第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

 当社グループは、全社員が共有する理念・行動体系である「Futaba Way」の下、Futaba哲学の「本質之直視」により、事業戦略策定から業務執行全般・モノづくりの現場に至るまで、常に本質を見失うことなく事業を推進することにより、「なくてはならない器材・サービスを創出し世界の発展に貢献する」ことを企業理念としています。

 この理念を実現するために、AIやIoTなどの技術を取り込んだ「モノづくりの進化」、Futabaテクノロジーを進化・融合させた「新製品開発」に注力しています。さらに「モノづくりを基軸としたソリューション」による事業領域の拡大、「市場ニーズ」をダイレクトに商品企画や製造に反映させる取り組みの他、「選択と集中」により成長市場に向けた差別化と効率化を進め、収益性の拡大および継続的な企業価値の向上を図っていきます。

 また、コンプライアンスの徹底による公正で透明性の高い経営を実践するとともに、持続可能な社会の実現を目指し、事業活動に取り組んでいます。

 

(2)経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境は、ウクライナ情勢の長期化などによるエネルギー価格の高騰、欧米での政策金利の引き上げに伴う急激な為替の変動、さらに半導体をはじめとした部材調達難による各製品の納期調整等、複合的な要因から厳しいものになりました。

 このような経営環境の変化を取締役会他、執行役員を含めた経営会議等の場で電子デバイス関連事業および生産器材事業の主要製品ごとに影響を検討し適時対応してきました。

 今後の状況については、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など不安定な国際情勢の下、エネルギー・原材料価格・運送費などの上昇リスクが依然として想定されており、引き続き厳しい経営環境が継続するものと予想されます。

 当社を取り巻く市場環境は、依然不透明な状況が予想されますが、中長期的な市場ニーズでは、コネクテッド、EV化、自動化等の高付加価値化およびサービス、エネルギー、デジタル、インフラ等の領域においてソフトウエア・システム化を駆使した多様なモビリティ活用製品や耐環境製品に加え、検査・監視、生産合理化支援等のニーズが継続することが見込まれます。

 このような状況から、電子機器事業(2025年3月期より従来の「電子デバイス関連事業」から名称を変更)および生産器材事業では、センサーや無線技術を活用した融合商品、IoT機器やサーボ関連機器、UAV関連機器、成形・生産合理化機器等への継続的な需要が見込まれると捉え、タイムリーな市場投入を進めるとともに、持続的な利益創出と成長軌道への変革を進めていきます。

 

(3)中期経営計画と目標とする経営指標

当社グループは、企業ビジョン「Futabaテクノロジーを進化させ、世界で躍進するリーディングカンパニーを目指します」の実現に向けて、中期的な戦略、方針を示すために、3カ年の中期経営計画を策定しています。

① 単年度の事業再生計画「Re-Futaba–考動(決意と約束)–」の振り返り

当社グループは、2020年8月5日に発表した中期経営計画「Futaba Innovation Plan 2023」の経営目標が大きく未達となったことから、2023年度に予定していた中期経営計画の更新を見送り、単年度の事業再生計画「Re-Futaba–考動(決意と約束)–」を策定しました。本計画において、構造改革を断行し、持続的な成長体制への立て直しを進めてきました。

構造改革では、アウトセルタッチセンサー事業の事業終息および有機ELディスプレイ事業の自社生産終了を決定し、2024年度の生産終了に向けた活動を進めました。国内外の生産・販売拠点では、蛍光表示管の製造子会社および電子デバイス関連製品の販売子会社の解散を決定し、生産器材事業においては明石精機工場の閉鎖および中国生産拠点の再編を行いました。国内事業全体では、縮小した事業規模に見合った人員の適正化を進めるため、特別転進支援制度を実施しました。

持続可能な成長体制への立て直しでは、変動費比率の改善は生産工程の自動化・省人化による工数削減や在庫削減が計画に達しなかったため予定を下回る結果となりましたが、固定費の削減は構造改革に加え固定費の統制等のコスト削減により計画以上に進展しました。

これらの結果として、連結業績としては通期目標の通りコストを削減し、赤字幅を縮小しました。

 

② 次期中期経営計画と目標とする経営指標について

前述した構造改革を完遂させ、さらに盤石な事業基盤の構築に向けて、持続的に利益を創出する成長軌道への変革を進めるべく、2024年4月から2027年3月までの中期経営計画を策定いたしました。

構造改革については、2024年度にアウトセルタッチセンサー事業の事業終息および有機ELディスプレイ事業の自社生産を終了いたします。これらの事業をシステムソリューション事業へ継承し製品の付加価値を高めるとともに、産業領域とホビー領域のロボティクス部門を統合しリソースの効率化を図るべく、2024年4月1日に組織再編を実施いたしました。

