当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業理念である「人を育て 人を活かす」に則り、ミッションを「働く機会と希望を創出する」とし、企業と人の成長を支援する人材ソリューションサービスで、働く人がやりがいを持ち、成長していける職場を作り上げていくとともに、社会変化や産業構造変化に対応できるサービスの提供を目指し、「高い成長力のある企業グループに変革する」ための取り組みを推進してまいります。
(2)経営戦略
国内外において、少子高齢化に伴う労働力人口の減少、地政学リスクの顕在化、頻発する異常気象、多様化する顧客の人材ニーズや労働者のニーズ、Society5.0の進展など、当社グループを取り巻く経営環境はかつてない速さで変化を続けております。
このような環境の中、当社グループは、ミッションの実現に向けたマテリアリティ(重要課題)を「働きやすい職場づくり」、「社会変化や構造変化への対応」、「ガバナンスの強化」と定義しております。デジタル化の推進と人材投資を積極的に行い、従業員満足と顧客満足を最大化させ、必要なスキルを有した人材を輩出することによる高付加価値サービスの提供を行い、管理体制や内部統制の強化に取り組むことで、社会価値創造による企業価値の向上を図っております。
(事業環境・市場機会)
我が国では、少子高齢化の進行に伴い、労働力人口は減少し、人手不足が社会的な課題となっております。課題解決のためには、安定産業から成長産業への人材の流動化や、今まで以上に女性、中高年人材、障がい者、グローバル人材等、多様な人材が活躍できる機会を広げることが不可欠となる中、個々の事情に応じて就業時間や就業場所を自由に選べる等、働き方にも多様な選択肢が求められております。また、IoT、AI、ビッグデータ、ロボット、5Gを基盤とする技術革新は産業界全体を巻き込んでアナログな作業を縮小させ、必要とされる人材像もPCや機械及び装置を操作する人材から、PCや機械及び装置が正常に動作するようにプログラムを組む人材や、それらの保全を行うことができる人材へと変わってきており、このような人材ニーズは今後も拡大することが見込まれることから、当社グループの市場機会も拡大していくものと認識しております。こうした環境下において、当社グループは、産業界が必要としている人材をお客様との連携を通じて育成し、付加価値の高いサービスを提供することで顧客満足度を向上させながら、従業員に対しては、育成と連動するキャリアアップの機会を拡充し、異業種間連携や資本業務提携、そしてМ&Aなどのパートナーシップの構築を通じて、従業員の希望に合わせたキャリアチェンジの機会を拡大させ、従業員満足度を高めてまいります。
(事業戦略)
事業ポートフォリオ戦略においては、製造派遣や製造請負に代表されるコア領域の「深化」とエンジニア派遣に代表される当社グループの注力領域の「探索」を両立させてまいります。あわせて、コア領域事業の高質化と高付加価値化の推進を図ってまいります。
変化するモノづくりに対応したサービス提供に向けて、顧客と共に価値を創り出せるビジネスモデルへの転換を図ってまいります。
事業別の戦略については次のとおりになります。
(総合人材サービス)
製造生産系人材サービス
製造生産系人材サービスでは、主に製造派遣、製造請負を行っており、顧客へのサービス提供体制を強化し、重要な顧客におけるシェア率を向上させることで、効率性を向上させ、「稼ぐチカラ」を強化してまいります。
エンジニア系人材サービス
エンジニア系人材サービスでは、製造業を中心としたエンジニア派遣、SES(System Engineering Service)を行っており、高付加価値領域の拡大のための人材育成を継続してまいります。
事務系人材サービス
事務系人材サービスでは、一般事務派遣、BPO(Business Process Outsourcing)を行っており、サービスの再構築を図り、新たなメニューの開発にも取り組んでまいります。
その他の人材サービス
その他の人材サービスでは、高年齢者社員、および障がい者社員が活躍できるモデルの構築に取り組んでまいります。
(介護・福祉サービス)
介護・福祉サービスでは、施設介護、在宅介護を行っており、提供サービスの充実を図りながら、新たなメニューの開発にも取り組んでまいります。
(基盤強化戦略)
人的資本経営の実践に向けて、人材管理、教育研修、キャリア開発などに積極的に人的資本投資を行い、顧客と共に育成の連携を図ることで、付加価値の高いサービスの提供を目指してまいります。
また、人材流動化への対応に向けては、労働者の能力と企業ニーズを発掘、可視化し、人材発掘と事業機会の拡大を両立させてまいります。あわせて、キャリア開発において、強みの伸張と不足領域の補完を実現することで、適材適所の配置につなげてまいります。
更に、業務のデジタル化によるビジネストランスフォーメーション(BX)の実現に向けて、基幹系システムの再構築、データ活用基盤の整備、XR技術の活用推進、顧客とのデータ連携を図ることで、データを基にした経営体制の構築を目指してまいります。
(3)目標とする経営指標
(単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
||
目標 |
実績 |
目標 |
実績 |
目標 |
|
売上高 |
88,600 |
90,827 |
100,000 |
96,858 |
115,000 |
営業利益 |
2,700 |
2,268 |
4,000 |
3,058 |
6,700 |
(営業利益率) |
3.0% |
2.5% |
4.0% |
3.2% |
5.8% |
自己資本利益率(ROE) |
平均20%以上 |
||||
財務レバレッジ |
2.5倍以下 |
||||
配当性向(連結) |
30%以上 |
当社は、2023年10月2日に単独株式移転により日総工産株式会社の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同期と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)と、また、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度末(2023年3月31日)と比較しております。
また、当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となった日総工産株式会社の連結財務諸表を引き継いで作成しております。
当連結会計年度において、当社グループは、中核である総合人材サービスの事業拡大に向けて、個々のお客様のニーズに応えるだけではなく、技術革新や環境問題などを背景に加速度的に産業構造が変化していくなか、産業(インダストリー)ごとのニーズを捉え、積極的かつスピーディに応えていく「インダストリー戦略」を推し進めてまいりました。
当連結会計年度の連結売上高は、前期比で6.6%の増収となりましたが、中期経営計画で目標としていた売上高には届きませんでした。特に、インダストリー戦略の主力であるオートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)では、前年度から続いていた部品不足が解消し生産活動が回復しました一方、年度末にかけて発生した認証問題等の影響から製造スタッフの稼働時間が減少しました。また、セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)及びエレクトロニクスインダストリー(電子機器製造業界)については、生産活動の回復遅れの影響を受け、製造スタッフの在籍人数が減少しました。
利益面においては、事業の拡大や事業基盤の強化に向けた従業員の増強による人件費の増加などがあったものの、売上高の増加で吸収した結果、営業利益で前期比34.8%の増益となりましたが、目標とする営業利益、営業利益率には届きませんでした。
3期目となる2025年3月期における見通しの詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 d.経営環境等の認識及び分析・検討内容と今後の見通し」に記載のとおりであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの企業価値と企業の存在意義を継続的、持続的に高めていくためには、以下に示す課題があることを認識しております。
(総合人材サービス)
採用力の強化と人材確保
経済活動の正常化に伴う人材ニーズの高まりにより、当社グループにおいても就業者の確保が課題であると認識しております。
当社グループは、人材確保という課題に対し、テレビCMやSNS活用といったプロモーションへの投資を強化し、自社採用サイトをはじめとしたWeb媒体などを有効活用した採用活動を行っております。また、高付加価値人材の採用に向けて、当社グループ内での人材流動化と他社とのアライアンスを推進する「採用コンソーシアム」の拡大も図ってまいります。
