第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、以下の3点を経営の基本方針としております。

① 経営理念に基づいた経営の推進

当社グループは、経営理念として「社会貢献」「改革・成長」「明朗・誠実・協力」の3つを掲げ、この理念に基づいて経営を推進しております。

「社会貢献」については、当社のすべての技術を結集し、お客様に満足される情報通信ネットワークソリューションを提供することにより、社会に貢献します。

「改革・成長」については、日頃から、改革・改善に取組み、毎日毎日の創造と絶えざる前進をし、社会の発展に寄与します。

「明朗・誠実・協力」については、明朗・誠実・協力を社是とし、遵法精神の下、良き企業人として活動します。

 

② 顧客インフラに対する責任

当社グループの主力ビジネスである情報通信事業は、顧客にとって通信・情報の生命線であるインフラに関わる業務です。顧客の業務プロセスに合致したインフラ構築を行う必要があり、公共性、継続性、安定性の維持が求められる責任の重い仕事です。当社グループでは、中長期にわたって安全と安心を提供し続けることを使命と捉え、この業務に取組んでおります。
 さらに、近年、無線技術の進化やクラウド化の進展等、技術面での高度化が著しく、顧客の既存設備を最大限に活かしたソリューションサービスを提供するためには、当社グループのコアな技術と先端技術を高め続けていく必要があります。

 

③ 企業価値及び株主価値の中長期的な向上

「経営理念に基づいた経営の推進」や「顧客インフラに対する責任」を果たしていくためには、ステークホルダーと中長期的な信頼関係を構築することが非常に重要だと認識しております。当社は、上場会社として、資本コストを意識した経営を行うとともに、当社の存在価値を発
揮することを通じて、企業価値及び株主価値を向上させてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題の一つと位置づけ、収益性の向上と財務体質の強化を図ってまいります。そのため、ROE(自己資本利益率)とDOE(株主資本配当率)を重要な経営指標と捉え、その向上に努めてまいります。

 

(3) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、「顧客の事業環境や事業空間を顧客と共に創り、守り、育てる会社」とした経営方針のもと、IT(情報)×OT(制御)の技術を有する企業グループとして、世の中に新しい価値を創出すべく、ネットワークに繋がる全ての機器を制御するエンジニアリング会社となることを目指し、事業に取組んでまいりました。

当社事業への影響としては、地政学リスクの上昇や金融政策に伴う物価高からの原材料の値上げや人件費の上昇で収益性が低くなること、当連結会計年度は需要があったものの、PBX市場がオンプレからクラウド化にシフトしていることにより市場が縮小していること等が外部要因として、また、PBX市場におけるレガシー分野の事業規模が一定程度あることから社内的な危機感が醸成されていないこと、人材育成や企業体質の改善に向けた投資(先行投資)の効果がまだ出ていないこと、顧客のネットワーク系の高度な要望に応えられていないこと、利用料ビジネスへの転換が上手く図れていないこと等が内部要因として課題となっております。そのような中で情報通信事業では収益性を重視した事業への転換を進めること、照明制御事業においては事業強化を行うべく、ゼネコンや協創会社との連携、ビルマーケット市場の継続的な開拓等を取組として掲げるとともに、24時間365日対応の強みを活かし、保守料・利用料ビジネスを増加させること、顧客への原価増の理解を求め、収益性の向上を図ること、レガシー分野から成長分野へシフトすべく投資を行い、ネットワークの高度化、照明制御、マルチゲートウェイ、利用料ビジネス等の分野に対する技術員のスキル取得・向上や人員増強を図ることで課題解決及び事業拡大を進めてまいります。

このようにして、事業構造の改革、組織改革や人材の育成を継続して実施し、経営の効率化を高め業績の向上に資する所存であります。

 

(4) 中長期的な経営戦略

 当社グループでは、社会の課題解決に向けた以下の取組みを行ってまいります。

 

① スマートビルディングの実現に向けたマルチゲートウェイ活用のアライアンス戦略

マルチゲートウェイが、スマートビルディングの実現に向けたビルOS(※1)とビル設備を繋ぐゲートウェイとしてゼネコン、キャリアに選定いただいております。アライアンス先とPоC(概念実証)を重ね、新築ビル・既設ビルへの導入を含め、関係性の強化と、パッケージソリューションとしての展開を図っております。今後も多様な設備メーカー、IoT機器メーカー、ソフトウェアとの接続先の増加とソリューションサービス提供に向けて取組んでまいります。

