本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ロート製薬は、創業以来「健康」をコアバリューに、一般用医薬品やスキンケア商品の提供を通じて、多くの方に身近な「健康」をお届けしてまいりました。生活者の皆さま一人ひとりの健康寿命が延伸し、生活の質(Quality of Life)が向上することによって、社会全体の経済活動は活性化し、増加する社会保障費も抑制され、持続的な健康長寿社会の実現につながると考えます。当社の存在意義(パーパス)は、世界の人々に商品やサービスを通じて「健康」をお届けすることによって、 当社を取り巻くすべての人や社会を「Well-being」に導き、明日の世界を元気にすること。これからも、事業活動を通じて世界の人々のWell-beingに貢献するとともに、健康で幸せに過ごすことができる持続可能な社会の実現を目指してまいります。
経営理念
① 豊かで幸せな生活を送るための心身の健康に貢献し続けることが当会社の最大の責務と捉え、その実現のために長期視点での経営と価値創出に努める
② 当会社は、社会の公器としての使命を自覚し、当会社を取りまく全ての人たちと協働して社会課題を解決し、これにより得られた便益を共有する
当社の考える「Well-being」
肉体的健康、精神的健康、社会的健康、そしてそれを取り巻く環境面の健康、すべてにおいて満たされた幸福な状態
当社の目指す「Well-being経営」
社内外に「Well-being」の輪を広げていくために、「健康」「美」「サイエンスに基づく高い品質」「一人ひとりが自律し、チャレンジを続ける企業文化」といった当社の事業的強みや文化的特徴をベースとしながら、当社と当社を取り巻く世界中の人々が、健康で笑顔あふれる幸せな毎日を過ごしながら、長寿を全うできる社会環境の実現を目指し、社内外の仲間と手を携え挑戦し続けることです。
(2)経営環境および対処すべき課題等
当社はこのような基本方針のもと、セルフケア・セルフメディケーション領域をコア事業、プロフェッショナルメディケーション領域を成長投資事業と位置付けております。「Well-being」を軸として、健康から未病、軽度疾患および病気の状態までトータルに事業を展開してまいります。
① 目標とする経営指標
当社グループでは、すべてのステークホルダーの満足度向上を図るという目標に向けて、ヘルスケア市場において、その分野でトップあるいは主要なブランドを築くことを目指すとともに、売上高や営業利益率、自己資本当期純利益率、総資産経常利益率に代表される収益指標を重視し、経営管理を行っております。
② ビジョン2030に掲げる6つの事業
当社が取り組む事業領域は、健康、未病、軽度疾患、病気の全てのステージにおける美と健康の提供です。
これを6つの分野に分けて、それぞれにおいて貢献することを目指しております。
1. OTC医薬品事業
“日本におけるOTC医薬品リーディングカンパニーを目指す”
猛威を振るったコロナ禍を経て、セルフメディケーションの重要性は一層の高まりを見せております。健康寿命の延伸にOTC医薬品は欠かせません。当社は長年の技術とブランド力を活かし、OTC医薬品リーディングカンパニーを目指してまいります。リーディングは必ずしも規模のことに限定せず、顧客満足や市場での影響力、健康意識への貢献度の点において業界トップを走るということであります。既存の眼科用薬、皮膚用薬、胃腸薬、漢方薬、検査薬などに加え、高齢化ニーズ、女性の健康ニーズに応えるカテゴリーに積極的に挑戦します。その基盤となる開発と技術力の優位性を維持していくため技術革新に注力するとともに、ベンチャー企業や国内外研究者との共同研究を図るなど、有機的な研究体制の構築を積極的に推進しております。また必要に応じて異業種を含め他社との提携強化を行ってまいります。
2.スキンケア事業
“皮膚領域における卓越した知見を応用して機能性の高いスキンケアを提供する”
既に売上の6割強を占めるスキンケア事業については、引き続き、安全性・有効性・メカニズムを追求するエビデンスベースの研究開発を進めてまいります。再生医療研究の過程で得られた知見の応用や、長年の研究の蓄積である基幹技術をベースにした他社にはできない機能性の高い商品を提供し続けます。またDXを活用し、顧客との共創関係を構築したマーケティングを実装してまいります。
3.機能性食品・食品事業
“エビデンスと信用に基づく食品事業を第三の柱に育てる”
食品は日常の健康維持と疾ぺい予防にさらにその重要性が高まる領域であり、当社は、当領域のアンメットニーズを狙い、安全性および独自性の高い商品開発を行ってまいります。グループ会社や提携会社で保有する素材技術、製造設備、販売ルート、顧客との関係性を最大限活用して顧客満足の向上に努めます。特に重点課題として、おいしくて体に良い食品の提供、さらには「目」「フェムケア」「生活習慣病」「肌」「免疫」に機能する分野における開発に取り組んでおります。また異業種とのコラボ、ブランディングについても探索してまいります。
