第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

1 経営方針

 当社グループは、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」を経営理念として掲げ、全てのステークホルダーへの利益還元を果たして参ります。

 

2 経営環境と対処すべき課題

(1)外部環境の認識

 当社はこれまで、経営理念のもと、少子高齢化問題及び地球温暖化問題、特に原発問題を抱えた日本固有のエネルギー問題を重要なテーマとして位置付けて事業を行ってまいりました。これらの問題は、社会の在り方、個人生活、企業行動に変化を与え、技術革新をもたらしています。加えて、今般の新型コロナウィルス感染症の災禍により、これらの変化が加速しました。

 そこで当社は、従前の課題に加えて新型コロナウィルス感染症が今後引き起こすであろう変化も踏まえ、投資分野別の外部環境を次のように認識し、これに対応した事業活動を行う計画です。

①再生可能エネルギー

 脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーによる発電が加速し、全世界で域内のCO2排出実質ゼロに向けた取り組みが進むと認識しています。

②スマートアグリ(植物工場)

 温暖化による天候不順、自然災害の影響や農業人口の高齢化の影響から、露地野菜の供給の量・質・価格が不安定となり、工場野菜の市場規模は拡大していくと認識しています。

③ディストリビューションセンター(物流施設)

 東京圏は、物流拠点の集約とEC市場の拡大により空室率が過去最低水準であり、賃料相場は2009年以来の高水準となっています。コロナ禍による巣ごもり需要も加わり、物流施設に対する需要は非常に高いと認識しています。

④ヘルスケア(障がい者グループホーム)

 2013年に障碍者総合支援法が施行され、グループホームの利用者が増加しています。多様性を尊重し包摂的な社会を築く上で、今後さらに需要が高まると認識しています。

⑤ヘルスケア(高齢者施設)

 国内総人口が減少する一方で高齢者人口は増加し、65歳以上の比率は2025年には30%に達する見込みであり、今後も高い需要が続くと認識しています。

⑥M&A仲介

 後継者問題や企業の海外進出の活発化によりM&Aの件数は増加傾向にあり、特に中小の件数は大幅に増加しています。今後も高い需要が続くと認識しています。

 

(2)当社の投資事業の特徴

 当社のプライベートエクイティ投資の特徴は、長年の投資活動を通じて蓄積されたノウハウに基づく上場支援に加え、広いネットワークを活用した海外展開支援や営業支援を行う点です。そのために、中国の政府系機関やアジア諸国のパートナー企業と業務提携などを行い、アジアのネットワークを構築しています。加えて、プロジェクト投資のパートナーであるベンチャー企業への投資である「戦略投資」を行うことも特徴です。当社では「戦略投資」を行った企業には、株主としての支援だけではなく、パートナーとして共にプロジェクトを運営し、その成長を支援します。

 プロジェクト投資の特徴は、プロジェクト総額の多くを金融機関からの負債性資金で調達することでレバレッジを効かせ、少額の投資資金で高い採算性を追求している点です。加えて、多様な分野のプロジェクトに機動的に投資を行うことができるように、プロジェクトの企画や開発に精通したベンチャー企業とパートナーシップを組んでいる点も特徴です。

プロジェクトの開発や運営には、業界知識、ノウハウ、技術力、交渉力など高度なスキルが求められます。当社単独ではカバーできないこれらの経営資源をパートナーのベンチャー企業が提供し、当社は、主に投資資金の提供や金融機関からの資金調達を含めたファイナンススキームの構築を担います。

 当社は、社内の経営資源のみならず外部の優れた経営資源も積極的に活用して、成長性が高く将来有望な投資分野を創出し投資を行うことで、社会に貢献して参ります。そのために、今後も継続的に外部とのネットワークを強化し、パートナー企業の発掘を行います。これにより、新たな投資分野の創出に常時取り組み、次の注力投資テーマとしていく方針です。

 

(3)当社の競争優位性

 当社は、当社の競争優位性を、アジアでの歴史、最先端の業界情報収集力、ベンチャー企業とのネットワーク、ファイナンススキーム構築力の4つだと認識しています。より具体的には、投資分野別に次のように考えています。

①再生可能エネルギー

 当社には「パートナー戦略による豊富なネットワークから得られる多様な案件へのアプローチ力」があります。その結果、メガソーラー、ソーラーシェアリング、風力、バイオマス、バイオガスへと投資対象を多様化しながら、電力の固定価格買取制度(FIT)の変容の中でも一定の収益性を確保できます。

②スマートアグリ(植物工場)

 当社のパートナーである株式会社モーベルファームには「品質に厳しい大手企業に評価される高品質野菜の生産を可能とする技術力」があります。具体的には、生菌数が極めて低く高品質かつ無農薬の野菜の量産を実現し、大手コンビニエンスストアのコンペティションで勝ち抜き、他社工場からの乗り換えにより取引を開始した実績があります。

③ディストリビューションセンター(物流施設)

 当社のパートナーであるKICホールディングス株式会社には「大手デベロッパーが敬遠する土地を安く買い、安く作って、安く貸す開発力」があります。道路付けの悪い土地、市街化調整区域など、そのままでは開発が困難な土地を安く仕入れ、手間を掛けて事業化することで大手との競争を回避しています。

④ヘルスケア(障がい者グループホーム)

 当社のパートナーであるソーシャルインクルー株式会社は「大手が未だ参入していないマーケットで先行する地位」にあります。市場が拡大している中でも競争環境は未だ平穏であり、既に国内最大級の運営棟数を有し、業界をリードする立ち位置を確立しています。

⑤ヘルスケア(高齢者施設)

 当社のパートナーであるAIPヘルスケアジャパン合同会社は、「日本初のヘルスケア特化型上場REITの運営に関与し、介護業界に広いネットワーク」を有しています。日本ヘルスケア投資法人の設立や運営アドバイザーを手掛け、業界の先駆者としての知名度があります。

⑥M&A仲介業務

 当社は「国内外での投資活動、ファンド運営を通じてニーズを発掘する機会」を有しています。取引候補先となる300社以上のIPO実績を有し、また、長くアジアで投資活動を行ってきた知名度があります。

 

(4)中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の進捗状況

①計画の概要

 当社は、経営理念に基づき収益力の向上に繋がるSDGs投資に注力しています。

 既存のプライベートエクイティ投資資産のうち、過去に投資を行った「フィナンシャル投資(注1)」の資産を流動化し、その資金で好採算かつ収益の安定性が高いプロジェクトに投資を行い、棄損したバランスシートの早期修復と資産の入れ替えを行います。メガソーラー発電に続くプロジェクトとして、ディストリビューションセンタープロジェクトなど、施設の完成後に短期間で売却する前提のプロジェクト投資に、特に注力します。また、その他にも投資対象となるプロジェクトを多様化し、投資機会を追求すると同時に投資資産のリスク分散を図ります。

 プロジェクト投資を行う際は、当社単独で投資をするのではなく、その分野で競争優位性の高いベンチャー企業をパートナーとする点が強みです。また、パートナーとなるベンチャー企業には、「戦略投資(注2)」を行います。戦略投資を行う際は、フィナンシャル投資に比べて、当社の持株比率を高め、さらに、プロジェクト投資での協業を通じて当社の様々なリソースを投入したハンズオンの支援を行います。

 このように、安定性が高く持続的な利益をもたらすプロジェクトへの投資と、そのプロジェクトのパートナーとなる企業へのハンズオン型ベンチャー投資を両輪として、投資資産の残高を増加させます。

 アジアでは、当社のベンチャー投資のスキル、アジアでのネットワーク、及び国内の地域金融機関との連携を活用して、投資とコンサルティングなどの投資関連ビジネスを展開することで新たな収益機会の開拓を目指します。

 収益面では、プロジェクト投資は、株式売却益に比べて安定したプロジェクトの売却益と、プロジェクトの運営による収益の獲得を目指します。また、プライベートエクイティ投資では、戦略投資を行うことで、フィナンシャル投資に比べて株式売却のより高い確度と収益性を目指します。また、投資事業に付随する事業の開拓を進めて、フィー収益の増加も目指します。その結果、より成長性が高くサステナブルな収益構造を構築して参ります。

