第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、次の社訓、経営理念、経営方針及び行動指針を経営の基本方針として掲げ、企業活動を行っております。

 

<社訓>

1.社会の信用を "Gain Trust from Society"

2.企業の繁栄を "Seek Prosperity for Company"

3.相互の幸福を "Share Happiness with Everybody"

 

<経営理念>

当社グループは、誠意と新しい技術の創造によって、価値ある商品、サービスをグローバルに提供し、顧客・株主・従業員をはじめ、全ての関わる人々の幸福を実現します。

 

<経営方針>

当社グループは、業界トップクラスの「コスト競争力・品質水準・技術水準」を基盤として、グローバルで自動車内外装部品の専門メーカーとしての地位を確立するために以下の3点を基本方針としております。

1. 継続してお客様に満足される最高水準の品質を提供する

2. 常に自動車部品業界をリードする先進技術を生みだし、商品化に繋げる

3. 永続して高収益を出せる強靭な体質を構築する

 

<行動指針>

-Act with Ownership!-

自ら考え 自ら行動

最後までやり抜く

より速く、より早く 結果で示す

 

当社は、2022年2月24日に公表した2022年度から2024年度の3か年を対象とする中期経営計画「Athletes Kasai 24+」に基づき企業価値の向上を目指してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う主要販売先OEMの減産や生産の不安定化等の外部環境の変化により当該中期経営計画は達成が困難となっていることを踏まえ、近時の経営環境の変化に迅速に対応し、外部環境の実態に即した事業戦略のもとに当社の総力を最大限にすべく、新たな中長期的な経営戦略を現在策定中であります。

 

 

 

(2) 当社グループを取り巻く経営環境

<企業構造>

当社グループは、自動車分野を事業領域と位置づけ、研究開発・生産技術開発・営業活動を担っている当社を中心に、世界各国において製造・販売を行う各事業会社で構成されております。各事業会社は、それぞれの国において、得意先への納入体制を確立し、自律した形で事業運営を行っております。

 

事業を行う市場の状況

当社グループの事業領域である自動車業界では、企業間の競争が世界規模でますます激しくなっております。世界的な半導体の供給問題は緩和されたものの、原材料、エネルギー価格の高騰、人件費上昇等により、市場の回復は緩やかなものになり、コロナ前の水準に戻るにはやや時間を要するものと予想されます。    

このような経済環境の中、市場の回復は見通しにくい状況にありますが、当社では更なる発展を目指して、経営基盤の強化を進めているところであります。

 

主要製品・サービスの内容

当社の主力事業は、ドアトリム・ルーフトリムをはじめとする自動車内装トリムシステム部品の企画・開発・生産であります。当社は独立系部品メーカーとして、全自動車メーカー(OEM)に対しビジネスの門戸を拡げ、高級ブランド車から軽自動車、商用車に至る幅広い得意先ニーズにお応えするために、企画・開発・設計・実験、そして生産に至る一貫した体制で高品質、低コストの製品づくりを追求しております。

 

顧客基盤

主得意先は、日本の自動車メーカーであります。自動車メーカー各社の海外現地生産に追従し、当社は1986年(昭和61年)の北米を皮切りに、積極的な海外展開を進めてまいりました。近年、飛躍的な成長を遂げている中国やアジア諸国においてもすでに供給体制を構築しており、全世界にネットワークを確立しております。製品の現地開発・生産を進めるとともに、非進出国における現地部品メーカーとの技術援助契約の締結、そしてこれらを統括管理するワールドワイドな経営の確立にも努め、グローバルな競争力強化を図っております。

 

<競争優位性>

当社は内外装トリムシステムサプライヤーとして、キャビントリム・ラゲッジトリム・防音部品など取扱製品の性能向上に取り組むとともに、車室全体からの視点で、「環境」「安全」「魅力/快適」の3つのテーマで次世代自動車の開発を支える製品・技術開発を進め、未来を先取りする付加価値の高い製品づくりに取り組んでおります。当社は世界各地に生産拠点があり、それぞれの地域や得意先に対応するための開発機能を持っております。製品設計から制作までを一貫して行う開発体制と、お客様にご満足いただける製品を提供するためのグローバルに統一・強化された生産体制で、自動車内外装部品の新しい価値を創造する製品を提供してまいります。

 

<販売網>

当社グループは高い技術力とともに、最高の品質と価格競争力をもった製品をグローバルに供給するために、国内はもとより、世界11か国に所在する子会社等を通じて販売網を確立しております。

 

(3) 会社の対処すべき課題

当社グループは、販売先OEMの減産や生産の不安定化等の厳しい環境変化に直面した結果、2021年3月期以降は売上高が大幅に減少し固定費の負担も大きくなり、3期連続で大幅な営業損失を計上しましたが、2024年3月期につきましては、OEMからの数量が微増となり、4期ぶりに営業利益を黒字化しました。

今後の見通しにつきましては、足元では半導体不足影響の緩和等に伴い回復基調ではあるものの、引続き原材料・エネルギー価格の高止まりや賃金上昇の影響等により、厳しい外部環境が継続すると予想されます。

 このような経営環境下、グループの収益力向上及び財務体質の改善・強化を図り、安定した経営基盤を築くべく、 北米地域を中心とした事業改革の継続や不採算事業の撤退等も含めた拠点再編などの抜本的な経営再建策を策定し、実行に取組んでおります。その結果、足元では着実に諸施策の効果が発現し、業績の改善が進んでおります。

経営体制につきましても、日産自動車株式会社を割当先とする第三者割当の方法による優先株式の発行(以下、「本第三者割当増資」といいます。)に係る払込み完了を条件として、日産自動車株式会社が指名する者2名が当社取締役に就任予定です。このうち1名は当社の代表取締役兼CEOに、他の1名は、製造部門を担当する取締役に就任予定です。

また、2024年6月27日開催の当社第93回定時株主総会において、株式会社りそな銀行が指名する者1名が当社取締役に選任され、就任しております。当該取締役は当社のCFO(取締役企画本部本部長)に就任しております。