※1 ビル設備に関わる様々なデータを収集・蓄積・連携する機能を備えたソフトウェア/

   サービスのこと

 

② 利用料ビジネスの推進

「かんだ光」サービスを提供し、回線コンサルタントとして顧客へ寄り添うことにより、利用料ビジネスの推進を加速化いたしました。既に取り掛かっている福祉向け会員総合情報システム「ここる」、一斉情報共有システム「Apica」、クラウドPBX、マルチゲートウェイも含め、利用料ビジネスへの転換を推進して参ります。

 

③ 情報通信事業の事業変革

PBXがオンプレからクラウド化へ徐々にシフトしていっており、「モノ」売りから「コト」売りへの事業変革を進めております。お客様へのお困り事の追求、マルチゲートウェイを絡めたソリューションの創出を軸に、オンプレPBX中心の事業体質の変革を実行して参ります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは「顧客の事業活動の生命線となるインフラ(事業活動・空間)を、顧客と共に、創り、守り、育てる会社」として、当社グループの事業そのものがサステナビリティへの取組みに繋がることと認識したうえで、低炭素社会実現に向けた取組み(ZEB化等)を実施しております。また、スマートビルディング、SDGs、ESGなど、持続可能な社会に向けた環境活動や取組みが企業に浸透しつつあるなかで、当社グループが提供している、情報通信技術と制御技術により、今までにない付加価値を生み出すことが可能です。当社グループは、事業活動を通じて、社会の要求に応えるとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

社会環境が大きく変化しており、絶え間なく変化し続ける世の中やお客様のニーズに対応するために、当社グループでは、より多様性を有した取締役会の構築をめざして、経営基盤を強化し、事業の拡大と課題の解決を図っております。
  中長期的な視点に立ったサステナビリティに関する取組みは、役員会議の中で、適宜、管轄の執行役員より活動内容の報告を受けながら、活動の推進を行っております。

 

(2)戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
  

人材育成方針

当社グループの競争力の源泉は「人材」にあり、「人材の確保」「社員の高齢化と高齢者の戦力化」「技術者の高スキル化とマルチ化」が課題と認識しております。これらの課題への対策として、多様なスキルの修得と、その過程での生きがいと働きがいを重視した「リスキリング」と「2スキル2ライセンス」に力を入れて推進しております。

具体的には、組織に不足するスキル・専門性の獲得を社員に促すに当たって、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化を醸成する目的で、基本コンセプトを「技術を伸ばす機会」とする、社内技術競技大会(KANTEC)を実施しております。また、その成果に応じ、キャリアプランや報酬等の処遇に反映できるよう人事制度を構築しております。

また、当社は独立行政法人日本学生支援機構が発行するソーシャルボンド(第74回日本学生支援債券)を購入しており、本債券はSDGsの目標4の達成に資する等、我が国の教育面の課題解決に貢献します。今後も本債券等の投資ならびに企業活動を通じて持続可能な社会の形成に貢献する取り組みを継続してまいります。

 

社内環境整備方針

中長期的な企業価値向上に向けて、絶え間なく変化し続ける世の中やお客様のニーズに対応するには、当社グループも絶えず変化し続けなければなりません。そのためには、社員一人ひとりが「自分ごと」として捉え、「当社グループの強み(多様なお客様と独自の技術力)」を磨き続けていくことが求められます。その源泉となるのは人材であり、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、経験者採用も積極的に行っております。

 

また、従業員エンゲージメント、従業員の定着率を向上させるため、ワークライフ・バランスを整えながら、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる職場環境の整備に努めております。具体的には以下を進めております。

①社員のエンゲージメントレベルの把握

ES(従業員満足度調査)を定期的に実施することにより、従業員の意識・価値観やその変化から、自社にとって重要なエンゲージメント項目を認識し、経営施策に反映しております。

②社員の待遇改善と向上

エンゲージメントレベルの向上を目的として、社員の待遇改善を進めております。また、社員のストック(資産)を増やすために、持株会における奨励金の支給をはじめとして、入社5年・15年・25年・35年の社員には永年勤続表彰の他に、株式報酬制度として会社の株式を支給しております。

