第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

当社は、グループ役職員一同の力を結集して企業価値を高めていくため、当社グループの全ての事業活動の基軸となる「使命・存在意義(パーパス)」及び使命・存在意義を追求する中であるべき当社グループの姿として「将来のあるべき姿(ビジョン)」を策定しております。

当社グループが使命・存在意義(パーパス)を中心とした事業活動に取り組む上での基本的な取り組み姿勢(経営方針)として掲げている「健全なる積極進取」に基づき、経営の透明・公正かつ迅速・果断な意思決定により、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

[使命・存在意義(パーパス)]

地域の豊かな未来を共創する

[将来のあるべき姿(ビジョン)]

地域に選ばれ、地域の信頼に応える、地域価値向上企業グループ

 

(2)中長期的な経営戦略及び目標とする経営指標

① 「YMFG中期経営計画2022」の概要

当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を計画期間とする「YMFG中期経営計画2022-地域の豊かな未来を共創する-」を策定し、地域とYMFGのサステナビリティ向上に向けて、「チームYMFG」として、地域・お客さま本位の事業活動に邁進する3年間と位置付けております。

当社グループの使命・存在意義(パーパス)を経営の基軸として、以下5つの重点項目を実践することで、「地域の持続可能性向上」、「YMFGの持続可能なビジネスモデル構築」を進め、当社グループの将来のあるべき姿(ビジョン)の実現を目指し、ステークホルダーの皆さまのご期待に応えてまいります。

≪5つの重点項目≫

イ.地域共創サステナビリティ経営の推進

事業を通じて社会課題の解決に取り組み、地域の持続可能性向上に貢献

ロ.グループ人財の活躍推進

社員が活き活きと活躍できる環境を共に創り、グループの結束力を強化

ハ.「地域・お客さまへの提供価値最大化」に向けた探求

サービスの多様化・高品質化や業務運営の効率化を通じて、真に地域・お客さま目線の営業活動を加速

ニ.「事業領域拡大・収益力強化」に向けた挑戦

バンキングビジネスの事業基盤・資源を活用し、新たな価値創造に資する領域に挑戦

ホ.ガバナンス・内部統制強化

健全性を高め、地域・ステークホルダーに信頼される業務運営を追求

② 「YMFG中期経営計画」における目標経営指標等

イ.目標経営指標

経営指標

2022年度

2023年度

2024年度

(目標)

(実績)

(目標)

(実績)

経常利益

250億円

256億円

350億円

372億円

475億円

親会社株主に帰属する当期純利益

170億円

178億円

240億円

252億円

330億円

ROE

2.7%

2.9%

3.7%

4.0%

5.0%程度

修正OHR(投信解約益控除後)

65%

63.0%

62%

58.0%

60%程度

総自己資本比率(注)

12%程度

14.35%

12%程度

13.14%

12%程度

(注)2022年度より新たな資本規制であるバーゼルⅢ最終化を早期適用しております。

「事業ポートフォリオ経営」及び「戦略的資本活用」を持続的な成長に向けたドライバーとすることで、持続性のある収益構造への転換を図り、着実な目標経営指標の達成を目指してまいります。

事業ポートフォリオ経営においては、事業を「コア事業領域」と「新事業領域」に分類し、事業特性に合わせたリソースの最適化を図り、RORA等の指標により、収益性向上や計数目標達成を目指してまいります。また、戦略的資本活用においては、事業成長・領域拡大に向けた戦略的出資やスタートアップ企業への投資など、資本を有効活用することで、事業領域拡大及び収益性向上を図ってまいります。

 

ロ.株主還元方針

株主還元方針としては、配当性向40%程度を目標とし、市場動向・業績見通し等を勘案した柔軟かつ機動的な自己株式の取得を実施してまいります。

(年間配当金及び配当性向)

 

 

2022年度

(実績)

2023年度

(実績)

2024年度

(予想)

1株当たり年間配当金

31円

43円

60円

 

(前年度比増減)

(+3円)

(+12円)

(+17円)

配当性向(連結)

40.0%

37.7%

39.4%

(自己株式の取得)

 

 

2022年度

(実績)

2023年度

(実績)

自己株式取得数

12,621千株

8,231千株

 

取得価額総額

99億円

99億円

(注)2024年5月10日開催の取締役会において、取得株式総数10,000千株(上限)・取得価額総額100億円(上限)の自己株式取得を決議しております。

ハ.サステナビリティ中期目標

 

 

2022年度

(実績)

2023年度

(実績)

2024年度

サステナブルファイナンス累計実行額

(注1、2)

2,328億円

4,527億円

4,000億円以上

 

(うち、環境分野・気候変動対応

に資するもの)

(1,514億円)

(2,819億円)

(1,350億円以上)

多様性人材管理職割合(注3)

9.0%

12.2%

12%以上

(注)1 環境課題や社会課題の解決に資する投融資やお客さまのサステナビリティ向上に向けた取組みを支援する投融資をサステナブルファイナンスと定義しております。

2 当社グループ内銀行(山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行)の合算額であります。

3 多様性人材は当社グループ内社員における女性、外国人、中途採用者、アルムナイ、副業従事者、外部出向経験者の総称であります。

サステナブルファイナンスについては、2022年度から2031年度における累計実行額1兆5,000億円(うち、環境分野・気候変動対応に資するものは5,000億円)の長期目標を設定しております。

多様性人材管理職割合については、2031年12月までに25%以上とすることを目指しております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

今後の金融経済環境を展望しますと、長期間にわたるコロナ禍を乗り越え、インバウンド需要の回復、雇用情勢の改善と人手不足の深刻化を背景とした約30年ぶりとなる高水準の賃上げなど、社会的活動の正常化が進みつつあります。国内経済に前向きな動きがみられる一方で、マイナス金利解除は金融業界のみならず日本経済全体にとっても大きな節目となることが予想されます。

地元経済は、依然として人口減少や少子高齢化、事業の後継者不足等の深刻な悩みを抱えております。いかに地域の企業、産業の活性化を図り、雇用の確保と地域経済の持続性を高めていくかが課題となっており、地域創生、地域経済活性化の実現に向け、当社グループの果たすべき役割及び地域の皆さまからのご期待は益々大きくなっていると認識しております。

こうした環境下において、当社グループは、「地域の豊かな未来を共創する」という使命・存在意義(パーパス)のもと、「地域に選ばれ、地域の信頼に応える、地域価値向上企業グループ」として、地域の社会価値向上と当社グループの経済価値向上を目指しております。本年度は2022年度よりスタートした中期経営計画「YMFG中期経営計画2022」の最終年度としての総仕上げのみならず、来年度からスタートする新たな中期経営計画の土台づくりとなる1年間にしてまいります。

今後も、地域の皆さまをはじめとするステークホルダーの方々との対話を重視し、付加価値ある最高のサービスを提供できるように努め、地域経済の発展を通じて、企業価値の向上を図ってまいります。

また、企業グループとして安定的で実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制を構築し、グループ経営の透明性を高めることで、皆さまへの説明責任を十分に果たしてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

 ①ガバナンス

 当社グループでは、代表取締役社長CEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を定期的に開催し、サステナビリティ関連項目について、審議及び進捗管理を一元的に行っております。サステナビリティ推進委員会における審議内容は、適宜グループ経営執行会議での議論を経て取締役会へ付議され、取締役会がサステナビリティに関する取り組みを監督しております。また、委員会の下には分野別のワーキンググループを設置しており、組織横断的な推進体制を構築しております。

 なお、当社グループの持続的成長と地域価値向上に向けた取り組みを加速させていくため、2024年4月、以下のとおりサステナビリティ推進体制の強化を実施いたしました。

 

イ.「サステナビリティ推進室」の新設

 サステナビリティ推進に関する企画・統括を担う専門部署として、企画統括本部管下の総合企画部にサステナビリティ推進室を新設いたしました。2024年度より、サステナビリティ推進室の統括の下で、当社グループにおけるサステナビリティ戦略の高度化及び取り組みの強化を図ってまいります。

 

ロ.「アドバイザリーボード」の設置及び外部有識者の招聘

 外部有識者の持つ幅広い知見を活用し、当社グループのサステナビリティ戦略の高度化を図ることを目的に、サステナビリティ推進委員会の諮問機関としてアドバイザリーボードを設置いたしました。サステナビリティ経営における重要なテーマについて、アドバイザリーボードを通じた諮問・意見交換を定期的に実施してまいります。

 また、アドバイザリーボードの新設に際し、ボードメンバーとなる外部有識者を招聘いたしました。外部有識者の参画により、当社グループにおけるサステナビリティ推進活動の更なる強化を図ってまいります。

 

(サステナビリティ推進体制図、サステナビリティ推進委員会概要)

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取締役会における主な決議・報告事項(2023年度)

・2023年度におけるサステナビリティ関連情報の開示内容について

・CO2(Scope1、2)削減の方向性について

・サステナビリティ推進活動の進捗状況について

・サステナビリティ推進体制の見直しについて

・環境省「令和5年度 金融機関向けポートフォリオ・カーボン分析支援事業」における成果について

・気候変動対策ワーキンググループにおける2024年度の年度計画について

・ダイバーシティ&インクルージョン推進ワーキンググループにおける2024年度の年度計画について

・人権対応における2024年度の年度計画について

 

 

 ②戦略

 当社グループでは、サステナビリティ経営の推進により「グループの持続的成長」と「地域価値向上」の連動性を高め、さらには情報開示の充実を図ることで、ステークホルダーの皆さまとの長期的な信頼関係を構築してまいります。

 地域価値向上に資する企業グループを目指し、かつグループ全体でその意思を共有できるものとして、2021年12月に「グループサステナビリティ方針」を策定いたしました。当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するために特に重点的に取り組むべきESG課題「マテリアリティ」として12項目を特定しており、グループサステナビリティ方針に基づく事業活動を通して、マテリアリティの解決に積極的に取り組んでまいります。

 

