【連結財務諸表注記】
1.報告企業
ヤマハ株式会社(以下、当社)は日本に所在する株式会社であり、東京証券取引所に株式を上場しております。登記上の本社の住所は静岡県浜松市中央区中沢町10番1号であります。当社の連結財務諸表は、2024年3月31日を期末日とし、当社及びその子会社(以下、当社グループ)から構成されております。当社グループは楽器事業、音響機器事業及びその他の事業を営んでおります。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。当社は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしていることから、同第93条の規定を適用しております。
連結財務諸表は2024年6月25日に代表執行役社長 山浦敦によって承認されております。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、「3.重要性のある会計方針」に記載する会計方針に基づいて作成されております。資産及び負債の残高は、公正価値で測定する金融商品及び確定給付制度に係る資産又は負債など重要性のある会計方針に別途記載がある場合を除き、取得原価に基づいて計上しております。
(3) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円(百万円単位、単位未満切捨て)で表示しております。
(4) 未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた新基準書及び新解釈指針のうち、当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりです。
これらの基準書を適用することによる連結財務諸表への影響は検討中です。
3.重要性のある会計方針
(1) 連結の基礎
当社グループの連結財務諸表は、当社グループ及び当社グループの関連会社の財務諸表に基づき、統一された会計方針を用いて作成しております。子会社及び関連会社の採用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて各社の財務諸表に調整を加えております。
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。支配を喪失する場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失として認識しております。
当社グループ会社間の債権債務残高及び取引高、並びに当社グループ会社間取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成にあたり消去しております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
なお、子会社の財務諸表の決算期が当社の決算期と異なる子会社については、追加的に当社の決算期で財務諸表を作成する等の調整を行っております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業であります。関連会社への投資は持分法によって会計処理しており、取得時に取得原価で認識しております。重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの関連会社の損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しております。
③ 企業結合
当社グループは、取得法に基づき企業結合の会計処理をしております。
取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定しております。企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
取得対価が、取得した識別可能な資産及び引き受けた負債の取得日における公正価値の正味の金額を超過する場合は、のれんとして認識しております。反対に下回る場合は、差額を純損益として認識しております。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
当社グループの各社の財務諸表は、その会社の機能通貨で作成しております。
機能通貨以外の通貨での取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性項目は、期末日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の算定日における為替レートでそれぞれ機能通貨に再換算しております。当該再換算及び決済により発生した換算差額は、純損益として認識しております。
ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融商品及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の為替レートで、収益及び費用は、著しくレートが変動している場合を除き、期中の平均為替レートで換算しております。この換算から生じる換算差額は、その他の包括利益で認識しております。在外営業活動体を処分する場合には、この在外営業活動体に関連する換算差額の累積額は、処分時に純損益に振り替えております。
(3) 金融商品
① 金融資産
(a) 当初認識及び測定
当社グループは、金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識をしております。
当初認識時において金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、公正価値に金融資産の取得に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引費用は、純損益として認識しております。
(b) 分類及び事後測定
当社グループは、当初認識時において、保有する金融資産を(ⅰ)償却原価で測定する金融資産、(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産のいずれかに分類しております。
(ⅰ) 償却原価で測定する金融資産
金融資産のうち、以下の要件をともに満たす負債性金融資産は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産の当初認識後の評価は、実効金利法による償却原価により測定しております。また、実効金利法による償却額及び認識を中止した場合の利得及び損失は純損益として認識しております。
(ⅱ) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
金融資産のうち、以下の要件をともに満たす負債性金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
また、共通のブランドを使用するヤマハ発動機(株)株式、その他の事業等において関連する企業の株式などの資本性金融資産については、当初認識時に、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の当初認識後の公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。認識を中止した場合、もしくは公正価値が著しく低下した場合に、その他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。なお、当該金融資産から生じる配当金については、金融収益として純損益で認識しております。
(ⅲ) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の当初認識後の公正価値の変動額は、純損益として認識しております。
(c) 金融資産の減損
当社グループは、営業債権等について、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しております。
債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性が高いと判断される営業債権等に対しては、個別に又はリスクの特徴が類似するものごとにグルーピングを行い、減損損失を評価し、貸倒引当金を計上しております。
上記に該当しない営業債権等については、主として過去の貸倒実績率に基づき減損損失を評価し、貸倒引当金を計上しております。
過去に減損損失を認識した営業債権等は、その後に発生した事象により、減損損失の金額が減少した場合には、過去に認識した減損損失を戻入れ、純損益として認識しております。
また、回収できないことが明らかになった営業債権等については、回収不能部分を直接減額しております。
