代表取締役社長蒲原稔は、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という)の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2024年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行っております。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社及び連結子会社2社を評価の範囲といたしました。評価の範囲とした連結子会社2社は菱東貿易(上海)有限公司とTOKYO SANGYO EUROPE GmbHであります。菱東貿易(上海)有限公司については、当社と菱東貿易(上海)有限公司の売上高を合算することで、当社グループの前連結会計年度の売上高に占める割合が95%を超えるため、評価の範囲としております。TOKYO SANGYO EUROPE GmbHについては、財務報告に対する当該事業拠点の影響の重要性を勘案して、経営者において評価の範囲とすることが適当であると判断いたしました。当社及び菱東貿易(上海)有限公司並びにTOKYO SANGYO EUROPE GmbHを対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。なお、当社の連結子会社は5社であり、評価の範囲に含めなかった連結子会社3社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、主に財務報告への金額的影響の観点から、事業拠点の重要性を判定する指標として売上高が適切と判断し、各事業拠点の前連結会計年度の売上高の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している事業拠点を「重要な事業拠点」とすることといたしました。そして、最も売上高の金額が高い拠点である当社本店の売上高のみで、当社グループの前連結会計年度の連結売上高の2/3に達したため、当社本店を「重要な事業拠点」として選定いたしました。また、事業目的遂行上重要と考えられる事業拠点として、当社の東北支店、東海支店、関西支店を追加することが適切と判断し、これらの事業拠点も「重要な事業拠点」として選定しております。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売上債権及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、会計処理が複雑であり、かつ重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスとして、税効果プロセス、退職給付プロセス、仕訳計上プロセスを評価の対象に含めました。また、リスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスとして、建設請負工事プロセスを評価対象に含めております。その他、財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして財務報告プロセスについても評価対象としております。
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
記
(1)今回発生した事案の発覚に至る経緯
2024年3月期第2四半期決算の過程で、当社が関連する太陽光発電案件(以下「本発電案件」といいます。)に係る特定の仕入先に対する長期未収入金の保全措置として担保設定を受けていた受入担保資産の一部が当社の承諾なく譲渡されていた事実が確認されました。これを受けて、当社では当該長期未収入金の回収可能性の評価及び本発電案件と同一の関係者が関与する太陽光発電案件において購入し仕掛品として計上しているID権利の資産性及び収益性の評価について検討が必要と認識し、外部調査委員会による調査(以下「当初調査」といいます。)が開始されました。当初調査の終盤に、当社が元請として受注する別の太陽光発電工事請負案件(以下「本請負工事」といいます。)において、下請業者が特定の太陽光発電所の建設請負工事で生じた追加の工事原価の負担等から、二次下請業者への工事代金を支払えず、工事の遂行が困難になっているという事実が確認されました。これを受けて、追加の工事原価に係る費用負担に関連して工事原価の増額に伴う工事原価総額の見積りの変更が適切に処理されていなかった可能性があることから、工事原価総額の見積りについて検討が必要と判断し、外部調査委員会による追加調査(以下「追加調査」といいます。)が実施されました。これらの調査の結果、当社は影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、第112期及び第113期の有価証券報告書並びに第112期第1四半期から第114期の第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
