文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や雇用環境の改善に伴い緩やかな景気回復局面にあるものの、自然災害が頻発したことによる影響や中国経済の減速やEU諸国の政治動向により、先行きの判断には慎重な見方が表れております。また、米国と中国の覇権争いによる混乱は、金融市場に大きく影響を与えるなど、先行きの不透明感は払拭できないまま推移しております。外食及び食品生産業界においては、慢性的な人手不足による人件費や物流費の上昇など、厳しい経営環境が続いております。
このような環境下で、当社グループは「食のバリューチェーンを構築する」という目標を掲げ、「既存ブランドの競争力強化と成長」、「ブランド・ポートフォリオの多様化」、「海外市場への進出」、「食品生産事業と六次産業化」の各課題へ積極的に取り組み、当社グループの事業規模の拡充に努めてまいりました。
(2) 対処すべき課題
既存ブランドについては、品質の向上に努めながら食材原価の低減にも取り組み収益性を高める傍ら、メニューや価格設定、店舗デザインなど市場や立地、顧客ニーズの変化に応じた業態のリモデルを行い、お客様満足度の向上に積極的に努めます。また、グループを挙げた店舗開発・加盟店開発の強化により積極的な出店を実施します。
販売事業においては、焼肉、居酒屋、ステーキなど既存のディナー業態に加え、ファストフードや洋菓子、またラーメン等の麺業態も含め、ランチに集客可能なブランドの展開にも注力し、多様化するライフスタイルとそれに伴う食のニーズに対応してまいります。また国内外問わず他社ブランドのフランチャイズ本部構築、展開支援にも注力し、ブランド数を増やしてまいります。一方で、生産事業においては、乳製品や調味料、酒類等のブランドの製造により、また、流通事業においては、海外の知名度の高い食品酒類ブランドを輸入することで、顧客ニーズに対応してまいります。なお、リスク分散の観点からも、ブランド・ポートフォリオの多様化を推し進めてまいります。
国内の成熟市場に比較し海外市場は、アジアを中心とした新興国や欧州、北米などで日本食の人気が高まっており、今後も日本食への需要の伸びが予測されます。これら市場に向けて外食の店舗出店や食品の輸出等に取り組み、潜在力の大きな市場の需要獲得を目指します。
乳製品メーカー及び調味料・酒類メーカーにおいては、自社ブランドによる製品の製造・販売を今後も継続・強化してまいります。これらの子会社では、すでに行っている自社グループ運営の外食業態での業務用商品の使用の拡大や、自社グループ外事業者へのPB商品の開発・販売、コンシューマー向け商品の開発・販売にも注力し、自社グループ内外を広く巻き込んで価値を生み出すビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。
⑤ グループ総合力の強化
ジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社の完全子会社化により、当社グループの生産、流通事業が拡充いたしました。食品酒類メーカーの盛田株式会社や地域の酒蔵各社、輸入食品酒類商社の株式会社アルカン、業務用総合食品商社の東洋商事株式会社などと当社グループの販売(外食)事業を中心とした既存業態との取り組みを深めることにより、今まで以上にグループの総合力を強化してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境の変動によるリスク
販売事業(外食店の運営)におきましては、景気動向や大手企業による大量の新規出店や商品の低価格化のほか、顧客ニーズの変化により競争が激化しております。また、生産事業におきましては、乳製品などの製造において、TPP等、貿易に係る条約の発効状況次第では、当社製品が安価な輸入商品との競争にさらされ、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(2) 食材の安全及び衛生管理に係るリスク
昨今、異物混入、伝染病(BSEや鳥インフルエンザ等)及び食品偽装問題など、食の安全に対する社会の関心が高まっております。当社が事業を継続するためには、安全・安心な食材を確保する努力が求められています。しかし、何らかの要因により食品事故等が発生した場合、当社のブランド・イメージが低下するほか損害賠償を求められることがあり得ます。このような事情が当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(3) 原材料の調達に係るリスク
販売事業におきましては、当社が運営する外食チェーン店で使用する原材料は、大部分が農業生産物であり、その種類も多種多様にわたります。そのため天候不順や食用家畜に対する伝染病の流行などが、原材料調達を困難にする可能性があります。また、政府による緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動など、需給関係の変動を伴う事態が生じる可能性があります。これらの結果当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。流通事業及び生産事業におきましては、原材料及び商品の多くを海外から調達しております。そのため、調達国における需給状況の変化や法律及び規制の変更、社会的混乱等により、調達コストの上昇や供給不足となる可能性があります。また、当社グループが調達する主要原材料や重油等のエネルギー資源は、その価格が市況により変動する可能性があります。これらの結果当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(4) 出店政策に係るリスク