4.医療用眼科事業
“眼科領域における多面的ソリューションの提供によって医療の発展に寄与し、人々の目の健康に貢献する”
当社は他企業とも提携を進めながら、医療用眼科用薬の開発を進めております。医療用眼科用薬メーカーであるロートニッテン㈱を中心に医療用眼科チャネルを開拓しながら、同時に眼科領域における再生医療研究、眼科用医療機器、さらにはデジタル技術を活用した医療機器の開発も検討しております。OTC医薬品アイケアカテゴリーのトップシェアメーカーとして培ってきた知見と技術力を活かし、医療用眼科領域に幅広く貢献してまいります。
5.再生医療事業
“革新的なライフサイエンス技術を事業化する”
当社は2013年に再生医療に取り組む再生医療研究企画部を新設以来、再生医療・バイオ事業に注力してまいりました。多様な可能性を秘めた脂肪由来幹細胞などを応用して複数のパイプラインを進め、プロフェッショナルメディケーションに挑戦しております。近年の再生医療の需要の高まりによる、細胞製剤の市場拡大に対応すべく、2023年には㈱ロートセルファクトリー東京をグループの一員とし、今後も安定供給の体制づくりを行っていきます。また、これらをスキンケア等の既存事業と掛け合わせることで、当社にしかできない新しいWell-beingの創造に努めてまいります。
6.開発製造受託事業
“独自開発力を付加した開発製造受託(CDMO)へ進化する”
現状の医薬品製造受託(CMO)事業を進化させ、独自の開発力を活かした開発・製造をワンストップに提供する開発製造受託(CDMO)事業を推進することで競争優位性を実現してまいります。内服剤分野においては当社子会社であるクオリテックファーマ㈱、医療用眼科用薬分野においては当社子会社であるロートニッテン㈱、再生医療分野においては京都府木津川市の当社研究所において、それぞれ開発製造受託が可能な高い技術力とコスト競争力を実現すべく取り組んでおります。
③ デジタルトランスフォーメーション
DXの推進は経営戦略の重要な課題と捉え、継続的なイノベーションの創出を行うとともに、新しいヘルスケアビジネスのモデルとしてデジタルヘルスケアへのシフトに対応してまいります。顧客データを通じて、一人ひとりのヘルスケアに向き合う、また新たなニーズを発掘するConnect for Customer(D2Cプラットフォーム)を実装し、さらにはB2B、B2B2Cへの拡大を図りながら、顧客や取引先との信頼関係を創出してまいります。また全社員がDXについての見識を深め、現場起点でのデジタル活用アイデアが生まれやすい環境を構築するためにDX人財育成ロードマップを策定し、推進してまいります。
④ グローバル事業
全体売上の約4割を占め、2024年3月末時点で110か国以上をカバーしている海外事業については、引き続き現地に根付いて消費者と向き合いながら企業価値の向上を目指してまいります。特にOTC目薬、スキンケア、内服の導入を進めてまいります。日本とビジネス上の親和性の高いアジア地域(中国および東南アジア)を中心に積極的に経営資源の投入を行い、欧米については子会社メンソレータム社の成長戦略の策定と実行を軸に維持・拡大に努めます。
⑤ SDGs
サステナビリティにおける重点課題の解決に向けた取り組みを推進するため、事業活動を通じて優先的に取り組むべき課題としてESG/SDGsの観点から、①事業を通じたWell-beingの実現、②企業価値向上に向けた人的資本の最大化、③持続可能な地球環境への貢献、④社会との共生、⑤さらなる経営基盤の強化、という5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。また、あらゆるステークホルダーからの高い信頼を得て持続的な企業活動を行うため、2023年にロートCSR行動指針改め、「ロートグループコンプライアンス行動指針」を定め、高い倫理観のある行動と法令順守のもと全社で課題解決に取り組んでおります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社にとってのサステナビリティは、事業を通じて健康に関わる多様な社会課題を解決して、それが企業成長につながる、社会的価値と企業価値の双方を生み出す活動としてとても親和性の高いものであると考えています。中核事業であるOTC医薬品事業とスキンケア事業をはじめとした6つの事業領域を通じて当社のパーパスであるWell-beingな社会の実現を目指して事業活動に取り組み、より一層ESG/SDGsの価値基準を経営に反映させていきます。
①サステナビリティ方針