 

注1:フィナンシャル投資とは、戦略投資以外のプライベートエクイティ投資です。

注2:戦略投資とは、プロジェクト投資のパートナーであるベンチャー企業へのプライベートエクイティ投資です。

 

②主要な業績評価指標(KPI)

 主要な業績評価指標(KPI)は、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益であり、2022年3月期は340百万円、2023年3月期は550百万円、2024年3月期は850百万円とする計画です。

 計画期間中は未だフィナンシャル投資の売却益が中心となるものの、計画期間最終年度となる2024年3月期には、フィー収益とプロジェクトの収益の営業総利益で管理コストを賄い、変動の大きなプライベートエクイティ投資の収益は、超過利益とするとともに戦略投資の売却益を増加させることを目指します。

 

③計画2年目までの達成状況

 数値計画の達成状況は、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益の実績が、1年目が49百万円(計画比△291百万円)、2年目が△269百万円(計画比△819百万円)となり未達が続いています。

 計画未達の主な要因は、株式売却益の下振れです。国内投資先企業のうち新規上場(IPO)を見込んでいた銘柄の一部は、事業計画の進捗の遅れ等により2年目までにIPOが実現していません。また、戦略投資先企業を含めて累計5社が2年目までにIPOを果たしましたが、一部の銘柄はIPO後の株価がロックアップ解除の条件を下回り売却時期が計画から遅れました。また、ロックアップ解除後の株価も計画を下回り、株式の売却益が計画未達となりました。IPO以外の回収を計画していた銘柄では、売却交渉が想定よりも長期化し2年目までに合意に至らない銘柄がありました。また、売却を実現した銘柄のうち一部では、売却価格が計画を下回る銘柄がありました。

 プロジェクト投資では、プロジェクトの売却で計画を上回る利益を計上しましたが、スマートアグリプロジェクトや、再生可能エネルギープロジェクトのうちバイオガス発電プロジェクト、及びその他プロジェクトのうち投資の初期段階のもので、売上が計画を下回り黒字化が遅れています。これらの結果、プロジェクト投資の売却益で他の下振れの全てを補うことはできませんでした。

 他方で、行動計画は着実に進捗しました。戦略投資では、既存投資先の売却を推進し同時に新規事業のパートナー企業に投資実行する計画に対し、2社の売却による利益獲得と2件の投資実行を実現しました。ディストリビューションセンタープロジェクトでは、重点分野として積極的に投資を行い投資残高を増やす計画に対し、2年目までに約7億円残高を増加させました。スマートアグリプロジェクトでは、大手コンビニエンスストアを軸に販売先を開拓し3年間で4号工場まで事業規模を拡大する計画に対し、当社の投資する丹波篠山工場では、2021年9月に第2棟目となる1号工場の増設部分が竣工しました。また、2023年2月には、戦略投資先である㈱モーベルファームが、兵庫県養父市の植物工場を運営する企業から経営を承継しました。これにより、合計3棟の工場を稼働させることができました。ヘルスケアプロジェクトのうち障がい者グループホームでは、銀行やリース会社とのファンド組成を含め3年間で50棟に投資をする計画に対し、地域金融機関との連携により開発が進捗し2年目までに10棟が竣工しています。さらに、2021年8月には障がい者グループホームを投資対象とするファンドに出資し、当該ファンドから5棟への投資が行われました。また、将来の収益の柱となる新規事業を開発する計画に対しては、エンタテイメントコンテンツ、電動アシスト自転車のシェアリングサービス、樹木葬、創作活動向けシェア施設など多様なプロジェクトに投資を行いました。

 

④2024年3月期の事業方針

 2024年3月期は、引き続き中期経営計画を遂行していきます。フィナンシャル投資では、満期の到来したファンドを早期に清算することで流動化を図ります。フィナンシャル投資の新規投資実行は、原則として、パートナーと連携してファンドを組成しファンドから投資を行う方針です。戦略投資では、企業価値向上に向けたハンズオン支援に取り組みます。また、新たなプロジェクト投資分野を開拓し、その分野のパートナー企業に戦略投資を行います。株式の売却益の下振れが数値計画未達の主因となっていることへの対策として、戦略投資先を中心にハンズオン支援を強化することで投資先企業の成長を促進して、株式の売却益を増加させ、引当金の発生を防ぎます。

 プロジェクト投資では、障がい者グループホームの新規案件や他のプロジェクトの既存案件への投資を継続します。他方で、既存のディストリビューションセンターと、障がい者グループホームの売却を実現します。また、植物工場やバイオガス発電を始めとする黒字化が遅れているプロジェクトでは、売上を増加して早期の収益改善を目指します。

 M&A仲介業務では、2023年2月に子会社化した㈱アジアンマーケット企画のリソースを活用して、投資案件の開拓の過程以外にも案件開発の間口を拡大し、収益を増加させます。

 数値計画については、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益を120百万円と見込みます。中期経営計画の利益目標と比較して、730百万円の未達となります。計画未達の主因は、株式売却益の下振れです。計画2年目までの実績と同様に、IPOの遅れ、IPO後の株価の低迷、未上場株式の売却交渉の長期化により、株式売却益が下振れする見込みです。戦略投資先を中心にハンズオン支援を強化することで対策を講じますが、その効果で黒字は回復するものの、全ての株式売却益の下振れを補うことはできない見込みです。

 

(注)従来連結基準

 当社グループでは、2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 2006年9月8日 実務対応報告第20号)を適用し、当社グループで運営している投資事業組合等の一部を連結の範囲に加えて連結財務諸表等を作成しております。しかしながら、投資家及び株主の皆さまに、当社グループの経営成績及び財務状況を正しくご認識いただくためには、従来からの会計基準による財務諸表等の開示も必要と考えております。

 以上のことから、従来の会計基準に従って、投資事業組合については、資産、負債及び収益、費用を外部出資者の持分を含まない当社及び関係会社の出資持分に応じて計上し、また、会社型ファンドについては連結の範囲から除いた連結財務諸表等を「従来連結基準」として、決算短信等において継続的に開示しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日時点において当社グループが判断したものです。

 

1.サステナビリティに関する考え方

 当社は「日本とアジアをつなぐ投資会社として、少子高齢化が進む社会に、安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります。」という経営理念を掲げています。

 また、この経営理念に従い、コーポレートガバナンスに関する基本方針において、サステナビリティ(持続可能性)を巡る課題への対応方針を、次のように定めています。

1)取締役会は、当社のビジネスモデルの持続可能性や長期的な企業価値の向上のために重要な事項や、反対にこれらを毀損する可能性のあるリスクを把握し、当社の経営計画に反映する。その際、重要な事項やリスクと、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Government(ガバナンス))や国際的な共有の社会課題として特定されているSDGs(持続可能な開発目標)との関係性を考慮する。

2)当社は、投資会社としての事業活動を通じて、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)を巡る課題について、適切に対応をする。当社の投資する企業やプロジェクトが、当社の供給するリスクマネーやサービスを活用し新たな価値やソリューションを生み出すことが、サステナビリティを巡る課題の解決につながる。具体的には、投資対象先の選定において、社会・環境問題の解決につながる業種を投資重点分野としたり、メガソーラーをはじめとする再生可能エネルギーなど、環境問題の解決に直接つながる分野に、積極的に投資を行う。

3)当社は、当社のESGやSDGsへの取り組み状況を積極的に開示する。

 この対応方針に基づき、2022年3月期から2024年3月期までの中期経営計画では、SDGs投資会社である事をコアバリューとして経営理念に基づきSDGsを強く意識した投資活動を徹底しています。安心安全で質と生産性の高い社会実現へのソリューション提供に貢献するベンチャー企業を発掘し、投資を通して応援する事でSDGs関連事業の育成に貢献すると共に収益力の向上を目指しています。

 

