第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)経営成績の状況

 当社グループは、眼科領域に特化しグローバルに医療用医薬品、医療機器の研究開発を行う眼科医療ソリューション・カンパニーです。世界から失明を撲滅するため、眼科領域のデジタル化を推進し、ビックデータカンパニーを目指しています。

 当中間連結会計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が抑えられてきたことによる経済の持ち直しが期待されておりましたが、いまだ予断を許さない状況が継続していることに加え、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題等による原材料や輸送コストの高騰、急激な為替変動等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような市場環境のもと、当社グループは以下のとおり事業展開及び研究開発を進めました。

 

[医療機器]

(ウェアラブル近視デバイス(クボタメガネ))

 当社の開発するクボタメガネ・テクノロジーは、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行の抑制、治療を目指す当社独自のアクティブスティミュレーション技術です。将来的には、この技術を他のデバイスに応用し、近視抑制をより身近に実現することを目指しています。2022年には、成人を対象とした卓上型デバイスの臨床試験の論文を、シュプリンガー・ネイチャー社の刊行するScientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)に発表しました。これは、小児に比較して効果が見えにくい成人においても、1.5時間のデフォーカス刺激を週に5回適用することで近視抑制の可能性を実証できた初めての例であると考えています。2021年には、台湾における医療機器の製造許可を取得し、また、2022年には、米国FDAでの医療機器登録を完了しました。現在、販売拡大に向けた準備を進めるとともに、より多くのエビデンスを得るための臨床試験等を継続しております。今後は新規事業開発室を新設し、日本におけるマーケティング活動の強化に加え、他社とのコラボレーションを積極的に行うことで事業成長につなげていく方針です。また、引き続き主に日本、米国及び台湾において、製造から販売・配送、アフターケアまでのプロセスにおけるトラブルシューティング及びマーケットフィットの検証を目的としたソフトローンチを行う一方で、より広範な市場での商業化を可能にするためのマーケティング活動の強化、及びよりマーケットニーズにフィットした次世代機の開発の準備を進め、逐次着手していく方針です。

 また、当社グループが販売している「Kubota Glass」は、2022年より日本で販売を開始しました。今年7月には、中国への輸出及び販売を視野に入れ、双日九州株式会社(本社:福岡県福岡市)と売買契約を締結、同年8月には、同社と中国市場での「Kubota Glass」販売拡大を目指した業務提携契約を締結し、協業を開始しました。本契約により、相互の発展のために、両社それぞれの得意分野や経営資源を利用し、お互いの取り扱う製品・技術の共同開発、販路開拓、商流構築、営業開発を甲及び乙が協力して推進することを目的とした業務提携を行っていきます。

 

(在宅・遠隔医療モニタリング機器)

 当社が開発する超小型モバイルOCT(光干渉断層計)の「eyeMO」は、眼科において網膜の状態の検査に用いられるOCTの超小型モデルのことで、モバイルヘルスを含む在宅・遠隔医療分野での需要を見据えた在宅眼科医療機器ソリューションです。2023年12月には世界で最も権威のある眼科病院の1つであるアラビンド眼科病院(AECS)の製造施設として貢献しているAUROLAB社(本社:マドゥライ、インド)と共同開発に向けた基本合意書を締結しました。AECSは、南インドに14施設の眼科病院、6箇所の外来眼科検査センター、108箇所の初期眼科医療施設を保有しており、年間450万件以上の手術や治療を行う世界でもトップクラスの会社です。また、同時にIQVIAサービシーズ ジャパン合同会社(本社:東京都港区)と中外製薬株式会社が資金提供を予定する特定臨床研究に向けてベンダー契約を締結しました。本研究では、糖尿病黄斑浮腫患者に対し、患者自宅で本機器の使用が可能であるか、また、網膜厚測定及び網膜内・網膜下浮腫の有無判定のための網膜状態の測定値の妥当性を医療者によって判断します。なお、本研究の前には、フィージビリティスタディーを実施する予定です。

 

[低分子化合物]

 エミクススタト塩酸塩については、スターガルト病を対象(被験者数194人)に2018年11月に開始した第3相臨床試験の結果、主要評価項目等は達成せずに終了しましたが、その後の更なる事後解析により発症早期の被験者グループにおいて統計学的な有効性を示すことが明らかとなりました。なお、エミクススタトの安全性と忍容性は従来と変わらず、先行の臨床試験結果と同様の安全性が確認されています。

