当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態および経営成績の状況
①財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,527百万円減少して、48,861百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産等の流動資産の減少1,259百万円、投資その他の資産等の固定資産の減少1,267百万円があったことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ3,053百万円減少して、8,790百万円となりました。これは、電子記録債務等の流動負債の減少2,969百万円、長期借入金等の固定負債の減少83百万円があったことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ526百万円増加して、40,070百万円となりました。これは、利益剰余金等の増加によるものであります。
②経営成績
当社グループは長期事業展望である「長期ロードマップ・GIKEN GOALS 2031」に基づく中期経営計画の3か年戦略や最終年度の数値目標の達成に向け全社で具体的な取り組みを進めています。
当第3四半期連結累計期間における国内の事業環境は、公共、民間建設投資とも安定的に推移し、企業の設備投資が堅実に推移しました。しかしながら、建設資材価格の高止まり等により公共事業の施工規模が縮小状態を継続したことで、当社においては、本設構造物の構築に用いる粗利率の高い大型特殊機や部品の販売が影響を受けました。また、原材料や部品価格の高騰を受けて販売価格を改定しておりますが、引き続き動向を注視する必要があります。
国内における工法提案活動では、災害復旧・復興事業や防災・減災対策、国土強靭化関係を中心にインプラント工法※1の普及拡大に取り組みました。その結果、南海トラフ巨大地震対策の防潮堤工事や老朽化した護岸の耐震工事、渋滞の緩和や物流の活性化を目的とした高速道路の拡幅・新設工事等に採用されるなど、採用案件数は順調に推移しました。
令和6年能登半島地震の復旧事業では、石川県金沢市に開設した臨時事務所(能登復興支援室)の活動の結果、グループ会社の株式会社技研施工が「のと里山海道」の緊急復旧のため、2車線化に向けた拡幅工事で道路を支える土留め壁の構築を受注し、「サイレントパイラーF112」および「GRBシステム」を用いて工事を完了しました。被災箇所は膨大で災害復旧に関する問い合わせは増加しております。これらに対して圧入技術を用いた復旧工事の提案を今後も臨時事務所を中心に続け、当該地域の一日も早い復旧・復興に貢献してまいります。
国内の製品販売においては、鋼矢板を硬質地盤に圧入する際のオーガ装置の掘削能力、施工能率を向上する「フライホイール式パイルオーガ」を標準搭載した「サイレントパイラーF112」が好調に推移しました。フライホイール式パイルオーガは2021年5月、「サイレントパイラーF112」は2023年5月の市場投入以降、硬質地盤の適用範囲を広げるとともに、生産性を向上させる画期的な製品としてユーザーに評価を受けており、順調に販売数を伸ばしています。
海外売上比率7割を目指す海外展開では、圧入市場の継続的発展に向け、市場形成が軌道に乗りつつあるヨーロッパ、アジア地域を軸に市場拡大を加速する新たな事業モデルの構築を目指し、具体的な活動を進めています。その他の地域においては圧入市場の拡大に向け、市場の創造段階から見直しを図るため、市場調査や詳細な分析を行い、これに基づく新しいビジネスモデル・工法普及のあり方等を適切に検討し、事業拡大に向けた取り組みを進めていきます。
ヨーロッパ地域では、オランダの世界遺産「アムステルダムの環状運河地域」の護岸改修のための新技術開発プロジェクトにおいて、グループ会社のGiken Europe B.V.などで構成する合弁会社「G-Kracht B.V.」が、発注者であるアムステルダム市と商業化フェーズのフレームワーク合意を結びました。当社工法は本フェーズを経た後、200kmの改修を計画する本プロジェクトにおける標準工法の一つとして採択され、現地の専門工事会社等に一般開放される見通しです。当社グループは、標準工法化でジャイロパイラーなどの大きな市場が形成され、新しいユーザーへの機械販売やレンタルの需要が増加することに大きな期待を寄せています。このプロジェクトの実績を工法技術の提案に生かして市場拡大をさらに加速させてまいります。
アジア地域では、建設公害に対する意識の高まり等を背景に近年市場を広げている台湾において、既存ユーザーに一般機を納入しました。4月にはレンタル業務提携を結ぶ株式会社アクティオと共同で、フライホイール式パイルオーガを用いた硬質地盤クリア工法のデモンストレーションを実施し、その性能に注目が集まりました。台湾北部は硬い地盤が多い地域であり、同工法の技術提案を進めていくことでさらなる市場拡大を図ってまいります。また、これをきっかけに、引き続きアクティオグループと協働してアジア地域での市場拡大に向けた活動を進めていきます。このほか、地盤沈下の恐れのある現場で無振動・無騒音の圧入工法が指定されたことを契機として、マカオのユーザーに一般機を納入しました。マカオでは都市化が進んでおり、今後も様々な都市整備の中で市場拡大を見込んでいます。
このような状況のもと、当第3四半期連結累計期間における売上高は22,133百万円(前年同四半期比4.4%増)、営業利益は2,837百万円(同30.4%増)、経常利益は3,132百万円(同39.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,218百万円(同894.5%増)となりました。なお2023年8月期第3四半期においては、連結子会社との合弁関係解消に伴う関係会社整理損として1,367百万円を特別損失に計上しております。
セグメントの業績は次の通りです。
a. 建設機械事業
国内では、「サイレントパイラーF112」などの一般機の販売が順調に進捗した一方、建設資材価格の高騰等が大型特殊機の販売に影響しました。海外では、台湾やマカオ、インドネシア、ブラジルでの製品売上計上が貢献しました。これにより当セグメントの売上高は15,153百万円(前年同四半期比3.5%増)、営業利益につきましては、前期に実施した製品価格改定の業績寄与が始まったことなどから3,537百万円(同6.6%増)となりました。
b. 圧入工事事業
国内では、工法採用が堅実に推移する中、東日本大震災復興事業の水門工事の基礎(岩手県)、発電所の防水壁構築(岐阜県)、令和6年能登半島地震で崩落した高速道路の復旧工事(石川県)、2022年の台風14号による国道崩壊の災害復旧工事(宮崎県)等において工事が順調に進捗しました。2023年6月に海外連結子会社が1社減少した影響もありましたが、国内における開発型案件※2の受注が堅調に推移した結果、圧入工事事業の売上高は6,980百万円(前年同四半期比6.6%増)、営業利益は1,126百万円(同35.5%増)となりました。
※1 一本一本が高い剛性と品質を有した杭材(許容構造部材)を地中深く圧入し、地震や津波、洪水などの外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法。
※2 一般開放する前の当社が開発した製品・工法を使った工事案件を開発型案件と呼んでいます。
(2) 会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は573百万円であり、セグメントは全額「建設機械事業」であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。