2.サステナビリティに関する取り組み

(1)人的資本に関する取り組み

1)ガバナンス

 2023年3月末時点ではサステナビリティに特化したガバナンス体制はありませんが、2023年6月に当社取締役会において、人的資本を含むサステナビリティに関する課題について機会及びリスクを識別・評価し、対応策を決定いたしました。

 2023年7月以降は、人的資本を含むサステナビリティに関する課題について、少なくとも半年に1度リスク管理委員会で、その機会及びリスクを識別・評価・管理します。リスク管理委員会は、少なくとも年に1度、その結果に基づくサステナビリティ課題への対応方針を、取締役会に提言します。取締役会は、少なくとも年に1度、当該提言に基づき、現状の経営理念・中期経営計画の見直しの要否を判断し、決定します。

 

2)戦略

 当社は、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、コーポレートガバナンスに関する基本方針において、社内の多様性の確保と人材の活用につき、次のように定めています。

①当社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における多様性の確保を推進すべく、性別や国籍等による差別を排除する。

②当社は、当社の行う投資事業における成功には有能な人材の存在が不可欠であり、競争力の源泉であると位置づけ、その活用のための人事評価制度や労働環境の充実・改善に取り組む。

 

 上記の方針に基づき、人的資本への投資については、目標管理制度を導入して個人の資質、適性、能力、課題を本人と共有し、これらに基づく適切な業務や組織への配置や人事評価により、人的資本を最大限に活用するよう取り組んでいます。また、人的資本を活用する仕組みとして、報奨金制度を始めとするパフォーマンスを重視した報酬体系を採用し、個人の生産性向上を促しています。加えて、自己啓発への援助を人事制度として取り入れています。

 また、多様性確保に向けた人材育成方針については次のとおりです。当社はサステナビリティを巡る課題への解決に取り組む企業やイノベーティブな技術及び事業への投資を行うことを事業戦略の柱としています。このような事業の特性上、投資活動を担う人材については、違った価値観や経験を有する人材の多様性が重要となります。当社が持続的成長を果たし、企業価値の向上を図るにあたっては、そのような多様性を前提とした人的資本への投資が不可欠と認識しており、事業戦略と併せた組織体制の構築や人材の確保に取り組む方針です。

 社内環境の整備については、当社では多様性を確保すべく女性・外国人・中途採用者などを積極的に受け入れるとともに、それぞれの個性や能力を最大限に発揮できるよう、管理職への登用機会やキャリア形成の機会を公平かつ適正に与えるよう取り組んでいます。

 特に、女性が育児と両立しながら長く働き続けられる環境の整備として、男女を問わず利用できる当社独自の育児特別有給休暇制度や育児補助金制度、時差出勤制度、テレワーク制度の導入など、人事制度の充実に向けた取り組みについても積極的に行っています。

 

3)リスク管理

 2023年3月末時点ではサステナビリティに特化したリスク管理は行っていませんが、リスク管理委員会において、当社グループを取り巻く外部環境の変化を反映して、リスクの洗い出しを行っています。その後、洗い出したリスクを、金額的影響度、質的影響度、発生可能性の観点から評価し、当社グループにおける重要性を判断しています。また、重要性の高いリスクについて、対応策の検討とその実施状況の確認を行っています。

 2023年7月以降は、人的資本を含むサステナビリティ関連の課題に対して、リスク管理委員会で行うリスクの識別・評価・管理に当たり、当社に与える影響をリスクと事業機会の両面から検証します。

 

4)指標及び目標

 当社グループは全従業員数が2023年3月末で43名と少なく、また、現在は定期的な採用活動を行っておらず人員の入替が少ないため、特定の属性の数値目標を掲げてコントロールすることは困難であり、数値目標は設けません。しかしながら、採用や人事評価の際は性別や国籍等による差別を排除して公平に行っており、社内の多様性確保に努めています。なお、2023年3月末現在、全管理職25名うち、中途採用者が88%、女性が28%、外国籍者が20%です。

 

 

(2)人的資本以外のサステナビリティに関する取り組み

1)ガバナンス

上記(1)人的資本に関する取り組みと同一です。

 

2)リスク管理

上記(1)人的資本に関する取り組みと同一です。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると思われる主要な事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

Ⅰ 事業環境に関するリスク

(1)株式市場に係るリスク

 当社グループは、プライベートエクイティ投資を行っております。これは、日本・アジアを中心とした未上場株式等への投資を行い、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への売却により収益を得る事業です。そのため、投資資金を回収する局面において、株式市場の変動の影響を受ける可能性があります。当社グループでは、投資候補となる未上場企業の将来性を十分に検討し、当該企業が上場時に株式市場から得られるであろう評価額を想定した上で、これに基づいて投資時の株価の妥当性を検証しています。

しかしながら、株式の売却時に株式市場が活況でなく新規株式上場市場も低調である場合には、投資先企業が新規上場したとしても想定したとおりの株価が付かず、又は、新規上場が実現せず、それによって当社グループが得る営業収益が減少し当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、投資先企業の株式上場等により、市場性のある株式を保有しております。また、新規上場銘柄のうち一部の銘柄につきましては、各証券取引所の関連規則又は投資先企業との契約によって上場後一定期間売却が制限されることがあります。そのため、保有期間中に株式市場において株価が下落した場合、株式売却によって得られる営業収益の減少や保有有価証券の評価損の発生に伴う営業原価の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)為替リスク

 当社グループは、海外で投資を行い外貨建資産を保有するため、外国為替の変動の影響を受けます。なお、プライベートエクイティ投資の特性上、投資資金の回収期間が長期となり、また、回収金額及び回収時期の特定ができず将来のキャッシュ・フロー予測が困難であるため、原則として、為替予約などによる為替リスクヘッジ取引等は行っておりません。

 

(3)カントリーリスク

 当社グループは、アジア諸国などでも事業活動を行っています。そのため、事業活動を行う国における経済情勢の変化、政治的要因の変化、法制度の変更、テロや伝染病の発生などの社会的混乱等により、投資先企業や当社グループ会社の事業活動に悪影響を及ぼすリスクが内在します。当社グループでは、現地の政府関係機関やパートナー企業とのネットワークを強化し、及び共同で投資活動を行い、事業活動を行う国の情報収集や適切な対応に努めています。

 

(4)法的規制によるリスク

 当社グループの事業活動は以下の法的規制を受けます。当社グループでは、管理グループがこれらの法的規制について常時情報を収集し適切な対応に努めています。しかしながら、当社グループ各社の行う業務においてこれらの規制に抵触した場合には、当該業務の遂行に支障をきたす可能性や、規制に対応するためにファンドの設計を変更することに伴う費用が増加する可能性があります。また、当社グループの社会的信用力が低下することで、事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

①オフショア地域における法的規制

 当社グループは、本邦、アジア諸国及びケイマン諸島などのオフショアと呼ばれる地域他各国において、ファンドの管理運営業務及び投資事業等を行っているため、これらの地域における法的規制(会社法・金融商品取引法・独占禁止法・租税法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・財務会計関連法規等)の適用による影響を受けます。

②適格機関投資家等特例業務関連

 当社グループ内には当社をはじめとして、本邦における金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家等特例業務としてファンドの管理運営業務を営むに当たり、管轄財務局に届出を行っている会社があります。この届出により、当社グループが管理運営するファンドは、適格機関投資家等を主とする投資家に出資者を限定するなど一定の要件を満たす必要があります。

 

(5)競合・参入の状況に係るリスク

 当社グループが属する投資業界においては、金融機関、事業会社、外資系企業等による参入があります。当社グループでは、経営理念に基づき特徴のある投資活動を行うことや、競争力のあるベンチャー企業とパートナーシップを組んで投資を行うことで、競争優位性を維持するよう努めています。しかしながら、競合他社による大規模なファンドの組成、積極的な投資活動の拡大、優れたポートフォリオの構築、高い投資リターンの実現、低価格サービスの提供等により、当社グループの競争力が相対的に低下することで、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)自然災害等に係るリスク

