当第3四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態の状況
(資産)
当第3四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末に比べ604,003千円増加し、4,713,494千円となりました。これは主に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)のプロジェクトに係る助成金相当額を未収計上したことにより未収入金が684,369千円増加した一方で、当該プロジェクトに係る費用の支払いを主な要因として、現金及び預金が100,192千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末に比べ270,629千円増加し、899,236千円となりました。これは主に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)のプロジェクトに係る費用を要因として未払金が523,978千円増加した一方で、法人税等の納付により未払法人税等が120,654千円減少したこと、消費税の納付により未払消費税等が98,294千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ333,374千円増加し、3,814,258千円となりました。これは主に新株予約権行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ90,262千円増加したこと及び四半期純利益の計上により利益剰余金が153,180千円増加したこと等によるものであります。
(2)経営成績の状況
当社は「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げております。この企業理念のもと、テクノロジーの産業界への社会実装を支援することにより、産業横断的なイノベーションを創出し、社会に貢献し続けることを目指し、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を総合的に支援しております。
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化や賃上げの動き等に伴い国内景気には穏やかな回復の動きがみられます。一方で国際情勢の緊迫化、物価上昇、国際的な金融引き締め等の影響により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社の事業が属するデジタルトランスフォーメーション市場におきましては、ビジネスプロセスのデジタル化や既存のビジネスモデルを変える新たな試み、大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)といった生成AIへの関心・利活用など、デジタルトランスフォーメーションの取組みは広がりをみせ、企業のIT投資への意欲は引き続き強いものとなっております。今後は少子高齢化に伴う労働生産人口の減少、働き方改革を背景に、多くの企業においてデジタルトランスフォーメーションを推進する動きが一層活発化するものと捉えております。
このような環境の中、当社はABEJA Platformを基盤として、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援することに取組んでまいりました。
2024年2月の採択以降、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)のプロジェクトとして、日本語LLM及び周辺技術(RAG、Agent)の研究開発を進めております。足もとでは基盤モデルの精度向上に取組んでおり、GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)の性能評価も受け、順調に進捗しております。また、本プロジェクトの区切りは本年8月となりますので、終了後、モデル等の公開を進めていく予定です。
第1四半期から取組みを始めた社内の運営体制の見直し等の効果は、第2四半期に過去最高の売上高を達成するなど、徐々に成果が表れているものの、四半期単位では変動が生じており、現状、巡航速度にのせる過程にあります。このような状況のもと、当第3四半期会計期間の売上高は620,729千円(前年同期比10.4%減)となりました。また、当第3四半期会計期間の売上総利益率は66%を超える良好な水準を維持していますが、人件費増を主たる要因とする販売費及び一般管理費の増加を賄えず、当第3四半期会計期間の営業損失は10,765千円(前年同期は33,311千円の営業利益)となりました。粗利率は良好な水準を維持できている一方で、リソース拡大(人件費増)と売上高拡大のバランスが引き続きの課題となります。安定的な成長のため、継続した運用体制等の改善、企業や事業の状況をより見定めた質の高い提案を推進してまいります。
以上より、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高2,045,401千円(前年同期比2.6%減)、営業利益191,483千円(前年同期比49.5%減)、経常利益187,781千円(前年同期比50.0%減)、四半期純利益153,180千円(前年同期比59.1%減)となりました。
当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
なお、売上高については、「トランスフォーメーション領域」と「オペレーション領域」に分類しており、2023年8月期及び2024年8月期第3四半期累計期間の実績は次のとおりとなります。
(単位:千円)
領域の名称 |
2024年8月期 第3四半期累計期間(実績) |
2023年8月期 (実績) |
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構成割合 |
|
構成割合 |
|
トランスフォーメーション領域 |
1,536,697 |
75.1% |
2,268,613 |
81.7% |
オペレーション領域 |
508,703 |
24.9% |
506,855 |
18.3% |
合計 |
2,045,401 |
100.0% |
2,775,469 |
100.0% |
トランスフォーメーション領域は、企業のデジタルトランスフォーメーションニーズに対応したプロフェッショナルサービスを、ABEJA Platformを導入し提供しております。このため、主な収入は顧客企業のデジタルトランスフォーメーション推進のための各種支援に伴う収入となります。なお、デジタルトランスフォーメーションは段階的に進めていくため、多くはフロー型(都度契約)の契約となりますが、一方で長期間にわたる計画的なプロセスとなるため、継続顧客の割合は高くなっております
・継続顧客からの売上比率(注)91.8%(2023年8月期)
(注)継続顧客からの売上比率は、既存顧客(前事業年度に売上が発生した顧客)の当事業年度の売上高/当事業年度の売上高
オペレーション領域は、ABEJA Platform上に構築した様々なシステムを汎用的な仕組み・サービスとして提供しております。このため、主な収入は顧客企業に提供する汎用的な仕組み・サービスに応じたストック型の継続収入となります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社は、「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、2012年の創業時より、コンピュータサイエンスを専門とする多数の大学教授陣と共同で研究開発を行っており、自社開発のABEJA Platformを基盤に、デジタルトランスフォーメーションを推進しております。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の「ポスト5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G 情報通信システムの開発」に応募し、2024年2月2日付で、当社提案の「LLMの社会実装に向けた特化型モデルの元となる汎化的LLM」が採択されました。当社はこれまで培ってきた知見をもとに、LLMの社会実装に必要不可欠となる精度及び計算コストパフォーマンスの飛躍的な向上を目的に、日本語LLM及び周辺技術(RAG、Agent)の研究開発を行っております。本件において、主にLLM構築に必要な計算リソースに係る費用については、NEDOから7億円規模の助成金の交付を受ける予定であります。また、NEDOのプロジェクトに係る助成対象費用は研究開発費として未払計上するとともに、助成金相当額を研究開発費のマイナスとして未収計上しているため、助成対象費用は当期の損益に影響を及ぼさない見通しです。
当第3四半期累計期間は主に生体AI・ディープラーニングや機械学習及び日本語LLM及び周辺開発に関する研究開発を行い、研究開発活動の金額は24,406千円となりました。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因はありません。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期累計期間において、資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。
当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。