第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

(千円)

1,496,721

1,800,132

2,101,710

1,942,140

経常利益

(千円)

86,260

30,850

174,393

355,172

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

61,095

10,557

130,236

259,025

包括利益

(千円)

61,095

10,557

130,236

259,025

純資産額

(千円)

347,872

358,733

523,794

2,397,924

総資産額

(千円)

1,015,777

1,272,865

1,386,193

3,350,523

1株当たり純資産額

(円)

△173.72

△168.57

190.38

701.32

1株当たり当期純利益

(円)

29.80

5.15

62.49

80.28

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

74.73

自己資本比率

(%)

34.2

28.2

37.8

71.6

自己資本利益率

(%)

19.3

3.0

29.5

17.7

株価収益率

(倍)

25.3

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

△64,910

174,683

182,585

338,364

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

△148,084

△13,496

△21,115

△9,579

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

279,192

59,840

△100,101

1,381,935

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

363,094

584,121

645,489

2,356,210

従業員数
〔ほか、平均臨時雇用人員〕

(名)

38

〔―〕

52

〔―〕

62

〔―〕

91

〔―〕

 

(注) 1.第13期及び第14期の1株当たり純資産額の算定に当たっては、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

2.第13期から第15期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

3.第13期から第15期の株価収益率は当社株式が非上場であったため記載しておりません。

4.第13期から第16期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。

5.当社は、2021年4月23日付で普通株式1株につき普通株式2株の割合で株式分割を行っております。第13期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」及び「1株当たり当期純利益」を算定しております。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第16期の期首から適用しており、第16期に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

(千円)

765,088

1,417,141

1,668,982

1,956,985

1,851,320

経常利益

(千円)

2,842

82,346

54,622

174,253

353,441

当期純利益

(千円)

974

58,059

13,570

130,236

258,987

持分法を適用した場合

の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

188,750

188,750

188,750

206,187

962,195

発行済株式総数

 

 

 

 

 

 

普通株式

(株)

330,000

330,000

330,000

1,374,973

3,418,946

A種優先株式

(株)

300,000

300,000

300,000

B種優先株式

(株)

130,000

130,000

130,000

C種優先株式

(株)

265,000

265,000

265,000

純資産額

(千円)

286,800

344,859

358,733

523,794

2,397,886

総資産額

(千円)

742,582

1,008,560

1,259,026

1,378,739

3,339,445

1株当たり純資産額

(円)

△407.02

△175.19

△168.57

190.38

701.31

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益

(円)

0.99

28.32

6.62

62.49

80.27

潜在株式調整後1株当たり
当期純利益

(円)

74.72

自己資本比率

(%)

38.6

34.2

28.5

38.0

71.8

自己資本利益率

(%)

0.5

18.4

3.9

29.5

17.7

株価収益率

(倍)

25.3

配当性向

(%)

従業員数
〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

(名)

32

38

51

61

81

〔―〕

〔―〕

〔―〕

〔―〕

〔―〕

株主総利回り

(%)

(比較指標:―)

(%)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

最高株価

(円)

3,730

最低株価

(円)

1,167

 

(注) 1.第12期から第14期の1株当たり純資産額の算定に当たっては、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

2.第12期から第15期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

3.第12期から第15期の株価収益率は当社が非上場であるため、記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

5.第12期から第16期の株主総利回り及び比較指標については、2021年6月29日に東京証券取引所マザーズに上場したため、記載しておりません。

6.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所マザーズにおけるものであります。ただし、当社株式は、2021年6月29日から東京証券取引所マザーズに上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。

7.主要な経営指標等のうち、第12期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けておりません。

8.第13期から第16期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。

9.営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の期末残高は、第12期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、第13期から第16期については連結財務諸表を作成しているため記載しておりません。

10.当社は、2021年4月23日付で普通株式1株につき普通株式2株の割合で株式分割を行っております。第13期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」及び「1株当たり当期純利益」を算定しております。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第16期の期首から適用しており、第16期に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2006年12月

