文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という創業当初からの企業理念を更に進化させ「人類社会の安定と発展に責任をおう」企業であり続けるために、人種・宗教・民族文化が生み出す様々な対立を乗り越え、お互いに協力し、人類全体が平和的に共生できる「食のインフラ」の構築を通じて、この責任を全うしてまいります。そのためにフード業を幅広く展開し、世界中の人々に安全でおいしい食を手軽な価格で提供するという使命をもって、グローバルに事業を展開しております。安全で質の高い商品とサービスをお客様に提供するため、メニューの開発から食材の調達、製造・加工、物流、販売に至る全過程を自ら企画・設計し、一貫してコントロールするMMD(マス・マーチャンダイジング・システム)の構築に努めております。
MMDを実践することで、より幅広い層のお客様に、いつでも、気軽に利用していただける店舗づくりを実現し、業容の一層の拡大と効率化を図り、株主価値の増大に努めてまいります。
当社を取り巻く経営環境は、円安の影響や原材料・エネルギー価格の上昇で、不透明な状況が続きました。
一方で、新型コロナウイルス感染症における行動制限の撤廃に伴い、経済活動の正常化による人流の回復や個人消費の持ち直しが見られ、外食事業につきましても、需要の高まりが見られました。
(1)及び(4)に記載の、経営方針及び中期経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
(対処すべき事業上及び財務上の課題)
①MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)の進化
当社グループは、お客様に安全でおいしい商品を安心してお召し上がりいただくために、MMDによる安全性の確保を継続するとともに、業績の向上を目指し、業容の拡大とグループシナジーの追求を行ってまいりました。また、加速する海外出店を考慮し、海外拠点による調達網の強化を行うとともに、食材の安全性の追求と商品クオリティの向上、コスト改善を図ってまいります。
②食の安全性の追求
当社グループは、お客様に安全な食を提供することを最重要課題とし、Codex基準(食品安全のグローバル基準)をベースにグループ食品安全基準本部が自社基準を設定し、全社員へ食品安全教育や取引先パートナーへの食品安全情報の提供を実施しております。
調達、製造、物流及び販売のフードチェーン全体においては、グループ各社が食品安全マネジメントを完結することで、食の安全のトレサビリティーを保証しております。
また、原料・包材・製品の安全性は、中央分析センター及び微生物検査室によるハザード(健康阻害要因)の分析検査により、保証しております。
③ブランドの進化
当社グループは、日々進化するお客様のニーズや多様なライフスタイルに対応し、常にお客様の期待を超える商品、サービス、顧客体験を提供できるよう、すべての面でブランドの進化に努めてまいります。
④出店及びM&Aによる成長
国内外において業態の収益力を高め、積極的な出店を継続してまいります。また、M&A等の活用により、新規事業領域への進出やMMDの更なる強化を図り、安全でクオリティの高い食材の供給と、食の多様化にも対応してまいります。
⑤人財の採用及び育成
当社グループは、人財は付加価値を生み出す人的資本であるとの考えに基づき、当社グループの理念に共感する優秀な人財を採用し、持続的な成長を支える人財を育成してまいります。
また、女性社員の活躍推進を含む多様な働き方の促進や、中途採用の強化、グローバル人財の採用・育成を積極的に進めてまいります。
⑥労働環境の改善
当社グループは、労働環境を改善するために、マネジャー層に対するコンプライアンス教育の強化、ハラスメント防止対策として相談窓口の設置や社内研修の実施、従業員との対話機会の充実等の多様な改善施策を実施してまいりました。引き続きDX推進による作業の効率化、コミュニケーションの強化、人事評価制度・給与制度・福利厚生の見直し等を行い、従業員一人ひとりが能力を高め、やりがいと成長を実感できる職場環境にすることで長期安定雇用を図ってまいります。
⑦お客様の利便性向上及び迅速な経営判断に資するためのシステム構築
当社グループでは、お客様の利便性向上及び生産性向上のためのシステム構築を進めております。また、経営管理システムとして、売上・在庫等の情報を収集する仕組みを構築しております。今後、国内外でグループ各社の販売拠点を拡大していく中で、更なる情報の収集・統合の効率化を進め、経営陣の迅速な判断に資するシステムと体制の構築にも取り組んでまいります。
⑧DXへの積極的な取り組み
現在、第4次産業革命とも呼ばれるデジタル化の急速な進展の中で、人工知能(AI)・IoT・RPA・ロボット・クラウドの活用が加速しております。店舗においては、セルフオーダー/セルフキャッシング/ロボット等の技術革新やITによるデータ活用等により、定型労働に加えて非定型労働においても省人化が進んでおります。当社グループにおきましても、店舗、工場、物流、本部などの各工程において、積極的にDXヘ取り組むことで業務の効率化・自動化を推進してまいります。
⑨食材の安定供給への取り組み
当社グループでは、店舗で使用する食材を国内外から調達しており、原産地での紛争、気候変動や為替変動による価格上昇のリスクに対応するため、仕入先の分散化等に取り組んでおります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画を策定し、その経営指標(KPI)として売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率、ROEの目標値を定めております。