既存事業については、適正在庫管理の徹底、販売価格の適正化、生産工程の自動化・省人化を一層進め収益性を改善していきます。当社グループは、「ハードを核にソフト・サービスを融合したソリューション事業領域へ」という事業ビジョンを設定し、従来のハード製品の製造・販売から、お客様のニーズに応じたソフトウエアやサービスを組み合わせたソリューション提供へと事業を発展させていきます。具体的には、電子機器事業では点検・防災・FA市場へのサービス提供、生産器材事業では良否判定・成形条件調整機能を備えた射出成形AIシステムの展開を進めていきます。

コーポレート機能については、人財戦略、DX推進、リスクマネジメント機能の強化を通じて、経営基盤を強靭化していきます。また、ESG関連への取り組みをさらに推進し、環境負荷の低減、人財の確保、ガバナンス強化を含む持続可能な社会と企業価値の向上を目指します。

これらの取り組みを通じて、本計画を着実に遂行し、目標達成に向けて取り組んでいきます。

2027年3月期経営目標:売上高575億円 営業利益15億円

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 全社共通事項では、世界的な原材料、エネルギー価格や運送費などの高騰に対応するため、生産性の向上と固定費の削減を一層推進します。また、適正在庫管理の徹底と適正売価施策の実行に努めるとともに、全社的なデジタル化と業務の効率化、および保有資産の継続的な見直しを進めます。

 見直しを行う事業として、アウトセルタッチセンサー事業は、2024年度に自社生産を終了し、今後は自社設計および外部生産を基本としたモジュール事業への転換を進めます。また、有機ELディスプレイ事業は、2024年度に自社生産を終了し、RiTdisplay Corporationとの事業提携により、販売およびモジュール事業への転換を進めます。RiTdisplay Corporationの高い生産能力とコスト競争力に当社の車載信頼性技術を融合し、付加価値を向上させていきます。

 事業別には、システムソリューションは、顧客提供価値を「無線・IoT・システム技術を用いて、お客様の時間を創出」と定義し、無線通信技術の深耕化によるIoT環境を構築するシステム化製品を提案していきます。EMSでは既存顧客ニーズの深掘りにより次世代製品案件の継続獲得を目指すとともに、高い信頼性を求められる市場に対し拡販を強化し、新規案件の獲得を図っていきます。

 ロボティクスソリューションは、顧客提供価値を「無線・制御技術を基盤にホビーからビジネスまでの幅広いシーンに対応した製品とサービスの提供」と定義し、ホビー用ラジコン市場をリードし強みを生かした魅力的な製品と新たな遊びを提案していきます。また、産業用ドローンはホビーラジコン技術を基軸に、点検・防災分野へ製品・サービスを提案し、領域拡大と市場開拓を行います。また、産業用サーボにおいては、UAV市場だけでなくFA市場向けへの製品開発・拡販を強化していきます。

 生産器材事業は、顧客提供価値を「金型用器材加工を基礎としたソリューション」と定義し、お客様の調達から生産まで広範囲で合理化に貢献するソリューションを提供していきます。具体的な取り組みとしては、プレート製品・金型用器材は、多様化する市場要求に合わせ、合理的な自動化生産体制を構築し、納期や品質で顧客満足度の向上を図ります。また、フタバオーダーサイトやオンデマンド受託製造サービスによりお客様の調達支援を強化するとともに、軽量高強度で加工性に優れるCFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」の用途開拓と拡販を図ります。

 成形・生産合理化機器については、金型内計測システムおよびホットランナシステムの海外販売強化と売上構成比の拡大に努めます。金型内計測システムでは樹脂挙動のデジタル化とAIによる成形条件の最適化を組み合わせ、省人化と生産性向上に貢献するソリューションを提案していきます。また、新たな販売・マーケティングツールであるランディングページの充実やウェビナーのさらなる活用およびSDGsの問題解決に貢献する製品・サービスを提案し、成形・生産合理化機器の拡販を図っていきます。

 なお、新型コロナウイルス感染症からの回復期を迎えておりますが、事業活動への影響が残る部分もあり、対策を継続していきます。電子機器事業では半導体の需給逼迫による生産遅れのリスクを最小化すべく、設計変更や代替品採用などの対策をグローバルに実施します。また、長期的には災害時の状況確認のための製品やデジタル関連、テレワーク需要、医療関連など、新たな事業領域への拡大を進めます。生産器材事業では部品供給体制についてBCP観点でのサプライチェーンの再検討、人手不足に対応するための自動化投資、遠隔操作やデータ取得による生産性の向上への寄与など、ハードウエアのみならずソフトウエア・サービスへ事業領域を拡大していきます。

