第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営理念及び中期経営計画

当社グループでは、「おいしさと楽しさ」をモットーに、消費者ニーズに応える商品づくりを通じ、健康で豊かな食文化の向上に貢献し、顧客、取引先、社会に信頼され、そして従業員、株主、企業それぞれが充足することをめざしていくことを企業理念としております。中食業界で事業を展開する当社グループを取り巻く環境は、少子高齢化をはじめとした社会環境の変化や業態を超えた競争の激化、また消費者ニーズの多様化など厳しい環境が続いております。さらに新型コロナウイルスによる影響やウクライナ情勢に起因した世界的な資源価格や燃料価格の高騰など、国内外の経済動向は先行き不透明な状況が続き、中食業界におきましても、コロナ禍における消費者需要の変化への対応が求められる中、原材料やエネルギー価格の高騰等、引き続き厳しい状況が続いております。

当社グループは、「良品づくり」のさらなるレベルアップをめざす5カ年計画をテーマとし、「販売戦略」「コスト戦略」「人財戦略」「環境戦略」を基本戦略とする、中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)を策定し、連結売上高550億円、連結経常利益率3.3%(「収益認識に関する会計基準」適用後)を目指しており、計画達成に向け活動を進めております。

 

(2) 対処すべき課題

①販売戦略

当事業年度は、冷凍おせちや冷凍惣菜をはじめとする冷凍商品販売拡大のための設備の新設および増設を進めるとともに、積極的な営業活動により、冷凍事業の販売拡充を図りました。当社の総合的な商品開発力をアピールするため、2024年2月に開催された「スーパーマーケット・トレードショー2024」に前年に引き続いて出展し、お取引関係の方々をはじめ、多くのお客様から好評を博しております。また、製造開始からお客様のもとに届くまでの鮮度を高めることによる商品価値の向上により、他社との差別化、既存取引先様との深耕を図り、売上高は堅調に推移いたしました。

今後は、冷凍事業の拡大に継続して注力し、品質、おいしさ、鮮度にさらにこだわった「良品づくり」に挑み、取引先様、お客様に安心・信頼される商品づくりに注力してまいります。

②コスト戦略

当事業年度は、原材料やエネルギーコストの高騰等が続くなか、これらを吸収するべく、購買部による主要食材の調達方法の見直しの継続、原材料の高騰を見据えた新商品の提案、また原材料のアイテム集約を積極的に行いました。また省エネ効果の高い生産設備の導入、生産工程の整備と人員配置の最適化を図り、生産効率の向上と各工場横断的な製造経費の見直しに取り組みました。

今後は、調達方法の見直しの継続や引き続き高騰が見込まれる原材料への対策を行っていくとともに、省エネ効果の高い生産設備の導入や生産効率の向上に努め、質の良い商品の提供とコストアップの吸収を図ってまいります。

③人財戦略

当事業年度は、アフターコロナの人流回復局面を迎え、感染防止に向けた従業員の健康管理に留意しつつ、WEBによる研修のほか現場巡回形式の職種別研修を徐々に再開し、スキルの向上や組織力の強化に取り組むとともに、階層別研修や昇格者研修、中堅社員研修を継続して実施しております。また、女性を中心に全従業員の活躍推進に向けたプロジェクトチーム「WORK+」(ワークプラス)を立ち上げ、育休制度の見直しや職場環境の改善に取り組みました。

今後は、さまざまな人財を資源としてとらえ、階層別研修の体系化や職種別勉強会を継続し、一人ひとりが活躍できる制度への改新と働きやすい職場環境整備により、風通しの良い組織づくりと、コンプライアンス研修による法令遵守の風土を醸成してまいります。

 

④環境戦略

当事業年度は、軽量化した発泡素材容器の拡充や、紙包材を使用したサンドイッチの販売など、商品づくりにおける積極的な環境負荷の軽減に継続して取り組むとともに、広島工場においては太陽光発電設備を導入、京滋工場においては生ごみ処理機を導入するなど、全工場で環境課題への取り組みを行いました。

今後は、サステナブルな社会の実現に貢献するため、引き続き廃棄物の排出量削減や廃棄物処理設備の導入、環境に配慮した包装資材のさらなる活用、フードロスの削減に向けたフードバンクの活用拡大など、SDGsを意識した環境負荷の軽減に努めてまいります。