販売事業におきましては、採算性を重視しながら、当社ブランドでの積極的な出店を行う見込みです。そのため商圏調査や賃料、投資後のシミュレーションなどを綿密に行っておりますが、景気動向や消費者のし好の変化などにより店舗が不採算化する可能性があり、これが当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(5) 自然災害に係るリスク
当社の運営する外食チェーン店舗(販売事業)及び工場(生産事業)が日本全国に点在しており、これらが台風・地震などの自然災害にさらされる可能性があります。万が一これらの災害に見舞われた場合は、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(6) 法的規制に係るリスク
当社ブランドで運営する店舗は、食品衛生法の規定に基づき、所管保健所の飲食店営業許可を取得しております。万が一食品中毒等の事故を起こした場合、食品等の廃棄処分、営業許可の取消、営業の禁止、もしくは一定期間の営業停止処分などの処分を受けることがありうるほか、被害者からの損害賠償請求を求められる可能性があります。その結果、当社グループ全体の信用を毀損することになり、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能があります。
(7) 人材確保に係るリスク
当社グループでは今後の業容拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。一方で少子高齢化社会の進行に伴い、人材の確保が困難となる場合や、人材の育成が順調に進まない場合、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(8) 製造技術の継承と技術者の育成
当社グループの基本理念の一つである「日本の伝統的で良質な食生活や食文化を守り、次世代に伝えていく」という考えのもと、醤油、味噌、漬物及び清酒等の伝統食品の製造技術を継承すべく、後継者となり得る技術者の育成を行っております。しかしながら、人材不足等により継承が円滑にできない可能性もあります。
(9) 新商品開発
食品業界における商品開発は非常に競争が激しく、同一カテゴリーにおいて類似した後発商品の相次ぐ発売や価格訴求等により、当社グループ商品の優位性が短期間で失われる可能性があることは否定できません。また、開発した新商品が市場において一定の評価を得られない場合は、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(10) 個人情報の管理に係るリスク
当社グループでは、顧客からのアンケート情報や住所等の情報を収集し、顧客満足度の把握及びサービスの向上に努めており、これら個人情報とマーケティング活用し、出店につなげております。個人情報の管理には万全を期しておりますが、何らかの理由で個人情報が外部に漏えいした場合には、損害賠償の発生や社会的信用の低下により、当社グル―プの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(11)海外事業に係るリスク
販売事業及び流通事業におきましては、欧州地域(英国、オランダ、フランス、ドイツ)や米国などで事業展開を行っております。政治的変動や為替相場変動のほか、各国の制度・習慣・宗教の違いなどにより、予期しえない事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(12) 減損損失に係るリスク
原則として事業または店舗を独立したキャッシュ・フローを生み出す最少単位と捉え減損会計を適用し、定期的に減損兆候の判定を行うことで、ブランド変更や退店の判断を健全に行い、経営効率の向上を目指しておりますが、外部環境の急激な変化等により著しく収益性が低下した場合や退店の意思決定をした場合、減損損失を計上する可能性があります。
(13) M&Aに係るリスク
今後ともグループ事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&Aを検討していく方針です。M&A実施に際しては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデュー・デリジェンスを行い、十分にリスクを吟味し正常収益力を分析した上で機関決定いたしますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や雇用環境の改善に伴い緩やかな景気回復局面にあるものの、自然災害が頻発したことによる影響や中国経済の減速とEU諸国の政治動向により、先行きの判断には慎重な見方が表れております。また、米国と中国の覇権争いによる混乱は、金融市場に大きく影響を与えるなど、先行きの不透明感は払拭できないまま推移しております。外食及び食品生産業界においては、慢性的な人手不足による人件費や物流費の上昇など、厳しい経営環境が続いております。
このような環境の下で、当社グループは「食のバリューチェーンのグローバルリーディングカンパニー」を目指し、「既存ブランドの競争力強化と成長」、「ブランド・ポートフォリオの多様化」、「海外市場への進出」、「食品生産事業と六次産業化」の各課題へ積極的に取り組み、国内外において事業規模の拡充により、販売・流通・生産の3機能が相互に価値を発揮する事業ポートフォリオの構築に努めてまいりました。