 

 今後とも需要変動や部材高騰、為替レート変動、地政学上のリスクの影響を注視することにより、リスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築や柔軟な働き方への取り組みを実施し、迅速かつ的確な研究・製品開発と生産体制の構築を推進していきます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)全般

①基本方針

 当社グループは、商品・サービスの提供を通じて企業価値を高めつつ、自然の営みを尊重し、次世代へ「負の遺産」を残さないよう、環境負荷の低減に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。

②ガバナンス

 当社グループは、環境面において、「気候変動問題」と「資源の有効活用」の2つのアイテムを、また、社会面において、「人財育成」、「ダイバーシティの実現」、「従業員の健康と安全の確保」、「人権への取り組み」、「働き方改革の推進」の5つのアイテムを優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)と捉え、真摯に向き合い、事業に影響するリスクと機会への理解を深め、それぞれのマテリアリティに対して指標と目標を明確化し、実現に向けて推進しています。

 気候変動問題については、「脱炭素社会の実現」を目指してCO2排出量の削減に取り組んでいます。環境負荷の低減については、資源の有効活用の観点から廃棄物の有価物への移行およびリサイクル率向上に取り組んでいます。また、環境面については、2024年度より新たに「水資源の保全」をマテリアリティに追加し、指標と目標を設定の上、水使用量削減への取り組みを開始いたしました。

 人的資本については、従業員の成長なしには企業の持続的な成長はないとの考えから、人財育成のための教育プログラムの充実を進めるとともに、多様な人財が働きがいをもって働き続けることのできる環境づくりに取り組んでいます。

 これらサステナビリティへの取り組みを一体となって加速させ、持続可能な社会の実現に貢献すべく、代表取締役社長執行役員を委員長としたSDGs推進委員会を設置しています。委員会が主催するSDGs会議(マネジメントレビュー)を原則として年2回(6月、12月)開催し、サステナビリティに関する事項の審議・報告を行い、重要事項については、必要に応じて取締役会に報告し、取締役会が監督する体制となっています。

③リスク管理

 リスク管理体制として、コンプライアンス・リスク管理委員会(以下CR委員会)を設置し、グループ全体のリスクの識別・評価・管理を実施しています。CR委員会は、リスクアセスメントを定期的に実施しています。リスクの脅威に関する影響度および発生可能性の両側面で一元的なマトリクス分析を実施の上、優先順位の高いリスクを全社レベルで抽出し、対策と結果を取締役会に報告しています。

 SDGs推進委員会は、抽出された課題をリスクとして捉え、CR委員会と連携し、取締役会に報告しています。

 

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(2)気候変動への取り組み

①戦略

 当社グループは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6(1.5℃シナリオ)、RCP8.5 (4℃シナリオ)を参照し、国際的な議論の動向や当社グループへの影響度を考慮して重要なリスクと機会の抽出と財務影響度を評価しています。

 気候変動に伴うリスクと機会を認識し、「脱炭素社会の実現」を目指してCO2排出量の削減のほか、お客様にとってCO2排出量削減につながる製品・サービスの提供等を行います。

②指標と目標

 当社グループは、2050年度までにエネルギー使用に伴うCO2排出量(Scope1、Scope2)を実質ゼロにすることを目指して、2030年度に向けたCO2排出量の削減目標を策定し、指標をモニタリングし、施策の進捗管理および有効性評価を実施しています。

 2023年度末時点におけるグループ全体の削減率は、2013年度実績に対し54.5%となりました。2022年度に対し削減率は22.5ポイント上昇し、目標としていた『2013年度実績の46%以上削減』を達成することができました。事業ポートフォリオの適正化が主な要因となりますが、タイ子会社への太陽光発電導入といった再生可能エネルギーの活用を一部で開始しています。この結果より、今後の削減計画も考慮し、目標を『2013年度実績の75%以上削減』に更新いたしました。2024年度以降も削減活動を継続していきます。

 

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 また、削減対象をサプライチェーン全体に拡大し、Scope1、Scope2以外の間接排出量(以下Scope3)の把握に取り組み始め、2023年度は当社単体の排出量を当社ホームページおよびコーポレート・レポート2023に公表いたしました。2024年度中には国内関係会社を加え、2025年度までに当社グループ全体の排出量を把握し、2026年度以降に目標値を設定の上、削減活動を開始して行く予定です。

 

