第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針(経営方針)

当社グループは「食を通じた新たな価値の創造と提供」をミッションに、「新たな価値を生み出すブランド創出」、「新たな価値を提供する多様な販売手法の構築」、「新たな価値を支える経営基盤の確立と持続的成長」という3つの中長期戦略を実行しております。戦略に紐づく各課題へ積極的に取り組み、販売・流通・生産の3機能が相互に価値を発揮する事業ポートフォリオの構築に努めております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2021年3月期から2023年3月期までの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、その最終年度である2023年3月期において、連結売上高820億円、連結営業利益22億円、連結経常利益17億円をそれぞれ達成することを目標としております(同計画は2019年11月に策定されているため、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う業績への影響は考慮されておりません。また、2020年3月に焼肉業態「牛角」事業の譲渡を行っておりますが、本事業の業績を含んだものとなっております)。

収益指標や財務指標については、収益指標を営業利益率3.0%、経常利益率2.5%としております。また、財務指標を自己資本比率30%、DEレシオ1.5倍、有利子負債のEBITDA倍率5倍としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 ① 新たな価値を生み出すブランド創出

・発酵、醸造技術を活用した乳製品や和食材の商品開発と高付加価値化

・当社独自のウェルエイジング商品の開発提案

 ② 新たな価値を提供する多様な販売手法の構築

・D2Cの強化

・乳業メーカーが構築している宅配網の整備や活用

・デリバリー・テイクアウト複合型事業モデルの推進

・オンライン販売やクラウドキッチンの整備と構築

 ③ 新たな価値を支える経営基盤の確立と持続的成長

・多層的な収益構造の確立による持続的成長

・販売、流通、生産の3機能の有機的発展

・国内事業や家庭用市場向け事業への注力

・最適な事業ポートフォリオの実現のためのアライアンスや機動的な事業再編の実施

 

セグメント別の戦略

(1) 販売事業:商品開発と生産機能を有する販売事業への再編

・販売機能を有し一定の知名度があるブランドの重点強化

・既存の外食事業は縮小の上、D2C機能へ転換

(2) 流通事業:D2C機能や海外との太いパイプに強みを持つ流通事業の拡充

・Eコマースやセールスドライバーの強化

・機能性素材や原料(グルテンフリーやオーガニック等)の取扱いによる差別化

・パートナー海外メーカーとの国内市場ニーズに呼応・合致した商品の共同開発

(3) 生産事業:発酵・醸造技術を活かした高付加価値の機能性飲料・食品の開発並びに製造

・乳業は豆乳、ヨーグルト、アーモンドミルク、その他飲料はもろみ酢や茶系飲料を重点商品化

・エリア毎のブランド育成や商品開発及び営業強化により空白地のシェア獲得や既存地域のシェア拡充

(4) その他

・グループ事業のガバナンス体制の構築や組織及び機能の適宜見直し

・事業ポートフォリオの継続性と成長性のベンチマーク指標の導入

・SDGs及びESGへの取り組み強化

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い社会・経済活動が制限されたため、消費活動が減退したため極めて厳しい状況にあります。また、先行きについては依然予断を許さない状況となっております。販売事業や流通事業においては、政府主導の需要喚起策により経済活動は一時的に持ち直しましたが、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が生じるなど非常に厳しい経営環境が続いております。

そのような中で、当社グループは持続的成長及び中長期的な企業価値向上をグループ経営における最重要課題と位置付けております。新しい経営方針である「食を通じた新たな価値の創造と提供」の達成のため、3つの戦略「新たな価値を生み出すブランド創出」、「新たな価値を提供する多様な販売手法の構築」、「新たな価値を支える経営基盤の確立と持続的な成長」実現に向けて対処すべき課題は以下のとおりです。

 

① 最適な事業ポートフォリオの構築

2018年に経営統合をしたジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社と当社との合併や海外事業及び外食事業の事業再編を以って、当社グループの新たな発展に向けた体制が整いました。今後は、新しい経営方針である「食を通じた新たな価値の創造と提供」や各戦略の実現のために、販売、流通、生産の3機能の相互連携強化による有機的発展ならびに機動的なアライアンスや事業再編の実施を通して最適な事業ポートフォリオの構築を進めてまいります。