 

以上により、第55期(2025年3月期)は連結売上高560億円、営業利益24.8億円、経常利益25億円、親会社株主に帰属する当期純利益17億円を見込んでおります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)サステナビリティに関する考え方 

当社グループでは、「おいしさと楽しさ」をモットーに、消費者ニーズに応える商品づくりを通じ、健康で豊かな食文化の向上に貢献し、顧客、取引先、社会に信頼され、そして従業員、株主、企業それぞれが充足することをめざしていくことを経営理念としております。この経営理念にあるとおり、ステークホルダーの皆様から信頼され、持続可能な企業としてあり続けるために、私たちもまた世界市民の一員であるとの自覚のもとに、事業活動を通じて、その根源たる持続可能な地球環境と満足度の高い社会の実現を目指し、課題解決に努めてまいります。

 

 (2)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する活動を全社的な視点から推進するため、2022年12月にサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長、執行役員を委員とし、サステナビリティに関する基本方針や重要課題の抽出や目標の設定、進捗確認などを行い、定期的に取締役会へ報告いたします。

 

重要課題

取り組みテーマ

取り組み内容

環境負荷の軽減

環境配慮型容器の拡充

・プラスチック使用量の削減が可能な軽量化容器の拡充

・資源をリサイクルしたエコトレーの拡充

・サンドイッチの紙使用包材の拡充

フードロスの削減

・チルド商品や冷凍商品などのロングライフ商品の開発

・フードバンクとの連携による食材の寄贈

・生ごみ処理機による食品廃棄物の削減

CO2排出量の削減

・省エネ機器の導入

・再生可能エネルギーの活用

誰もが働きやすく、活躍できる職場環境の整備

人財の採用と育成

・昇格者研修や経営幹部研修など階層別研修の拡充

・営業勉強会や資材勉強会など職種別勉強会の拡充

女性の活躍推進

・子育てに関連する人事制度の拡充

・女性社員による職場環境整備の提案

障がい者雇用の拡大

・学校や支援機関との連携による採用強化

・職場見学や職場実習による定着率の向上

 

 

 (3)戦略

  ①環境負荷の軽減

世界的な環境破壊、異常気象の多発、資源の枯渇などが懸念される中、「環境負荷の軽減」を重要課題の一つとして、「環境配慮型容器の拡充」「フードロスの削減」「CO2排出量の削減」に取り組み、事業活動を通じて発生する環境負荷を軽減し、循環型社会・脱炭素社会の実現を目指してまいります。

 

  ②職場環境の整備

人的資本の活用として、ジェンダーをはじめとするダイバーシティの実現に向け、性別・国籍・年齢を問わず、多彩な人財一人ひとりのスキルと経験を向上させつつ、常に次世代を念頭においた研修及び教育を中期経営計画に沿って実施していくことを人財育成の基本方針としております。また、性別・国籍等を超えた風通しの良い組織の構築と、人財が定着できる職場環境整備を進めてまいります。

 

 (4)リスク管理

 当社グループは、リスク管理について定める「リスク管理規程」にしたがって、リスクの未然防止のための体制を整備するとともに、重大リスク発生における対応を的確に行い、企業価値の保全を図っております。また、管理本部長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、気候変動を含むリスクの識別、評価を行い、重点リスクへの対応方針を決定し、その取り組みを行います。

 

 (5)指標及び目標

 主な指標と目標は以下のとおりであります。なお、環境負荷の軽減における目標値は定めておりませんが、(3)戦略に取り組み、事業活動を通じて発生する環境負荷を軽減してまいります。

指標

2023年度

実績

目標

管理職(係長職以上)

に占める女性労働者の割合

12.3

2030年度まで20%を目指してまいります。

男性労働者の育児休業取得率

47.0

2025年度において30%以上を維持してまいります。

労働者の男女の賃金の差異

68.8

女性社員の積極採用、女性管理職比率向上により男女間賃金格差の是正に取り組んでまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる事項は以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものでありますが、リスクはこれに限定されるものではありません。

 

①固定資産の減損について

当社グループは、事業の用に供するさまざまな有形固定資産を有しておりますが、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」の適用により、時価の下落や将来のキャッシュ・フローの状況によっては、これらの資産の減損処理が必要となる場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②大幅な気候変動について