(d) 認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は当社グループが金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、リスクと経済価値のほとんどすべてを移転している場合に、金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債
(a) 当初認識及び測定
当社グループでは、金融負債の契約当事者となった取引日に当初認識をしております。
当初認識時において償却原価で測定する金融負債は公正価値から直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(b) 分類及び事後測定
金融負債は、当初認識時に、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
償却原価で測定する金融負債の当初認識後の評価は、実効金利法による償却原価で測定しております。また、実効金利法による償却額及び認識を中止した場合の利得及び損失は純損益として認識しております。
(c) 認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消、失効等により消滅した時点で、認識を中止しております。
③ 金融商品の表示
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか、又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合には、相殺して連結財政状態計算書に純額で表示しております。
④ ヘッジ会計及びデリバティブ
当社グループは、輸出入取引による外貨建債権債務に伴う為替変動リスクを軽減するために、先物為替予約(包括予約)取引を実需の範囲内で行っております。これらのデリバティブ取引の当初認識は、契約日の公正価値で行い、当初認識後の再測定も公正価値で行っております。
デリバティブ取引については、グループ財務規程及びそれに基づく各社の管理規程を設定し、規程に基づいた取引の実行及び管理を行っております。
ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブ取引については、キャッシュ・フロー・ヘッジを適用しており、ヘッジ手段に係る利得及び損失のうちの有効な部分はその他の包括利益として認識し、残りの有効でない部分は純損益として認識しております。その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。
また、ヘッジ会計を適用する取引については、ヘッジ開始時及びヘッジ期間中にヘッジ取引に利用したデリバティブがヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するために有効であるか否かについて、継続的に評価を行っております。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資より構成されております。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い方の金額により測定しております。
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費、及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストの全てが含まれ、主として加重平均法に基づき算定しております。正味実現可能価額は、将来の販売可能性を考慮の上、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額であります。
(6) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体・除去及び原状回復費用等の見積額及び資産計上すべき借入費用等を含んでおります。
土地及び建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、以下の見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。
建物 31~50年
(附属設備は主に15年)
構築物 10~30年
機械装置 4~12年
工具、器具及び備品 5~6年
見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かい適用しております。
(7) 使用権資産
当社グループは、一部の有形固定資産のリースを受けております。
使用権資産の取得原価は、リース開始日におけるリースの解約不能期間に合理的に確実な延長オプション等を加えた期間(以下、リース期間)におけるリース料の現在価値に、リース開始日以前に支払った前払いリース料、当初直接コスト、解体・除去及び原状回復費用等の当初見積額を加え、受け取ったリースインセンティブを控除した金額で当初測定を行っております。リース負債は、リース期間におけるリース料の現在価値で当初測定を行っております。当初測定後、リース期間又はリース料に変動があった場合は、リース負債の再測定を行い、使用権資産の取得原価及びリース負債の調整を行っております。
使用権資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上し、リース負債は、当初測定額及び再測定による調整額からリース料の支払を控除し、利息の調整を行った価額を計上しております。
また、使用権資産の減価償却費は、リース期間にわたり定額法で計上しております。リース負債に係る金利費用は、使用権資産に係る減価償却費と区分して、金融費用に含めております。
ただし、リース期間が12か月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース料を定額法又は他の規則的な基礎により純損益として認識しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんの当初認識時の測定方法は「(1) 連結の基礎 ③ 企業結合」に記載しております。のれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で表示しております。
② 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
(9) 非金融資産の減損
非金融資産(棚卸資産、繰延税金資産及び従業員給付に係る資産を除く)については、各報告期間の末日現在ごとに減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候が存在する場合には、減損テストを実施しております。のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び報告期間の末日現在で使用可能でない無形資産については、毎期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。
減損テストの結果、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損損失を認識しております。
減損テストにおいて個別にテストされない資産は、他の資産又は資産グループのキャッシュ・イン・フローから概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成する最小の資金生成単位としております。資産又は資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分費用控除後の公正価値のいずれか高い方の金額としております。使用価値は、資産又は資金生成単位から生じると見込まれる将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引くことにより算定しております。
のれんを含む資金生成単位の減損損失の認識については、まず、その資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に当該資金生成単位内の各資産の帳簿価額に基づき比例按分しております。
過去の期間において認識した減損損失について戻入れを示す兆候が存在し、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を超過した場合には、減損損失の戻入れを行っております。減損損失の戻入れは、算定した回収可能価額と過年度に減損損失を認識しなかった場合の減価償却又は償却額を控除した後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限としております。なお、のれんに関連する減損損失の戻入れは行っておりません。
(10) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために、経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