《グループサステナビリティ方針》

私たちは、地域の皆さまと共に歩み、共に成長するため、様々な事業活動を通じて、多様な課題の解決に取り組み、地域の価値向上を実践していくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

《マテリアリティ》

地域社会・経済活性化への取り組み

① 人口減少・少子高齢化への対応

② 地域におけるイノベーション創出、地域産業の成長サポート

③ 地域コミュニティとの連携強化

④ 商品・サービスの安全性と品質向上

環境保全への取り組み

⑤ 省資源・省/創エネルギーへの対応

⑥ 大気汚染・気候変動への対応

⑦ 環境に配慮した商品・サービス開発

役職員全員の働きがいへの取り組み

⑧ 人材育成・研修機会の創出

⑨ 安心・安全な労働環境作り

⑩ 多様な人材の活躍(ダイバーシティ&インクルージョン)

強固な経営基盤づくりへの取り組み

⑪ ガバナンス体制・内部統制の強化

⑫ 経営の透明性向上と説明責任

 

 ③リスク管理

 リスク管理の詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、気候変動に関するリスク管理については「(2)気候変動対策 ③リスク管理」、人的資本に関するリスク管理については「(3)人的資本 ③リスク管理」をご参照ください。

 

 ④指標及び目標

 気候変動に関する指標及び目標については「(2)気候変動対策 ④指標及び目標」、人的資本に関する指標及び目標については「(3)人的資本 ④指標及び目標」をご参照ください。

 

(2) 気候変動対策

当社グループは2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)提言に賛同、TCFDコンソーシアムに参画しており、同提言に沿った情報開示を実施しております。

 ① ガバナンス

当社グループでは、マテリアリティのひとつとして「大気汚染・気候変動への対応」を特定しており、気候変動への対応を経営の重要課題として捉えております。気候変動への対応に関するガバナンスはサステナビリティ全般に関するガバナンスの中に組み込まれており、気候変動に関するリスクと機会の把握・管理や、サステナビリティ推進委員会の下に設置された「気候変動対策ワーキンググループ」を中心とした各種施策への取り組みを取締役会が監督する体制としております。サステナビリティ全般に関するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

 ② 戦略

イ.リスク

a.気候変動に伴うリスク

当社グループの主要エリアである山口県、広島県、福岡県においては、瀬戸内海沿岸地域・北九州地域にコンビナートが形成されており、上場大手企業及びそのサプライチェーンを中心にGHG多排出業種の工場が集積しているという産業構造から、CO2排出量は全国平均よりも多い水準となっております。このような地域特性を踏まえ、当社グループでは気候変動に伴うリスクについて、短期・中期・長期の時間軸で、次のとおり認識しております。

 

 

移行リスク

物理的リスク

主な評価項目

政策/法律

市場/技術

・異常気象の激甚化

・炭素税、炭素価格

・GHG排出量規制への対応 等

・消費者など顧客の行動変化

・エネルギー価格

・エネルギーミックス 等

・操業コストの増加、稼働率の低下、多額の設備投資等により、財務内容が悪化するリスク

・カーボンニュートラル実現に向けた対応が不十分で、ブランド価値が毀損するリスク

・物損被害の発生や事業の中断により、事業継続性や財務内容が悪化するリスク

当社グループに与える主なリスク

・操業コストや製造/建造コストの増加、資産価値の低下、ブランド価値の毀損等により、お客さまの財務内容が悪化し、与信コストが増加するリスク

・気候変動に対する不適切な対応や不十分な情報開示により、当社グループの評判が悪化するリスク

・風水災等の発生により、事業活動の停滞、物損被害により、お客さまの事業や財務内容に影響を与え、与信コストが増加するリスク

・風水災等の発生により、当社グループの本支店が被災し事業継続が困難となるリスク

時間軸(注)

中期~長期

短期~長期

短期~長期

(注) 短期を3年未満、中期を3年~10年、長期を10年超としております。

 

b.シナリオ分析

当社グループでは、TCFD提言に基づき複数のシナリオを用いて、移行リスク、物理的リスクにかかるシナリオ分析を実施いたしました。

移行リスクについては、GHG排出量が大きく気候変動の影響を受けやすいことや融資ポートフォリオを勘案し、昨年度の分析対象である電力セクター及び自動車セクターに加え、海運セクターを新たに追加いたしました。物理的リスクについては、台風や豪雨等の影響を受けやすい地域であることを勘案し、昨年度同様、洪水被害を分析対象としております。

  分析結果から、移行リスク、物理的リスクともに与信ポートフォリオへの影響は限定的であると評価しておりますが、対象セクターの拡大や分析の高度化等に継続的に取り組むことで、気候関連リスクの低減に向けた各種検討に活用してまいります。

 

移行リスク

物理的リスク

リスク事象

・炭素税導入に伴う費用増加による与信先の財務悪化

・脱炭素社会への移行に伴う設備投資等の増加による与信先の財務悪化

・洪水被害による担保物件の毀損

・洪水被害による与信先の事業停止に伴う財務悪化

シナリオ

・IEA1.5℃(NZE)

・IEA2.0℃(STEPS)

・IPCC RCP2.6(2℃シナリオ)

・IPCC RCP8.5(4℃シナリオ)

分析手法

・IEAシナリオや公開情報等をもとに、サンプル企業の2050年までの財務諸表を作成し、サンプル企業の財務への影響を把握

・サンプル企業の影響度を分析対象セクター全体に展開し、与信関係費用の増加額を算出

・ハザードマップのデータから洪水発生時の担保物件への影響、取引先の財務への影響を算出した上で、与信関係費用の増加額を算出

分析対象

・電力セクター

・自動車セクター

・海運セクター

・国内の事業性貸出先

分析期間

・2050年まで

・2050年まで

分析結果

・与信関係費用の増加額

 35億円~350億円程度

・与信関係費用の増加額

 最大60億円程度

 

 

ロ.機会

a.気候変動関連の機会

当社グループでは気候変動に関する機会について、短期・中期・長期の時間軸で、以下のとおり認識しております。

主な評価項目

当社グループに関わる主な機会

時間軸(注)

商品・サービス

・脱炭素社会への移行に向けた地域の環境関連産業の成長に伴う金融・非金融面でのビジネス機会の増加

短期~長期

・お客さまの気候変動対応やカーボンニュートラルへの取り組みを支援する金融・非金融面でのビジネス機会の増加

短期~長期

・自然災害の激甚化に対応したお客さまの防災体制強化・設備拡充を支援する金融・非金融面でのビジネス機会の増加

短期~長期

  (注)短期を3年未満、中期を3年~10年、長期を10年超としております。

 

b.金融・非金融ソリューション

当社グループでは気候変動への社会的な対応を機会と捉え、お客さまのカーボンニュートラルへの取り組みを支援するため、GHG削減に向けた様々な金融・非金融ソリューションを提供しております。

金融ソリューションでは、グリーンローンとサステナビリティ・リンク・ローンのパッケージ商品(注)を展開することで、大企業だけでなく中小企業のお客さまにも利用しやすいファイナンス手法を取り揃えるほか、2023年10月には新たにポジティブ・インパクト・ファイナンスの取り扱いも開始いたしました。非金融ソリューションでは、算定や可視化のプロセスで課題を有するお客さまに対しては「CO2排出量算定支援」等での支援、目標設定や計画策定のプロセスで課題を有するお客さまに対してはカーボンニュートラルに向けた施策の選択や投資の意思決定に寄与する「CO2削減ロードマップ策定支援」等での支援を行うほか、2024年4月には新たなソリューションの提供も開始しており、お客さまの課題に応じた支援が可能となっております。

当社グループが金融・非金融ソリューションを提供し、カーボンニュートラルへの取り組みを進められたお客さまは、2024年3月末で累計213先となっており、2025年3月末までに累計315先を目標としております。

なお、地域のカーボンニュートラルに向けた動きを加速させるべく、自治体等と連携した取り組みについてもさらに強化してまいります。

(注) 各種ローン原則やガイドラインとの整合性に関する外部評価の認証を内包したパッケージ型の商品となります。

 

(地域のカーボンニュートラルに向けた金融・非金融ソリューション)

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 ③ リスク管理

気候変動に伴うリスクは、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスク、風評リスクといった各リスク・カテゴリーに波及し、そのリスク・カテゴリーのリスクとして顕在化するという特徴を踏まえ、当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みの中に気候関連リスクを組み入れた上で、顕在化するリスクに応じて、各リスク・カテゴリーにおいて管理する体制を構築しております。

当社グループでは各リスク・カテゴリーにおいて顕在化する気候関連リスク(移行リスク・物理的リスク)について、短期・中期・長期の時間軸で、次のとおり認識しております。

 

 

 

リスク・

カテゴリー

移行リスクの内容

時間軸

(注)

物理的リスクの内容

時間軸

(注)

信用リスク

・脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化により、取引先の業績が悪化し、与信費用が増加するリスク

中期~長期

・風水災等の発生により、担保価値の毀損や取引先の業績が悪化し、与信費用が増加するリスク

短期~長期

市場リスク

・脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化により、取引先等の業績が悪化し、当社グループが保有する有価証券の市場価値が下落するリスク

短期~長期

・風水災等の発生により、取引先等の業績が悪化し、当社グループが保有する有価証券の市場価値が下落するリスク

短期~長期

流動性リスク

・脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化により、当社の業績や評判が悪化し、資金調達環境が悪化するリスク、預金が流出するリスク

短期~長期

・風水災等の発生により、取引先の資金需要が高まり、預金が流出するリスク

・風水災等の発生により、金融市場が混乱し、資金調達環境が悪化するリスク

短期~長期

オペレーショナル・リスク

・脱炭素社会への移行に伴う規制変更により、対応コストが増加するリスク、罰金・訴訟等により損失を被るリスク

短期~長期

・風水災等の発生により、本支店が被災し、事業継続が困難となるリスク、復旧コストが発生するリスク

短期~長期

風評リスク

・気候変動に対する不適切な対応や不十分な情報開示により、評判が悪化するリスク

短期~長期

・風水災等からの復旧対応や影響を受けた取引先への支援が不十分なことにより、評判が悪化するリスク

短期~長期

(注)短期を3年未満、中期を3年~10年、長期を10年超としております。

 

