第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「すべては子どもたちの未来のために」という企業理念のもと、お子様・保護者様のご要望を的確に把握し、教育力の向上に常に務めるとともに、お子様・保護者様の声に誠実かつ迅速に対応して業務の改善に努め、子どもたちの素晴らしい未来づくりのために全力で努力いたします。そのために、高品質な「本物」の教育サービスを提供し、徹底した差別化戦略によって日本を代表するオンリーワン企業を目指すことを経営の基本方針にしております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、景気動向および市場環境に左右されない安定した収益基盤を構築するため、以下を主軸として持続的成長と企業価値向上に努めてまいります。

 

①徹底的な差別化戦略

当社は、「生徒の個性・個人差は千差万別。その個人差に的確に対応できる教育こそが、本物の教育であり、理想の教育である」という理念のもと、完全1対1の進学個別指導システムによって、質の高い教育サービスを行っております。

一口に個別指導といっても、1対2、1対3といった指導形態のものや、補習を中心とした塾が大半を占めます。当社は、創業以来一貫して、進学実績にこだわり続け、"個別で進学実績を出せるのはTOMASだけ"という、業界独占ポジションを築くことにより、同業他社との差別化を図っております。

当社の子会社も同様に、当社グループが理念として掲げる本物の教育を実践し、他社との差別化を行い、収益力の向上を図ってまいります。

 

②事業の特色を活かした戦略的な校舎展開

当社グループの主要な事業のうち、TOMAS・伸芽会は首都圏を中心に、名門会・スクールTOMASについては首都圏をはじめとして全国に拠点・校舎を展開しております。各事業の特色を踏まえ、戦略的に校舎を展開することで、より多くのお客様に当社グループの教育サービスを提供できる体制を構築してまいります。

主力事業のTOMASは首都圏を重点地域とし、首都圏(1都3県)サテライト校戦略として、首都圏の各地域にさらなる校舎展開を行ってまいります。また、伸芽会につきましても、高まり続けるお客様からのご要望に応えるため、引き続き首都圏を中心に校舎展開を行ってまいります。なお、校舎対象物件の新規開発にあたっては、業務提携しておりますヒューリック株式会社より、駅前の優良物件をご紹介いただけることとなっております。

名門会はすでに全国に展開している拠点・校舎を基盤として引き続き全国のお客様にサービスを提供するとともに、TOMASが展開していない地域には個別指導塾「TOMEIKAI」を展開することで、首都圏以外における「本物」の個別指導へのニーズに応えてまいります。また、スクールTOMASにつきましては、TOMASで蓄積したノウハウを基に、全国の私立中高学校中心に個別学習支援サービス(学校内個別指導塾)を提案してまいります。

 

③1歳から社会人までの囲い込み戦略

当社グループの強みの一つとして、幼児期から学生、社会人に至るまでの各段階のそれぞれについて、適切な教育サービスを提供できるパッケージを備えていることが挙げられます。伸芽'Sクラブ(1~3歳)を入口に、伸芽会(4~6歳)、TOMAS・名門会・スクールTOMAS(小・中・高生)という大学生までの受験指導を基軸とし、勉強では埋められない多様な体験を提供するためのプラスワン教育、社会人に至るまでの英語学習のサポートを行うインターTOMASなど、当社グループの持つ教育サービスをお客様の成長に合わせて提供することで、グループ内でのお客様の定着を図ってまいります。

 

④財務体質の強化

当社グループは、上記の経営戦略に基づいたキャッシュ・フローの獲得および保有資産の有効活用等により財務体質の強化を図ってまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 事業の成長と企業価値の増大とともに様々なステークホルダーの皆様からの期待が尚一層高まる中、下記を当社グループの課題として捉え、対処と対応に積極的に取り組みたいと考えております。

 

①企業ブランドの増強と向上

生徒一人一人の個性に的確に対応した、高品質な「本物」の教育サービスの提供による徹底した差別化戦略によって学習塾業界での当社グループの地位を高め、さらなる収益機会を拡大するため、ブランドの一層の向上と拡大を目指し、経営体制を拡充してまいります。