貨幣の時間的価値の影響に重要性がある場合には、引当金額は将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて測定しております。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、退職後給付制度として、確定給付制度及び確定拠出制度を設けております。
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を予測単位積増方式により算定しております。確定給付制度債務の現在価値への割引に使用する割引率は、退職給付債務と通貨や期日が整合する優良社債の利回りを参照し決定しております。確定給付制度に係る資産又は負債は、制度ごとの確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額として算定しております。確定給付制度の再測定差額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は発生した期の純損益として認識しております。
確定拠出制度への拠出は、関連する役務が提供された時点で費用として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付は、割引計算は行わず、勤務が提供された時点の費用として認識しております。
賞与及び有給休暇費用については、過去の従業員の勤務に基づき、支払いを行う法的又は推定的債務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しております。
(12) 政府補助金
政府補助金は、付帯条件を満たし、補助金を受領する合理的な保証が得られた場合に、公正価値で認識しております。
資産に関する補助金は、繰延収益として処理し、対応する資産を費用として認識する期間にわたって規則的に収益として計上しております。収益に関する補助金は、補助金に対応する関連費用を認識する期間にわたって規則的に純損益として認識しております。
(13) 資本
普通株式は発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、普通株式の発行に係る費用は資本剰余金から控除しております。
自己株式は、取得原価で認識し、資本の控除項目としております。なお、自己株式を売却した場合は、売却時の帳簿価額と対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(14) 株式報酬
当社グループでは、企業価値の持続的な向上と株主の皆様との価値共有を図ることを目的として、執行役(内部監査担当を除く)及び一部の執行役員を対象に持分決済型及び現金決済型株式報酬制度を導入しております。
持分決済型の株式報酬は、譲渡制限付株式報酬制度によっており、付与した当社株式のうち譲渡制限の解除が見込まれる相当数の当社株式に対して、付与時に参照した公正価値に基づき測定しており、対応するサービスの提供に応じて費用として純損益で認識するとともに、同額を資本の増加として認識しております。
現金決済型株式報酬制度は、持分決済型株式報酬制度と同条件で設計され、各報告期間末における将来の支給見込額を公正価値として測定し、サービスの提供に応じて費用として純損益で認識しております。
(15) 収益認識
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に従い、以下のステップを通じて収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に又は充足するにつれて収益を認識する
当社グループは、楽器、音響機器及びその他製品の製造販売を主な事業としております。これらの製品の販売については、原則として、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、主として当該製品の引渡時点で収益を認識しております。
収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引、リベート及び返品を控除した金額で測定しております。
(16) 法人所得税
法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本又はその他の包括利益として認識する項目を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、報告期間の末日までに制定又は実質的に制定されているものであります。また、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しております。
繰延税金は、報告期間の末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額である一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しております。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを回収できる課税所得が生じる可能性が高い範囲において認識し、繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しております。なお、繰延税金資産は毎期見直され、税務便益の実現が見込めないと判断される部分については減額しております。
なお、以下の一時差異については、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引(企業結合取引を除く)によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、当該一時差異から便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高くない場合、又は予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合
・IAS12号で定められる例外措置に基づく、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する一時差異
繰延税金資産及び繰延税金負債は、報告期間の末日において制定又は実質的に制定されている税率及び税法に基づいて、当該資産が実現する又は負債が決済する期間に適用されると予想される税率によって算定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的強制力のある権利を有し、法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、又は別々の納税主体であるものの当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しております。
当社及び一部子会社は、連結納税制度(グループ通算制度)を適用しております。
(17) 会計方針の変更
当社グループでは、当連結会計年度より以下の基準を適用しております。
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社グループは、連結財務諸表の作成において、会計方針の適用、資産及び負債、収益及び費用の測定等に関する見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び報告期間の末日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかしながら、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しており、これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しております。当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある判断、見積り及び仮定を行った項目は以下のとおりであります。
・子会社の範囲(注記「3.重要性のある会計方針 (1) 連結の基礎」)
連結の対象となる子会社に該当するか否かは、当社グループが当該会社を支配しているか否かによって判断しております。
・棚卸資産の評価(注記「3.重要性のある会計方針 (5) 棚卸資産」、注記「9.棚卸資産」)
当社グループは、棚卸資産の評価について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って、将来の販売可能性を考慮の上、正味実現可能価格に基づく評価損を計上しております。評価損の見積りにおいては、将来の販売計画、販売価格、販売に要するコスト等について事業計画に基づく仮定を設定しております。これらの仮定については、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