当連結会計年度の当社グループの取り組みは、次のとおりであります。
・「既存ブランドの競争力強化と成長」について
焼肉業態においては、「牛角」の食べ放題スタイルとなる「牛角ビュッフェ」(愛知県豊田店)の運営を開始しております。トンカツ業態「キムカツ」においては、栃木県足利市でキムカツブランド初のロードサイド店舗をオープンしております。ベーグル業態「BAGEL & BAGEL」においては、低投資型新ブランド「BAGEL & BAGEL City」を開発しております。クレープ業態では、新業態としてタピオカドリンク専門店「瑪蜜黛(モミトイ)」を出店しております。
・「ブランド・ポートフォリオの多様化」について
ジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社(以下「JFLA」と言います。)の子会社化により、食品酒類メーカー盛田株式会社の醤油・つゆ・たれなどの調味料ブランド「マルキン」「盛田」、清涼飲料水ブランド「ハイピース」、清酒ブランド「ねのひ」が当社グループに加わりました。また、輸入食品酒類商社の株式会社アルカンが取扱う幅広いブランドや「ボランジェ」「ルージェ」など世界的に知名度の高いブランドも加わっております。さらに、熊本県、福岡県を中心とする九州全域と広島県、山口県にも出店する「さかな市場」「十徳や」「寿里庵」等の海鮮居酒屋の業態も加わっております。
・「海外市場への進出」について
当社グループの欧州地域の日本食関連事業の更なる拡充のために、英国ロンドンの日本食卸・小売業大手であるJapan Centre Group Ltdグループなどと2月に戦略的業務提携を行っております。
・「食品生産事業と六次産業化」について
株式会社弘乳舎は、乳業メーカーに対して凍結生クリームや脱脂粉乳などの販売とグループ外企業へのPB及びNB商品の開発・販売を積極的に展開しております。九州乳業株式会社は、当社グループ会社の原材料(株式会社弘乳舎の調整粉等、株式会社アルカンが輸入するクリームチーズなど)を、株式会社菊家に提供して新商品の共同開発を行っております。
以上により、当連結会計年度の売上高は、JFLAや販売事業の株式会社十徳並びに前期子会社化した3社(株式会社菊家、Atariya Foods Retail (UK) Limited、Riem Becker SAS)が通期貢献をした結果、64,335百万円(前年同期比49.6%増)となりました。一方、営業利益は、JFLAが寄与したものの、同社子会社化に伴う一過性費用が増加したことや、海外部門(欧州)において事業環境の変化や経営改善費用の増加などにより下方修正をしたことが主要因となり、270百万円(前年同期比75.0%減)となりました。経常損失は、子会社化以前におけるJFLAの持分法による投資損失や関係会社等への貸倒引当金繰入などから967百万円(前年同期は経常利益887百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、投資有価証券評価損469百万円や減損損失1,723百万円などから、2,931百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益843百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
〔販売事業〕
当連結会計年度末の店舗数は848店舗(前連結会計年度末比で28店舗増)となりました。内訳は、直営店225店舗(同期比48店舗の増加)、フランチャイズ店623店舗(同期比20店舗の減少)となります。海鮮居酒屋「さかな市場」など56店舗や焼肉「牛角」6店舗を含め合計76店舗増加いたしましたが、釜飯串焼「とりでん」11店舗やラーメン業態などブランドリストラクチャリングを進めた結果、合計48店舗が減少いたしました。前述のとおり前期及び当期に子会社化いたしました4社が寄与し増収となりましたが、株式会社アスラポートでは焼肉業態「牛角」が堅調に推移したものの、地震や天候不順による影響及びラーメン業態を中心に加盟開発計画未達の影響により減収減益となりました。株式会社アルテゴにおいては、天候不順によるアウトレットモールなどの売上不振の影響やクレープ業態を中心に加盟開発計画未達の影響により減収減益となりました。また、経営改善中の株式会社十徳並びに株式会社菊家やフランスRiem Becker SASの季節要因などにより、当連結会計年度における売上高は25,396百万円(前年同期比33.9%増)、営業利益は509百万円(前年同期比55.4%減)となりました。
〔流通事業〕
海外子会社では、英国の子会社において人材採用を中心とする経営改善費用が増加したものの、JFLAの子会社である株式会社アルカンや業務用総合食品商社の東洋商事株式会社などが加わった影響により、当連結会計年度における売上高は12,105百万円(前年同期比177.5%増)、営業利益は144百万円(前年同期は営業利益1百万円)となりました。
〔生産事業〕