 当社グループは、当社グループの主な活動地域である日本やアジアにおいて、自然災害や感染症などを原因とする緊急事態が発生した場合には、事業活動の継続が困難となり当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクを有しています。当社グループは、このリスクに対応するため「緊急事態時の事業継続計画(BCP)」を策定し、緊急事態の発生に基づく経営危機を未然に防止することを目的として、緊急事態の発生時においても、従業員及びその家族の安全を確保しながら自社の事業を継続する計画です。

 

Ⅱ 営業活動に関するリスク

(1)プライベートエクイティ投資に係るリスク

 当社グループは、プライベートエクイティ投資を行っております。これは、日本・アジアを中心とした未上場株式等への投資を行い、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への売却により収益を得る事業です。当社グループでは、投資時に投資候補となる未上場企業の将来性を十分に検討し、投資回収時に当該企業が新規上場した場合の株式市場からの評価や未上場の段階で売却する場合に買手から得られるであろう評価を想定し、当社グループの投資する際の投資候補先の企業価値の妥当性を検証しています。また、当社グループでは、プロジェクト投資のパートナー企業に投資を行う「戦略投資」に注力しています。投資後は、投資先企業に対するモニタリングを綿密に行い、投資先企業の状況を的確に把握することに努めています。また、投資先企業の事業の進捗や経営状況の改善を図るために、投資先企業に対する成長支援を行っています。特に「戦略投資」の投資対象の未上場企業に対しては、株主としての支援だけでなく事業上のパートナーとして共にプロジェクトを運営することでも支援を行っています。しかしながら、その投資活動については以下のようなリスクがあります。

 当社グループが投資対象とする未上場企業は、成長過程にある企業であるため、収益基盤や財務基盤が不安定であったり、経営資源も限られるといったリスク要因を内包しております。そのため、投資先企業の業績の不振や倒産が生じた場合や、実際の投資先企業の事業進捗や業況が当社の見込みどおりに推移しない場合には、営業投資有価証券評価損や営業投資有価証券引当金繰入額が発生して営業原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループによる未上場株式等への投資から株式上場もしくは第三者等への売却に至るまでには通常長期間を要するため、途中で業績悪化等により当該投資先の企業価値が当初の見込みと異なって変動する可能性があります。また、経済環境や株式市場動向等外部要因の影響を受けて投資採算が当初の見込みと大幅に異なる可能性があります。それらの結果、投資回収時に営業収益が減少し、又は、投資回収に至る前に営業投資有価証券評価損や投資損失引当金繰入額が発生して営業原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループが投資対象とする未上場株式等は、上場企業の株式等に比較して流動性が著しく低いため、投資回収時にその取引参加者の意向により取引条件が大きく変動します。そのため、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はなく、営業収益が減少したり、長期間売却できず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは未上場株式等への投資を行うに当たり、他社の運営するファンドに出資を行う場合があります。ファンドに出資する目的は、当該ファンドからの持分利益を期待するとともに、他社の運営するファンドに出資を行うことを契機にファンドの運営者である他社との関係を深化し、業界情報の取得や共同投資の機会等を得ることです。当社グループは、他社の運営するファンドに出資を行う場合には、運営会社の投資能力やファンドの企画内容などを慎重に検討しています。しかしながら、ファンドの運営は他社が行っているため、ファンドの運営成績は当該運営者に依存しており、当社の期待に反してファンドの運営成績が低下した場合には、当該ファンドから期待したとおりの持分利益が得られない可能性や、持分損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)プロジェクト投資に係るリスク

 当社グループは、再生可能エネルギーを始めとする多様なプロジェクトを投資対象としています。当社グループは、投資判断を行う上で、一定の前提条件のもとに、発電所やその他プロジェクトの投資対象となる施設等の建設費用等の総事業コストや完成後の長期間にわたる発電量やその他の変数を見積もり、慎重に採算性の検証を行っております。しかしながら、これらの前提条件が想定以上に変動したり、自然災害や固定価格買取制度やその他各種取引条件の大幅な変更や改正等想定外の事象が発生した場合には、その内容によっては、プロジェクトの投資採算性が見込みと大幅に異なり、プロジェクトから得られる収入の減少、もしくは、プロジェクトで建設した有形固定資産の減損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

  なお、プロジェクトの投資対象となる施設等の自然災害による被害に関しては、例えば、太陽光パネルに長期のメーカー保証を付けているほか、施設等に対する動産総合保険等により、これらの被害を最小限に収める対策をしております。

 

(3)貸付金に対する貸倒リスク

 当社グループは営業貸付金及び破産更生債権等の残高を有しており、貸金業法及び「出資の受入れ、預かり金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という)の適用を受けております。

 当社グループは、貸出先の状況、差し入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提を慎重に検証し、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。しかしながら、個別貸出先の状況の変動や経済環境の変化等外部要因等により、実際の貸倒れが当該前提及び見積りを上回り、貸倒引当金が不十分となり貸倒引当金繰入額の発生に伴い販売費及び一般管理費が増加し、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)役員派遣に係るリスク

 当社グループの役職員を投資先企業の非常勤役員として派遣することがありますが、投資先企業に対して派遣した当社役職員が損害賠償請求等をされた場合、当社グループに使用者責任及び当該賠償金額を負担する義務が発生する可能性があります。

 原則として投資先企業と派遣者との間で責任限定契約を締結するとともに、当社加入の役員賠償責任保険において派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への悪影響を完全には回避できない可能性があります。

 

(5)ファンド(投資事業組合等)に係るリスク

①ファンド募集について

 ファンド(投資事業組合等)は、当社グループにとって投資原資であるだけでなく、管理報酬や成功報酬等の収益源であり、また様々な企業と提携してシナジー効果を生み出す上で有効なビークルでもあります。当社グループは、ファンドの規模を追うことなく当社のリソースを生かした特徴あるファンドを設立していく方針です。具体的には、当社と㈱あおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)において、国内の事業承継問題を抱える中小企業を投資対象とするファンドや、主に国内のベンチャー企業を対象とした他社の運営するファンドが保有する投資証券の買い取り等広範な投資機会を追求するファンドを設立しています。しかしながら、ファンドの募集活動において出資者から十分な資金を集められない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、営業収益のうち管理報酬が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

②ファンド運営に係る訴訟の可能性等について

 当社グループは複数のファンドを設立しており、無限責任組合員又はゼネラルパートナーとして、その出資額を超える損失を負担する可能性があります。また、ファンドの業務執行組合員としての善管注意義務違反を理由とする訴訟や、ファンド間、当社グループとファンド又は出資者、もしくは出資者間の利益相反等を理由とする訴訟等を提起される可能性があります。当社グループでは、ファンドの受託者責任を全うすべく、ファンド毎にファンドマネージャーやファンド担当役員を設け、加えて、管理グループにおいて利益相反等の観点からファンドの運用体制をモニタリングしています。しかしながら、当社グループに対する訴訟等により損害賠償義務を負った場合には、損害賠償そのもののみならず、社会的信用の低下から当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

Ⅲ 会社運営に関するリスク

(1)業績変動リスク

 当社グループは、プライベートエクイティ投資において、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への株式等の売却によるキャピタルゲインを主たる収益の1つとしております。売却の時期や売却価額は、株式市況や個々の投資先企業の特性、その他様々な要因の影響を受けて想定外に変動する可能性があります。当社グループでは、業績の安定化を目的としてプロジェクト投資を拡大し、プロジェクトからの安定収益や流動性の高いプロジェクト投資資産の売却により、株式売却の変動を緩和しています。しかしながら、株式の売却が想定以上に変動した場合には、会計年度によって得られる収益の金額が大きく変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)資金調達リスク

①当社グループの行う投資業務は、投資してから資金の回収までに長期間を有するため、投資資金の回収を含む資金調達額と投資実行額がアンバランスになり、財政状態及びキャッシュ・フローの状況が短期的に大きく変動したり、あるいは悪影響を被る恐れがあります。

②当社グループは、上記①のような事業の性質上、業務に必要な資金を長期的かつ安定的に調達する必要がありますが、2023年3月期末時点において当社単体で5,137百万円を負債性資金により調達しております。