(2)外部調査委員会による指摘の内容
外部調査委員会による調査の結果、以下の指摘を受けました。
① 長期未収入金の回収可能性に関する検討不足
当社は、特定の太陽光発電所に係るID権利を転売目的で購入し、これを転売しましたが、当社から転売先への売却に関する契約が解除されたことを受け、当社と仕入先との間の契約も合意解除することとなりました。合意解除に伴い、仕入先に対して売買代金の返還請求権を有することとなり、2023年3月期末において、当社は、仕入先に対し、売買代金の未返還分を長期未収入金として計上していました。当該債権を担保するために、当該返還債務の連帯保証人となった会社から同社が保有する不動産等の資産に担保権の設定を受けていましたが、その後、担保資産の一部が当社に無断で第三者に売却されていることが発覚いたしました。
当該担保資産の売却は当社に無断で行われていたものであるものの、当初調査により、2023年3月頃には、担保設定者から当社法務担当者に対し、一部の担保資産の売却交渉が具体化している事実及び売却交渉中の担保資産の評価額相当額の全額は返還が難しい等の通知を受けており、これらの情報は経理部とも共有されておりました。加えて、担保設定者は、当社が別の太陽光発電案件(以下、「別件太陽光発電案件」といいます。)においてID権利を購入した取引先であり、当社がID権利を購入した後も別件太陽光発電案件事業化に向けた活動を担保設定者が行っていたため、当社がID権利を資金化するためには担保設定者の協力が不可欠であったことから、担保設定者の破綻や態度の悪化を招くことが想定される強引な担保処分については、実行することができなかったことも踏まえると、本来であれば、2023年3月期末において、長期未収入金の回収可能性の検討にあたっては、回収不能となることを十分に考慮した会計処理を実施すべきでした。
② 実態と異なる工事進捗率に基づく会計処理
いわゆる工事進行基準(「収益認識に関する会計基準(企業会計基準29号)」における、一定期間にわたり充足される履行義務に係る収益認識)による会計処理を行うにあたり、当社では四半期毎に工事の進捗率が記載された進捗表から進捗状況を確認し、会計処理を行っておりました。
進捗状況を確認する進捗表は2種類あり、1つは一次下請業者が当社に対して提出する進捗表(以下「下請名義進捗表」といいます。)で、もう1つは下請名義進捗表を基に当社の担当者が作成する進捗表(以下「当社名義進捗表」といいます。)です。いわゆる工事進行基準における会計処理にあたっては、当社名義進捗表を基礎資料としておりました。
当社名義進捗表は、本来であれば一次下請業者が作成した下請名義進捗表を受領し、これを基に当社の担当者が当社フォーマットに落とし込んで作成されることで、一次下請業者が当社に対して申告する実際の工事の進捗状況を反映した進捗率が算定されるものでしたが、本請負工事における下請名義進捗表は、一次下請業者ではなく、当社の営業担当者が定例会議で取得した資料等を基に作成しておりました。なお、下請名義進捗表が当社営業担当者主導で作成されていることについては、当社経理部を含むほとんどの当社役職員は認識しておりませんでした。また、本請負工事では、当社営業担当者が起案したモジュールの据付分という名目の請求書に基づき、モジュールが据え付けられる前に、施主から当社に対しての先行支払い及び当社から一次下請業者への先行支払いを行っておりました。
このような状況のもと、当社営業担当者は、モジュールに関する進捗率について、進捗率が0%のままでは、自らが起案したモジュールの据付分という名目で金銭の支払いがなされている事実との整合性が取れない等と考え、モジュールが納品すらされていないにもかかわらず、一次下請業者から口頭で手配が完了していると報告を受けていた分につき、納品・据付が完了しているものとみなして、実態としての進捗率に基づかない下請名義進捗表及び当社名義進捗表の作成を行い、当該進捗率が当社における工事進行基準の適用の基礎資料として用いられ、実態にそぐわない不適切な会計処理がなされるに至りました。
③ 原価回収基準による会計処理への適時切替えの懈怠
本請負工事について、多額の追加費用を要することが見込まれることとなり、当該追加費用の負担に関して、2022年8月以降、施主及び当社と一次下請業者で交渉が継続的に進められていました。また、一次下請業者では、2023年3月期においても、これらの工事について総原価の見直しが行われ、多額の見積総原価の増額により、粗利ベースで赤字見込みとなっていたため、同社は、追加費用を全額負担することが困難であり、当社へ負担を求めざるを得ない状況となっていました。