人材育成への取り組み
主要顧客である製造業界では、求められる人材に対し、より高度な技能や技術が求められるようになってきており、就業者のスキルアップが重要な課題であると認識しています。
当社グループは、就業者が製造業務からエンジニアなどの高度な業務に就くことを積極的に支援しており、リスキリングによるキャリアチェンジの推進、デジタル技術を用いた教育、全国にある教育研修施設を積極活用した教育体制の構築と教育プログラムの高度化を図ることで個々のスキルアップを推進してまいります。
サービスメニューの多角化
連結売上高において、総合人材サービスは約9割を占めております。当該サービスはお客様との継続的な取引関係をベースとしており、「安定性」と「依存度」の2つの側面を持ち合わせている事業であることから、顧客の生産動向に当社グループの業績が大きく左右されることが課題であると認識しております。
当社グループは、エンジニア系人材サービスの拡大のみならず、HRテックやAI関連サービスといった当社グループの事業と親和性の高い領域へ進出し、M&Aや新たなパートナーシップの構築などをつうじて価値共創に取り組むことで、中核である総合人材サービスの事業拡大を図ってまいります。
収益性の向上
当社グループが持続的に利益成長を続けていく上では、経営管理機能や事業運営基盤の強化に係るコストの増大が課題であると認識しております。
当社グループは、採用活動の効率化、DXの推進、キャリアパスの明確化、教育・研修体制の整備、現場管理機能の強化などに取り組むことで、生産性の向上に努めてまいります。
(介護・福祉サービス)
サービス品質の向上
お客様にさらに満足いただける介護・福祉サービスを提供するために、介護就業者の安定的な確保と定着率向上が課題であると認識しております。
当社グループは、介護就業者への階層別教育や採用者への導入教育を実施し、より働きやすい職場環境づくりを推進することで、職員の定着向上を図り、質の高いサービスの提供を目指してまいります。
収益性の向上
施設介護において、入居者数の減少による施設稼働率の低下は、介護・福祉サービスの業績に大きく影響を及ぼすことが課題であると認識しております。
当社グループは、WebやSNSの積極的な活用や内覧会を通じて、入居を検討されるご家族様との接触機会を増やしております。お客様一人ひとりのニーズを把握した介護サービスを提供し、お客様に選ばれる事業者となることで、安定的に高い施設稼働率の実現を図ってまいります。また、採用活動の強化、DXの推進、キャリアパスの明確化、教育・研修体制の整備、現場管理機能の強化などに取り組むことで、生産性の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(基本的な考え方)
当社グループは、「働く機会と希望を創出する」というミッションの達成に向けて、グループの原動力である「人」への投資を通じて社会や環境への貢献を図ることが重要であると認識しており、2021年10月に策定した「サステナビリティ方針」に基づき、持続的な事業の成長を目指すと共に、人権と労働、環境、安全衛生、倫理の方針を定め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しております。
サステナビリティ方針に基づく、各種方針の関連性は次のとおりになります。
当社グループは、サステナビリティのフレームワークである、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標に基づいた活動を推進しております。
(1)ガバナンス
当社の代表取締役社長を委員長とした「企業価値向上委員会」の傘下に「サステナビリティ協議会」を設置し、サステナビリティに関する課題の把握と解決に向けた対策の立案を行い、当社の「取締役会」でサステナビリティに関するリスク及び機会を監視・管理・承認しております。
なお、企業価値向上委員会に関する詳細については、「
(2)戦略
当社グループの事業の持続的な成長を目指す上では、「人材育成」と「ダイバーシティ」が最も重要であると定義しております。事業の価値向上の観点において、当社グループは、あらゆる分野であらゆる可能性に挑戦する人材を育成することで、高度人材の比率を向上させていきます。また、全ての従業員が夢とやりがいを持てる職場づくりを目指し、多様な人材が活躍できる場を構築してまいります。リスクマネジメントの観点では、人権尊重、気候変動への対応、安全と健康、コンプライアンス、地域環境保全といった活動も重要であると認識しており、各種リスクの低減と社会への貢献を目指した取り組みを進めております。
(人材育成)
「機会」と「リスク」
当社グループを取り巻く経営環境は、人手不足、少子高齢化、地方衰退、高度な情報処理技術への対応、温室効果ガスの抑制など、大きな社会変化に直面しております。一方、社会変化に伴う人材市場における新たなニーズが生まれており、当社グループにおいては、これらのリスクは事業を拡大する「機会」であると認識しております。当社グループは、2021年10月に策定した「人財育成方針」に基づき、従業員満足度の向上、キャリアアップ・キャリアチェンジを積極的に支援することで働きがいを創出し、能力開発、処遇や働き方の向上を図ることで、あらゆる分野であらゆる可能性に挑戦する人材育成を実践しております。
和文:https://www.nisso-hd.com/sustainability/social/human-resources/
英文:https://www.nisso-hd.com/en/sustainability/social/human-resources/
取り組み
当社グループの事業の持続的な成長を目指す上では、当社グループの「高度人材比率の向上」が重要であると認識しております。
高度人材社員であるエンジニア系社員数の増加に向けて、付加価値の高い教育を実施すべく、教育訓練施設である日総テクニカルセンターとトレーニングセンターを全国に設置し、ものづくりの職場において必要な技能や技術を向上させるために教育訓練施設の設備を利用して、半導体製造装置や自動車組立工具などの実機を使用した実践的な訓練を積極的に行っております。また、多様な人材が専門性の高い技能や技術を身に付けることで多様な社会で活躍でき、お客様や従業員のエンゲージメント向上へつながるように人材の育成を行っております。更に、2024年3月に今後拡大が見込まれる蓄電池に特化した研修を実施する教育訓練施設を滋賀県に開設いたしました。
当連結会計年度において、「高度人材比率の向上」を目指した重要な指標である従業員に占めるエンジニア系社員の比率は9.5%(前年と同水準)となりました。
(ダイバーシティ)
「機会」と「リスク」
日本国内の少子高齢化の加速はリスクである一方、当社グループにとっては「人」の採用や活躍支援のニーズにつながる事業機会であると認識しております。当社グループは、2023年3月に策定した「社内環境整備方針」に基づき、女性、高年齢者、外国人、障がい者を含めた多様な人材が活躍できる環境を構築することで、事業の持続的な成長を目指しております。
和文:https://www.nisso-hd.com/sustainability/social/divercity/
英文:https://www.nisso-hd.com/en/sustainability/social/divercity/
取り組み
当社グループにおいては、事業の持続的な成長を目指し、全ての従業員が夢とやりがいを持てる職場づくりを目指し、「多様な人材が活躍できる場」の構築が重要だと認識しております。多様な人材の活躍に向けて、当社グループは、当社グループの女性管理職比率の向上を目指しております。
当連結会計年度において、当社グループの女性管理職比率は11.4%(前年同期11.3%)となりました。当社グループは、女性を含めた多様な人材が「働きやすい職場づくり」に向けて、人的投資を実践し、組織力の強化を継続してまいります。
高年齢社員の活躍の場の創出
株式会社ニコン日総プライムは、2020年1月6日、当社と株式会社ニコンとの合弁により生まれました。ニコングループの高年齢の従業員の雇用機会の開拓と確保をはじめ、広く日本社会の高年齢者が働き続けられる仕組みの研究開発を行い、「働き続けられる社会を創造する」ことをミッションに掲げ活動しております。同社では、発足から2023年10月1日時点までに、ニコングループで経験を積んだ計31人の高年齢者が、新しい環境へ活躍の場を移し、それぞれが保有する知見・ノウハウを活かして活躍しております。
障がい者社員の活躍の場の創出
