当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来「和」の精神を企業理念として掲げ、顧客満足(CS)を第一に、営業の効率化と原価意識の徹底により、増収増益を図る組織体制と経営基盤の確立を目指し、旅客運送事業等の運営により、社会発展に貢献することを経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、収益力と財務体質の向上を経営目標とし、経常収益基盤の確立強化に努めるとともに財務体質の改善を図ります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、ハイヤー・タクシー部門の事業所を大型化する事により効率化を図り、大口法人得意先の需要を確保し安定した収支を確立するとともに、立地条件に恵まれた事業所の立体化利用による収益基盤の確保を図ってまいります。
(4)経営環境及び会社の対処すべき課題
当社の中核事業である旅客運送事業を取り巻く環境は、モビリティのサービス化(MaaS)や自動運転分野の発展を背景に目まぐるしく変化しており、また、ドライバーの不足感も強まってきております。このような状況のもと、引き続き経営基盤の強化や人材の確保に努めるとともに、新たなビジネスチャンスに積極的に対応し、中長期的な成長のための基盤を確立するべく、2022年度を初年度とする中期3ヶ年経営計画「中期経営計画2024」を策定いたしました。
グループの総力を挙げて「安心・安全・おもてなし」と企業価値の更なる向上に取り組んでまいります。
当社グループは、創業以来の企業理念である「和」の精神に基づき、経営指針にも「環境との和」を列記し、地球環境にやさしい事業運営を目指しております。当社の事業活動が地球環境に与える影響を認識し、旅客自動車運送事業を主力とした企業グループとしての社会的責任を果たすため、気候変動問題を重要課題の一つと位置付けております。
自動車によるCO2排出量の抑制のため、交通エコロジー・モビリティ財団によるグリーン経営の認証を旅客自動車運送事業の子会社各社において取得しております。また、カーボンニュートラル社会に向けて、電気自動車の試験的な導入も実施いたしました。
(1)ガバナンス
当社グループでは気候変動問題を中心としたサステナビリティを事業活動の重要なテーマの一つとして認識し、適宜月例の取締役会で報告や議論が行われています。
(2)戦略
①気候変動
当社グループは2022年4月にスタートした3ヶ年中期経営計画「中期経営計画2024」において、メインテーマの一つとして「経営基盤の強化とサステナブルな社会・交通インフラづくりへの貢献」を掲げており、環境経営の推進のために、下記の具体的な取り組みを行ってまいります。
・CO2排出量の実態把握と目標設定
・電気自動車・水素自動車の本格的導入に向けた準備の推進・試験的導入
・エコドライブの推進
②人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
(3)リスク管理
当社グループでは、気候変動関連のリスクと機会についても重要な経営課題の一つと認識し、社外を含む監査役も出席する取締役会において定期的な報告が行われ、必要に応じ会議体などを通じ全社で情報共有を行っております。
(4)指標及び目標
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早期の具体的な削減目標設定に向け、排出量の実態把握を実施しております。 ※2023年度のCO2排出量: |
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男性労働者の育児休業取得率 ※2023年度の取得率 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)一般的なリスク
当社は、国際・国内情勢の変化にともなう景気変動や物価変動等の事業上のリスクにさらされており、それらリスクにより業績が左右されるおそれがあります。
(2)当社グループの事業の構成比について
また、当社グループにおいて、旅客自動車運送事業がグループ全体の売上高に占める割合は約72%であり、その大半を同事業に依存しております。これらの事業を営む会社につきましては、道路運送法、その他関連法令等により事業内容が規定されており、それらの関連法令の改正により業績が左右されることがあります。
(3)労働力確保のリスク
旅客自動車運送事業においては、サービスの提供に乗務員の確保が不可欠であり、紹介制度の充実、労働環境の整備・改善を通じて良質な乗務員の確保に努めております。乗務員確保の状況によっては、業績が左右されることがあります。
(4)事故のリスク
旅客自動車運送事業においては、交通事故による賠償費が発生するリスクがあります。当社グループにおいては、所属全車につき賠償保険及び任意保険に加入し、事故関連費用の平坦化をはかるとともに、全社を挙げて安全運転、法令遵守を励行し、交通事故の防止に努めております。
(5)退職給付発生のリスク
旅客自動車運送事業においては、従業員の平均年齢が高いことなどにより、退職者が多く発生し、一時に退職給付に係る支出が発生するリスクがあります。当社グループにおいては、労働環境の整備・改善を通じて定着率の向上に努めております。
(6)資金調達に係る財務制限条項について
当社の資金調達に係るシンジケートローン契約には、財務制限条項が付されており、当該条項に抵触し期限の利益喪失請求が行われた場合には、資金繰りの悪化により当社及び当社グループの将来の成長、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当該条項は、株主資本及び経常利益に係る条項であります。
(7)感染症の発生・流行に関するリスク