 

② 経営基盤の強化

当社グループの更なる事業拡大及び持続的な成長を遂げていくためには、最適な事業ポートフォリオの構築に加え、財務健全性向上の観点から適正な自己資本比率や資本効率の向上等の取り組みにより経営基盤の強化を図っていくことが必要であると認識しております。

 

③ 既存事業の深化と転換

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社グループを取り巻く事業環境は急速な変化を遂げる中、このような環境下で持続的な成長を遂げていくために、当社の中核事業である生産事業では、強みである発酵・醸造技術を活かした高付加価値の機能性飲料・食品の開発並びに製造販売に注力してまいります。流通事業では、Eコマースやセールスドライバーの強化によるD2C機能の強化や欧州を中心とした海外パートナー企業との国内市場ニーズに呼応・合致した商品共同開発などに注力してまいります。販売事業では、販売機能を有し一定の知名度があるブランドの強化をする一方で、既存の来店型外食事業は縮小し、デリバリー・テイクアウト複合型事業モデルの推進やオンライン販売やクラウドキッチンの整備と構築などにより、商品開発と生産機能を有する販売事業への再編を進めてまいります。

 

④ 新規事業の創出と既存事業との融合

当社グループは、2021年1月から健康増進に関する新規事業「ウェルエイジング事業」を開始しております。パフォーマンス向上を目的とした事業に当社の強みである発酵・醸造技術を活かした高付加価値の機能性飲料・食品の開発との融合により競争優位性が発揮できる独自のポジションを確立してまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンス体制の強化

当社グループの持続的な成長及び企業価値向上を実現するために、コーポレ ート・ガバナンス体制の強化が重要であると認識しております。経営の透明性及び健全性確保の観点から、リスク管理の整備やグループ全体の横断的なコンプライアンス体制による法令遵守の徹底に努め、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

 

⑥ 財務上の課題

当連結会計年度末における有利子負債は24,880百万円(前連結会計年度末比4,040百万円減少)となっております。また、主要な財務指標は、自己資本比率17.8%、DEレシオ2.68倍となっております。グループの事業拡充を優先すべく有利子負債については増加傾向でありましたが、目標とする経営指標や中長期的な会社の経営戦略を踏まえ、今後は従来以上に有利子負債と財務指標に重点を置いた事業運営を行ってまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 新型コロナウイルス感染症等の異常事態リスク

当社グループは、国内外において外食店舗や生産工場などの複数の事業拠点や物流施設等を使用し事業運営をしております。新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックや大規模な自然災害等の異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループの販売事業では、回復が見込めない直営店舗の撤退を進めるほかに、お客様の生活様式の変化に対応するため、デリバリーサービスの導入を進めるなど「ポストコロナ」対策に着手してまいります。流通・海外事業では、欧州地域の不採算事業の撤退を行うことで経営資源の有効活用を行ってまいります。

 

(2) 投融資回収のリスク

当社グループは、今後の事業拡大及び収益力向上のため、企業の買収や子会社設立、アライアンスを目的とした事業投資等を実施する場合があります。当社グループは、投融資案件に対しリスク及び回収可能性を十分に事前評価し、投融資を行っておりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予測することは困難な場合があり、投融資先の事業が計画通りに進展しない場合や、効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、今後もシナジーを最大限に活用し、グループ全体の企業価値向上を目指してまいりますが、事業展開が計画通りに進まないことに伴う収益性の低下や時価の下落等に伴い、資産価値が低下した場合は、減損損失の発生や売却等での売却損により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 景気の下振れによる不況リスク

日本における将来の景気減退又は経済減速等の経済不振は、当社グループが事業展開する乳製品や調味料などの商品・外食サービスに対する購買力や需要に影響を与える可能性があります。現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時的に景気の後退に至っておりますが、今後も、様々な外的要因により、景気の下振れによる不況に陥った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。当社グループは、各種のコスト削減策を実施することにより収益基盤を強化しております。

 

(4) 自然災害に係るリスク

当社グループ子会社の運営する外食チェーン店舗(販売事業)及び工場(生産事業)が、日本国内はもとより海外にも点在しており、これらが台風・地震・疫病などの自然災害にさらされる可能性があります。これらの災害に見舞われた場合は、店舗の休業や閉店を余儀なくされるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)海外事業に係るリスク