 負債性資金については、当社グループは、2009年3月以降複数回にわたり、全取引金融機関から返済条件の変更等を主としたリスケジュールに同意を頂いており、現在の返済計画は2022年8月から2023年7月末日までとなっています。

 今後、2023年7月末日に期限が到来するに当たり当該対象債務の残債務については、再び新たな弁済計画について全取引金融機関から同意を頂くべく協議中です。当社グループは、日頃より取引金融機関と連絡を密に取り当社グループの状況を丁寧に説明し、弁済計画へのご理解を得るよう努めています。

 しかしながら、協議が纏まらない場合には、期限の利益を喪失するなど、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、この新たな返済計画は、これまでと同様に融資期間が1年間であり、返済期限を2024年7月末日としています。今後、2024年7月末日の返済期限が到来する際に、当該対象債務の残債務について再び新たな弁済計画について協議を行う必要があり、協議が纏まらない場合には、期限の利益を喪失するなど、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材流出及び労務管理のリスク

 当社グループの行う投資業務における成功には、有能なキャピタリストやファンドマネージャーの存在とその育成が不可欠であり、当社グループの重要な競争力の源泉であります。人事評価における成果主義の導入と、優秀な人材を確保するため、人件費が増加する可能性があります。また、このような制度を導入したにもかかわらず優秀な人材の流出した場合には、当社グループの将来の成長、事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす場合があります。

 また、当社グループは労働環境の充実や改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでおりますが、万一、過重労働や不適切な労務管理によって当社の信用に著しい低下がみられた場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報システム及び情報管理に係るリスク

 当社グループでは適切なシステム管理体制の構築と運用に継続的に取り組んでおりますが、システム運用上のトラブルの発生により、業務運営に支障をきたす可能性があります。

 また、当社グループではコンピューターウィルス対策の整備や、当社グループが保有する取引先の重要な情報並びに個人情報の管理について、各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を進めておりますが、今後、予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどの不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合は、業務運営に支障をきたす場合や、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)コンプライアンス違反行為等によるリスク

 当社グループでは、「私たちの行動規範」を制定し法令遵守の徹底を図っておりますが、当社グループの役職員等による法令違反が発生した場合には、それに伴い社会的信用を失墜し、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)事務リスク

 当社グループでは、社内規程や業務マニュアルを整備するなど正確な業務運営の徹底を図っておりますが、当社グループの役職員等による事務ミスが発生した場合には、業務遂行に支障が生じるだけでなく、それに伴い社会的信用を失墜し、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループは、上記のリスクの中でも次のものを、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しています。

Ⅰ 事業環境に関するリスク(1)株式市場に係るリスク

Ⅱ 営業活動に関するリスク(1)プライベートエクイティ投資に係るリスク

Ⅱ 営業活動に関するリスク(2)プロジェクト投資に係るリスク

Ⅲ 会社運営に関するリスク(1)業績変動リスク

 当社グループは、2022年3月期から3年間の中期経営計画において、既存のプライベートエクイティ投資資産を回収し、一方でプロジェクト投資資産や戦略投資資産に積極的に投資することで、資産の入替を行う計画です。そのため、上記のように、プライベートエクイティ投資資産の回収を進める局面で発生する可能性があるリスクや、プロジェクト投資資産の残高を増加させる局面で発生する可能性があるリスクは顕在化する可能性が高く、発生時期は毎事業年度となる可能性があります。

 また、当社グループは、スマートアグリ(植物工場)プロジェクトの営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっているため、当該プロジェクトに係る固定資産には減損損失の兆候があると判断したものの、減損損失を認識するには至っておりません。減損損失の計上の判断は、当社グループによる見積りの要素が大きく、減損損失の発生時期及び金額を正確に予測することは困難ですが、リスクへの対応策として、植物工場内の生産環境や生産技術の改善などを行い、プロジェクトの投資採算を改善させるべく鋭意努めています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断、予測したものです。

Ⅰ 経営成績の状況の分析

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の当社グループの経営成績の状況は、営業収益3,872百万円(前連結会計年度比 20.9%増)、営業総利益1,419百万円(同 15.1%増)、営業利益11百万円(前連結会計年度 営業損失237百万円)、経常損失126百万円(前連結会計年度 経常損失412百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失295百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純利益19百万円)となりました。その内訳は次のとおりです

 

(a) 営業収益・営業原価内訳                              (単位:百万円)

 

前連結会計年度

自 2021年4月 1日~

 至 2022年3月31日

当連結会計年度

自 2022年4月 1日~

 至 2023年3月31日

営業収益合計

3,204

3,872

うち 管理運営報酬等

117

113

うち 営業投資有価証券売却高

1,732

2,071

うち 組合持分利益・インカムゲイン等

1,330

1,668

うち その他営業収益

24

18

 

 

 

営業原価合計

1,971

2,453

うち  営業投資有価証券売却原価

887

1,316

うち 営業投資有価証券評価損・投資損失引当金繰入額 合計

160

316

うち 組合持分損失等

914

806

うち その他営業原価

10

12

 

 

 

営業総利益

1,232

1,419

 

(管理運営報酬等)

 管理運営報酬等には、投資事業組合等の管理報酬と事務受託報酬が含まれます。管理運営報酬等の総額は、前連結会計年度並みの113百万円(前連結会計年度比 3.1%減)となりました。清算手続き中のファンドからの管理報酬の他、事務受託報酬が減少しました。

 

(投資損益)

                                            (単位:百万円)

 

前連結会計年度

        自 2021年4月 1日~

        至 2022年3月31日

当連結会計年度

        自 2022年4月 1日~

        至 2023年3月31日

プロジェクト

投資資産

プライベートエクイティ

投資資産

合計

プロジェクト

投資資産

プライベートエクイティ

投資資産

合計

営業投資有価証券売却高 (A)

669

1,062

1,732

149

1,921

2,071

営業投資有価証券売却原価(B)

521

365

887

90

1,226

1,316

実現キャピタルゲイン (A)-(B)

147

697

845

59

695

754

営業投資有価証券評価損・

投資損失引当金繰入額 合計(C)

160

160

75

241

316

投資損益 (A)-(B)-(C)

147

537

685

△15

453

437

 

営業投資有価証券売却高は、前連結会計年度から増加して2,071百万円(同 19.6%増)となりました。しかしながら、売却高から売却原価を差し引いた実現キャピタルゲインは、一部の銘柄で売却損が発生したため、前連結会計年度から減少して754百万円(同 10.7%減)となりました。

営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計は、投資残高が比較的多額な投資先企業に対して引当金を計上したため、前連結会計年度から増加し316百万円(同 97.9%増)となりました。以上の結果、実現キャピタルゲインから営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計を控除した投資損益は、前連結会計年度から減少して437百万円の利益(同 36.1%減)となりました。

これを内訳別に見ると、プロジェクト投資では、前連結会計年度は、1件のメガソーラープロジェクトの売却と1件のディストリビューションセンターの一部を売却しました。一方、当連結会計年度の売却は1件のメガソーラープロジェクトに留まり、営業投資有価証券売却高及び実現キャピタルゲインが減少しました。また、事業の進捗に大幅な遅れが生じている投資先に対して引当金を計上しました。その結果、実現キャピタルゲインから営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計を控除した投資損益は損失となりました。

プライベートエクイティ投資では、前連結会計年度は、利益率の高い国内の上場株式の売却が中心でした。これに対し当連結会計年度は、国内の上場株式や国内外の投資金額が比較的多額な未上場株式を、利益を伴って売却しました。一方で、業況が悪化した投資先企業や回収見込額が低下した投資先企業の一部を売却したため、売却損が発生しました。その結果、営業投資有価証券売却高は前連結会計年度から増加したものの、実現キャピタルゲインは前期並みに留まりました。また、投資残高が比較的多額な投資先企業のうち事業進捗に遅れが生じた先に対して、引当金を計上しました。その結果、投資損益は、前連結会計年度から減少しました。