旅客自動車運送事業においては、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックが発生した場合には、外出自粛による輸送の減少、インバウンド需要の消失、計画的供給調整(稼動タクシー車両台数の減少)の実施等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、脱コロナを原動力とする景気回復に息切れがあったものの、堅調な米国経済の影響や低金利による円安から来るインバウンド需要の回復等が景気を下支えしました。また、コモディティ高騰の価格転嫁は鈍化しつつあるほか、賃上げによる所得増加がもたらす消費マインドの向上により景気回復が見込めるものの、能登半島地震の影響による景況感の悪化もあり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような経済環境のなか、当社グループにおいては、すべての人の健康と安全を最優先に、短期的にはライドシェアの解禁、中長期的にはモビリティのサービス化(MaaS)、AIの活用や自動運転分野の更なる発展による事業環境及び事業構造の大きな変化の流れに対応していくため、2022年度を初年度とする3ヶ年中期経営計画「中期経営計画2024」の第2期目を着実に推し進めてまいりました。
当連結会計年度の連結業績は、主要事業である旅客自動車運送事業においてタクシー部門における運賃値上げが寄与したことなどから売上高は18,377百万円(前期比3.3%増)となりましたが、人件費の増加や採用活動に伴う宣伝広告費の発生、また、不動産事業において第2四半期に発生した京都府京都市下京区の居住用賃貸収益物件の取得費用(主に建物に係る控除対象外消費税等を一括費用計上)及び連結子会社が保有する貸付債権に貸倒引当金を計上したことなどから、営業損失466百万円(前期は営業利益80百万円)、経常損失440百万円(前期は経常利益196百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失532百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益177百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 旅客自動車運送事業部門
タクシー部門では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが2023年5月に5類感染症に移行したこと、お客様における社会経済活動の正常化が進んだこと、また更なるサービスの向上や乗務員の労働環境の改善を図るため2022年11月の東京都23区、武蔵野市、三鷹市に引き続き、2023年11月より北多摩地区において運賃の値上げを実施したことにより、売上高は10,567百万円(前期比7.4%増)となりました。
また、従来から引き続き当社グループの課題である乗務員不足解消の施策として、WEBサイトの充実やSNSの活用、北海道を中心としたテレビコマーシャルの放映、大学訪問等の積極的な採用活動を行っております。顧客サービスに関しては、前年に続き、事前確定運賃サービスを兼ね備えた配車アプリ「S.RIDE」の提供や、交通系IC等の各種電子マネーによる決済サービスに加え、CABカードモバイルの営業推進を行い一人でも多くのお客様の利便性に応えるべく対応を進めて参りました。更に、交通事業者としてモビリティのサービス化(MaaS)、自動運転といったお客様の利便性を叶え、一人でも多くの方々に移動サービスをもたらすべく検討を継続しております。輸送の安全面においては、ハード面で先進車両導入の推進やこれまで同様飛沫感染防止や車内除菌等を徹底しニューノーマルタクシー化を推し進めるほか、ソフト面ではデジタル技術を活用した運行管理の高度化実証実験を日本交通株式会社、日本電気株式会社の3社と実施しました。今回の実証の結果を踏まえて、疲労の見える化による効率的な勤務管理、効果的な運転指導、安全運転サポート機能など運行管理の高度化に取り組むことで、お客様の命をあずかる乗務員の安全運転のさらなる向上、交通事故削減、働き方改革の実現を目指してまいります。
ハイヤー部門では、お客様における社会経済活動の正常化が進んだことによりハイヤー需要が高まったことに加え、福祉輸送部門においても新規顧客獲得による売上貢献があり、ハイヤー部門全体での売上高は2,734百万円(前年同期比2.1%増)となりました。乗務員教育として新人乗務員指導係及び職員による教育マニュアルの整備と同乗教育を行うほか乗務員未経験者に対する教育体制を充実させハイヤー乗務員としてのレベルの向上に努めるとともに、専属乗務員の養成によるモチベーション維持を通じて乗務員の定着率向上を図り、お客様の満足度向上と事業運営基盤の安定化を推し進めております。環境面においては、SDGs達成に向けてエコドライブの推進・実施による燃料消費量・温室効果ガス削減に取り組んでおります。
以上の結果、タクシー部門とハイヤー部門等の旅客自動車運送事業売上高は13,301百万円(前期比6.3%増)、営業損失は208百万円(前期は営業利益190百万円)となりました。旅客自動車運送事業の最重要課題である乗務員確保、高齢化社会の到来に伴い多様化する生活サポート・福祉関連ニーズの高まりに応えるため、大和グループの総力を挙げ、「安心・安全、おもてなし」の更なる向上に努めてまいります。
② 不動産事業部門
不動産事業部門では、これまで同様テナントの要望に沿った施設の改善に努めるとともに、大手仲介不動産会社や各物件所在の地元不動産会社と継続して積極的な情報交換を実施し、事業収益の増強に取り組んでおります。これらの一環で当連結会計年度第2四半期に新たに京都府京都市下京区の居住用賃貸収益物件を取得し、事業の用に供しました。
以上の結果、不動産事業の売上高は989百万円(前年同期比6.7%増)となりましたが、新規物件の取得にかかる一時費用の発生から営業利益は430百万円(前年同期比11.8%減)となりました。
③ 販売事業部門
自動車燃料販売部門では、新規得意先開拓等の顧客営業を強化や仕入コストの見直し等で営業利益の確保に努めてまいりました。しかしながら、2021年秋から続く原油価格の上昇及び自動車燃料の需要が減少する等、厳しい状況が続きました。
金属製品製造販売部門では、原材料価格の高騰による鋼材仕入価格の増加や主力商品である集合住宅用標準外階段の減少傾向に対応するため、高利益率の特注階段等の受注生産を積極的に展開するほか、新たな販路開拓を進めております。