当社グループでは、「安全・安心」でお客様に「見て・持って・食べて」楽しんでいただける商品を提供するため、様々な原材料や容器包装資材を使用し商品の製造を行っております。将来、大幅な気候変動により生産地にて原材料の収穫不足があった場合や自然災害の発生件数が増加した場合、原材料の調達価格の上昇や供給不足を招くリスクを有しており、またお客様の意識変化により、生産過程での炭素排出量が多い商品の需要が減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

③災害等について

当社グループは、関東から東海・関西及び中四国地区のエリアで8工場が稼働しております。大規模な地震や台風などの自然災害や大規模な事故が発生した場合、電気、ガス、水道等のライフラインの供給停止や生産設備への被害、物流の遮断やコンピューターネットワークのシステム遮断・障害の発生による、製造や供給の困難に陥ることが考えられます。また、自然災害の他、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症や伝染病が発生し、社会全体に甚大な影響を及ぼす場合や従業員が罹患した場合には、工場の稼働停止や売上高の減少など当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④食の安全性について

当社グループでは、「安全・安心」に注力した商品作りを徹底し、国際認証基準となる食品安全システムであるISO22000やFSSC22000などの手法に基づいた衛生管理、品質管理を行い、「食の安全性の確保」に注力しております。

しかしながら、上記の取り組みの範囲を超えた食材の根本に関わる問題が発生した場合、または、当社グループ製品に直接関係がない場合であっても、風評などにより社会的信用度が低下するなどの事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤法的規制について

当社グループの営んでいる事業に関する主たる法的規制には「食品衛生法」「食品表示法」「水質汚濁防止法」「製造物責任法」などがあり、これらの遵守に万全を期しています。

しかしながら、より厳格な法規制が導入されたり、規制当局の法令解釈が従来よりも厳しくなるなどにより多大な法的責任、不利な措置が課された場合や法的手続きへの対応に多大なコストがかかる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥取引先の競合環境について

当社グループの属する中食業界では、市場規模は拡大傾向にあるものの、取引先であるコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア等において業態の垣根を越えた統合・再編の加速により競争が激化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦原材料等購入価格の高騰について

当社グループ製品の主要原材料は、米・野菜などの農産物・畜産物であり、購入価格は商品価格相場に大きく影響されます。また、天候不順や地政学リスク、為替レートなど外的な要因により、仕入価格が変動する可能性がある原材料があります。

これらの影響を吸収できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧人材の確保について

当社グループでは、2,000名を超えるアルバイト労働者が従事しており、良品作りを支える重要な戦力となっており、今後の少子高齢化や労働人口の減少のなかで人材の確保は、大変重要な事項になると考えております。

今後、製造現場をはじめとする人材獲得競争の激化により人材確保が計画通りに進まなかった場合、また、最低賃金の引き上げなど法改正への対応により労働条件などの環境に変化があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑨事業環境について

 当社グループでは、「おいしさと楽しさ」をモットーに当社グループならではの商品開発を進め、顧客ニーズの多様化やライフスタイルに合った商品を提供することに注力しております。

 しかしながら、商品開発が市場や顧客ニーズに合わなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑩特定の取引先への依存について

当社グループの売上高は、株式会社ファミリーマートが全体の半分以上を占めており、同社の出店政策や価格政策などの経営戦略が変更になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、同社との取引関係をより強固なものとするため、製品の開発、品質の向上などに努めております。なお、株式会社ファミリーマート向けの販売実績は、「4 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 (c)販売実績 (注)」に記載のとおりであります。

⑪情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、生産・販売・管理等の情報をコンピューターにより管理しております。コンピューターウイルス感染によるシステム障害やハッキングによる被害及び外部への社内情報の漏えいが発生しないようセキュリティに万全の対策を講じております。

また、運用面においては自然災害によるデータの消失に備えたバックアップを行うとともに、アクセス権限の設定、パスワード管理等により情報漏えいの防止に努めております。

しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃や当社グループの取組みの範囲を超える事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流増加などにより、経済活動の正常化が徐々に進み、緩やかな回復傾向が見られたものの、緊迫した世界情勢に加え、物価の上昇や金融資本市場の変動リスクなど依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループは中食業界に属し、主要な取引先であるコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア等へ弁当、おにぎり、調理パン、寿司及び惣菜等を製造卸販売しており、当社グループを取り巻く環境は、原材料の高騰やエネルギー価格の高止まり、物価上昇などの不安による消費者マインドの低迷など引き続き厳しい状況が続いております。