当該KPIを採用している理由としましては、中期経営方針として①既存事業の収益改善②国内外における新規出店による業容の拡大③人財育成及び職場環境の改善を挙げており、経営方針の進捗状況や実現可能性の評価等を行うことが可能になるためであります。
ゼンショーグループは、1982 年の創業時から「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という経営理念を掲げ、そのために世界中の人々に安全でおいしい食を手軽な価格で提供することを使命として取り組んできました。ゼンショーグループメンバーの行動指針である「ゼンショーグループ憲章」の冒頭には、「ゼンショーグループ宣言」として、事業の発展を通じ「万人が真に平等で、持続可能な調和的発展を続けることのできる社会を実現する」ことを掲げています。
またゼンショーグループは、企業理念をさらに進化させ、「食を通じて、人類社会の安定と発展に責任をおう」ことを掲げ取り組んでいきます。この理念を具体化するため、ゼンショーグループは、原材料の調達から製造・加工、物流、店舗での販売までのすべてのプロセスを一貫して自らの手で企画・設計、運営するMMD(マス・マーチャンダイジング・システム)を世界に展開し、「食のインフラ」としてすべての人々に安定して「食」を供給することのできる仕組みづくりに取り組んでいます。
また、「食のインフラ」としての事業展開に加え、ゼンショーグループは、2007 年から独自の直接提携型フェアトレードに取り組んでいます。現在、アジアやアフリカなど20ヵ国との間でコーヒーや紅茶の取引を行っており、フェアトレードから生まれる「社会開発資金」を活用し、学校建設、水道施設の整備、女性支援などの社会開発支援活動を行っています。この活動を通じ、資本主義の負の側面としてもたらされた発展の不均衡を是正し、持続可能な世界の実現に貢献していきます。
ゼンショーグループは、自社の事業活動が地球環境に与える影響についても、責任を持った対応を行います。自社の事業領域に密接に関わる、天然資源の保全、食品残渣の活用といった課題のほか、自然エネルギーの活用などへの取り組みを通じ、自社の事業領域の持続可能性と、地球環境そのものの持続可能性を担保するために行動していきます。
さらにゼンショーグループは、人材は「人財」すなわち付加価値を生み出す資本であるという考え方に基づき、人財育成や多様な人財が活躍できる職場環境の整備に取り組んでいきます。また、日本発のグローバル企業として多文化が共生する社会を実現するため、まずは自国の文化への理解を深める観点から2021年7月に京都市に「日本文化研修センター」を設置しました。今後もさらに多文化の共生に向けた取り組みを進めていきます。
・取締役会において、サステナビリティに関する方針や「マテリアリティ」の特定などの重要事項の決定をしており中長期にわたる事業リスクと機会を評価し、事業への影響を認識したうえで経営に反映を行っております。
・更なるサステナビリティ経営の強化を目的に、取締役会の諮問機関として、サステナビリティ担当役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、「サステナビリティ委員会」において、取締役会で決定した「マテリアリティ」を中心としたサステナビリティ関連課題の対応及び進捗状況の確認等のモニタリングを行い、その状況を定期的に取締役会へ報告しております。また、サステナビリティ担当役員の直轄組織である「地球環境室」は「サステナビリティ委員会」の事務局として、関係各部署、グループ各社と連携しグループのサステナビリティ関連課題の情報集約を行っております。
・取締役会で決定した「マテリアリティ」については、以下のとおりです。
・安全な食を安定的に世界へ
・地域社会への貢献
・働きがい、生きがいのある組織づくり
・パートナーと共に成長、繁栄
・環境への取組み
(2)戦略
a)リスクと機会
・気候変動に伴い当社グループが直面するリスクと機会について検討を行いました。気候変動に伴うリスクと機会には、GHG排出に関する法規制の強化等の低炭素経済社会への「移行」に起因するものと気象災害の激甚化等による「物理的」変化に起因するものが考えられます。当社グループの事業領域における取組むべき「移行リスク」、「物理的リスク」、「機会」を下記の様に抽出、特定しております。
(b)人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
人的資本への投資については、専門分野ごとの教育制度・資格試験制度の運用や、積極的な配置転換、自己啓発の奨励等を通じて競争力ある人財の育成を行うという基本方針の下、十分な教育予算や競争力ある報酬水準の確保に努めております。また、不確実性の時代において、人類が人種・宗教・民族文化が生み出す様々な対立を乗り越えるためには、多文化共生の相互理解が必要と考えております。そのための組織として、2021年7月に「日本文化研修センター」を設置し、今後のグローバル展開の土台づくりを行っております。具体的には、2022年4月から京都市内の教育施設を拠点として、日本文化に触れる研修を展開し、社員の教養向上を図っています。
人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針と社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
①人財の育成・確保
