第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

① 経営方針

当社グループは、健全なレジャーの発展と心豊かな社会づくりに貢献するため、パチンコ・パチスロ業界のリーディングカンパニーとしての使命を果たすことを基本理念としております。また、経営資源を高い収益性が見込める遊技機関連事業(パチンコ機関連事業・パチスロ機関連事業・補給機器関連事業)に集中投入することで、遊技産業の活性化と持続的な企業価値の向上を実現してまいります。

 

② セグメントごとの経営戦略

イ.パチンコ機・パチスロ機関連事業

社是である『創意工夫』の精神のもと、他社が追随できないような「独創的な商品」を提供することで、ファン・パーラーから信頼と支持を獲得し、パチンコ機・パチスロ機の販売台数シェアの向上を目指してまいります。また、収益力強化に向けた取り組みとして、部品の共通化、リサイクル率の向上、開発の効率化等に注力し、販売台数の増加によるトップラインの向上とともに、コスト削減を実現してまいります。

パチンコ機関連事業につきましては、長年にわたり業界トップクラスの販売シェアを確保してきておりますが、更なるシェア向上に向け、3ブランドを活用した多種多様な商品展開、人気シリーズ機の創出により、継続的にファン・パーラーから支持される商品を提供してまいります。

パチスロ機関連事業につきましては、当社グループの成長余力は十分にあると認識しており、経営リソースを確保し、アライアンスの強化、安定した投入タイトル数の実現、ヒットタイトルの創出に取り組み、パチンコ市場と同様に存在感のあるポジションの確保を目指してまいります。

 

ロ.補給機器関連事業

補給機器をはじめ、内装施工、パーラーの運営に必要な様々な製品を取り扱っており、遊技機の提供とあわせワンストップサービスを提供できる体制を強みとし、パーラーのニーズに最大限応えられるよう取り組んでまいります。

 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、パチンコ・パチスロ市場でのシェア拡大により業界における確固たる地位を構築することで、安定的かつ永続的な成長を目指しております。その成果は売上高営業利益率に反映されるものと考えており、売上高営業利益率の向上を目標として、商品企画・開発・生産・販売の競争力を高めるための様々な施策を検討・実施しております。また、広告宣伝の効率化、使用部材の共通化、物流の合理化などのコストダウン策にも継続的に取り組んでまいります。

直近3期における売上高営業利益率の推移は下表に示すとおりです。なお、2023年3月期及び2024年3月期につきましては、パチンコ機関連事業及びパチスロ機関連事業における販売シェアの伸長を主因とする売上高の増加により、近年にない高水準の売上高営業利益率を達成することができました。今後につきましても、パチンコ機及びパチスロ機の販売シェアの向上に努め、売上高営業利益率の維持・向上を目指してまいります。

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高営業利益率(%)

25.2

37.2

36.4

 

 

なお、当社グループは2024年5月9日付で、2025年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を公表いたしました。この中で、3カ年の売上、利益の目標に加えて、当社グループが認識する資本コスト、あるいは投資家が求めている資本コストの水準を相当程度上回る15%~20%水準の自己資本当期純利益率(ROE)を達成することを掲げております。

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

自己資本当期純利益率(%)

6.9

16.3

19.3

 

 

 

(3) 会社の対処すべき課題

パチンコ・パチスロ業界は、2022年11月から導入が始まったスマートパチスロ機がファン・パーラーに支持され、パチスロ機の販売台数が増加傾向にあります。一方、2023年4月から導入が始まったスマートパチンコ機においては、ヒット機種が一部に留まっており、順調に普及が進むスマートパチスロ機とは対照的に、盛り上がりに欠ける状況が続いております。また、稼働状況においても、スマートパチスロ機が牽引する形でパチスロ優位な状況が続いており、パチンコ機は、現行機・スマートパチンコ機を問わず、稼働を牽引するタイトルの登場が期待されている状況となっております。

