当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態の状況
(資産)
当中間会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べて12,877千円増加し、1,392,376千円となりました。この主な要因は、新規案件の受注が順調に推移したことにより現金及び預金が31,403千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、前事業年度末に比べて196,908千円増加し、436,241千円となりました。この主な要因は、学習用サーバの購入に伴い建設仮勘定120,245千円を計上したこと、及び本社移転に伴い建物附属設備等が77,659千円、投資その他の資産の差入保証金が29,719千円増加したこと等によるものであります。この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて209,785千円増加し、1,828,618千円となりました。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べて80,646千円増加し、795,387千円となりました。この主な要因は、借入金の繰上返済等によって1年内返済予定の長期借入金が9,816千円減少した一方、契約件数の増加等に伴い契約負債が105,405千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べて17,698千円増加し、39,090千円となりました。この主な要因は、借入金の繰上返済等によって長期借入金が18,062千円減少した一方、本社移転に伴い新たに資産除去債務を39,090千円計上したこと等によるものであります。この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて98,344千円増加し、834,478千円となりました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べて111,441千円増加し、994,139千円となりました。この主な要因は、配当金8,175千円を支払った一方、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ17,386千円増加、また中間純利益85,092千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。なお、当中間会計期間末における自己資本比率は54.2%となり、前事業年度末に比べて0.2ポイント減少しております。
(2)経営成績の状況
当社は、「世界に通用するAI(注1)の力によって①経理DX(注2)、②正確で早い会計、及び③戦略経理を実現し、お客様の幸せと社会の発展に貢献します。」をミッションとしており、会計分野に特化したAIソリューション事業(経理AI事業)を提供しております。
当中間会計期間におけるわが国経済は、コロナ禍を乗り越え、経済活動の正常化が進んだことで国内景気の緩やかな回復傾向がみられる一方、不安定な国際情勢に起因する海外景気の下振れや物価の高騰をはじめ、賃上げ水準や金融資本市場の変動等による景気下振れリスクも存在し、依然として不透明な状況が続いております。
当社が提供する会計分野に特化したAIソリューションサービスは、経理DX関連の市場に属していると考えられます。経理DXのみを対象とした市場統計はありませんが、新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、企業のリモートワークが定着している現在、経理業務に関してもDXが推進されており、その市場規模は今後も拡大していくものと考えられます。また、日本におけるデジタルインボイスの標準規格としてPeppolが採用され、会計帳票の電子化が進む一方、依然として紙媒体の会計帳票も相当数流通すると想定されることから、今後は紙媒体、電子データの会計帳票が混在し、経理業務がより煩雑化すると考えられます。また、2023年10月からインボイス制度が導入され経理業務の負担が増加したことに伴い、経理DXへのニーズはより一層高まるものと考えられます。
このような状況の中、従来のAPIソリューションサービスである『Robota』シリーズに加え、2020年度にリリースした会計帳票の入力業務及び確認作業を効率的に実施できるクラウド型AIプラットフォームである『Remota』が引き続き好調に推移しております。経理DXを推進するエンタープライズを中心に、経費精算や会計帳票の入力業務及び突合業務に加え、メールで受け取った請求書を正確かつ効率的に処理し、また、郵送で受け取った請求書と二重支払いにならないようなチェック機能も搭載することで、ユーザーにとって投資効果が得られる提案を行ってまいりました。また、経理DXをソフト面からサポートする会計ソフトウエアベンダが提供する会計システムへの機能追加や、膨大な処理業務を受託するBPO(Business Process Outsourcing)サービス事業者の処理の高速化にも役立つような提案を行いました。この結果、導入社数が前事業年度末の110件に対して125件と順調に推移しております。一方、新サービス開発及び営業体制の強化のため積極的な採用活動も継続しております。
以上の結果、当中間会計期間における売上高は785,869千円(前年同期比40.5%増)、営業利益は99,674千円(前年同期比77.0%増)、経常利益は101,495千円(前年同期比87.0%増)、中間純利益は85,092千円(前年同期比57.6%増)となりました。
なお、当社はAIソリューション事業(経理AI事業)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)1.AI(Artificial Intelligence、人工知能)とは、コンピュータを用いて「認識、言語の理解、課題解決」などの知能行動を実行する技術です。
2.DX(Digital transformation、デジタル変革)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ31,403千円増加し、1,333,897千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、236,951千円(前年同期は143,007千円の獲得)であります。この主な要因は、税引前中間純利益101,495千円、減価償却費47,975千円及び契約負債の増加額105,405千円等があったことによるものであります。契約負債が増加した理由は、契約社数が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、204,018千円(前年同期は34,707千円の使用)であります。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出154,676千円、差入保証金の差入による支出29,862千円等があったことによるものであります。有形固定資産の取得による支出の主な内容は、学習用サーバを購入したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,529千円(前年同期は7,009千円の使用)であります。この要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入34,524千円があった一方、長期借入金の返済による支出27,878千円、及び配当金の支払額8,175千円があったことによるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間会計期間における当社の研究開発活動の金額は、32,713千円であります。
当社は、領収書や請求書などの会計帳票に特化したAI-OCR技術の向上及び日常の経理業務の効率化を実現するため、生成AIやLLM(Large Language Model)をはじめとする最新技術の研究開発に取り組んでおります。社内の体制としては、FA Researchという研究チームを創設し、コンピュータサイエンスおよび関連分野の博士号を持つAIの研究者で構成されております。いずれのメンバーも、大手企業での研究開発職や大学での専門的なディープラーニングの研究など、高い専門性を有しております。研究チームの発足により、技術的に競争力の高い国際学会での論文採択を目指し、技術を洗練させ、その研究成果を製品開発に活かしております。
当中間会計期間の研究開発活動の内容は、既にリリース済みである領収書、請求書等の読取精度向上のための追加開発、明細読取など関連する付帯サービスの開発及び外国語帳票を含む読取対象証憑の拡大のためのアルゴリズム開発、ドキュメント解析のためのマルチモーダルLLMの研究開発などであります。
なお、当社の事業はAIソリューション事業(経理AI事業)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。