人管理職登用については、現在、該当する管理職はおりません。当社に在籍する外国人社員自体の数が少数であることから、現時点では目標を定めておりません。なお、米国、シンガポール、ベトナム及びインドネシアの海外主要グループ会社の管理職には、多くの現地従業員が就いているほか、CEOなど役員にも登用しており、これらのグループ会社との緊密な連携により多様な視点や価値観を事業運営に反映しております。

中途採用者の管理職登用については、既に管理職層の30%以上を中途採用者が占め、中途採用者がその能力を十分に発揮できる環境が整っていると認識しておりますので、今後も現状の占率を維持することを目標としております。2024年3月31日現在の管理職層の中途採用者占率は32.3%となっております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)外部環境に関するリスク

① 主力販売先が建設関連市場であることについて

当社グループの製品は、販売店を経由して販売しておりますため、すべてのユーザーを把握することは困難ですが、主たる市場として建設関連分野に販売されているものが多数を占めていると推測されます。このため、中長期的には国内外の経済状態の悪化により各国における民間・公共投資が抑制傾向になると、可搬形発電機等の建設関連分野向け製品の需要が減少し、経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

このリスクに対して、当社グループは、中期経営計画「Denyo2026」の基本方針に従い、非常用発電機をはじめとする定置形発電機の拡販を目指すなど、建設関連以外の分野に注力し、環境変化に強い収益構造を目指しております。中期経営計画「Denyo2026」の詳細については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題をご参照ください。

 

② 価格競争の激化について

当社グループは、市場ニーズに適合した高品質な製品を市場に投入し、価格競争力の維持向上に努めておりますが、今後の事業環境や市場動向によっては、競合他社との価格競争が更に激化し、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。特に、経済発展による成長が見込まれる発展途上国においては、安全や環境に配慮した付加価値の高い製品に対するニーズが先進国と比較して相対的に低く、低スペックの製品分野で価格競争が進む可能性があります。

このリスクに対して、当社グループは、調達や生産体制の見直しにより常に原価低減に努めていくことはもとより、国によって異なる市場のニーズを的確に捉えて、価格競争に巻き込まれない、高付加価値製品の開発を迅速に行う様に努めております。

 

③ 為替相場の変動について

当社グループは海外で事業を展開すると共に世界各国に製品を輸出しており、部品調達から製品販売活動に至るまで為替相場の変動による影響を受け、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、海外連結子会社の財務諸表を日本円に換算していることから、換算レートの変動を通じて当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対して、当社は、外貨建ての売買取引に対して、債権と債務のバランスをとることにより、また、先物為替予約等のデリバティブ取引を実需の範囲内で利用することにより、為替変動リスクの軽減を図っております。海外子会社においては、販売及び購入取引の通貨を可能な範囲で同一にすることによって、為替変動リスクの軽減を図っております。

 

④ 原材料価格の変動について

当社グループが製造している製品には鉄板や鋼板などの素材が多く使用されており、その原材料の調達価格は、素材市況の変動の影響を常に受けます。鉄板や鋼板などの原材料価格が急激に高騰した場合、製品原価率が高まり、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

このリスクに対して、当社グループは、国内外の工場において合理化投資や原価低減活動を継続的に実施し、製造コストの削減に努めております。また、自助努力では吸収できない原価上昇の場合には、顧客に製品価格への転嫁を依頼するなどの対応を行っております。

なお、昨今の原材料価格の急激な上昇や為替変動の影響を受けて、企業努力だけでは現状の販売価格を維持するのが困難な状況が続いており、当社及びグループ各社において販売価格の値上げを顧客に対してお願いしております。

 

⑤ サプライチェーンの停滞・部品調達難について

当社グループが製造している製品は、多くの部品から構成されており、これらの部品を多数の仕入先より調達しております。また、当社グループの仕様に基づく部品の加工・製作を外注業者に依頼しております。予測できない自然災害の発生や感染症の拡大、戦争・テロの勃発等の外部環境の変化や仕入先の経営状態悪化等の固有の事情によって、部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限などサプライチェーンの停滞を招き、部品の調達難によって生産活動に制約が生じ、その結果、販売機会の喪失によって当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

このリスクに対して、当社グループは、特定の調達先への過度な集中を避けるため、可能な範囲で調達先の分散を図っている他、主要部材の市況動向について日常的に情報収集を行い、また、正式発注前に内示情報を提供するなど仕入先との緊密な連携によって納期管理の徹底を図っております。また、調達難が生じている部品については、代替品を調査・採用し、生産活動への影響を最小限に抑える努力を行っております。