当社は、経営理念、価値行動規範(7つの宣誓)、各種方針等に基づき、生活者、取引先、従業員、株主・投資家、地域社会など全てのステークホルダーの皆様と協働し、Well-beingな社会の実現に向けて社会的責任を果たすとともに、企業価値の向上に努めます。
②サステナビリティ行動指針
・事業活動を通じてWell-beingな社会の実現や環境問題の解決に貢献します。
・「社会の公器」たる企業として、すべてのステークホルダーとの共栄を目指します。
・企業活動を健全なガバナンスのもとに行い、公正かつ透明性の高い信頼ある経営を目指します。
③ガバナンス
サステナビリティ施策推進のため、取締役会の諮問委員会として、サステナビリティ委員会を設置し、ESG、SDGsをはじめとするサステナビリティ関連の課題や方針、対策等について議論し、特定された課題に対して対策方針、実行計画を策定し、進捗状況のモニタリング評価を行っています。本委員会にて審議された内容は、適宜取締役会に報告・提言され、特に重要な案件については取締役会において議論・決議されます。本委員会の運営体制は、取締役副社長(CFO兼ESG担当)を委員長とし、委員は、委員長が指名した取締役及びアドバイザーとして1名の社外監査役により構成しています。取締役副社長は当社グループのチーフファイナンシャルオフィサー(CFO)の役職も兼ねており、サステナビリティ課題を財務課題として評価・管理する役割を担っております。本委員会の事務局は経営企画部とサステナブル経営推進室が担っており、実務的なサステナビリティ推進体制として、ESG関連の取り組みを推進する専任部署であるサステナブル経営推進室を設置しています。
④リスク管理
サステナビリティ委員会において、気候変動や人的資本など、サステナビリティに関するリスクと機会について協議し、取り組み方針の決定を行い、その方針をグループに展開する体制を取っております。取締役会はその検討・協議内容について報告を受け、当社グループのサステナビリティ対応について、ステークホルダーへの開示および対話、長期視点での資本支出計画など検討を行い、また実行に際して監督を行う体制としております。
(2)人材への取組
①人財育成方針(ダイバーシティ・マネジメント方針)
Well-beingな社会の実現に貢献しつつ、会社が持続的に成長するためには、常に新しい価値を創造し、世の中から必要とされる存在でなくてはなりません。その担い手はもちろん社員一人ひとりであり、社員の成長なくして組織の成長はありません。事業の多様化、グローバル化が急速に進む中、当社がこれからも継続的に価値を創出するには、多様な人財が価値観を共有し、切磋琢磨しながら成長していくことが不可欠です。当社はWell-being経営推進のため、社員が主体的に事業活動に参画し、プロの仕事人として自律的にキャリアビジョンを実現できるようダイバーシティ・マネジメントを推進するとともに、多様な“個”を活かした組織づくりを通じて、社員個人と会社が共に成長することで、Well-beingな社会の創造を目指します。
②社内環境整備方針
当社は、会社とは“所属する場所”ではなく“志を同じくする個人が参画する共同体”であり、従業員は「プロの仕事人」として自律(自立)し、未来を自らの意思で切り拓いていくことが必要だと考えています。そのうえで、当社が人財マネジメントで重要と考えている点は、当社のパーパス(存在価値)と従業員個々人のパーパスとの連動です。「Well-being な社会の実現」という当社グループのパーパスと、多様な従業員一人ひとりのパーパスとの共鳴が高まれば高いエンゲージメントが得られると考えています。そのために会社は、多様な価値観を持つ自律した個人が、自己成長のために学び続ける意思を持ち続けられるよう、自己成長機会の提供や、チームワークやコミュニケーションの向上を促進するとともに、不当な差別なく快適に働くことができる環境や選択肢を整備・提供していくことも併せて重要だと考えています。具体的には、多様な働き方の推進、人権の尊重 、ダイバーシティ推進、教育研修、労働災害の防止や健康経営の推進による安全・安心な職場環境の提供など、社員のWell-being を向上させるような環境整備を推進していきます。
③人的資本に関連する指標及び目標(当社単体)
(3)環境への取組
地球環境を守り、それを次世代に継承することは私たちの責務です。当社は「環境方針」を定め、企業活動を通じて地域及び地球環境の汚染の予防と継続的な改善を行っています。当社は環境に関するサステナビリティ課題のマテリアリティとして、「環境に配慮した商品開発を続けること」を掲げ、国内外のサプライヤー、小売店、代理店とも協働しながら、地球の健康寿命の延伸に挑戦しております。また地球温暖化による自然災害の影響を重く見て、2021年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同を表明するとともに、CO2排出削減目標を設定しております。TCFDの推奨する項目に沿った当社の気候関連情報は以下の通りであります。