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(3)資源の有効活用への取り組み

①戦略

 当社グループは、限りある資源を大切に使うため、廃棄物を細かく分解・分別し、有価物として処理することで再資源化に取り組んでいます。樹脂類は5種類に、金属類は8種類に適切な分別を行うことで資源の有効活用、天然資源使用の削減に貢献しています。また、この取り組みにより財務面においても、当社グループの廃棄物処理費削減の効果が得られています。今後も継続して廃棄量の発生抑制(分解・分別の徹底)を図っていくとともに、再資源化を推進していきます。

②指標と目標

 当社グループは、2030年度末までにリサイクル率99%以上の達成を目標として、指標をモニタリングし、施策の進捗管理および有効性評価を実施しています。2023年度の当社グループ全体におけるリサイクル率は前年度に対して1.7ポイント上昇し、94.0%でした。排出量としては、トータルで約13%削減しています。

 

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(4)人的資本・多様性への取り組み

①戦略

 従業員がいきいきと活躍し、成長することなしにはFutabaグループの成長はありません。そのため当社は人材を、会社で最も重要な資本であるとの考えから「人財」と表現します。

 当社では、企業理念である「なくてはならない器材・サービスを創出し世界の発展に貢献する」を社会における存在意義としており、「自ら考え、提案力と行動力で会社の組織を動かせる人財」、「グローバルに活躍できる人財」、「新たな価値創造のできる人財」の育成が重要としています。そのため、人財戦略として「人財育成」「ダイバーシティの実現」「従業員の健康と安全の確保」「人権への取り組み」「働き方改革の推進」をマテリアリティと捉え、仕組みの構築と制度の充実を図るとともに、それによって多様な人財が仕事にやりがいを感じ、能力を最大限に発揮できるよう働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。

 

 特に直近では、事業センターや本部の枠を超えた学びの場を増強し、全体最適の視点を持って組織を動かしていける人財育成や、挑戦する企業風土醸成に注力しています。有能な人財採用強化の一環として、外国籍人財や他業界出身人財の採用も積極的に進めており、文化や価値観、考え方の違いを理解し、そこから生まれる新たな発想やアイデアの創出を進めています。

<ダイバーシティの実現>

 当社グループは、「女性活躍の促進」、「外国籍人財の雇用推進」、「障がい者の雇用推進」、「シニア人財の雇用推進」に取り組んでおり、その中でも女性活躍の促進は、加速を要する喫緊の課題と捉えています。現在、職域拡大を積極的に進めています。

<従業員の健康と安全の確保>

 当社は、毎年全社安全衛生統合管理者が全社安全衛生管理方針を出し、各職場ではこの方針に基づいた安全衛生に関する年間計画を策定し実行しています。また、社内安全衛生スローガンを毎年募集・選出し、全社に周知することで、従業員の安全衛生に対する意識の維持・向上を図っています。

 また、暦年ゼロ災害を目標に掲げ、リスクアセスメント、安全教育と安全巡視の実施により、労働災害の未然防止に努めています。さらに、入社3年目の従業員を対象とする安全面に対する体験実習や、衛生面に対するセミナーを実施しています。

 更にこの目標である暦年ゼロ災害は、グループ全体の目標として周知し、安全意識の向上に向けた啓蒙活動を推進しています。

<人権への取り組み>

 当社は、就業規則において人権の尊重やあらゆる差別的取り扱いを禁止することを明示しているほか、企業倫理を明文化した「社員倫理行動規範ガイドブック」を配付し、周知徹底を図っています。また、ハラスメント防止教育を定期的に実施しています。

<働き方改革の推進>

 当社は、従業員が生き生きと働ける「働きがい」のある職場環境を目指し、さまざまな労務管理の改善を実施しています。働き方改革として、フレックス、テレワーク、兼業・副業、育児・介護休職、短時間勤務および年次有給休暇の一斉行使などの制度を整備し、推進しています。また、全従業員を対象に毎年ストレスチェックを実施し、従業員自らがメンタルヘルス不調の未然防止を図るとともに、職場環境の改善に活用しています。

②指標と目標

 当社グループでは、別表1に示すように人的資本・多様性に関する各マテリアリティに対して、指標と目標を設定し、施策の進捗管理および有効性評価を実施しています。

 女性活躍の促進については、管理職への登用を継続して推進しますが、そのためには、正社員および新規雇用比率を向上させる必要があると考えています。女性従業員によるリクルーター活動の活性化や女性活躍推進施策の積極的なPR等を実施していきます。なお、2023年度に実施した事業ポートフォリオの見直しにより、管理職および正社員における女性比率は、連結グループでは低下、当社単体では増加となりました。

