独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2024年7月1日

東京産業株式会社

取締役会 御中

有限責任 あずさ監査法人

 

東京事務所

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

永  井       勝

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

鈴  木    哲  彦

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている東京産業株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、東京産業株式会社及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。なお、前連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項としていた以下の項目については、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とはしていない。

項目

理由

訂正前の連結財務諸表に対する修正処理の妥当性

2024年4月15日に連結財務諸表の訂正が完了しているため。

特定の仕入先に対する長期未収入金の回収可能額の見積りの合理性

当連結会計年度末後に当該仕入先に対する長期未収入金の回収可能額として見積もった金額が入金されているため。

特定の太陽光発電案件に係る仕掛品の正味売却価額の見積りの合理性

2023年12月に当該仕掛品に係る地位等譲渡契約を締結し、当連結会計年度末後に譲渡代金を回収し、譲渡が成立しているため。

 

 

 

特定の太陽光発電所の建設請負工事に係る工事原価総額の見積りの合理性及び工事原価発生額の正確性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、東京産業株式会社(以下「東京産業」という。)は、当連結会計年度において、特定の太陽光発電所の建設請負工事(以下「本件工事」という。)に係る売上高5,270百万円及び売上原価7,046百万円を計上している。

注記事項「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項 (6) 重要な収益及び費用の計上基準」に記載のとおり、東京産業は、建設請負工事の履行義務は一定の期間にわたり充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき建設請負工事の収益を認識している。この進捗度は、発生した工事原価の累計額が工事原価総額に占める割合として算定される。ただし、進捗度を合理的に見積ることができず、履行義務を充足する際に発生する原価を回収することが見込まれる場合には、進捗度を合理的に見積ることができる時まで、履行義務を充足する際に発生する費用のうち、回収することが見込まれる費用の金額で収益を認識している(以下「原価回収基準」という。)。また、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額(以下「工事損失」という。)のうち、既に計上された損益の額を控除した残額を工事損失が見込まれた期の損益として処理している。

東京産業は、本件工事の進捗度を合理的に見積ることができないが、履行義務を充足する際に発生する原価を回収することが見込まれると判断し、原価回収基準を採用している。また、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができることから、工事損失のうち、既に計上された損益の額を控除した残額を、当連結会計年度に損益として処理している。

本件工事は、見積工事原価総額が多額かつ工期が長期にわたる。また、前連結会計年度において、当初の工事原価総額の見積りには含まれていなかった金額的に重要な追加の工事原価が発生している。加えて、本件工事の下請業者の資金繰りが悪化し、工事の遂行が困難となったことから、2024年2月にこの下請業者との本件工事に係る契約を解除し、新たな下請業者(以下「変更後の下請業者」という。)との契約を締結している。本件工事に係る工事原価総額の見積りには、以下についての経営者の判断が含まれることから、高い不確実性を伴う。

●変更後の下請業者で発生すると見込まれる工事原価を含め、建設請負工事の完工に必要となる全ての作業内容が特定され、その見積工事原価が見積工事原価総額に含まれているか否か

●下請業者の変更を含め、建設請負工事の着工後の状況の変化による作業内容の変更が、適時かつ適切に見積工事原価総額に反映されているか否か

また、工事原価の発生額は原価回収基準の計算基礎であることから、工事原価発生額が正確に把握されているか否かは、本件工事に係る会計処理に重要な影響を及ぼす。

以上から、当監査法人は、特定の太陽光発電所の建設請負工事に係る工事原価総額の見積りの合理性及び工事原価発生額の正確性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、特定の太陽光発電所の建設請負工事に係る工事原価総額の見積りの合理性及び工事原価発生額の正確性を検討するため、経営者及び本件工事を所管する営業本部長への質問、並びに建設請負工事の進捗状況が報告される本部長会議事録の閲覧を通じて、本件工事に係る会計処理に影響を与える事象の有無を把握した。その上で、主に以下の監査手続を実施した。

(1) 工事原価総額の見積りの合理性の検討

本件工事に係る工事原価総額の見積りの合理性を検討するため、見積工事原価と変更前の下請業者に対して生じた工事原価発生額とを比較検討した上で、以下の監査手続を実施した。

●東京産業が変更後の下請業者に発注した過去の建設請負工事に係る工事原価について、当初見積額と実績額とを比較し、変更後の下請業者による工事原価の見積精度を把握した。その上で、変更後の下請業者に対して工事原価の積算内容を質問するとともに、その積算結果が当連結会計年度末に東京産業が見積もった工事原価総額に含まれているか否かを検討した。

●変更後の下請業者に対して、当初の工事原価総額の見積りに含まれていない追加の工事原価の発生の有無について書面により確認した。

(2) 工事原価発生額の正確性の検討

本件工事に係る工事原価発生額の正確性を検討するため、経理担当者及び営業責任者並びに営業担当者に工事原価発生額の集計方法を質問した上で、以下の監査手続を実施した。

●変更前の下請業者に対して生じた工事原価について、東京産業が集計した工事原価発生額と変更前の下請業者が作成した出来高報告書の内容とを照合した。

●変更後の下請業者に対して生じた工事原価について、東京産業が集計した工事原価発生額と変更後の下請業者がその発注先業者より入手した請求書の内容とを照合した。

●本件工事の現場を視察し、工事現場で作成された進捗管理資料に記載された進捗度の妥当性を検討した上で、東京産業が集計した工事原価発生額と進捗管理資料の内容との整合性を確認した。

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、東京産業株式会社の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、東京産業株式会社が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は開示すべき重要な不備があるため有効でないと表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

強調事項

内部統制報告書に記載されているとおり、会社の全社的な内部統制及び業務プロセスには開示すべき重要な不備が存在しているが、会社は開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は全て財務諸表及び連結財務諸表に反映している。

これによる財務諸表監査に及ぼす影響はない。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が保管しております。

   2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E02527-000 2024-07-01 E02527-000 2024-07-01 jpcrp_cor:Row1Member