当社グループでは、欧州地域(英国、オランダ、フランス、ドイツ)や米国を中心に事業展開を行っております。政治的変動や為替相場変動のほか、各国の制度・習慣・宗教の違いなどにより、予期しえない事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 原材料の調達に係るリスク

販売事業におきましては、当社が運営する外食チェーン店で使用する原材料は、大部分が農業生産物であり、その種類も多種多様にわたります。そのため天候不順や食用家畜に対する伝染病の流行などが、原材料調達を困難にする可能性があります。また、政府による緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動など、需給関係の変動を伴う事態が生じる可能性があります。流通事業及び生産事業におきましては、原材料及び商品の多くを海外から調達しております。そのため、調達国における需給状況の変化や法律及び規制の変更、社会的混乱等により、調達コストの上昇や供給不足となる可能性があります。また、当社グループが調達する主要原材料や重油等のエネルギー資源は、その価格が市況により変動する可能性があります。これらの結果当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 食材の安全及び衛生管理に係るリスク

異物混入、伝染病(BSEや鳥インフルエンザ等)及び食品偽装問題など、食の安全に対する社会の関心が高まっております。当社が事業を継続するためには、安全・安心な食材を確保する努力が求められています。しかし、何らかの要因により食品事故等が発生した場合、当社のブランド・イメージが低下するほか損害賠償を求められることがあり得ます。このような事情が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 出店政策に係るリスク

販売事業におきましては、商圏調査や賃料、投資後のシミュレーションなどを綿密に行った上で採算性を重視しながらな出店を行っておりますが、景気動向や消費者のし好の変化などにより店舗が不採算化する可能性があり、これが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 法的規制に係るリスク

当社ブランドで運営する店舗は、食品衛生法の規定に基づき、所管保健所の飲食店営業許可を取得しております。万が一食品中毒等の事故を起こした場合、食品等の廃棄処分、営業許可の取消、営業の禁止、もしくは一定期間の営業停止処分などの処分を受けることがありうるほか、被害者からの損害賠償請求を求められる可能性があります。その結果、当社グループ全体の信用を毀損することになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能があります。

 

(10) 人材確保に係るリスク

当社グループでは今後の業容拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。一方で少子高齢化社会の進行に伴い、人材の確保が困難となる場合や、人材の育成が順調に進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 製造技術の継承と技術者の育成

当社グループの基本理念の一つである「日本の伝統的で良質な食生活や食文化を守り、次世代に伝えていく」という考えのもと、醤油、味噌、漬物及び清酒等の伝統食品の製造技術を継承すべく、後継者となり得る技術者の育成を行っておりますが、人材不足等により継承が円滑にできない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 新商品開発

食品業界における商品開発は非常に競争が激しく、同一カテゴリーにおいて類似した後発商品の相次ぐ発売や価格訴求等により、当社グループ商品の優位性が短期間で失われる可能性があります。また、開発した新商品が市場において一定の評価を得られない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 個人情報の管理に係るリスク

当社グループでは、顧客からのアンケート情報や住所等の情報を収集し、顧客満足度の把握及びサービスの向上に努めており、これら個人情報とマーケティング活用し、出店につなげております。個人情報の管理には万全を期しておりますが、何らかの理由で個人情報が外部に漏えいした場合には、損害賠償の発生や社会的信用の低下により、当社グル―プの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、社会・経済活動が制限される事態となり、消費活動が減退したため極めて厳しい状況にあります。また、先行きについては依然予断を許さない状況となっております。販売事業や流通事業においては、政府主導の需要喚起策等により経済活動は一時的に持ち直しましたが、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が生じるなど非常に厳しい経営環境が続いております。

このような環境の中で、当社グループは「食を通じた新たな価値の創造と提供」をミッションに、「新たな価値を生み出すブランド創出」、「新たな価値を提供する多様な販売手法の構築」、「新たな価値を支える経営基盤の確立と持続的な成長」という3つの中長期戦略を実行しております。