1.戦略
当社の気候変動に関するリスクおよび機会が事業に及ぼす影響を主に財務面でのインパクトを中心に評価いたしました。当社は主要な展開国においては現地に開発・生産拠点を保有し、気候変動に伴うバリューチェーンの分断に強い体制を築いております。シナリオ分析では、主要なグローバル拠点である日本、中国、ベトナム、米国等を総合し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオ等を参照の上、1.5℃/2℃シナリオと4℃シナリオのそれぞれについて影響を検討しました。TCFDの定義する分類(移行リスク、物理的リスク、機会)に基づき、気候変動が事業に及ぼす可能性のある影響度および現時点での対応は以下の表の通りであります。今後も継続的に分析と評価を進め、多様なシナリオにおいての対策検討を実施するとともに、不確実な将来に向けてのレジリエンスを高めてまいります。
<想定されるシナリオ>
移行リスクと機会
2.リスク管理
① 気候関連リスクの識別・評価プロセス
TCFDが提唱するフレームワークに則り、外部環境の変化を予測し、当社のリソースおよび提供サービスを踏まえて、気候変動が事業に与えるリスクについてその影響度をサステナビリティ委員会において識別しています。
② 気候関連リスクを管理するプロセス
識別したリスクはサステナビリティ委員会において管理し、対応について協議を行います。必要に応じて関連部門の責任者を委員会に招集し、より具体的な施策を確認、機動的に推進する体制を取っています。
③ 上記プロセスが当社総合的リスク管理に統合される体制
環境課題以外のリスクも含めて総合的に当社事業の継続性に影響を与えるものについてもサステナビリティ委員会において評価・管理します。案件に応じて代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会とも協議を行い、BCPを策定します。
3.指標と目標
① 気候リスクと機会を評価するために用いる指標と目標
当社の非財務KPIとしてのCO2排出量削減目標は以下の通りであります。
・Scope1と2の合計CO2排出量を2030年度に2013年度比△46%にする
・中間目標として、2025年度に2013年度比△30%にする
その目標達成に向けてのアクションおよび達成目標は以下の通りであります。
・CO2フリー電力の購入(Scope2)
水力、風力、太陽光等CO2を発生しない再生可能エネルギーで発電された電気を購入し、買電電力消費によるCO2排出量を2030年度までに27.6%削減。主要事業所(本社工場、上野テクノセンター、リサーチビレッジ京都)においては2025年度までに100%の購入比率を目指す。なお、2023年度の主要事業所におけるCO2フリー電力の購入比率は55.5%となっています。
・上野工場の新工場棟への太陽光発電設備の設置(Scope1&2)
稼働状況に合わせ、2023~2024年度に太陽光発電設備を設置し、発電及び買電電力消費によるCO2排出量を既存と合わせ毎年1~2%削減
・保全・運用改善、排熱利用、エネルギー転換(Scope1&2)
エネルギー消費を2030年度まで年間1%以上削減
またReduce・Reuse・Recycleを意識した商品仕様の実現、返品の削減、良品廃棄の削減についても取組みを進めており、今後具体的な目標設定とその進捗を開示してまいります。
② 2023年度のCO2排出量実績(速報値)
当社におけるScope1、Scope2(マーケット基準)のCO2排出量は以下の通りであります。
Scope1・2排出量合計の2013年度比は△19.6%であります。将来的には、Scope1、Scope2につきましては主要な生産拠点を持つ国内外子会社の排出量を合計して算定する方向で取り組みを進めます。またScope3についても、今後集計の精緻化を図るとともに目標設定に向けて取り組んでまいります。
当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの事業は、医薬品医療機器法等関連法規の規制(規制緩和も含む)の影響を受けます。将来、これらの規制が変更された場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルに事業展開をしており、近年海外売上のシェアが一定割合に達しております。