・非金融資産の減損(注記「3.重要性のある会計方針 (9) 非金融資産の減損」、注記「27.その他の収益及びその他の費用」)
当社グループは、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産について、注記「3.重要性のある会計方針」に従って、減損テストを実施しております。減損テストにおける回収可能価額の算定において、将来のキャッシュ・フロー、割引率等について仮定を設定しております。これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
・引当金の認識及び測定(注記「3.重要性のある会計方針 (10) 引当金」、注記「19.引当金」)
引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれる支出の期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれる支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・退職給付制度債務の測定(注記「3.重要性のある会計方針 (11) 従業員給付」、注記「21.従業員給付」)
確定給付企業年金制度については、確定給付制度債務と制度資産の公正価値の純額を負債又は資産として認識しております。確定給付制度債務は、年金数理計算により算定しており、年金数理計算の前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率等の見積りが含まれております。これらの前提条件は、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定しております。これら年金数理計算の前提条件は、将来の不確実な経済環境あるいは社会情勢の変動等によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、確定給付制度債務の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・繰延税金資産の回収可能性(注記「3.重要性のある会計方針 (16) 法人所得税」、注記「15.法人所得税」)
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を使用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。課税所得が生じる可能性の判断においては、事業計画に基づきその発生時期及び金額を見積っております。このような見積りは、経営者による最善の見積りにより行っておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって実際の結果と異なる可能性があります。
上記には、当社グループの将来の業績に関する見積り及び仮定に基づく判断を含んでおりますが、これらは、将来の販売見通しや為替相場の見通し等に基づき策定した事業計画を基礎としております。
なお、連結財務諸表の作成に使用した見積り及び仮定は、連結会計年度末時点の状況における経営者の最善の見積りに基づいて行っておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
5.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、経済的特徴及び製品・サービス内容の類似性に基づき、「楽器」及び「音響機器」の2つを報告セグメントとしており、それ以外の事業は、「その他」に含めております。
楽器事業は、ピアノ、電子楽器、管弦打楽器等の製造販売等を行っております。音響機器事業は、オーディオ機器、業務用音響機器、情報通信機器(ICT機器)等の製造販売を行っております。その他には電子デバイス事業、自動車用内装部品事業、FA機器事業、ゴルフ用品事業、リゾート事業等を含んでおります。
(2) 報告セグメント情報
報告セグメント情報は、次のとおりであります。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「3.重要性のある会計方針」における記載と同一であります。
また、当社グループは、事業利益をセグメント利益としております。事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1 セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
2 資本的支出は、有形固定資産、無形資産及び使用権資産の支出を伴う増加額を記載しております。減価償却費及び償却費は資本的支出に対応する金額を記載しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1 セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
2 資本的支出は、有形固定資産、無形資産及び使用権資産の支出を伴う増加額を記載しております。減価償却費及び償却費は資本的支出に対応する金額を記載しております。
(3) 製品及びサービスに関する情報
「第1 企業の概況 3 事業の内容」、「(1) 報告セグメントの概要」及び「(2) 報告セグメント情報」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
(4) 地域に関する情報
売上収益及び非流動資産の地域別情報は、次のとおりであります。
① 売上収益
(注) 1 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
2 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:韓国、オーストラリア
② 非流動資産(金融資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)
(注) 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:インドネシア、インド、マレーシア
(5) 主要な顧客に関する情報
単一の外部顧客との取引による売上収益が当社グループの売上収益の10%を超える外部顧客が存在しないため、記載を省略しております。
6.企業結合
2023年2月7日に当社の連結子会社であるYamaha Guitar Group, Inc.が取得したCordoba Music Group, LLCについて、前連結会計年度末において取得対価の配分が完了していなかったため、暫定的な会計処理を行っておりましたが、第2四半期連結会計期間において取得対価の配分が完了したため、暫定的に算定した金額を修正しております。また、支払対価についても、クロージング時点での現預金・債務の残高及び運転資本の増減等による調整が完了し、修正しています。
この暫定的な会計処理の確定に伴い、連結財政状態計算書における前連結会計年度末の金額を遡及修正しております。その結果、遡及修正前と比べ、主として棚卸資産が102百万円、無形資産が3,418百万円それぞれ増加しており、のれんが3,572百万円減少しております。
(1) 取得日現在における支払対価、取得資産及び引受負債の公正価値
(注) 1 取得した営業債権及びその他の債権の公正価値と契約上の債権金額は、概ね同額であります。また回収不能と見込まれるものはありません。
2 無形資産の内訳は、顧客関連資産2,874百万円、商標権278百万円、技術関連資産238百万円であります。
3 のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力であります。なお、税務上損金算入可能と見込んでおります。
4 当該企業結合に係る取得関連費用は△515百万円であり、全て「販売費及び一般管理費」に計上しております。このうち、前連結会計年度に計上した取得関連費用は△502百万円であります。
(2) 取得に伴うキャッシュ・フロー
7.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、次のとおりであります。
(注) 連結財政状態計算書における「現金及び現金同等物」の残高と連結キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物」の残高は、一致しております。
8.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 「営業債権及びその他の債権」は、契約資産を除き償却原価で測定する金融資産に分類しております。
2 契約資産は、受取手形及び売掛金に含めて表示しております。
9.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 連結財務諸表注記 6.企業結合 参照