当社は従来から、人材を「人財」と表記し、従業員の行動規範を定めた「ゼンショーグループ憲章」において「多様性、主体性、独創性を尊び、ひとりひとりがいきいきと働ける活力組織」を目指すべき組織像の一つとして掲げ、人財育成や組織作りを行っております。管理職への登用においても、ジェンダー、国籍、職務経歴等の多様性に考慮しながらも、能力評価においては機会均等に発揮できる環境づくりを行っております。具体的には、当社ではジョブ・ローテーション制を導入しており、様々な職種を経験しながら能力形成を行っており、部門別・階層別の研修や、次世代リーダー発掘のための選抜研修、日本文化に触れる研修等を実施しております。さらに、自己啓発サポートの一環として英語学習支援のためのTOEIC受験や、多言語習得のための機会の提供などを行い、また、選抜制による語学研修も実施しております。さらに、経営と労働組合の協議において、2021年に「10年連続ベア」をコミットし、今年度も大卒初任給の引き上げ、及び正社員組合員の給与の12.2%引き上げを実施しております。それにより、直近 3 年間(2022 年~2024 年)の累計賃上げ率は 27.2%となっております。今後益々、人材獲得競争が激しくなる中、組織を牽引する人財の発掘、および採用数・定着率向上などの施策を引き続き進めてまいります。
②女性活躍推進、育児との両立支援
女性社員、育児中の社員が自身の強みを活かして活躍できる組織、及びそれを支援する制度作りを目的とし、以下のような取り組みを行っております。
・女性従業員に対し産休前から育休後の職場復帰、育児とキャリアの両立支援に関する相談窓口の設置
・男性従業員に対する育児休業を取得するための相談窓口の設置
・小学生までの子を育児中の従業員を対象とした時短勤務・時間差出勤の制度導入
・短時間勤務でも活躍可能な業務や職種の拡充とその仕組み作り
・家族の介護および看病並びに不妊治療、子の育児・行事参加に使用できる休暇制度の導入
・妊娠中および子育て中の従業員向けガイドブックの社内イントラネットによる周知
③社内環境整備
当社では誰もが働きやすい会社になるよう、以下の取り組みを進めております。
・地域密着型の運営による店舗運営の安定化とサービス向上
・時間管理委員会による長時間労働発生の未然防止
・深夜複数勤務体制の確立による安全で安心して働ける環境の確保(防犯体制の強化)
・全国的なクルーミーティングの開催による風通しのよい店舗運営の拡大
・クルーの待遇改善による全従業員の生活水準の維持向上、店舗でのサービス水準向上
・テイクアウト・セルフオーダーの設置に伴う作業負荷の軽減
・オペレーションマニュアルの見直しによるDX を活用した店舗での生産性向上及びクルー負担軽減
④従業員の安全・健康
従業員の安全・健康に関しましては、ココロとカラダの健康を促進するために品川本部に健康支援室があり、看護師と保健師の資格と経験を持った社員が常駐しております。また、月に数回産業医が来社し、健康に関する相談もすることができます。さらに、がん対策促進企業アクションにパートナー企業として加盟し、がん検診受診率向上を目指しております。インフルエンザの予防接種の際には、補助金を支給しております。
女性の出産や育児をサポートする制度としては産前6週間、産後8週間の休暇取得が可能であり、男女問わず育児休業(子どもが最大3歳になるまで)や育児短時間勤務(子どもが中学校に入学するまで)が可能であります。
サステナビリティ委員会において、取締役会で特定した「マテリアリティ」に沿う取組活動及び事業を持続していく上での「リスク」と「機会」の取組事項の進捗の確認、評価を行い、適宜取締役会へ報告を行っております。環境・社会状況の変化を踏まえサステナビリティに関する方針や「マテリアリティ」等に変更が必要となった場合は、サステナビリティ委員会で検討を行い、取締役会に付議し確定してまいります。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、当社の経営判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、それらは当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループでは、安全でおいしい商品をお客様に提供するため、グループ食品安全基準本部の設置と担当役員の配置を行うとともに、グループ各社に食品安全・品質保証部門を設置することで、食の安全の確保に向けた取り組みを徹底しております。万一、集団食中毒などの食の安全に関わる問題が発生した際には、1時間以内に本部に報告がなされ、被害を最小限にとどめられるよう対策を講じる仕組みを構築しておりますが、企業イメージの失墜などによって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの営業店舗や工場、物流センター所在地を含む地域における大規模な地震、洪水、台風等の自然災害や感染症によるパンデミックの発生に備えて、BCP計画やBCPマニュアルを作成しております。災害等発生時には緊急対策本部の指揮のもと、速やかな対応を検討・実施しておりますが、全てのリスクを回避することは困難であるため、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、出店候補地の商圏人口、交通量、競合店状況等から売上予測を行い、賃借料や投資額等の条件を検討した上で出店地の評価・選定を当社の専門部署が行うことで不採算店舗発生のリスク低減を図っております。現時点で出店地候補は著しく減少しておりませんが、出店条件に合致した物件が減少し出店計画に変更が生じる場合や、立地環境の変化などの理由により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国、米州、東南アジア、欧州等の海外市場での事業拡大を戦略の一つとしており、海外子会社にて直営店の運営、フランチャイズの展開、食料品の製造・加工販売等を行っております。当社の海外子会社の展開国における、戦争、政情、経済、法規制、自然災害等の予測できない変動リスクや、ビジネス慣習等のカントリーリスクに関する情報収集に努め、これらリスク発生時に早期に対策を行う体制を整備しておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにとって人財の確保は、お客様に満足していただける店舗オペレーションを維持するうえで、重要な経営課題となっております。そのため、従業員にとって働きやすい職場環境づくりに努めております。具体的には、特に以下の取り組みを進めておりますが、今後、労働需給バランスの悪化などによって十分な人財確保ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
