第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

(単位:百万円)

 

前中間
連結会計期間

当中間
連結会計期間

増減額

増減率 (%)

受注高

367,672

399,697

32,024

8.7

売上収益

363,833

394,536

30,702

8.4

営業利益

33,766

39,951

6,185

18.3

売上収益営業利益率 (%)

9.3

10.1

親会社の所有者に帰属する

中間利益

20,583

29,216

8,632

41.9

基本的1株当たり中間利益 (円)

44.67

63.28

18.60

41.6

 

 

当中間連結会計期間における我が国経済は、個人消費や企業の設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向が継続しました。世界経済は、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の減速による下振れリスクはあるものの、持ち直しの動きがみられました。一方で、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクには注視が必要な状況です。

このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とした3か年の中期経営計画「E-Plan2025」において、「顧客起点での価値創造」をテーマに対面市場別組織へ移行し競争力の強化を図り、経営指標の達成に向けた各種施策への取り組みを進めています。

当中間連結会計期間の受注高は、「精密・電子」においては、半導体市場の本格回復には時間を要するものの底打ちからの回復はより鮮明となり、前年同期を上回りました。一方で、「環境」、「エネルギー」においては、大型案件の受注タイミングによる減少により前年同期を下回りました。この結果、全社の受注高は前年同期比で増加となりました。売上収益は、「インフラ」を除く他のセグメントが堅調に推移して増収となりました。営業利益は、売上成長と収益性改善及び為替の後押しもあり、増益となりました。受注高、売上収益、営業利益は当中間連結会計期間として過去最高額を更新しました。

これらの結果、当中間連結会計期間における受注高は3,996億97百万円前年同期比8.7%増)、売上収益は3,945億36百万円前年同期比8.4%増)、営業利益は399億51百万円前年同期比18.3%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は292億16百万円前年同期比41.9%増となりました。

 

 

 

《事業セグメント別の概況》

(単位:百万円)

セグメント

受注高

売上収益

セグメント損益

前中間
連結会計
期間

当中間
連結会計
期間

増減率

(%)

前中間
連結会計
期間

当中間
連結会計
期間

増減率

(%)

前中間
連結会計
期間

当中間
連結会計
期間

増減率

(%)

建築・産業

111,093

123,660

11.3

106,527

114,784

7.8

6,733

7,806

15.9

エネルギー

101,496

95,574

△5.8

79,489

92,660

16.6

7,320

7,502

2.5

インフラ

25,272

28,733

13.7

29,280

25,835

△11.8

4,402

3,082

△30.0

環境

49,276

35,227

△28.5

30,981

38,385

23.9

2,632

3,609

37.1

精密・電子

79,942

115,913

45.0

116,932

122,280

4.6

12,620

19,294

52.9

報告セグメント計

367,081

399,110

8.7

363,212

393,945

8.5

33,709

41,295

22.5

その他

590

586

△0.7

621

590

△4.9

△121

△1,237

調整額

178

△107

合計

367,672

399,697

8.7

363,833

394,536

8.4

33,766

39,951

18.3

 

 

 

《事業セグメント別の事業環境と事業概況》

セグメント

2024年12月期

中間期の事業環境

2024年12月期

中間期の事業概況と受注高の増減率(注)1

建築・産業

<海外>

・北米は金利の高止まりと建設コストの高騰、労働力不足により市場が停滞している。

・欧州はインフレ及び金利上昇により投資が抑制され、とくに住宅市場が低迷している。

・中国は商業や住宅向け等の不動産投資の抑制により、建築市場が低迷している。一方、産業・公共系市場などは政府の投資により堅調である。

 

<国内>

・建築設備市場は、資材価格などの高止まりや人手不足の影響により建築着工棟数は鈍化している。サービス市場での需要は引き続き増加傾向である。

・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。

<海外>

・中国及び北南米等で、受注が堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。

 