2 前連結会計年度及び当連結会計年度において「売上原価」として費用認識した棚卸資産の評価損(△は戻入れ)は、それぞれ1,300百万円及び4,097百万円であります。
10.その他の流動資産
その他の流動資産の内訳は、次のとおりであります。
11.有形固定資産
有形固定資産の帳簿価額の増減、取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額は、次のとおりであります。
(注) 1 企業結合の内容については「6.企業結合」に記載しております。
2 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「その他の費用」に含めております。
3 減損損失又はその戻入れは、連結損益計算書の「その他の収益」及び「その他の費用」に含めております。内訳及び内容については、「27.その他の収益及びその他の費用」に記載しております。
12.リース
当社グループは、土地、建物及び構築物、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品をリースにより賃借しております。なお、土地、建物は事務所、工場、店舗及び音楽教室等に使用する不動産の賃借であります。
13.のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の帳簿価額の増減、取得原価、償却累計額及び減損損失累計額は、次のとおりであります。
(注) 1 企業結合の内容については「6.企業結合」に記載しております。
2 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「その他の費用」に含めております。
資金生成単位に配分したのれん及び耐用年数を確定できない無形資産のうち、主なのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額及び減損テストの前提は次の通りです。
(Yamaha Guitar Group, Inc.及びその子会社)
のれんの帳簿価額は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ1,053百万円及び1,194百万円です。
当該のれんに関する減損テストは、Yamaha Guitar Group, Inc.およびその子会社の事業全体で形成される資金生成単位グループに帳簿価額を配分の上で行っており、回収可能価額には使用価値を用いています。使用価値は5年間の事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引くことにより算定しております。事業計画の対象期間を超える将来キャッシュ・フローの見積額を推定するために用いた成長率は主に資金生成単位グループが属する市場の状況を勘案し2.5%~3.2%としております。当連結会計年度の使用価値の算定に使用した割引率は16.5%です。
当連結会計年度において回収可能価額は帳簿価額を上回っております。なお、減損テストに用いた主要な仮定である事業計画期間内の売上成長率等は将来の不確実性の影響を受ける可能性があります。
14.その他の金融資産
流動資産におけるその他の金融資産及び非流動資産における金融資産の状況は、次のとおりであります。
共通のブランドを使用するヤマハ発動機(株)株式、その他の事業等において関連する企業の株式などであり、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に指定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の主な銘柄及び公正価値は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
当社グループは、保有する資本性金融資産について、個々の政策保有の合理性については、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を取締役会で定期的、継続的に検証し、検証結果に基づき政策保有株式の縮減を進めております。
認識の中止(売却等)時の公正価値及び売却等に係る累積損益(税引前)は次のとおりであります。
(注) その他の包括利益の累積額を、認識の中止時に利益剰余金に振り替えております。利益剰余金への振替は税引後の金額で行っております。
15.法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金負債の主な原因別の内訳及び増減は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1 為替の変動による差額は純損益を通じて認識した額に含めて表示しております。
2 「3.重要性のある会計方針(17)会計方針の変更」に記載のとおり、改訂IAS第12号を遡及的に適用し、前連結会計年度を遡及修正しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 為替の変動による差額は純損益を通じて認識した額に含めて表示しております。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等(いずれも税額ベース)の金額は、次のとおりであります。
(注) 税務上の繰越欠損金等には、繰越税額控除の金額を含んでおります。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金等(税額ベース)の繰越期限は、次のとおりであります。
繰延税金負債を認識していない将来加算一時差異の金額(一時差異ベース)は、次のとおりであります。
子会社等に対する投資に係る将来加算一時差異については、当社グループが一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いため認識しておりません。
法人所得税費用の内訳は、次のとおりであります。
当社は、法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した法定実効税率は前連結会計年度及び当連結会計年度において、29.9%であります。子会社についてはその所在地における法人税等が課されております。
法定実効税率と平均実際負担税率との差異要因は、次のとおりであります。
(6) 第2の柱モデルルールに係る潜在的な影響
当社および一部子会社は、OECDが公表した第2の柱に係る法制が制定された地域で営業活動を行っており、2024年4月1日に開始する連結会計年度から、当該法制による追加課税が発生することを見込んでおりますが、当該課税が当社グループの業績へ与える影響は軽微であると想定しております。
16.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、次のとおりであります。
(注) 「営業債務及びその他の債務」は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
17.有利子負債
有利子負債の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 借入金は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
2 平均利率は、借入金の当連結会計年度の期末残高に対する加重平均利率を記載しております。
18.その他の金融負債
流動負債及び非流動負債におけるその他の金融負債の内訳は、次のとおりであります。
19.引当金
引当金の内訳及び増減は、次のとおりであります。
製品保証引当金は、製品販売後に発生する補修費用に備えるため、売上収益もしくは販売台数に対して経験率により、または個別見積りにより計上しております。主に発生から1年以内に対応・支出を行いますが、一部は1年を超えて支出が行われる場合があります。資産除去債務は、資産の解体・除去費用及び原状回復費用等の発生に備えて、将来支出すると見込まれる金額を計上しております。これらの費用は主に1年以上経過した後に支払いが発生すると見込まれますが、将来の事業計画などの影響を受けます。
20.その他の流動負債
その他の流動負債の内訳は、次のとおりであります。
21.従業員給付
当社及び一部の子会社では、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用しております。これらの制度における給付額は基本的に勤続年数、従業員の給与水準、その他の条件に基づき設定されております。なお、確定給付制度は、一般的な投資リスク、金利リスク、インフレリスク等にさらされております。
確定給付制度(積立型及び非積立型制度)では、主としてポイント制に基づいた一時金又は年金を支給しております。
積立型の確定給付型制度は、法令に従い、当社グループとは法的に分離されたヤマハ企業年金基金等により運営されております。年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先して行動することが法令によって定められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っております。