③働きやすい環境づくりのための社内環境の整備

集中的かつ効率的な業務による生産性の向上や事業継続性の確保を図ったうえで、ワークライフバランスの実現を目指す従業員や育児・介護・ 障害等による柔軟な働き方の必要性が高い従業員への対応および従業員の雇用の継続を促進し、会社の発展と従業員の福祉の増進を図ることを目的として、勤務体系の見直しを行っております。また、各種社内イベントの開催を通じて、従業員に対する福利厚生制度の充実を図っております。

④健康経営への投資とウェルビーイングの視点の取組み

2018年4月から「健康企業宣言(企業全体で健康づくりに取組むことを宣言し、一定の成果を上げた場合は「健康優良企業に認定される制度」)」に手を挙げて取組みを開始し、2020年8月に健康保険組合連合会東京連合会より「健康優良企業 銀の認定」を受け、現在まで継続しております。また、働きやすい職場環境の形成を目的にストレスチェックを毎年実施しております。継続的な実施が、個人と組織のパフォーマンスの向上に向けた重要な施策と捉え、健康経営への投資に戦略的かつ計画的に取組んでおります。

 

(3)リスク管理

当社グループにおいて、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ、重要なリスクは、取締役会へ報告されます。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われております。一方、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

(複数スキル・複数資格取得者の増加を図る)

目標

実績(当事業年度)

 

2スキル取得者

 

2027年3月まで50%

13.0%

 

2ライセンス取得者

 

2027年3月まで50%

3.6%

 

注)当事業年度において、事業展開の高度化に対応するため、スキル体系および1スキルの定義ならびに1ライセンスの定義を高度化するなどの見直しを行いました。これに伴い、新たに目標数値を設定し直した結果、前事業年度の実績数値とは大きく異なる結果となっております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 景気変動について

当社グループは、特定の取引先に依存することなく、幅広い顧客からの受注を確保しており、安定した顧客基盤を有しております。しかしながら、景気の動向によっては、設備投資等の抑制が進み、計画されていたプロジェクトが延期・中止となる等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 主力事業の縮小傾向について

当社グループの主力事業であるPBX市場は、PBXのクラウド化や5Gの環境整備による高速大容量の通信環境の充実により、市場規模が相対的に縮小傾向にあります。一方で、既存設備の継続活用や従前の機能保持ニーズも存在し、一定規模のPBX市場は残っているため、顧客の事業環境を守るとの観点から設備の新設、維持・保守については継続して取組んでまいります。しかしながら、市場縮小傾向が急激に加速し、各企業との契約が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 新規事業について

当社グループの主力事業の市場環境の縮小傾向への対応として、新規事業として、当社独自の技術である、あらゆる設備を一元管理するためのシステム「マルチゲートウェイ」の展開を主軸とし、その利便性を武器に情報通信・制御システムなどの得意分野を活かした上で、大手企業との連携による需要の掘り起こし、システムの開発、制御システムによるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の実現など、あらゆる施策を駆使した事業拡大を図ってまいります。しかしながら、見通しとは異なる状況が発生する等により新規事業の展開が計画通りに進まない場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(4) 災害等について

当社グループの展開地域において、地震・台風等の自然災害が発生し、当社グループの支店・営業所及びその他の施設に物理的な損害が生じた場合、並びに取引先や仕入・流通ネットワークに影響を及ぼす何らかの事故等が発生した場合も同様に、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 情報漏洩に関するリスクについて

当社グループは、2009年9月にISMS(情報セキュリティーマネジメントシステム)、2012年1月にはPマーク(プライバシーマーク)の認証を取得し、個人情報の保護には細心の注意を払っております。しかしながら、個人情報保護管理について不適合が生じた場合、当社グループの社会的信用並びに当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 工事契約の履行義務の充足に係る収益認識について