①より風通しのよい店舗運営を図るため、すき家の全国各地でクルーが主体となって意見交換を行う「ク
ルーミーティング」を、労働組合と協力して開催しています。「クルーミーティング」で発表された意
見をもとに茨城県つくば市に「かがやき保育園」を開所するなど、吸い上げた意見の実現に積極的に取
り組んでいます。この取り組みはすき家以外のグループ各業態にも範囲を広げており、今後も継続して
取り組みを行ってまいります。
②女性従業員が働きやすい職場環境を整備するため、妊娠中の勤務や産前・産後休業、育児休業、職場復
帰、復帰後の勤務についてサポートを行う窓口を設置しております。また、短時間勤務が可能な職種、
業務を拡充するなど、育児中の女性従業員がさらに活躍できる職場環境づくりに努めております。
当社グループは、お客様、従業員、株主の皆様に関する多くの個人情報を店舗及び本部にて保有しております。当社は当社グループの個人情報の保護管理を統括するため個人情報保護管理委員会を設置し、個人情報の取り扱いに関する個別具体的なルール策定を行い、グループ内ヘの浸透・徹底を図っております。さらに、各社各部門内に個人情報保護部門責任者を選任し、自部門の業務に関わる個人情報の取り扱い責任を明確化することで、自部門における個人情報の取り扱いに関する指導、教育を行っており、各社COO/部門長にも個人情報の重要性を認識してもらうべくセミナーも開催しています。以上のように情報の管理を厳正に行い、個人情報の漏洩防止に務めておりますが、これらの個人情報が外部へ流出した場合には、当社グループのイメージ及び社会的信用の失墜、対応費用の発生などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、店舗運営、食材などの仕入れ、配送などの主要業務を情報システムに依存しております。当社のグループIT本部において、コンピュータウイルスやサイバー攻撃など悪意のある攻撃に対し、適切に防止策を実施してリスク低減を図っております。過去において当該リスクが顕在化したことはありませんが、これらの攻撃などにより情報システムに様々な障害が生じた場合には、効率的な運営の阻害や重要なデータの喪失などが発生する事により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが使用する食材は多岐に渡るため、当社のグループMD本部を中心に原材料産地の開拓や分散調達などのリスクヘッジを実施しております。地政学的リスクや経済活動の変化による供給制約、BSEや鳥インフルエンザ・豚コレラのような疫病の発生、大規模な洪水、台風等の自然災害の発生、為替相場の変動などにより、原材料などの調達不安や価格高騰が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、会社法、各種税法などの一般的な法令に加え、食品衛生法や労働関係法令、環境関連法令など店舗の営業にかかわる国内外の各種法的規制や制度の適用を受けております。各種業界団体への加盟などにより、必要な情報を的確に収集することでリスクの低減を図っておりますが、これらの法的規制が強化された場合、それに対応するための新たな費用が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新規出店とともにM&Aを推進することにより、業容を拡大し、持続的な成長を続けております。M&Aの実施に際しては、当社の専門部署及び外部専門家が詳細なデューデリジェンスを行い、対象企業を多角的な視点から調査分析することで、極力リスクを回避するように努めておりますが、M&Aを実施した後に、偶発債務や未認識債務の発生、コンプライアンス上の問題等が判明することや、市場環境や競争環境の変化により、当初期待した利益や効果を上げられない可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)金利上昇について
当社グループでは、店舗や工場などの設備投資や、M&Aなどの資金の一部を金融機関からの借入及び社債発行により調達しております。その大部分は、固定金利による長期の資金調達となっており、急激な金利上昇に対して一定程度の耐性を確保しておりますが、長期的な金利上昇局面におけるコスト負担増が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)減損会計について
当社グループは企業買収等により取得したのれん及び耐用年数を確定できない無形固定資産をはじめ、店舗有形固定資産を所有しております。こうした資産が、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になる等、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)風評について