 

②優秀な人材の確保と育成

当社グループは人材を重要な経営資源と捉えております。その為、優秀な社員、講師を採用し、育成指導することが重要課題であり、当社グループ全社を挙げて積極的に取り組んでおります。具体的には多くの優秀な講師を採用するために採用専門の子会社「ココカラTチャーズ」を設立し、これまでグループ各社で行っていた講師の採用、育成、研修および紹介を一貫して行います。

 

③囲い込み戦略に伴う新規会員の獲得およびTOMAS等への移行

1歳から社会人までの年齢軸による囲い込みを行うにあたっては、伸芽'Sクラブの新規会員の獲得およびTOMAS等への移行が課題となります。入り口である伸芽’Sクラブをはじめとした新規会員を増やすため、期待される以上の高品質な教育サービスの提供を行うとともに、グループ間での連携を図っております。

また、軸となる戦略を遂行するため、他社とも積極的に連携を行ってまいります。当事業年度におきましては、キッズ会員を多く有しているコナミスポーツ株式会社と業務提携を行うことにより新規会員の獲得増加を、ヒューリック株式会社、コナミスポーツ株式会社との業務提携で構想しております「こどもでぱーと(仮称)」では、同ビル内に伸芽’SクラブおよびTOMASが併設されることとなり、地理的・心理的側面からもTOMASへの移行が促されるものと考えております。

 

④労務および管理コストの削減

上記の課題を達成し規模の拡大を図るとともに、コストの削減を行うことで収益力の向上を行うことが持続的な成長のためには必要となります。当社グループの場合、事業の性質上総コストに占める比率が高い労務コスト、および管理コストの削減が収益の拡大に効果的と考えております。その取り組みの一環として、当事業年度におきましては、株式会社ココカラTチャーズを設立し講師の採用管理を一元化することにより、労務および管理コストの削減を図っております。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画で、2024年2月期には、連結業績として売上高355億円、営業利益37.1億円、経常利益37億円、親会社に帰属する当期純利益25億円を目標として掲げており、営業利益率10%への早期の回復を目指しております。また、株主への利益還元を経営上の重要課題として捉えており、引き続き株主のために可能な限り「株主還元」してまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループでは、リスクの洗い出しに際して、経営戦略の遂行を考慮した際に生じるリスクと経営上不可避的に生じるリスクに分類しております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお文中の将来に対する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

Ⅰ.経営戦略の遂行を考慮した際に生じるリスク

 

(1)社会情勢の変化に関するリスク(経済状況・少子化・受験改革等)

 

(2)自然災害・感染症の発生について

 

(3)人材確保および育成について

 

(4)物件の確保を行えないリスク

Ⅱ.経営上不可避的に生じるリスク

 

(1)個人情報の取扱いについて

 

(2)法的規制等について

 

(3)訴訟について

 

(4)海外の事業展開について

 

(経営戦略の遂行を考慮した際に生じるリスク)

(1)社会情勢の変化に関するリスク(経済状況・少子化・受験改革等)

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

●リスク

当社グループは、日本国内において教育サービスの提供を行っており、その売上収益は日本国内における景気、物価の変動、産業・業界の動向に影響を受けます。特に、依然として解消のための方策が見えてこない少子化問題および教育制度や大学入試の大きな改革については、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、より質の高い教育サービスを提供するなど同業他社と品質面での差別化を図ることで、経済状況の変化、少子化といった市場の変化に左右されない経営基盤を築いております。

また、当社グループでは、教育制度や大学入試等の改革につき、改革に沿った入試対策及び学習指導を行うことにより、改革のリスクに対する対策を図っております。

●経営方針等との関連性

 -

 

(2)自然災害・感染症の発生について

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:高

●リスク

当社グループの主要な事業所は、東京を中心とした首都圏にあり、家庭教師派遣事業の名門会では全国で施設運営をしております。地震、津波、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、感染症の蔓延、紛争・テロ、違法行為等、予測の範囲を超える事態の発生により、事業活動の停止や事業運営への重大な支障が生じ、長期間にわたって授業の実施が困難となった場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、地震・風水害等の自然災害や火災などの災害発生に備え、防災用品を備蓄しているほか、各社員の被災状況の情報収集体制の構築も行っております。また、新型コロナウイルス感染防止対策として、生徒と講師を仕切るビニールカーテンを、全校の全ブースへの設置等を行うことにより、当該リスクへの対応を図っております。