また、当社グループでは、環境・社会に負の影響を与える可能性のある特定セクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を定め、環境・社会への影響の低減・回避に努めております。なお、投融資方針を制定した2022年5月以降、方針に抵触する投融資は行っておりません。

 

④ 指標及び目標

イ.温室効果ガス排出量

当社グループでは、当社グループ自身のカーボンニュートラル達成に向けて、2022年11月に「2030年度までにCO2排出量(Scope1、2)ネットゼロ」という中長期目標を公表し、CO2排出量の削減に取り組んでおります。

a.Scope1、2排出量(注)

当社グループの事業活動における2023年度のCO2排出量は前年度比で約21%の削減となりました。CO2排出量の更なる削減に向けて、電力における再生可能エネルギーへの切り替え、営業車両における環境配慮型車両への切り替え、照明器具のLED化などの取り組みを強化してまいります。

 

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(注) 「環境省 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」における2024年5月31日時点の排出係数に基づき算出しており、算定対象は、当社、連結子会社及び非連結子会社であります。

b.Scope3排出量

当社グループは、2023年度よりカテゴリ15を含めたScope3の算定を行っております。2023年度においては、算定対象範囲を当社及びグループ内銀行(山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行)に限定しておりますが、引き続き算定対象範囲の拡大及び算定精緻化に取り組んでまいります。

(単位:t-CO2)

計測項目

 

 

2023年度

Scope3

(注1、2)

カテゴリ1

購入した製品・サービス

36,745

カテゴリ2

資本財

13,285

カテゴリ3

Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

1,502

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

349

カテゴリ5

事業から出る廃棄物

342

カテゴリ6

出張

534

カテゴリ7

雇用者の通勤

1,416

カテゴリ15

投融資

18,340,964

合計

 

18,395,136

(注)1 算定対象は、当社及びグループ内銀行であります。

2 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (ⅴer.2.6)」、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)」及び「IDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」における排出原単位を用いて算定しております。なお、カテゴリ15においては対象先の開示情報等からScope1、2排出量を取得できない場合に限り、推計値を採用しております。

 

c.Scope3カテゴリ15

金融機関は、その事業特性上、サプライチェーンにおけるCO2排出量の大半をScope3カテゴリ15(投融資)が占めることから、グループ内に3つの銀行を有する当社グループにおいても継続的にカテゴリ15の把握に努めることが重要であると認識しております。2023年度は、グループ内銀行における法人に対する事業性融資を対象として算定を実施いたしました。引き続き、算定対象範囲の拡大についても検討してまいります。

 

(単位:t-CO2)

TCFD18セクター別

排出量(2023年度)

電力ユーティリティ

3,636,394

資本財

2,975,539

金属・鉱業

2,124,843

建設資材

1,626,055

海上輸送

1,568,579

化学

1,262,102

加工食品・加工肉

588,426

石油及びガス

584,852

トラックサービス

483,519

自動車及び部品

264,945

製紙・林業製品

254,173

不動産管理・開発

101,244

旅客空輸

74,011

農業

40,527

鉄道輸送

18,914

飲料

15,279

航空貨物

1,164

石炭

その他

2,720,399

合計

18,340,964

 

 

ロ.サステナブルファイナンス(注1)

当社グループでは、2022年度から2031年度までのサステナブルファイナンス累計実行額(注2)について、1兆5,000億円(うち、環境分野・気候変動対応に資するものは5,000億円)の長期目標を設定しております。

なお、2023年度までの累計実行額は4,527億円(うち、環境分野・気候変動対応に資するものは2,819億円)となっております。

(注)1 環境課題や社会課題の解決に資する投融資やお客さまのサステナビリティ向上に向けた取り組みを支援する投融資をサステナブルファイナンスと定義しております。

  2 当社グループ内銀行(山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行)の合算額であります。

 

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ハ.炭素関連資産

当社グループでは、TCFD提言を踏まえ、気候変動に伴うリスク把握に向けた取り組みとして、貸出金等に占める炭素関連資産(注1)の割合を算出しております。

2024年3月末時点における当社グループの貸出金等に占める炭素関連資産の割合は50.7%となりました。

セクター

債権残高(注2)

割合

エネルギー (注3)

4,957億円

5.7%

運輸

4,853億円

5.6%

素材・建築物

32,591億円

37.4%

農業・食料・林産物

1,788億円

2.1%

上記セクター(炭素関連資産)合計 (注4)

44,191億円

50.7%

全セクター合計

87,081億円

100.0%

(注)1 2021年10月のTCFD提言改訂を踏まえ、炭素関連資産を「エネルギー」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターに関連する資産と定義しております。

2 債権残高は貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計であります。

3 「エネルギー」に含まれる「電力」は、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電等の再生可能エネルギー事業者を除いております。(ご参考_再生可能エネルギー事業者向け債権残高:2,001億円)

4 2023年度はTCFD18セクター分類に基づき業種の再整理を実施しております。

 

 

(3) 人的資本

当社グループでは、全ての事業活動の基軸となる「使命・存在意義(パーパス)」を定め、社員が活き活きと活躍できる環境・機会を共に創り、一人ひとりが働きがいをもって成長することで組織文化を変容させ、グループ一体となって「地域・お客さまへの価値提供最大化」及び「新たな価値創造」に取り組んでいくことを目指しております。具体的には、「多様な人財の活躍推進」「地域共創を体現する人財の活躍」「社員一人ひとりが正しく報われる仕組み」の3つの観点を重視した取り組みを推進しており、3つの観点を軸とした人財戦略を、経営戦略と連動させることで、人的資本経営の本質的な実践に取り組んでおります。

① ガバナンス

当社グループでは、マテリアリティとして「人材育成・研修機会の創出」「安心・安全な労働環境作り」「多様な人材の活躍(ダイバーシティ&インクルージョン)」を特定しており、人的資本経営及び多様性の推進を重要課題として捉えております。

人的資本経営に関する事項は、グループ経営執行会議での議論を経て取締役会へ付議され、取締役会がサステナビリティに関する取り組みを監督しております。また、ダイバーシティ&インクルージョン推進に関するガバナンスはサステナビリティ全般に関するガバナンスの中に組み込まれており、サステナビリティ推進委員会の下に設置された「ダイバーシティ&インクルージョン推進ワーキンググループ」を中心とした各種施策への取り組みを取締役会が監督する体制としております。サステナビリティ全般に関するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

イ.人財の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける人財育成及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。

a.多様な人財の活躍推進

積極的な多様な人財の採用・登用、あらゆる社員の主体的なキャリア育成などによりダイバーシティ&インクルージョンを加速していく。

b.地域共創を体現する人財の活躍

地域との共創を実現することができる人財を育成するとともに、社員一人ひとりのありたい姿の実現に向けた人財開発・各種育成プログラムを展開していく。

c.社員一人ひとりが正しく報われる仕組み

社員のモチベーションを高め、多様なキャリアパスや働き方を実現するための社内環境を整備していく。

 

ロ.具体的な取り組み状況
上記の方針に基づく、当社グループの具体的な取り組み状況は以下のとおりであります。

a.多様な人財の活躍推進

(ダイバーシティ&インクルージョン)

当社グループでは、常にスピード感を持って事業創造できる組織となるための、多様な人財の採用・登用を積極的かつ継続的に行い、同時に育成を進めていくことで、2031年12月までに多様性人財(注)管理職比率を25%以上とすることを目指しており、2024年3月末では12.2%となっております。また、2023年度の経験者採用による入社者数は52名(前年度比+21名)となりました。

多様性確保のためには、多様性を受容する組織風土の醸成も必要であることから、無意識の思い込みや偏見の解消に繋げるアンコンシャスバイアス研修を経営層やマネジメント層中心に実施するなど、社員が高いモチベーションを持ち、多様なキャリアパスや働き方を実現するための取り組みも進めております。

(注)多様性人財は当社社員における女性、外国人、経験者採用者、アルムナイ、副業従事者、外部出向経験者の総称であります。

(女性活躍推進)

当社では社員の40%以上が女性であり、既に多くの事業領域で活躍しておりますが、更なる活躍フィールドの拡大が必要であると考えております。そのため、女性法人外交ジョブトライアルなどの取り組みに加え、2031年12月までに女性管理職比率を15%以上とするという中長期目標を設定し、女性のキャリア形成に係る施策に注力しております。2023年12月には、当社グループ初の試みとして女性社員がキャリア形成等について考え、仲間づくりを行う場としてキャリア形成支援イベントを開催し、約100名の女性社員が参加いたしました。

また、2023年度は女性管理職同士のつながり強化や相互支援・相互研鑽の機会創出を目的として、女性管理職ネットワーク「なでしこ塾」を構築いたしました。なお、2024年3月末における女性管理職比率は6.2%となっております。

 

b.地域共創を体現する人財の活躍

(パーパス実現に向けた人財育成)

当社グループでは、社員が活き活きと活躍できる機会を共に創り、一人ひとりが働きがいをもって成長するための支援を行っていくことは、パーパス「地域の豊かな未来を共創する」を基軸とした事業活動に不可欠と考えております。

2023年度は、階層ごとの「あるべき姿」の実現を推進する育成と、社員一人ひとりの「ありたい姿」に合わせた自律的な学びを促進する育成を両輪で進めてまいりました。マネジメントスキルやデジタルスキルの向上に資する研修の継続的な実施に加え、業務スキルの向上に資する各種業務別研修などの実施により、2021年度比約3倍となる220百万円を人財育成へ投資しております。

また、新しい組織文化を構築するべく、他社のノウハウや知見を当社グループへ還元することを目的に、異業種企業や団体への出向制度を2016年度より実施しており、2024年3月末時点における出向者は累計88名となっております。