経営体制の刷新を図り、事業構造改革への取組みを更に加速し、経営再建の早期達成に邁進していく所存でございます。

 

なお、2025年3月期の連結業績予想を以下のとおり見込んでおります。為替レートにつきましては、1米ドル145円を想定しております。

(連結業績予想)

売上高                          2,200億円

営業利益                           48億円

経常利益                           20億円

親会社株主に帰属する当期純損失   △15億円

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

KASAIグループは、環境にやさしい製品開発に取り組むことをグループ経営の重要な課題と位置付け、代表取締役を筆頭に会社を挙げて、企業活動における環境負荷を低減するための活動に取り組んでいます。 

当社ホームページ(https://www.kasai.co.jp/sustainability/sustainability/)においても詳細を掲載しております。


 

これらの重要課題の解決にあたって関連性の強い主管部署を定め、各々に目標を設定して課題解決に取り組んでいます。世界的な情勢や社会の要請、または経営の観点から、特に脱炭素社会の実現・人的資本経営の取り組みを拡充しております。

 

 

●脱炭素社会の実現に向けた取り組み

当社は、「美しい地球を次世代へ、人と環境にやさしいモノづくりを目指して」をスローガンに環境負荷の低い製品の開発を継続的に取り組むことをグループ経営の重要な課題と位置付け、脱炭素社会に向けて環境負荷を低減するための活動に取り組んでいます。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する情報開示の枠組みである「測定基準と目標」・「気候変動が与えるリスクと機会」などを活用して目標を設定し、その目標を達成させるための活動による自社のリスクや機会の抽出・評価を行い、その対応策を事業戦略に反映させていきます。

 

ガバナンス

環境マネジメント推進体制

取締役会の定めた環境保全活動の方針や設定目標を設定します。執行組織として設定された目標を実現するために「経営会議」で環境業務計画の策定・監督、「全社環境会議」で環境業務計画の達成度の評価を行い、「EMS推進会議」で環境業務計画の推進を行います。

 

環境マネジメント推進体制

当社ホームページhttps://www.kasai.co.jp/sustainability/environment/organization/においても詳細を掲載しております。


 

リスク管理

気候変動による経営に与えるインパクトを調査し、インパクトに対するリスクと影響度を評価、更にリスクへの対応策と機会への施策を策定し、環境活動の年次計画・中期計画に取り入れ全社活動で進めています。施策として省エネルギー、産業廃棄物削減、環境負荷の高い化学物質の使用削減等、サステナビリティに係る環境活動の実績を月次で管理し、全社環境会議(1回/6カ月)にて実績報告を行い、環境管理統括責任者判断の下、環境負荷の削減に向け全社で取り組みを進めています。

戦略

気温上昇を1.5℃以内に抑えて脱炭素社会へ移行するシナリオ、および気温上昇が4℃に達するシナリオの2つのシナリオで2030年の社会を想定し、気候変動のリスクと機会を分析しています。その分析を基に事業インパクトを想定しリスクと機会への対応策を策定しました。

シナリオ分析の検討に際しては、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)および国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)等を参照しています。

 

事業インパクトに対するリスクと機会の対応策

当社ホームページ(https://www.kasai.co.jp/sustainability/environment/carbonneutral/)にも本頁の詳細を掲載しております。


 

指標と目標

中期目標

2030年度までにCO2排出量を2019年度比で30%削減(年に2019年度比3%削減)する。

(GHG Scope1,2)

CO2削減のパフォーマンスデータ(2023年度)

河西工業グループ(日本)CO2年間総排出量


 Scope1とScope2の値の合計とは、
四捨五入の関係で必ずしも一致しません。

 


 

 

 

●人的資本経営に関する取り組み

(1) 中核人材の登用等における多様性の確保について

当社は、社内における人材の多様性を確保し、多様化する顧客ニーズに対応すべく、国籍・性別・年齢・学歴を問わず、人材採用を継続的に進めており、グローバルで活躍できる高度な専門スキルを有する社員を育成するための教育体系を整え、一人ひとりがキャリアを築けるよう取り組んでおります。

 

 <女性の管理職への登用>

当社グループは、女性活躍推進を積極的に行っており、近年、女性管理職比率も向上し、様々な場で重要な役割を担っており、多数活躍しています。今後とも能力ある女性を積極的に管理職に登用し、中長期的な女性管理職比率の更なる向上を目指し、2026年3月期までに当社の女性管理職比率を9%に向上させることを目標として掲げています。

女性管理職比率の詳細については「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

 <外国人の管理職への登用>

当社グループでは、毎年国籍を問わない多国籍な人材採用を継続的に進めてきており、当社グループを支える海外事業会社においては、事業運営の中核を担う外国人管理職が多数活躍しております。今後も海外拠点での現地外国人の積極的な人材採用を進めてまいります。

 <中途採用者の管理職への登用>

当社は、人材の多様性を強化する方針のもと、現在、当社管理職における中途採用者の割合は50%を占めております。現在の割合の維持を目標とし、今後も引き続き、当社の成長を促進させるために必要な多様性を確保するため、中途採用を進めてまいります。

 

(2) 人的資本への投資等

当社は、様々な教育・研修などのサポートプログラムを整え、一人ひとりがキャリアを築けるよう人的資本強化に努めており、全社員を対象とした階層別研修や語学教育、専門スキルを磨く職種ごとの教育等を下記体系図のように整備し、実行しております。

当社ホームページ(http://recruit.kasai.co.jp/education/)においても詳細を掲載しております。


3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況等

当社グループの連結売上高は、今日までの積極的な海外展開と得意先の海外生産のシフトにより、その海外売上比率は72.6%と高い水準にあります。したがって、当社グループの自動車関連製品の需要は、進出先の国及び地域の経済状況の影響を受けます。特に北米地域の売上高は49.3%と連結売上高に占める割合が高く、同地域の自動車市場の景気動向と需要変動が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、北米地域のほか、欧州、アジア地域、を含めたバランスの取れた経営体制を目指してまいります。