(当連結会計年度の海外売上高は、連結売上高の42.4%)このため、現地での予期せぬ政治的及び経済的状況の悪化並びに法規制の変更等により、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの取引高は、得意先の上位3社に売上高の36.6%が集中しており、上位取引先の営業活動の状況や倒産等による貸倒れが発生した場合は、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、共同開発、共同販売、製品導入(ライセンス契約に基づく製造販売も含む)等、様々な形で他社との提携を行なっておりますが、今後、何らかの事情によりこれらの提携関係を解消することになった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、既存事業の拡大や新たな事業展開を図るため、当社グループ及びグループ外の他社との提携関係の強化又は新規提携を行うことがあります。そのため、他社と提携して新会社の設立、又は既存の企業へ投資する等の投資活動を行っており、今後も投資活動を行う可能性があります。投資先の企業価値や株式等の市場価値が下落した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品の一部が、製品の欠陥、予期せぬ副作用、異物混入等により、販売中止又は製品回収などの事態となった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが知的財産権を適切に保護できない場合、第三者が当社グループの技術等を使用し当社グループの市場における競争力に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないように留意し、調査を行なっておりますが、万一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求等の訴えを起こされる可能性や対価の支払等が発生し、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。知的財産権以外にも製造物責任関連、環境関連、その他に関して訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各種の情報システムを利用して業務を遂行しているため、システムの停止や機能障害により効率的な業務遂行を妨げる可能性があり、また、個人情報を含め多くの情報を保有しているため、社内管理体制を整備し、情報管理の充実を図っておりますが、万一情報漏洩が発生するような場合には、信用失墜により、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内で販売する主要な製品を当社の本社工場、上野工場等で生産し、中央物流センター等から出荷しております。安全管理には、十分に注意を払っておりますが、当該工場や物流センター等が火災、地震その他の災害等により操業停止となった場合は、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルな事業展開をしていることから、為替レートの変動が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、時価のある有価証券、有利子負債等を保有しており、株価や金利の動向等が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 気候変動等の社会的課題への対応に関するリスク
気候変動の影響により、原材料や燃料の継続的な高騰が予想され、原価の上昇につながる可能性があります。また当社グループの事業は、消費者・顧客のニーズの変化に影響を受けます。サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりに対応した商品やサービスを提供するための開発費用の増加によって業績に影響をおよぼす可能性があります。
(12) その他の外部要因
冷夏・暖冬・花粉飛散量等の季節要因による出荷・返品の増減及び厳しい競合環境下での予想を上回る市場価格の低下等が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の解除により経済活動の正常化が一段と進むなか、海外からの渡航者が増加したこともあり回復基調となりました。個人消費につきましても、物価上昇に賃金の伸びが追い付かない実質賃金のマイナスが続く中でも、行動制限の緩和から個人消費は緩やかに回復いたしました。一方、円安や海外経済の減速懸念、長期化するウクライナ情勢を背景とした資源・資材価格の高騰が続き、景気の先行きは依然として不透明な状況が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは世界の人々が身体も心もイキイキとさまざまなライフステージにおいて笑顔あふれる幸せな毎日を過ごせるよう「Connect for Well-being」のスローガンを掲げ、さらなる企業価値の向上を目指し「総合経営ビジョン2030」の実現に向けて取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度における連結売上高は、2,708億4千万円(前期比13.5%増)と大幅な増収となりました。国内におきましては、お客様のニーズに合った商品提案やインバウンド需要の回復により増収となりました。海外におきましても、お客様のニーズに合った商品提案に加えて円安の影響もあり増収となりました。
