第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間における、前事業年度の有価証券報告書「事業等のリスク」からの重要な変更は以下の通りです。本項に含まれている将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において判断したものです。

なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2事業の状況 3.事業等のリスク」の項目番号に対応するものであり、文中の下線部分が変更箇所であります。

 

(3) 子会社化した株式会社ゼロフィールドに関するリスクについて

当社は、2023年7月27日開催の取締役会において、株式会社ゼロフィールドの発行済株式の全てを取得し、子会社化することについて決議し、2023年9月1日付で株式を取得しました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。同社の事業に関するリスクについては、以下に記載の通りであります。

① 暗号資産の市場価格の変動について

株式会社ゼロフィールドは、暗号資産のマイニングマシンの販売を主な事業としております。暗号資産の市場価格はボラティリティがあるため、当該価格が低迷する場合、マイニング報酬が減少するため、同社の顧客層のマイニングに対するインセンティブが損なわれ、販売活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 税制改正について

株式会社ゼロフィールドのマイニングマシンは、顧客の資産取得時における償却のニーズに対応して販売しております。税制の改正により、同社のマイニングマシンの償却に関するニーズが低減し、販売活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 固定資産の減損について

株式会社ゼロフィールドの子会社化に伴い、有形固定資産、のれんをはじめとした無形固定資産が増加しております。事業環境の変化に伴い、同社の事業が計画通りに進捗せず、将来キャッシュ・フローの低下が見込まれる場合等には、減損損失を認識する必要が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における我が国経済の状況は、個人消費が低迷したことに加えて、円安に伴う原材料価格の高止まりなどコスト負担の増加もあり、景況感は後退しております。その一方で、雇用の改善や賃金の増加が見られ、企業部門は利益の増加が続き、インバウンド需要も順調に回復している模様です。こうしたなかで、各企業では中長期視点から、特にAIを中心としたデジタル投資への意欲が増している状況となっております。

当社グループの属する業界においては、2010年代後半から活発化していた各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の投資が継続して増加の傾向にあり、特にソフトウエアの分野において顕著であります。これまでDXが進んでいなかった業種、業界からも生成AIに対する関心は高く、その導入はより広がるものと見込んでおります。世界経済を牽引する技術として注目を浴びる生成AIですが、そのインフラであるGPUサーバーに対する需要も世界的に高まっている状況です。

そのような中、当社グループは、「テクノロジーに想像力を載せる」という経営理念の下、人にやさしいICTサービスの提供を目指し、当社グループ独自のテクノロジーで新たな時代への橋渡しとなるイノベーションを追求しております。GPU/データセンターに関する事業を行う子会社・株式会社ゼロフィールドとの事業シナジーを活かし、生成AI時代におけるAI開発力とコンピューティングパワーを併せもつ唯一無二のAIベンチャーとして、事業を推進してまいります。

当第3四半期連結累計期間においては、各企業のDXへの大規模な投資が加速する概況に照準を合わせ営業活動を行いました。首都圏や東海地区の展示会への出展やウェビナーを通じて、AI導入をゼロからサポートする月額制のサービス「AIラボ」を積極的に展開し、これまでDXで出遅れていた建設・製造・飲食業界を中心に受注が着実に進んでおり、今後の大きな収益源となることを見込んでおります。また、請負案件においても、当社AI技術へのニーズは高く、画像分析や需要予測といったAI開発では、当該期間において大型案件の受注や問い合わせが増えているのが特徴です。

AIZE関連では、4月にアルコール検知AIクラウドシステムである「AIZE Breath」と、ビジネスコミュニケーションツールを提供するLINE WORKSとの連携もスタートいたしました。同月には大規模自治体では日本初の試みとして、世田谷区において顔認証による勤怠管理にAIZEが採用されることとなりました。従前から勤怠システムサービスを展開する企業と連携を図ってきた効果が現れ、AIZEプロダクトの累計ユーザー数が10万IDを突破いたしました。

また、AI人材の社内育成のための通信教育プログラム「AIビジネス実践塾・AT20」が経済産業省が定める「Reスキル講座」に認定されることでより広い客層のニーズに対応できるようになりました。併せて新たに生成AI時代に向けた教育コンテンツとして「ChatGPT業務効率化実践講座」のサービスをスタートいたしました。

子会社である株式会社ゼロフィールドは、2024年1月のビットコインの現物ETF(上場投資信託)を米国証券取引委員会が承認するという追い風を受け、業績は好調に推移しました。当第3四半期連結累計期間においては、マイニング需要とAI開発の加速を視野に入れ、米ワシントン州と新潟でデータセンターを増設・開設しております。