 

(2)グローバル展開

当社グループは、前述のとおり海外売上比率は72.6%と高い水準にあります。そのため、海外生産拠点に予期しない政治・経済の不安定化、法律又は税制の変更、或いはテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等により事業の遂行に問題が生じる可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)特定の取引先への依存

当社グループの現在の主な販売先は、日産自動車㈱グループと本田技研工業㈱グループであり、当連結会計年度における連結売上高に占める割合は72.4%となっております。当社グループは、両社の自動車販売動向が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、両グループとの取引関係を維持発展させつつ、販売先の多様化を推進し、安定した事業運営を目指してまいります。

 

(4)為替レートの変動

当社グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度で72.6%(前連結会計年度74.1%)となっており、為替相場の影響を受けやすい状況になっております。当社グループの想定を超えた為替レートの変動が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループの想定を超えた為替レートの変動に備え、各地域において現地通貨による取引・決済等を進めてまいります。

 

(5)製品の欠陥・品質

当社グループは、予期せぬ製品の欠陥や品質面の不備が発生した場合、その欠陥や不備の内容によっては多額のコストが発生したり、当社グループの評価が低下したりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格(IATF16949)を国内・海外拠点において取得し、グローバルで品質保証体制の強化に努めております。このシステムを継続的に実践し、製品品質の安定と向上を図るために、マネジメントシステムの定期的な監査と経営層による診断を実施しております。

 

(6)原材料等の供給不足・供給価格の高騰

当社グループの事業にとっては、十分な品質の原材料、部品、サービス等を調達することが不可欠であります。しかし、供給業者での不慮の事故、震災などにより供給が中断した場合や不安定となった場合、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定しておりますが、原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰する可能性があり、この場合には当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。

当社グループにおきましては、不測の事態に備え、複数の供給網を構築し、原材料等の供給不足への対策を講じております。

 

(7)自然災害、新型コロナウイルス感染症等による異常事態

日本各地で発生している大規模地震や台風、米国で発生した大寒波などの自然災害、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等は、経済活動に大きな影響を及ぼしております。これら異常事態が発生した場合、一時的な操業停止や減産対応、サプライチェーンへの影響による製品部材等の調達遅延や価格高騰、経済活動の停滞による製品やサービスの受注・売上の減少など、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報セキュリティ

当社グループは、製品の開発、生産、販売など、事業活動において情報技術やネットワーク、システムを利用しております。これらの情報技術やネットワーク、システムには安全な対策が施されておりますが、サイバーテロ、不正アクセス、コンピューターウイルスへの感染等により、情報システム障害による業務の停止、重要なデータの喪失、機密情報や個人情報の漏洩などが発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、一般的なセキュリティ対策とされる外部からの不正アクセスを防ぐファイヤーウォールの設置、リアルタイムでのウイルスチェックによる検疫、サーバーやネットワーク回線の冗長化に加えクラウドサービスの利用促進、サイバー攻撃を考慮したバックアップシステムの確立、生産系とOA系のネットワークの論理的分離の対策により不測の事態による業務停止リスク軽減など取引先への影響極小化に向けた各種の対策を講じております。

 

(9)価格競争

自動車業界の価格競争の激化を受け、自動車メーカーから部品メーカーに対する価格引下げ要請は強まってきております。当社グループの製品は、価格的、品質的、技術的に十分競争力を有していると考えておりますが、価格競争の激化による競合先の低販売価格に対して、販売を維持、拡大し、収益性を保つことができなくなる可能性があります。この場合には、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。

当社グループでは、ユーザー及び自動車メーカー各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進め、競争力確保に努めてまいります。

 

(10)有利子負債依存度、支払利息の増加

当社グループは、設備投資、システム投資及び研究開発投資等のための資金調達を主に金融機関からの借入金に依存しており、当連結会計年度末現在における有利子負債依存度(有利子負債額/総資産額比率)は52.3%であります。適切な設備投資計画の策定や資産の効率化を図ることで、これ以上有利子負債依存度を高めないように取り組んでおります。また、各取引金融機関と資金調達の方法・金額・条件・時期について協議を継続しております。

今後借入金利の上昇により支払利息が増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、2022年5月26日にシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約を締結し、また、2022年9月30日にコミットメントライン契約を締結いたしました。

 

第89期

2020年3月期

第90期

2021年3月期

第91期

2022年3月期

第92期

2023年3月期

第93期

2024年3月期

総資産額 (百万円)

150,692

145,327

141,461

148,315

142,045

有利子負債額 (百万円)

47,136

60,393

71,124

79,835

74,319

有利子負債依存度 (%)

31.3

41.6

50.3

53.8

52.3

売上高 (百万円)

204,632

152,755

146,375

175,440

214,315

支払利息 (百万円)

515

550

582

1,191

1,921

支払利息/売上高 (%)

0.3

0.4

0.4

0.7

0.9

 

 

 

(11)希薄化及び流動性に関するリスク

2024年5月9日開催の当社取締役会において、日産自動車に対して第三者割当の方法によりA種優先株式の発行を行うことを決議いたしました(以下「本第三者割当増資」といいます。)。当該A種優先株式には当社普通株式と同等の議決権が付されており、2024年3月31日現在の当社発行済株式総数に係る議決権の数を分母とする希薄化率は15.01%となります。また、A種優先株式には、発行後原則として1年経過後に行使可能な普通株式を対価とする取得請求権が付されており、A種優先株式の累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額がいずれも存在しない前提でA種優先株式全てについて当初取得価額をもって当社普通株式に転換された場合、2024年3月31日現在の当社発行済株式総数に係る議決権の数を分母とする希薄化率は300.13%となります。したがって、A種優先株式の発行に伴い、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化する可能性があり、当社株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、全てのA種優先株式が一括して普通株式に転換された場合には、株式会社東京証券取引所がスタンダード市場の上場維持基準として定める流通株式比率25%以上の水準に抵触する可能性があります。また、この場合には、当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)大株主との関係に関するリスク