 年休取得率については、積極的に年次有給休暇の取得を促すとともに、休暇制度の見直し等を進めることにより、向上を図っていきます。

 

(別表1) 人的資本・多様性に関する指標と実績

マテリアリティ

取り組み

指標

2023年度実績

目標

人財育成

グローバル人財の育成

研修参加者数

0名

3名/年

幹部人財の育成

研修参加者数

33名

25名以上/年

管理職候補者の育成

研修参加者数

74名

40名以上/年

ダイバーシティの実現

女性活躍の促進

女性比率

管理職

12.0%(0.8%)

2030年度末までに20%以上

正社員

26.0%(17.1%)

2030年度末までに26%(18%)

新規雇用

26.1%(15.0%)

2030年度末までに38%(30%)

従業員の健康と安全の確保

労働災害の撲滅

休業4日以上の労働災害発生件数

1

0件/年

人権への取り組み

ハラスメントの防止

ハラスメント教育の受講率

84

(全課長を対象とし実施)

100

働き方改革の推進

育児と仕事の両立支援

育児休職後の復職率

100

100

男性の育児休職取得率

37.5

2025年度末まで50%以上

ワークライフバランスの実現

年休取得率

70.3

80%以上

(注)1. 連結グループにおける算定が困難であるため、2023年度の実績および目標は、女性比率を除き、当社単体の数値となります。

2. 2023年度のグローバル人財育成研修は、新型コロナウイルス感染症への対応から実施していません。

3. 女性比率の2023年度実績および目標内の()内数値は、当社単体の実績および目標となります。

4. 当社単体の管理職における女性比率の目標は、「積極的に登用」となります。

5. 当社単体の管理職における女性比率は、双葉電子工業本体から他社への出向者を含めずに算出しているため、「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載した「管理職に占める女性労働者の割合」と数値に差異が生じています。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業そのほかに関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、発生の回避および発生した場合の損害の低減に努めていきます。

なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において判断した記載となっており、現時点では予測できない又は、重要と見なされないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

リスク項目

リスク内容

対応策

市場・技術の急速な変化

市場の急速な変化、技術の進化への適切な対応が当社の製品・サービスの付加価値となっており、十分な対応が取れないことや、成長分野への積極的投資等の回収計画未達により、業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

多様化するニーズや技術革新に対応するために、研究開発部門で技術動向による新たな固有技術の探求、営業部門で市場・顧客ニーズの把握を行い、それに基づき各事業で1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の施策に取り組んでいます。

また、設備投資については、計画段階での審査に加え、定期的に回収状況を確認しています。

競争の激化

それぞれの事業の関連する分野において、他業種からの新規参入も含めて価格競争が激化する可能性があり、想定を超える価格競争が発生した場合には、売上高、市場シェア、利益等に影響を及ぼす可能性があります。

各事業分野において、徹底した原価低減によりコスト競争力を高めるとともに、独自技術や品質・信頼性で競合他社と差別化を図り、シェア拡大を図っています。

さらに、市場の動向や競争の状況によって事業ポートフォリオの見直しを行なっています。

金融市場の

変化

取引先および取引地域が世界各地に渡っており、外貨建てで取引され、製品、サービス等のコストおよび価格が、為替変動による影響を受けます。また、金融変動、インフレ、デフレ等が予想を超えた場合、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

米ドル建てを主としており、一部は為替予約を実施し、定期的な外貨建て資産の見直しによる売却等で、リスクを軽減させる措置を講じています。

コスト競争力

グループ外調達により原材料、部品、サービスの供給を受けており、部品・材料・原油等の予想を超える価格の高騰が生じた場合の他に、歩留や生産性の低迷により、コスト競争力で他社に遅れを取る可能性があります。また、棚卸資産が陳腐化した場合には損失が発生し、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

製品設計や材料のVA/VE、コスト競争力のある部品・材料の調達の他に、自動化および最適地生産も含めコスト削減を図っています。また、棚卸資産の停滞や過剰の発生を極力抑え、評価損等を軽減させる取り組みも行なっています。

知的財産権

独自に開発した技術などが、グローバルな競合の中で、第三者より知的財産権に基づく権利の主張を受ける可能性が常に存在します。また、営業秘密の予期せぬ流出により、競争力が低下することもあり、その場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

製品の差別化と競争力強化のために、独自に開発した技術を特許権などとして権利化するとともに、ノウハウなどの営業秘密については、企業秘密管理規定により管理しており、それらを活用した市場競争力のある新製品の開発に注力しています。

 

 