 

c.社員一人ひとりが正しく報われる仕組み

(多様なキャリアパスや働き方の実現)

当社グループでは、中長期的な企業価値の向上と社員がそれぞれの個性を活かして輝くことのできる社内環境の整備に継続的に取り組んでおります。

具体的には、復職制度、短時間勤務制度、事業所内保育所の開設、副業制度、フレックスタイム制度の導入、テレワークの実施などを行っております。制度休暇の取得に向けた推進活動も継続し、2023年度の取得率は96.2%となりました。また、男性社員の育児休業取得の推進については、社員へのヒアリング等を中心に現状や課題の分析を行い、特別休暇を新設した他、育休取得前説明会の開催や、管理職向けにガイドブック配布等の啓発活動を行った結果、2023年度の男性社員の育児休業等、育児目的休暇の取得率は108.5%となりました。100%の水準を維持することに加え、取得日数の増加に向けた検討及び推進活動を継続してまいります。

(人権の尊重)

当社グループは、お客さま・地域社会・役職員等すべてのステークホルダーの人権を尊重した取り組みを推進するため、2023年6月に人権方針を制定しており、2023年度は、制定した人権方針について社員に向けた周知活動を実施した他、外部委託先等への周知活動も開始いたしました。また、内部通報制度の利用促進に向け、2023年10月より社外通報窓口に女性の弁護士を1名追加いたしました。

 

ハ.社員エンゲージメント

a.社員意識調査による社員エンゲージメントの測定

当社グループの持続可能性及び社会の持続可能性向上において、人的資本は重要な構成要素の一つと位置付けており、社員の意識や組織文化の状態を把握することを目的に社員意識調査(注1)を実施しております。同調査では、「今のYMFGの組織風土をどのように感じているのか、今の仕事や職場環境をどのように感じているのか」について調査・分析し、当社グループの目指す姿と現状のギャップを把握することで、引き続き問題点や課題点の特定に努めてまいります。

2023年度の社員意識調査では、グループ全体で約4,300名の社員(嘱託、臨時雇等を含む。)が回答し、総合満足度は3.62ポイント(前年度比+0.05ポイント)となりました。同調査では±0.10ポイント以上の変化があった場合に満足度の変化が認められることから、傾向としては「維持(前年度同水準)」と捉えておりますが、総合満足度を構成する主要カテゴリ(注2)の全てにおいて前年度を上回る結果となった他、前年度比で最も上昇幅が大きかった「会社へのロイヤルティ」カテゴリでは、『人材開発(前年度比+0.13ポイント)』『福利厚生(前年度比+0.16ポイント)』の満足度上昇が有意なものとなっております。

一方で、「会社へのロイヤルティ」カテゴリの中でも『評価・処遇(前年度比+0.05%)』や『組織体制(前年度比+0.04%)』については上昇幅が僅少であるだけでなく、他の項目と比較しても満足度が低い水準であり、これらの項目における満足度向上が課題であると認識しております。当社グループは、2024年4月に人事制度を改定しており、同制度に基づき納得感のある評価や適材適所の抜擢人事等の運用を丁寧に行っていくことで、『評価・処遇』に対する満足度向上を目指してまいります。さらに、性別による偏った役割分担を無くす人員配置等により、『組織体制』に対する満足度向上を目指してまいります。

(注)1 当該調査は、最大5.00ポイントで評価されるものであります。

2 総合満足度は、主に「仕事への充実感・適応感」「職場への満足感」「上司への満足感」「会社へのロイヤルティ」で構成されるものであります。

 

 

 

b.「対話」や「傾聴」を起点としたエンゲージメントの直接的・間接的向上

当社グループでは、社員と経営層(代表取締役社長CEO、グループ内銀行頭取)が対話をする取り組みとして、2023年度よりタウンホールミーティングを開催しております。初年度となった2023年度は事業体別・地区別に20回開催され、700名を超える社員が『地域やYMFGの未来』をテーマに経営層と直接対話を行いました。同イベントの中で社員から寄せられた要望やアイデアをもとに、女性社員向けキャリア形成支援イベントやグループ会社合同説明会といった新たなイベントが企画・開催されました。2024年度以降についても、タウンホールミーティングを通じた対話を継続的に実施してまいります。

 

③ リスク管理

リスク管理の詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (4)オペレーショナル・リスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

人的資本に関する取り組みに関する進捗状況を把握するため、当社グループでは具体的な取り組みとの関連性が高いと考えられる指標を用いて、定期的かつ継続的な施策の見直しを実施しております。また、社員の意識や当社グループにおける組織文化の状態を把握する「社員意識調査」を実施し、当社グループの目指す姿と現状のギャップを把握することで、引き続き問題点や課題点の特定に努めてまいります。

主な指標における目標及び実績は、以下のとおりであります。

主な指標

目標

2022年度実績

2023年度実績

教育投資額

2021年度比2倍

2.0倍

3.1

多様性人財管理職比率

2031年12月までに25以上

9.0%

12.2

女性管理職比率

2031年12月までに15以上

4.5%

6.2

男性育児休業取得率

毎年度100以上を維持

16.3%

108.5

社員意識調査結果(総合満足度)

3.57ポイント

3.62ポイント

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(リスク管理体制の概要)

当社グループは、使命・存在意義(パーパス)「地域の豊かな未来を共創する」を経営の基軸に据えた地域金融機関として、お客さまからお預かりした預金を貸出金や有価証券等で運用していることから、信用リスク及び市場リスクに晒されております。経済環境の悪化に伴い、取引先の経営状況が悪化することによる当社グループの与信関係費用の増加(信用リスクの顕在化)や、金融市場の混乱などから、有価証券運用における評価損又は減損の発生(市場リスクの顕在化)などの事象が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクが顕在化した場合に備え、当社グループが直面する全てのリスクに関して、それぞれにリスク・カテゴリーごとに評価したリスクを可能な限り総体的にとらえ、リスクを自己資本の範囲内に収めることを統合的リスク管理の基本方針として「リスク管理規程」に定めております。リスク管理統括部署並びに各種リスクごとのリスク管理部署を設置し、当社グループにおけるリスクを組織横断的に分析・評価する態勢を構築しております。

各種リスクをⅤaR(一定の保有期間及び特定の確率の範囲内で想定される最大損失額)等の統一的な尺度で計量化し、各種リスク量を合算して、リスクを自己資本の範囲内に収めるリスク資本配賦運営を、統合的リスク管理の中核と位置付けております。リスク資本運営では、業務計画遂行にあたり、当社グループの各部門のリスクが顕在化しても健全性を確保できるように、中核的な自己資本の範囲内でリスク資本を配賦しております。信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスクの各リスク・カテゴリー、取引等に資本を配賦するとともに、バッファー資本として定量化が困難なリスクへの備えを確保しております。各リスク・カテゴリー、取引等への資本の配賦額については、業務計画の策定において、グループ経営執行会議にて審議・決議しております。また、グループALM委員会において、リスク資本の使用状況・遵守状況のモニタリングを行っております。

(個別のリスク)

(1)信用リスク

 信用リスクとは、信用供与先の財務内容の悪化などにより、保有する資産の価値が減少あるいは消滅し、損失を被るリスクであります。信用リスクが顕在化した場合、当社グループにおける経営の健全性に大きな影響を及ぼすため、大部分の信用リスクを有する貸出資産について、特に厳正な管理を行っております。その主なリスク事象、要因および対応策は以下のとおりで、①、②、③いずれも発生時の当社グループへの影響が大きいと認識しております。

リスク事象

主な要因

対応策

① 不良債権に対しては十分な引当金を確保し資産の健全性を維持しているものの、今後の本邦及び地元地域の景気の動向、不動産価格及び株価の変動、当社グループの融資先の経営状況等によっては、不良債権及び与信関係費用が増加するおそれがあり、その結果、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・国内外(※特に山口県、広島県及び北九州市)の景気悪化

・経済情勢全般の悪化

・震災、台風等の自然災害発生

・経済情勢全般の悪化、担保価値の下落、その他予期せざる事由等、信用リスクの高まりが懸念される兆候が表れた場合は、貸倒等の損失が顕在化する前に、貸倒引当金を積み増しし、自己資本の急激な変動を抑制

 

② 貸倒引当金は、取引先の状況、債権の保全状況、経済全般に関する見通しに基づく予想損失率の算出等により、十分な引当金を確保しているものの、前提条件と比較して、著しい経済情勢の悪化、担保価値の下落、その他予期せざる事由が生じた場合は、貸倒引当金の積み増しが必要となり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 貸出先に債務不履行等が生じた場合であっても、追加貸出等の支援や再起に向けた協力を行うことがあります。また回収の効率・実効性その他の観点から、当社グループが債権者として有する法的な権利を行使しない場合があります。このような貸出先の信用状況の悪化や支援により、与信関係費用が増加することで、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・債務不履行等が生じ、経営課題を抱える企業に対しては、早めに対応策を協議することや対応策を実行支援することにより、与信関係費用の顕在化を予防

※ 当社グループは山口県、広島県及び北九州市を主たる営業基盤としており、地域経済の影響を特に強く受ける傾

  向にあります。そのため当該地域の経済状況により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がありま

  す。

(2)市場リスク

 市場リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替相場等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、保有する資産、負債、およびオフバランス取引の価値が変動し、損失を被るリスクであります。その主なリスク事象、要因および対応策は以下のとおりで、発生時の当社グループへの影響が大きいと認識するものは①、②であります。

リスク事象

主な要因

対応策

① 当社グループは銀行業を主たる業務としており、資金運用手段である貸出金の貸出金利、債券投資等の利回り、資金調達手段である預金の金利等は、市場金利の動向の影響を受けております。資金運用と資金調達との金額または期間等のミスマッチが生じている状況において、予期せぬ金利変動が生じる場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・世界の経済金融情勢の変動