A種優先株式には当社普通株式と同等の議決権が付されており、発行後の総議決権数に占める割合は13.05%となります。また、A種優先株式には普通株式を対価とする取得請求権が付されており、全てのA種優先株式が一括して普通株式に転換された場合には、当社の議決権の3分の2を超える議決権を有する支配株主となります。さらに、日産自動車との投資契約においては、当社の重要事項について日産自動車の事前の承諾を要することとされており、当社の意思決定に対し影響力を持つことになります。
 また、日産自動車は、A種優先株式発行後2028年3月31日までは、原則としてA種優先株式(A種優先株式の取得請求権の行使により当社普通株式を取得した場合には、当該普通株式)を譲渡することができませんが、かかる譲渡制限期間経過後、日産自動車が当社株式の一部又は全部を売却する可能性があり、市場で売却した場合には、売却の規模等によっては、当社株式の需給関係及び市場価格に影響を与える可能性があります。
 さらに、本第三者割当増資の実施を条件として、日産自動車から2名の取締役が派遣される見込みとなっております。当社は、日産自動車との人的関係を維持する方針ではありますが、何らかの要因により日産自動車の方針等の変更が生じ、人的関係が見直された場合には、当社の経営・事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
 

(13)金銭を対価とする取得請求権に関するリスク

当種優先株式においては年率7.0%の優先配当条項(複利、累積型)が定められており、当該配当が行われなかった場合には翌期に複利で累積することとなります。また、A種優先株式には、2028年4月1日以降行使可能な金銭を対価とする取得請求権が付されており、その対価の金額はA種優先株式の払込金額相当額並びにA種累積未払配当金相当額及びA種日割未払優先配当金額の合計額となります。したがって、A種優先株主が金銭を対価とする取得請求権を行使した場合、一括して上記の金銭の支払いを行う必要があり、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、前連結会計年度において3期連続で営業損失を計上しており、財務制限条項に抵触し、また、取引金融機関からの支援継続に関する具体的な方法・条件等については未確定であったこと等から「継続企業の前提に関する注記」を記載しておりました。

当連結会計年度においては、当社グループは、4期ぶりに営業利益の黒字化を達成したものの、①財務制限条項への抵触が続いており、金融機関から期限の利益喪失請求等の権利行使の猶予を受けている状況にあること、②前連結会計年度まで3期連続で営業損失を計上した結果、自己資本が毀損しており、収益力向上、財務体質の改善・強化、安定した経営基盤の構築及び安定的な資金繰りの確保を求められていること、③北米事業の再建に取組んだ結果、赤字幅が大幅に縮小したものの、未だ改善途上にあること、④当連結会計年度の黒字化には販売先OEMによる一定の支援が含まれていることから、現時点では依然として継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。

これに対して、当社グループでは当該事象又は状況を改善、解消すべく、2023年1月以降、全社を挙げて以下の様々な経営改革に取組んできた結果、その改善効果が着実に実績に現れてきております。

 

(1) グループの収益力向上

① 当連結会計年度を通じて、取引先への販売価格の改定交渉、材料の市況変動による高騰や労務費高騰の販売価格への転嫁、生産現場における生産ロスの圧縮、人員体制の最適化等による人件費抑制の継続などの経営改革を断行し、グループ収益力の向上を図って参りました。

特に課題である北米拠点においては、上記取組みに加えて、主要販売先OEMのご協力による生産現場改善や、間接部門における事務のメキシコへの集約によるコストダウンなどの経営改革を着実に実行しております。

また欧州拠点においても、拠点再編・不採算事業の撤退・間接部門の共有化等も含めた収益改善施策の具体化を進めております。

 

(2) 財務体質の改善・強化と安定した経営基盤の構築

当社グループの安定的な事業運営の継続、自己資本の充実による財務体質の改善・強化及び経営再建を確実とするための抜本的な構造改革施策の実施に必要な資金を確保することを目的として、2024年5月9日開催の当社取締役会において本第三者割当増資による総額60億円の資金調達を決定し、同日に日産自動車株式会社との間で投資契約を締結しております。また、2024年6月27日開催の当社第93回定時株主総会において本第三者割当増資に係る議案の承認を得ております。

 

(3) 安定的な資金繰りの確保

① 株式会社りそな銀行は、日産自動車株式会社による出資の条件とされているデットデットスワップ(以下、「本DDS」といいます。)を実施いたします。本DDSは、当社の既存借入金(総額約176億円)の一部(総額60億円)について2033年3月31日を返済期限とする資本性劣後ローンへ転換するものであり、当社の資金繰りの安定化に大きく寄与するものです。本DDSに関して、2024年5月9日に当社は株式会社りそな銀行との間で劣後特約付準金銭消費貸借契約書を締結しております。

  全取引金融機関とは、引続き、定期的に協議を行う等の緊密な連携を図っており、財務制限条項への抵触を理由とする期限の利益喪失請求等の権利行使の猶予にご同意頂いております。更に全取引金融機関とは新たなコベナンツ条件ならびに返済スケジュール下において2028年3月までの安定的な資金供給を約束頂く「債権者間協定書」につき、既に同意を頂いております。上記(2)①の日産自動車株式会社の出資手続の完了後に、効力発生することとなります。

コミットメントライン契約を継続いただくと共に、投資案件の厳選及び抑制等により、事業及び運転資金については、安定的な確保を維持できております。

 

以上の通り、経営改革への取組みが奏功し、グループの収益力向上、財務体質の改善・強化と安定した経営基盤の構築ならびに安定的な資金繰りの確保のすべての面において、確実に成果が表れております。また将来の想定外の外部環境変化に対しても、本第三者割当増資及び本DDSの実施、並びに両社が指名する取締役の派遣等により、当社に対する万全な支援体制が構築されております。

以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められなくなったものと判断し、当連結会計年度において、「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消いたしました。

 