当社グループは、法令違反などの不適切な行為が発生した場合は、速やかに適切な対応を図ってまいりますが、当社グループに対する悪質な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込みなどにより発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用を毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)訴訟について
当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による様々な法的手続きの対象になる可能性があります。現在までのところ、当社グループの業績に影響を及ぼす訴訟などは提起されておりませんが、業績に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟などが発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)コンプライアンスについて
当社グループは、透明性のある誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の浸透と定着に継続的に取り組んでおります。この取り組みは、「グループリスク管理規程」及び「グループコンプライアンス規程」において、グループの様々なリスクを網羅的かつ適切に認識し、管理すべきリスク及び担当部署を定め、リスク・コンプライアンス管理体制の整備・充実を図っております。また、規程に基づきグループ内の様々なリスクを統括的に管理するため総合リスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、管理担当部署のリスク対策実施状況の点検を行うことにより、迅速かつ適切に対応しております。 しかしながら、役職員個人による法令・社内規定違反や社会通念上不適切な行為などコンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より従来のカテゴリーを廃止するとともに、報告セグメントを「外食事業」「小売事業」の2区分から、「グローバルすき家」「グローバルはま寿司」「グローバルファストフード」「レストラン」「小売」「本社・サポート」の6区分に変更しております。そのため、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の報告セグメント区分に基づいております。
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日)における連結業績は、売上高9,657億78百万円(前年同期比23.8%増)、営業利益537億7百万円(同147.1%増)、経常利益509億13百万円(同81.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益306億93百万円(同131.4%増)となりました。
当社を取り巻く経営環境は、円安の影響や原材料・エネルギー価格の上昇で、不透明な状況が続きました。
一方で、新型コロナウイルス感染症における行動制限の撤廃に伴い、経済活動の正常化による人流の回復や個人消費の持ち直しが見られ、外食事業につきましても、需要の高まりが見られました。
このような状況の中、各報告セグメントの既存店売上高前年比は、「グローバルすき家」で114.9%、「グローバルはま寿司」で109.3%、「グローバルファストフード」で113.4%、「レストラン」で120.4%、「小売」で98.6%となりました。
当連結会計年度末の店舗数につきましては、971店舗出店、436店舗退店した結果、15,109店舗(FC7,922店舗含む)となりました。
報告セグメント別の概況につきましては、以下の通りであります。なお、文中に記載している売上高は、外部顧客への売上高としております。
(グローバルすき家)
「グローバルすき家」の当連結会計年度の売上高は、2,653億41百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は、185億7百万円(同252.7%増)となりました。
「すき家」は、日本国内と中国、東南アジア及び中南米に展開しており、ご家族やグループのお客様にもご利用いただけるよう、主力の牛丼を中心に安全で美味しい商品を手軽な価格で提供しております。
国内すき家では、「明太マヨチーズ牛丼」、「月見すきやき牛丼」、「お好み牛玉牛丼」などを販売し、中国のすき家では、「菜の花ゴマダレ牛丼」、「四季豆牛丼」などを販売いたしました。
なお、当報告セグメントの当連結会計年度末の店舗数につきましては、103店舗出店、84店舗退店した結果、2,632店舗(国内1,957店舗、海外675店舗)となりました。
(グローバルはま寿司)
「グローバルはま寿司」の当連結会計年度の売上高は、1,970億58百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益は、114億17百万円(同35.5%増)となりました。
「はま寿司」は、日本と中国などに展開しており、新鮮な海産物を使用した寿司に加え、麺類やデザート、ドリンクなどのサイドメニューも充実させており、お子様から大人まで楽しんでいただいております。
なお、当報告セグメントの当連結会計年度末の店舗数につきましては、56店舗出店、2店舗退店した結果、667店舗(国内605店舗、海外62店舗)となりました。
(グローバルファストフード)
「グローバルファストフード」の当連結会計年度の売上高は、2,437億61百万円(前年同期比57.2%増)、営業利益は、139億69百万円(同90.7%増)となりました。
