独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 |
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2024年6月28日 |
株式会社 大 林 組 |
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取 締 役 会 御 中 |
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EY新日本有限責任監査法人 東京事務所 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
公認会計士 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
公認会計士 |
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<連結財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社大林組の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社大林組及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
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監査上の主要な検討事項の 内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法の適用にあたっては、工事原価総額を基礎として期末までの既発生原価に応じた履行義務の充足に係る進捗度に工事収益総額を乗じて完成工事高を算定しており、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積る必要がある。会社が請け負う工事契約は、案件ごとに仕様や工期等が異なり、個別性が強いことに加え、工期が長期にわたる契約が多く、発注者の指示による工事内容の追加や変更、工事着手後に判明する事実の存在や現場の状況の変化による工事内容の変更によって、工事収益総額や工事原価総額が変更される可能性が高い。 (工事収益総額) 収益計上の基礎となる工事収益総額については、工事請負契約金額を基礎としつつも、工事の進行途上において当事者間の新たな合意によって工事内容及び契約の変更が行われる傾向にあり、工事内容の変更に伴う追加請負額の見積りに関しては、発注者との最終的な合意まで不確実性を伴う。 (工事原価総額) 工事原価総額については、工事契約ごとの実行予算を基礎としつつ、工事内容の変更や建設資材価格、労務単価の変動に伴う工事予算の見直しを通じて見積られるが、工事の完成のために必要となる作業内容や工数、建設資材や労務の調達単価の見積り、原価低減活動の実現可能性において、全ての工事契約に適用可能な画一的な判断尺度はないこと、工期が長期にわたる契約が多いことから、一定の仮定ないし工事契約の原価管理又は進捗管理に直接的又は間接的に責任を有する者による判断が介入する。 当連結会計年度においては、国内建築工事で重大事故が発生したことから、施工途中に工事原価総額や工事収益総額を見直し、工事損失引当金を計上した案件があった。また、サプライチェーンの逼迫等により建設資材価格や労務費が引き続き高止まりしていることから、工事原価総額の見積りを増額させる案件がある一方、工事原価低減や追加請負金の獲得により工事損益の水準が当初の見込みより上昇した案件があった。 以上から、当監査法人は、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法の適用に関連する工事収益総額及び工事原価総額の見積りが、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。
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当監査法人は、主として次に掲げる手続を実施し、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法の適用における工事収益総額及び工事原価総額の見積りを評価した。
(1)内部統制の評価 工事収益総額及び工事原価総額の見積りに関する会社の以下の内部統制の整備・運用状況を評価した。 ・ 工事原価総額の見積りの基礎となる工事予算書が専門知識を有する工事担当者により作成され、工事の施工管理や進捗管理、後方支援等を行う工事部等の必要な承認により信頼性を確保するための統制を評価した。 ・ 工事原価総額の各要素について、社内で承認された標準単価や外部から入手した見積書など客観的な価格により詳細に積上げて計算していることを確認するための統制を評価した。 ・ 工事の施工状況や実際の原価の発生額、あるいは顧客からの仕様変更指示に応じて、適時に工事原価総額の見積りの改訂を行う体制及び適時適切に改訂が行われていることを確認するための統制を評価した。 ・ 工事収益総額の見積り部分について、工事指示書や見積書等により積上げて計算され、必要な承認により信頼性を確保するための統制を評価した。 ・ 発注者との協議状況等に応じて、適時に工事収益総額の見積りの改訂を行う体制及び適時適切に改訂が行われていることを確認するための統制を評価した。
(2)工事収益総額の見積りの評価 工事請負額、工事損益、工事内容、工事の施工状況等の内容に照らして、工事収益総額の見積りの不確実性が金額的ないし質的に高い工事を識別し、以下の手続を実施した。なお、監査チームが設定した一定の条件(工事利益率の水準や変動等)に該当する工事を検討対象として識別している。また、当該工事の識別を補完するべく、進捗度異常検知ツール(機械学習を用いた進捗度の予測に基づき、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法を適用する工事における不自然な進捗度の推移を検知するほか、工事原価総額が工事収益総額を超過する工事の予測を行うツール)も併用している(以下、(3)も同様)。 ・ 工事収益総額の見積りに織り込んでいる原契約部分の工事請負額について、工事請負契約書との照合を実施した。 ・ 工事収益総額の見積りに織り込んでいる追加工事請負額のうち、既契約部分に関しては工事請負契約書との照合を実施し、未契約部分に関してはその内容及び金額根拠について、現場責任者等へのヒアリング及び発注者との協議議事録等の閲覧を実施したうえ、工事指示書や発注者に提出した見積書等その根拠となる資料との照合を実施した。
(3)工事原価総額の見積りの評価 工事請負額、工事損益、工事内容、工事の施工状況等の内容に照らして、工事原価総額の見積りの不確実性が金額的ないし質的に高い工事を識別し、以下の手続を実施した。 ・ 工事原価総額の見積りについて、その計算の基礎となる工事予算書と照合し、見積原価内容の工事目的物との整合性、見積原価の計算方法が工種ごとに積上げにより計算されているか、工事予算書の中に重要な原価低減施策が含まれているかどうかの検討を行った。 ・ 四半期ごとに最新の工事原価総額の見積額と直前期の工事原価総額の見積額のそれぞれを比較し、当該変動が金額的に重要なものについては、現場責任者への質問や現場担当者が作成した見直し根拠資料との照合等により、その変動内容の適時な反映を評価した。 ・ 工事予算を閲覧し、作業内容ごとの見積原価について、見積書等その根拠となる積算資料との照合を実施した。また、各工種の見積原価に対する実際原価の発生状況を確認し、見積原価を超過していないこと及び工事進捗状況との整合性を検証した。さらに、工事予算に含まれる重要な原価低減施策については、施策の実行可能性を評価するために現場責任者等へ実現シナリオのヒアリングを行い、工事進捗状況との整合性を検討した。 ・ 一部の工事については現場視察を実施し、工事の施工状況が工事部ないし現場責任者より事前に聴取した工事の進捗状況、工程表、工事原価総額の見積り内容と整合しているかを検証した。
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監査上の主要な検討事項の 内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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当監査法人は、主として次に掲げる手続を実施し、賃貸等不動産の減損の兆候判定の妥当性を検証した。
(1)内部統制の評価 賃貸等不動産を含む固定資産の減損損失計上に係る内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。
(2)減損の兆候の有無に係る判断の妥当性の検証 ・ 会社が作成した減損検討資料を入手し、金額的重要性の観点で抽出した物件について物件別損益及び帳簿価額を会計帳簿と突合するなど、減損の兆候判定の妥当性を評価した。 ・ 金額的重要性の観点で抽出した物件について、会社が見積った前提条件に従い、過年度実績との比較及び所管部署への質問により、時価の算定に用いる各物件の純収益の見積りを評価した。なお、金額的に重要な純収益の見積額については、根拠証憑との突合を実施した。 ・ 金額的重要性の観点で抽出した物件について、外部機関から入手した情報との比較により、時価の算定に用いる還元利回りを評価した。 ・ 評価に影響する事象を把握するために、取締役会等各種会議体の議事録の閲覧及び所管部署への質問を実施し、把握された事象の減損検討資料への反映を評価した。
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その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を
立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価
の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び
関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づ
き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているか
どうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入
手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社大林組の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、株式会社大林組が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施す
る。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部
統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人
は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報>
当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
※1 上記の監査報告書及び内部統制監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管している。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていない。 |