こうした状況下、当社グループは、「良品づくり」のさらなるレベルアップをめざす5カ年計画をテーマとした中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)を策定し、4つの基本戦略、「販売戦略」、「コスト戦略」、「人財戦略」、「環境戦略」に基づき目標達成に向け取り組んでおります。

販売面では、昨年に続いて「スーパーマーケット・トレードショー2024」に出展し、新規取引先の獲得に向けて、冷凍カテゴリーのほか常温商品やチルド商品など温度帯別の対応をアピールいたしました。既存取引先様へは当社の製品ラインナップを幅広く提案し、顧客のニーズに沿った営業活動の展開、生協様向けの夕食宅配弁当やカフェチェーン様向け商品の取引拡大により、売上高は堅調に推移いたしました。また冷凍事業においては2拠点目となる名古屋工場で冷凍設備を導入し、10月から冷凍おせちの製造を開始しました。大阪工場においても新規トンネルフリーザーを組み込んだ製造ラインを1ライン増設するなど、事業拡大に向けた冷凍設備への積極的な投資を行っております。

開発面では、商品力の強化と開発社員の技術向上をはかるため、現役のシェフなど社外からの講師を招いた勉強会を開催するとともに、「手作り感」や「出来立て感」をコンセプトに内製化をさらに進め、原材料の産地や製法など一品一品にこだわりを持たせた商品の開発に注力しております。また、原材料や製法に加えて包材やラベルなど、総合的な商品訴求力を持たせることで他社との差別化を図り、既存商品のブラッシュアップと新商品の提案を積極的に行いました。

コスト面では、労働コストの増加、原材料やエネルギー価格の高騰等が続いておりますが、これらを吸収するべく主要食材の調達方法の見直し、調理加工品アイテム数の削減や機械化による品質及び生産性の向上、各工場間での横断的な製造経費の見直しに取り組むとともに、原材料の高騰を見据えた商品規格の見直しを継続して行っております。

人財面では、職種別の会議体や勉強会においてWEBの活用に加えて各事業所への現場巡回を行い、スキルの向上や組織力の強化と均一化に取り組みました。また女性活躍推進プロジェクトチーム「WORK+」(ワークプラス)を立上げ、従業員の働きやすい環境を整えるとともに、女性リーダー研修、経営幹部研修などを通じた育成に加え、ライフステージに合わせた活躍の場を提供することで、より組織を活性化し「従業員」一人ひとりがいきいきと働ける職場環境の整備に努めております。

環境面では、プラスチック使用量を削減するため、軽量化した発泡素材容器への切換えや、広島工場に太陽光パネルを設置するなどCО2排出量削減に取り組みました。また各事業所にて、地域の方々とともに清掃活動のボランティアに参加するなど、社会貢献活動に取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(a) 財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産は、売掛金の増加を主因に前連結会計年度末と比較して5千4百万円増加し、304億3千5百万円となりました。負債は、長期借入金の減少を主因に前連結会計年度末と比較して8億7千4百万円減少し、154億7千5百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益11億6千7百万円を計上する一方、配当金の支払額2億6千5百万円等により前連結会計年度末と比較して9億2千8百万円増加し、149億5千9百万円となりました。

 

(b) 経営成績

当連結会計年度の業績は、売上高は前期比37億7千8百万円増548億2千5百万円、経常利益は前期比5億5百万円増24億9百万円、名古屋工場の減損損失を8億1千2百万円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比10億6千4百万円増11億6千7百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は69億8千1百万円と、前連結会計年度末と比較して3億4千7百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は36億7千万円(前連結会計年度は29億7千万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16億2千2百万円減価償却費15億3千9百万円減損損失8億1千2百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は16億9千9百万円(前連結会計年度は9億4千万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16億6千1百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は16億2千3百万円(前連結会計年度は8億7千9百万円の支出)となりました。これは主に、借入れによる収入7億円、借入金の返済による支出19億8千万円、配当金の支払額2億6千5百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

 

品目

金額(百万円)

前年同期比(%)