また、当社の退職一時金制度は退職給付信託を設定し、積立型の制度として区分して表示しております。
なお、上記の他、従業員の退職等に際して、数理計算の対象としていない割増退職金を支払う場合があります。
退職後給付の会計方針については、注記「3.重要性のある会計方針(11) 従業員給付 ①退職後給付」をご参照ください。
確定給付制度債務及び制度資産と連結財政状態計算書で認識した金額との関係は、次のとおりであります。
確定給付制度債務の現在価値の変動は、次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度の確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、11.2年及び10.7年であ
ります。
制度資産の公正価値の変動は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、翌連結会計年度において、1,329百万円の掛金を拠出する予定であります。
積立型の確定給付制度における制度資産は、主としてヤマハ企業年金基金により運用されております。制度資産の運用は、年金給付を将来にわたり確実に行うため、中長期的な観点から政策的資産構成割合を策定し、年金資産の運用を行うことを基本方針としております。
具体的には、年金財政上の予定利率に運用コストを加味した水準を運用目標とし、この目標を達成するために投資対象として相応しい資産を選定し、期待収益率や収益率のリスク及び投資対象間の収益率の相関係数を考慮した上で、将来にわたる最適な資産の組み合わせである政策的資産構成割合を定め、これを維持することを方針としております。また、資産構成は、定期的に、もしくは必要に応じて見直しを行っております。
資産運用に関する意思決定は、資産運用委員会での審議を踏まえ、代議員会において決定し、資産運用委員会及び代議員会には、当社の財務部門や人事部門の部門長等適切な資質をもった人材を配置するとともに受益者代表として労働組合幹部等を配置しております。
また、当社の退職一時金制度に対して退職給付信託を設定しております。信託資産の運用については当社取締役会で決定した運用方針に従い、契約内容に基づき運用受託機関が行っております。
制度資産の主な種類別内訳は、次のとおりであります。
退職給付制度債務の現在価値の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、次のとおりであります。
主要な数理計算上の仮定が変動した場合における確定給付制度債務への影響は、次のとおりであります。
この分析は、他のすべての変数が一定であることを前提としておりますが、実際には他の仮定の変化が感応度分析に影響する可能性があります。
② 確定拠出制度
前連結会計年度及び当連結会計年度の確定拠出制度に関して費用として認識した額は、それぞれ△7,930百万円及び△8,014百万円であります。
前連結会計年度及び当連結会計年度の連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費並びにその他の費用に含まれる従業員給付費用の合計金額は、それぞれ△127,212百万円及び△131,743百万円であります。
22.資本
当社グループは、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)の向上を念頭において、中期的な連結利益水準をベースに、研究開発・販売投資・設備投資などの成長投資を行うとともに、株主への積極的な還元を行います。株主還元は、継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資の為の適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施してまいります。
当社グループが資本管理において用いる主な指標はROE及びROICであります。ROEは前連結会計年度、当連結会計年度において、それぞれ8.8%、6.1%であります。ROICは前連結会計年度、当連結会計年度において、それぞれ7.8%、5.5%であります。
※ ROIC=税引後事業利益÷(親会社の所有者に帰属する株主資本+有利子負債)
授権株式数、発行済株式数の増減及び自己株式の増減は、次のとおりであります。
なお、当社が発行する株式はすべて権利内容に制限のない無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みであります。
(注) 1 前連結会計年度の期中増加は、次のとおりであります。
取締役会決議による自己株式の取得による増加 1,215,700株
譲渡制限付株式報酬の譲渡制限解除前の無償返還による増加 23,300株
単元未満株式の買取りによる増加 1,438株
当連結会計年度の期中増加は、次のとおりであります。
取締役会決議による自己株式の取得による増加 4,423,400株
譲渡制限付株式報酬の譲渡制限解除前の無償返還による増加 21,400株
単元未満株式の買取りによる増加 1,231株
2 前連結会計年度の期中減少は、次のとおりであります。
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分による減少 138,600株
当連結会計年度の期中減少は、次のとおりであります。
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分による減少 12,000株
資本剰余金は、資本準備金及びその他資本剰余金により構成されており、資本取引から生じた金額のうち資本金に含まれない金額であります。
会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本準備金に組み入れることが規定されております。その他資本剰余金は、資本準備金の取崩しによって生じる剰余金及び自己株式処分差益、自己株式の消却による減少等が含まれております。
利益剰余金は、利益準備金と未処分の留保利益を含むその他利益剰余金により構成されております。また、自己株式の消却のうち、その他資本剰余金の減少として処理しなかったものについては、利益剰余金の減少として処理しております。
当社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成された親会社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定されております。会社法は分配可能額の算定にあたり一定の制限を設けており、当社はその範囲内で利益剰余金の分配を行っております。
23.配当金
配当金の支払額は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは、次のとおりであります。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
24.売上収益
売上収益の内訳は、次のとおりであります。
当社グループは、経済的特徴及び製品・サービスの類似性に基づき、「楽器」及び「音響機器」の2つの事業を報告セグメントとして分解し、それ以外の事業は、「その他」に含めております。また、地域別の収益は、顧客の所在地別に分解しております。分解した売上収益とセグメント売上収益との関連は、次のとおりであります。
各事業に含まれる製品等については、「5.セグメント情報」を参照してください。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:韓国、オーストラリア
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 日本及び中国以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりであります。
北米:米国、カナダ
欧州:ドイツ、フランス、イギリス
その他:韓国、オーストラリア
当社グループの売上収益は、大部分が製品及び商品の販売による収益から構成されております。製品及び商品の販売については、製品及び商品の支配が顧客に移転したとき、すなわち、顧客へ製品及び商品を引渡した時点で、顧客に製品及び商品の法的所有権、物理的占有、製品及び商品の所有に伴う重大なリスク及び経済的価値が移転し、履行義務を充足しているため、当該時点で収益を認識しております。
収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引、リベート及び返品を控除した金額で測定しております。
また、楽器事業における音楽教室の運営等のサービス提供を行っております。サービスから生じる収益は、その提供時点で履行義務を充足し収益を計上しております。