●経営方針等との関連性

 -

 

(3)人材確保および育成について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:高

●リスク

当社グループでは、質の高い教育サービスを提供しながら、かつ計画的な教室展開を進めているため、社員や講師といった人材の確保とその育成が、企業規模の拡大成長には不可欠で重要な要素となっております。今後の採用環境の急激な変化により必要な人材が十分に確保できない場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、定期的・計画的な採用活動と、徹底した研修教育を行うことにより、当該リスクへの対応を図っております。

●経営方針等との関連性

 ①徹底した差別化戦略、②事業の特色を活かした戦略的な校舎展開

 

(4)物件の確保を行えないリスク

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:高

●リスク

当社グループは、首都圏を中心に新校開校、既存校の拡大移転リニューアルによる安定的な教室展開を図る計画でありますが、物件の確保ができずに計画通りに教室展開ができない場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、開校前に相応の期間を設けることで、商圏調査・物件の早期確保に努めております。また、ヒューリック株式会社との業務提携により、駅前の優良物件について優先的な紹介を受けることで、当該リスクへの対応を図っております。

●経営方針等との関連性

 ②事業の特色を活かした戦略的な校舎展開、③1歳から社会人までの囲い込み戦略

 

(経営上不可避的に生じるリスク)

(1)個人情報の取扱いについて

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:高

●リスク

当社グループが提供する教育サービスの性質上、サービスを受ける相手方である生徒等の個人情報を取り扱うこととなります。万が一これらの個人情報流出等により問題が発生した場合、信用失墜により当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、プライバシーポリシーに基づき個人情報の管理を徹底しております。また、お客様の個人情報はデータベースにて管理しており、万全の管理体制の下、情報流出阻止に努めるほか、全従業員に定期的に個人情報保護の重要性や情報の取扱いについて教育を行うことにより、当該リスクへの対応を図っております。

●経営方針等との関連性

 -

 

 

(2)法定規制等について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

●リスク

法令等に違反する事由が生じた場合には、企業活動が制限される可能性があります。また、法令等の規制への対応に係る経営コストの増加を含め、法的規制等が当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、コンプライアンスの向上に努め、法令等に十分留意した営業活動を行うことにより当該リスクへの対応図っております。

●経営方針等との関連性

 -

 

(3)訴訟について

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

●リスク

当社グループが株主を含む第三者から損害賠償などの訴訟を起こされた場合、当社グループの事業展開に支障が生じる可能性があります。また、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

訴訟その他法的手続の事案が発生した場合、適時に弁護士等の外部専門家に相談できる体制を構築しております。

●経営方針等との関連性

 -

 

(4)海外の事業展開について

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:低

●リスク

当社グループは、フィリピンにオンライン英会話事業を展開しており、その事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しております。

イ.予期しない法律または規制の変更、強化

ロ.為替レートの変動

ハ.不利な政治または経済要因

ニ.税制または税率の変更

ホ.テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等

万一、上記のような事象が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応策

当社グループでは、オンライン英会話事業を完全外注化することにより、当該リスクを最小限となるように努めております。

●経営方針等との関連性

 -

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

1.財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、感染拡大防止と経済活動の両立を図るなかで、一部に回復の兆しは見られるものの、海外経済の減速や足元の感染者数の再拡大を受け自粛要請の強化などで経済活動が抑制されるリスクがあり、いまだ先行きが不透明な状態が続いております。

学習塾業界におきましても、こうした経済状況により、特に集団指導塾においては一斉休校を余儀なくされるところが多く、依然として解消のための方策が見えてこない少子化問題や、加えて教育制度改革や大学入試改革など複合的な要因も絡むなど、取り巻く環境が大きく変わろうとしております。