「なか卯」は、親子丼・京風うどんを中心に、専門店にも負けない商品を提供しております。そのほか国内では、2023年4月1日よりグループ入りしたハンバーガーチェーンの「ロッテリア」、とんかつ専門店の「かつ庵」、武蔵野うどんの「久兵衛屋」などを展開しております。そのほかに海外で展開する、寿司テイクアウトのAdvanced Fresh Concepts Corp.や2023年5月23日よりグループ入りしたSushi Circle Gastronomie GmbH、2023年9月15日にグループ入りしたSnowFox Topco Limited、ハラル認証を取得したチキンライス専門店TCRS Restaurants Sdn.Bhd.などが当報告セグメントに含まれております。
なお、当報告セグメントの当連結会計年度末の店舗数につきましては、789店舗出店、313店舗退店した結果、10,472店舗(国内994店舗、海外9,478店舗、FC7,845店舗含む)となりました。
(レストラン)
「レストラン」の当連結会計年度の売上高は、1,407億50百万円(前年同期比20.1%増)、営業利益は、74億18百万円(前年同期は営業損失4億48百万円)となりました。
ファミリーレストランの「ココス」は、季節感を重視したフェアメニューの積極的な導入による商品の強化、専門店にも負けない本格的な味の追求、お客様が満足してお食事をしていただけるようサービス水準を高め、業績の向上に努めてまいりました。そのほかにパスタ専門店の「ジョリーパスタ」、ハンバーグ&ステーキレストランの「ビッグボーイ」、厳選された牛肉を提供する焼肉チェーン店の「熟成焼肉いちばん」、本格イタリアンレストランの「オリーブの丘」、和食レストランの「華屋与兵衛」などが当報告セグメントに含まれております。
なお、当報告セグメントの当連結会計年度末の店舗数につきましては、20店舗出店、35店舗退店した結果、1,189店舗(国内1,188店舗、海外1店舗、FC77店舗含む)となりました。
(小売)
「小売」の当連結会計年度の売上高は、784億29百万円(前年同期比0.3%増)、営業損失は、マネジメント体制や仕入の見直しを行い、赤字額が縮小しましたが、9億24百万円(前年同期は営業損失22億94百万円)となりました。
北関東中心に展開しているスーパーマーケット「マルヤ」、「ジョイフーズ」などのほか、青果販売等を行っている株式会社ユナイテッドベジーズなどが当報告セグメントに含まれております。
なお、当報告セグメントの当連結会計年度末の店舗数につきましては、2店舗出店、2店舗退店した結果、132店舗となりました。
(本社・サポート)
「本社・サポート」の当連結会計年度の売上高は、44億56百万円(前年同期比19.7%増)、営業利益は、39億48百万円(同12.4%増)となりました。
食品の製造・加工を担う株式会社GFF、物流機能を担う株式会社グローバルフレッシュサプライ、備品・ユニフォーム等を調達する株式会社グローバルテーブルサプライ等が当報告セグメントに含まれております。
(その他)
「その他」の当連結会計年度の売上高は、359億79百万円(前年同期比10.8%増)、営業損失は、6億5百万円(前年同期は営業損失1億57百万円)となりました。
家庭用冷凍食品販売の株式会社トロナジャパン、醤油やドレッシングなどの製造・販売を担う株式会社サンビシ、介護事業を運営する株式会社輝、玄米・精米の販売を行っている株式会社ゼンショーライス等が含まれております。
当連結会計年度末における資産は7,480億56百万円となり、前連結会計年度末から2,784億92百万円増加いたしました。これは主に、公募増資等による現金及び預金の増加、有価証券の取得や有形固定資産、M&Aに伴う無形固定資産の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における負債は5,334億3百万円となり、前連結会計年度末から1,796億77百万円増加いたしました。これは主に、有利子負債及びM&Aに伴う繰延税金負債等の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は2,146億52百万円となり、前連結会計年度末から988億15百万円増加いたしました。これは主に、種類株式発行・公募増資による資本金・資本剰余金及び円安による為替換算調整勘定の増加、利益剰余金の増加及び自己株式の取得に伴う減少等によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、期首残高より174億81百万円増加し、821億71百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益及び減価償却費等の増加等により、859億85百万円の資金の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、新規出店に伴う有形固定資産及び有価証券の取得や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等により、1,253億87百万円の資金の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有利子負債の増加及び株式の発行、自己株式の取得等により、546億33百万円の資金の増加となりました。
(注) フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと次のとおりです。