販売事業においては、外食店舗を拠点としたクラウドキッチン型のデリバリー及びテイクアウトサービスの導入を進めており、直営店舗におけるデリバリー導入店舗数は2021年3月末現在48店舗(営業中の直営店舗に対して35.8%)まで拡充しております。今後は直営店舗のみならず、全国のフランチャイズ店舗に広く展開をしてまいります。また、販売事業や流通事業においては、不採算店舗の整理や英国子会社Atariya Foods Limitedグループの寿司業態及び食品卸事業などの海外事業の再編を行っております。一方で、世界的知名度があるショコラブランド「ル・ショコラ・アラン・デュカス」やオーガニックベーカリーブランド「ル・パン・コティディアン」の運営を開始しております。また、当社グループの強みである発酵技術や醸造技術を使った健康食品の開発とプロアスリートの意見を反映した健康増進事業(ウェルエイジング事業)を開始するなど、事業の選択と集中を通して事業ポートフォリオの整備を進めております。

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、乳業事業を中心とした生産事業は、新型コロナウイルス感染症拡大による乳製品の家庭向け需要の増加や受託加工事業が好調に推移したため増収となりました。一方で、販売事業や流通事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が主要因となり、それぞれ減収となったため、売上高は69,619百万円(前年同期比13.9%減)、営業損失は1,185百万円(前年同期は営業利益515百万円)、経常損失は1,503百万円(前年同期は経常利益217百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、投資有価証券売却益686百万円や助成金収入724百万円の計上があった一方で、減損損失625百万円や新型コロナウイルス感染症を主要因とした特別損失(休業要請に伴い発生した休業中の店舗の賃借料及び人件費等の622百万円)の計上の他、法人税等合計552百万円の計上などにより、2,558百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益1,689百万円)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(販売事業)

当連結会計年度末の店舗数は556店舗(前年同期比274店舗の減少)となりました。内訳は、直営店165店舗(前年同期比46店舗の減少)、フランチャイズ店391店舗(前年同期比228店舗の減少)となりました。前述のとおり、クラウドキッチン型のデリバリー及びテイクアウトサービスへの転換を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う店舗閉鎖やブランドリストラクチャリング等により全体の店舗数は減少いたしました。また、既存店月次前年比売上高(直営とフランチャイズ店合計)では、上期累計が54.6%に対して下期累計が69.7%であり、令和2年外食産業市場動向調査の50.5%(パブ/居酒屋)と比較しても回復傾向を示しておりますが、焼肉「牛角」事業の譲渡ならびに新型コロナウイルス感染症拡大による店舗の減少や休業等の影響及び宴席需要等の減少などにより、当連結会計年度における売上高は13,720百万円(前年同期比42.1%減)、営業損失は795百万円(前年同期は営業利益186百万円)となりました

 

(流通事業)

株式会社アルカンや東洋商事株式会社においては、量販店やオンライン向け営業強化に努めましたが、ホテル・レストランの休業や婚礼宴会需要の減少などで業務用食材やワイン・シャンパンの販売が落ち込んだことにより、減収減益となりました。以上により、当連結会計年度における売上高は16,894百万円(前年同期比23.8%減)、営業損失は296百万円(前年同期は営業利益303百万円)となりました

 

(生産事業)

九州乳業株式会社及び茨城乳業株式会社においては、乳製品取扱量が増加したことで運賃やセンターフィー及び人件費が増加したものの、家庭向け需要の増加や主要な量販店・ドラッグストア向け牛乳類、ヨーグルトなどの販売が好調に推移しました。また、九州乳業株式会社では、中長期的成長のため今後需要が見込めるノンデイリー製品に対応すべく生産設備の増強を行っております。株式会社弘乳舎においては、新型コロナウイルス感染症の影響により余剰乳をバターや脱脂粉乳といった製品に加工する受託加工事業が好調であったため、乳業事業全体で増収となりました。

一方、盛田株式会社においては、家庭用製品(新商品の鍋つゆなどのつゆ・たれ及びみりん風調味料など)の販売は堅調に推移したものの、外食店休業要請の影響から業務用製品の売上が減少いたしました。以上により、当連結会計年度における売上高は38,165百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益は1,178百万円(前年同期比4.2%減)となりました。

 

(その他)