リスク項目

リスク内容

当社の対応策

自然災害・

感染症

南海トラフを原因とする巨大地震や首都圏直下地震をはじめとする火災、風水害、火山噴火等の自然災害の他に、新型インフルエンザや、新型コロナウイルス等の感染症が発生した場合、リスクとして取引先の倒産等による影響を含め全てを回避することは困難であり、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化も含め、事業運営および業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、大地震等の大災害発生時における対応策を予め策定・準備し、日頃より各種災害対策訓練の他に、大災害が発生した場合も、社長自らを本部長とする災害対策本部を設置し、人的・物的被害を最小限に抑え、事業を中断することのないようにBCP(事業継続計画)を準備しています。また、政府から発信される情報に基づき、感染症などへの対応も行なっています。

ITセキュリティ

従業員やハッカーなどの外部の人間によるインターネットの悪用、ウイルス侵入、顧客情報や機密情報の流出、データ紛失・改ざんなどが発生した場合、生産活動の停滞および停止に陥り、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

ネットワークへの侵入防止・外部のセキュリティオペレーションによる監視、並びにソフトウエアのアップデート適用管理を行なっています。障害発生時の連絡体制は、関係会社も含めて構築し運用しています。また、ITセキュリティ教育および訓練は定期的に実施しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1) 経営成績

 当期の経営成績

 当連結会計年度における国内経済は、昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が「5類」へ移行したことに伴い、社会・経済活動は正常化に向かいましたが、不安定な国際情勢のなか、円安を背景とした物価上昇、資源・エネルギー価格の高止まりにより、依然として厳しい状況が続きました。

 世界経済におきましても、半導体などの部材調達難には改善の動きが見られたものの、国内と同様に資源・エネルギー価格の高騰による物価の高止まりやインフレ抑制のための政策金利引き上げを要因とした景気の減速のほか、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化など、先行き不透明な状況が継続しています。

 こうした経済情勢下、当社グループは単年度の事業再生計画「Re-Futaba -考動(決意と約束)-」に基づき、構造改革を確実に遂行するとともに、持続的に成長できる体制への立て直しによる企業価値の向上に努めました。

 なお、当期に実施した主な取り組みは、以下のとおりです。

(構造改革)

・有機ELディスプレイの自社生産終了およびアウトセルタッチセンサーの事業終息に向けた取り組みと事業構造の再構築

・蛍光表示管の生産終了および製造子会社の解散決定

・当社における特別転進支援制度の実施

・電子デバイス関連事業の海外販売拠点再編による、シンガポール子会社の解散決定

・生産器材事業の国内工場集約および中国生産拠点の人員適正化を踏まえた生産体制の再構築

(持続可能な成長体制への立て直し)

・適正売価政策の積極的な推進および適正在庫管理の強化

・サステナビリティへの取り組みとして、2023年度の当社単体GHG排出量(温室効果ガス排出量)の公表、人的資本活用として「人事制度改定」「人財育成」「リスキリング」の計画に沿った活動を実施

・産業用ドローンでは実証実験の実施とともに、小型・軽量設計のレンズ交換式フルサイズ業務用カメラをオプションとして搭載する運用を開始

・生産器材事業のECサイトで展開している簡易設計・調達サービス「Plate Builder(プレートビルダー)」の加工対応範囲、加工種類拡充により、FA業界における調達業務の合理化を推進

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は563億6千万円(前期比6.6%減)となりました。このうち海外売上高は321億8千9百万円(前期比7.4%減)となり、国内売上高は241億7千万円(前期比5.4%減)となりました。収益面では、営業損失は11億4千1百万円(前期は営業損失23億8千7百万円)となりました。また、経常利益は5億7千万円(前期は経常損失11億3千4百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、構造改革による事業再編損および固定資産の減損損失を計上したことなどにより18億5千4百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失34億9千9百万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

① 電子デバイス関連

(主な製品:タッチセンサー、有機ELディスプレイ、蛍光表示管、複合モジュール、産業用ラジコン機器、

      ホビー用ラジコン機器等)

 タッチセンサーでは、顧客における部材調達難が一部で解消したことから国内の車載用途で出荷が進んだものの、海外での販売が縮小していることから、売上げは前期を下回りました。

 有機ELディスプレイでは、適正売価政策の推進に加えて、自社生産終了決定に伴う追加受注があったことから、売上げは前期を上回りました。

 複合モジュールでは、部材調達難が一部で解消し、計測器用途は横ばいであったものの車載用途および娯楽用途が順調に推移、EMSにおいては需要に一服感はあるものの車載用途や計測器用途が堅調であったことから、売上げは前期を上回りました。

 産業用ラジコン機器では、トラッククレーンなどの建機向けは堅調に推移しましたが、FA向けが低調に推移したことから、売上げは前期を下回りました。

 