 

⑥ 法的規制等について

当社グループの主力製品であるエンジン発電機等は、安全に留意して使用して頂く必要があり、国内においては、電気用品安全法、電気事業法、消防法等の規制を受けます。また、建設機械の環境負荷に対する社会からの要請により、排出ガス規制や騒音に関する規制などを遵守する必要があります。海外においても、当社グループが販売する製品に対して世界各国で定める安全や環境に係る規制を受けます。このため、短期的には、新たな法的規制の制定や変更によって、当社グループの現行製品がこれらの法的規制等に適合しなくなり、市場での販売活動が制限される結果、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、中長期的には、気候変動対策の一環として化石燃料の使用制限や化石燃料を使用する製品の需要減少、次世代エネルギーによる脱炭素・低炭素技術製品の使用促進などによって、当社グループの事業に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対して、短期的には、当社グループは、当社品質管理部門や営業部門、海外販売子会社等を通じて法的規制等の内容を含め、市場のニーズを迅速かつ的確に把握する体制を構築しており、事業採算性等を考慮した上で、当社開発部門が中心となって法的規制に対応した新製品の開発を行い、市場に投入しております。

中長期的には、「気候変動」を重要課題の一つと識別し、サステナビリティ推進委員会において様々な検討を行っており、特に製品開発に関しては、脱炭素・低炭素技術製品として将来を担う新機軸製品の開発及び量産に向けた取り組みを行っております。「気候変動」に関する取り組みの詳細については、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」(3)気候変動への取り組みをご参照ください。

 

⑦ 情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を通じて取引先の機密情報に接している他、技術や営業等事業上の機密情報を保有しております。不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、社会的な信用低下に加え、損害賠償等の発生や取引停止等によって当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、社外からのサイバー攻撃、ウイルス感染等によって社内の重要データの破壊・改ざん、システム停止が発生した場合、営業活動・生産活動等に重要な制約が生じ、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループは、企業の社会的責任として情報セキュリティの重要性を深く認識し、情報セキュリティポリシーを定め、情報セキュリティ統括責任者をトップとする情報管理体制を構築しております。また、一層の情報管理強化に向け、「情報セキュリティハンドブック」の全社員配布や教育動画視聴により情報セキュリティポリシーヘの理解を深めると共に、定期的・継続的な社員教育により、セキュリティ意識の向上を図っております。

 

(2)業務活動に関するリスク

① 製造物責任について

当社グループの製品・サービスは、万全を期して顧客へ提供しておりますが、設計や製造過程で生じた瑕疵に起因して発生した故障によって顧客に損害を与えた結果、当社グループが損害賠償責任を負い、短期的に経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。また、中長期的にも、長い年月をかけて培ってきた当社製品に対する顧客からの信頼性が低下し、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

このリスクに対して、当社グループは、厳格な品質管理基準を遵守して研究開発活動及び生産活動を行っており、また、やむを得ず市場で製品クレームが発生した場合には、当社品質管理部門が中心となって徹底した原因究明を行い、対策を講ずると共に、今後の再発防止を図っていく体制を構築しております。なお、当社及び国内外全ての製造子会社は、品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証取得を行っております。

さらに、当社グループは、損害賠償責任を負った場合の損失の発生に備えて、国内外の市場をカバーする製造物責任保険に加入しております。

 

② アフターサービスについて

当社は、国内においては、全国にあるサービス工場との協力関係の下で、アフターサービス網を構築しており、海外においては、サービス力を有する各国の販売代理店との協力関係の下で、部品供給・修理・メンテナンス等のアフターサービスを提供し、ユーザーの皆様が安心して当社グループの製品をお使い頂ける体制を構築しております。

特に国内においては、近年の少子高齢化の影響等により、現在のサービス員が有する技能を次世代に継承するため、新たなサービス員の採用や育成が求められております。将来において、当社グループのサービス力が低下し、顧客・ユーザーに対して十分なアフターサービスの提供が困難となった場合には、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

このリスクに対して、当社グループは、各サービス工場に対して事業継続等に関して継続的なモニタリングを実施しており、また、技術力の維持についても資格制度を設けて定期的な技術教育の機会を提供しております。さらには、各サービス工場が利用する業務システムの開発や大型機の修理が行えるサービス拠点の新設などのインフラ面でのバックアップも行っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、経済活動の正常化が進む中、企業収益や雇用・所得環境に改善が見られるなど景気は緩やかに回復いたしました。一方、世界経済は、世界的な金融引締めや中国の景気減速による影響もあり先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社グループを取り巻く事業環境は、国内においては、首都圏の再開発工事やインフラ補修工事が継続する中、半導体工場など大型の建設案件もあり、建設市場における需要は堅調に推移いたしました。また、海外においても、アメリカ市場を中心に需要が高水準に推移いたしました。一方、供給面においては部品不足による影響が一部見られました。