このような環境下、当社グループは、パチンコ市場におけるリーディングカンパニーの責務として、稼働を牽引し、パチンコ市場が好転する契機となる新規タイトルの創出を目指してまいります。さらに、パチンコ・パチスロ市場を盛り上げるべく、従来の常識にとらわれず、新規性や技術革新に富んだ商品開発を推し進め、当産業の発展と当社グループのさらなる成長に繋げてまいります。これらの取り組みの成果として、パチンコ機関連事業においては、3割を超えるトップシェアの座を盤石なものとし、パチスロ機関連事業におきましては、ファン・パーラーからの信頼と支持を積み上げ、当社グループの存在感と販売シェアを高め、トップグループに肉薄してまいります。

一方で、コーポレート・ガバナンス体制の強化策として、2024年6月開催の第59回定時株主総会における定款変更決議により、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しており、取締役会の監督機能の強化などを図るほか、2024年1月には任意の指名・報酬委員会を設置しており、取締役等の指名や報酬等に関する評価・決定手続きにおける客観性・透明性・公正性を確保してまいります。

加えて、2024年4月より、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、今後サステナビリティに関する取り組みを推進いたします。売上・利益・バランスシートといった事業・財務戦略に加え、環境活動、社会貢献・地域貢献活動、人的資本戦略といった非財務戦略への取り組みや情報開示を強化し、顧客・取引先、株主、従業員、地域社会をはじめとするあらゆるステークホルダーへの配慮及び協業を通じて、「持続的な社会」と「企業の持続的な成長」を同時に実現し、更なる企業価値の向上を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、ESGの視点により、経済的な成長と持続可能な社会の両立を実現し、企業価値向上を果たしていきたいと考えており、顧客、取引先、株主、従業員、地域社会をはじめとするあらゆるステークホルダーへの配慮及び協働を通じて、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

サステナビリティの推進にあたっては、新たに設置した「サステナビリティ委員会」のもと、グループ全体のサステナビリティ方針や目標設定・計画推進を進めてまいります。

また、当社グループではサステナビリティに関するリスクを重要リスクの一つと位置付けており、経営方針・経営戦略等に影響を与えるリスクの特定を定期的に行ってまいります。特定したリスク・機会はサステナビリティ委員会を中心に議論し、重要度の高いものについては、取締役会及び経営会議へ報告されます。取締役会及び経営会議において当社グループのリスク及び機会を統括し、具体的な対応やリスク管理体制についての方針を決定し、影響を最小化するための対策構築の指示、進捗管理を行ってまいります。

 

(2) 戦略(具体的な取組)

 ① 気候変動への取組

世界的な課題となっている気候変動リスクへの対応は、当社グループとしても重要な課題の1つと認識しており、TCFD 提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を元に、シナリオ分析を実施いたしました。

シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択いたしました。

 

イ. 1.5℃シナリオ

1.5℃シナリオでは、炭素税の導入や化石燃料の使用に関する規制導入など、脱炭素社会への移行に伴う影響が予想されます。

当社事業へのリスクとしては、炭素価格(炭素税・排出量取引制度)の導入や再生可能エネルギー政策による電力価格高騰に伴う操業コストの増加、サステナビリティ情報開示の対応にかかるコスト及び原材料価格の高騰による製造コストの増加などが想定されます。

機会としては、使用済み機器のリサイクルや部品リユースを促進することで、環境対応への取り組み推進に対し、外部評価の向上による機会獲得が挙げられます。

 

ロ. 4℃シナリオ

4℃シナリオでは、異常気象の激甚化などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されます。

当社事業へのリスクとしては、異常気象の激甚化にともなう製造拠点・オフィスの被災や休業による売上の減少、平均気温の上昇に伴う光熱費の増加や従業員への健康被害が発生、感染症の増加や気象パターンの変化により外出機会が減少し、パチンコ・パチスロ店への来訪者が減少すること等が予想されます。

 

当社では1.5℃シナリオ、4℃シナリオにおけるリスク軽減のための取り組みとして、主力事業であるパチンコ機・パチスロ機関連事業において、商品設計段階から部品の共通化を図り、産業廃棄物を抑制していることに加え、部品・資源の再利用を目的とし、リサイクルを前提とした商品開発への継続的な取り組みに注力しております。今後も、取り組みのさらなる深化を図り、環境負荷低減と経営の効率化を実現してまいります。