そのため、2023年3月期の第2四半期以降においては、一次下請業者から当社に追加費用の請求が行われる可能性が高い一方で、工事原価総額に含めるべき追加費用の金額を合理的に見積ることはできない状況でした。ただし、その金額は当社決算において重要性がある金額となりうることから、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準29号)」が規定するところの進捗度を適切に見積るための信頼性のある情報が不足し、履行義務の充足にかかる進捗度を合理的に見積ることができない場合に該当し、2023年3月期第2四半期以降においては、いわゆる工事進行基準による会計処理ではなく、原価回収基準での会計処理へ切り替えを行うことが必要でした。
④ 一次下請業者に対する前渡金の管理不足
当社は、一次下請業者の資金需要等の要請もあり、本請負工事に関して複数回にわたり前渡金を支払っておりましたが、2023年11月頃、一次下請業者の資金繰りの問題で同社が本請負工事を継続して行うことが困難であることが判明したため、別の下請業者への発注の検討を進めました。
このような理由から、当該前渡金の残額分については、もはや一次下請業者側での工事や資材調達に用いられるものとはいえないため、前渡金としての計上は適切ではなく、適時に長期未収入金に振り替えた上で、一次下請業者の資金繰りの状況を踏まえた回収可能性及び貸倒引当金の計上について検討を行うべきでした。
また、2023年3月期第2四半期において一次下請業者が追加費用を全額負担することが想定されなくなった状況を会社として正しく認識していれば、それ以降の前渡金は増額した工事総原価の支払いに充当されるべきものとして、前渡金ではなく工事原価として処理されるべきところ、本体工事の前渡金としたまま会計処理を行っておりました。
⑤ 取引形態の変化及び規模拡大に対するリスク検討不足
当社は、2016年頃から太陽光発電関連取引を始めましたが、取引開始当初は太陽光発電設備の設備認定において割り付けられた設備IDを顧客に紹介することで紹介手数料を得る仲介取引でした。しかし、ID権利の名義変更には一定の時間を要するため、ID権利名義変更前に代金の立替払いをしてほしいという顧客の意向を受け、当社は、仲介という立場では立替払いに応じることはできないと判断し、ID権利売買契約の当事者となりました。これに伴い当社は、過去において実績の少ない数十億円規模の資金立替や契約を行うようになりましたが、このような取引の管理体制やリスク検討については仲介取引時から大きく変わっておりませんでした。
また、本請負工事は、顧客による事業実施が概ね決定した後、工事資金手当ての段階において、下請業者が金融機関からのファイナンスを受けられず、当社が元請となったため、顧客と下請業者との間で取引スキームについては既に概ね合意されているものでした。そのため、案件に内包されるリスクや取引条件の精緻な検討が難しく、これまでの取引実績等に依拠したリスク検討にとどまり、金額規模に応じた顧客及び仕入先の信用リスク、プロジェクトリスク、法的リスク等を十分に検討できておりませんでした。
(3)開示すべき重要な不備
外部調査委員会による指摘を踏まえ、全社的な内部統制及び業務プロセスにおける不備の内容については、以下の通りと考えております。
① 全社的な内部統制における不備
I. 統制環境の不備
本発電案件の長期未収入金に対する貸倒引当金の見積りについては、一部の担保資産の売却交渉が具体化している事実や担保設定者の資金繰りが厳しく、担保物件の資金化以外長期未収入金の返済が困難であるとする担保設定者の意向を認知した以降においても、担保設定者の説明の信憑性の精査や適宜登記簿謄本を取得しての担保資産が無断譲渡されていないかの確認及び回収可能性の検討が不足しておりました。また、本請負工事では、実態にそぐわない進捗率の当社名義進捗表が、いわゆる工事進行基準による会計処理の基礎資料として用いられたことで不適切な会計処理となりましたが、営業担当者は実態にそぐわない進捗率を用いて会計処理が行われることが財務報告に及ぼす影響について、深く考えることなく進捗率を算定しておりました。加えて、経理部において、追加費用が暫定的に決定した後も追加費用の影響を加味した会計処理の検討が行われず、また、監査室において本請負工事が監査の対象となるも過年度の決算処理の訂正が必要となる可能性がある事象との認識に至りませんでした。これらのことから、法務、営業、経理、監査の各部門において、財務報告に及ぼす影響を十分に検討するための会計リテラシーが不足しておりました。
II. リスクの評価と対応の不備
本発電案件については、従前では仲介という形で手数料収入を得る取引形態であったところ、当社が当事者となって売買を行う取引形態へと移行して間もなく取り組んだ案件であり、本請負工事については、取引形態としては従前から取り組んでいたものの、取引規模が今まで請け負ってきた案件と比較して格段に大きいという点で、どちらも非定型ビジネスであったと考えております。そのような取引に取り組むにあたっては、本部長会においてリスク評価を今まで以上により慎重に実施すべきところ、これまでと同様のリスク検討を実施するに止まり、多角的且つ深度のあるリスク検討ができておりませんでした。