利益面につきましても、大幅な増収となったことに加え、原価率の改善や販売費及び一般管理費の効率的活用に努めた結果、営業利益は400億4千8百万円(同17.9%増)、経常利益は424億3千4百万円(同19.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、309億3千6百万円(同17.3%増)と全ての利益段階で大幅な増益となりました。
報告セグメントの概況は次のとおりであります。
<日本>
外部顧客への売上高は、1,568億5千1百万円(前期比14.8%増)と大幅な増収となりました。
酵素洗顔が好調の「メラノCC」や「肌ラボ」、サプリメントの「ロートV5」が引き続き好調に推移いたしました。マスク着用習慣により伸び悩んでいたリップクリームも回復しています。国内需要に加え、インバウンド需要も増加しております。また、国内グループ会社におきましても、ロートニッテン㈱や「ボラギノール®」を主力商品とする天藤製薬㈱も増収に寄与しました。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、大幅な増収と原価率の改善に加え、販売費及び一般管理費の効率的な活用により、244億3千7百万円(同15.5%増)と大幅な増益となりました。
<アメリカ>
外部顧客への売上高は、185億6千5百万円(前期比11.5%増)と大幅な増収となりました。
医療用消毒薬等を製造・販売するハイドロックス・ラボラトリーズ社が引き続き好調に推移し、増収に大きく貢献しました。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、大幅な増収と原価率の改善に加え、販売費及び一般管理費の効率的な活用により、12億5百万円(同66.5%増)と大幅な増益となりました。
<ヨーロッパ>
外部顧客への売上高は、138億8千4百万円(前期比13.5%増)と大幅な増収となりました。
主力の消炎鎮痛剤が新製品の発売もあり引き続き好調に推移し増収に寄与しました。「Hadalabo Tokyo」は英国、東欧及び中東主要国で好調に推移しました。また、CEマークを取得し2021年に発売したドライアイ点眼剤の「ロート ドライエイド」により、目薬市場の開拓を引き続き進めており好調に推移しています。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、大幅な増収と原価率の改善により、13億8千5百万円(同41.6%増)と大幅な増益となりました。
<アジア>
外部顧客への売上高は、787億5千1百万円(前期比11.3%増)と大幅な増収となりました。
引き続き香港、台湾、インドネシアなどが高成長を持続しました。商品別では日やけ止め、目薬、「肌ラボ」、フケ抑制シャンプー「セルサン」等が増収に寄与いたしました。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、増収効果により、120億2千8百万円(同15.7%増)と大幅な増益となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
②仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
③受注状況
一部の子会社では受注生産を行っておりますが、大部分は見込生産でありますので記載しておりません。
④販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度末における資産総額は3,461億7千5百万円となり、前連結会計年度末より364億9千7百万円増加いたしました。これは、投資有価証券が106億9千9百万円、現金及び預金が92億5千9百万円、受取手形及び売掛金が50億5千8百万円、それぞれ増加した一方、繰延税金資産が15億2百万円減少したこと等によるものであります。
負債総額は991億3千8百万円となり、前連結会計年度末より45億3千9百万円増加いたしました。これは、流動負債のその他が17億9千5百万円、電子記録債務が14億3千8百万円それぞれ増加した一方、長期借入金が23億2千5百万円減少したこと等によるものであります。