なお、当社グループのリサイクル率は以下のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

リサイクル率(%)

88.58

89.27

91.06

91.32

91.78

 

 ※当連結会計年度(2024年3月期)のリサイクル率につきましては、2024年9月に当社ホームページに

  開示予定の『コーポレートレポート』に記載する予定であります。

 

 ② 人的資本、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた取組

当社グループは、健全なレジャーの発展と心豊かな社会づくりに貢献するため、パチンコ・パチスロ業界のリーディングカンパニーとしての使命を果たすことを基本理念としております。

その中で、全従業員一人一人の意欲の促進と能力開発を経営の重要課題のひとつとして位置付けており、「創意工夫」の精神のもと自らの個性を多様性として活かし、仕事に誇りを持って働くことのできる職場環境を整備することを目的として以下の取り組みを行っております。

 

イ. 多様な人材の活躍支援

当パチンコ・パチスロ業界の遊技人口の性別構成は、男性75.1%に対し女性24.9%となっており、遊技者に占める男性の割合が高くなっております。それに伴い、新卒採用エントリー者の割合も男性が85%超を占めております。

また、遊技機メーカーとして採用に注力している職種は、開発と営業であり、開発はパチンコ・パチスロの遊技プレイヤーが主な採用対象となるため、男性の採用割合が高く、営業は重量がある遊技機の取り扱いが必要となるため、女性の応募が少ない状況にあります。

こうした中、当社グループでは、多様な人材が活躍できる職場環境の醸成を目的とし、「女性活躍推進」、「男性の育児休業の取得」、「障がい者雇用の増進」等の施策を行い、ダイバーシティ&インクルージョンを推進してまいります。

 

(具体的な取組)

女性の意欲的採用

採用担当者に女性従業員を配置し、採用選考過程において女性応募者と女性従業員とが直接対話できる場を設ける。

働き方改革の継続

実施

対象者へ育児休業の取得推奨を行うとともに、男性従業員についても1週間以上の育児休業取得を励行する。

障がい者雇用の増進

障がいのある方の就労能力を正しく評価し、相談窓口の設置、対話の機会を設ける等の施策を推進し、障がいのある従業員の職場定着を支援する。

 

 

ロ. 優秀な人材の育成

当パチンコ・パチスロ市場における遊技機は、年々機構、ゲーム性等が多様化してきており、市場ニーズを先取りして、ファン・パーラーの皆さまに満足していただくだけでなく、パチンコ・パチスロ産業が末永く大衆娯楽として支持されるために、潜在ファン・休眠ファンにも関心を持っていただけるようなアミューズメント性の高い遊技機の開発が喫緊の課題となっております。また、組織の停滞を防ぐため、社内の適正な人材分布やシステム化による業務効率の向上のほか、従業員の意識改革に取り組む必要があると考えております。

当社グループは、厳しい環境を勝ち抜き、持続的成長を果たすため、積極的な人材戦略が最重要と捉えており、高度な専門性や論理的思考力・コミュニケーション能力を有する優秀な人材の確保と、既存従業員のモチベーション・パフォーマンスの更なる向上を図ることにより、当社グループの人材価値を高め、企業価値の更なる向上に努めてまいります。

 

(当社の人財化戦略に基づく取組)

優秀な人材の確保

2024年度より大卒初任給30万円以上に引き上げ

DX人材の確保のため採用試験(デザイン思考テスト)の変更

若手従業員の早期育成

「3年で一人前」を目的とした入社1年目から3年目までの段階的な教育研修の実施

成長機会の拡大

チャレンジしやすい企業文化のもと、実績を残した若手従業員の早期役職登用を推進

 

 