このような外部環境に対して、少子化を前提としたビジネスモデルである当社グループは、「すべては子どもたちの未来のために」という考え方から、高品質な「本物」の教育サービスを提供し、徹底した差別化戦略によって日本を代表するオンリーワン企業を目指すことを経営の基本方針としております。

当社グループの教室においても昨年4月の緊急事態宣言の発出の際は休校措置を取りましたが、子どもたちが安全に教育を受けられる場を守るために、同業他社には例のない徹底した感染防止策(高さ190cm超の壁に囲われたブースでの指導、生徒と講師の間を仕切るビニールカーテンの設置、生徒および講師のサージカルマスク着用、講師のフェイスシールド着用など)を講じることで、子どもたちが安心して通塾できる環境作りに注力してまいりました。また、感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出後、医療現場での医療器具等の不足報道を受けて、教室用に事前に手配しておりました医療用フェイスシールドを、速やかに1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に寄付を行っております。

この当社独自の感染防止策が評価され、各種メディアに取り上げられたこともあり、新型コロナウイルスによる自粛の影響で減少した生徒数は、第2四半期連結会計期間末である2020年8月末時点には前年同期を上回る生徒数まで回復し、その後も順調に生徒数を伸ばすことができました。

一方で、当社子会社の株式会社スクールTOMAS(学校内個別指導事業)で実施してきたオンライン英会話事業の実施方法を、完全に外注化することにより、海外子会社の閉鎖費用を特別損失に計上しております。当該事業を外注化することにより、来期以降はこれまで固定費(人件費および地代家賃等)だったものが変動費化し、来期のスクールTOMASの収益性向上につながるものと考えております。

また、コロナ後の業績回復を見据え、来期(第37期)のスタートの3月より新校開校を再開するための人材の確保、育成や優良物件の事前確保などを行っております。

今後も、新型コロナウイルス感染防止に努めてまいるとともに、引き続き当社独自の徹底した感染防止策を講じ、子どもたちが安心して勉強できる環境を守りながら、グループ全体の成長を目指していきたいと考えております。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は25,201百万円(前期比5.6%減)、営業利益は1,010百万円(前期比62.8%減)、経常利益は1,192百万円(前期比56.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は471百万円(前期比75.8%減)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりとなります。

①TOMAS(トーマス) [学習塾事業部門]

完全1対1の進学個別指導による高品質な教育サービスを提供し、売上高は13,613百万円(前期比0.3%増)、内部売上を含むと13,613百万円(前期比1.5%減)となりました。

当連結会計年度におきましては、インターTOMAS桜新町校(東京都)を新規開校、TOMAS藤沢校(神奈川県)、TOMAS成増校(東京都)を移転リニューアルいたしました。

②名門会 [家庭教師派遣教育事業部門]

100%プロ社会人講師による教育指導サービスの提供に加え、全国区へ事業展開を図っておりますが、各校舎の休校等の影響により、売上高は4,753百万円(前期比7.7%減)となりました。

当連結会計年度におきましては、TOMEIKAI名古屋御器所校(愛知県)、TOMEIKAI四条烏丸校(京都府)を新規開校、名門会藤沢駅前校(神奈川県)を移転リニューアル、既存の対面授業に加え、オンライン授業を開始いたしました。

③伸芽会 [幼児教育事業部門]

名門幼稚園・名門小学校受験業界でトップクラスの合格実績を誇る既存事業「伸芽会」に加え、受験対応型の長時間英才託児事業および学童事業「伸芽'Sクラブ(しんが~ずくらぶ)」の2つのブランドの充実を図り、売上高は4,843百万円(前期比0.9%増)、内部売上を含むと4,844百万円(前期比0.3%増)となりました。

当連結会計年度におきましては、伸芽’Sクラブ学童藤沢校(神奈川県)を移転リニューアルいたしました。

④スクールTOMAS [学校内個別指導事業部門]

学校内個別指導塾「スクールTOMAS」の営業展開を推し進めておりますが、各学校の休校等の影響により、売上高は1,344百万円(前期比10.3%減)、内部売上を含むと1,579百万円(前期比9.2%減)となりました。