III.情報と伝達の不備
本発電案件において、当社受入担保資産の無断譲渡が発覚以降はより一層慎重に受入担保資産に関する情報収集を行い、長期未収入金の回収可能性を検討すべきでしたが、当時は担保評価時点における登記簿の取得や担保として質権設定を受けていた合同会社の決算書を定期的には取得しておらず、情報収集が不十分でありました。また、本請負工事において、追加費用の会計処理の適切性に影響を及ぼしうる情報が営業部門から経理部門に正しく伝達されておりませんでした。また、監査部門においても追加費用の発生可能性を認識しておりましたが、経理部門に対し、決算への影響の可能性について共有ができておりませんでした。
② 業務プロセスにおける不備
I. 貸倒引当金の見積りプロセスにおける整備状況及び運用状況の不備
本発電案件において発生した長期未収入金に対する貸倒引当金の見積りについては、受入担保資産等の評価や貸倒引当金計上の要否の検討は実施していたものの、受入担保資産等に基づく回収可能性の評価を誤るリスクがあるとの認識が不足していたため、受入担保資産等の評価のための情報収集が十分に実施できておらず、当該リスクに対する統制を適切に整備できておりませんでした。また、本請負工事で発生した下請業者に対する前渡金について、下請業者の資金繰り悪化に伴い、本請負工事の継続ができなくなったことで、支払済みの前渡金については、もはや一次下請業者側での工事や資材調達に用いられるものとはいえない状況になったため、当事業年度において、前渡金から長期未収入金へ振り替えを行ったうえで、貸倒引当金を計上しておりますが、下請業者の資金繰り状況を考慮した上で適時に前渡金を長期未収入金に振り替え、回収可能性に応じて貸倒引当金を計上する統制が運用されておりませんでした。なお、長期未収入金に対する貸倒引当金の見積りについては、受入担保資産等に基づく回収可能性の評価が当社において非経常的な業務であり、その評価を誤るリスクがあるとの認識が不足していたため、業務プロセスに係る内部統制の評価対象外となっておりました。
II. 仕掛品の評価プロセスにおける整備状況の不備
太陽光発電案件において当社が購入したID権利については、仕掛品として計上しておりましたが、仕掛品の評価に関しては当社において非経常的な業務であり、仕掛品の正味売却価額の見積りを誤るリスクがあるとの認識が不足していたため、正味売却価額を見積るために必要かつ十分な情報を収集できておらず、当該リスクに対する統制を適切に整備できておりませんでした。なお、当社において仕掛品の計上及びその評価は非経常的な業務であり、仕掛品の正味売却価額の見積りを誤るリスクがあるとの認識が不足していたため、業務プロセスに係る内部統制の評価対象外となっておりました。
III.建設請負工事プロセスにおける整備状況及び運用状況の不備
いわゆる工事進行基準による会計処理を行うにあたり、対象となる工事案件の進捗率を算定する際に考慮すべき発生原価を正確に把握するために必要な確認を行う際、下請名義進捗表と実際の工事の進捗状況が一致しているかの確認に係る統制が適切に整備されておりませんでした。また、いわゆる工事進行基準による会計処理を適用するか検討する際、四半期毎に工事進行基準判定報告を用いて適用の要否を経理部門で検討しておりましたが、工事原価総額の見積りの妥当性に係る会計リテラシーが不足していたため誤った判定を行い、統制が適切に運用されておりませんでした。
当社は、これらの内部統制の不備について、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。上記の開示すべき重要な不備は、当該事実の判明から当事業年度末日までに改善のための十分な期間を確保できなかったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する財務数値上の修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。
(4)再発防止策
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、外部調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
① 非定型ビジネスへの取り組む際のリスクの評価と対応の強化
I. リスク評価会議の新設
多様化したビジネスモデルや案件のリスクを適切に審査・管理するため、大口取引(1案件10億円以上(子会社は3億円以上))を対象として、新規案件採り上げ時に取引の留意点の審議を行うとともに、採り上げ後の案件モニタリングを実施するリスク評価会議を2024年8月までに新設いたします。