 

(組合持分利益・インカムゲイン等)

営業収益のうち組合持分利益・インカムゲイン等には、当社グループが運営するプロジェクトの収入(売電収益や、野菜の販売額、障がい者グループホームの賃貸収入等)、他社が運営するプロジェクトの持分利益(プロジェクトの運営による純利益や、プロジェクトの売却益)、他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分利益、利息・配当収入、及び、その他の収益が含まれています。

当連結会計年度の組合持分利益・インカムゲイン等の合計額は、前連結会計年度から増加して1,668百万円(前連結会計年度比  25.5%増)となりました。

このうち、当社グループが運営するプロジェクトの収入は、742百万円(同 35.9%減)となりました。売電中のメガソーラープロジェクトの一部を前連結会計年度に売却したため、売電収益が減少しました。

他社が運営するプロジェクトの持分利益及び他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分利益は合計で、前連結会計年度から増加して384百万円(同 161.1%増)となりました。他社が運営するプロジェクトで高齢者施設1件の売却益が計上されたため増加しました。

利息・配当収入は、前連結会計年度から増加して539百万円(同 2,088.8%増)となりました。2件のディストリビューションセンタープロジェクトと1件のその他プロジェクトの売却による利益配当が計上されたため増加しました。

 

(組合持分損失等)

営業原価のうち組合持分損失等には、当社グループが運営するプロジェクトの原価(売電原価や、野菜の製造原価、障がい者グループホームの賃貸原価等)、他社が運営するプロジェクトの持分損失(主に立上げ初期のプロジェクトからの純損失)、及び他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分損失等が含まれています。

当連結会計年度の組合持分損失等の合計額は、前連結会計年度から減少し806百万円(同 11.7%減)となりました。このうち、当社グループが運営するプロジェクトの原価が661百万円(同 22.3%減)です。売電中のメガソーラープロジェクトの一部を前連結会計年度に売却したため、売電原価が減少しました。

一方で、他社が運営するプロジェクトの持分損失及び他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分損失は合計で、前連結会計年度から増加し145百万円(同 129.6%増)となりました。他社が運営するプロジェクトのうち、事業の進捗が遅れているプロジェクトや立上げ初期のプロジェクトで純損失が増加しました。

 

 以上の結果、営業収益は3,872百万円(同 20.9%増)、営業原価は2,453百万円(同 24.4%増)、営業総利益は1,419百万円(同 15.1%増)となりました。

 

(b) 販売費及び一般管理費、営業損益

 販売費及び一般管理費の合計額は、前連結会計年度に比べて減少し1,408百万円(同 4.2%減)となりました。前連結会計年度に売却したメガソーラープロジェクトの運営費用が減少しました。

 これらの結果、営業利益は11百万円(前連結会計年度 営業損失237百万円)となりました。

 

 

(c)営業外損益及び経常損益

 営業外収益は、前連結会計年度から減少して50百万円(前連結会計年度比 38.9%減)となりました。外貨建て資産の回収に伴う為替差益が減少しました。

 営業外費用は、主に支払利息であり、借入金の残高減少に伴い前連結会計年度から減少して188百万円(同 26.7%減)となりました。当社単体では借入金を圧縮しています。また、プロジェクト投資における借入金も、前連結会計年度に一部のプロジェクトを売却したため減少しました。

 これらの結果、経常損失は126百万円(前連結会計年度 経常損失412百万円)となりました。

 

(d)特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益

 当連結会計年度は、多額な特別損益は発生しませんでした。

 法人税等合計は、所得が発生したため前連結会計年度から増加して45百万円(同 902.1%増)となりました。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに、税効果会計について適切に見積もった結果、繰延税金資産を計上しておりません。

 非支配株主に帰属する当期純損益は、当社グループが運営するファンドやプロジェクトの損益のうち、当社グループ以外の出資者に帰属する額です。当連結会計年度は、これらのファンドやプロジェクトで利益が発生したため、123百万円の利益(同 68.6%減)となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は295百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純利益19百万円)となりました。

 

 

Ⅱ キャッシュ・フローの状況の分析

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

   自 2021年4月 1日~

至 2022年3月31日

当連結会計年度

   自 2022年4月 1日~

至 2023年3月31日

営業活動によるキャッシュ・フロー

△145

157

投資活動によるキャッシュ・フロー

212

0

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,007

△806

現金及び現金同等物期末残高

2,397

1,762

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

前連結会計年度に比べて投資資産の回収が進捗したことから黒字に転換し、157百万円の収入(前連結会計年度 145百万円の支出)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の売却による収入が無かったため、0百万円の収入(同 212百万円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

806百万円の支出(同 1,007百万円の支出)となりました。長期借入金の返済額の減少に伴い、前連結会計年度に比べて支出額が減少しました。

 

これに現金及び現金同等物に係る換算差額11百万円を加算した結果、当連結会計年度末において現金及び現金同等物の残高は635百万円減少して1,762百万円となりました。

 

 

Ⅲ 財政状態の分析

(資産)

期末残高

前連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2023年3月31日現在)

金額(百万円)

引当率(%)

(b)/(a)

金額(百万円)

引当率(%)

(b)/(a)

資産合計

20,231

 

18,775

 

うち 現金及び預金

5,666

 

3,130

 

うち 有形固定資産

4,148

 

5,432

 

うち 営業投資有価証券(a)

9,538

 

9,375

 

うち 投資損失引当金(b)

△1,492

15.6

△1,588

16.9

 資産合計は、前連結会計年度末から減少し18,775百万円(前連結会計年度末 20,231百万円)となりました。

 

 このうち現金及び預金は、前連結会計年度末から減少し3,130百万円(同 5,666百万円)となりました。主な減少要因は、当社グループの運営するファンドに帰属する預金が、税金の納付や分配金の支払により減少したことです。

 なお、当社グループの運営するファンドに帰属する預金は、各ファンドの組合契約に従い運用しなければならない資金であり、当社グループに帰属する資金と明確に分別して管理しています。現金及び預金のうち当社グループに帰属する資金は、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の期末残高の1,762百万円(同 2,397百万円)です。加えて、当社グループが展開するプライベートエクイティ投資はその事業特性上株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、加えて昨今の変動の激しい環境下においては合理的な業績予想が困難な事業です。そのため、プライベートエクイティ投資からの資金回収額が大きく下振れすることも想定されます。そのような状況の中、経費や利息の支払い及び借入金の返済だけでなく、将来の成長に向けた投資を確実に行うために、当社グループは常に一定の現預金残高を保有する必要があります。

 

 有形固定資産は、主に、当社グループが運営するプロジェクトの再生可能エネルギー発電所設備、植物工場、障がい者グループホームが計上されています。障がい者グループホームやメガソーラー発電所への投資を行ったため、前連結会計年度末から増加して5,432百万円(同 4,148百万円)となりました。

 

 営業投資有価証券には、プライベートエクイティ投資資産に加え、当社が運営するプロジェクトのうち開発が初期段階のものや、他社が運営するプロジェクト投資資産が計上されています。プライベートエクイティ投資資産とプロジェクト投資資産の売却が共に進捗したため、前連結会計年度末から減少して9,375百万円(同 9,538百万円)となりました。

 また、投資損失引当金は、繰り入れに伴い前連結会計年度末から増加して1,588百万円(同 1,492百万円)となりました。

 その結果、当連結会計年度末における引当率(営業投資有価証券の期末残高に対する投資損失引当金の期末残高の割合)は、前連結会計年度末から1.3ポイント上昇して16.9%となりました。

 

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末から減少して9,673百万円(前連結会計年度末 10,787百万円)となりました。

このうち借入金と社債の残高は、合計で8,993百万円(同 9,521百万円)となり、前連結会計年度末から減少しました。このうち、当社単体の金融機関からの借入額は5,137百万円(同 5,943百万円)です。残額は、当社グループが運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンスと社債他の残高3,856百万円(同 3,578百万円)です。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2023年3月31日現在)