ハ. 健康経営

当社グループは、健康管理も仕事の一環であると考え、従業員が働きやすい職場環境の整備と、心身の健康促進の充実を図り、「有給休暇取得の推進」、「全従業員の残業時間の削減」、「全従業員を対象にしたストレスチェックの実施」など、法令に基づく適正な労働時間の管理および過重労働の削減を目指しており、健康の保持・増進活動に継続的に取り組むことを基本的な方針としております。また、人事制度につきましても社員の就労意欲増進のための制度改正に向けて取り組み、より従業員が誇りを持って働ける職場環境を目指してまいります。

 

(当社の健康経営に向けた取組)

項目

2023年度実績

1人当たり平均残業時間

16.9h/月

有給休暇取得率

54.3%

 

 

 

(3) 指標と目標

 ① 気候変動への取組

当社グループは、温室効果ガス排出量(Scope1及びScope2)の削減に向け、拠点ごとの温室効果ガス排出量抑制に向けた取り組みを進めております。

今後は、温室効果ガスの排出量の削減目標設定についても検討を進めるとともに、照明機器のLED化の推進、太陽光発電の活用などによる省エネルギー施策のさらなる推進や、再生可能エネルギーの導入などの検討も併せて進めてまいります。なお、再生可能エネルギー活用の取り組みとして、当社子会社の㈱三共エクセルの工場屋根上にPPAモデルによる太陽光発電設備を設置いたしました。そこで発電された電気を消費することで、CO2排出量削減を図ってまいります。

〔当社CO2排出量推移〕

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

Scope1

(t-CO2)

1,102

998

973

959

935

Scope2

(t-CO2)

5,022

4,376

4,310

4,307

4,225

 

※当連結会計年度(2024年3月期)におけるCO2排出量につきましては、環境省が2024年5月時点で開示している代替値を排出係数として算出した暫定値であり、確定値は2024年9月に当社ホームページに開示予定の『コーポレートレポート』に記載する予定であります。

 

 ② 人的資本、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた取組

当社は、上記「(2)戦略(具体的な取組)」において記載した、多様な人材の活躍支援に関する施策として、現時点において具体的な目標を掲げるには至っていない項目も一部ありますが、以下の指標を用いております。

項目

目標

2023年度実績

女性採用者比率

採用者に占める女性の割合
15以上

15.8

女性労働者の平均勤続年数

女性労働者の平均勤続年数
17以上

17.1

女性管理職比率

女性管理職比率 
10以上

4.5

育児休業取得率

女性 100.0%

男性  0.0%

障がい者雇用率

全従業員に占める障がい者雇用率 2.5以上

2.4

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、発生の可能性があるリスクのすべてを網羅したものではありません。

 

(市場環境の変化)

当社グループの主たる事業である遊技機及び補給機器等の販売における主な顧客はパーラーです。パーラーの経営環境悪化及びそれに伴う需要の縮小や市場構造の変化は当社グループの販売成績を左右する要因になります。

特に昨今はパーラーの遊技機に対する評価の目は厳しく、ファンを飽きさせないような人気が長続きする商品を厳選導入する機運が強まり、その他大半の商品は十分な注目を集めるに至っておりません。当社グループでは商品競争力の強化を図りシェアの拡大につなげることを目指しておりますが、遊技機の開発には1年から2年前後の期間を要するため、開発着手後の市場ニーズの変化に柔軟に対応できなかった場合や、他社の人気商品などと販売時期が重なった場合、当社グループの販売計画や経営成績等が影響を受ける可能性が考えられます。

 

(法的規制について)

当社グループが主たる事業とする遊技機の開発、製造及び販売に関しては、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」など様々な法規制・基準があり、これに則った厳正な運用が求められております。従って、法規制等に重大な変更が加えられた場合、当社グループの販売、経営成績等に影響を及ぼす可能性があると考えられます。

 

(知的財産権について)

近年では、著名人やアニメ、人気キャラクターなどとタイアップした遊技機が主流となっております。こうした流れにおいて、採用キャラクターなどの肖像権や著作権といった知的財産権の取扱いが増えるに従って、知的財産を巡る係争も増加しております。