・国内外の財政、金融政策の変更

・政変、紛争の勃発等

・震災、台風等の自然災害発生

・有価証券の残高に限度額を設定

・有価証券の総合損益や評価損益に協議基準を設定

・リスクの定量化とモニタリング

・必要に応じて、保有資産の売却やヘッジ取引等によるポジションの圧縮

② 投資等を目的として市場性のある有価証券を大量に保有しております。全般的かつ大幅な価格下落が続く場合には、保有有価証券に減損または評価損が発生し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 当社グループは、資産及び負債の一部を外貨建てで保有しております。これらの外貨建資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合、又は適切にヘッジされていない場合には、為替相場の不利な変動によって、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)流動性リスク

 流動性リスクとは、銀行の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなり、資金繰りがつかなくなる場合や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)と、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされたりすることにより、損失を被るリスク(市場流動性リスク)であります。主なリスク事象、要因および対応策は以下のとおりで、発生時の当社グループへの影響が大きいと認識するものは①であります。

 

リスク事象

主な要因

対応策

① 当社グループの信用力低下や、市場環境の著しい悪化により、資金流出の発生や市場での調達が困難となり、通常よりも著しく割高な金利で資金調達を余儀なくされることにより損失が発生する可能性があります。

・金融市場の混乱

・金融機能の低下

・当社グループの信用不安

・運用と調達のバランスや大口資金調達状況等のモニタリング

・市場性資金ギャップに限度額を設定

・流動性準備の要確保額の設定

② 保有する有価証券等の売却が円滑にできず、通常よりも不利な価格での売却を余儀なくされることにより損失が発生する可能性があります。

・低流動性資産の保有限度額の設定

 

(4)オペレーショナル・リスク

 オペレーショナル・リスクとは、内部の不正、外部からの不正、労働環境における不適切な対応(法令に抵触する行為等)、顧客との取引における不適切な対応(顧客に対する過失による義務違反、商品設計における問題等)、自然災害、事故、システム障害、不適切な取引処理、並びにプロセス管理の不備等、業務運営において問題となる事象が発生することにより、損失を被るリスクであります。

 当社グループでは、オペレーショナル・リスクを以下の7つのリスク・カテゴリーに区分し、管理しております。発生時の当社グループへの影響が大きいと認識するものは②、③、④、⑤であります。

リスク・カテゴリー

想定されるシナリオ

対応策

①事務リスク

役職員が正確な事務を怠るなど、事故・不正等を起こした場合には、直接的な損失の発生だけではなく、社会的信用の失墜等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・標準手続に基づく事務処理

 の徹底

・事務検査および改善策の実

 施

②システムリスク

コンピュータシステムの停止、誤作動等のシステムの不備、サイバーセキュリティ事案、またはコンピュータの不正使用等が発生した場合には、業務停止に伴う損害賠償負担の発生や社会的信用の失墜等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・システム管理対策基準に基

 づく、安全管理措置の実施

・サイバー攻撃の動向等を踏

 まえた対応策の整備

・リスクが顕在化した際の被

 害範囲や影響を最小化する

 ための態勢整備

③情報リスク

お客さまの情報や社内の機密情報について漏洩、紛失、改ざん、および不適切な取り扱い等が発生した場合、社会的責任を問われるだけでなく、損害賠償負担の発生などにより、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・情報管理対策基準に基づ

 く、情報管理態勢の整備

・役職員教育の徹底

④法務リスク

法令の改正等への対応が不十分である、または取引等における法律関係が不完全であることで行政処分や重大な訴訟などが発生した場合、社会的信用の失墜等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・法令の改正や契約にかかる

 リーガルチェック体制の整

 備

⑤マネロン・テロ資金

 供与リスク

マネー・ローンダリングやテロ活動に資金を提供する行為への対策の不備が発生した場合、巨額の制裁金やコルレス契約の解消を求められる等、業務運営に支障をきたすのみならず、社会的な信用の失墜等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・リスクの適時・適切な特定

 ・評価と、リスクに見合っ

 た低減措置の実施

・営業部門、管理部門、監査

 部門の各部門の役割・責任

 を明確にし、組織的な対応

 を実施

⑥有形資産リスク

自然災害、犯罪または資産管理の瑕疵等により、有形資産の毀損や執務環境等の質の低下が発生した場合には、有形資産の再構築費用の発生等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・自然災害等への対策の実施

・老朽化した施設・設備の更

 改や維持管理の実施

⑦人的リスク

不適切な就労・職場・安全環境や、人財の確保や育成が不十分となることにより、当社グループの競争力や効率性が低下することにより、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・人事制度の見直しや中途採

 用の強化等による多様な人

 財の活躍促進

 

(5)自己資本に関するリスク

① 自己資本比率

 当社グループは海外営業拠点を有しておりますので、「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に基づき、国際統一基準により連結自己資本比率を算出しており、総自己資本比率8%以上、Tier1比率6%以上、普通株式等Tier1比率4.5%以上の最低所要水準を維持する必要があります。自己資本比率は、現在、この水準を上回っておりますが、資本金、利益剰余金、保有有価証券の評価差額等の増減、リスク・アセット等が変動した場合には、自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。

 また、国際統一基準では、資本保全バッファー(各最低所要水準+2.5%)を備える必要があります。現在、このバッファー水準を上回っておりますが、一定水準を下回り、配当等の社外流出について制限を受ける場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、銀行業を営む連結子会社におきましては、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に基づき、山口銀行は国際統一基準により、もみじ銀行及び北九州銀行は国内基準により、それぞれ単体自己資本比率を算出しております。

 

② 繰延税金資産

 本連結会計年度末現在の本邦の会計基準では、ある一定の状況において、将来実現すると見込まれる税務上の便益を繰延税金資産として計上することが認められております。

 国際統一基準においては、一時差異に係る繰延税金資産について一定の限度額まで自己資本の額に含めてよいこととされており、2012年金融庁告示第28号に従って計算した額を自己資本の額に含めております。

 繰延税金資産の貸借対照表計上額は、将来の課税所得に関するものを含めた様々な予測・仮定に基づいているため、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。

 

(6)コンプライアンス・リスク

 役職員全員によりコンプライアンス体制の強化を図るため、毎年コンプライアンス・プログラム重点項目を策定し、様々な取り組みを行っておりますが、コンプライアンス上の問題が発生した場合には、直接的な損失の発生だけではなく、永年培ってきたお客さまからの信頼失墜に繋がる可能性があり、結果として経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)風評リスク

 当社グループや金融業界に関するネガティブな報道や風評が発生した場合、それが事実であるか否かにかかわらず、経営成績、財政状態及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業に関するリスク

① 競争に関するリスク

 近年、金融制度の大幅な規制緩和に加え、地域金融機関の再編や他業態による金融分野への参入などにより、金融業界の競争環境が激化しております。この結果、当社グループの営業基盤において、他金融機関などに対して競争優位を得られない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② ビジネス戦略が奏功しないリスク

 当社グループは、銀行業務を中心として、証券業務、クレジットカード業務など、地域密着型の総合金融サービスを展開しているため、企業価値の向上を目指して様々なビジネス戦略を実施しておりますが、想定を上回る経営環境の変化等により、想定したとおりの収益が計上できない場合、あるいは想定を上回るコスト等が発生した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、2022年度よりスタートした「YMFG中期経営計画2022」に基づき展開する経営戦略が奏功しない場合、当初想定した結果が得られない可能性があります。

 

③ 持株会社のリスク

 当社は、銀行持株会社であり、収益の大宗は完全子会社である山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行が当社に対して支払う配当からなっております。一定の状況下では、銀行法及び会社法上の規制等により、山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行が当社に支払う配当の金額が制限される場合があります。また、山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況等が生じた場合は、当社株主に対する配当の支払いが不可能となる可能性があります。

 

④ 業務範囲の拡大に伴うリスク

 法令等の規制緩和に伴い、新たな収益機会を得るために業務範囲を拡大することがあります。業務範囲を拡大することに伴い、新たなリスクに晒されるほか、当該業務の拡大が予想どおりに進展しない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)その他リスク

① 年金債務に関するリスク

 年金資産の時価が下落した場合や運用利回りが低下した場合、または退職給付債務を計算する前提となる基礎率に変更等があった場合には、損失が発生する可能性があります。年金制度の変更により過去勤務費用の償却費用が発生する可能性があります。また、金利環境の変動その他の要因により退職給付債務の未積立額に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 固定資産の減損に関するリスク

 保有する固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、保有する固定資産の使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落などにより評価減が発生した場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 金融犯罪に関するリスク

 キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺・サイバー犯罪等の金融機関を狙った犯罪が多発している状況を踏まえ、金融犯罪による被害発生を未然に防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、不測の損失の発生や信用失墜等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 規制変更のリスク

 当社は、銀行持株会社であり、銀行法によって規制及び監督されており、また、本連結会計年度末現在の規制(法律、規則、政策、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。このため、将来における規制の変更によって、業務遂行や経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 格付低下のリスク

 格付機関が当社の格付を引き下げた場合、取引において不利な条件を承諾せざるを得ない可能性や、または一定の取引を行うことができなくなり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 気候変動に係るリスク

 気候変動リスクとは、脱炭素社会への移行に伴う規制、技術、市場環境等の変化によって引き起こされるリスク(移行リスク)や、自然災害の激甚化、気温・降水変化、海面上昇等によって引き起こされるリスク(物理的リスク)であります。

 気候変動リスクは、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクといった各リスク・カテゴリーに波及し、そのリスク・カテゴリーのリスクとして顕在化するという特徴があります。

 当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みの中に気候変動リスクを組入れた上で、顕在化するリスクに応じて、各リスク・カテゴリーにおいて管理する体制の構築を進めておりますが、気候変動に係るリスクへの取組みが不十分である場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の業務運営、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(業務運営)