なお、2024年5月9日発表の本第三者割当増資及び本DDSについては、原則として9月2日(*)までに手続きを完了することを合意しております。また債権者間協定書に基づき既存借入金の条件変更につきましても、同日に効力発生することとなっております。

 

(*)本第三者割当増資は関連する競争当局(中国、ドイツ、メキシコ)の企業結合規制に基づき株式取得が可能となった後に払込みがなされる予定であることを踏まえ、競争法上の届出又は認可の取得に要すると想定される時間を考慮して設定しております。既に中国及びドイツにおける許可は取得済みであり、メキシコについても、当社といたしましては競争当局の認可の障害となるような実質的な問題は存在しないと認識しております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)  経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

世界経済は中国の景気減速と欧米の高金利の影響により減速感を強めましたが、欧米でのインフレ鈍化やアセアンの先進国向け外需回復により緩やかな回復となりました。

わが国の経済も、高水準の企業収益が賃金・設備投資に回ることで経済活動は回復基調である一方、雇用報酬の伸び悩みや物価高影響等で回復ペースは緩やかなものになりました。こうした中、当社グループの関連する自動車業界も、半導体不足は緩和され供給制約は解消するものの、インフレ継続等による販売の減速及び国内では認証不正等に伴う稼働停止影響もあり、緩やかな回復にとどまりました。

 

a.財政状態

総資産は1,420億45百万円と前連結会計年度末に比べ、62億69百万円の減少(△4.2%)となりました。

負債は1,196億9百万円と前連結会計年度末に比べ、75億99百万円の減少(△6.0%)となりました。

純資産は224億36百万円と前連結会計年度末に比べ、13億30百万円の増加(+6.3%)となりました。

 

b.経営成績

売上高は2,143億15百万円と前連結会計年度に比べ388億75百万円(+22.2%)の増収となりました。営業利益は22億48百万円(前連結会計年度は138億4百万円の営業損失)、経常利益は30億71百万円(前連結会計年度131億40百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は3億13百万円前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失131億33百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 (日本)

売上高は585億7百万円前連結会計年度に比べ129億83百万円(+28.5%)の増収となり、セグメント利益は40億41百万円前連結会計年度に比べ27億29百万円の増益となりました。

 

(北米)

売上高は1,059億12百万円前連結会計年度に比べ237億35百万円(+28.9%)の増収となり、セグメント損失は51億9百万円前連結会計年度に比べ128億31百万円の損失の減少となりました。

 

(欧州)

売上高は227億61百万円前連結会計年度に比べ36億88百万円(+19.3%)の増収となり、セグメント損失は9億58百万円前連結会計年度に比べ1億24百万円の損失の減少となりました。

 

(アジア)

売上高は271億33百万円前連結会計年度に比べ15億32百万円(△5.3%)の減収となり、セグメント利益は38億47百万円前連結会計年度に比べ73百万円の減益となりました。

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、218億99百万円(前連結会計年度末比87億85百万円の減少)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益30億32百万円、減価償却費72億69百万円等による資金の増加があり、一方で、売上債権の増加63億32百万円、前受金の減少36億60百万円等により、△5億47百万円の支出(前連結会計年度は18億98百万円の支出)となりました

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入33億4百万円、投資有価証券の売却による収入14億円、有形固定資産の取得による支出35億73百万円等により、8億71百万円の収入(前連結会計年度は27億41百万円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少9億19百万円、長期借入れによる収入2億77百万円、長期借入金の返済による支出81億98百万円、非支配株主への配当金の支払額11億65百万円、リース債務の返済による支出7億35百万円等により、△107億42百万円の支出(前連結会計年度は23億43百万円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

58,117

+27.0

北米

105,649

+28.3

欧州

22,967

+21.1

アジア

26,830

△6.7

合計

213,565

+21.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によるものであります。

3 当連結会計年度において、日本セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる増加によるものであります。

4 当連結会計年度において、北米セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。

5 当連結会計年度において、欧州セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において半導体供給不足及び欧州地域の工場の閉鎖並びに拠点解散に伴う減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加であります。

 

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

61,718

+31.5

7,623

+102.6

北米

106,182

+23.7

8,388

+7.7

欧州

23,011

+18.8

1,651

+15.4

アジア

27,443

△2.5

1,919

+46.3

合計

218,355

+21.1

19,583

+37.0

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 当連結会計年度において、日本セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。

3 当連結会計年度において、北米セグメントの受注高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。

4 当連結会計年度において、欧州セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において半導体供給不足及び欧州地域の工場の閉鎖並びに拠点解散に伴う減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加であります。

5 当連結会計年度において、アジアセグメントの受注残高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度の中国地域におきまして新型コロナウイルス感染症が再拡大した影響に伴う得意先減産がありましたが、当連結会計年度の中国地域の当社受注車種の増産により反動増加したこと、またアセアン地域の生産台数が回復傾向にあることによるものであります。

 

 

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

58,507

+28.5

北米

105,912

+28.9

欧州

22,761

+19.3

アジア

27,133

△5.3

合計

214,315

+22.2

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 当連結会計年度において、日本セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。

3 当連結会計年度において、北米セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。

4 当連結会計年度において、欧州セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において半導体供給不足及び欧州地域の工場の閉鎖並びに拠点解散に伴う減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加であります。

5 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日産自動車株式会社

91,111

51.9

114,055

53.2

本田技研工業株式会社

38,123

21.7

41,023

19.1

 

6 上記の日産自動車株式会社の販売高には、同社の関係会社(NISSAN NORTH AMERICA,INC.、NISSAN MEXICANA S.A. de C.V.、NISSAN MOTOR MANUFACTURING (UK) LTD.、日産車体株式会社、東風日産乗用車公司、鄭州日産汽車有限公司、日産 (中国) 投資有限公司、Nissan Motor (Thailand) Co.,Ltd.、Renault Nissan AutomotiveIndia Private Limitedの9社)向けの販売高を含めております。