従前では、新規案件や金額規模の大きな取引の実施に際して、営業部門が取引先の状況や取引の内容、条件、リスク等を精査し、法務部門や経理部門の担当者が個別に確認した上で、本部長会へ取引開始の可否判定の申立を行っておりましたが、リスク評価会議の新設により今後は、営業部門が対象となる案件を進める場合、まずリスク評価会議に諮り、リスク評価会議の責任者であるリスク管理担当役員により十分審議されたという判断がなされた段階で、本部長会への付議を受け付ける制度といたします。
リスク評価会議の構成員は、案件(新規及びモニタリング対象)を担当する営業部門のほか、企画・管理部門である経理部、法務部、企画部の部課長とし、原則1回/月開催いたします。営業部門は自部門で作成した案件の内容及びリスク検討についてリスク評価会議メンバーに対して説明を行い、経理部は与信・会計・税務のリスク、法務部は取引形態・契約に係るリスク、企画部は当社の事業戦略に照らした案件の採り上げ意義、また類似案件での経験豊富な社内人材はプロジェクトリスクの観点から、営業部門が作成したリスク検討資料の十分性について審議を行います。リスク評価会議の審議において外部専門家の意見が必要と判断された場合、次回のリスク評価会議までに契約先の会計士・税理士・弁護士のほか、当該案件に対し知見あるコンサルタントの意見を確認いたします。リスク評価会議での審議内容及び外部専門家の意見がある場合にはその内容を議事録として文書化し、リスク検討とその対応策を見える化した上で、対象案件を本部長会へ付議する際に添付する事を制度化いたします。
II. 本部長会、取締役会における議論の活性化
従来、本部長会に対してリスクに関する十分な情報提供ができておらず、なおかつ議案数も多いことから、本部長会において必要十分な議論ができておりませんでした。このことから、上記リスク評価会議の新設により、本部長会に対してリスク関連情報の提供を充実させます。また、2024年6月の取締役会で新たに選任されたリスク管理担当役員が本部長会に参加することで、本部長会での議論がより活性化されるものと考えております。加えて、本部長会への付議案件をリスクが高い等の議論が必要なものに絞り込むことで、議論に充てる時間を増やす施策として、2024年7月末までに社内規定の「取引限度に関する規定施行細則」を改訂し、社長、本部長による決裁限度額の引上げを行い、低リスクの案件の決裁権限の委譲を進めてまいります。
取締役会における議論についても、議案に係る討議資料の提出期限が定められておらず、議案の早期連絡ができていなかったことから、取締役会開催の1週間前までに、取締役会事務局である総務人事部が取締役に議案及び討議資料を送付することといたします。また、取締役会では書面による決議も行ってまいりましたが、議論活性化の観点から、今後はWEB会議も活用し、可能な限り臨時取締役会で対応し、その場合の臨時取締役会議案及び討議資料は、開催の1週間前を目途に取締役に議案及び討議資料を送付することといたします。この運用は2024年7月より開始いたします。
また、外部調査委員会の調査報告書の提言を踏まえて、2024年7月の本部長会及び取締役会において、下記振り返りを行う準備を行っております。
A) 想定外に発生した事象に関して、なぜ事前に防げなかったのか、又は、なぜより早期に発見できなかったのかについて、改めてその発生の原因の検討
B) 想定外の事象が発生した後において、当社として講じておくべき、より適切な対応策があったのではないかという観点から、改めて問題点の検討
C) 振り返り内容を踏まえた再発防止策について十分性の確認(不十分であった場合、再発防止策の更新)
振り返りの結果については、監査等委員会においてもその妥当性について確認を行い、その上で外部専門家(弁護士)に対しても妥当性の確認を行います。
② 会計リテラシーを向上させる施策の実施とその徹底強化
I. 会計リテラシー向上を目的とした研修
会計リテラシーが不足していたことで発生した不備に対応するため、会計リテラシーを向上させる施策の一環として、総務人事部が主体となり研修を実施いたします。研修の内容も一般的な既製の会計研修ではなく、公認会計士による、以下の内容を盛り込んだ研修内容にて行う予定です。
A) 決算の重要性
B) どのような案件(事象)の場合に会計上のリスクが生じるのか
C) 想定外の事象が発生した際に注意すべきポイント
D) 貸倒引当金の見積、担保評価と回収可能性
研修対象者は、全営業部門の役職員、管理・企画本部の役職員、監査室の役職員及び常勤監査等委員といたします。なお、経理部・監査室・常勤監査等委員に対する研修内容は営業部門と比べより専門的な内容とする予定です。
研修方法はWEB視聴とし、1パート1時間程度のものを3パート、対象者全員に受講させることといたします。受講状況は総務人事部にて確認を行い、より実効性のあるものにするために、研修後に各部署単位で研修内容と自身の実務を照らし合わせた意見交換を行い、そのディスカッションレポートを各部署から総務人事部に提出するものといたします。
実施時期及び研修内容詳細については、講師と当社オリジナルの会計リテラシーに的を絞った研修教材を作成中ではありますが、2024年7月末までにはWEB視聴を開始し、8月末に完了の予定です。