このような状況の中、当社グループといたしましては、各地の製品展示会への積極的な出展や海外向け製品の販売促進に注力すると共に、製品の安定供給に努めた結果、売上高731億40百万円(前期比13.7%増)となりました。利益面においては、原材料価格の上昇による影響がありましたが、売上の大幅な増加による効果もあり、営業利益70億89百万円(同45.4%増)、経常利益73億78百万円(同42.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益50億95百万円(同40.2%増)となりました。

 

製品区分別売上高の概況は次のとおりです。

発電機関連は、国内市場向けは、工事やイベントなどで使用される可搬形発電機の出荷が大型機を中心に順調に推移し、停電対策用の非常用発電機の出荷も回復基調で推移いたしました。海外市場向けは、アメリカ向けが大幅に増加し、アジア向けも堅調に推移いたしましたことから、売上高614億87百万円(前期比14.5%増)となりました。

溶接機関連は、部品不足による影響で一部製品の生産に支障が生じましたが、TIG溶接機や海外向け大型機の出荷が堅調に推移いたしましたことから、売上高44億37百万円(同0.8%増)となりました。

コンプレッサ関連は、海外市場向けのエンジンコンプレッサの出荷が増加しましたが、国内市場向けの出荷が減少しましたことから、売上高6億93百万円(同4.6%減)となりました。

その他は、堅調な建築需要を背景に高所作業車の出荷が順調に推移したほか、製品に付随する部品売上も増加したことから、売上高65億21百万円(同18.9%増)となりました。

 

セグメント別概況は次のとおりです。

なお、各セグメントの連結業績は、各地域を所在地とする当社及び連結子会社各社の業績を基礎としております。したがいまして、日本セグメントの連結業績は2023年4月から2024年3月まで、日本以外のセグメントの連結業績は在外連結子会社の通期決算日が12月末日であるため、2023年1月から12月までのものとなっております。

(日本)

日本は、国内レンタル市場向けを中心に可搬形発電機の出荷が好調に推移し、企業向けの非常用発電機の出荷も増加しました。また、輸出についても、円安の追い風もあり、堅調に推移いたしました。この結果、売上高486億29百万円(前期比10.8%増)、営業利益42億36百万円(同49.5%増)となりました。

 

(アメリカ)

アメリカは、インフラ補修工事など堅調な建設需要を背景に、レンタル市場向け出荷が高水準で推移したことに加え、円安による効果もあり、売上高197億17百万円(同24.2%増)、営業利益12億27百万円(同47.7%増)となりました。

 

(アジア)

アジアは、インフラ整備や鉱山開発向けに発電機の需要は堅調に推移いたしましたが、部品不足により現地工場における一部製品の生産に支障が生じた影響もあり、売上高39億19百万円(同2.1%減)、営業利益7億84百万円(同16.4%減)となりました。

 

(欧州)

欧州は、主要な販売先であるイギリス市場向けを中心に欧州の第5次排出ガス規制対応機の出荷増もあり、売上高8億73百万円(同63.5%増)、営業利益75百万円(同225.1%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、1,005億40百万円で前連結会計年度末に比較して107億96百万円増加しました。

当連結会計年度末における流動資産は、682億39百万円で前連結会計年度末に比較して67億22百万円増加しました。これは主に、電子記録債権の増加42億72百万円や、仕掛品の増加6億11百万円等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、323億1百万円で前連結会計年度末に比較して40億74百万円増加しました。これは主に、建設仮勘定の増加8億86百万円や、保有株式の時価の評価替え等による投資有価証券の増加29億30百万円等によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、246億97百万円で前連結会計年度末に比較して36億11百万円増加しました。