借入金・社債残高合計

9,521

8,993

うち 当社単体借入額

5,943

5,137

うち プロジェクト投資におけるプロジェクトファイナンス・社債他

3,578

3,856

当社単体の借入金は、当連結会計年度中に806百万円を返済し、前連結会計年度末から減少しました。今後も、将来の成長に向けた投資資金を確保した上で、当社単体の借入額を返済して参ります。

また、当社グループが運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス・社債他は、主に障がい者グループホームプロジェクトの新規借入により、前連結会計年度末から残高が増加しました。なお、当社グループの運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス・社債は、プロジェクトの資産や収益のみを返済原資としているため、当社グループの財務健全性に与える影響は限定的です。そのため、当社は、今後も当社グループの運営する再生可能エネルギー等の多様なプロジェクトにおいて、プロジェクトファイナンス・社債による資金調達を組み合わせてレバレッジを効かせた投資を行い、高い財務健全性を維持しながら収益性を高めていく方針です。

 

(純資産)

純資産のうち自己資本は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したため、前連結会計年度末から減少して7,581百万円(同 7,766百万円)となりました。他方で、総資産も前連結会計年度末から減少したため、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末から2.0ポイント上昇し40.4%(同 38.4%)となりました。また、純資産全体も前連結会計年度末から減少し、9,101百万円(同 9,443百万円)となりました。

 

 

Ⅳ営業活動の状況

(a)投資及び融資の状況

 当社グループによる自己勘定並びに当社グループが運営の任にある、又は運営の為に必要な情報の提供を行っているファンド、並びに当社グループが運営に関わらない当社以外の第三者が運営するファンドのうち投資対象が特定されているもの等による投融資実行額及び投融資残高の内訳は以下のとおりです。

 

①投融資実行額内訳(自己勘定分及びファンド勘定分)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

社数又は件数(社・件)

金額(百万円)

社数又は件数(社・件)

金額(百万円)

1)地域別

 

 

 

 

プロジェクト投資 小計

19

1,938

18

2,152

 うち 日本

19

1,938

16

2,107

 うち 東南アジア他

-

-

2

45

プライベートエクイティ投資 小計

8

1,482

10

1,408

 うち 日本

8

1,482

10

1,408

 うち 中華圏(中国、香港、台湾)他

-

-

-

-

2)種類別

 

 

 

 

プロジェクト投資 小計

19

1,938

18

2,152

 うち 再生可能エネルギー

4

497

6

1,034

 うち ヘルスケア

8

219

2

58

 うち スマートアグリ

1

415

1

170

 うち ディストリビューションセンター

4

632

2

620

 うち その他

2

174

7

269

プライベートエクイティ投資 小計

8

1,482

10

1,408

 うち 戦略投資

3

359

3

200

 うち フィナンシャル投資

5

1,122

7

1,208

投資及び融資実行額 合計

27

3,420

28

3,561

(注) 戦略投資とは、当社グループが投融資を行うプロジェクトにおいてパートナーとなる企業に対する投資です。フィナンシャル投資とは戦略投資以外の企業に対する投資です。

 

②投融資残高内訳(自己勘定分及びファンド勘定分)

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2023年3月31日現在)

社数又は件数(社・件)

金額(百万円)

社数又は件数(社・件)

金額(百万円)

1)地域別

 

 

 

 

プロジェクト投資 小計

43

6,344

50

7,123

 うち 日本

43

6,344

48

7,087

 うち 東南アジア他

-

-

2

36

プライベートエクイティ投資 小計

86

7,440

81

7,010

 うち 日本

47

4,510

49

4,915

 うち 中華圏(中国、香港、台湾)他

39

2,929

32

2,094

2)種類別

 

 

 

 

プロジェクト投資 小計

43

6,344

50

7,123

 うち 再生可能エネルギー

19

3,286

22

4,078

 うち ヘルスケア

14

952

15

707

 うち スマートアグリ

1

879

1

741

 うち ディストリビューションセンター

6

801

5

1,237

 うち その他

3

424

7

358

プライベートエクイティ投資 小計

86

7,440

81

7,010

 うち 戦略投資

7

1,432

7

962

 うち フィナンシャル投資

79

6,007

74

6,047

投資及び融資残高 合計

129

13,784

131

14,133

(注) 戦略投資とは、当社グループが投融資を行うプロジェクトにおいてパートナーとなる企業に対する投資です。フィナンシャル投資とは戦略投資以外の企業に対する投資です。

 

 当連結会計年度の投融資実行額は、前連結会計年度から増加して28社、3,561百万円(前連結会計年度比 4.1%増)となりました。また、当連結会計年度末の投融資残高は、前連結会計年度末から増加して131社、14,133百万円(前連結会計年度末 129社、13,784百万円)となりました。

 

 このうちプロジェクト投資は、当連結会計年度の投融資実行額が増加し、新規プロジェクトへの投資と既存のプロジェクトへの追加投資の合計で18件、2,152百万円(前連結会計年度比 11.1%増)となりました。再生可能エネルギー分野で既存のメガソーラープロジェクトに追加投資を行った他、バイオマス発電や屋根置き型蓄電池付き太陽光発電システムの新規プロジェクトに投資を行いました。一方で、ヘルスケアプロジェクトやスマートアグリプロジェクトでは、投資金額が減少しました。

 また、当連結会計年度の投資の回収は、メガソーラープロジェクト1件、ヘルスケアプロジェクト1件、ディストリビューションセンタープロジェクト1件、その他のプロジェクト1件を売却しました。また、既存プロジェクトからの分配金の受領による減少や、プロジェクトの持分損益に伴う投資残高の増減がありました。

 それらの結果、投融資残高は前連結会計年度末から増加し、50件、7,123百万円(前連結会計年度末43件、6,344百万円)となりました。

 なお、当連結会計年度末現在において投資を行っているメガソーラープロジェクト(JAICソーラー2号投資事業有限責任組合からの投資も含む)は、売却や回収した案件を除き合計で13件(15発電所)、30.7MWとなりました。このうち、当社が出資した持分に帰属する部分は13.1MWです。また、メガソーラー以外の再生可能エネルギープロジェクトに対する投資実績は、バイオマス発電プロジェクトが2件、4.0MW、バイオガス発電プロジェクトが2件、1.1MW、バイオガス発電所のオペレーターが1件、風力発電プロジェクトが1件、最大25.2MW、屋根置き型蓄電池付き太陽光発電システムが3件、合計1.2MWです。

 

 プライベートエクイティ投資は、原則として、当社の自己資金を用いる場合は、経営理念に従った事業テーマに基づきプロジェクト投資のパートナー企業に対して選別的に戦略投資を行います。また、ファンドの資金を用いる場合は、ファンドの投資方針に基づいてフィナンシャル投資を行います。

 当連結会計年度の投資実行額は、新規の企業への投資と既存の投資先企業への追加投資の合計で、10社、1,408百万円(前連結会計年度比 5.0%減)となり減少しました。戦略投資では1社当たりの投資金額が減少しました。フィナンシャル投資では、ベンチャー企業向けの投資が件数・金額ともに増加しました。当連結会計年度の投資回収は、戦略投資では3件を売却しました(一部売却を含む)。フィナンシャル投資では、国内の上場株式と中華圏の未上場株式を主に売却しました。それらの結果、投資残高は前連結会計年度末から減少し、81社、7,010百万円(前連結会計年度末86社、7,440百万円)となりました。

 

 

(b)IPO(新規上場)の状況

 当社グループによる自己勘定並びに当社グループが運営の任にある、又は運営の為に必要な情報の提供を行っているファンドから投資を行った投資先企業の新規上場の状況は以下のとおりです。

 

① 新規上場(IPO)の状況(自己勘定分及びファンド勘定分)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

IPO社数(国内・海外 合計)

4社

1社

初値換算投資倍率(国内・海外 平均)

3.7倍

30.0倍

(注)初値換算投資倍率=初値換算による保有株式の時価/保有株式への投資額(IPO時簿価残高)。なお、初値換算投資倍率の計算には株式交換等による上場株式取得分は含めておりません。

