当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における世界経済は、各国の金融政策を背景とした物価情勢や国際金融資本市場の動向、地政学リスクが与える影響に注視が必要な状況が継続しているものの、米国において個人消費や設備投資の増加等、内需を中心とした景気拡大が継続するなど、総じて堅調に推移しました。また、わが国の経済は、円安・物価高等が個人消費に影響を与えたものの、企業の業況や雇用・所得環境の改善もあり緩やかに回復しました。
住宅市場は、国内の新設住宅着工戸数が建設コスト増の影響もあり弱含みの状況が続いています。一方、米国では、住宅ローン金利が高水準で推移する中、住宅着工の調整局面や中古住宅の在庫減少が継続していますが、人口増に対する慢性的な住宅供給不足を背景に住宅に対する潜在需要は強く、持ち直しの動きもみられています。
このような事業環境の中、当社グループは、2050年を見据えたグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とする第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)に基づき、ハード・ソフト・サービスを融合した様々な高付加価値提案等を積極的に推進しました。米国においては、過去50年以上にわたり良質な住宅を供給してきたM.D.C. Holdings, Inc.(以下「MDC社」)を2024年4月に当社の完全子会社とし、米国における戸建住宅事業の展開エリアをこれまでの8州から16州に拡大しました。
その結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高は1,859,127百万円(前年同期比27.1%増)、営業利益は157,141百万円(前年同期比25.8%増)、経常利益は147,176百万円(前年同期比17.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は122,983百万円(前年同期比33.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、当中間連結会計期間より、従来「その他」に計上していた連結子会社の一部のセグメントの区分を、「開発事業」セグメントの区分に変更しており、当中間連結会計期間における比較・分析は、変更後の報告セグメントの区分に基づいています。
(戸建住宅事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は230,632百万円(前年同期比0.4%減)、営業利益は20,794百万円(前年同期比10.3%増)となりました。
昨年度から全国展開を開始した新デザイン提案システム「life knit design」によるお客様の感性に寄り添う住まいづくりに加え、各分野の専門家で組織するDESIGN OFFICEチームによる戸建住宅のブランディング推進等により、2nd・3rdレンジの中高級商品の拡販に注力しました。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」をはじめ、大空間リビング「ファミリー スイート」、次世代室内環境システム「スマート イクス」や間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」等の高付加価値提案が好評で、受注は堅調に推移しました。
また、1stレンジ商品の強化と国内の良質な住宅ストック形成に貢献するため、昨年度から開始した共同建築事業「SI※事業」については、各地域における優良パートナー企業とのネットワーク構築が着実に進捗しています。
各パートナー企業が建築する木造住宅の基礎と構造躯体の施工を積水ハウス建設グループ各社が請け負うことで、創業以来培ってきた積水ハウスの安全・安心の耐震技術を実感いただけるお客様層が着実に広がっています。
※SI(エス・アイ):S=スケルトン(建物の構造躯体)とI=インフィル(外装・内装)のこと
(賃貸・事業用建物事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は262,394百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は37,826百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
当社独自のエリアマーケティングに基づき長期間にわたり入居需要の見込まれる都市部(S・Aエリア)を中心とした事業展開により、当社オリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販、ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及に注力したことに加え、高い入居率と賃料水準を実現するプライスリーダー戦略が奏功し、賃貸住宅の受注は好調に推移しました。特に、太陽光パネルを住戸ごとに接続する「シャーメゾンZEH」においては、入居者がメリットを実感できる光熱費の節約やエシカル志向への対応を考慮した入居者売電方式が好評で、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸割合が78%となりました。
また、収益不動産拡大のための土地仕入及びESGソリューション提案の強化により、CRE(法人)・PRE(公共団体)事業における受注も好調に推移しました。
戸建住宅事業で培ったノウハウをオフィス空間等に活用するネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)「グリーンファースト オフィス」をはじめとした非住宅分野の提案強化を推進しています。
(建築・土木事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は154,931百万円(前年同期比25.3%増)、営業利益は7,805百万円(前年同期比16.4%増)となりました。
建築・土木事業ともに、工事原価が上昇傾向にあるものの、昨年度から続く旺盛な建設需要を背景に手持工事が順調に増加したことや、昨年度から当中間連結会計期間にかけて受注した大型工事の良好な進捗が増収に寄与しました。また、競争案件における提案力強化をはじめとした戦略的な取り組みにより受注は好調に推移しました。