2007年4月に障がい者雇用を通じて企業の社会的責任を果たすことを目的として、障がいのある方々の雇用を積極的に取り組むべく、日総工産株式会社の特例子会社として日総ぴゅあ株式会社を設立しました。
日総ぴゅあは、業務を通じて障がい者社員のスキル・能力を伸ばすことで、一人ひとりの成長と自己実現の舞台を作り、活躍の輪を広げ、豊かで幸せな人生に導いていくことを使命として活動しております。
これからも法令遵守はもとより、高い倫理観を持ち、多様な価値観を受け入れ、一人ひとりのやりがい、働きがいを大切にする企業として、ともに成長しながら、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(人権尊重への取り組み)
当社グループは、人権、宗教、性別、性的指向、年齢、国籍、障がいなどの多様性を認め、あらゆる人権を尊重することが企業の責任であり、事業基盤を強めると認識しております。当社グループは「人権と労働に関する方針」を策定し、人権を尊重した経営に取り組んでおります。
(安全衛生への取り組み)
当社グループは、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを経営上の重要課題の一つとして認識しております。
当社グループは「労働安全衛生方針」に則し、体制の明確化、管理・活動の仕組みの構築、実践、改善を継続することで、経営リスクの低減と働く人々の就業機会の向上を目指しております。
(気候変動への取り組み)
当社グループは、原動力である「人」への投資を通じて社会への貢献を図ると同時に、事業存続に必要不可欠な気候変動への対応を重要な経営課題であると認識しており、事業と連動した取り組みを進めております。
なお、これまでの活動の詳細については、「サステナビリティ報告書2023」をご参照ください。
和文:https://www.nisso-hd.com/sustainability/report/
英文:https://www.nisso-hd.com/en/sustainability/report/
当事業年度においては、気候変動へ対応の実践や情報開示の更なる充実を目指し、次の内容について、当社の取締役会で検討し、承認を行いました。
2023年10月19日開催:気候変動への対応は経営課題であるとの認識についての審議、及び気候変動財務関連タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への「賛同」について、決議しております。
2023年11月17日開催:当社グループの長期削減目標である「2050年までにカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)」の達成に向けた中間削減目標を「2021年3月期を基準として2030年までに30%削減する」と設定すること、あわせて「サステナビリティ報告書2023」にて開示することについて決議しております。
また、当事業年度における日総工産株式会社のGHG排出量は3,016t-CO2(前年同期3,116t-CO2)となりました。削減の主な要因は、電気使用量を主としたScope2の削減であり、電気使用量全体の約30%に相当する本社において、全ての照明器具のLED化、再エネ電力契約に切り替えたことなどであります。
(コンプライアンス)
当社グループは、健全で誠実な事業活動を行う企業としての根幹となる考え方を示す「日総グループ企業行動憲章」および具体的な行動指針となる「日総グループ社員行動規範」を定めており、当憲章および当規範を記したポケットリーフレット「日総みちしるべ」を当社グループの役員・従業員に配布し、法令遵守や倫理的な行動の周知徹底を図っております。また、「コンプライアンス規程」にもとづき、法令、社内諸規則、社員行動規範等を誠実に遵守し、公正で透明な経営の実現に向けて、コンプライアンス体制の整備、実態の調査・把握、対応策の検討、再発防止策の決定などについて、当社の取締役会において、監視・管理・承認を行っております。
(地域環境保全)
当社グループは、全国に支店を有する企業であり、全国各地におけるパートナーシップが重要であると考えております。地域における就業機会の創出をはじめ、環境への配慮、社会貢献活動への参加などを通じ、それぞれの風習・文化などを理解し、地域社会の一員として経済の活性化と発展に貢献してまいります。
(3)リスクマネジメント
サステナビリティに関する機会及びリスクの低減に向けて、企業価値向上委員会においてコンプライアンスやリスクの運用管理と連動する形で分析と評価を行い、当社の「取締役会」にて監視・管理・承認を行っております。
詳細は、「
(4)指標及び目標
(人財育成方針に基づく活動)
指標 |
対象範囲 |
目標 |
実績(当事業年度) |
|
連結会社 |
( |
|
直接系社員 研修参加延べ人数(人) |
日総工産株式会社 |
- |
17,983 |
1人当たりの研修時間 (時間) |
日総工産株式会社 |
- |
8.80 |
人材開発・研修の総費用 (百万円) |
日総工産株式会社 |
- |
468 |
間接系社員 研修参加延べ人数(人) |
日総工産株式会社 |
- |
2,339 |
1人当たりの研修時間 (時間) |
日総工産株式会社 |
- |
7.07 |
人材開発・研修の総費用 (百万円) |
日総工産株式会社 |
- |
32 |
(社内環境整備方針に基づく活動)
指標 |
対象範囲 |
目標 |
実績(当事業年度) |
|
連結会社 |
( |
|
( |
連結会社 |
|
|
育児休業取得率(%) |
連結会社 男性 |
- |
25.0 |
連結会社 女性 |
- |
100 |
|
高年齢者社員数(人) |
株式会社ニコン日総プライム |
- |
697 |
障がい者の雇用人数(人) |
日総工産株式会社 (日総ぴゅあ株式会社) |
- |
223 |
障がい者の雇用比率(%) (注) |
日総工産株式会社 (日総ぴゅあ株式会社) |
法定雇用率の達成 |
2.28 |
(注)障がい者の雇用比率は、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく算定であり、2023年6月1日現在の障害者
雇用比率となります。
なお、連結子会社に関する「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づくその他の開示については、「
(人権と労働に関する方針に基づく活動)
指標 |
対象範囲 |
目標 |
実績(当事業年度) |
人権教育実施者数(人) |
日総工産株式会社 |
全ての従業員に実施する |
16,320 |
(労働安全衛生方針に基づく活動)
指標 |
対象範囲 |
目標 |
実績(当事業年度) |
労働災害休業度数率(年) |
日総工産株式会社 |
- |
1.14 |
労働災害休業千人率(年) |
日総工産株式会社 |
- |
1.01 |
(環境方針に基づく活動)
指標 |
対象範囲 |
目標 |
実績(当事業年度) |
Scope 1(t-CO2)(注1) |
日総工産株式会社 |
2050年までに、カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ) |
|
Scope 2(t-CO2)(注2) |
日総工産株式会社 |
|
(注)1.Scope 1は、社有車の燃料使用量から算出する排出量となります。
2.Scope 2は、事務所における電気使用量から算出する排出量となります。
3.CO2排出量の算定にあたっては、(株)三井住友銀行が提供するCO2排出量算定・削減支援クラウドサービス「Sustana」(SGSジャパン株式会社より計算式と排出計数DBの妥当性確認済)を利用しています。
(倫理方針に基づく活動)
指標 |
対象範囲 |
目標 |
実績(当事業年度) |
コンプライアンス教育実施者数(人) |
日総工産株式会社 |
全ての従業員に実施する |
16,320 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
当社グループは、事業目的に影響を与えるリスク(以下、「リスク」という。)について、「リスク管理規程」を定めるとともに、リスクに適切に対応できる体制の整備を図るために「企業価値向上委員会」を設置し、その傘下にリスク管理について協議する「リスク管理協議会」(以下、「協議会」という。)を設置しております。また、協議会はリスク管理規程にもとづき、具体的なリスクの特定・分析・評価を行い、その対応方針を定め、定期的に当社の取締役会への報告を行っております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
(1)特に重要なリスク
① 法的規制について
(総合人材サービス)