株式会社BlueMemeを東京都江東区新砂に設立。

2010年5月

代表取締役に松岡真功が就任。

2010年5月

本社を東京都千代田区神田佐久間町に移転。

2010年7月

業務システム開発のための業務分析及び業務モデル化事業を開始。

2011年4月

ローコード開発(注1)と組み合わせた業務システム開発コンサルティング事業を開始。

2012年10月

本社を東京都品川区東品川に移転。

2012年10月

ローコード開発基盤を取り扱うポルトガルOutSystems Software Em Rede,S.A.(以下、OutSystems社、現在本社はアメリカ合衆国)と日本初の販売代理店契約を締結。

2012年10月

ローコード開発基盤を用いたアジャイル手法(注2)によるITシステム受託開発サービスの販売を開始。

2013年10月

OutSystems社と日本総代理店契約を締結。

2013年10月

ローコード開発基盤の導入支援、技術コンサルティング事業を開始。

2014年6月

ユーザー企業向けのローコード開発の技術トレーニングを提供開始。

2014年11月

福岡オフィスを福岡県福岡市に開設

2017年6月

横浜オフィスを神奈川県横浜市に開設。

2017年12月

ローコード開発とアジャイル手法に特化した株式会社OPENMODELSを当社100%子会社として設立。

2018年5月

モデル解析サービスを提供するオランダOmnext B.V.(以下、Omnext社)とコラボレーション契約を締結。

2018年8月

次世代型データベースを取り扱う米国MarkLogic Corporation(以下、MarkLogic社)と販売代理店契約を締結。

2018年12月

「AGILE-DX」の前身である「AGILE-SDK」の提供を開始。

2019年1月

本社を東京都千代田区神田錦町に移転。

2019年3月

OutSystemsジャパン株式会社(以下、OutSystemsジャパン社)の設立に伴い、同社との間で販売代理店契約を締結。

2019年8月

沖縄オフィスを沖縄県那覇市に開設。

2020年4月

クラウドサービス(注3)間連携プラットフォームを提供する米国Workato,Inc.(以下、Workato社)と販売代理店契約を締結。

2020年10月

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社と、当社開発方法論「AGILE-DX」に関する共同研究及び実証実験を開始。

2021年1月

Cognite株式会社(以下、Cognite社)と販売代理店契約を締結。

2021年6月

東京証券取引所マザーズ市場に上場。

2022年3月

テスト自動化プラットフォームを提供する米国mabl Inc.(以下、mabl社)と販売代理店契約を締結。

2022年3月

ノーコード/ローコード開発基盤を提供する米国Creatio Inc.(以下、Creatio社)と販売代理店契約を締結。

 

(注)

2022年4月1日にベンチャー投資事業を行う子会社「株式会社BlueMeme Partners」(以下、BlueMeme Partners)を設立しております。

 2022年4月4日に東京証券取引所の市場区分の見直しによりマザーズ市場からグロース市場へ移行しております。

2022年4月14日に情報システムやIT基盤に関わるサービスを提供する三井情報株式会社(以下、三井情報)とローコード事業で資本業務提携をしております。

 

注1

ローコード(開発)

これまでのシステム開発では、エンジニアが設計書を記述し、その設計書を見ながらプログラマーがプログラミングをするという方法が一般的でしたが、そのプログラマーの作業のほとんどを、最新技術を用いて自動化した開発手法です。

注2

アジャイル手法

反復的に変化を採り入れながら意思決定を行う方法のことです。

注3

クラウドサービス

検索サイトやオンラインショッピングサイトをはじめ、販売管理システムや人事管理システム等、インターネット上で提供される様々なサービスの総称です。

 

 

 