九州乳業株式会社は、乳飲料及びヨーグルトを中心に主要カテゴリーの売上が総じて堅調に推移いたしましたが、配送コストや燃料費及び電力料などの製造経費が増加したことにより、増収減益となりました。株式会社弘乳舎は、乳業メーカー向け凍結生クリームや脱脂粉乳の販売増加などにより増収となりましたが、原油高による製造経費(電力料やガス代)の増加などにより減益となりました。茨城乳業株式会社は、量販店・ドラッグストア向け飲用乳、アイスクリーム、プリン及び全農向け殺菌乳の販売増加があったものの、生クリームやゼリーなどOEM生産終了による影響により、減収減益となりました。JFLAの子会社である盛田株式会社などが加わった影響もあり、当連結会計年度における売上高は26,801百万円(前年同期比36.6%増)、営業利益は648百万円(前年同期比51.5%増)となりました。
〔その他事業〕
その他事業の内容は、店舗開発事業等売上があり、当連結会計年度における売上高は32百万円(前年同期比36.9%減)、営業利益は17百万円(前年同期比61.7%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,875百万円増加し7,573百万円となりました。当連結会計年度末の各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,689百万円となりました。これは、主に税金等調整前当期純損失2,889百万円に減価償却費1,269百万円、減損損失1,723百万円及びのれん償却額767百万円などを加えた収入によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、489百万円となりました。これは主にJFLA等株式取得による収入3,099百万円、有形固定資産の取得による支出1,412百万円、投資有価証券の取得による支出602百万円及び関係会社株式の取得による支出409百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金7,278百万円及び社債の発行による収入788百万円等の収入に対して、長期借入金の返済6,935百万円及び配当金の支払い額122百万円等の支出により、720百万円となりました。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は製造原価によっております。
2.流通及びその他については、生産を行っておりませんので、記載しておりません。
3.生産実績には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.販売、流通及びその他については、受注活動を行っておりませんので、記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.販売セグメントにおける販売実績とは、当社グループ直営店における飲食販売実績、フランチャイジーより加盟契約時に受け取る加盟金、ロイヤリティ及び食材備品等の販売による実績等であります。
3.流通セグメントにおける販売実績とは、輸入食品類酒類販売や業務用国内食品類酒類卸売、英国等における食材の卸し、製造加工及び流通による販売実績等であります。
4.生産セグメントにおける販売実績とは、株式会社弘乳舎における生産余剰乳の加工受託及び各種乳製品の製造販売及び茨城乳業株式会社、九州乳業株式会社における乳製品等の製造販売、盛田株式会社における調味料や酒類の製造販売による実績等であります。
5.その他販売実績とは、店舗開発事業等の売上等に係る実績であります。
6.販売実績には、消費税等は含まれておりません。
7.当連結会計年度における流通セグメントの販売実績が、前年同期比277.5%となりました。これはジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社グループが連結子会社に加わったことによるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
売上高は64,335百万円(前年同期比49.6%増)となりました。
売上総利益は20,742百万円(同52.6%増)となりました。
営業利益は270百万円(同75.0%減)となりました。
経常損失は967百万円(前年同期は経常利益887百万円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失は2,931百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益843百万円)
となりました。
当連結会計年度においては、JFLAの完全子会社や海外展開等により、国内外で生産・流通・販売の各事業の拡充が図られた一方で、事業ポートフォリオの拡大に伴うグループ会社の急速且つ大幅な増加によりグループ経営のガバナンス体制が事業拡大に対して十分に機能できない状態が生じました。コア事業である販売(外食)事業の株式会社アスラポートや九州乳業株式会社を始めとした生産事業の乳業各社などは、前期並みの業績で推移した一方で、海外及び新規事業の会社は、大幅な赤字決算を余儀なくされ、更なる経営改善もしくは抜本的な改革が必要な状況ですので、「食のグローバル・バリューチェーン」の強固な構築を行うため、グループ・ガバナンスが適正に機能するグループ体制の再構築を図ります。具体的には、グループ経営を統括する組織・機能の見直し、事業の選択と集中に関して従来以上に明確なルールの導入を行い、今まで以上に事業ポートフォリオの管理を徹底してまいります。また、国内部門では新規出店や既存店の収益改善を図ります。海外部門(欧州)については、地域の有力なパートナーシップとの協業等により早期の損益改善を図ってまいります。併せて、間接部門の効率的配置や拠点の集約、管理機能を移管・最適配置することで、各事業セグメントのコスト構造を最適化し、グループ全体の資産効率の向上と収益力の強化を図ります。