当連結会計年度における総合人材サービスの売上高は、連結売上高の96.9%を占めております。当サービスの中核である労働者派遣事業においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、有料職業紹介事業は「職業安定法」に基づき、厚生労働大臣の許可を受けて行っております。また、製造請負事業においては、製造派遣との区分が明記されている「厚生労働省告示第518号(旧労働省告示第37号)」に基づいて事業を運営しております。そして、これら以外にも労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、健康保険法、個人情報保護法等、多岐にわたる法律に基づいて事業を運営しております。
当社グループでは、法令遵守を経営の最重要事項と位置づけ、関係法令の教育、指導、管理、監督体制の強化に努めるなどして法令遵守の徹底を図っており、上記の諸法令に抵触する事実はないものと認識しておりますが、万一、関連諸法令に違反するような事象や不正行為等が発生した場合には、所轄監督官庁による処罰や社会的に信用が失墜し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、これら関係諸法令は情勢の変化に伴い見直しが行われており、この法改正が行われた場合、その改正内容によっては、事業運営への制限の発生や対応する体制構築に時間を要することにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの許可・届出状況
会社名 |
許可名称 |
監督官庁 |
許可番号 |
取得年月 |
有効期限 |
日総工産株式会社 |
一般労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派14-150048 |
2002年10月 |
2026年12月31日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
14-ユ-150026 |
2002年8月 |
2026年12月31日 |
|
日総ブレイン株式会社 |
一般労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派14-020001 |
1986年7月 |
2029年1月31日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
14-ユ-020011 |
2000年8月 |
2028年7月31日 |
|
株式会社ベクトル伸和 |
一般労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派23-300331 |
2005年9月 |
2028年8月31日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
23-ユ-300581 |
2008年7月 |
2026年6月1日 |
|
株式会社 ニコン日総プライム |
一般労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派14-303092 |
2004年2月 |
2027年1月31日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
14-ユ-301602 |
2007年10月 |
2025年9月30日 |
|
株式会社アイズ |
一般労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-011359 |
2003年10月 |
2026年9月30日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-300065 |
2004年5月 |
2027年4月30日 |
なお、上記の許可・届出について、事業停止、許可取消及び事業廃止となる事由は労働者派遣法第14条及び第21条、並びに職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において、当社グループはこれら事業停止、許可取消及び事業廃止事由に該当する事実はありませんが、該当した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(介護・福祉サービス)
介護・福祉サービスの売上高は、当連結会計年度売上高の3.1%に相当します。
介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所としての指定を都道府県知事から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員、設備及び運営に関する基準、並びに労働法規(労働基準法等)を遵守する必要があります。この基準並びに労働法規を遵守することができなかった場合や不正請求をした場合等においては、指定の取消又は停止処分を受ける可能性があります。
当社グループは各種マニュアルを整備し研修を行い、管理体制の強化を図り適切な事業経営に努めておりますが、万一、事業所において指定の取消又は停止処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 組織再編(企業買収、資本提携、業務提携等)のリスク
当社グループは、成長戦略の一環として今後も組織再編(企業買収、資本提携、業務提携)を行う可能性があります。事業環境の変化等の影響により、当初想定した効果を創出できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)総合人材サービスの事業リスク
① 取引先業種の景況による影響について
当社グループの売上高のうち製造系人材サービスの売上高が大半を占めており、取引業種別売上高の構成比をみると、自動車関連が最も高く、続いて電子デバイス関連が高くなっております。当社グループでは、事業展開にあたり企業、業種等による大きな偏りが発生しないように取り組んでおりますが、依存度の高い業界の業況が不振となる、又は取引規模の大きい企業の大規模且つ急激な生産変動や当社グループとの取引に対する姿勢の変更が生じるなどの場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 業界内における競争激化について
当社グループが属する人材サービス業界においては、法改正や人手不足を背景とした業界再編の動きが見られます。今後、採用力や価格競争力の高い競合が増加した場合、競争が激化することが予想されます。当社グループでは、顧客からのニーズを把握し、そのニーズに応えるための人材を募集し、顧客に対して的確かつ迅速な対応を行うことで顧客満足度を高め、競合会社と差別化を図っておりますが、受注を獲得するための過当競争が生じて受注価格の引き下げや人材を確保するための募集費用等が増加した場合、また必要な人員が確保できない場合には、売上機会の損失による売上高の低下や収益性の悪化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 製造請負について
当社グループで行っている工場構内の製造業務を請け負う製造請負は、労務管理と顧客企業の製品の生産量や納期、品質あるいは設備、在庫管理といった領域の責任を自社で負っており、当社グループでは付加価値の高い製造請負サービスを顧客企業に提供してまいりました。これらの長年の取り組みにより製造請負事業改善推進協議会(厚生労働省委託事業)から当社グループは「製造請負優良適正事業者」として認定されております。しかしながら、製造請負は、不良品の発生や顧客企業の設備の破損等の責任を負わなければならないため、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 労働災害等のリスクについて
当社グループの主たるサービスである製造系人材サービスは、取引先メーカーの工場構内において、製造派遣・製造請負を行っております。製造派遣は法律上、人材を取引先メーカーに派遣し、派遣した人員の指揮命令等の労務管理が派遣先に委ねられる形態となっております。一方、取引先メーカーの工場構内で行う製造請負においては、取引先メーカーとの業務請負契約により生産量、生産期限、品質及び取引先メーカーの備品を使用するにあたっての備品管理といった領域まで責任を負っております。
製造派遣の取引形態と製造請負の取引形態では、業務を遂行する社員及び製造スタッフが労働災害に見舞われた場合において責任主体が異なり、製造派遣においては取引先メーカーがその損害について責任を負うのに対し、製造請負においては当社グループが責任を負うこととなります。