 エミクススタトの有効性に関する事後解析の結果では、ベースライン時の萎縮病巣面積がより小さい被験者グループにおいてエミクススタト投与群はプラセボ投与群と比較し、2年間の萎縮病巣の拡大(=悪化)が、有意(p=0.0206)に抑制することが示唆されました。この結果により、エミクススタトは特定の被験者グループに対して有効性を示すことが明確となり、今後の治療戦略において重要な知見が得られました。なお、詳細な第3相臨床試験の成績について現在、眼科学分野の査読雑誌へ投稿中ですが、受理されましたら改めてスターガルト病患者の特定の集団におけるエミクススタトの有効性と安全性についてお知らせ致します。当社は、引き続き共同開発パートナーを探す等の活動を継続するとともに、エミクススタトの今後の計画について改めて検討してまいります。

 

 当中間連結会計期間の事業収益は10百万円(前年同期比43.2%減)、売上原価は2百万円(前年同期比65.8%減)となりました。研究開発費、販売費及び一般管理費については以下のとおりです。

 

(研究開発費)

 当中間連結会計期間の研究開発費は、前年同期と比較して133百万円減少(前年同期比△30.3%)し、305百万円となりました。これは、エミクススタト塩酸塩、及びウェアラブル近視デバイスの開発費用が減少したことが主な要因です。

 

 

 

 

(単位:%を除き、千円)

 

前中間期

当中間期

増減額

増減率(%)

研究開発費

437,657

305,065

△132,592

△30.3

 

(販売費及び一般管理費)

 当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、前年同期と比較して57百万円増加(前年同期比+17.8%)し、378百万円となりました。これは特許関連費用が減少した一方で、Kubota Glassに関する支払報酬等、及び監査報酬等が増加したことが主な要因です。

 

 

 

 

(単位:%を除き、千円)

 

前中間期

当中間期

増減額

増減率(%)

販売費及び一般管理費

320,718

377,814

57,096

17.8

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当中間連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて685百万円減少し2,185百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が減少したことが主な要因です。

 

(非流動資産)

 当中間連結会計期間末の非流動資産は、前連結会計年度末と比べて11百万円増加し158百万円となりました。これは、有形固定資産が増加したことが主な要因です。

 

(流動負債)

 当中間連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末と比べて33百万円減少し249百万円となりました。これは、未払債務、及び未払報酬が減少したことが主な要因です。

 

(非流動負債)

 当中間連結会計期間末の非流動負債は、前連結会計年度末と比べて23百万円減少し64百万円となりました。これは、リース負債が増加したことが要因です。

 

(資本)

 当中間連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末と比べて618百万円減少し2,029百万円となりました。これは、中間損失の計上により繰越損失(利益剰余金のマイナス)が拡大したことが主な要因です。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は、取得日後3ヶ月以内に満期が到来する短期の流動性の高いすべての投資を含み、現金同等物はマネー・マーケット・ファンドで構成されております。取得日現在の満期が3ヶ月から1年の間である投資は、短期投資に分類されます。

 当社グループが保有する現金、現金同等物及び短期・長期の金融商品は、前中間連結会計期間末及び当中間連結会計期間末において、それぞれ3,414百万円及び2,063百万円でありました。第三者金融機関への預金額は、連邦預金保険公社及び証券投資家保護公社の適用ある保証上限を超える可能性があります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における営業活動に使用した現金及び現金同等物(以下、資金)は、それぞれ738百万円及び696百万円となりました。使用した資金が42百万円減少した主な要因は、前中間連結会計期間に比べ、当中間連結会計期間は研究開発及び一般管理費等の支払いに関する資金が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における投資活動により使用した資金は、それぞれ6百万円及び26百万円となりました。使用した資金が19百万円増加した主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 前中間連結会計期間における財務活動により得られた資金は86百万円、当中間連結会計期間に使用した資金は11百万円となりました。これは、前中間連結会計期間に比べ、当中間連結会計期間は新株予約権の権利行使に伴う普通株式の発行による収入が減少したことによるものです。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、それぞれ438百万円及び305百万円となりました。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。研究開発費の詳細は、「(1)経営成績の状況 (研究開発費)」をご参照ください。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。