(賃貸住宅管理事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は341,688百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は28,291百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
S・Aエリアを中心とした好立地に供給する高品質・高性能な賃貸住宅「シャーメゾン」の継続的な受注と、オーナーとのコミュニケーション強化により管理受託戸数が堅調に増加しました。既存管理物件については、リテナント時の賃料上昇、空室期間の短縮化を企図した戦略的なリーシング活動等を実施しています。入居者ファーストを目指し、アプリを用いた入居手続き・入居後の問い合わせ対応のオンライン化、ブロックチェーンを用いた入退去手続きのワンストップ対応等、DX推進による入居者ニーズに合わせたサービスの拡充により高水準の入居率と賃料を維持し、増収に寄与しました。
(リフォーム事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は94,098百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は13,745百万円(前年同期比13.5%増)となりました。
住宅ストックの資産価値向上と長寿命化を図るべく、戸建住宅では、家族構成やライフスタイルの変化に合わせた生活提案等の提案型リフォーム、断熱改修や最新の省エネ・創エネ・蓄エネ設備等を導入する環境型リフォームに注力しました。特に環境型リフォームにおいては、住生活空間に範囲を絞った「いどころ暖熱」や開口部断熱改修を中心に1999年に制定された次世代省エネ基準仕様の物件の断熱性能を更にレベルアップさせる提案を強化しました。また、賃貸住宅では、オーナーとのコミュニケーションを強化し、マーケット分析に基づく入居者ニーズをとらえたリノベーション提案に注力しています。これらの取り組みにより、受注は底堅く推移しました。
(開発事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は302,608百万円(前年同期比21.3%増)、営業利益は39,778百万円(前年同期比15.9%増)となりました。当事業に集約された仲介・不動産事業、マンション事業、都市再開発事業の経営成績は次のとおりです。
[仲介・不動産事業]
当事業の当中間連結会計期間における売上高は175,189百万円(前年同期比34.5%増)、営業利益は15,528百万円(前年同期比24.2%増)となり、とりわけ積水ハウス不動産各社における住宅用地を中心とした販売用不動産の売却が順調に進捗し増収に寄与しました。
また、良質な販売用不動産の仕入れを企図した事業法人や金融機関などの引合ルートの継続的な拡大や深化に取り組むとともに、販売用不動産の出口戦略のバリエーション強化に注力した結果、取扱い物件の高額化、住宅用地の取扱い数の増加につながり、受注は好調に推移しました。
仲介事業についても、当社グループの全国ネットワークと多彩な販売ルートの活用により堅調に推移しています。
[マンション事業]
当事業の当中間連結会計期間における売上高は54,294百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益は8,095百万円(前年同期比3.2%減)となりました。
「グランドメゾン代官山 THE PARK」(東京都渋谷区)の引渡しが完了したほか、「グランドメゾン上野毛」(東京都世田谷区)等の引渡しが順調に進捗し増収に寄与しました。
東京・名古屋・大阪・福岡の中心地を戦略エリアとして集中的に展開する高付加価値の分譲マンション「グランドメゾン」については、ブランド価値の更なる向上を図るべく開発用地を厳選したうえで、生涯住宅思想に基づく設計・デザインを追求するとともに、家庭部門の脱炭素化への貢献を目指して全住戸ZEH仕様とするなど、環境配慮に関する先進技術の採用を積極的に進めています。これらの取り組みが評価され、「グランドメゾン武蔵小杉の杜」(川崎市中原区)、「グランドメゾン上町一丁目レジデンス」(大阪市中央区)等の販売が好調に推移しました。
[都市再開発事業]
当事業の当中間連結会計期間における売上高は73,124百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は16,154百万円(前年同期比20.1%増)となりました。
積水ハウス・リート投資法人に「プライムメゾン湯島」(東京都文京区)など都市型賃貸マンション「プライムメゾン」7物件を売却した他、ホテル物件「W OSAKA」(大阪市中央区)の持分を売却する等、計画に沿い物件売却が順調に進捗したことにより、増収となりました。また、当社が保有を継続する物件については、「プライムメゾン」等の入居率が堅調に推移しました。
また、日本生命保険相互会社との共同事業として開発を進めてきた高層オフィスビル「赤坂グリーンクロス」(東京都港区)が2024年5月に竣工するとともに、北海道では初進出となる「コートヤード・バイ・マリオット」ブランドのホテル「コートヤード・バイ・マリオット札幌」(札幌市中央区)が2024年7月に開業しました。
(国際事業)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は484,670百万円(前年同期比140.3%増)、営業利益は30,239百万円(前年同期比142.4%増)となりました。
米国では、戸建住宅事業においては、住宅ローン金利の高止まりの影響で中古住宅が在庫不足となり、新築住宅へのニーズが高まったことから既存ビルダーの受注・引渡しが好調に推移したことに加え、米国での更なる事業展開エリアの拡大に向け2024年4月にMDC社を完全子会社化したことにより増収となりました。また、コミュニティ開発事業も好調に推移し、賃貸住宅開発事業においては、積水ハウス・リート投資法人が組成した米国SPCに対する「The Ivey on Boren」(シアトル)の引渡しが完了したことで、米国事業全体としても増収となりました。
オーストラリアでは、戸建住宅の受注は改善傾向で推移したものの、分譲マンション引渡しの端境期に重なった影響などもあり、減収となりました。
(その他)
当事業の当中間連結会計期間における売上高は6,911百万円(前年同期比29.0%増)、営業利益は1,310百万円(前年同期比71.4%増)となりました。
ESG経営のリーディングカンパニーを目指す当社グループは、第6次中期経営計画において「住まいを通じて環境課題の解決に貢献」「従業員の自律を成長ドライバーにする」「イノベーション&コミュニケーション」を基本方針とし、積水ハウスグループらしい「全従業員参画型ESG経営」を推進しています。