なお、全役職員の会計リテラシー向上に資する知識の定着を図るため、同様の研修を1年後の2025年7月に実施し、以降も会計に係る知識向上を目的とした研修を毎年実施してまいります。
II. 役員研修の実施
取締役は役員として自らが負う、会社やステークホルダーに対する責任を理解するために研修を受講し、よりコーポレートガバナンスを強化してまいります。役員研修としては、取締役及び監査等委員、執行役員に対してこれまでも総務人事部が主体となり、年に2回、外部講師を招聘し、1時間程度の研修を実施しておりましたが、不備の発生を受けて、今後はコーポレートガバナンスの向上及びリスク管理の徹底強化をテーマとした研修を実施してまいります。
III.リスクマネジメント研修
マネジメントレベルのリスク認識の強化を図る目的で、業務執行取締役及び執行役員、管理職を対象とした以下の内容のリスクマネジメント研修を2024年8月に行う予定としております。
A) リスクマネジメントの全体像
B) リスクの洗い出しから優先順位の付け方
C) 優先順位の高いリスクについて想定されるシナリオ作りから目標設定、実行までの流れ
研修方法はeラーニングとし、受講時間は1時間程度で、対象者全員に受講させることといたします。受講状況は総務人事部にて確認を行い、より実効性があるものにするために、研修後に受講者が自社における体制や取組みへの改善点を洗い出してワークシートに記載し、そのワークシートを各部署から総務人事部に提出するものとします。
なお、マネジメントレベルのリスク認識強化について定着を図るため、同様の研修を1年後の2025年8月に実施し、以降もリスクマネジメントに関する研修を毎年実施してまいります。
IV. 会計に影響を及ぼす情報の取扱等に関する講習会
営業部門から経理部へ適時・適切な情報提供が行われていなかったことを踏まえ、経理部から営業部門の役職員に対し社内講習会を2024年9月までに実施します。
講習会の実施方法は、WEB視聴とし、受講状況を経理部にて確認することで、営業部門の全役職員が受講したことを確認いたします。
なお、本講習会にて本部長会・取締役会での振り返りで総括された想定外に発生した事象の経緯と今後の対応策を合わせて周知いたします。また、今後留意すべき事象が発生した場合においても、本部長会・取締役会にて総括された内容・経緯について適宜講習会等で周知いたします。
上記Ⅰ.~Ⅳ.の受講状況については、完了後、総務人事部長から本部長会に報告いたします。
③ イレギュラーな事象の発生原因・再発防止策の検討強化
I. モニタリングの強化と本部長会への報告
本請負工事について、本来追加費用が発生する際は、営業部門において契約損益の変更に関する社内稟議の起案が必要であり、情報伝達の体制としては構築されておりましたが、本請負工事では、これが適切に機能しませんでした。
今後は、リスク評価会議におけるモニタリングにおいて、リスクについて起案した営業部門と経理部だけでなく、法務部、企画部が一堂に会し審議することにより、より多角的な視点での検討を行います。モニタリングの審議内容を毎月本部長会・取締役会に報告し、そこでも審議の十分性について確認を行います。モニタリングについては、2024年8月より運用を開始します。
モニタリングの対象案件については、リスク評価会議による審議を経て受注に至った案件以外についても、納期若しくは工事完了が受注から1年超となる案件及び同一取引先に対して売掛金・買掛金のほか前渡金や貸付金等、複数の種類の債権債務が発生している案件、案件採り上げ以降に信用力が悪化したと判断される取引先が関与する案件等が経理部審査課で確認された段階で、経理部長及びリスク管理担当役員との協議を経て、モニタリング対象とするか否か決定いたします。モニタリング対象となった案件は、事後的に発生する状況の変化やリスクの顕在化等、想定外に発生した事象を早期に発見できるよう、契約締結後においても、案件終了時までリスク評価会議が継続してモニタリングを行います。
また、モニタリングを含めたリスク評価会議で審議した内容は、リスク管理担当役員が月次で本部長会、取締役会へ報告いたします。従来、本部長会で決裁された案件で発生した想定外の事象であっても、所管営業本部長の決裁範囲内の事象であれば、本部長会へ付議されておりませんでしたが、リスク管理担当役員が月次報告を行うことで、このような事象についても全社として組織的に検討・実施されます。想定外の事象が発生した場合、当該案件を扱う営業本部長がその旨を報告し、本部長会にて方針(対応方針、リソース投入、撤退判断等)を決定し、取締役会に発生事象、決定の内容及び経過の報告を行うことで、属人化を回避しリスクを極小化いたします。