7 上記の本田技研工業株式会社の販売高には、同社の子会社(Honda of America Mfg.,Inc.、Honda Canada Inc.、Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.、Honda Manufacturing of Alabama,LLC、Honda Manufacturing of Indiana,LLC、Honda de Mexico.S.A.de C.V.、株式会社本田技術研究所、本田汽車用品(広東)有限公司、広汽本田汽車有限公司、東風本田汽車有限公司、Honda Automobile (Thailand) Co.,Ltd.、P.T. Honda Prospect Motorの12社)向けの販売高を含めております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
 (a)財政状態の分析
(資産の部)

総資産は1,420億45百万円と前連結会計年度末に比べ、62億69百万円の減少(△4.2%)となりました。この主な要因は、現金及び預金が87億56百万円減少したことによるものであります。

(負債の部)

負債は1,196億9百万円と前連結会計年度末に比べ、75億99百万円の減少(△6.0%)となりました。この主な要因は、長期借入金が117億50百万円減少、短期借入金が49億70百万円増加、支払手形及び買掛金が16億58百万円増加、流動負債その他が35億94百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産の部)

純資産は224億36百万円と前連結会計年度末に比べ、13億30百万円の増加(+6.3%)となりました。この主な要因は、退職給付に係る調整累計額が12億60百万円増加、為替換算調整勘定が6億7百万円増加したものの、利益剰余金が3億13百万円減少したことによるものであります。

 

 

(b)経営成績の分析

(前連結会計年度と当連結会計年度の増減分析)

当連結会計年度の売上高は、日本地域、北米地域、アセアン地域における主要得意先の生産台数の増加に加え円安による為替影響により、2,143億15百万円と前連結会計年度に比べ388億75百万円22.2%)の増収となりました。営業利益は、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により22億48百万円(前連結会計年度は、営業損失138億4百万円)となり、経常利益は30億71百万円(前連結会計年度は、経常損失131億40百万円)となりました。なお、前連結会計年度で計上した事業整理損を当連結会計年度では計上していないこと、連結子会社において収益性の低下に伴う減損損失が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は3億13百万円前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失131億33百万円)となりました。

 

(計画値と実績値の増減分析)

売上高は主要得意先の生産台数等の増加、改善や円安影響などにより予想値に比べ7.2%増となりました。営業利益は 取引先への販売価格の改定交渉、材料の市況変動による高騰や労務費高騰の販売価格への転嫁、生産現場における生産ロスの圧縮、人員体制の最適化等による人件費抑制の継続などの経営改革の断行により、予想値の2倍を超える約22億円の黒字を達成し、経常利益は大幅な円安による本業外での為替差益を計上したことなどにより営業利益の増加額を上回る約30億円の黒字となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、事業再建に伴う構造改革費用や黒字子会社の税金支払等により若干の赤字が残りました。

 

2024年3月期
 (計画)

2024年3月期
 (実績)

2024年3月期
(計画比)

売上高

200,000百万円

214,315百万円

14,315百万円増  ( 7.2%増)

営業利益

1,000百万円

2,248百万円

 1,248百万円増  (124.8%増)

経常利益

1,500百万円

3,071百万円

1,571百万円増  (104.7%増)

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△1,000百万円

△313百万円

687百万円増   ( - )

 

(注)  計画値は、2023年11月14日付け「通期連結業績予想に関するお知らせ」にて公表した数値であります。

 

 

(c)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(d)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。

 

(e)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

(日本)

半導体供給不足、コロナ禍からの回復により主要得意先の生産も堅調に推移し、売上高は585億7百万円前連結会計年度比129億83百万円の増収+28.5%)となり、セグメント利益は40億41百万円と前連結会計年度比27億29百万円の増益+208.1%)となりました。

(北米)

主要得意先の生産台数の増加や為替の影響により、売上高は1,059億12百万円前連結会計年度比237億35百万円の増収+28.9%)となりました。一方で、原材料費の高騰は落ち着きをみせ、労務費・物流費についても改善活動の効果もあり、セグメント損失は51億9百万円(前連結会計年度はセグメント損失179億40百万円)となりました。

(欧州)

得意先の生産は下期にかけてやや弱含みながら半導体供給不足は解消し、売上高は227億61百万円と前連結会計年度比36億88百万円の増収+19.3%)となり、セグメント損失は9億58百万円(前連結会計年度はセグメント損失10億82百万円)となりました。

(アジア)

アセアン地域は生産台数回復傾向にある一方、中国地域は期初からの主要得意先の販売不振が回復遅れに影響し、売上高は271億33百万円と前連結会計年度比15億32百万円の減収△5.3%)となり、セグメント利益は38億47百万円と前連結会計年度比73百万円の減益△1.9%)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(b)当社グループの資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要は、材料費、経費、労務費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規車種の生産準備に係わる金型、生産設備、新工場の増新設及び設備の更新等の投資資金であります。

当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としており、これら資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金を充当しております。また、国内連結子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入、海外連結子会社についても当社がグループ資金を一元管理することで資金の効率化を図っております。さらに、当社は適時に資金繰り計画を作成・更新し、手元流動性を検証することなどにより流動性のリスクを管理しています。

当社は、2022年5月に、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性を高めることを目的に総額303億円のシンジケートローン契約を締結、及び総額30億円のコミットメントライン契約を締結しております。さらに2022年9月には、新たに45億円のコミットメントライン契約を締結しております。このように、急速な外部環境の変化に対応するため手元流動性を高め、緊急時の資金対応に備えております。

なお、当連結会計年度の末日現在においてコミットメントライン契約の未使用枠を合計75億円保持しております。

 

(c)資金配分について

当社グループ全体として得られた資金は、設備投資、株主還元、手元資金に振り分けております。設備投資については、経営戦略を踏まえた投資意義や投資資金の回収可能性を検討の上、投資の可否を判断しております。また、業績に応じた株主還元を実施することを基本方針としており、配当政策については、継続的かつ安定的な配当の維持を目指しております。手元資金については、適切な事業環境に応じて一定の水準に抑えることでグループ全体の資金効率を高めていくよう努めております。