⑤プラスワン教育 [人格情操合宿教育事業部門]

情操分野を育む多彩な体験学習サービスの提供を行っておりますが、自粛等の影響により、売上高は635百万円(前期比61.9%減)、内部売上を含むと667百万円(前期比60.8%減)となりました。

当連結会計年度におきましては、TOMASサッカースクール東陽町校(東京都)、TOMASサッカースクール立川校(東京都)、TOMAS体操スクール二子玉川校(東京都)を新規開校いたしました。

⑥その他の事業

売上高は11百万円(前期比7.3%減)、内部売上を含むと84百万円(前期比6.3%増)となりました。

当連結会計年度におきましては、講師採用業務の一括管理、採用した講師の育成、研修、紹介を一貫して行う、株式会社「ココカラTチャーズ」を設立いたしました。

 

2.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて873百万円減少し、3,963百万円(前連結会計年度末4,837百万円)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は36百万円(前連結会計年度に得られた資金は2,911百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,048百万円、減価償却費318百万円、退職給付に係る負債の増加額181百万円、売上債権の増加額△1,320百万円、前受金の増加額150百万円、法人税等の支払額△805百万円、法人税等の還付額105百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は655百万円(前連結会計年度に使用した資金は652百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出△263百万円、無形固定資産の取得による支出△101百万円、投資有価証券の取得による支出△104百万円、敷金及び保証金の差入による支出△174百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は182百万円(前連結会計年度に使用した資金は2,138百万円)となりました。これは主に、短期借入れによる収入4,000百万円、短期借入金の返済による支出△4,000百万円、自己株式の取得による支出△737百万円、自己株式の処分による収入969百万円等によるものです。

 

3.生産、受注及び販売の実績

①事業所と収容能力

事業所および収容能力に著しい変化はありません。

 

②販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

学習塾事業(TOMAS(トーマス))

13,613,228

100.3

家庭教師派遣教育事業(名門会)

4,753,694

92.3

幼児教育事業(伸芽会)

4,843,374

100.9

学校内個別指導事業(スクールTOMAS)

1,344,812

89.7

人格情操合宿教育事業(プラスワン教育)

635,200

38.1

その他

11,275

92.7

合計

25,201,586

94.4

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.売上高には、消費税等が含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

1.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

①財政状態の分析[図1][図2]

当連結会計年度末の資産につきましては、営業未収入金、有形固定資産、投資有価証券、敷金及び保証金の増加、現金及び預金、未収還付法人税等の減少等により642百万円増加し、13,857百万円(前連結会計年度末13,214百万円)となりました。

負債につきましては、未払金、前受金、関係会社整理損失引当金、退職給付に係る負債の増加、未払法人税等、その他の流動負債(未払消費税等)の減少等により308百万円増加し、7,365百万円(前連結会計年度末7,056百万円)となりました。

純資産につきましては、資本剰余金、利益剰余金、退職給付に係る調整累計額の増加、非支配株主持分の減少等により334百万円増加し、6,491百万円(前連結会計年度末6,157百万円)となりました。

流動比率は、147.69%から152.56%と4.86%上昇、自己資本比率は45.9%から46.4%0.5%上昇しており、財務の健全性は適切に維持されている状況となっております。資産の内訳については、現金及び預金および営業未収金等の運転資本が大きな割合を占める状況となっております。今後につきましても、財務の健全性を維持しつつ、剰余金の配当等による株主還元を図ってまいります。

 

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②経営成績の分析[図3]

当連結会計年度における経常利益は1,192百万円となり、前期比△1,557百万円となりました。また、経常利益率は4.7%となり、前期比△5.6%となりました。主な要因としては、感染防止策として各指導ブースにおいて、生徒と先生の間に大型ビニールカーテンを設置する等一時的な要因としての費用が増加したことによるものです。そのため、2022年2月期では改善すると見込んでおります。

 

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2.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報[図4]

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、以下の通りとなっております。

営業活動CFは、△36百万円となり、前連結会計年度に比べ2,947百万円減少しました。主な要因としては、新型コロナウイルスによる休校等に伴う売上の減少によるものです。