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の残高は、次のとおりであります。
契約資産は、工事未収入金に関するものであります。
契約負債は、主に顧客からの前受金に関するものであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益のうち、前期首及び当期首現在の契約負債残高に含まれていたものは、5,634百万円及び3,537百万円であります。また、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
当初の履行義務の予想期間が1年を超える重要な契約及び顧客との契約から生じる対価の中に取引金額に含まれていない重要な金額はありません。
25.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は、次のとおりであります。
(注)前連結会計年度において、従来「運送費」と開示していた科目名称を、より実態に即した表示とするために、
当連結会計年度より「物流費」に変更しております。
26.研究開発費
連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費の金額は、次のとおりであります。
27.その他の収益及びその他の費用
その他の収益及びその他の費用の内訳は、次のとおりであります。
(注) 構造改革費用
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当社では、市場変化への対応、海外生産メリットの低下、技術・技能の分散、継承できないリスクへの対応として生産戦略の見直しを進めております。この見直しに伴い、以下の「非金融資産の減損」に記載のとおり、今後の使用可能性が乏しいと判断した設備に関する減損損失△3,168百万円を計上しております。
その他、当該減損損失に関連する設備や部材の廃却費用、海外における製造・販売拠点の人員削減を行ったことに伴う割増退職金等による損失△1,161百万円を構造改革費用として計上しております。
(非金融資産の減損)
楽器事業セグメントの中国、インドネシアにおけるピアノ製造設備に関して、 △3,168百万円の減損損失を認識しております。
減損損失の内容は、次の通りであります。
上記の減損損失は構造改革費用に含めております。
①資産のグルーピングの方法
当社グループは、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成する最小の資金生成単位で資産のグルーピングを行っております。賃貸用資産、遊休資産及び処分予定資産は個別資産ごとにグルーピングを行っております。
②減損損失の認識に至った経緯
当社のこれまでの生産戦略では、海外工場への工程移管を積極的に進めてまいりましたが、技術・技能の分散や継承できないリスク、継続的な円安や海外生産コストの上昇、地政学リスク等の課題が顕在化し、製造レジリエンス強化のため新たな生産戦略の検討を進めてまいりました。この一環として、これまで日本、中国の2拠点体制の構築を進めていたピアノフレーム製造工程について、直近の市場環境、生産状況を踏まえ日本にリソースを集中、工程を集約することを決定し、この決定により廃却予定の設備について減損損失を認識いたしました。
また、製造戦略の見直しの中、直近の市場環境、生産状況を踏まえ、インドネシア拠点のピアノ生産設備についても、今後の効果的な活用の見通しが乏しいと見込まれる部分について、減損損失を認識しております。
③回収可能価額の算定方法
回収可能価額は、使用価値により測定しております。今後の使用見込みがなくなった固定資産については将来キャッシュ・フローが見込めないため、回収可能価額をゼロとして評価しております。
28.金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は、次のとおりであります。
受取配当金の内訳は、次のとおりであります。
29.その他の包括利益
その他の包括利益の内訳項目ごとの組替調整額及び税効果額は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
30.1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及びその算定上の基礎は、次のとおりであります。
(注) 希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため、記載して
おりません。
31.非資金取引
主な非資金取引の内訳は、次のとおりであります。
32.財務活動から生じた負債の調整表
財務活動から生じた負債の変動は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
33.株式報酬
当社グループでは、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を図ることを目的として、執行役及び一部の執行役員を対象に持分決済型及び現金決済型株式報酬制度を導入しております。
持分決済型の株式報酬制度は、譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、執行役及び一部の執行役員に対して金銭報酬債権を付与し、その全部を出資財産として会社に現物出資させることで、執行役及び一部の執行役員に当社の普通株式を発行又は処分し、これを保有させるものです。
譲渡制限付株式報酬は、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を図ることを目的に、役位に応じた株式報酬を、中期経営計画初年度に支給しております。中期における業績達成への動機づけを目的として、譲渡制限付株式報酬のうち、1/3は役員在籍を条件として支給し、2/3は業績に連動させております。
業績評価における評価指標は、財務目標、サステナビリティを中心とした非財務目標、企業価値目標の3つから構成されております。財務目標と非財務目標は、中期経営計画で掲げる経営目標を指標とし、企業価値目標については株主総利回り(TSR)を指標としております。株式報酬への影響度合いは、財務目標:非財務目標:企業価値目標=50%:30%:20%であります。
なお、中期経営計画期間終了後も長期にわたり株主との価値共有を図るという趣旨から、役員退任時又は支給後30年経過時まで譲渡制限は解除出来ないものとしております。その間に重大な不正会計や巨額損失が発生した場合は、役員毎の責任に応じ、累積した譲渡制限付株式の全数又は一部を無償返還するクローバック条項を設定しております。
また、現金決済型の株式報酬制度は、譲渡制限付株式報酬と同条件で設計された、現金決済型の株式報酬であります。
(注)公正価値は付与時の株価を使用しており、予想配当を考慮に入れた修正は行っておりません。
34.金融商品
当社グループは、資金運用については、原則として元本保証、固定金利の預金等に限定しております。資金調達については、当社及び国内子会社、一部の海外の子会社において、グループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しております。また、一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。デリバティブ取引については、後述するリスクを軽減するために、実需の範囲内で行うこととし、投機目的のためのデリバティブ取引は行わない方針であります。
当社グループが資本管理において用いる主な指標については「22.資本 (1) 資本政策」に記載しております。
当社グループは、事業活動を遂行する過程において、様々な財務上のリスク(信用リスク、流動性リスク、市場リスク)にさらされております。そのため、これらのリスクを回避又は低減するために、グループ財務規程を定め、当社及び連結子会社においてグループ財務規程等に基づく管理規程を設定し、リスクに対応する管理体制を整備しております。
当社グループは保有する金融資産の相手方が債務を履行できなくなることにより、財務的損失を被る信用リスクにさらされております。
国内外の取引先に対する営業債権等については、取引先の信用状況の悪化や経営破綻等により、これらの債権が回収不能になるリスクにさらされております。与信管理規程及び債権管理規程を定め、顧客毎に与信枠の設定・管理と債権の記帳・整理をし、定期的に残高の確認を行っております。約定期限を過ぎた債権については、その原因及び回収予定の把握を行っております。
また、余剰資金の運用については、原則として元本保証、固定金利の預金等に限定し、安全性を重視した運用を行っております。
デリバティブ取引の利用は、管理規程に従って行っており、実需取引のリスク緩和を目的とした取引に限定し、投機を目的としたデリバティブ取引は行っておりません。
また、取引金融機関の信用リスクを軽減するために、格付の高い金融機関と取引を行っております。