以上の結果、販売事業の売上高は2,074百万円(前期比4.5%減)、営業損失は26百万円(前期は営業利益56百万円)となりました。
④ サービス・メンテナンス事業部門
サービス・メンテナンス事業部門ではゴルフ場クラブハウスの清掃・設備管理をメインとした総合管理業務及び商業施設並びにホテルなどの清掃業務を主要事業としており、顧客との年間契約に基づき、ゲストの皆様にご満足いただけるための安全で清潔な最適環境作りを提供しております。従来からの取引先とは一部契約の縮小がありましたが、これらをカバーすべく顧客開拓を進めております。
以上の結果、サービス・メンテナンス事業の売上高は2,011百万円(前期比7.8%減)、営業損失は13百万円(前期は営業利益21百万円)となりました。
(2)財政状態
① 資産
当連結会計年度末の総資産は30,075百万円となり、前連結会計年度末に比べ921百万円の増加となりました。これは現金及び預金が1,231百万円減少する等の結果、流動資産が1,310百万円減少し、物件の購入等により、建物及び構築物が926百万円、土地が902百万円増加する等、固定資産が2,232百万円増加したこと等によるものであります。
② 負債
負債は20,924百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,242百万円の増加となりました。これは未払金が104百万円減少、未払消費税等が126百万円減少したこと等から、流動負債が151百万円減少し、長期借入金が1,316百万円増加したこと等から、固定負債が1,393百万円増加したこと等によるものであります。
③ 純資産
純資産は9,151百万円となり、前連結会計年度末に比べ320百万円減少となりました。これは親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が578百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の32.3%から30.3%に減少しております。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ1,743百万円減少し、4,503百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は575百万円(前連結会計年度は561百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費890百万円を計上した一方で、税金等調整前当期純損失415百万円により資金が減少したこと等によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は3,149百万円(前連結会計年度は1,163百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出2,464百万円、及び定期預金の預入による支出562百万円があったこと等によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は830百万円(前連結会計年度は1,206百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の実行による収入2,596百万円があったこと等によるものであります。
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
(5)経営者の問題認識と今後の方針
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は解消されてきたとはいえ、依然として当社グループの課題である乗務員不足と人件費や物価高騰によるコスト上昇圧力等があり、当社グループの経営環境にとって厳しさが続くと考えております。
このような先行き不透明な状況のもと、中長期的にはインバウンド需要の回復などのプラス要素も見込まれるものの、テレワークの浸透、飲食に対する考え方の変化等、お客様の新たな生活様式が定着しつつあることから、コロナ禍以前の移動サービスの利用状況には戻らないことを前提に、新たな三か年の中期経営計画「中期経営計画2024」を策定しております。策定にあたり、With/Afterコロナの生活様式を含めた将来の社会/産業の変化が当社グループにどのような影響を与え、当社グループはどうあるべきかを明確にすべきという観点から、長期ビジョンを設定した上で、三か年の基本方針と取り組み内容を検討いたしました。
長期ビジョンは「ビジョン2030」として、「人・地域社会・モビリティの『新しい調和』をつくる先進企業グループへ」をスローガンに、下記の3つを当社グループの目指す姿としております。
○ デジタルを活用した移動関連サービスの提供と周辺事業への展開等による事業領域の拡張
○ 利用シーンの変化に合った新サービスの導入や多様な収益モデルに対応したビジネスモデルの多様化
○ 組織・人材の活性化、多様な人材が活躍できる環境整備、新しいことに挑戦する風土の醸成
2022年度からの三か年の基本方針は「中期経営計画2024」として、「再成長に向けた基盤づくり」をスローガンに、下記テーマに取り組んでまいります。
○ 安心・安全・おもてなしの更なる向上
○ With/Afterコロナにおいても利益を出せる体質づくり
○ 新規ニーズの獲得と周辺事業の強化
○ 経営基盤の強化とサステナブルな社会・交通インフラづくりへの貢献
同時に「財務健全性の回復」をテーマに、2024年度時点を目安にした数値目標を設定しております。
○ 連結売上高190億円
○ 連結経常利益7億円以上
○ 自己資本比率37%以上
○ ROE5%程度
2024年度における目標達成へ向け、当社グループ一丸となって邁進してまいります。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積りや判断を行う必要がございます。これらの見積り及び判断を過去の実績や状況に応じ合理的に行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(7)生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。