なお、対象案件選定の妥当性、モニタリングの実施状況及び想定外の事象が発生した際の当社としての対応状況については、監査室の監査対象といたします。監査の結果、監査室がリスク兆候を感知した場合は、リスク管理担当役員及び常勤監査等委員に都度情報連携し、リスク管理担当役員は必要に応じ経理部に対しリスク評価会議で審議するよう指示を行い、当該案件のモニタリングを行います。常勤監査等委員は、取得した内容について定例監査等委員会若しくは臨時監査等委員会で情報の共有を行い、緊急だと判断すればメール等により即時共有することで、適宜社外取締役である監査等委員の助言を得るようにいたします。
II. 適切な債権評価のための統制の強化
当社は、本発電案件においては、担保設定者の説明の信憑性を精査するとともに、担保資産の無断譲渡等、担保資産の価値を毀損する行為が行われていないか、担保資産に関する登記簿謄本や会社の決算書等を取得してチェックを行う等、受入担保資産等の適切な評価のために必要な情報を収集し、適切な頻度で担保評価を行うべきでしたが、対応ができておりませんでした。
上記を踏まえ、現時点において、担保資産に関連する登記簿(不動産登記、会社登記)の月次取得、担保評価の実施頻度の増加(年1回から2回への増加)といった対応は既に実施しておりますが、不備を網羅的に解消するには至っていないことから、引き続き調査報告書で指摘された観点も含め、不備内容を改めて精査したうえでの見直しを2024年9月末までに実施します。
また、当社は営業取引における債権保全・回収の観点から担保物件の設定を行うことは稀であり、これまで担保価値評価に関する社内規定は整備しておりませんでした。今後は、公正な担保評価を行えるよう、新たに経理部が社内規定として担保評価に関する社内規定を以下の点を踏まえて整備し、その中で原則として公的な評価情報を入手可能な担保のみについて評価を認めることを定めます。
A) 担保の種類は土地のみとする。
B) 担保の評価は客観的な市場価格や鑑定評価に基づく。
C) 担保取得にあたっては、土地の登記事項証明書、その他登記事項が明らかになる書類等を徴求する。
これに加え、貸倒引当金設定・検討の手続きに関しては経理部内の「決算マニュアル」の一項目として「貸倒引当金の計算」を定めているのみであり、社内規定として十分な整備がなされておらず、結果として債権先の状況に応じた実効性のある対応ができていなかったため、今後、担保評価とあわせ、従来経理部内マニュアルとしていた貸倒引当金設定に関する手続きについても、社内規定としていずれも2024年9月末までに整備してまいります。これにより、債権先の状況に応じた、より適時適切な債権評価対応ができるものと考えております。
更に、リスク評価会議において、通常の債権債務に加え、貸付金が発生している案件についても、案件終了時までモニタリングを継続することにより、当該貸付金について債権先の財務状況に応じた貸倒引当計上の検討を行ってまいります。
III.建設請負工事の進行基準判定報告の整備と運用の強化徹底
A) 工事進行基準判定報告の信頼性確保
工事案件の進捗率を算定する際に考慮すべき発生原価を正確に把握するための強化策として、請負工事の進捗率が記載された当社名義進捗表の作成過程を2024年7月より、社内規定「工事契約に関する取扱細則」を更新することで明確化いたします。
従来、営業担当者や経理部担当者は手続きに沿って進捗表等の資料確認は行っていたものの、現場の実態までは確認しておらず、確認に係る統制も適切に整備されておりませんでした。今後は定期工程会議の際に、営業部門が作成した当社名義進捗表及び下請名義進捗表の記載内容が、定期工程会議における報告内容及び現場での進捗状況と一致していることを、定期工程会議の出席者に確認してもらうことといたします。定期工程会議の出席者による確認は当社の監理技術者が徹底することとし、確認の結果として定期工程会議の出席者から当社名義進捗表に捺印又はサインを受領する統制を整備いたします。また、出席者による確認が行われているかどうかについては、営業部門のほか、監理技術者が所属する営業支援室においても確認いたします。また、四半期毎に営業部門から経理部へ提出する工事進行基準判定報告に、当社名義進捗表と定期工程会議の議事録を添付する運用とし、工事進行基準判定報告に添付された当社名義進捗表や議事録の内容と代金支払の状況に矛盾が生じている場合等、経理部の確認も必要と認められる場合には実際に工事現場へ確認に行く統制も整備いたします。
B) 工事進行基準判定報告のチェック項目の細分化
建設請負工事プロセスの運用状況の不備についても、2024年6月より、従前より四半期毎に営業部門が作成している工事進行基準判定報告において、いわゆる工事進行基準による会計処理の適用の要否を判定するための確認項目としていた工事原価を信頼性をもって見積ることができるかについて、「追加費用について合理的に見積ることができるか」「当社決算において重要な金額となるか」「下請企業から当社に実際に請求が行われることが確実であるか」「下請企業から当社に実際に請求が行われる可能性が高いか」といった項目へ細分化することで、統制を強化いたしました。
IV. 適切な人材のアサインと人員の増員