なお、金融資産の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、連結財務諸表に表示されている帳簿価額となります。
当社グループが保有する債権に対する信用リスク・エクスポージャーは、次のとおりであります。
貸倒引当金の増減は、次のとおりであります。
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債の返済債務の履行ができなくなるリスクであります。
当社グループは年度経営計画に基づき資金計画を策定し、資金統制を行うために資金繰り計画を作成及び更新し、継続的に計画と実績のモニタリングをしております。また、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてはグループファイナンスを運用することで、流動性リスクを管理しております。
主な金融負債及びリース負債の期日別残高は、次のとおりであります。なお、デリバティブ取引によって生じた正味の債権債務は純額で表示しています。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
外貨建金銭債権債務は、為替変動リスクにさらされております。
外貨建の営業債権については、通常の輸出入取引に伴う為替相場の変動によるリスクを軽減するために、外貨建の営業債務とネットしたポジションについて、先物為替予約取引を実需の範囲内で行うこととしております。
当該デリバティブ取引の詳細は、次のとおりであります。
(注) デリバティブ資産及びデリバティブ負債はそれぞれ連結財政状態計算書上の「その他の金融資産」又は「その他の金融負債」に含めております。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末に当社グループが保有する外貨建金融商品につき、その他すべての変数が一定であることを前提として、関連する外国為替に対して日本円が1.0%円高となった場合における税引前当期利益への影響額は、次のとおりであります。
なお、機能通貨建の金融商品及び在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を円貨に換算する影響は含んでおりません。また、デリバティブ取引により為替変動リスクがヘッジされている金額は除いております。
当社は、事業等において関連する企業の株式等の資本性金融資産を保有しており、価格変動リスクにさらされております。当社は、これらの資本性金融資産について、公正価値の変動状況を継続的にモニタリングしております。なお、当社グループでは、短期トレーディング目的で保有する資本性金融資産はなく、これらの投資を活発に売買することはしておりません。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末に当社グループが保有する資本性金融資産につき、その他すべての変数が一定であることを前提として、期末日における上場株式の株価が10%下落した場合に、連結包括利益計算書のその他の包括利益(税引前)に与える影響は、次のとおりであります。
公正価値のヒエラルキーは以下のとおりであります。
レベル1:活発な市場における無調整の公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して算出された公正価値
レベル3:観察可能なデータに基づかないインプットを含む評価技法から算出された公正価値
金融商品のレベル間の振替は、各報告期間末に発生したものとして認識しております。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル間の振替が行われた重要な金融資産はありません。
主な金融商品の公正価値の算定方法は、次のとおりであります。
現金及び現金同等物、短期投資、償却原価で測定される債権及び債務(借入金、リース負債を除く)は、短期で決済され、もしくは要求払いの性格を有する金融商品であるため、公正価値は帳簿価額と近似しており、帳簿価額によっております。
上場株式は、報告期間末の市場価格で評価しており、レベル1に分類しております。非上場株式、出資金及び純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産は、投資先の財務諸表等を利用し、類似会社の市場価格に基づく評価手法等の適切な評価手法を用いて評価しており、レベル3に分類しております。
短期借入金は短期で決済されるため、公正価値は帳簿価額と近似しており、帳簿価額によっております。
長期借入金は将来キャッシュ・フローを、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しており、レベル2に分類しております。
デリバティブ取引に関する金融商品の公正価値は、取引先の金融機関から提示された価格に基づいて算定しており、レベル2に分類しております。
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額と公正価値は、次のとおりであります。なお、次の表に含めていない金融商品については、公正価値が帳簿価額と近似しております。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
該当事項はありません。
公正価値で測定する金融商品の内訳は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
レベル3に分類した経常的に公正価値で測定する金融商品の増減の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 利得及び損失は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結損益計算書上、「金融収益」及び「金融費用」に表示しております。
2 その他の包括利益は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書上、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に表示しております。
該当する金融商品は、主に非上場株式、出資金及び純損益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産であります。これらは、投資先の財務諸表等を利用し、類似会社の市場価格に基づく評価手法等の適切な評価手法を用いて評価しております。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における連結財政状態計算書で相殺した金融資産及び金融負債の金額は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
35.関連当事者取引
関連当事者との取引については、重要な取引等がないため記載を省略しております。
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は、次のとおりであります。当社グループの主要な経営幹部は、各連結会計年度における当社の取締役及び執行役であります。
36.主要な子会社
主要な子会社は「第一部 企業情報 第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。なお、重要な非支配持分がある子会社はありません。
37.偶発負債
当社の連結子会社であるYamaha Music Europe GmbH(以下、YME)は、以下のとおり、2022年12月29日に集団訴訟の申立書の送達を受けました。当訴訟は、現時点において手続きが進捗しておらず、また財務上の影響についても信頼性のある見積りができませんので、引当金は計上しておりません。
(1) 訴訟の原因及び訴訟提起に至った経緯
2013年3月から2017年3月にかけて英国で行われた当社楽器製品のオンライン販売において、YME が、特定の取引先との間で再販売価格維持行為を行ったとする競争法違反の決定を受けておりました。これにより消費者が不当に高い価格で製品を購入したとして、発生した損害額の賠償を求める集団訴訟が申立てられたものであります。
(2) 訴訟を提起した者の概要
消費者団体「Which?」(所在地:英国・ロンドン)のElisabetta Sciallisを代表とする原告団で、該当する製品の英国内の消費者が原告団に入る資格を有します。
(3) 訴えの内容及び損害賠償金
①訴えの内容
YME及びYMEの親会社である当社に対し、YMEの再販売価格維持行為により消費者に発生した損害額の賠償を請求するものであります。
②訴訟の目的の価額
申立書には、原告団がYME及び当社に対して主張する被害額は記載されておりません。
(4) 今後の見通し
集団訴訟の手続きにおいて、原告団の規模、訴訟の目的の価額が判明する見通しであります。
38.後発事象
記載すべき重要な後発事象はありません。