当期におけるわが国経済は、ロシアのウクライナ侵攻等による資源高や円安による物価上昇の影響はあるものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化などにより、緩やかな回復基調で推移しました。また、日経平均株価が34年ぶりの最高値更新、春闘賃上げ率も高い水準となり、3月には日本銀行によるマイナス金利政策が解除されましたが、世界的な金融引締めによる影響や中国経済の先行き懸念、中東地域をめぐる情勢など、海外景気の下振れリスクや歴史的な円安の影響等により、先行きは不透明な状況が続いております。

地元経済においては、設備投資が緩やかに増加し、生産活動は輸送機械が持ち直しているものの全体として横ばい圏内で推移しております。個人消費は雇用・所得環境の改善する中で、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流増加や国の観光施策による旅行需要の増加などもあり、緩やかな回復基調で推移しました。

こうした中、地域金融機関は「地方創生」の観点から、地域経済発展への貢献という使命を果たすべく、財務体質及び収益力の強化とともに、資金供給の一層の円滑化や金融サービスの更なる充実が強く求められております。

このような金融経済環境の中、当社グループは当社株主やお取引先の皆さまのご支援のもと、役職員一丸となって経営基盤の拡充と業績の伸展、地域貢献に努めてまいりました。

2022年度からスタートした中期経営計画「YMFG中期経営計画2022」では、使命・存在意義(パーパス)「地域の豊かな未来を共創する」を経営の基軸に、地域とYMFGのサステナビリティ向上に向けて、「チームYMFG」として、地域・お客さま本位の事業活動に邁進する3年間と位置付けております。

中期経営計画の2年目となる今年度は、社会・環境に与える影響であるアウトカムを軸に、「地域課題の解決」と「企業利益」のトレードオンを志向し、「地域の持続可能性向上」と「YMFGの持続可能なビジネスモデル構築」を目指して活動することで、計画の実現に向けて取り組んでまいりました。

2023年4月には、地域のカーボンニュートラル実現のため、当社子会社であるワイエムコンサルティング株式会社は持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、「CO₂削減ロードマップ策定支援」を開始いたしました。また、グループ内銀行においては、お客さまのグリーンプロジェクトやサステナブル経営への取り組みを支援する融資商品であるグリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローンに加え、10月にポジティブ・インパクト・ファイナンスの取扱いを新たに開始いたしました。これまでの取り組みを深化させ、お客さまのサステナビリティ向上の機運を醸成することを目的として、本商品を通じ、ビジネスとサステナビリティの両立を目指すより多くのお客さまに対し、伴走支援を行うことで持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

ポジティブ・インパクト・ファイナンス:お客さまの企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクト(ポ

ジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に特定・評価し、お客さまのポジティブな影響の増大、ネガティ

ブな影響の低減の支援を目的とする融資商品であります。

2023年5月には、多様化・高度化していく資金調達ニーズに対して、グループとしてより一層積極的かつ迅速な対応を可能とするため、グループ内銀行のストラクチャードファイナンス案件の審査やリスク評価機能を一元的に担う専門部署として「ストラクチャードファイナンス室」を新設いたしました。ストラクチャードファイナンスの取り組み強化とともにグループ全体でのノウハウの蓄積、ネットワークの構築を図り、中長期的には地域における新たな設備投資や事業開発を誘発することで、地域の持続可能性の向上に貢献してまいります。

ストラクチャードファイナンス:プロジェクトファイナンスやLBOローンを始めとする、企業の信用力や担

保価値に拠らない資金調達手法のことを指します。

2023年7月には、当社および子会社である株式会社データ・キュービックは、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定されました。お客さまのDX・デジタル化の取り組みを支援していくことで、地域一体となったDXの推進を行い、地域の持続的な発展に貢献してまいります。また、10月には、住宅ローン業務においてお客さまの多様なニーズにお応えするため、クラウド型銀行業務統合プラットフォームサービスを採用することにいたしました。お客さまの住宅ローンの申し込みから審査、契約までをWEB上で完結できるサービスで、1 つのプラットフォームの中でお客さま、住宅事業者さま、当社の3者間で審査状況等の情報がリアルタイムで共有できるようになる等、住宅ローン手続きにおけるシームレス化を実現いたします。今後も率先してDXを推進し、サービスの向上に取り組むことで、お客さまへの新たな価値提供を行ってまいります。

2023年9月には、当社子会社である山口キャピタル株式会社は、北九州市と「中小企業の事業承継推進に関する連携協定」を締結いたしました。政令指定都市とサーチファンド事業者の連携協定締結は全国初となり、北九州市内における後継者不在に悩む中小企業の事業承継問題の解決及び企業の持続的成長を目指しております。グループ内銀行の北九州銀行とも連携のうえ、円滑な事業承継の促進に加え、中長期的な企業への成長支援を行うことにより、北九州市内での新たな雇用の創出や地域経済の活性化に貢献してまいります。

2024年3月には、株式会社ドリームインキュベータ(以下「ドリームインキュベータ」)と資本業務提携契約を締結いたしました。当社は、今後地域の社会課題への支援体制を強化し、当社の使命である地域価値向上を実現していくためには、地域が直面する複雑な課題に正面から向き合い、解決策の提案や実現に向けた伴走支援などを通じて、地域の社会課題の解決や地域価値向上に貢献することが可能なビジネスを創造する必要があると考えており、ドリームインキュベータが国内において既に数多くの社会課題の解決をテーマとした事業創造の実績を有していることから、資本業務提携を通じて、両社の経験、人財、顧客基盤などを相互に有効活用し、双方の強みを活かし補完し合うことは、両社の社会課題の解決を起点としたビジネスの強化につながり、地域の社会課題の解決や地域価値向上に資すると考えております。今後は、当社がこれまで培ってきたファイナンス力、多様なネットワーク力とドリームインキュベータのコンサルティング力を組み合わせることで、これまで以上に、地域の社会課題の解決に貢献し、地域価値向上を実現してまいります。

また、当社グループは、山口県におけるスタートアップエコシステム構築に向け、産学官金連携によるスタートアップ支援を実施しており、2024年3月には、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が選定する令和5年度の「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」において、スタートアップ支援にかかる当社グループの取り組みが評価され、昨年度に引き続き2年連続で内閣府特命担当大臣(地方創生担当)より表彰を受けました。地域におけるスタートアップ支援は、当社グループが特定したマテリアリティの一つである「地域におけるイノベーション創出、地域産業の成長サポート」の実現に資する取り組みであります。

(財政状態)

預金は、お客さまの多様化するニーズにお応えすべく商品やサービスの充実とともに、地域に根ざした着実な営業展開を進めてまいりました結果、前連結会計年度末比1,039億円増加して10兆579億円となり、譲渡性預金と合わせますと、前連結会計年度末比183億円増加して10兆3,440億円となりました。

貸出金は、金融仲介機能を通じて地域金融機関としての責務を果たし、お取引先の信頼にお応えすべく資金需要に積極的姿勢で取り組んでまいりました結果、前連結会計年度末比2,421億円増加して8兆5,899億円となりました。

有価証券は、ポートフォリオを再構築し、有価証券運用における安定的な収益構造への転換を進めてまいりました結果、前連結会計年度末比5,313億円増加して2兆654億円となりました。

総資産は、預金や借用金の増加を背景に、貸出金や有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末比3,369億円増加して12兆5,485億円となりました。

純資産は、利益の積み上げにより利益剰余金が176億円増加し、その他有価証券評価差額金が224億円増加、自己株式の消却により資本剰余金が255億円減少し、自己株式の取得及び消却により自己株式が156億円減少した結果、前連結会計年度末比411億円増加して6,557億円となりました。

(経営成績)

経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加等を主因として、前連結会計年度比274億29百万円増加して1,847億53百万円となりました。経常費用は、国債等債券売却損や与信関係費用等が減少したものの、資金調達費用や外国為替売買損の増加等を主因として、前連結会計年度比158億46百万円増加して1,474億71百万円となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度比115億84百万円増加して372億82百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比73億22百万円増加して252億16百万円となりました。

また、包括利益は、当期純利益が73億5百万円増加し、その他有価証券評価差額金が479億16百万円増加、退職給付に係る調整額が56億30百万円増加した結果、前連結会計年度比606億30百万円増加して593億28百万円となりました。

なお、当社グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメントの業績は記載しておりません。

(キャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金の増加等から、前連結会計年度比1,752億円増加して319億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出の増加や有価証券の売却による収入の減少等から、前連結会計年度比3,382億円減少して△4,937億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の発行がなかったこと等から、前連結会計年度比200億円減少して△183億円となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期中4,801億円減少して1兆3,745億円となりました。

 

(参考)

(1)国内・海外別収支

 資金運用収支は、国内991億78百万円、海外9億53百万円、合計1,001億32百万円となりました。

 役務取引等収支は、国内191億74百万円、海外△7百万円、合計191億66百万円となりました。

 特定取引収支は、国内のみの取扱いで、9億98百万円となりました。

 また、その他業務収支は、国内△203億44百万円、海外68百万円、合計△202億75百万円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

86,880

793

87,673

当連結会計年度

99,178

953

100,132

うち資金運用収益

前連結会計年度

104,134

929

204

104,859

当連結会計年度

131,889

1,067

255

132,702

うち資金調達費用

前連結会計年度

17,254

135

204

17,185

当連結会計年度

32,711

114

255

32,569

役務取引等収支

前連結会計年度

16,809

△25

16,784

当連結会計年度

19,174

△7

19,166

うち役務取引等収益

前連結会計年度

25,929

11

25,940

当連結会計年度

28,816

12

28,828

うち役務取引等費用

前連結会計年度

9,119

36

9,156

当連結会計年度

9,642

20

9,662

特定取引収支

前連結会計年度

1,094

1,094

当連結会計年度

998

998

うち特定取引収益

前連結会計年度

1,094

1,094

当連結会計年度

998

998

うち特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

その他業務収支

前連結会計年度

△19,275

69

△19,206

当連結会計年度

△20,344

68

△20,275

うちその他業務収益

前連結会計年度

12,941

69

13,011

当連結会計年度

13,182

68

13,250

うちその他業務費用

前連結会計年度

32,217

32,217

当連結会計年度

33,526

33,526

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

3 相殺消去額は、銀行業を営む連結子会社の海外店に係る本支店間の資金貸借の利息であります。

4 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

 