投資活動CFは、△655百万円となり、前連結会計年度に比べ3百万円減少しました。主な要因としては、ヒューリック株式会社との業務提携に伴う投資有価証券の取得によるものです。

財務活動CFは、△182百万円となり、前連結会計年度に比べ1,956百万円増加しました。主な要因としては、配当金の支払額の減少および自己株式の取得によるものです。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の通りとなっております。

(資本の財源)

当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、自己資金のほか必要に応じて資金調達を行ってまいります。

(資金需要)

2021年2月期では緊急事態宣言発出により一時休校したものの、第2四半期末には前期を上回る推移で生徒数が回復いたしました。

コロナウイルス感染症の収束まで時間を要する見込みですが、2022年2月期以降の積極的な新校展開によるさらなる生徒数の増加やTOMAS、伸芽会での授業料改定の効果により業績のV字回復を図り、従前の成長ラインへの復帰、さらなる成長を目指し、投資を行ってまいります。

2022年2月期においては既にTOMASで3校の新規開校、1校の移転拡大リニューアル、メディックTOMASで2校の新規開校、インターTOMASで1校新規開校、伸芽会で1校の新規開校、伸芽'Sクラブ託児で1校の新規開校、伸芽'Sクラブ学童で2校の新規開校、TOMEIKAIで2校の新規開校、TOMAS体操スクールで1校の新規開校が決定しております。

(株主還元)

当社グループは、株主への皆様に対する利益還元を経営の重要課題の1つとして捉え、安定的な手元資金の確保を前提としつつ、業績に応じた配当を行うことを基本方針においております。

 

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3.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の報告数値および偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。

当社グループは、貸倒引当金、返品調整引当金、賞与引当金、関係会社整理損失引当金、資産除去債務、退職給付に係る負債、法人税等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っております。当社グループは、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果を資産・負債の簿価および収入・費用の報告数値についての判断の材料としております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携契約

 当社は、2020年9月29日開催の取締役会において、ヒューリック株式会社およびコナミスポーツ株式会社と

の間で、業務提携を行うことを決議し、同日付で業務提携契約を締結しております。

 

(業務提携契約)

契約先

契約年月日

契約の内容

ヒューリック株式会社

コナミスポーツ株式会社

2020年9月29日

3社で締結した業務提携契約に基づき、同一ビル内での子ども向けワンストップ・サービスの業態開発および展開を共同で取り組む予定です。同一ビル内でのワンストップ・サービスをおこなうことで送迎や移動に関する保護者にとっての不便・不安を解消するとともに、お子様の個性に合わせた複数のサービス提供を同じビルで受けることが可能になり、さらに既存ブランドの拡張、各社共同での会員向けサービスの展開、各社のノウハウ等の相互活用等1歳から大人までずっと通っていただけるワンストップ・サービスによる新たな囲い込み戦略を展開するものです。

 

(2)資本・業務提携契約

 当社は、2020年9月29日開催の取締役会において、ヒューリック株式会社(以下、「ヒューリック」といいます。)との間の資本・業務提携契約(以下、「本提携契約」といいます。)について以下のように決議し、同日付で本提携契約を締結しております。本提携契約に基づき当社は、2020年9月30日付で市場買付の方法によりヒューリックが発行する普通株式104,400株を取得いたしました。

 また、ヒューリックは2020年9月29日付で、当社の取締役会長である岩佐実次氏との間で当社株式の譲渡契約を締結しております。当該契約に基づきヒューリックは、2020年9月30日付で当社株式7,820,000株を取得しております。

 

(資本・業務提携契約)

契約先

契約年月日

契約の内容

ヒューリック株式会社

2020年9月29日

以下の業務内容の推進に向けた長期的な提携関係の構築・強化のために、相互に株式を取得いたします。

①教育に関わる新規事業の共同検討

②当社グループの新規展開等におけるヒューリックグループが所有・開発する不動産の活用

③ヒューリックグループによる当社グループの不動産戦略サポート

④両社の知識・ノウハウおよびネットワーク等の相互活用

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度において、該当事項はありません。