該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと次のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社を取り巻く経営環境は、円安の影響や原材料・エネルギー価格の上昇で、不透明な状況が続きました。一方で、新型コロナウイルス感染症における行動制限の撤廃に伴い、経済活動の正常化による人流の回復や 個人消費の持ち直しが見られ、外食事業につきましても、需要の高まりが見られました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高9,657億78百万円(前年同期比23.8%増)、営業利益537億7百万円(同147.1%増)、経常利益509億13百万円(同81.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益306億93百万円(同131.4%増)、ROE18.6%となりました。
また、グローバルすき家の当連結会計年度の売上高は2,653億41百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は185億7百万円(同252.7%増)、グローバルはま寿司の当連結会計年度の売上高1,970億58百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益は114億17百万円(同35.5%増)、グローバルファストフードの当連結会計年度の売上高2,437億61百万円(前年同期比57.2%増)、営業利益139億69百万円(同90.7%増)、レストランの当連結会計年度の売上高1,407億50百万円(前年同期比20.1%増)、営業利益74億18百万円(前年同期は営業損失4億48百万円)、小売の当連結会計年度の売上高784億29百万円(前年同期比0.3%増)、営業損失9億24百万円(前年同期は営業損失22億94百万円)、本社・サポートの当連結会計年度の売上高44億56百万円(前年同期比19.7%増)、営業利益39億48百万円(同12.4%増)、その他の当連結会計年度の売上高359億79百万円(前年同期比10.8%増)、営業損失6億5百万円(前年同期は営業損失1億57百万円)となりました。
当連結会計年度末における資産は7,480億56百万円となり、前連結会計年度末から2,784億92百万円増加しました。これは主に、公募増資等による現金及び預金の増加、有価証券の取得や有形固定資産、M&Aに伴う無形固定資産の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における負債は5,334億3百万円となり、前連結会計年度末から1,796億77百万円増加しました。これは主に、有利子負債及びM&Aに伴う繰延税金負債等の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は2,146億52百万円となり、前連結会計年度末から988億15百万円増加しました。これは主に、種類株式発行・公募増資による資本金・資本剰余金及び円安による為替換算調整勘定の増加、利益剰余金の増加及び自己株式の取得に伴う減少等によるものであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
今後の見通しにつきましては、引き続き原材料・エネルギー価格・物流コストの上昇など、厳しい経営環境が続くことが予想されます。
一方、外食事業については、企業の賃上げによる個人消費の持ち直しやインバウンドを含めた人流の回復が期待されます。
このような環境下、当社グループは「食のインフラ」としてお客様に安全で美味しい食を持続的にお届けできるよう、食材調達から製造、物流、店舗販売まで一貫して設計・運営を行うマス・マーチャンダイジング・システム(MMD)をより強化し、世界の安定と発展のために貢献してまいります。
2025年3月期を含む3ヵ年を対象とした中期経営計画を策定しているほか、中期目標としてROE10%の安定的達成を計画しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローが税金等調整前当期純利益及び減価償却費等の増加等により859億85百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが新規出店に伴う有形固定資産及び有価証券の取得や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等により1,253億87百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが有利子負債の増加及び株式の発行、自己株式の取得等により546億33百万円の資金の増加となりました。
その結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、期首残高より174億81百万円増加し、821億71百万円となりました。
当面の設備投資及び株主還元などは自己資金で賄う予定ですが、新たな収益の源泉となり企業価値向上に貢献しうるM&A等の投資の検討も継続的に行っており、金融機関からの借入等による資金調達も併せて検討しております。
当社の発行登録予備格付けは、㈱日本格付研究所(JCR)からBBB+格を取得しております。