② 新規上場した投資先企業の一覧

前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

社数

投資先企業名

上場年月日

上場市場(注)

事業内容

本社
所在地

国内:4社

海外:-社

ワンダープラネット株式会社

2021年6月10日

東京証券取引所マザーズ

エンターテインメントサービス事業

愛知県

株式会社ラストワンマイル

2021年11月24日

東京証券取引所マザーズ

インサイドセールス等を活用した新電力、新ガス、インターネット回線等のインフラサービスの取次販売及び自社サービス「まるっとシリーズ」の提供

東京都

リニューアブル・ジャパン株式会社

2021年12月22日

東京証券取引所マザーズ

再生可能エネルギー発電所開発・運営事業

東京都

株式会社TORICO

2022年3月23日

東京証券取引所マザーズ

コミックの全巻売り EC サイト「漫画全巻ドットコム」の運営及びマンガ・アニメ関連グッズの販売などを行う各種マンガ事業

東京都

(注)上場市場は、上場年月日時点の市場を記載しています。

 

当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

社数

投資先企業名

上場年月日

上場市場

事業内容

本社
所在地

国内:1社

海外:-社

株式会社ティムス

2022年11月22日

東京証券取引所グロース

医薬品、医薬部外品、医薬品原材料、医療用機器及び医療用消耗品の研究及び開発

東京都

 

なお、当連結会計年度末後、当報告書提出日までに新規上場した投資先企業の一覧は、下記のとおりです。

社数

投資先企業名

上場年月日

上場市場

事業内容

本社
所在地

国内:1社

海外:-社

日本システムバンク株式会社

2023年4月14日

名古屋証券取引所メイン

コインパーキングの運営、駐車場機器の販売・保守

福井県

 

 

(c)ファンドの状況

 当連結会計年度末における当社グループが管理、運用又は投資情報の提供を行っているファンドの運用残高は、9ファンド、15,850百万円(前連結会計年度末10ファンド、16,463百万円)となりました。

 当連結会計年度は、日本国内の事業承継問題を抱える中小企業を投資対象とする「サクセッション2号投資事業有限責任組合」を新規設立した後増額しました(増額後ファンド総額3,701百万円)。一方で、満期延長中であった2ファンド(ファンド総額 合計4,328百万円)が減少しました。また、為替の変動により、外貨建てファンドのファンド総額が14百万円増加しました。

 

①運用残高

 

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2023年3月31日現在)

 

ファンド数

ファンド総額

(百万円)

ファンドの

純資産額

(百万円)

ファンド数

ファンド総額

(百万円)

ファンドの

純資産額

(百万円)

運用期間中

5

7,511

3,349

6

11,212

3,804

満期延長中

2

4,328

818

-

-

-

清算期間中

3

4,624

1,237

3

4,638

2,380

合計

うち当社グループ出資額

10

16,463

(4,953)

5,404

9

15,850

(3,389)

6,185

 

②運用期間中のファンド(当連結会計年度末(2023年3月31日現在))

ファンド名

設立時期

ファンド満期

ファンド総額

(百万円)

特徴

JAIC企業育成投資事業有限責任組合

2016年2月

2026年2月

2,000

主に国内のベンチャー企業を対象として、他社の運営するファンドが保有する投資証券の買い取り等、広範な投資機会を追求するファンド

サクセッション1号投資事業有限責任組合

2017年6月

2027年6月

3,000

当社と㈱あおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)が運営するファンド

日本国内の事業承継問題を抱える中小企業を投資対象とする

JAICソーラー2号投資事業有限責任組合

2020年3月

2039年12月

1,359

稼働済みメガソーラープロジェクトを投資対象とするファンド

北海道地域中小企業グローバル化支援投資事業有限責任組合

2020年4月

2026年12月

151

当社と㈱アジアンマーケット企画が共同で運営するファンド

北海道に所在もしくは展開している企業の海外展開支援や、インバウンド需要向け事業展開支援を行う

AJC企業育成投資事業有限責任組合

2021年6月

2031年6月

1,001

当社と㈱あおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)が運営するファンド

主に国内のベンチャー企業を対象として、他社の運営するファンドが保有する投資証券の買い取り等、広範な投資機会を追求するファンド

 

 

ファンド名

設立時期

ファンド満期

ファンド総額

(百万円)

特徴

サクセッション2号投資事業有限責任組合

2022年8月

2032年8月

3,701

当社と㈱あおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)が運営するファンド

日本国内の事業承継問題を抱える中小企業を投資対象とする

 

(注) 1 外貨建によるファンドは、各連結会計年度末日現在の為替レートを乗じて計算した金額を記載しております。従って、運用資産の増減額には為替による影響額も含まれております。

 2 ファンド総額につきましては、コミットメントベース(契約で定められた出資約束金額ベース)の金額を記載しております。

 

Ⅴ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(当社グループの資金状況)

「Ⅱ キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。

(借入金の状況)

「Ⅲ 財政状態の分析 (負債)」に記載のとおりです。

(手許資金の状況)

「Ⅲ 財政状態の分析 (資産)」に記載のとおりです。

(ファンドの状況)

「Ⅳ 営業活動の状況(c)ファンドの状況」に記載のとおりです。

(投資活動の状況)

「Ⅳ 営業活動の状況(a)投資及び融資の状況」に記載のとおりです。

(株主還元の状況)

「第4 提出会社の状況、3. 配当政策」に記載のとおりです。

 

Ⅵ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、投資損失引当金と固定資産の減損です。その詳細は「第5経理の状況、1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響など、その記載内容を補足する情報は、「第2事業の状況、3事業等のリスク Ⅱ営業活動に関するリスク (1)プライベートエクイティ投資に係るリスク、及び(2)プロジェクト投資に係るリスク」に記載しています。

 

Ⅶ 上記ⅠからⅥの分析等に基づく対応及び、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

Ⅷ 主要な販売先の状況

 最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。

1. 前連結会計年度

相手先

前連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

北海道電力株式会社

745

23.3

(注)単一の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の10%以上に該当する外部顧客が、上記の他に1社ありますが、秘密保持契約を締結しているため、記載を省略しております。

 

2. 当連結会計年度

相手先

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

渡邊 智成

1,172

30.3

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、First Eastern (Holdings) Limited(以下「FE社」といいます。)との間で、資本業務提携契約を締結しております。その概要は下記のとおりであります。

 

 当社は、2015年12月11日開催の取締役会において、FE社との間での資本業務提携契約の締結及びFirst Eastern Asia Holdings Limitedを割当予定先とした第三者割当(以下「本第三者割当」といいます。)の方法による取得条項付第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行を行うこと(以下「本資本業務提携」といいます。)を決議し、2015年12月29日付で本資本業務提携を開始致しました。

 

(1)業務提携の内容

当社及びFE社は、相互に協力して、以下の各項目を中心として、両社にとって有益な共同事業を検討して参ります。また、FE社から当社への取締役又は顧問及びその他の人材の派遣についても今後検討して参ります。

①日本での成長企業への投資におけるファンドの設立及び運営を中心とした協力

②日本におけるM&A及び不動産投資に関する助言業務

③中国及び東南アジアにおけるファンドの設立及び運営を中心とした協力

④インフラ及びエネルギーに関連する投資事業における、ファンドの設立及び運営を中心とした協力

 

(2)資本提携及び本第三者割当の概要

 資本提携の具体的な方法は、First Eastern Asia Holdings Limitedが保有する当社に対する貸付金債権835百万円をデット・デット・スワップの方法により、取得条項付無担保転換社債型新株予約権付社債に交換するものです。なお、本新株予約権付社債は2016年2月26日付で当社普通株式に転換されました。

 その後、First Eastern Asia Holdings Limitedは、当社普通株式を2016年11月及び12月に一部売却した後、2020年3月以降複数回にわたり追加取得しています。

 これらの結果、2023年3月期末現在、First Eastern Asia Holdings Limitedは当社の議決権を10%以上保有しており、主要株主である筆頭株主となっております。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。