なお、翌連結会計年度の設備投資予定額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(シンジケートローン契約及びコミットメントライン契約に係る変更契約の締結)

当社は、2022年5月26日に総額303億円のシンジケートローン契約及び株式会社りそな銀行を貸付人とした総額30億円のコミットメントライン契約を締結しております。その後、2024年5月28日に変更契約を締結したことにより、返済期日及びコミットメント期日に以下の変更が生じています。

 

1.シンジケートローン契約に係る変更契約の概要

2024年5月28日付の変更契約の締結に伴い、シンジケートローンの返済期日が2024年5月31日から2024年9月2日に変更されております。

 

2.コミットメントライン契約に係る変更契約の概要

2024年5月28日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日が2024年5月31日から2024年9月2日に変更されております。

 

(コミットメントライン契約に係る変更契約の締結)

当社は、2022年9月30日に株式会社りそな銀行を貸付人とした45億円のコミットメントライン契約を締結しております。その後、2024年5月28日に変更契約を締結したことにより、コミットメント期日に以下の変更が生じています。

 

1.コミットメントライン契約に係る変更契約の概要

2024年5月28日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日が2024年5月28日から2024年9月2日に変更されております。

 

 

 

(第三者割当による優先株式の発行に係る投資契約の締結)

当社は、2024年5月9日付けで、日産自動車株式会社(以下「日産自動車」といいます。)との間で、第三者割当の方法により日産自動車に対して総額6,000,000,000円のA種優先株式(以下「A種優先株式」といいます。)を発行すること(以下「本第三者割当増資」といいます。)等に関して投資契約(以下「本投資契約」といいます。)を締結しました。

なお、本第三者割当増資の詳細は、「連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」もご参照ください。

1.本投資契約の目的、意思決定に至る過程及び企業統治に及ぼす影響

当社グループは、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症、及び世界的な半導体不足の影響により、主要販売先OEMの減産や生産の不安定化等の厳しい環境変化に直面しております。その結果、2020年度以降は売上高が大幅に減少し、固定費の負担が大きくなったことから大幅な営業損失を計上し、2023年3月期には、13,804百万円の営業損失を計上しました。これに伴い、財務の健全性を示す自己資本比率は2023年9月末時点で8.5%と2019年12月末時点の38.8%から低下するに至りました。

このような状況において、当社グループは当該事象又は状況を改善・解消すべく、収益力向上及び財務体質の改善・強化を図り、安定した経営基盤を築くために、さまざまな対応策を実施しております。これらの取組みは一定の成果を上げているものの、当社グループとしては、中長期的な企業価値向上を実現するためには、不採算拠点の再編を含む拠点の最適化による固定費の抜本的な削減等の早期の構造改革の断行が不可欠であると考えております。当社グループは、このような状況において、当社グループの安定的な事業運営を継続し財務体質の抜本的な改善を図りつつ経営改革を実行していくためには、スポンサーからの早期の資本性資金の調達が必要であると判断しました。

当社グループは2022年11月以降、スポンサー候補との接触を開始しました。また、フィナンシャルアドバイザーを起用した上で、当社グループとのシナジーが見込める事業会社28社、及び事業規模等の観点から当社グループへの出資が検討可能であると想定されるファンド21社をリストアップし、スポンサー支援の打診を行いました。一方で、各スポンサー候補としては、当社グループの借入金残高が収益力対比で過大であると判断し、複数のスポンサー候補から、借入金の大幅な軽減を前提としない限り本格的な検討は難しいという趣旨の回答が得られました。

こうした状況の中、当社グループは最大の販売先OEMである日産自動車に対して、スポンサー支援の打診を行い、協議を継続してまいりました。その結果、今般協議がまとまり、2024年5月9日開催の取締役会において、日産自動車との間で本投資契約を締結し、第三者割当の方法により日産自動車に対して総額60億円のA種優先株式を発行することを決議いたしました。本投資契約を通じて日産自動車との連携を深めつつ、早期の経営再建を実現することで、当社グループの企業価値向上を実現してまいります。併せて当社といたしましては、日産自動車による当社経営への寄与によりガバナンス体制の向上が図れるものと考えております。

2.本投資契約の内容

(1)取締役の指名等に関する合意内容

(2)当社は日産自動車との間で、当社が取締役(監査等委員である取締役を含みます。)の定数を15名から10名以内に変更すること、日産自動車が、(i)日産自動車が完全希釈化ベースで10%以上の議決権を保有する限り、当社の取締役候補者2名を指名する権利を、(ii)日産自動車が完全希釈化ベースで5%以上の議決権を保有する限り、当社の取締役候補者1名を指名する権利を有することを合意しております。なお、当社には、日産自動車が指名する取締役候補者が株主総会において選任されるよう最大限努力する義務が課されております。上記(i)の場合において、日産自動車が指名する取締役候補者2名が当社取締役に選任されたとき、2名のうち、1名は当社の代表者取締役兼CEOに、他の1名は、製造部門を担当する取締役となります。上記(ii)の場合において、日産自動車が指名する取締役候補者が当社取締役に選任されたとき、当該取締役は、製造部門又は当社及び日産自動車の間で合意する他の部門を担当する取締役となります。また、当社には、りそな銀行が指名する取締役候補者1名が株主総会において選任されるよう最大限努力する義務が課されており、りそな銀行が指名する取締役候補者1名が当社取締役に選任された場合、当該取締役は当社のCFO(取締役企画本部本部長)となります。事前承諾事由に関する合意内容

当社は日産自動車との間で、日産自動車が完全希釈化ベースで5%以上の議決権を保有する限り、当社グループに関して、日産自動車による事前の承諾なく、以下の事項を行わないことを合意しております。

 定款又はその他重要な組織規程の改訂

 株式等の発行

 剰余金の配当又は自己株式の取得

 負債等の負担、引受け、保証

 資産の売却若しくは処分又は担保権の設定(総額が10億円未満の資産を除きます。)

 10億円を超える設備投資又は資本的支出の実施(本再建計画に記載の事項を除きます。)