(参考)

(2)国内・海外別資金運用/調達の状況

 資金運用勘定は、国内が平均残高11兆9,688億円、利回り1.10%、海外が平均残高335億円、利回り3.18%、合計平均残高11兆9,816億円、利回り1.10%となり、利息は1,327億2百万円となりました。

 資金調達勘定は、国内が平均残高11兆6,629億円、利回り0.28%、海外が平均残高324億円、利回り0.35%、合計平均残高11兆6,746億円、利回り0.27%となり、利息は325億69百万円となりました。

① 国内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

11,537,217

104,134

0.90

当連結会計年度

11,968,894

131,889

1.10

うち貸出金

前連結会計年度

8,245,899

84,906

1.02

当連結会計年度

8,397,073

105,165

1.25

うち有価証券

前連結会計年度

1,481,741

16,724

1.12

当連結会計年度

1,874,164

24,780

1.32

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

320,578

533

0.16

当連結会計年度

78,370

344

0.43

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,422,704

1,723

0.12

当連結会計年度

1,591,137

1,421

0.08

資金調達勘定

前連結会計年度

11,296,374

17,254

0.15

当連結会計年度

11,662,903

32,711

0.28

うち預金

前連結会計年度

9,943,019

3,533

0.03

当連結会計年度

9,914,948

4,908

0.04

うち譲渡性預金

前連結会計年度

443,458

17

0.00

当連結会計年度

382,959

23

0.00

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

173,089

1,887

1.09

当連結会計年度

479,359

2,822

0.58

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

292,511

4,579

1.56

当連結会計年度

412,178

9,396

2.27

うち借用金

前連結会計年度

469,840

52

0.01

当連結会計年度

486,756

93

0.01

(注)1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

2 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当社及び銀行業以外の国内連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高等を利用しております。

3 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

 

② 海外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

34,179

929

2.71

当連結会計年度

33,507

1,067

3.18

うち貸出金

前連結会計年度

25,122

874

3.48

当連結会計年度

20,566

755

3.67

うち有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

881

23

2.67

当連結会計年度

3,831

129

3.39

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

4,229

30

0.72

当連結会計年度

3,866

66

1.71

資金調達勘定

前連結会計年度

34,028

135

0.39

当連結会計年度

32,434

114

0.35

うち預金

前連結会計年度

5,678

41

0.73

当連結会計年度

5,212

37

0.72

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

2,129

55

2.59

当連結会計年度

2,926

76

2.61

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

 

③ 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺消去額

(△)

合計

小計

相殺消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

11,571,397

23,498

11,547,898

105,063

204

104,859

0.90

当連結会計年度

12,002,401

20,722

11,981,679

132,957

255

132,702

1.10

うち貸出金

前連結会計年度

8,271,021

8,271,021

85,780

85,780

1.03

当連結会計年度

8,417,639

8,417,639

105,920

105,920

1.25

うち有価証券

前連結会計年度

1,481,741

1,481,741

16,724

16,724

1.12

当連結会計年度

1,874,164

1,874,164

24,780

24,780

1.32

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

321,459

321,459

556

556

0.17

当連結会計年度

82,202

82,202

474

474

0.57

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,426,934

1,426,934

1,754

1,754

0.12

当連結会計年度

1,595,004

1,595,004

1,487

1,487

0.09

資金調達勘定

前連結会計年度

11,330,402

23,498

11,306,903

17,389

204

17,185

0.15

当連結会計年度

11,695,337

20,722

11,674,615

32,825

255

32,569

0.27

うち預金

前連結会計年度

9,948,697

9,948,697

3,575

3,575

0.03

当連結会計年度

9,920,161

9,920,161

4,946

4,946

0.04

うち譲渡性預金

前連結会計年度

443,458

443,458

17

17

0.00

当連結会計年度

382,959

382,959

23

23

0.00

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

175,218

175,218

1,942

1,942

1.10

当連結会計年度

482,285

482,285

2,899

2,899

0.60

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

292,511

292,511

4,579

4,579

1.56

当連結会計年度

412,178

412,178

9,396

9,396

2.27

うち借用金

前連結会計年度

469,840

469,840

52

52

0.01

当連結会計年度

486,756

486,756

93

93

0.01

(注)1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

2 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当社及び銀行業以外の国内連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高等を利用しております。

3 相殺消去額は、銀行業を営む連結子会社の海外店に係る本支店間の資金貸借の平均残高及び利息であります。

 

(参考)

(3)国内・海外別役務取引の状況

 役務取引等収益は、預金・貸出業務、為替業務及び証券関連業務を中心として、国内288億16百万円、海外12百万円、合計で288億28百万円となりました。

 一方、役務取引等費用は、国内96億42百万円、海外20百万円、合計で96億62百万円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

25,929

11

25,940

当連結会計年度

28,816

12

28,828

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

6,638

6,638

当連結会計年度

7,439

7,439

うち為替業務

前連結会計年度

4,859

10

4,870

当連結会計年度

4,848

12

4,860

うち証券関連業務

前連結会計年度

4,105

4,105

当連結会計年度

5,056

5,056

うち代理業務

前連結会計年度

216

216

当連結会計年度

200

200

うち保護預り・貸金庫

業務

前連結会計年度

202

202

当連結会計年度

191

191

うち保証業務

前連結会計年度

461

461

当連結会計年度

509

509

役務取引等費用

前連結会計年度

9,119

36

9,156

当連結会計年度

9,642

20

9,662

うち為替業務

前連結会計年度

475

8

484

当連結会計年度

469

9

479

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

 

(参考)

(4)国内・海外別特定取引の状況

① 特定取引収益・費用の内訳

 特定取引収益は、特定金融派生商品収益など9億98百万円を計上しました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

1,094

1,094

当連結会計年度

998

998

うち商品有価証券収益

前連結会計年度

430

430

当連結会計年度

368

368

うち特定取引有価証券

収益

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

収益

前連結会計年度

664

664

当連結会計年度

630

630

うちその他の特定取引

収益

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の特定取引

費用

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

 

② 特定取引資産・負債の内訳(末残)

 特定取引の資産残高は、特定金融派生商品33億32百万円のほか、合計40億58百万円となりました。

 一方、特定取引の負債残高は、特定金融派生商品の17億30百万円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

3,976

3,976

当連結会計年度

4,058

4,058

うち商品有価証券

前連結会計年度

714

714

当連結会計年度

725

725

うち商品有価証券派生

商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

3,261

3,261

当連結会計年度

3,332

3,332

うちその他の特定取引

資産

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引負債

前連結会計年度

1,813

1,813

当連結会計年度

1,730

1,730

うち売付商品債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券派生

商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

1,813

1,813

当連結会計年度

1,730

1,730

うちその他の特定取引

負債

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

 

(参考)

(5)国内・海外別預金残高の状況

預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

9,947,315

6,692

9,954,008

当連結会計年度

10,053,235

4,687

10,057,923

うち流動性預金

前連結会計年度

6,109,837

5,323

6,115,160

当連結会計年度

6,318,616

3,074

6,321,690

うち定期性預金

前連結会計年度

3,549,303

1,369

3,550,673

当連結会計年度

3,470,267

1,613

3,471,881

うちその他

前連結会計年度

288,174

288,174

当連結会計年度

264,351

264,351

譲渡性預金

前連結会計年度

371,711

371,711

当連結会計年度

286,100

286,100

 総合計

前連結会計年度

10,319,027

6,692

10,325,720

当連結会計年度

10,339,335

4,687

10,344,023

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

4 定期性預金=定期預金

 

(参考)

(6)国内・海外別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

8,324,011

100.00

8,571,875

100.00

製造業

1,067,945

12.83

1,066,692

12.44

農業,林業

7,795

0.09

7,318

0.09

漁業

3,903

0.05

4,327

0.05

鉱業,採石業,砂利採取業

7,727

0.09

8,482

0.10

建設業

291,947

3.51

297,602

3.47

電気・ガス・熱供給・水道業

562,349

6.76

589,660

6.88

情報通信業

25,463

0.31

28,474

0.33

運輸業,郵便業

953,778

11.46

1,076,613

12.56

卸売業,小売業

788,500

9.47

774,944

9.04

金融業,保険業

612,914

7.36

638,705

7.45

不動産業,物品賃貸業

1,351,250

16.23

1,456,693

16.99

その他サービス業

575,489

6.91

570,391

6.66

地方公共団体

855,235

10.28

784,383

9.15

その他

1,219,709

14.65

1,267,586

14.79

海外及び特別国際金融取引勘定分

23,820

100.00

18,057

100.00

政府等

金融機関

2,023

8.50

その他

21,797

91.50

18,057

100.00

 合計

8,347,832

8,589,933

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

 「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の外国政府等向け債権残高は該当ありません。

 

(参考)

(7)国内・海外別有価証券の状況

有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

379,980

379,980

当連結会計年度

540,414

540,414

地方債

前連結会計年度

287,140

287,140

当連結会計年度

411,017

411,017

短期社債

前連結会計年度

当連結会計年度

社債

前連結会計年度

195,809

195,809

当連結会計年度

242,512

242,512

株式

前連結会計年度

109,108

109,108

当連結会計年度

119,753

119,753

その他の証券

前連結会計年度

562,100

562,100

当連結会計年度

751,717

751,717

合計

前連結会計年度

1,534,139

1,534,139

当連結会計年度

2,065,414

2,065,414

(注)1 「国内」とは、当社、銀行業を営む連結子会社(海外店を除く)及び国内に本店を有する銀行業以外の連結子会社であります。

2 「海外」とは、銀行業を営む連結子会社の海外店であります。

3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率等の状況)

(参考)

 自己資本比率は、「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

 当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。また、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の計算は、標準的計測手法を採用しております。