 ホビー用ラジコン機器は、限定企画商品などの市場投入を実施しましたが、市況の悪化が継続しており、国内および欧米での販売が低迷したことから、売上げは前期を下回りました。

 営業損失は、海外製造拠点の解散を含めた構造改革の効果や、固定費の統制を継続したことなどにより、前期に比べて損失が縮小しました。

 

② 生産器材

(主な製品:プレート製品、金型用器材、成形・生産合理化機器)

 国内では、前期から継続して適正売価政策を推し進め、プレス金型用器材は堅調に推移したものの、樹脂成形関連や設備関連市場の停滞が継続し、モールド金型用器材やプレート製品が低調に推移したことから、売上げは前期を下回りました。

 海外では、主力の韓国市場において携帯電話や家電向けの低迷に加え競合との価格競争の影響を受け軟調に推移し、中国・アセアン市場の市況低迷も続いたことから、売上げは前期を下回りました。

 営業損益は、固定費統制の継続強化に加えて構造改革の効果による影響があったものの、市況悪化に伴う操業度の悪化や退職給付費用の増加の影響も受けたことから、前期に比べて減益となり、赤字となりました。

 

(2) 当期の財政状態の概況

(資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況に関する分析)

① 総資産は、投資有価証券や現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ61億4千4百万円増加し、1,042億6千3百万円となりました。

 負債は、繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ8億2千6百万円増加し、137億3千3百万円となりました。

 純資産は、為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ53億1千8百万円増加し、905億2千9百万円となりました。この結果、自己資本比率は75.0%となりました。

② 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は213億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億9千3百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、15億2千9百万円(前期は58億2千9百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の減少額39億2千7百万円や売上債権の減少額14億3千8百万円などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は、42億1千2百万円(前期は10億5千6百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入15億8千9百万円や投資有価証券の売却及び償還による収入10億5千7百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、11億2千9百万円(前期は14億5千8百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額5億1千万円などの支出によるものです。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

 ① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

電子デバイス関連(百万円)

22,260

85.2

生産器材(百万円)

28,846

96.3

 合  計 (百万円)

51,107

91.1

 (注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでいます。

2.金額は売価換算値で表示しています。

 

 ② 受注実績

 製品の性質上、原則として需要予測に基づく見込み生産を主体としていますので記載を省略しています。

 ③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

電子デバイス関連(百万円)

24,813

90.9

生産器材(百万円)

31,547

95.5

 合  計 (百万円)

56,360

93.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当

  該割合が100分の10以上の相手先が無いため、記載を省略しています。

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りについては、過去の実績を勘案し、合理的に判断していますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

 

 ② 経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの売上高は563億6千万円、営業損失は11億4千1百万円、経常利益は5億7千万円、親会社株主に帰属する当期純損失は18億5千4百万円となりました。

売上高については、前期比6.6%減となりました。収益面では、操業度悪化による減益影響があったものの、国内外製造拠点の整理を含めた構造改革の断行に加え、全社で固定費の統制を継続強化したことにより、営業損失は11億4千1百万円(前期は営業損失23億8千7百万円)となり赤字縮小となりました。経常利益は営業損失の縮小に加え、為替差益を計上したことなどにより5億7千万円(前期は経常損失11億3千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、構造改革による事業再編損および固定資産の減損損失を計上したことなどから18億5千4百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失34億9千9百万円)となりました。

 ③ 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、投資有価証券や現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ61億4千4百万円増加し、1,042億6千3百万円となりました。

当連結会計年度末の負債は、繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ8億2千6百万円増加し、137億3千3百万円となりました。

また、当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ53億1千8百万円増加し、905億2千9百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末75.2%から0.2ポイント減少して75.0%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べて104円32銭増加して、1,843円89銭となりました。

 

 ④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

・ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は213億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億9千3百万円増加しました。

 営業活動の結果獲得した資金は、15億2千9百万円(前期は58億2千9百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の減少額39億2千7百万円や売上債権の減少額14億3千8百万円などによるものです。

 投資活動の結果獲得した資金は、42億1千2百万円(前期は10億5千6百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入15億8千9百万円や投資有価証券の売却及び償還による収入10億5千7百万円などによるものです。

 財務活動の結果使用した資金は、11億2千9百万円(前期は14億5千8百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額5億1千万円などの支出によるものです。

 

・ 資金需要及び財務政策

 当社グループでは、今後もグローバルな市場への展開のために、主に日本における研究開発が不可欠であると考えており、そのための研究開発投資とグループ内の事業投資を継続していきます。