手許の資金につきましては、複数の金融機関との連携強化により安定的に資金調達が出来る体制を整えており、十分な水準の資金を確保しております。また当社グループとしては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。回収可能性がない部分については評価性引当額を認識し、繰延税金資産の帳簿価額より減額しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における中期経営計画の達成状況、予算など)と整合的に修正し見積っております。日本国内においては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」に記載のとおり、当社及び一部の連結子会社はグループ通算制度を適用しており、法人税にかかわる部分については通算グループ全体として見積りしております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降において、繰延税金資産の回収可能性に変動が生じ、評価性引当額の追加認識又は取り崩しが生じ、当該期間の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、店舗資産をはじめとする有形固定資産、無形固定資産等について、店舗など概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングし、管理会計で使用している営業活動から生ずるキャッシュ・フローが継続してマイナスの資産グループについて減損の兆候が認められると判断し、減損損失を認識するかどうかの判定を行い、認識すべきと判定された資産について減損損失を計上しております。減損損失の認識の判定にあたっては、資産グループの割引前将来キャッシュ・フローの総額と、資産グループの帳簿価額を比較しており、割引前将来キャッシュ・フローの見積期間は主要な資産の平均残存耐用年数としております。
認識すべきと判定された資産の減損損失は、帳簿価額を回収可能価額まで減じた額としており、回収可能価額は正味売却価額または使用価値を使用しております。正味売却可能価額は、主として路線価または固定資産税評価額に合理的な調整を行って算定した金額としております。使用価値は、資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値とし、現在価値の算定に際して用いられる割引率は、貨幣の時間価値を反映した税引前の利率としておりますが、直営店舗の資産等については、主として将来キャッシュ・フローが見込めないことによりゼロとしております。
一方、耐用年数を確定できない商標権については、減損の兆候の有無にかかわらず連結会計年度末までに年に1度、減損テストを実施しております。減損テストは、商標権の帳簿価額と回収可能価額を比較することにより実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その回収可能価額まで帳簿価額を減額し、減損損失を認識することとなります。回収可能価額は使用価値(将来キャッシュ・フローの現在価値)を使用しております。
減損損失計上の判断にあたっては、主要な資産の平均残存耐用年数、将来の事業計画における売上高・材料費及び労務費等の営業損益項目を基礎とした将来キャッシュ・フロー、割引率その他の指標(成長率等)について一定の仮定を設定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の事業計画や経済条件等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結損益計算書関係) ※7減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において直営店舗他の減損損失(1,350百万円)を計上しております。
c. のれんの減損
当社グループは、のれんが帰属する事業に関連する複数の資産グループにのれんを加えた、より大きな単位でグルーピングを行っており、その営業損益(のれん償却費考慮後)が継続してマイナスの事業について、のれんに減損の兆候が認められると判断し、減損損失を認識するかどうかの判定を行い、認識すべきと判定されたのれんについて減損損失を計上しております。
減損損失の認識の判定にあたっては、のれんが帰属する事業の割引前将来キャッシュ・フローの総額とのれんを含む資産グループの帳簿価額を比較しており、割引前将来キャッシュ・フローの見積期間はのれんの残存耐用年数としております。
認識すべきと判定されたのれんの減損損失は、帳簿価額を回収可能価額まで減じた額としており、回収可能価額は使用価値を使用しております。使用価値は、のれんが帰属する事業の将来キャッシュ・フローの現在価値とし、現在価値の算定に際して用いられる割引率は、貨幣の時間価値を反映した税引前の利率としております。
減損損失計上の判断にあたっては、のれんの残存耐用年数、将来の事業計画における売上高・材料費及び労務費等の営業損益項目を基礎とした将来キャッシュ・フロー、割引率その他の指標(成長率等)について一定の仮定を設定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の事業計画や経済条件等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究部門(本社・サポートセグメント)は、ゼンショー中央技術研究所を中心に、食材のおいしさや鮮度のさらなる向上のため、食材開発、調理技術、おいしさ、健康等の各分野の研究開発活動に取り組んでおります。また、国内外の各大学等の研究機関との共同研究も積極的に進めております。
研究開発活動の具体的内容は、以下のとおりであります。
(1)食材の品質向上や安定生産を目的とした生産技術に関する研究
(2)水産養殖技術に関する研究
(3)食品の調理加工技術に関する研究
(4)おいしい商品を素早くお客様に提供するための厨房機器や食材鮮度を維持・向上するための機器
の開発
(5)おいしさを定量的に表現するための官能評価技術に関する研究
(6)ヒトが食品を食べた時に感じるおいしさを理解するための味覚や嗅覚などの感覚情報のメカニズ
ムを解明する研究
(7)食材に含まれる栄養素の働きなど、食と健康に関する研究
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費は、