労働災害に関しましては、基本的に労働保険の適用範囲内で解決されるものと考えておりますが、当社グループの瑕疵が原因で発生した労働災害において、被災者が労働保険の適用を超えて補償を要求する等、訴訟問題に発展した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 取引先企業の情報の取り扱いについて
当社グループの就業者は、取引先企業の生産計画や新製品の開発及び製造に関わる機密性が高い情報に接することがあります。当社グループにおいてはこれらの機密情報の扱いについて、業務請負契約書や派遣基本契約書等に、知り得た顧客情報は第三者に開示、漏洩してはならないと記載されており、就業者に対しても顧客情報の取り扱いの教育を行うなど適正な運用管理を行っております。しかしながら、予期せぬ事態によりこれらの情報が漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的な信用低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 業績の季節変動について
当社グループの事業において、毎年5月、8月、1月は連休等により稼働日が減少するため、売上高及び、利益の減少を予想しております。取引先であるメーカーがさらに大型連休等を設定した場合には、当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
(3)介護・福祉サービスの事業リスク
① 介護保険制度の改正について
介護・福祉事業(施設介護・在宅介護)は、介護保険法の適用を受けるサービスの提供を事業内容とするため、介護保険制度の影響を受けることになります。この介護保険制度は、3年毎に介護保険法及び介護報酬の改正が行われており、これに合わせて3年を1期とする市町村介護保険事業計画の策定が行われております。
その改正の内容によっては、事業内容の見直しや変更を余儀なくされる等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材(有資格者)確保について
当社グループが提供する介護サービスは有資格者によるサービスが義務付けられております。この有資格者は提供するサービス内容によって、人員基準及び設備基準が厚生労働省令で規定されているため適切な資格を有する人材を確保する必要があります。当社グループにおいては、人員基準を満たす人材獲得及び研修等に積極的に取り組んでおりますが、今後有資格者の確保が計画どおり進まず欠員が発生したり、基準の変更等により人材の補充が必要になっても確保できないこと等により、人員基準を満たせなくなった場合には、施設の新設及び現在提供しているサービス提供ができなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 業界内における競争激化について
介護保険制度の施行以来、介護サービスの利用者は増加傾向にあります。今後も高齢化が進行することにより、介護関連ビジネス市場は拡大が予測されており、当市場には医療法人や社会福祉法人といった非営利法人や株式会社等の営利法人なども参入してきている状況であります。当社グループは提供するサービスの質を高め、他社との差別化を図り、利用者の拡大とサービスの継続利用に努めておりますが、今後、新規参入などによる当業界内で一層の競争激化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 風評等の影響について
介護・福祉事業(施設介護・在宅介護)は、利用者やその家族からの信用に大きく依存しております。そのため、当社グループや施設に対するネガティブな風評等が発生、拡散し利用者やその家族をはじめとする市場関係者が当社グループ及び施設について事実と異なる理解・認識をされた場合には、新規利用者の獲得や施設稼働率の維持が困難となり、当社グループの運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 安全管理及び健康管理について
当社グループのサービス対象は高齢者が多いことから、お客様の体調悪化や転倒等が重大な事故に発展する可能性があります。当社グループといたしましては、従業員に対し長年の実績に基づいた社内研修や実地訓練を行うとともに、利用者様に対する健康チェックの実施や施設内外の設備保全など、安全・健康管理には万全を期し、細心の注意を払っております。しかしながら、万一、事故等が発生し当社グループの責任が問われた場合には、当社グループの信用が低下するとともに訴訟等で損害賠償請求を受けるおそれがあり、事業の存続を含め、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)当社グループの経営全般
① 気候変動について
a.洪水などの発生による稼働の停止
当社グループにおける気候変動による「物理的リスク」として、取引先工場が大型台風や暴風雨などの異常気象が原因で、サプライチェーンが滞ること、また被災による工場停止が発生することで、派遣・業務請負における勤務状況が減少する場合があります。特に、製造系生産サービスは、連結売上高の約8割を占めており、製造スタッフの多くが顧客工場で勤務していることから、異常気象の影響を受けた稼働停止は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.熱波や干ばつなどの発生による健康被害
当社グループにおける気候変動による「物理的リスク」として、温暖化に伴う熱波や干ばつなどの増加によって、当社グループの従業員に熱中症などの健康被害が増加し、勤務状況を低下させる可能性があります。特に、総合人材サービスにおけるスタッフの欠勤等による売上高の減少、介護・福祉サービスにおける介護スタッフの欠勤等によるサービス品質の悪化などが懸念され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.炭素税などの導入
当社グループにおける気候変動による「移行リスク」として、気候変動対応への機運の高まりによる新たな税制の導入などがあった場合に、当社グループの利益面に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害について
(総合人材サービス)
当社グループの主な就業場所は全国の顧客工場ですが、当該地域において大規模な地震、風水害等の自然災害が発生し、就業先工場が被災したり、製品調達先の被災によりサプライチェーン上の混乱などが生じ、生産活動が停止又は制限されたりした場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先における災害ではない場合でも、これらの災害が発生したことにより国内の経済状況が悪化してしまった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(介護・福祉サービス)
地震や津波等の大規模な自然災害が発生した場合、介護スタッフ及び施設が稼動できない状況になるおそれがあります。当社グループにおいては、お客様の安全を最優先とした危機管理態勢の強化を図っておりますが、これらの災害発生により、サービス提供ができなくなる場合、また、これら災害等の発生に対し、当社グループの責任が問われた場合には、信用が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報保護について
当社グループは、求職者(求人案件応募者や職業紹介希望者等)をはじめとする多数の個人情報を有しており、この個人情報及び個人情報に係る全ての情報を事業運営上もっとも重要な資産であると考えております。当社グループでは、2005年4月に施行された個人情報の保護に関する法律を遵守するとともに「プライバシーマーク」を取得し、個人情報保護理念・個人情報保護方針を定め、個人情報保護基本規程に則り、社内運用体制の整備、定期的な研修、情報管理の徹底強化等、個人情報の厳正な管理に留意しております。しかしながら、個人情報の故意又は過失による漏洩や不正使用などの事態が生じた場合には、損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、社会的な信用を悪化させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 固定資産の減損について
当社グループは、事業用の資産として土地・建物等の固定資産を有しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後地価の動向及び対象となる固定資産の事業の収益性状況によっては、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟について