3 【事業の内容】

(1)企業理念とミッション

当社グループは、当社及びローコード技術によるプラットフォーム事業を展開する連結子会社の株式会社OPENMODELSの計2社で構成されており、「新たな価値を創造し、常識を変え、文化を進化させる」という経営理念を持っております。当社の社名に含まれている「光り輝く」という語源を持つ「Blue」と、「人から人へ文化を伝える様々な情報」を意味する「Meme」には、これまでの常識に囚われることなく、新しい文化を形成するための新しい価値の創造を目指していくという、強い理念を込めております。インターネットやスマートフォンなどの情報技術の急速な発展は、歴史上、類を見ないスピードで私たちの生活を大きく変え続けています。これらを支える最も重要なものは、あらゆる情報を処理し、コンピューター機器を動かすための情報システムです。当社グループは、この情報社会を支える「情報システムを開発する技術」にフォーカスし、顧客企業と共に新たな価値を生み出すことで、「日本企業の国際的競争力を向上させる」ことを事業のミッションとしております。

 

(2)事業コンセプト

国内企業における情報システムの開発は、主にシステムインテグレーター(注1)と呼ばれるシステム開発を請け負う事業者に対して、開発業務を委託する受託開発型(注2)と呼ばれる方法で実施されています。AIやロボットによって様々な作業が自動化される中、この受託開発型においては、未だにゼロから手作業で情報システムを作り上げるスクラッチ開発(注3)が主流となっています。このスクラッチ開発を行うためには、長期間にわたって多くのIT人材を確保しなければならないため、多くの国内企業において、豊富なIT人材を抱える大手のシステムインテグレーターにシステム開発を任せることが一般的でした。

しかしながら、昨今の新型コロナウイルス感染症等の急速な社会環境の変化や、ECサイトに代表されるデジタル経済(注4)の拡大に伴い、スピード重視のIT投資が求められています。これまでの受託開発型による大手システムインテグレーターを中心とした多重下請け構造や、外部の大手システムインテグレーターへの依存による過度なIT部門の空洞化は、IT人材の不足の問題とともに、国内企業のIT戦略における重要な経営課題として認識されつつあります。

 

(日本型のシステム開発)


 

 

当社グループでは、最新技術を活用した当社独自の開発方法論(注5)「AGILE-DX」を用いることで、低コストかつ短期間で品質の高いシステム開発を実現し、顧客と共にシステム開発のノウハウを蓄積することで、スピード重視のIT投資を可能にします。

当社グループは、この当社独自の開発方法論「AGILE-DX」を活用したシステム開発に関する事業を、DX事業として展開しております。なお、当社グループは、この「AGILE-DX」を活用した受託開発サービス及び技術者向けトレーニングを提供する「プロフェッショナルサービス」と、ローコード開発ツール(注6)等のソフトウェアを販売する「ソフトウェアライセンス販売」から構成されるDX事業の単一セグメントとなっております。

 

(内製化人材を中心としたアジャイル型のシステム開発)


 

(3) 事業の特徴と強み

当社グループの事業の特徴と強みは以下の通りです。

 

 アジャイル手法とローコード技術に特化したユニークな受託開発サービス

今日のデジタル経済の急速な発展により、様々な業界において、これまで作業効率化の手段であった情報システムが、重要な経営戦略の実現手段の一つとなりつつあります。これによりシステム開発は、コストパフォーマンスだけでなくタイムパフォーマンスも重要視されるようになり、少人数かつ短期間で情報システムを開発できるアジャイル手法や、手作業で行われているプログラミングを自動化できるローコード技術が注目されています。当社グループでは、このアジャイル手法とローコード技術を組み合わせ、それを当社独自の開発方法論「AGILE-DX」で管理を行うユニークな受託開発サービスを提供しております。

一般的にアジャイル手法は、ウォーターフォール型(注7)と呼ばれる従来型の手法と比較して、業務分析や要件定義等の上流工程に関する手法が定義されていません。このため、ウォーターフォール型と比較して、プロジェクトの管理が困難であることから、国内企業においては広く活用されていないのが現状です。