<国内>

・サービス&サポートの需要回復により受注が堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。


エネルギー

・新規製品市場は、中東地域を中心に石油化学市場の需要は堅調に推移している。LNG市場向けの需要は落ち着きがみられる。中国の電力市場は引き続き活発に推移している。

・サービス市場は、メンテナンス・修理等の需要が一巡し通常レベルに戻る兆しがみられるが、足元では堅調に推移している。

・製品の受注高は、前年同期を下回る。

・サービス分野の受注高は、前年同期を上回る。


インフラ

 

<海外>

・水インフラ市場は、中国では景気減速の影響でポンプ需要が減少し競争が激しくなっているが、東南アジアや北米においては、経済成長や施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。

 

<国内>

・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。

・公共向け建設市場は、例年どおりに推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。

<海外>

・水インフラの受注高は前年同期を上回る。

 

<国内>

・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取り組みにより、前年同期を上回る。


 

 

セグメント

2024年12月期

中間期の事業環境

2024年12月期

中間期の事業概況と受注高の増減率(注)1

 環境

(注)2

<国内>

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年どおりに推移している。

・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。

・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。

<国内>

・EPCの受注高は、前年同期を下回る。

 

[大型案件の受注状況]

・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事(1件)


 精密・電子

・顧客の工場稼働率は、半導体需要の全般的回復や生成AI向け半導体需要の増加によって、濃淡はあるものの回復傾向にあるが、未だ本格的な増産投資の再開には至っていない。

・中国向け需要が堅調に推移し、ロジック・ファウンドリ向け受注も調整局面であった前年同期を上回る。また、顧客の工場稼働率の回復に伴い、サービス&サポート受注も堅調に推移し前年同期を上回る。


 

(注)1.矢印は受注高の前年同期比の増減率を示しています。

+5%以上の場合は


、△5%以下の場合は


、±5%の範囲内の場合は


で表しています。

 

2.O&M(Operation & Maintenance) …………………… プラントの運転管理・メンテナンス

  EPC(Engineering, Procurement, Construction)… プラントの設計・調達・建設

 

 

 

 

 

(資産)

当中間連結会計期間末における資産総額は、前年度末に比べて契約資産が182億97百万円減少した一方、現金及び現金同等物が304億32百万円、有形固定資産が174億21百万円、棚卸資産が156億63百万円増加したことなどにより、549億96百万円増加し、9,688億96百万円となりました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が169億57百万円減少した一方、契約負債が296億93百万円増加したことなどにより、158億55百万円増加し、5,081億83百万円となりました。

 

(資本)

当中間連結会計期間末における資本は、配当金を121億40百万円支払った一方、親会社の所有者に帰属する中間利益292億16百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が226億97百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて391億40百万円増加し、4,607億13百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は4,493億40百万円で、親会社所有者帰属持分比率は46.4%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、642億47百万円の収入超過(前年同期比120億96百万円の収入増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出206億52百万円などにより、168億18百万円の支出超過(前年同期比8億99百万円の支出増加)となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、474億28百万円の収入超過(前年同期比111億97百万円の収入増加)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で58億34百万円減少したことや、配当金の支払い121億40百万円などにより、236億42百万円の支出超過(前年同期比119億49百万円の支出増加)となりました。

以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から304億32百万円増加し、1,784億92百万円となりました。

 

② 財務戦略の基本方針

当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。

(※)格付投資情報センター(R&I)による格付

 

③ 資金調達について

当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。

また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。

 

契約の種別並びに当中間連結会計期間末の借入未実行残高は次のとおりです。

種別

金額

当座貸越契約

50億円

コミットメントライン契約

800億円

借入実行高

借入未実行残高

850億円

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は、92億75百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(5) 今後の見通し

2024年12月期通期の業績については、前回決算発表時(2024年5月14日)以降の業績の動向を踏まえ、インフラ事業及び環境事業における受注高の増加により、予想を以下のとおり修正いたします。売上収益、営業利益については全体としては前回予想から変更ありません。また、事業セグメント別の 修正後の予想は以下のとおりです。

業績見通しの前提となる為替レートについては変更ありません。(1米ドル=140円、1ユーロ=150円、1人民元=19.5円)