リスク評価会議で行う検討・審議に際しては、対象となる案件を経理部が事前にリスク管理担当役員に報告の上、リスク管理担当役員は案件の特性に応じて、類似案件での経験が豊富な社内人材をアサインいたします。また、リスク評価会議の検討・審議において外部専門家の意見が必要と判断された場合、次回のリスク評価会議までに契約先の会計士・税理士・弁護士のほか、対象案件に対し知見あるコンサルタントの意見を確認いたします。案件の特性によりリスクが様々であることが想定されるため、当社が利用実績のある複数の外部専門家に対して、迅速に相談や利用ができるよう会員登録を行っております。
また監査室においては、新たにリスク評価会議の検討実施状況を監査対象とすることに加え、再発防止策の実施状況も、監査対象としたため、業務増加に対応すべく2024年10月に専任者1名増員を予定しております(現状、専任者3名体制から4名体制に変更となります)。
想定外に発生した事象への対応強化策として、従前は事象が発生した段階での顧問弁護士活用が主であったところ、今後はモニタリングにおいてリスクが顕在する兆候が認められた段階で、当該案件に対し知見あるコンサルタントを起用します。
「3 評価結果に関する事項」に記載した全社的な内部統制及び業務プロセス上の開示すべき重要な不備を是正するために、当事業年度の末日から内部統制報告書の提出日までに、以下の措置を実施いたしました。
(1)再発防止策実施のための体制の整備
① リスク管理体制の整備
当社においてはリスク管理を統括する責任者や部署が不明確であったため、今回の再発防止策の実施にあたり、新設されるリスク評価会議の統括・責任者となるリスク管理担当役員を2024年6月の取締役会において選任いたしました。リスク管理担当役員には、リスク評価会議で検討される各リスクの牽制機能を有する経理・企画・法務の管掌役員であり、かつ収益責任を負わない企画・管理部門の管掌役員を選任しております。また、リスク評価会議を正式な会議体の位置付けとする社内規定を整備し、社内掲示板にて社内報知いたしました。
② 経理部の体制の整備及び役割強化
リスク評価会議でリスク検討を行う案件を営業部門から受け付ける事務局として、2024年4月より、経理部内に審査課を設置いたしました。また、審査課はリスク評価会議における案件スクリーニングの実行部門となるため、同じくリスク評価会議においてモニタリング実行部門となる経理部営業会計課とともに、再発防止策実施の余力を創出すべく、人員増強の検討を行っております。
③ 再発防止策の進捗管理体制の整備
再発防止策の進捗状況を管理・評価する体制として、監査室が再発防止策実施スケジュールに基づき、進捗状況の確認と評価を行い、月次で取締役会及び監査等委員会に報告を行うことといたしました。なお、進捗状況や実施内容に問題が生じる恐れがある場合は、取締役会において対応策を協議いたします。
(2)取り組むべきでない案件の明確化
今回損失が発生した経緯を踏まえ、現在進行中の案件を除き、以下に該当する案件は今後取り組まないことを2024年6月の取締役会において決定いたしました。
① 太陽光発電案件のID権利のような客観的なマーケット価格がない無形資産の売買取引。
② 既に当事者間で概ね合意されている取引に事後的に介在し、当社が元請として十分な管理体制が構築できない取引若しくは取引条件について交渉ができない取引。
③ 造成工事の金額が、発注予定先の見積金額のうち諸経費を除いた金額の50%以上を占める案件(なお、「50%」という基準は、本請負工事の価格構成を踏まえて設定したものです。)。
なお、本決定に伴い、社内規定である「商品取引規定」を改訂し、社内報知いたしております。現在進行中の案件については、モニタリングの対象とすることで、案件完了時まで継続いたします。
(3)仕掛品の評価に係る再発防止策の見直し
第113期の内部統制報告書の訂正報告書において、仕掛品の評価プロセスにおける整備状況の不備に対応するために、リスクに応じた評価に必要な情報と手順等を整備し、当該プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして第115期から業務プロセスの評価範囲に含めることとしておりましたが、仕掛品に係る状況として、当事業年度において売買契約が締結され、当事業年度の末日から内部統制報告書の提出日までに仕掛品の売却代金が当社に入金されました。当社における仕掛品は太陽光発電案件のID権利であり、上記の通り、取り組むべきでない案件として取締役会で決議されたことから、今後当社において仕掛品が発生する見込みはございません。
仕掛品の売却及び代金回収が完了していること及び今後評価の対象となる仕掛品が発生する見込みがないことから、検討の結果、評価プロセスの整備及び業務プロセスの評価範囲とする再発防止策については未実施ですが、仕掛品の正味売却価額の見積りを誤るリスクは低減されたものと判断いたしました。
該当事項はありません。