当社グループでは、「知的財産本部」を中心にして、キャラクター等の取扱いにあたっては十分な調査を実施し、当該係争を回避するため細心の注意を払っております。ただし、今後当社の認識しない新たな知的財産権が成立した場合には、当該権利保有者による損害賠償の請求などに至る危険性も否定できません。その際、当社側に侵害行為が認められた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(新機種の開発について)

パチンコ及びパチスロ等遊技機の製造及び販売に当たっては、一般財団法人保安通信協会(保通協)等、国家公安委員会が指定する試験機関が風営法施行規則等に基づいて実施する型式試験に適合する必要があります。昨今のファンニーズの高度化や遊技機の技術構造の進化への対応が必要となる一方で、型式試験の期間が長期間に亘ったり、適合に至らなかった場合、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性も考えられます。当社グループといたしましては、長年培ってきた商品の開発技術力やノウハウを活かして、当初計画に即した順調な新機種投入に努めてまいります。

 

 

感染症拡大について

新型コロナウイルス等の感染症が拡大した場合、当社グループの主要販売先である全国のパーラーにおいては、稼働の低下による厳しい経営環境を余儀なくされる可能性があり、当社グループの主たる事業であるパチンコ機関連事業・パチスロ機関連事業においては遊技機の販売、補給機器関連事業においては内装施工、補給機器等の受注に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、感染症拡大によるサプライチェーンの混乱も予想されますが、当社グループでは、複数の調達先の確保や先行発注、代替品の手配に注力することで、遊技機の販売台数や販売スケジュールなどへの影響を最小限に留めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済活動の正常化やインバウンド需要の回復が見られ、雇用・所得環境の改善も追い風に緩やかな回復基調が続いておりますが、世界的な物価上昇や金融引締めによる影響など、海外経済の減速懸念もあり、先行きは不透明な状況にあります。

当パチンコ・パチスロ業界では、スマート遊技機の導入が本格化しており、スマートパチスロ機は継続的にヒット機種が登場し、パチスロ市場全体の稼働を牽引しているのに対し、スマートパチンコ機はヒット機種が一部に留まっており、未だ入替機運は高まっておらず、スマート遊技機の販売台数、設置比率は、ともにスマートパチスロ機が先行している状況にあります。

このような状況の中、当社グループでは、パチンコ機関連事業におきましては、「フィーバー機動戦士ガンダムSEED」及び「ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン Type レイ」の主力シリーズ機を筆頭に販売台数を積み重ね、パチンコ機の販売台数シェアは30%を超え、2年連続でトップシェアを獲得することができました。また、パチスロ機関連事業におきましては、スマート化への対応を積極的に推進し、2022年11月の業界最速投入を皮切りに、時流を捉えた商品開発により複数の高稼働機種を創出するなど、パチスロ市場においても、販売シェアの向上を果たし、当社グループの存在感を高めることができました。

以上の結果、売上高1,990億円前期比26.6%増)、営業利益724億円同23.9%増)、経常利益731億円同23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益537億円同14.7%増)となりました。

目標とする経営指標である売上高営業利益率は、パチンコ機関連事業及びパチスロ機関連事業における販売シェアの伸長を主因とする売上高の増加と、原価及び販管費等のコスト削減により、36.4%となり、引き続き高水準を維持しております。また、当連結会計年度の自己資本当期純利益率(ROE)は、19.3%となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(パチンコ機関連事業)

パチンコ機関連事業につきましては、新規10タイトル(リユース機等を除く)を発売いたしました。主な販売タイトルは、SANKYOブランドの「フィーバー炎炎ノ消防隊」(2023年4月)、「フィーバー機動戦士ガンダムSEED」(2023年8月)、Bistyブランドの「コードギアス 反逆のルルーシュ Rebellion to Re;surrection」(2023年5月)、「ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン Type レイ」(2023年12月)、JBブランドの「フィーバークィーンⅡ 30th ANNIVERSARY EDITION」(2023年7月)、「フィーバーパワフル」(2024年3月)であります。