また手作業で行っていたプログラミングを自動化するローコード開発ツールにおいても、従来型のスクラッチ開発と比較してプログラミングの作業工数は数分の一になるものの、ローコード開発ツール向けの要件管理や設計手法が定まっておらず、部分的かつ小規模な活用にとどまっています。

国内のシステムインテグレーターが提供する受託開発サービスの多くは、ウォーターフォール型のスクラッチ開発で実施されることが多く、アジャイル手法を活用する場合でもスクラッチ開発が採用されています。これは国内のシステムインテグレーターのほとんどが、これまでの豊富なシステム開発経験をもとに、ゼロから情報システムを作り上げるスクラッチ開発の膨大なノウハウを蓄積し、それらを活用したシステム開発を実施していることが要因であると考えられます。また、ローコード開発ツールを提供する先進的なソフトウェアベンダー(以下「ローコード開発ツールベンダー(注8)」という)においては、アジャイル手法を活用することもありますが、そのソフトウェアの適用範囲を広くするために、すでにプロジェクト管理手法が確立されたウォーターフォール型を採用することが一般的だと考えられます。

当社グループが提供を行っている、最新技術であるアジャイル手法とローコード技術を使用し独自の開発方法論を適用する受託開発サービスは、他社と比較してユニークなポジションを確立しております。

 

(当社グループの受託開発サービスのポジション)


 

② プロジェクト管理の難しいアジャイル手法を当社独自の手法により安定的な開発を実現

一般的なアジャイル手法には、スピードとテストを重視した開発を優先するため、業務分析や要件定義、機能設計等の上流工程と呼ばれるフェーズの手法は定義されていません。このため、プロジェクト管理は難しく、特に大規模なシステム開発には不向きと考えられていました。当社独自の開発方法論「AGILE-DX」では、アジャイル手法に不足している上流工程とテスト工程の作業を標準化することで安定的なアジャイル手法によるシステム開発を実現し、様々な最新技術と組み合わせることで大規模なシステム開発を実現しています。

 

(ウォーターフォール型とアジャイル手法、及び「AGILE-DX」の比較)


 

③ プログラミングを自動化するローコード技術に特化した開発方法論

ローコード開発ツールを用いたシステム開発は、従来型のスクラッチ開発と比較して、数倍のスピードで実装を行うことができますが、そのスピードに合わせた開発方法論が存在しないため、技術者が要件定義の完了を待つ時間が発生してしまい、ローコード技術の特性を活かすことが出来ていません。

当社独自の開発方法論「AGILE-DX」では、要件定義を利用者の要望によって変化しにくい静的要件と、利用者の要望によって変化しやすい動的要件に分離する(注9)ことで、従来型のウォーターフォール型の利点である標準化された要件管理手法と、アジャイル手法の利点であるスピーディーな開発手法の統合を実現しています。これにより、技術者が要件定義を待つ時間を削減し、ローコード開発ツールの実装スピードを最大限に活かした開発方法論を確立しております。

 

(顧客の要件に合わせて実装スピードを最大限に活かした開発方法論)


 

④ システム開発における4つの工程の作業工数を削減することで少人数かつ短期間開発を実現

一般的なシステム開発は、大きく区分して業務分析・要件定義、設計、実装、テストの4つのフェーズで実施されます。従来型の受託開発では、それぞれのフェーズを別の事業者に委託したり、すべてのフェーズを同一事業者に委託した場合でもフェーズ毎に異なるチーム体制で実施することが多く、フェーズ間で様々な情報やデータを引き継ぐために膨大な量の資料や文書を作成したり、前フェーズへの手戻りを防止するための入念なチェックと詳細な机上検証を行う必要がありました。また各フェーズで作成する資料や文書は、顧客企業の中で標準化が進んでいないことが多く、システム開発の度に、異なる様式や表記方法で業務分析や要件定義の資料を再作成する必要がありました。