当社グループでは、必要に応じた教育機会を設けるなどして法令遵守を徹底しているため、訴訟、紛争の可能性は低いものと考えております。しかしながら、不測の事態により当社グループに関連する訴訟、紛争が発生した場合において、当社グループが的確に対応できなかった場合には、訴訟や損害賠償等による費用等の発生や社会的な信用低下、さらに当社グループのブランドイメージの低下により顧客からの受注の減少や就業希望者の減少が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2023年10月2日に単独株式移転により日総工産株式会社の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同期と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)と、また、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度末(2023年3月31日)と比較しております。
また、当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となった日総工産株式会社の連結財務諸表を引き継いで作成しております。
なお、従来、決算期が2月末日であった当社の連結子会社である株式会社ベクトル伸和については、決算日を3月31日に変更しております。これにより、当連結会計年度の連結業績は当該連結子会社の2023年3月1日から2024年3月31日の決算を取り込んだものとなっております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、正常化に戻りつつある中、諸外国の景気が底堅く推移したことに加え、急激な円安の影響もあり物価上昇が加速しました。一方、世界的な金融引締めによる影響、中国経済の先行き懸念や中東地域をめぐる情勢などが、先行きの不透明感を増幅するリスクとなり、引き続き金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような経営環境の中、当社グループは「働く機会と希望を創出する」というミッションに基づき、企業と人の成長を支援する人材ソリューションサービスで、働く人が働きがいを持ち、成長していける職場を作り上げていくとともに、社会変化や産業構造変化に対応できるサービスの提供を目指し、「高い成長力のある企業グループに変革する」ための取り組みを推進しております。
当社グループは、ミッションの実現に向けたマテリアリティ(重要課題)を「働きやすい職場づくり」、「社会変化や構造変化への対応」、「ガバナンスの強化」と定義しております。デジタル化の推進と人材投資を積極的に行い、従業員満足と顧客満足の最大化、高付加価値サービスの提供、管理体制や内部統制の強化に取り組むことで、社会価値を創造し、企業価値の向上を目指しております。
当連結会計年度期間の業績は、次のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は31,354百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,261百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は16,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ736百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は15,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ525百万円増加いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高96,858百万円(前期比6.6%増)、営業利益3,058百万円(前期比34.8%増)、経常利益3,056百万円(前期比30.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,952百万円(前期比20.3%増)となりました。
売上高においては、グループの中核サービスである製造系人材サービスの在籍人数の伸張に伴い、前期比で増収となりました。また、利益面においては、事業の拡大や事業基盤の強化に向けた従業員の増強による人件費の増加などがあったものの、売上高の増加で吸収した結果、営業利益は前期比で増益となりました。
当連結会計年度における各種取組みは、次のとおりであります。
(総合人材サービス)
当連結会計年度における総合人材サービスの売上高は93,813百万円(前期比6.8%増)となり、売上総利益は15,682百万円(前期比10.1%増)となりました。
製造生産系人材サービス
製造生産系人材サービスは、主に製造派遣、製造請負に区分されます。
当連結会計年度における当サービスの売上高は76,862百万円(前期比5.2%増)となりました。
当連結会計年度においては、顧客の旺盛な人材ニーズに応えることで、当サービスの期末在籍者数は14,793名(前年同期比207名増)となりました。また、働きやすい職場づくりに向けて、職場環境の改善に取り組んだことから、1か月あたりの離職率は3.9%(前年と同水準)と低位で推移しております。更に、製造スタッフの請求単価の上昇により1人当たりの売上高が433千円(前期比2.5%増)となりました。
エンジニア系人材サービス
エンジニア系人材サービスは、製造領域及びIT関連のエンジニア派遣、SES(System Engineering Service)に区分されます。
当連結会計年度における当サービスの売上高は9,080百万円(前期比5.3%増)となりました。
当連結会計年度においては、期中にかけてセミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)の顧客における生産活動は低調だったものの、期末にかけて回復基調となり、当サービスの期末在籍者数は1,544名(前年同期比27名増)となりました。また、教育訓練施設を活用した独自の「人材育成モデル」を推し進めた効果もあり、1か月あたりの離職率は2.0%(前年2.1%)と低位で推移しております。一方、1人当たりの月平均売上高は505千円(前期比13千円減)となりました。
事務系人材サービス
事務系人材サービスは、一般事務派遣、BPO(Business Process Outsourcing)に区分されます。
当連結会計年度における当サービスの売上高は2,162百万円(前期比4.9%減)となりました。
当連結会計年度においては、広報・集客活動を中心に採用活動を進めておりましたが、雇用市場の人員獲得競争激化による登録者数の伸び悩みもあり、事務系派遣の在籍人数は562名(前年同期比43名減)となりました。
その他の人材サービス
その他の人材サービスは、高年齢者社員の人材派遣、障がい者による軽作業請負などに区分されます。
当連結会計年度における当サービスの売上高は5,708百万円(前期比49.6%増)となりました。なお、当サービスにおける売上高については、2023年3月期の第2四半期連結会計期間より、株式会社ニコン日総プライムを連結子会社化しているため、増加率が大幅に向上しております。
高年齢者が活躍できる職場モデルの構築に向けて、高年齢者社員の活躍を支援し、継続して働くことができる雇用機会の開拓と確保、仕組みの構築に取り組んでおります。当連結会計年度におけるプライム社員(高年齢者社員)数は697名となりました。
また、障がい者社員が活躍できる職場モデルの構築に向けて、単に自社で障がい者社員を雇用するのではなく、一般の企業から軽作業の受託を行うなど、一人ひとりの特性を活かした自立型の活躍を推進しながら、学校関係者や支援機関そして行政をはじめとした地域社会との共生を目指しております。当連結会計年度における障がい者社員数は227名となりました。
(介護・福祉サービス)
介護・福祉サービスは、施設介護、在宅介護に区分されます。
当連結会計年度における当サービスの売上高は3,045百万円(前期比0.9%増)となり、売上総利益は332百万円(前期比7.9%増)となりました。