以上の結果、売上高1,470億円前期比20.0%増)、営業利益611億円同12.8%増)、販売台数297千台となりました。

 

(パチスロ機関連事業)

パチスロ機関連事業につきましては、新規5タイトルを発売いたしました。主な販売タイトルは、SANKYOブランドの「パチスロ 炎炎ノ消防隊」(2023年5月)、「パチスロ からくりサーカス」(2023年7月)、Bistyブランドの「L エヴァンゲリオン~未来への創造~」(2023年10月)、「L ゴジラ対エヴァンゲリオン」(2024年2月)であります。

以上の結果、売上高321億円前期比42.5%増)、営業利益152億円同64.8%増)、販売台数70千台となりました。

(補給機器関連事業)

補給機器関連事業につきましては、パーラーにおいてスマート遊技機の導入に伴う設備投資が活発に行われたことから、売上高194億円前期比62.6%増)、営業利益15億円同113.2%増)となりました。

(その他)

その他につきましては、売上高4億円前期比137.7%増)、営業利益1億円同656.3%増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

パチンコ機関連事業

137,468

106.2

パチスロ機関連事業

33,421

144.4

補給機器関連事業

19,497

162.6

合計

190,386

115.7

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

パチンコ機関連事業

135,519

100.3

11,190

49.3

パチスロ機関連事業

32,169

106.2

7,762

100.3

補給機器関連事業

17,884

123.5

1,071

39.9

合計

185,573

103.1

20,024

60.4

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

パチンコ機関連事業

147,042

120.0

パチスロ機関連事業

32,143

142.5

補給機器関連事業

19,497

162.6

その他

416

237.7

合計

199,099

126.6

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は2,921億円であり、前連結会計年度末と比べ738億円減少しました。これは主に、現金及び預金が378億円増加となりましたが、有価証券が1,000億円、有償支給未収入金が48億円、投資有価証券が48億円それぞれ減少したことによるものであります。

負債は405億円であり、前連結会計年度末と比べ151億円減少しました。これは主に未払法人税等が92億円、支払手形及び買掛金が68億円それぞれ減少したことによるものであります

純資産は前連結会計年度末と比べ586億円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を537億円計上した一方、自己株式の取得965億円、配当金の支払い133億円、その他有価証券評価差額金が25億円減少したことによるものであります。なお、2023年11月7日及び2024年2月7日開催の取締役会において決議された、会社法第178条の規定に基づく自己株式の消却につきましては、それぞれ2023年11月30日及び2024年2月20日に実施しております。この結果、純資産は2,515億円となり、自己資本比率は1.2ポイント増加し、85.5%となりました。

セグメント別の資産は次のとおりであります。

パチンコ機関連事業の資産は1,659億円となり、前連結会計年度末と比べ268億円増加しました。

パチスロ機関連事業の資産は244億円となり、前連結会計年度末と比べ31億円増加しました。

補給機器関連事業の資産は80億円となり、前連結会計年度末と比べ3億円減少しました。

これら当社主力事業セグメントは製品及びサービスを販売する市場・顧客が共通しており、当連結会計年度においてはパチンコ機関連事業が前期比20.0%増収、パチスロ機関連事業が前期比42.5%増収、補給機器関連事業が前期比62.6%増収となったことを受けて上記のような資産の変動となっております。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末と比べ471億円減少し2,054億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ124億円増加475億円の資金の収入となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益752億円、有償支給未収入金の減少額48億円、売上債権の減少額47億円、減価償却費29億円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額283億円、仕入債務の減少額68億円、投資有価証券売却益21億円、棚卸資産の増加額11億円によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ84億円増加151億円の資金の収入となりました。収入の主な内訳は、有価証券の償還による収入400億円、投資有価証券の売却による収入33億円であり、支出の主な内訳は、有価証券の取得による支出250億円、有形固定資産の取得による支出29億円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ1,027億円減少1,098億円の資金の支出となりました。これは主に、自己株式の取得による支出980億円、配当金の支払額133億円によるものであります。