JFLA等を連結子会社に加えたため、総資産、負債及び純資産が増加しております。
当連結会計年度末の総資産は57,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,155百万円増加いたしました。これは主に、流動資産が12,427百万円、有形固定資産が10,309百万円、のれんが1,092百万円増加したことによるものであります。
負債合計は、47,150百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,744百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金が9,957百万円、支払手形及び買掛金が3,217百万円、長期借入金が3,641百万円増加したことによるものであります。
純資産は、資本剰余金4,843百万円の増加及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上により、前連結会計年度末に比べ1,411百万円増加し、10,636百万円となっております。
我が国経済は、個人消費や雇用環境の改善に伴い緩やかな景気回復局面にあります。一方で、自然災害が頻発したことによる影響や中国経済の減速、EU諸国の政治動向により、先行きの判断には慎重な見方が表れております。また、米国と中国の覇権争いによる混乱は、金融市場に大きく影響を与えるなど、先行きの不透明感は払拭できないまま推移しております。外食及び食品生産業界においては、慢性的な人手不足による人件費や物流費の上昇など、厳しい経営環境が続いております。
このような認識の下、競争が激化する厳しい環境を打破し更なる成長のためには、当社グループは国内外市場における「食のバリューチェーン」の更なる拡充と高付加価値化の実現のため、販売・流通・生産の各機能が相互に価値を生み出す事業ポートフォリオの構築や海外市場における「食のバリューチェーン」事業の構築及び六次産業への本格参入と事業モデルの実現が必須であると考えております。販売事業においては、高い成長性と収益性を兼ね備えたブランド・ポートフォリオの戦略的構築を進めると共に、高付加価値業態とカジュアル業態の強化を目的とした新規業態への参入も積極的に図ってまいります。流通事業におきましては、国内外の店舗網を有機的に結び付けるサプライチェーンの構築を行い、収益性の高い事業モデルの構築を図ってまいります。生産事業におきましては、乳製品分野の商品開発並びマーケティング強化による付加価値化の実現や日本の伝統的な食材、消費財の国内外における製造・販売体制の構築などを着実に実行していきます。以上のような取り組みを図ることにより「食のバリューチェーンのグローバルリーディングカンパニー」を目指してまいります。
(1) 当社がフランチャイズ本部と締結している契約
当社はフランチャイズ本部と次のとおりフランチャイズ契約を締結しております。
(2) 連結子会社である株式会社アスラポートがフランチャイズ本部と締結している契約
連結子会社である株式会社アスラポートはフランチャイズ本部と次のとおりエリアフランチャイズに関する契約を締結しております。
(3) 株式会社ジェイアンドジェイとの事業譲受契約
当社は、2018年5月15日開催の取締役会において、株式会社十徳が、株式会社ジェイアンドジェイの海鮮居酒屋事業を譲受することを決議し、2018年6月21日付で当該事業を譲り受けました。なお、株式会社アスラポートは、2018年5月17日において、株式会社十徳の株式を取得し、同社を子会社化しております。
株式会社ジェイアンドジェイは、「さかな市場」「十徳や」「寿里庵」等の海鮮居酒屋の業態を中心に合計61店舗(2018年2月28日現在)を運営しております。熊本県、福岡県を中心に九州全域に店舗を展開しており、九州以外では広島県、山口県にも出店しております。
当社グループは、全国で飲食等の店舗を展開しており、食材の輸入・卸事業を運営する企業も擁しておりますため、同社と共同して購買や調達、物流を行うことで、物流(配送)効率の向上のみならず、仕入値の低減が可能となると考えております。また、当社グループが保有する飲食店運営リソースやノウハウを活用したフランチャイズ展開や当社グループの他の業態への転換支援を行うことで、売上高と利益の向上に繋げることができると考えております。一方、株式会社ジェイアンドジェイは、鮮魚に関する仕入先やレシピなどのノウハウを多く保有しておりますので、当社グループに対して当該仕入ルートやノウハウ等の提供を通して、当社グループ既存店舗のメニューの充実を図れるほか、当社グループの既存の居酒屋業態を「十徳や」等のブランドに転換することが可能となります。以上のことから、当社グループの企業価値の向上につながると判断したため事業譲受をいたしました。
株式会社ジェイアンドジェイ
同社が営む海鮮居酒屋業態の一切の事業
2018年6月21日
460,000千円
自己資金
当社グループは豊かで健康的な生活を求める消費者ニーズに応えるため、長年培った生産技術を生かして、安全、安心、健康な食品を適正な価格で提供することを、研究開発活動の基本コンセプトとしております。
当連結会計年度の研究開発費は、生産事業の盛田株式会社を中心に17百万円であります。