弁当類

22,196

102.6

おにぎり類

14,208

109.2

調理パン類

7,695

124.2

寿司類

3,513

113.1

その他

6,317

97.7

53,931

106.9

 

(注) 金額は、販売価格により表示しております。

 

(b) 受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造・出荷しておりますので、受注ならびに受注残高についての記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

 

品目

金額(百万円)

前年同期比(%)

製品

 

 

弁当類

22,195

102.5

おにぎり類

14,209

109.2

調理パン類

7,693

124.2

寿司類

3,513

113.1

その他

6,535

100.7

小計

54,147

107.3

仕入商品等

678

113.7

合計

54,825

107.4

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱ファミリーマート

27,813

54.5

28,831

52.6

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、304億3千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ5千4百万円増加しました。これは主に売掛金の増加によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、154億7千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億7千4百万円減少しました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、149億5千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億2千8百万円増加し、自己資本比率は、48.8%となりました。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ37億7千8百万円増加し、548億2千5百万円(前年同期比7.4%増)となりました。これは主に、「内製化」や「手作り感」にこだわり他社との差別化を図ることで既存取引先様への販売が拡大したこと、またカフェチェーンや生協様との取引の伸長や冷凍おせちをはじめとする冷凍事業の拡大により、売上高が堅調に推移したことによります。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ9億4千9百万円増加し、80億7百万円(前年同期比13.5%増)となりました。また、売上高総利益率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加し、14.6%となりました。これは主に、売上高の増加に加え、原材料やエネルギーコストの高騰が続く中、スピード感を持って商品規格の見直しや新商品の提案を積極的に行い、また購買部による主要食材の調達方法の見直し等でコストの低減を図り、さらに機械化による品質及び生産性の向上に取り組んだことによるものであります。

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ4億5千6百万円増加し、56億3千8百万円(前年同期比8.8%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う営業や開発人員の増員による人件費の増加であります。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ4億9千2百万円増加し、23億6千9百万円(前年同期比26.3%増)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ8百万円増加し、8千2百万円(前年同期比11.9%増)となりました。これは主に、受取利息及び配当金と助成金収入の増加によるものです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ3百万円減少し、4千2百万円(前年同期比7.5%減)となりました。これは主に、支払利息の減少によるものであります。

 

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ5億5百万円増加し、24億9百万円(前年同期比26.5%増)となりました。また、売上高経常利益率は前連結会計年度と比べ0.7ポイント増加し、4.4%となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ2百万円増加し、5千万円(前年同期比5.1%増)となりました。これは主に太陽光発電設備に係る補助金収入によるものであります。特別損失は、前連結会計年度に比べ6億4千4百万円減少し、8億3千8百万円(前年同期比43.5%減)となりました。これは主に、名古屋工場の減損損失によるものであります。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10億6千4百万円増加し、11億6千7百万円(前年同期比1,032.5%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(b) 財務政策

当社グループは、運転資金及び設備投資など事業活動に必要な資金については、自己資金及び金融機関からの借入により資金調達することとしております。当連結会計年度末において、有利子負債は72億6千3百万円であります。

今後も営業活動により得られるキャッシュ・フロー及び借入を基本に将来必要な資金を調達していく考えであります。

 

③重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「良品づくり」のさらなるレベルアップをめざす5カ年計画をテーマとし、「販売戦略」「コスト戦略」「人財戦略」「環境戦略」を基本戦略とする、中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)を策定し、連結売上高550億円、連結経常利益率3.3%(「収益認識に関する会計基準」適用後)を目指しており、計画達成に向け活動を進めております。

4年目となる2024年3月期は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流増加などにより、緩やかな回復の動きがみられ、連結売上高548億2千5百万円であり、2023年5月11日に開示しております連結売上高計画515億円に比べ、33億2千5百万円の増加となりました。連結経常利益率は4.4%であり、連結経常利益率計画3.7%に比べ、0.7ポイント増加となりました。引き続き当該目標の達成に向け邁進してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動については、米飯製品の競争激化に伴う製品の多様化、ライフサイクルの短縮に対応するとともに、流通チャネルに適応した製品、鮮度への要求にも配慮した製品の開発に力をそそいでおります。

また、既存製品の改良・開発につきましては、ますます顕著になってくる消費者のライフスタイルの変化に適応する製品づくりを進めてまいります。

なお、当社グループは、食品製造卸販売事業を営む単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。