当社独自の開発方法論「AGILE-DX」では、この4つのフェーズを少人数の1チームで実施できるように、フェーズ間の引き継ぎのための資料や文書を大幅に削減し、業務分析や設計手法の標準化を行い、並行的に開発を進めるためのシステムの連携技術をローコード技術と組み合わせることで、従来型の受託開発と比較して、低コストかつ短期間でのシステム開発を実現しています。

 

 

 IT人材不足に対応したローコード技術者の短期育成

これまで一般的に提供されていたスクラッチ開発による受託開発を行うには、様々な要素技術を基礎から学ぶ必要があり、3年から5年の現場経験が技術者に必要だと考えられてきました。当社グループでは、ローコード開発ツールベンダー認定資格のトレーニングと豊富な受託開発のノウハウを活用することで、ローコード開発ツールを用いてシステム開発を行うIT人材の新規創出を、約3ヶ月から6ヶ月で実現する実践的な教育プログラムを保有しております。

 

(ローコード開発技術者の育成イメージ) 


 

 

(4)サービス内容

当社グループは、この当社独自の開発方法論「AGILE-DX」を使用した受託開発サービスを中心に、そのサービス提供に関連したソフトウェアの販売と、顧客企業の技術者へのトレーニングサービスを提供しています。

 

(事業系統図)


 

 

 プロフェッショナルサービス

当社グループは、「AGILE-DX」を用いた受託開発サービスと、ローコード開発ツールを使用する顧客企業の技術者向けのトレーニングの2つのサービスを「プロフェッショナルサービス」として提供しています。受託開発サービスは、顧客企業のニーズに合わせて、主に3パターンのローコード・アジャイルチーム体制を構築して、システム開発を行っております。

 


 

一つ目は、顧客企業がシステム開発に関するすべての業務を当社グループに委託する場合です。この場合は、ローコード・アジャイルチームのすべての要員は当社グループの人材で構成されます。

二つ目は、顧客企業が社内の人材を活用してシステム開発を行う場合です。この場合のローコード・アジャイルチームの要員は、顧客企業と当社グループの人材による混成チームで構成されます。顧客企業の技術者は、混成チームを形成することで、アジャイル手法とローコード技術によるシステム開発のノウハウを開発現場で学ぶことができ、情報システムの内製化に向けた新たなIT人材の育成を行うことが可能となります。

三つ目は、顧客企業が全ての開発に関する業務を社内の人材で行いたい場合です。この場合は、ローコード・アジャイルチームの要員はすべて顧客企業の人材によって構成され、そのチームに対して当社グループの人材が、外部からローコード開発ツールの使い方やプロジェクト管理に関する問題解決等の技術的な支援やコンサルティングを行います。

 

② ソフトウェアライセンス販売

当社グループでは、ローコード技術を中心とした情報システム開発の生産性を向上させるソフトウェアのライセンスを、年単位で使用権を販売するサブスクリプションライセンス契約で販売しております。主にプロフェッショナルサービスの提供とともにソフトウェアライセンスを販売しておりますが、顧客企業が自ら情報システムの開発を行う場合は、ソフトウェアライセンスのみの販売を行っております。当社グループが販売する主なソフトウェアは、下記の通りです。

 

ローコード開発プラットフォーム OutSystems®

当社グループでは、2009年の事業開始以来、ソフトウェアの設計情報を基に、ソフトウェアのソースコードを自動生成する技術の研究及び調査を行ってまいりました。2012年には、ソフトウェアの設計情報から正しく動作するソースコードを自動生成可能な、当時ポルトガルに本社を置いていたOutSystems社のローコード開発プラットフォーム「OutSystems®」の提供を開始しました。OutSystems®は、自動生成されるソフトウェアの品質の高さと、運用までサポートする機能充足度の高さ、また技術者の学習コストの低さが高く評価されております。実装フェーズにおける開発スピードは手作業と比較して約10倍を誇ります。0現在、OutSystems社は米国のボストンに本社を置き、導入企業は世界に数千社存在します(注10)。日本国内においては、2017年にOutSystemsジャパン社が設立されましたが、それまでは当社が日本国内の総代理店業務を行っておりました。現在、当社はOutSystems社認定の正規販売代理店であり、アジア太平洋地域全域において、2017年度には「新規売上最高賞」と「年度クローズ案件最多賞」、2018年度には「年間新規顧客最多賞」、2019年度には「案件登録最多賞」と「新規案件受注額最多賞」を受賞しており(注11)、日本国内及びアジア地域におけるOutSystems®の導入数は、当社グループがトップクラスとなっております。