さらに新規事業として、当社と共同でオンプレミスで利用できるAIサービスの開発を進めております。クラウドサービス上に情報保存することにリスクを感じている企業や公的セクターに対して、機密データをローカルで処理し管理するシステムを提供しております。併せて、当社従来のクラウドプラットフォームを活用することにより柔軟性の高いハイブリッドクラウドシステムも提供しております。当社のAIシステムと株式会社ゼロフィールドのGPUサーバーを併用することで、さらに競争優位性のあるサービスを実現していきます。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は3,033,638千円(前年同期比74.8%増)、営業利益は19,714千円(前年同期は営業損失97,606千円)、経常利益は49,416千円(前年同期は経常損失95,092千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は42,071千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失468,936千円)となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

なお、第1四半期連結会計期間より「AIソリューション事業」、「GPUサーバー事業」の2事業区分に、報告セグメントの利益の開示を四半期連結損益計算書の営業利益又は営業損失から経常利益又は経常損失にそれぞれ変更し、当社グループの経営状況をより適切に表示することとしています。

また、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、当第3四半期連結累計期間の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。

 

(AIソリューション事業)

当セグメントにおきましては、AI、IoT、DXに係る開発、WEBシステム開発やAIZE関連請負開発に関する売上高が堅調に推移しました。その結果、当第3四半期連結累計期間において、売上高は2,019,778千円(前年同期比16.4%増)となり、セグメント利益は38,678千円(前年同期はセグメント損失95,092千円)となりました。

また、当セグメントのうち、SI部門における経営上の指標であるエンジニア単価については617千円(前連結会計年度比1.2%増)、エンジニア人数については2,300人月(前連結会計年度比81.6%の進捗)、AIZE部門における経営上の指標である拠点ID数は8,701件(前連結会計年度末比167.7%増)となりました。

 

(GPUサーバー事業)

当セグメントは、株式会社ゼロフィールドの子会社化によりGPUマシン販売・保守管理を軸とした事業として、第1四半期連結会計期間より開始いたしました。

マシン販売・保守管理に関する売上高が想定通り推移した結果、当第3四半期連結累計期間において、売上高は1,013,860千円となり、セグメント利益は10,740千円となりました。また、当セグメントにおけるKPIである、マシン販売台数の実績は390台となりました。なお、当セグメントについては前第3四半期連結累計期間における実績がないため、比較分析は行っておりません。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における資産の合計は、4,307,781千円と前連結会計年度末と比較して2,005,134千円増加しております。

流動資産は2,919,322千円(前期末比766,631千円増)となり、主な要因としては、商品及び製品が461,532千円増加したことであります。

固定資産は1,388,459千円(前期末比1,238,502千円増)となり、主な要因としては、のれんが560,999千円、顧客関連資産が276,681千円、建物及び構築物が233,178千円それぞれ増加したことであります。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債の合計は、3,625,040千円と前連結会計年度末と比較して1,654,539千円増加しております。

流動負債は2,148,011千円(前期末比1,301,292千円増)となり、主な要因としては、契約負債が700,355千円、短期借入金が253,597千円それぞれ増加したことであります。

固定負債は1,477,028千円(前期末比353,246千円増)となり、主な要因としては、長期借入金が191,014千円、繰延税金負債が115,728千円それぞれ増加したことであります。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産は、682,740千円と前連結会計年度末と比較して350,595千円増加しております。主な要因としては、資本剰余金が974,173千円増加したことおよび資本金が665,906千円減少したことであります。これらは、第三者割当増資等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ154,133千円増加したため、また減資により資本金を資本剰余金に820,039千円振り替えたため等であります。

 

 

(2) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は36,907千円であります。研究開発活動は次のとおりであります。

(AIソリューション事業)

主にAIZE技術開発を目的としたソフトウエア開発に関する費用であり、金額は32,306千円となっております。

(GPUサーバー事業)

主に製品の機能向上のための開発に関する費用であり、金額は4,601千円となっております。

 

(3) 従業員数

第1四半期連結会計期間において、株式会社ゼロフィールドを連結の範囲に含めたことにより、GPUサーバー事業において従業員数が30名増加いたしました。これらの結果、当第3四半期連結会計期間末における当社グループの従業員数は273名となっております。

 

(4) 主要な設備の状況

第1四半期連結会計期間において、株式会社ゼロフィールドを連結の範囲に含めたことにより、主要な設備が増加しております。同社の連結子会社化に伴い、当第3四半期連結会計期間末において、有形固定資産は264,092千円、無形固定資産は839,559千円それぞれ増加しております。有形固定資産は主に建物及び構築物、無形固定資産は主にのれんであります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年5月27日開催の取締役会の決議に基づき、井口 邦氏及び井口 恵氏との間で、同日付で株式会社BEXの株式譲渡契約を締結し、2024年7月1日付で株式を取得し、同社を完全子会社化しました。

詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)(取得による企業結合)をご参照ください。