当連結会計年度においては、当サービスの中核である施設介護において、地域に根ざした心ある介護を通して社会に貢献することを目指し、集客活動を行った結果、介護施設の入居者数は381名(前年同期380名)となりました。また、介護スタッフの育成を行いながら、サービス品質の向上を目指すことで、施設における入居率は94.8%(前年同期94.5%)と引き続き高水準で推移しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,230百万円の収入となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは1,289百万円の支出となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは2,100百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、期首残高に比べ159百万円減少し、9,641百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,056百万円等の収入で、法人税等の支払額865百万円等の支出を吸収して、3,230百万円の収入(前連結会計年度は2,285百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出300百万円、有形固定資産の取得による支出650百万円等により、1,289百万円の支出(前連結会計年度は146百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出1,062百万円、配当金の支払額544百万円等により、2,100百万円の支出(前連結会計年度は1,112百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、総合人材サービス、介護・福祉サービスを提供しており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
上記「a.生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
総合人材サービス(百万円) |
93,813 |
6.8 |
介護・福祉サービス(百万円) |
3,045 |
0.9 |
合計(百万円) |
96,858 |
6.6 |
(注)総販売実績に対する割合が10%を超える販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は21,899百万円となり、前連結会計年度末に比べ151百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が159百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が366百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産は9,455百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,110百万円増加いたしました。これは主に、のれんが164百万円、投資有価証券が217百万円、退職給付に係る資産が192百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は31,354百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,261百万円増加いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は13,360百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,172百万円増加いたしました。これは主に、未払費用が434百万円、未払法人税等が240百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定負債は2,660百万円となり、前連結会計年度末に比べ436百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が468百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は16,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ736百万円増加いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は15,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ525百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,952百万円の計上と剰余金の配当544百万円及び自己株式の取得1,062百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は48.0%(前連結会計年度は48.4%)となりました。
b.経営成績
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ6,031百万円増の96,858百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,460百万円増の16,014百万円となりました。
これは主として、総合人材サービスにおける製造スタッフ等の請求単価の上昇に伴い、1人当たりの売上高が増加したことによります。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ670百万円増の12,956百万円となりました。
これは主として、事業拡大に伴う人件費が前連結会計年度より増加したことによります。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度に比べ789百万円増の3,058百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ57百万円減の168百万円となりました。
これは主として、新型コロナウイルス感染の縮小に伴い助成金収入が前連結会計年度に比べ72百万円減少したことによります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ24百万円増の169百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ707百万円増の3,056百万円となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ707百万円増の3,056百万円となりました。
(法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、前連結会計年度に比べ323百万円増の1,068百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ329百万円増の1,952百万円となりました。
(当社グループの成長に向けた取り組みの進捗)
当社グループは、産業界が必要としている人材をお客様との連携を通じて育成し、付加価値の高いサービスを提供することでお客様のニーズに応えながら、従業員に対しては、育成と連動するキャリアアップの機会を拡充し、異業種間連携や資本業務提携、そしてМ&Aなどのパートナーシップの構築を通じて、従業員の希望に合わせたキャリアチェンジの機会を拡大させ、従業員満足度を高めてまいります。
インダストリー戦略
当社グループにおいては、総合人材サービスにおける事業の拡大に向けて、個々のお客様のニーズに応えるだけではなく、技術革新や環境問題などを背景に加速度的に産業構造が変化していくなか、産業(インダストリー)ごとのニーズに積極的かつスピーディに応えていく「インダストリー戦略」を推し進めてまいりました。
当連結会計年度のインダストリー戦略領域の売上高は62,683百万円(前期比5.2%増)となり、連結売上高の64.7%を占めております。
オートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)においては、部品不足が解消し、生産活動の回復が見られたことから、人材ニーズは堅調に推移しました。他方、認証不正問題にかかわる生産停止の影響もあり、当連結会計年度におけるオートモーティブインダストリーの売上高は40,485百万円(前期比14.7%増)となりました。
セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)においては、期中の低調な生産活動の影響を受けて、在籍人数が減少したことから、当連結会計年度におけるセミコンダクターインダストリーの売上高は12,377百万円(前期比12.5%減)となりました。
同様に、エレクトロニクスインダストリー(電子機器製造業界)の生産活動も低調であり、製造スタッフの稼働時間の回復には至らず、当連結会計年度におけるエレクトロニクスインダストリーの売上高は9,819百万円(前期比3.2%減)となりました。
人材育成戦略