当社グループの運転資金の主な内容は、材料仕入、支払販売手数料、研究開発費等の製造費、販売費及び一般管理費等営業費用であります。主な設備投資の計画については、第3「設備の状況」3「設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

当社グループの運転資金及び設備投資資金については、原則として内部資金により調達することとしております。また、当社グループは健全な財務状態、活発な営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 販売契約等

契約会社名

相手方の名称

契約品目

契約内容

契約期間

株式会社ビスティ

フィールズ株式会社

パチンコ機

販売委託契約

2013年10月1日から

2014年9月30日まで

以降1年毎の自動更新

株式会社ビスティ

フィールズ株式会社

パチスロ機

遊技機販売取引基本契約

2013年10月1日から

2014年9月30日まで

以降1年毎の自動更新

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは『創意工夫』の基本方針のもと、市場ニーズを先取りしてパーラー及びファンの皆さまに満足していただくだけでなく、パチンコ・パチスロ産業が末永く大衆娯楽として支持されるために、潜在ファン・休眠ファンにも関心を持っていただけるようなアミューズメント性の高い遊技機の研究開発に取り組んでおります。

現在、グループの研究開発活動は、当社商品本部及び各子会社の開発部門で行っており、研究開発担当のスタッフは当連結会計年度末時点で267名、研究開発費の総額は152億円であります。

 

セグメント別の研究開発活動は次のとおりであります。

(1) パチンコ機関連事業

パチンコ機関連事業は、当社商品本部、株式会社ビスティ及び株式会社ジェイビーを中心に商品開発を行っており、当連結会計年度におきましては、SANKYOブランド6タイトル、Bistyブランド2タイトル、JBブランド2タイトル、グループ合計で10タイトルを販売いたしました。

主な取り組みとしまして、「フィーバー炎炎ノ消防隊」、「フィーバー機動戦士ガンダムSEED」(以上SANKYO)及び「ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン Type レイ/Type カヲル」(ビスティ)といった大型アニメ版権を中心に役物ギミック・液晶CG・サウンド・多様なゲーム性の構築、専用筐体による差別化等、様々な試みを行った結果、前年同期比で販売台数を伸ばすことができました。

また、新感覚青春ラブコメ作品で、大きな話題を呼んだ人気アニメとのタイアップパチンコとして「フィーバーかぐや様は告らせたい」、疾走感と爽快感に拘り、現市場に無いオンリーワンのポジショニングで、新境地の開拓を目指した「フィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」、異世界転生系で大人気のコンテンツとタイアップした「フィーバーありふれた職業で世界最強」(以上SANKYO)等、アニメファン層に向けた多様な遊技機開発も継続的に行っております。

その一方で、オリジナル版権として幻の秘湯を探すために、世界を冒険する「フィーバースプラッシュ×スプラッシュ」(SANKYO)、キャラクターデザインを一新し、シリーズ初の19インチ液晶を搭載した「フィーバーパワフル」(ジェイビー)等、オールドファンから若者まで世代を問わず楽しんでいただける製品開発にも取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は110億円であります。

 

(2) パチスロ機関連事業

パチスロ機関連事業は、当社商品本部及び株式会社ビスティを中心に商品開発を行っており、当連結会計年度におきましては、SANKYOブランド3タイトル、Bistyブランド2タイトル、グループ合計で5タイトルを販売いたしました。

主な取り組みとしまして、スマートパチスロ機第二弾として、パチンコで高稼働実績を残したコンテンツをパチスロ化した「パチスロ からくりサーカス」、若年層から絶大な支持を得ている版権とのタイアップ機「パチスロ 炎炎ノ消防隊」(以上SANKYO)が継続的にヒットし、パチスロ市場全体の稼働を牽引したことで、販売台数の増加傾向維持にも大きく貢献しております。

また、Bistyブランドでは全ての出玉性能を進化させるレア役システムを搭載した「L ゴジラ対エヴァンゲリオン」(ビスティ)といったブランド力をさらに向上させる試みにも挑戦しました

当事業に係る研究開発費は42億円であります。