また、純資産につきましては2,470億3千6百万円となり、前連結会計年度末より319億5千7百万円増加いたしました。これは、利益剰余金が253億9千3百万円、為替換算調整勘定が79億4千4百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ88億7千万円増加し、865億6千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、前年同期に比べ33億2千万円増加し342億4千5百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が415億1千8百万円あり、キャッシュ・フローの増加要因である減価償却費が82億5千1百万円あった一方、キャッシュ・フローの減少要因である法人税等の支払額が100億4千1百万円、売上債権の増加額が67億8千7百万円、棚卸資産の増加額が40億2千9百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、163億1千7百万円と前年同期に比べ31億4千万円増加しました。これは、有形固定資産の取得による支出が79億7千9百万円、投資有価証券の取得による支出が75億3千1百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、137億8千4百万円と前年同期に比べ24億1千5百万円減少しました。これは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が61億4千4百万円、配当金の支払額が54億7千5百万円あったこと等によるものであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資資金等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び手元資金で賄うことを基本とし、それを超える投資規模の場合には、金融機関からの借入により調達しております。当社グループの当連結会計年度末における手元流動性残高は、865億6千2百万円あり、加えて緊急時の流動性確保のために金融機関との間で当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を113億円締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。
当社グループは、少子高齢化の時代を迎える国内においても、より多くの人々が、快適に暮らすことのできるWell-beingな社会の実現を目指し、健康と美に関するソリューションを提供することで、健康寿命の延伸に挑戦しております。研究開発活動としましては、先端技術の研究に注力し、既存領域であるアイケア、スキンケア並びに内服薬領域のさらなる独創的かつ付加価値製品の開発を進めるとともに、健康の維持増進に欠かせない機能性食品や検査薬開発への取り組みを精力的に進めております。また、セルフケア領域に加えて医療分野への拡充を進め、医療用眼科薬の開発に取り組んでいますが、眼科用治療剤「ROH-001」の国内第I相臨床試験を開始したほか、幹細胞を用いた再生医療による新規治療薬の研究開発につきまして、難治性疾患治療への適応に引き続き取り組んでおります。
当連結会計年度においても、先端の皮膚科学研究拠点として大阪大学に皮膚免疫微生物学共同研究講座の開設や、次世代医療・研究拠点「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」へ参画するなど国内外の大学をはじめとした外部研究機関やベンチャー企業を含む他企業との連携による技術アライアンスを推進し、医薬品をはじめ機能性化粧品や機能性食品の領域に、エビデンスと高い技術力に裏打ちされた実効性のある独自性の高い素材、技術を搭載した新製品を投入することによって、引き続き事業基盤の強化を図っております。
当連結会計年度の研究開発費総額は、
<日本>
アイケア関連におきましては、目の健康を通じて、世界中の人々のWell-beingに貢献していくため、自社技術のさらなる強化・分野拡大とともに、国内外のグループ企業及び外部研究機関との連携・共同開発を積極的に行って、競争優位性の維持強化を進めております。
当連結会計年度における主な成果としまして、独自開発した新容器による“極小の一滴”で、女性のメイク崩れを軽減できる目薬「ロートリセグロウ」を発売いたしました。また、コンタクトレンズ装用者向けのアイケアブランドであるCキューブから、新たに最高レベルの清涼感目薬「ロートCキューブプレミアムアイススパーク」を、他にも年齢に伴う目の悩みを解消する「ロートゴールド40クールEX」など新商品を発売いたしました。
スキンケア関連におきましては、医薬品、医薬部外品および化粧品等の分野を中心として、様々な皮膚疾患や肌、毛髪の健康・美容に対する研究開発を積極的に進め、製薬企業としての技術基盤に基づく、高い機能性を有した製品の開発により競争優位性を確保することを重点課題として、研究開発活動を行っております。また、継続して外部研究機関との連携を強化し、新規技術の確保と新規領域への拡大に注力しております。