当社グループは、独自の「人材育成モデル」を構築・推進しております。具体的には、半導体製造装置などの実機を実装した教育研修施設を開設し、お客様のニーズに沿って開発した教育プログラムを用いて育成することで、職場配属後の習熟が早く定着の良い人材の輩出に取り組んでおります。こうした高度なOff-JTを用いたサービス提供は、お客様から高い評価をいただいております。
当連結会計年度における総合人材サービスの教育実施者数は延べ19,468名となり、うち、エンジニア人材への教育については、1,370名となりました。また、介護・福祉サービスの教育実施者数は延べ1,571名となりました。
当連結会計年度においては、2023年4月に日総テクニカルセンター熊本を開設し、九州半導体人材育成等コンソーシアムに参画するなど、今後訪れる半導体関連産業の拡大に「人」の側面から貢献するため、エンジニア人材の育成を推進しております。
また、教育訓練については、研修施設を中心に外部への展開も行っており、当連結会計年度における外部社員研修(受託)の延べ実施人数は187名となりました。引き続き、クライアントのニーズを把握し、これまでに培った教育コンテンツをカスタマイズしながら、お客様の課題解決に向けた事業推進体制を継続してまいります。
介護・福祉サービスにおいては、新たに採用された介護スタッフへの教育、施設介護におけるより良いサービス品質の向上に向けた教育が重要であると認識しております。これらのサービス品質を担保するために、OJTのみならず定期的なOff-JTが実施できる体制を構築しております。
財務戦略
当社は、自社の資本コスト(株主資本コストおよび加重平均資本コスト(WACC))を注視し、重要な経営指標を自己資本利益率(ROE)と投下資本利益率(ROIC)とした上で、稼ぐ力の追求と資本効率性の向上に取り組みます。また、安定的にROICが資本コスト(加重平均資本コスト(WACC))を上回る構造を実現する事で企業価値の向上に努めてまいります。なお、当連結会計年度においては、ROICが資本コスト(加重平均資本コス(WACC))を上回りました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重要な経営指標としている「営業利益率」は、前連結会計年度より売上総利益率が0.5ポイント改善し16.5%となる一方、販売費及び一般管理費率が0.1ポイント圧縮し13.4%となり、この結果、営業利益率は3.2%となりました。引き続き売上総利益率の向上及び販管効率の向上を図り、営業利益率の改善に取り組んでまいります。
d.経営環境等の認識及び分析・検討内容と今後の見通し
今後の見通しにつきまして、世界的な金融引締めや中東地域をめぐる情勢などの懸念はあるものの、日本国内経済は緩やかに回復することを見込んでおります。
当社グループの注力業界であるオートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)においては、一部メーカーにおける生産・出荷停止などの影響は徐々に解消し、生産活動は2024年度下期に向けて繁忙に向かっていくものと想定しております。また、セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)においては、一層のデジタル需要増が見込まれており、半導体製造装置やメモリなどのメーカーにおける生産活動は、2024年度下期には繁忙になるものと想定しております。エレクトロニクスインダストリー(電子機器製造業界)においては、半導体製造業界との連動性が高く、同様に生産活動が回復していくことを想定しております。
このような経営環境のもと、主要事業である総合人材サービスにおいて、提供サービスの質と内容を深化させることで、持続的な事業成長の実現に向けた「インダストリー戦略」を推進してまいります。
当社グループは、メーカーにおける生産活動の高度化、人材に求めるニーズの多様化、製造業全体における慢性的な人手不足といった課題への対応を目指し、今後必要となる事業領域の調査を行いながら、人材育成分野でお客様と共創してまいります。また、当社グループが拡大領域と位置付ける半導体や蓄電池の製造領域、保守・保全といった職種に、当社グループ独自の「人材育成モデル」を掛け合わせることで、高付加価値人材の育成を積極的に推進してまいります。官民と連携を取りながら、他産業や他職種で働いている人材に対して、リスキリングの機会を提供し、半導体関連の量産に対応できる人材育成も行ってまいります。今後、重なるニーズの拡大を踏まえ、「日総テクニカルセンター熊本」の増設も進めております。更に、2024年3月、蓄電池産業向けの人材育成に特化した教育研修施設である「日総EVテクニカルセンター関西」を開設いたしました。
介護・福祉サービスにおいては、横浜市内6か所にある介護付き有料老人ホームなどの介護施設「すいとぴー」における提供サービスの質を高め、お客様に選んで頂ける介護サービスの提供を進めてまいります。また、業務の効率化を推進するなど経営体質の改善の取り組みを継続してまいります。
このような活動を通じて、当社グループは、ステークホルダーと共創しながら、持続的な事業成長を実現してまいります。
以上により、2025年3月期の通期連結業績につきましては、売上高106,000百万円(前期比9.4%増)、営業利益3,800百万円(前期比24.3%増)、経常利益3,800百万円(前期比24.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,400百万円(前期比22.9%増)を見込んでおります。
経営目標値の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営に影響を与える特に重要なリスクとしては、法的規制、組織再編等があります。
そのほか、経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要は、主として給与等の人件費及び人材確保のための社員募集費であります。設備資金需要としては、研修施設に加え、社内基幹システム、製造スタッフ管理システム及び採用サイト等の無形固定資産投資等であります。また、成長のための投資需要としては、M&Aによる企業買収や資本提携等であります。
(財務政策)
当社グループの事業活動に必要となる運転資金については、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約の締結により、安定的な資金を確保しております。また、成長のための設備資金及び投資資金に対しては、金融機関からの借入による資金調達を有効に活用することにより、手許資金の確保を図っております。
また、金融機関からの借入による資金調達の実施にあたっては、調達時期、金利動向、借入条件について最も有利な手段を選択すべく慎重に検討することで資金調達コストを低減しております。
この結果、当連結会計年度末の有利子負債は448百万円減少し、2,068百万円(前連結会計年度末は2,517百万円)となりました。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社の完全子会社である日総工産株式会社は、2023年12月18日開催の取締役会において、以下のとおり、株式会社アイズの自己株式を除く発行済株式を取得し、子会社化することを決議いたしました。これに伴い、日総工産株式会社は、2023年12月27日付で株式譲渡契約を締結し、2024年1月31日付で同社の株式を取得いたしました。
(株式取得による会社等の株式譲渡契約)
1.株式取得の理由
日総グループは、中期経営計画のビジョンである「高い成長力のある企業グループに変革する」ため、既存事業のもつ優良な顧客基盤と事業運営リソースを活用し、事業ポートフォリオの多様化と提供価値の高度化に取り組んでおります。
株式会社アイズは、首都圏を中心にIT領域における派遣・受託事業を展開しながら、工作機械メーカーへの製造派遣・請負事業も手掛けるなど、日総工産とは異なる顧客層との取引基盤を有しております。
日総工産の強みである採用と人材育成のリソースを活用することで、当社グループが現在保持していない新たな事業領域(IT領域)における収益基盤を獲得するとともに、既存領域においても新たなサービス提供が出来ると考えております。
2.株式取得の相手会社の名称
株式会社アイズ
3.取得した相手会社の名称、事業内容、規模
(1)名称 株式会社アイズ
(2)事業内容 アウトソーシング事業・ビジネスソリューション事業・エンジニアリング事業・
ファクトリーオートメーション事業
(3)資本金の額 20,000千円
4.株式取得の時期
(1)契約締結日 2023年12月27日
(2)株式譲渡実行日 2024年1月31日
5.取得した株式の数及び取得後の持分比率
(1)取得した株式数 224株
(2)異動後の持分比率 100%
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。