 吸収合併、新設合併、組織再編、清算、解散又は倒産手続の決定

 負債等の期限前弁済又はローン契約等の契約条件の変更

 当社の取締役を9名を超えて選任すること

 日産自動車による普通株式対価の取得請求権の行使に必要な相手方の承認又は同意を得ることなく、チェンジオブコントロール条項を含む重要な契約を締結すること

(3)日産自動車の新株引受権

(4)当社は日産自動車との間で、日産自動車が完全希釈化ベースで5%以上の議決権を保有する限り、当社が株式等を新たに発行する場合、日産自動車がかかる株式等について新株引受権を有することを合意しております。譲渡制限

本投資契約において、日産自動車は、2028年3月31日までA種優先株式(A種優先株式の取得請求権の行使により当社普通株式を取得した場合には、当該普通株式)の譲渡が制限される旨が定められております。但し、本投資契約において、日産自動車は、上記譲渡制限期間中であっても、保有する当社株式の全てを日産自動車の連結子会社へ譲渡することが認められております。

 

(劣後特約付準金銭消費貸借契約の締結)

当社は、当社の既存借入金(総額約176億円)の一部(総額60億円)を資本性劣後ローンへ転換することを目的として、2024年5月9日付けで、株式会社りそな銀行(以下「りそな銀行」といいます。)との間で、劣後特約付準金銭消費貸借契約(以下「本劣後特約付準金銭消費貸借契約」といいます。)を締結しました。

本劣後特約付準金銭消費貸借契約の概要は、以下のとおりです。

弁済期

2033年3月31日

利率

年0.5%

期限前弁済

通常借入金債務(※)に係る債権を有する者の全ての同意を得た場合に限り、劣後債務(デットデットスワップ(DDS)の対象となる借入金債務をいう。以下同じ。)の元本の期限前弁済が可能。

劣後特約

当社について破産手続が開始した場合、劣後債務の元利金に係るりそな銀行の当社に対する支払請求権は、破産法第99条第2項の約定劣後破産債権として扱われる。

当社について特別清算手続が開始した場合、劣後債務の元利金に係るりそな銀行の当社に対する支払請求権は、その他の一切の債権(但し、劣後債権(デットデットスワップ(DDS)の対象となる借入金債権をいう。)と同等の条件を付された債権を除く。)に劣後する。

 

※通常借入金債務とは、本劣後特約付準金銭消費貸借契約締結日現在において当社が負担している全ての債務(但し、劣後債務及び劣後債務と同等の条件を付された債務を除きます。)及び再建計画に基づき当社が新たに負担する全ての借入金債務をいいます。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは自動車内装トリム部品の専門メーカーとして、ユーザー及び自動車メーカー各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進めております。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は1,069百万円であり、主に日本で発生したものであります。この他に新車開発及び既存製品の改良等で発生した研究開発関連の費用は3,329百万円であります。

主な成果は次のとおりであります。

2023年4月から2024年3月までの主な活動を報告します。

 

(1)3R(Reduce Reuse Recycle)

 当社は、米国自動車研究センター(CAR)とALTAIRが主催するALTAIR ENLIGHTEN AWARD 2023 サステナブルプルプロセス部門において、奨励賞(Honorable Mention)を受賞しました。自動車産業界で採用されている当社の省資源技術であるハイパピア(Kasai Hi-Papia:通称KHP)について、リサイクル性・サステナビリティが評価されました。

 KHPの6つの利点

✓ リサイクル市場からの再生プラスチックを100%使用可能

✓ 製品端材の再利用を可能とする工程内リサイクル技術

✓ 成形性・剛性・リサイクル性に優れた独自配合によるサステナブル材料

✓ 産業廃棄物ゼロを目指したサステナブル材料

✓ 地域特性にあわせた最適なサステナブルプロセス設計

✓ 最大0.7mmの薄板により射出製品に比べて製品の軽量化を実現

 

(2)製造工程改善

 従来は、実物の製品でシワ発生の判断と対策を行っていましたが、新たなシミュレーション技術でデジタル段階にて表皮シワの発生を予測することが可能になりました。併せて、統計解析を行うことで表皮シワの発生を抑制する造形手法も確立しました。これらにより、不良発生の未然防止を図ることが可能となり、開発スピードの向上にも貢献できます。

 

(3)軽量化技術

 当社は、今までも車両の軽量化に貢献できる技術研鑽を続けてきましたが、新たに薄肉高発泡成形の開発に成功しました。

 これは使用するプラスチック材料の削減と製品性能を両立させる技術で、更なる車両の軽量化、CO2削減へ貢献します。これにより、業界トップレベルの製品軽量化が可能となり、2023年発売の新型車両のフロントドアトリムとスライドドアトリムに採用されました。(従来品比較20%軽量化に貢献)

 

(4)快適製品

 当社は、高性能インシュレータを新開発し、2023年発売の新型車両に採用されました。

 当製品は断熱性・吸音性・遮音性を備えた高性能インシュレータです。当社従来品に対して、約110%の断熱性能、最大約120%の吸音性能を達成しています。また、最大約105%の遮音性能を車両相当で達成しています。更に、素材はPET繊維のみを組み合わせたモノマテリアルとすることで、リサイクルが容易となり、環境に配慮した製品となっています。

 

(5)カーボンニュートラル

 当社は、自社から排出する生産工程端材を使用したリサイクル材を、当社工場内で使用する輸送用コンテナボックスに2024年3月より採用を開始しました。 

 当社ではウレタン天井の生産工程端材を丸ごと粉砕して樹脂に混ぜ、リサイクル材として活用する検討を進めてきました。端材に含まれるガラス繊維は、ポリプロピレン樹脂の強度を底上げする効果があり、またウレタンやPET繊維などの成分により、ポリプロピレン樹脂の使用量を低減することができます。このリサイクル材を使用することにより、材料製造時のCO2発生量を28%削減することが可能です。今後は自動車部品への採用拡大を視野に開発を進めて参ります。