 自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(2019年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、算出しております。

 

連結自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.連結総自己資本比率(4/7)

13.14

2.連結Tier1比率(5/7)

12.02

3.連結普通株式等Tier1比率(6/7)

12.02

4.連結における総自己資本の額

6,658

5.連結におけるTier1資本の額

6,089

6.連結における普通株式等Tier1資本の額

6,089

7.リスク・アセットの額

50,636

8.連結総所要自己資本額

4,050

 

 連結総自己資本比率(国際統一基準)は13.14%、連結Tier1比率は12.02%、連結普通株式等Tier1比率は12.02%となりました。

 なお、各子銀行の自己資本比率、Tier1比率は以下のとおりとなりました。

 山口銀行の単体総自己資本比率(国際統一基準)は14.38%、単体Tier1比率、単体普通株式等Tier1比率は共に14.35%となりました。

 もみじ銀行の単体自己資本比率(国内基準)は10.51%となりました。

 北九州銀行の単体自己資本比率(国内基準)は13.51%となりました。

 

持株レバレッジ比率(国際統一基準)

 

(単位:%)

 

2024年3月31日

持株レバレッジ比率

5.36

 

 持株レバレッジ比率(国際統一基準)は、5.36%となりました。

 なお、山口銀行の単体レバレッジ比率(国際統一基準)は、6.44%となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

 「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(資産の査定)

(参考)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社山口銀行、株式会社もみじ銀行及び株式会社北九州銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

① 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

② 危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

③ 要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

④ 正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記①から③までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

株式会社山口銀行の資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

81

66

危険債権

421

506

要管理債権

33

46

正常債権

46,212

47,677

 

株式会社もみじ銀行の資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

73

100

危険債権

400

440

要管理債権

29

42

正常債権

24,380

24,832

 

株式会社北九州銀行の資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

52

53

危険債権

189

170

要管理債権

19

28

正常債権

13,470

13,952

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

イ.預金(譲渡性預金含む)

お客さまの多様化するニーズにお応えすべく商品やサービスの充実とともに、地域に根ざした着実な営業展開を進めてまいりました結果、山口銀行の預金は前事業年度末比157億円増加して5兆5,698億円となりましたが、譲渡性預金と合わせますと、550億円減少して5兆7,401億円となりました。もみじ銀行の預金は前事業年度末比47億円減少して3兆2,651億円、譲渡性預金と合わせますと、72億円減少して3兆2,960億円となりました。北九州銀行の預金は前事業年度末比961億円増加して1兆2,497億円、譲渡性預金と合わせますと、837億円増加して1兆3,402億円となりました。その結果として、当社グループ連結の預金は前連結会計年度末比1,039億円増加して10兆579億円、譲渡性預金と合わせますと、183億円増加して10兆3,440億円となりました。

ロ.貸出金

金融仲介機能を通じて地域金融機関としての責務を果たし、お取引先の信頼にお応えすべく資金需要に積極的姿勢で取り組んでまいりました結果、山口銀行は前事業年度末比1,495億円増加して4兆7,550億円、もみじ銀行は前事業年度末比544億円増加して2兆5,181億円、北九州銀行は前事業年度末比477億円増加して1兆4,003億円となりました。その結果として、当社グループ連結では前連結会計年度末比2,421億円増加して8兆5,899億円となりました。

ハ.有価証券

山口銀行ともみじ銀行は、有価証券ポートフォリオを再構築し、有価証券運用における安定的な収益構造への転換を進めてまいりました結果、山口銀行は前事業年度末比3,146億円増加して1兆2,945億円、もみじ銀行は前事業年度末比2,121億円増加して6,990億円となりました。北九州銀行は、株式の増加を主因として、前事業年度末比41億円増加して600億円となりました。その結果として、当社グループ連結では前連結会計年度末比5,313億円増加して2兆654億円となりました。

ニ.総資産

主要勘定等の増減により、山口銀行は前事業年度末比1,493億円増加して7兆2,058億円、もみじ銀行は前事業年度末比1,189億円増加して3兆7,430億円、北九州銀行は前事業年度末比728億円増加して1兆6,694億円となりました。その結果として、当社グループ連結では前連結会計年度末比3,369億円増加して12兆5,485億円となりました。

ホ.純資産

当社グループ連結の純資産は、利益剰余金の増加及びその他有価証券評価差額金の増加を主因として、前連結会計年度末比411億円増加して6,557億円となりました。

なお、「YMFG中期経営計画2022」において目標とした連結経営指標及び2024年3月期実績につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略及び目標とする経営指標」に記載しております。

(経営成績の分析)

当社グループ連結につきましては、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加による資金利益の増加や役務取引等利益の増加等を主因に、経常利益は前連結会計年度比115億84百万円増加して372億82百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比73億22百万円増加して252億16百万円となりました。

山口銀行につきましては、資金利益や国債等債券損益の増加等を主因に、経常利益は前事業年度比58億80百万円増加して273億68百万円、当期純利益は前事業年度比48億66百万円増加して206億66百万円となりました。

もみじ銀行につきましては、その他業務利益が減少したものの、資金利益の増加や与信関係費用の減少等を主因に、経常利益は前事業年度比38億41百万円増加して100億10百万円、当期純利益は前事業年度比17億99百万円増加して73億47百万円となりました。

北九州銀行につきましては、資金利益の増加や与信関係費用の減少等を主因に、経常利益は前事業年度比2億22百万円増加して52億37百万円、当期純利益は前事業年度比3億39百万円増加して36億15百万円となりました。

 

2023年度の当社グループ連結業績予想に対する当連結会計年度の実績につきましては、経常利益は計画比+22億82百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比+12億16百万円となりました。

2024年度の業績予想につきましては、2022年度からスタートした中期経営計画「YMFG中期経営計画2022」の最終年度として、目標経営指標どおり経常利益は475億円、親会社株主に帰属する当期純利益は330億円を予想しております。

 

2023年度

計画

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

計画比

(百万円)

経常利益

35,000

37,282

2,282

親会社株主に帰属する当期純利益

24,000

25,216

1,216

 

 

 

 

 

2024年度予想

(百万円)

 

 

経常利益

47,500

 

 

親会社株主に帰属する当期純利益

33,000

 

 

 

(経営成績に重要な影響を与える要因についての分析)

イ.貸出金利息

貸出金平均残高は、前連結会計年度比146,618百万円(年率1.7%)の増加となり、貸出金利回りは、外貨貸出金利回りの上昇を主因に、前連結会計年度比0.22%の上昇となった結果、貸出金利息は、前連結会計年度比20,140百万円の増加となりました。

 

前連結会計年度

(百万円、%)

当連結会計年度

(百万円、%)

前連結会計年度比

(百万円、%)

貸出金利息

85,780

105,920

20,140

貸出金平均残高

8,271,021

8,417,639

146,618

貸出金利回り

1.03

1.25

0.22

 

ロ.役務取引等利益

役務取引等収益は、証券関係手数料や住宅ローン手数料の増加等を主因に、前連結会計年度比2,888百万円の増加となりました。役務取引等費用は、前連結会計年度比506百万円の増加となった結果、役務取引等利益は、前連結会計年度比2,381百万円の増加となりました。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比

(百万円)

役務取引等利益

16,785

19,166

2,381

役務取引等収益

25,940

28,828

2,888

役務取引等費用

9,156

9,662

506

 

 

ハ.与信関係費用

与信関係費用は、2021年度に新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けたお客さまに対する抜本的な事業再生の推進を目的とした追加的・予防的な引当を行ったこと等により不良債権処理額は前連結会計年度並みとなり、貸倒実績率の低下等により一般貸倒引当金繰入額が減少したことから、前連結会計年度比18億48百万円減少して45億85百万円となりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比

(百万円)

与信関係費用

ⅰ+ⅱ-ⅲ-ⅳ-ⅴ

6,433

4,585

△1,848

一般貸倒引当金繰入額

△202

△1,931

△1,729

不良債権処理額

6,648

6,555

△93

貸倒引当金戻入益

不良債権売却益

3

1

△2

償却債権取立益

9

37

28

 

ニ.株式等関係損益

株式等関係損益は、政策投資株式の売却益の減少等を主因に、前連結会計年度比22億63百万円減少して44億89百万円となりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比

(百万円)

株式等関係損益

ⅰ-ⅱ-ⅲ

6,752

4,489

△2,263

売却益

9,669

5,867

△3,802

売却損

2,811

986

△1,825

償却

105

391

286

 

ホ.国債等債券損益

国債等債券損益は、有価証券ポートフォリオの再構築を進め、安定的な収益構造への転換を進める中、外国債券の売却損の減少等を主因に、前連結会計年度比7億23百万円増加して△136億41百万円となりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比

(百万円)

国債等債券損益

ⅰ+ⅱ-ⅲ-ⅳ-ⅴ

△14,364

△13,641

723

売却益

1,234

1,348

114

償還益

売却損

10,450

8,362

△2,088

償還損

5,148

6,626

1,478

償却

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金の増加等から、前連結会計年度比1,752億円増加して319億円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出の増加や有価証券の売却による収入の減少等から、前連結会計年度比3,382億円減少して△4,937億円となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の発行がなかったこと等から、前連結会計年度比200億円減少して△183億円となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期中4,801億円減少して1兆3,745億円となりました。

 当連結会計年度における、資本の財源及び資金の流動性については、以下の通りであります。

 当社グループの中核事業は銀行業であり、主に本店ほか支店が立地する地域のお客さまから預け入れいただいた預金を貸出金や有価証券で運用しております。

 固定資産の取得等の資本的支出につきましては、自己資金にて対応しております。また、今後の固定資産の取得や各事業分野への投資等、並びに株主還元等についても自己資金にて対応する予定であります。

 なお、期間損益や自己資本の安定成長を図るべく、これら資本の財源及び資金の流動性等については、リスクの状況等を把握の上、適切な管理を行っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当ありません。

 

6【研究開発活動】

 該当ありません。