当連結会計年度末における流動負債は、202億75百万円で前連結会計年度末に比較して25億75百万円増加しました。これは主に、電子記録債務の増加9億61百万円や未払法人税等の増加6億72百万円等によるものであります。固定負債は、44億21百万円で前連結会計年度末に比較して10億36百万円増加しました。これは主に、繰延税金負債の増加8億78百万円によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、758億43百万円で前連結会計年度末に比較して71億84百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上50億95百万円や、その他の包括利益累計額の増加29億3百万円、配当金の支払10億93百万円等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、税金等調整前当期純利益が73億38百万円計上された一方で、売上債権の増加や、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ16億98百万円増加し、当連結会計年度末に240億29百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は41億76百万円(前期は20億31百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益73億38百万円の計上や売上債権の増加36億11百万円、法人税等の支払15億98百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は18億35百万円(前期は41億16百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出16億56百万円や投資有価証券の売却による収入51百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は8億19百万円(前期は9億37百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の増加3億81百万円や配当金の支払10億93百万円等によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

日本(百万円)

43,718

12.9

アメリカ(百万円)

19,973

24.8

アジア(百万円)

1,190

18.2

合計(百万円)

64,882

16.4

(注)セグメント間で行った外注加工に係る生産実績については、最終製品化した会社が属するセグメントに含めております。

b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

日本(百万円)

48,629

10.8

アメリカ(百万円)

19,717

24.2

アジア(百万円)

3,919

△2.1

欧州(百万円)

873

63.5

合計(百万円)

73,140

13.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

マルチクイップ インク

15,881

24.7

19,717

27.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、国内市場においては、都市再開発工事やインフラ関連工事など建設市場向けに加え、防災減災関連向けの需要も堅調に推移いたしました。海外においては、アメリカ市場で強い需要が継続し、円安の追い風もあり、アジア市場の需要も増加しました。一方、供給面においては、部品不足が一部製品の生産に影響し、また、主要部品の仕入価格の上昇が製造原価の上昇要因となりました。

この結果、売上高は前連結会計年度比で88億29百万円増加しました。売上高の増加のほか比較的収益性の高い製品の増加や原価上昇分の一部を販売価格に反映した効果もあり、営業利益は前連結会計年度比で22億15百万円増加しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、主に営業利益の増加を反映して、前連結会計年度比で14億61百万円増加しました。

当社グループが目標とする主な経営指標の当連結会計年度における達成状況につきましては、上記のとおり収益性の高い製品の増加や販売価格への反映効果による売上原価率の低下、売上高の増加による売上高販管比率の低下により、当連結会計年度では売上高経常利益率10.1%(長期的目標:12%以上)と前連結会計年度に比べ上昇し、自己資本当期純利益率(ROE)についても、主に親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことから、7.3%(長期的目標:8%以上)と上昇しました。

当社グループといたしましては、2024年度から始まった中期経営計画 「Denyo2026」に基づき各種施策を着実に実行し、国内建設市場における高品質パワーソースのトップランナーとしての地位を堅持しつつ、国内非常用発電機のシェア拡大及び海外向けの比率を高め、環境変化に強い収益構造を実現し、目標の達成を目指してまいります。

当社グループの当連結会計年度における財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、先行き不透明な経済環境下で財務体質の安定性を保つことが重要であると考え、企業価値向上のための成長投資及び配当などの株主還元に必要十分な資金流動性を確保しつつ、強固な財務体質を維持することを基本方針としております。

当連結会計年度におきましても、この方針に従い、流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。

資本の財源としましては、主に手元資金及び金融機関からの借入れなどで資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する場合、連結ベースの資金の残高と連結キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。なお、当社は、資金調達の機動性及び安定性を高められることから、取引銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。

当社グループは、2024年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の期間中において、生産設備の合理化投資や研究開発投資など総額約230億円の成長投資や、総還元性向40%を目安とした株主還元を計画しておりますが、手許資金及び営業活動により創出が見込まれる資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を十分賄えると予想しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者は適切と考える会計方針を選択・適用し、また、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づいて会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、将来の不確実性があるため、見積りとは異なる場合がございます。

当社グループが採用した重要な会計方針は、(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)「4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。これらの重要な会計方針のうち、見積りに用いた仮定の不確実性が特に高い事項は認識しておりません。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、常に開拓心と創造力をもって技術革新を図ることを基本理念として、新技術の研究から製品の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループにおける研究開発活動は、日本に所在する当社の開発部門が中心となって実施しており、研究開発スタッフとして、グループ全体で125名が研究開発活動に従事しております。

当社グループは、国内外のグループ各社と密接な連携のもとに、市場ニーズを的確に捉えた魅力的な製品の開発に日々励んでおります。また、低炭素社会への対応として、燃料電池式可搬形発電機及び燃料電池電源車並びに水素混焼発電機及び水素専焼発電機といった新機軸製品の研究開発に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は581百万円(国からの委託事業費を含む。)で、当連結会計年度末の当社が所有している産業財産権は、国内外合計で498件となっております。