 

クラウド型APIインテグレーションプラットフォーム Workato®

インターネット上に存在する情報システムの多くは、他の情報システムと様々なデータの連携を行いながら動作しています。クラウドサービスの拡大とともに、これまで企業内に設置されていた情報システムは、インターネット上に配置され、それら情報システム間のデータ連携もインターネット上で行われるようになり、そのニーズは世界的なデジタル・トランスフォーメーションの流れによって急速に高まっています。インターネット上に存在する様々なサービスと、社内で使用している情報システムの間でデータ連携をリアルタイムに行うことによって、新たな情報システムを構築することなく、業務プロセスの自動化や効率化を実現することが可能となります。当社グループでは、数百種類以上の既存のクラウドサービスと情報システムとのデータ連携をローコード開発で実現する、クラウド型のAPIインテグレーション(注12)プラットフォーム Workato®を提供しております。

Workato®は、米国のカルフォルニアに本社を置く企業向けインテグレーションサービス会社であるWorkato社が開発及び販売を行っております。Workato®は、数百種類以上の既存のクラウドサービスとITシステムとのデータ連携を、高度なプログラミングを行うことなく、Webブラウザだけで実現するクラウド型のAPIインテグレーションプラットフォームです。クラウド型ではない従来型のインテグレーションプラットフォームの保守及び運用には、多くの専門的な人材と運用に関する費用を必要としていました。Workato®は、これらの保守及び運用にかかる作業を自動化し、さらに400種類以上のデータ連携用の部品をあらかじめ提供することによって、様々なアプリケーションのデータ連携を容易にし、業務プロセスの効率化と自動化を実現しています。

 

マルチモデルデータベースプラットフォーム MarkLogic®

情報システムの最も重要な役割は、「デジタル化された電子データ」を情報として処理及び保存することです。DXにおいて、どのようなデータをどのような方式で管理するかは、情報システムの価値を決定するための重要な要素となると考えております。今日の情報システムの多くは、リレーショナルデータベースと呼ばれるソフトウェアを使用して、データの保存や検索等を行っています。リレーショナルデータベースは、文字や数字を表形式で保存して管理するため、会計システムのような大量の伝票処理や集計等を中心に行う情報システムに適していますが、Googleのような全文検索や、画像や文書ファイル等の表形式で管理しにくいデータの管理には適していません。当社グループでは、あらゆる情報のデジタル化を実現するために、多種多様な電子データを管理することが可能なマルチモデル型のデータベース MarkLogic®を販売しております。

MarkLogic社は米国のカルフォルニアに本社を置く2001年に創業された企業向けソフトウェア会社であり、主にデータベースMarkLogic®を開発及び販売しております。全世界で十数か所に拠点を有し、顧客は2,500社以上存在します(注13)。MarkLogic®は、XMLやJSON、バイナリファイル等の様々な種類のデータを事前の設計無しでそのまま取込み、統合管理することができる大規模データ処理に対応したデータベースです。リレーショナルデータベースでは、データをデータベースに取り込むときに、事前にテーブル定義やデータベースの設計作業を技術者が行う必要があります。MarkLogic®は、マルチモデル型のデータベースの特徴を活かすことで、技術者による事前のテーブル設計や正規化を行うことなく、データの統合を可能にし、DXに関する様々なデータ管理のニーズに対応することが可能です。

 

 