なお、実際の業績は市場環境の変化等により、見通しと異なる結果となる可能性があります。

 

《業績見通し》

通期

(単位:億円)

 

受注高

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の所有者に帰属する当期利益

前回発表予想(A)

8,340

8,270

870

851

608

今回修正予想(B)

8,450

8,270

870

851

608

増減額(B-A)

110

増減率(%)

1.3%

(ご参考)
前期実績

(2023年12月期)

8,205

7,593

860

847

602

 

 

 

《事業セグメント別の業績見通し》

通期

(単位:億円)

 

建築・

産業

エネルギー

インフラ

環境

精密・

電子

その他

合計

前回発表予想(A)

受注高

2,300

2,000

550

680

2,800

10

8,340

売上収益

2,300

2,000

510

800

2,650

10

8,270

セグメント利益

165

200

40

60

415

△10

870

今回修正予想(B)

受注高

2,300

2,000

600

740

2,800

10

8,450

売上収益

2,300

2,000

510

800

2,650

10

8,270

セグメント利益

165

200

40

60

415

△10

870

増減額

(B-A)

受注高

50

60

110

売上収益

セグメント利益

 

 

 

 

《事業セグメント別の事業環境の見通し》

セグメント

事業環境

建築・産業

<海外>

・欧米はインフレの継続を背景とした建設費、労働コストの上昇などの影響により設備投資が停滞継続もしくは減少すると見込まれる。

・中国は商業施設や住宅などの建築設備市場は低迷する一方、産業・公共系市場が成長すると見込まれる。

・原材料価格や資源価格の上昇に加えて、国際物流のコスト増加や滞留により、材料仕入れ価格の上昇及びリードタイムの延長が懸念される。

 

<国内>

・建築設備市場は、建築需要は堅調であるが、円安や物流コストの増加により資材価格は過去最高を更新しており、加えて人手不足の影響により工事の先送りが懸念されている。

・産業市場は、特に化学市場において、石油化学分野での再編機運や川下である機能性化学への成長投資を伴う市場変化が大きくなると見込まれる。市場全体としては設備投資などの需要が継続すると見込まれる。

エネルギー

・新規製品市場は、北米・アジア・中東地域を中心に石油化学市場やLNG市場等が堅調に推移することが見込まれる。

・サービス市場は、メンテナンス・修理需要は通常レベルに戻るとみられる。

・脱炭素関連市場は、水素やアンモニア、二酸化炭素の回収・貯蔵・有効利用等で継続して案件の増加が見込まれる。

・電力市場は、国内やアジアを中心にアンモニア転換プロジェクトの計画が増加し、中国では火力発電の新設/高効率化改造の需要が継続すると見込まれる。

インフラ

<海外>

・中国では景気減速傾向の影響があるものの、市場全体では緩やかな経済成長が見込まれ、人口増による水需要はアジア・アフリカを中心に堅調である。また、地球温暖化・異常気象により世界各地で洪水被害が年々増えており、河川排水ポンプや排水ポンプ車などは一定の需要が続くことが見込まれる。

 

<国内>

・激甚化・頻発化する自然災害に対する流域治水の取り組み、加速するインフラ設備の老朽化への対応、インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーションの推進等により需要は堅調に推移する見込み。

 環境

<国内>

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は、概ね例年どおり推移すると見込まれる。

・民間向けのバイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設の建設需要は継続すると見込まれる。

・既存施設のO&Mは、民間への発注が増加傾向にあるが、需要は短期的には例年並みと見込まれる。

 精密・電子

・半導体市場は、前年から継続していた調整局面の底打ちからの回復がより鮮明となり、顧客の工場の稼働率は上昇しているものの、中国向け以外の半導体製造装置市場の本格的な回復には遅れがみられる。しかし、中長期的には、ICAC5(IoT、Cloud、AI、Car(電気自動車・車の自動運転)、5G)、DX、GX向けの需要拡大を背景とした、市場の成長見通しに変化はないと見込まれる。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。