電話交換設備工事、照明制御システム工事等における建設工事の請負契約に係る収益は、履行義務の充足に係る進捗度(見積総原価に対する実際原価の割合)を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。当社グループでは、工事案件ごとに継続的に見積総原価の見直しを行い、適切な原価管理に取組んでおります。
 しかしながら、工事着工後の作業内容の変更や機器材料価格又は外注価格の変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行され、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しました。一方、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化などを背景とする原材料やエネルギー価格をはじめとした物価の上昇や日本銀行による金融緩和政策の見直し、為替・株式等の金融市場の変動等の影響もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループは、企業価値向上に向けて、「存在意義の確認」に継続して取り組んでおります。情報通信事業では、24時間365日対応の強みを活かし、ネットワークシステム・クラウドPBX・マルチゲートウェイ等の新規事業に取り組むとともに、保守料・利用料を増やし、収益性の向上を目指しております。照明制御事業では、新築ビルマーケットの開拓および既存ビルでの制御マーケット開拓、双方の事業規模拡大に取り組みました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して8億60百万円増加し、94億63百万円となりました。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して3億73百万円増加し、36億93百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して4億87百万円増加し、57億69百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における受注高は7520百万円(前年同期比22.3%増)となり、売上高は71億52百万円(前年同期比19.6%増)、営業利益は7億21百万円(前年同期比49.1%増)、経常利益は8億4百万円(前年同期比43.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億45百万円(前年同期比42.0%増)となりました。

 

なお、当連結会計年度におけるセグメントの概況は、次のとおりです。

 

(a) 情報通信事業

従来のネットワークインフラの設計・提案・構築、お客様の問題解決につながるソリューション提案を積極的に展開いたしました。企業の設備投資意欲の回復に伴い、レガシーPBXの底堅い需要、セキュリティ意識の高まりによる監視カメラ等の工事、また、各種子供施設向け支援システム[CoDMON]」、様々な設備をつなぐソフトウェア[マルチゲートウェイ]等のネットワークインフラ構築に対応したことや利用料・保守料が概ね順調に推移したことに加えて収益性向上策を推進したことにより、事業成果へと繋がりました。

以上の結果、当セグメントの受注高は67億23百万円(前年同期比17.6%)、売上高は63億86百万円(前年同期比15.1%増)、営業利益は6億7百万円(前年同期比28.1%増)となりました。

 

(b) 照明制御事業

DALI制御による照明制御システムの設計・販売・施工を軸として、売上規模の拡大のため、ゼネコン等を中心に積極的にビジネスを展開いたしました。新築ビル案件のスマートビル化対応では[マルチゲートウェイ]の需要が増えており、大手ゼネコンや照明メーカーとの他社協創も進めています。これらにより、受注が好調に推移したことにより手持ち工事が順調に進捗し、売上・利益ともに前年を大きく上回りました。

以上の結果、当セグメントの受注高は7億35百万円(前年同期比97.8%増)、売上高は7億4百万円(前年同期比91.5%増)、営業利益は75百万円(前年同期は営業損失26百万円)となりました。

 

(c) 不動産賃貸事業

不動産の賃貸を事業としており、受注高は61百万円(前年同期比2.6%増)、売上高は61百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は38百万円(前年同期比4.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は25億33百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は4億97百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益8億4百万円、仕入債務の増加2億22百万円等の増加要因があった一方、売上債権の増加4億44百万円等の減少要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は20百万円となりました。これは主にリース投資資産の回収による収入79百万円等の増加要因があった一方、投資有価証券の取得による支出35百万円、差入保証金の差入による支出26百万円等の減少要因があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2億97百万円となりました。これは配当金の支払額1億41百万円、リース債務の返済による支出79百万円、自己株式の取得による支出76百万円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループが展開している事業の大部分を占める情報通信事業及び照明制御事業では請負形態をとっているため、生産実績及び販売実績を定義することは困難であります。

よって、記載可能な情報を「経営成績等の状況の概要」における各事業の業績に関連付けて記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

(a) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は94億63百万円となり、前連結会計年度末と比較して8億60百万円増加しました。これは主に、受取手形、完成工事未収入金等及び契約資産が4億88百万円、投資有価証券が2億49百万円増加したこと等によります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は36億93百万円となり、前連結会計年度末と比較して3億73百万円増加しました。これは主に、支払手形・工事未払金等が2億24百万円、未払法人税等が97百万円増加したこと等によります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は57億69百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億87百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が4億2百万円増加したこと等によります。

 