 また、当社グループでは引き続き財務の健全性を堅持し、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの成長に必要な資金を調達していくことが可能であると考えています。加えて、機動的かつ安定的な必要運転資金の調達を可能とするため、コミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えています。なお、本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

 ⑤ 経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、本項に記載のほか、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

5【経営上の重要な契約等】

(コミットメントライン契約の締結)

 当社は、2024年2月9日開催の取締役会において、コミットメントライン契約を締結することを決議し、2024年3月1日付でコミットメントライン契約を締結いたしました。

 

・コミットメントライン契約の概要

(1)契約締結先

株式会社千葉銀行

(2)契約形態

相対形式によるコミットメントライン契約

(3)借入極度額

50億円

(4)コミットメント期間

2024年3月1日~2025年2月28日

(1年ごとの延長オプション2回)

(5)担保の有無

無担保・無保証

(6)資金使途

運転資金

(7)財務制限条項

2024年3月期の決算期末日以降における単体および連結貸借対照表上の純資産の部の金額につき、2023年3月期の決算期末日における単体および連結貸借対照表上の純資産の部の金額の75%の金額以上を維持すること。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、企業哲学である「本質之直視」を研究開発活動に展開し、「マーケティングと技術によって、お客様に感動を提供する新しい価値を生み出し、人々が心豊かに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献します」を指針として、研究開発を推進しています。 研究開発体制として、コア技術開発センターは、新事業の創出と既存事業の拡大・強化を目的に据えて、当社コア技術・製品の強みを更に発展させる研究開発を主な活動としており、また、各事業センターは、所管事業に関する新製品の開発を中心に、相互に連携をとりながら研究開発活動を行なっています。さらに将来の事業ビジョンとして、ハードを核にソフト・サービスを融合したソリューション事業領域への転換を掲げています。この新たな事業領域へと転換し成長していくために必要なコンピタンスを獲得することが重要な課題であると考えており、ベンチャーキャピタルや企業間連携、大学・外部研究機関との共同研究を通じたオープンイノベーションを積極的に進めています。

以上の取り組みにより、当社グループにおける研究開発費は、1,404百万円となりました。

 

(1) 電子デバイス関連

産業用ラジコンは、産業界における安全性・生産性向上、労働環境改善、技術者・技能者育成の市場ニーズに応えるため、無線・IoT・システム関連の要素技術開発に取り組み、国内外の建設業・農業などの課題解決に向けたソリューション展開をするために、遠隔操作に対応した無線リモコンの製品開発を進めています。中長期に向けてはディスプレイ・センサー・無線通信技術を融合することで、IoT環境を構築するシステム化製品の開発を推進します。

ホビー用ラジコンは、社内のトップドライバー/トップフライヤーと技術チームが連携して製品を開発することを特長としています。当連結会計年度は、カー用ハイエンド送信機に使用されている新システム、UR(ウルトラレスポンス)モードを空用に展開し、ワイヤレス・チューニング機能を搭載した受信機・ガバナーが一体となったヘリ用3軸ジャイロを市場投入しました。

産業用ドローンは、点検・防災市場を主なターゲットと定め、耐風性・信頼性を重視した機体開発を進めるとともに、協業企業と連携してさまざまな用途やシチュエーションを想定した実証実験や運用訓練を実施し、具体的なサービスの事業化に向けた提案を進めています。

以上を含め、当事業における研究開発費は、1,190百万円となりました。

 

(2) 生産器材

生産器材は、製造業の生産合理化に貢献するため、金型および設備・治工具向け基礎器材の供給をはじめ、量産現場の効率化を促す各種システムを提供してきました。生産現場においては、技術者の経験に基づいたモノづくりから、データサイエンスやAIを活用した効率的なモノづくりへの変革が進んでいます。これらのニーズに応えられる商品の開発が課題であると認識しています。

金型および設備・治工具向け基礎器材では、オンライン上での直感的な図面作成から即時見積り、発注までを行える「Plate Builder」において、材質・最大サイズ・加工種類の拡充を行いました。

成形・生産合理化機器では、金型内計測システムにおいて、金型内溶融樹脂圧力/温度・金型表面温度の複合計測の有効性を研究し、その成果をFutabaセンシングスクール応用編として開講いたしました。さらに、顧客支援ツールとしましては、新規樹脂特性評価試験のニーズを取り込み、センサー付き試験金型のカスタム開発を進めました。

新製品分野では、工作機械IoTモニタリングシステムにおいては、海外対応モデル(タイ・ベトナム向け)の開発を進めています。CFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」は、お客様のご要請による用途開発を進めるとともに、加工生産性の向上による原価低減を進めました。

以上を含め、当事業における研究開発費は、214百万円となりました。