当連結会計年度における主な成果としまして、皮膚薬関連では、「アクネス25メディカルクリーム」をリニューアル発売いたしました。有効成分として『アラントイン』を新配合し3つの有効成分と皮膚浸透技術の採用でより満足度の高い処方に仕上げました。
肌研では肌のバリア機能向上に着目した新成分『ヒアロリペア』配合の「極潤プレミアム(23年秋発売)」が売り上げ好調を維持。更に24年春には白潤シリーズの化粧水、乳液、とゲルをリニュールアル発売いたしました。肌荒れ防止成分『アラントイン』を新配合し従来の『美白剤トラネキサム酸』とあわせて有効成分が2つになりました。更に化粧水には『スクワラン』を超微細化して配合する事に成功いたしました。化粧水感触のまま油分と水分で同時に潤い補給する事ができるようになりました。オバジからは「デイセラムUV(日やけ止め)」をリニューアル発売し、「デイセラムBB(BBクリーム)」を新発売いたしました。「デイセラムUV」と「デイセラムBB」は3種の『ビタミンC誘導体』や紫外線により赤く発光し明るい血色感のある肌に見せる『トーンチェンジパウダー』を配合しつつSPF50+、PA++++を両立しました。
新ブランドとしてエイジングケアシリーズの「BLOOMIO」から美容液、乳液、クリームの3品を新発売いたしました。『ブルーセラミド』を配合し肌本来の健やかさを取り戻しハリ肌へと導きます。
更にうるおいは保ちながらテカリ肌対策可能な「Calamee」からローションとジェルの2品を新発売いたしました。『カラミンパウダー』のおしろい効果で肌の透明感をUPさせます。
内服関連におきましては、美と健康を目的とする内服薬やサプリメントの開発と、根本からの体質改善を狙った漢方薬の開発を積極的に進めております。
当連結会計年度における主な成果としまして、飲む高濃度ビタミンCサプリメントとして「オバジCインナーリポショット」を発売いたしました。多数のベスコス賞を受賞し、オバジブランドの新規ユーザー獲得にも貢献いたしました。また『リポソーム型ビタミンC』を配合したカプセル型のサプリメント「The LYPO」を発売いたしました。セノビックより、体づくりも運動も勉強も頑張りたい成長期のお子様に向けた栄養機能食品の「セノビック パフォーマンスUP(ミルクココア味)」を発売いたしました。
漢方薬では、肥満症対策の「ロート防風通聖散錠満量a」を、余分な糖を出すという新訴求と共に、1日服用回数を減らしてフィルムコーティング錠にすることで飲みやすくリニューアル発売いたしました。また、更年期障害に対して体質によらず服用できる生薬製剤の「ラフローラ」を発売いたしました。
検査技術関連では、妊活関連分野、感染症分野を中心に、新たな検査ニーズに応えるべく、競争優位性のある製品開発を進めると共に、新たな技術探索を進めております。
当連結会計年度における主な成果としまして、コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に測定できる体外診断薬を開発し、提携先のMeiji Seikaファルマ社より医療機関向けの体外診断薬「チェックMR-COV19 Flu」キットとして発売いたしました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
<アメリカ>
消費者のヘルス&ビューティーのニーズに応えるべく、製薬会社としての技術基盤を応用し、一層の安全性、有効性、機能性を向上させた、競争優位性のある製品の開発を進めております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
<ヨーロッパ>
消費者のヘルス&ビューティーのニーズに応えるべく、製薬会社としての技術基盤を応用し、一層の安全性、有効性、機能性を向上させた、競争優位性のある製品の開発を進めておりますが、今期は新たにオーストリアで点眼剤を発売し市場参入しました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
<アジア>
消費者のヘルス&ビューティーのニーズに応えるべく、製薬会社としての技術基盤を応用し、一層の安全性、有効性、機能性を向上させた、競争優位性のある製品の開発を進めております。「セルサン」等のヘアケア製品が大幅に伸長しました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
<その他>
消費者のヘルス&ビューティーのニーズに応えるべく、製薬会社としての技術基盤を応用し、一層の安全性、有効性、機能性を向上させた、競争優位性のある製品の開発を進めております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、