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

連結会計年度における売上高は、71億52百万円(前年同期比19.6%増)となり、セグメント別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は21億82百万円(前年同期比19.3%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度比0.1ポイント減少し30.5%となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は営業利益は7億21百万円(前年同期比49.1%増)となりました。セグメント別の営業利益については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における営業外収益は86百万円(前年同期比7.7%増)となり、営業外費用は2百万円(前年同期比40.8%減)となりました。営業利益の増加により、経常利益は前連結会計年度と比較して2億45百万円増加し8億4百万円(前年同期比43.9%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額が前連結会計年度の△11百万円に対し、当連結会計年度は△20百万円であったこと等により、前連結会計年度と比較して1億61百万円増加し5億45百万円(前年同期比42.0%増)となりました。

 

(c) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

(中期経営計画の結果と分析)

2021年に策定した中期経営計画(2021年4月~2024年3月)は、当連結会計年度をもって3年間の計画期間が終了となります。

本計画は、「当社の存在意義を再定義し、再生する」を重要テーマとし、従来の手法や考え方を踏襲する保守的な企業文化の変革を図り、原価意識を強く持つことで既存事業の収益性向上に加え、他社との協創により「マルチゲートウェイ」を新たな事業の柱として展開してまいりました。

「顧客の事業活動の生命線となるインフラ(事業環境・空間)を、顧客と共に創り、守り、育てる会社」を当社グループの存在意義として再定義し、甚大なコロナダメージを被った顧客への保守料減免措置などの当社グループの顧客に対する基本姿勢に対して一定の評価をいただくことができ、また、経営陣・事業所長を中心とした社内啓発活動により、意識の向上が進みました。

これらの結果、目標とする経営指標と実績については、次のとおりとなりました。

 

 <目標とする経営指標>(2021年6月4日開示)

指 標

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

売上高

6,000百万円

6,400百万円

6,800百万円

経常利益

220百万円

390百万円

510百万円

ROE

(自己資本利益率)

2.9%

5.0%

6.2%

 

 

 <当連結会計年度までの実績>

指 標

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

売上高

5,945百万円

5,978百万円

7,152百万円

経常利益

443百万円

559百万円

804百万円

ROE

(自己資本利益率)

11.9%

7.5%

9.9%

 

売上面につきましては、レガシーPBXの底堅い需要により、同市場における当社の存在感が向上し、中期経営計画の最終年度である当連結会計年度においては、新規顧客向けも含めて、既存サービスの売上高が想定を上回る結果となりました。

利益面につきましては、案件別の収益性管理を徹底したことで低採算案件が減少したこと、稼働時間管理の導入により、従業員の原価意識が向上したこと等の成果が上がっております。

一方、レガシーPBX等の既存事業への対応に追われ、ネットワーク事業のメニューの具体化(ビジネス化)に至らず、また、新規事業へ対応するための従業員の知識・スキル習得の時間を十分に確保することができなった等、事業構造の転換については十分な成果を上げたとは言えません。

 

(d) 今後の見通し

企業を取り巻く環境は、経済活動は回復傾向にあるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の悪化をはじめとした地政学リスクの高まり、原材料やエネルギー価格の高止まり、円安の継続など依然として先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。

当社は、このような環境下、情報通信事業では、引き続きネットワークインフラ構築事業を中心に据えるとともに、利用料ビジネスへの取り組みを加速していきます。照明制御事業では、引き続き省エネと快適性を両立する環境を構築、提供していきます。

次期の見通しにつきましては、利用料ビジネスや人的資本を中心とした投資の拡大を見込み、売上高は64億円を予定しております。利益面では、営業利益が3億80百万円、経常利益が4億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億80百万円を予定しております。

なお、企業を取り巻く環境が不透明であることから、今後の国内の設備投資動向等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。業績見通しに修正の必要が生じた場合は、速やかに開示いたします。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

当社グループの資金需要のうち主なものは、サービス提供の為に必要な材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の費用および設備改修等に係る投資であります。

これらの必要資金につきましては、自己資金および短期借入金で賄っております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたって適用している重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載しております。また、この連結財務諸表の作成において必要とされる見積りについては、一定の会計基準の範囲内で継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際とは異なる結果となることがあります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。

 

(工事契約の履行義務の充足に係る進捗度の見積りによる収益認識)

当社グループは、工事契約に係る収益について、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法にて算出しております。
 工事原価総額は、個々の案件に特有の状況を織り込んだ実行予算を使用しておりますが、工事着工後の作業内容の変更や機器材料価格又は外注価格の変動等に伴い、履行義務の充足に係る進捗度が変動することにより、認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。

 

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。