独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2024年9月25日

株式会社メルカリ

 

 

取締役会 御中

 

 

 

EY新日本有限責任監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

松浦 康雄

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

田中 計士

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

鴇田 直樹

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社メルカリの2023年7月1日から2024年6月30日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、株式会社メルカリ及び連結子会社の2024年6月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

MarketplaceにおけるITシステムに高度に依存した収益認識

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社グループは、日本及び米国において、Marketplaceであるフリマアプリの運営を行っている。連結財務諸表注記「6.セグメント情報(2)報告セグメントに関する情報」に記載のとおり、当連結会計年度におけるMarketplaceの売上収益は150,924百万円であり、連結売上高の約80%を占めている。その殆どが、会社及び米国連結子会社Mercari, Inc.のMarketplaceから生じる取引手数料及び配送売上である。

 取引手数料は、Marketplaceにおいて、売主と買主の間で物品の引き渡し及び評価が完了した時点で、取引価格に一定の料率を乗じて顧客から受領する対価である。配送売上は、Marketplaceに付随して提供している物品の配送もしくは配送の取次により、顧客から受領する対価である。個々の取引から生じる取引手数料及び配送売上は売上収益全体に対して極めて少額であるが、処理される取引件数は膨大である。

 取引手数料及び配送売上は、関連するITシステムにより生成された帳票に基づき、会計帳簿に記録することによって認識される。当該ITシステムは、自社開発による複数の業務処理システムから構成され、モバイル端末等を通じて実行された取引情報を記録するシステム、取引ごとに取引手数料及び配送売上を算定するシステム等が含まれる。個々のシステムにおける処理及びシステム間のデータ連携は、自動化された業務処理統制に高度に依存しており、当該統制に不備があった場合には、その影響が広範囲に及び、財務報告に重要な影響を与える可能性がある。

 以上より、当監査法人は、MarketplaceにおけるITシステムに高度に依存した収益認識を監査上の主要な検討事項と判断した。

 当監査法人は、Marketplaceにおける取引手数料及び配送売上に係る収益認識について、関連するITシステムによる処理結果の信頼性を評価するために、当監査法人と同一のネットワークに属するメンバーファームのIT専門家を会社及び米国連結子会社Mercari,Inc.の監査において関与させ、主として以下の手続を実施した。

(1)関連するITシステムに係る内部統制の評価

・IT全般統制の有効性を評価するため、変更管理、アクセス管理、IT運用管理について、システム管理者に質問するとともに、関連文書を閲覧した。

・ITシステムによる自動化された業務処理統制を理解するため、システム管理者へ質問又はプログラム仕様書等を閲覧した。

・個々の取引情報の記録に係る自動化された業務処理統制の有効性を評価するため、サンプルでITシステムに記録された取引情報とモバイル端末等における実際の取引情報を照合し、取引価格及び発生時期がITシステムに正確に反映されているかを検証した。

・個々の取引手数料及び配送売上の算定に係る自動化された業務処理統制の有効性を評価するため、サンプルで取引手数料及び配送売上が正確に算定されているかを検証した。

・業務処理システム間のデータ連携に係る自動化された業務処理統制の有効性を評価するため、サンプルでシステム間の連携されたデータの整合性を検証した。

(2)ITシステムより生成された帳票の正確性及び会計記録との整合性の検証

・ITシステムによる処理結果が事業の実態と乖離していないかを検討するため、財務情報以外の情報を利用した分析的手続として、取引手数料及び配送売上の金額全体について、流通総額、配送個数又は入金金額と比較分析した。

・収益認識の基礎となるITシステムにより生成された帳票の正確性を検証するため、生成時の出力条件を閲覧するとともに、生成後の帳票の変更有無を確かめた。

・ITシステムにより生成された帳票と会計帳簿の収益認識額を照合した。

 

 

 

株式会社メルコインが保有する暗号資産の実在性及び分別管理義務に関連するリスクに係る負債の発生可能性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社の連結子会社である株式会社メルコインは、「資金決済に関する法律」に基づく暗号資産交換業者として、利用者から預託を受けた暗号資産を管理している。

 連結財務諸表注記「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定(4)株式会社メルコインが利用者から預託を受ける暗号資産について」に記載のとおり、利用者から預託を受けた暗号資産の当連結会計年度末の残高は、13,191百万円である。株式会社メルコインは、利用者から預託を受ける暗号資産に対する支配を有していないと判断しており、これらの暗号資産について連結財政状態計算書上、資産として認識しておらず、対応する負債についても認識していない。

 また、株式会社メルコインは利用者から預託を受けた暗号資産を、株式会社メルコインが管理するウォレット内に保管している。株式会社メルコインは「資金決済に関する法律」に基づく暗号資産交換業者として利用者から預託を受けた暗号資産を分別して管理する義務を負っており、外部の第三者による不正アクセスにより当該暗号資産が流出するリスクに備えるため、秘密鍵管理体制やウォレット構造の構築において様々な対策を講じている。このため、連結財務諸表注記「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定(4)株式会社メルコインが利用者から預託を受ける暗号資産について」に記載のとおり、当該リスクに伴う債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性は当連結会計期間末時点において高くないと判断した上で、当該リスクに係る負債は認識していない。しかし、仮に不正アクセスにより暗号資産が流出した場合、会社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。

 以上より、当監査法人は、株式会社メルコインが保管する暗号資産の実在性及び分別管理義務に関連するリスクに係る負債の発生可能性を監査上の主要な検討事項と判断した。

 当監査法人は、株式会社メルコインが利用者から預託を受けた暗号資産の実在性及び分別管理義務に関連するリスクに係る負債の発生可能性を検証するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の整備及び運用状況の評価

・経営者に対する質問及び関連資料の閲覧を行い、暗号資産の実在性に関連する株式会社メルコインの以下の内部統制の整備

・運用状況の有効性を評価した。

-株式会社メルコインの構築したウォレット構造における、ウォレットへのアクセス管理に関する統制

-暗号資産のブロックチェーン上のウォレット間での移転に関する統制

-暗号資産の帳簿残高とブロックチェーン上の残高との照合に関する統制

-利用者から預託を受けた暗号資産と自己の計算で保有する暗号資産との分別管理に関する統制

-秘密鍵管理に関する統制

(2)実証手続

・監査人自らブロックチェーン上の記録を参照した上で、当該記録と暗号資産の帳簿残高とを照合した。

・秘密鍵が株式会社メルコインの管理下にあることを検証するため、監査人と事前に合意した通りの暗号資産の移転がブロックチェーン上に記録されているかを確認した。

 

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任

 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示

リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の

判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

<内部統制監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社メルカリの2024年6月30日現在の内部統制報告書について監査を行った。

 当監査法人は、株式会社メルカリが2024年6月30日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任

 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

 監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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