店舗開発事業や介護施設運営事業等による売上があり、当連結会計年度における売上高は839百万円(前年同期比458.7%増)、営業損失は10百万円(前年同期は営業利益27百万円)となりました

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,155百万円減少し5,727百万円となりました。当連結会計年度末の各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりとなりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、291百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,966百万円、減価償却費及びその他の償却費1,401百万円、減損損失625百万円、仕入債務の減少618百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は、2,682百万円となりました。これは、主に事業譲渡による収入3,297百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、4,711百万円となりました。これは、主に短期借入金の純減少額3,417百万円、長期借入による収入4,074百万円と長期借入金の返済による支出5,217百万円によるものであります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

販売(千円)

1,557,523

77.0

流通(千円)

生産(千円)

28,681,805

110.6

 報告セグメント(千円)

30,239,328

108.2

その他(千円)

合計(千円)

30,239,328

108.2

 

(注) 1.金額は製造原価によっております。

2.流通及びその他については、生産を行っておりませんので、記載しておりません。

3.生産実績には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

販売

流通

生産

23,415,552

104.3

229,707

102.8

その他

合計

23,415,552

104.3

229,707

102.8

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.販売、流通及びその他については、受注活動を行っておりませんので、記載しておりません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

販売(千円)

13,720,304

57.9

流通(千円)

16,894,651

76.2

生産(千円)

38,165,726

109.5

 報告セグメント(千円)

68,780,682

85.2

その他(千円)

839,263

558.7

合計(千円)

69,619,945

86.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.販売セグメントにおける販売実績とは、当社グループ直営店における飲食販売実績、フランチャイジーより加盟契約時に受け取る加盟金、ロイヤリティ及び食材備品等の販売による実績等であります。

3.流通セグメントにおける販売実績とは、輸入食品類酒類販売や業務用国内食品類酒類卸売、英国等における食材の卸し、製造加工及び流通による販売実績等であります。

4.生産セグメントにおける販売実績とは、株式会社弘乳舎における生産余剰乳の加工受託及び各種乳製品の製造販売及び茨城乳業株式会社、九州乳業株式会社における乳製品等の製造販売、盛田株式会社における調味料や酒類の製造販売による実績等であります。

5.その他販売実績とは、店舗開発事業等の売上等に係る実績であります。

6.販売実績には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これら見積り及び仮定に基づいた数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等については、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検討を行っております。

 

(固定資産の減損処理)

固定資産の減損処理に際しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績の分析
a.売上高は69,619百万円(前年同期比13.9%減)となりました。
b.営業損失は1,185百万円(前年同期は営業利益515百万円)となりました。
c.経常損失は1,503百万円(前年同期は経常利益217百万円)となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純損失は2,558百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益1,689百万円)となりました。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は52,258百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,585百万円減少いたしました。これは主に、流動資産が6,020百万円の減少したことによるものであります。

総負債は、42,223百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,343百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金及び長期借入金が4,174百万円減少したことによるものであります。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により、前連結会計年度末に比べ2,241百万円減少し、10,035百万円となっております。

 

④ 財務及び資金の流動性について

当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や中長期的な成長に必要な子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金又は金融機関からの借入や社債を基本としております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々な要因の変化による影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、組織体制の整備などこれらのリスク要因を全社挙げて取り組んでまいります。

 

⑥ 経営上の目標達成を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

経営上の目標達成を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

(1) 当社がフランチャイズ本部と締結している契約

      相手先名称

      契約内容

     契約期間

TACO BELL RESTAURANTS ASIA PTE,LTD.

日本国内における「TACO BELL」ブランドのフランチャイズチェーン展開

契約先の要望により、非開示とさせていただいております。

Bird & Bird LLP

日本国内における「Le Pain Quotidien」のフランチャイズチェーン展開

契約先の要望により、非開示とさせていただいております。

 

 

(2) 子会社がフランチャイズ本部と締結している契約

      相手先名称

      契約内容

     契約期間

CABOSSE & ASSOCIES and DE GUSTIBUS SAS

日本国内における「LE CHOCOLAT ALAIN DUCASSE」ブランドのフランチャイズチェーン展開

契約先の要望により、非開示とさせていただいております。

 

 

5 【研究開発活動】

重要性が乏しいため記載を省略しております。