環境面では、ZEH基準をクリアする戸建住宅「グリーンファースト ゼロ」を発売してからの累積販売棟数が8万棟を超え、2023年度の新築戸建住宅ZEH比率が95%と過去最高を更新するとともに、賃貸住宅「シャーメゾン」や分譲マンション「グランドメゾン」等の集合住宅におけるZEH化、非住宅建築物におけるZEB化を推進してきました。生物多様性保全に向けた取り組みとしては、住宅事業を通じ地域の気候風土・鳥や蝶等と相性の良い在来樹種を中心とした植栽を提案する「5本の樹」計画の推進に加え、国際目標であるネイチャー・ポジティブの実現に向け共創を推進してきた株式会社シンク・ネイチャーとともに、お客様の庭における生物多様性保全効果を最大化できる樹木等を提案する「生物多様性可視化提案ツール(仮称)」を2024年6月に共同開発しました。
社会性向上に関しては、重要な経営戦略の一つである「女性活躍の推進」において、2014年から開始している女性管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」やキャリア形成の手本となるロールモデルづくりを継続・推進しました。また、当社及び積水ハウス イノベーション&コミュニケーション株式会社は、「住まいと暮らし」にまつわる社会課題解決へ向けた事業創造と人財育成をさらに加速させるべく、2024年9月、「赤坂グリーンクロス」内に、オープンイノベーション施設「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」を開設しました。
ガバナンス面では、トップマネジメント・事業マネジメント両輪でガバナンス強化を推進する第6次中期経営計画の方針のもと、従来より実施していた取締役会の実効性評価に加え、2023年度より第三者機関による監査役会及び監査役監査活動の実効性評価を実施し、監査役会にて今後重点的に検討すべき課題を確認するなど監査品質の向上や監査役会運営の向上に取り組みました。また、MDC社の完全子会社化に伴うPMIを米国の既存グループビルダーを含めて推進する体制を構築するなど、グループガバナンスのグローバル展開を進めています。
また、当中間連結会計期間末における資産総額は、MDC社を買収したことに伴う販売用不動産の増加等により前連結会計年度末と比較して40.8%増の4,720,306百万円となりました。負債総額は、短期借入金の増加や社債の発行等により前連結会計年度末と比較して74.7%増の2,722,710百万円となりました。純資産は、為替換算調整勘定の増加や親会社株主に帰属する中間純利益を計上したこと等により前連結会計年度末と比較して11.3%増の1,997,595百万円となりました。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末より138,686百万円増加し、431,587百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、税金等調整前中間純利益の計上等により、23,305百万円の増加(前年同期比73,174百万円資金増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、MDC社等の買収に伴う子会社株式の取得等により、580,947百万円の減少(前年同期比543,214百万円資金減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、短期借入金の増加や社債の発行による収入等により、678,629百万円の増加(前年同期比625,978百万円資金増)となりました。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費総額は5,369百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
①受注実績
当中間連結会計期間における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
②販売実績
当中間連結会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しました。
※ 当中間連結会計期間より連結子会社の一部の報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は前年同期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出しています。
※ 当中間連結会計期間に連結子会社化したM.D.C. Holdings, Inc. 及びその子会社について、同社の数値を各指標の「国際事業」に含めて表示しています。
※ 当中間連結会計期間に連結子会社化した鳳コンサルタント株式会社について、同社の数値を各指標の「その他」に含めて表示しています。
当社は、当社の完全子会社Sekisui House US Holdings, LLC(以下「SHUSH社」)の子会社であるSH Residential Holdings, LLC(以下「SHRH社」)を通じて、米国において戸建住宅事業を行うM.D.C. Holdings, Inc.(本社:米国 コロラド州、CEO:David D. Mandarich、米国ニューヨーク証券取引所上場:MDC、以下「MDC社」)の株式の全てを取得すること(以下「本買収」)を2024年1月18日開催の取締役会において決議し、MDC社との間で本買収に関する合併契約を2024年1月18日(米国デンバー時間2024年1月17日)付で締結し、2024年4月19日に買収が完了しました。
当社は、本買収に必要な資金を調達するため2024年3月21日開催及び2024年4月12日開催の取締役会において、借入契約を締結することを決議し、以下のとおり、2024年4月16日及び2024年4月17日に借入を実行しました。
(1)借入先 株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行
(2)借入金額 円建て:418,250百万円 (注)
米ドル建て:1,550百万米ドル
(3)借入利率 基準金利+スプレッド
(4)返済期限 2025年4月3日
(5)担保・保証 無担保、無保証
(6)資金の使途 MDC社買収に係るSHUSH社への増資及びSHRH社への貸付
(注)当該借入金額のうち200,000百万円は、2024年7月8日付で発行した公募ハイブリッド社債により調達した資金を充当し、2024年7月17日に期限前返済を行いました。