<用語集>

注1

システムインテグレーター

主として情報システムの開発、運用などの業務をシステムのオーナーとなる顧客から一括して請け負う企業のことです。

注2

受託開発型

顧客企業が作りたいシステムの概要をまとめ、外部の開発会社に情報システムの開発を委託する方法です。

注3

スクラッチ開発

一般的に製品を開発する際に、すでに存在する何かを土台とせずにゼロから新たに作り上げることを指します。情報システム開発においては、システム全体をゼロから手作業でプログラミングを行うことで、新規に作成する、あるいは作り直すことを指します。

注4

デジタル経済

インターネットを中心に情報通信技術によって生み出された経済現象を示したものであり、インターネットによるショッピングや映画や音楽等のネット配信、電子決済等のサービス等に基づく経済を示します。

注5

開発方法論

ソフトウェア開発を行うときの標準的な工程や管理手順、作成すべき成果物等を定義し体系化したものです。

注6

ローコード開発ツール

プログラミングを自動化するローコード技術を活用して作成されたもので、プログラマーがこれまで手作業で行っていた作業の多くを自動化することができるツールの総称です。 

注7

ウォーターフォール型 

1970年代に提唱された、大規模なシステム受託開発を行う場合の作業の流れのことであり、日本のシステム受託開発において主流となっている手法です。具体的には、まず作りたいソフトウェアの要求を全て定義して合意し、それを基に設計を全て行い、それに基づくプログラムを全て製造し、最後にそれらが正しく動作するかを検証する手法です。この手法は、作りたいソフトウェアの要求を最初に全て決定する必要があるため、要件定義後に発生する要求の変更に対応することができません。このためこの手法では、昨今の急速な社会環境の変化や技術の進化による要件の変化や新規追加に対応することが難しくなっています。

注8

ローコード開発ツールベンダー

ローコード開発ツールの開発及び販売を行っている企業の総称です。

注9

静的要件、動的要件 

システム開発における要件を、システムの内部構造を静的とし、システムの利用者が直接的に影響する外部構造を動的として2つに分けることです。 

注10

導入企業は世界に数千社存在します

OutSystems 社の公開情報に基づきます。
 https://www.outsystems.com/company/

注11

2017年度には「新規売上最高賞」と「年度クローズ案件最多賞」、2018年度には「年間新規顧客最多賞」、2019年度には「案件登録最多賞」と「新規案件受注額最多賞」を受賞しております。

2019年(18年度含む)の受賞については、以下を参照:
 https://www.outsystems.com/news/apac-partner-year-award-winners/
2020年(19年度含む)の受賞については、以下を参照:
 https://www.outsystems.com/news/partner-award-winners-2020/

注12

APIインテグレーション

異なるシステム間で、データのやりとりを行い、機能連携をさせることを指します。これまでのシステム間の連携は、連携相手を特定した密な結合の連携がほとんどでしたが、近年ではAPIと呼ばれる不特定多数の相手を前提としたデータ連携の繋ぎ口を予めシステムに持たせることにより、疎結合連携を行うようになっています。

注13

全世界で十数か所に拠点を有し、顧客は2,500社以上存在します

MarkLogic社の公開情報に基づきます。
 https://www.marklogic.com/company/about/

 

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業

の内容

議決権の
所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社OPENMODELS

東京都千代田区

10,000

プラット

フォーム事業

100.0

営業上の取引
役員の兼任4名

当社からの人員出向

資金の貸付
管理業務等の受託

 

 

(注) 1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

2.債務超過会社であり、2022年3月末時点で債務超過額は591千円であります。

3.当社グループは、DX事業の単一セグメントであります。

4.特定子会社に該当する会社はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2022年3月31日現在

従業員数(名)

91

 

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループから社外への出向者を除き、社外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む)は年間の平均人員が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.当社グループの事業は、DX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2022年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

81

34.1

3.0

5,288

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む)は年間の平均人員が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.前事業年度末に比べ従業員が20名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.当社の事業は、DX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。